賢樹・伊砂

水仙が多く咲く場所で移り行く景色や道行く人々を眺めて過ごしている事が多い土地神。立場以外何もかも失い、あとは移り行く世界を眺めてひとり静かに終わるのだと思っていたが、いつの間にかひとりの人間に懐かれていた。驚いた。もう誰にも見えないと思っていたのに。自分といて何が楽しいのか全く分からないが、お茶も、一緒に出されるお菓子も美味しいので好きなようにさせている。こんな日々も悪くはないかと思いながら。