奈鬼羅・千景
時に狐に、時に鬼に――身を|割かん《裂かん》かの如く犇めき合う化生どもが巣食う、妖憑き。
悍ましく荒々しく心身蝕む其等とは裏腹に、当の本人は狐火鬼火に焼かれながらも何食わぬ顔で笑うばかり。辛苦の情を切り捨てたか、失くしたか――いっそ不気味な程に穏静な男。
奈鬼羅・千景