白き・墓標
丘の上に立つ白く風化した無銘の石柱。表面はざらつき、古い血のような赤錆の跡が僅かに残る。その周囲にだけ密やかにドクダミの花々が咲き誇っている。花は地面を這うように広がり、墓標の根元を守るように。花の白。墓標の白。重なる箇所に生の匂いと死の気配を共に湛える。誰のためかも、誰が建てたかもわからない。