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叢雲・孤月
かつて1人の男を愛した深紅と琥珀の瞳の天狐。その男はよく笑い、豪胆で破天荒……あらゆる苦難を乗り越えて人々を魅了し、狐もいつしか虜になっていた。ある日、彼が忽然と姿を消したことで不安の色を見せる人々のため、迎えに行こうとこの地へ誘われた結果、生きた月日より歳若い人の姿へ変わっていた。
きっと善良な彼のことだ、天使とやらに姿を変えているのだろうと、今日も4本の尾を揺らし、再会を願い暮らしている。

