Petit trésor*
じゃあ、みんなで宝物を探しに行こうよ!
世界を巡って、この宝箱を素敵で満たそうそしたらきっと、あなたの宝物も見つかるよ
欧州の名残を残す港町の住宅街、潮風の通り道になっている石畳の坂道を上って。
白いモルタルの外壁には蔦が絡み、まるで魔女の館を思わせる佇まい。
薬草に薔薇、彩り豊かな花々咲く、絵本の庭を思わせる玄関口。
そのお店には、こんな看板が下がっていました。
“ あなたの宝物は此処に ──Le petit trésor ”
けれど、中はほとんど空っぽの寂しいお店。
ぎこちなく杖つく店主が語るには、
事故のせいで商品を仕入れに行けなくなったのだそう。
このままではすぐに閉店になってしまうと教えられました。
しかし、せっかくの出会い。
黙って、この宝箱の鍵を引き出しの奥にしまっておかせるべきなのでしょうか?
そんな問いが浮かび、少女は咄嗟に口を開きました。
「ここに置けるような宝物、わたしが集めるよ!」
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