烏夜
あなたに。どうか、『おかえり』と言わせて。
ここは沢山のレコードとCDに囲まれたちいさなティーハウス。ロイヤル・ブルーに包まれた店内で、古風な調度品たちは客人たちからお呼ばれするときを今か今かと待っている。
黄昏を迎えたせかいの中でも音楽は人々の心から消えてしまってはいない。壊れ掛けたレコードの電源を入れたなら、ほら――色鮮やかな日々は何度でも蘇る。
どうぞあなたも、泡沫の夢のようなひとときを。
夜の帷が明けるまで。烏夜は優しくあなたを包み込むでしょう。