Residual
それは、ほんのわずかな余白の日々。
積層都市外縁部に取り残された無人の終着駅。駅名を記した文字は掠れ、もはや意味を成していない。
かつては資材や人員を輸送する拠点として、一時の賑わいを見せていた。
役目を終え、今では鉄道網の路線図にも公的な都市管理局の記録からも、その存在は残されていない。管理者の所在すら知れぬまま、それでも仙術機械による最低限の保守機能だけは稼働を続け、照明や給湯設備は今も静かに息づいている。
廃線となったはずのホームには、時折行き先も所属も判然としない列車が音もなく滑り込むという。駅の先で線路は途切れ、その向こうには幾重にも積み重なった都市の灯が、果てのない星海のように広がっている。
辿り着いた後、駅には次の旅を待つ短い余白が残る。
ここは終点ではなく、新たな行き先を選び直す始発の場所。
行路を見つけるまでの空白には、いつでも新しい道が残されている。
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