『空奏旅行奇譚』
|三頭犬《いぬ》が落ちている。
月が二度と同じ姿を見せないように、過ぎゆく日々の中でも二度と同じ瞬間は訪れない。──だから。
生命は循環する。刻がその歩みを止めることはない。
誰しもいつか出会う死に向かって歩みを進めている旅人で。
世界は瞳を一瞬きさせているいまこの瞬間にも目まぐるしく姿形を変え、「今」という瞬間を形創っている。
──だから。
旅先で出逢ったもの、見たこと、感じた想いや思い浮かんだ言ノ葉たち。その全てを余すことなく書き留めておきたいから。
*個人旅団です。