烏鷺通
「嗚呼、迷い込んでしまわれたのですね」
土を見詰めて思案していたか、或いは野良猫の道案内の末か、それとも。貴方は√妖怪百鬼夜行を歩む道中、物静かな広い通りへ辿り着いた。
否、迷い込んだのかもしれない。
|烏鷺通《うろどおり》。
土産屋、食事処、酒屋。
通りに並ぶ店は立派乍ら灯は何処も心許なく存在を示し、客の寄り処とは言い難い。
此処は、喧噪から外れた隠れ処。
其れを“好い”とする者が居るならば、店は来客を迎え入れるだろう。
「折角ですから如何です?」
此れも、何かの縁――