ゐろは堂
『 ご依頼は週末の夜に 』
恐ろしくも愛嬌のある魑魅魍魎が横行濶歩し奇々怪々とした見世が軒を連ねる餓者髑髏通り、
その片隅に寂閑と佇む古美術骨董店『ゐろは堂』。
酔狂な男が老後の道楽として蒐集した美術品は
どれも損傷が激しく一見塵芥の山のように映るが、
眼識ある者が見れば名品揃いであることに気付くだろう。
その見世は夜の帷が降りると共に格子を下ろし
代わりに潜戸に吊るした提灯にまぁるい火が点る。
表札に刻まれた屋号は『彩生探偵舍』
――それこそがこの町家の|元来の《あるべき》姿だった。
電鈴を押した訪問客が軒下で待つこと暫し。
程なくして悲鳴が上がったかと思えば
何かが階段から転がり落ちるような音が響き、
戸口の向こうに何故か満身創痍の娘が佇んでいた。
「よ、ようこそお越し下さいましたっ……!
所長代理を務めております、彩生紬でございます。
不在の祖父に代わってお話を……おおお待ち下さいお客さまぁ!!」
✾ 試運転 ✾
小噺|対話|筆録|調査|等
どれも損傷が激しく一見塵芥の山のように映るが、
眼識ある者が見れば名品揃いであることに気付くだろう。
その見世は夜の帷が降りると共に格子を下ろし
代わりに潜戸に吊るした提灯にまぁるい火が点る。
表札に刻まれた屋号は『彩生探偵舍』
――それこそがこの町家の|元来の《あるべき》姿だった。
電鈴を押した訪問客が軒下で待つこと暫し。
程なくして悲鳴が上がったかと思えば
何かが階段から転がり落ちるような音が響き、
戸口の向こうに何故か満身創痍の娘が佇んでいた。
「よ、ようこそお越し下さいましたっ……!
所長代理を務めております、彩生紬でございます。
不在の祖父に代わってお話を……おおお待ち下さいお客さまぁ!!」
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