星躔
特殊災禍対策室『星躔』
鉄と黴の匂いのする薄暗い路地を進む。足裏が水溜りを踏んだ次の一歩を右へ。途端に乾いた地面で砂利が鳴く先、丁寧に張り巡らされた有刺鉄線の向こう側に、やたらと立派な築浅マンションが構えている。並ぶ数多の窓に反して、灯る光は一階と最上階のふたつきり。一階のエントランスを抜けたなら、101号室の扉に掲げられた【特殊災禍対策室】の名を見るだろう。|星躔《せいてん》――扉を開いたその先で、所属したものは必ず星屑になるのだとそれは笑う。