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わんちゅーぱれぇど

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見下・ハヤタ

 ごしゅじんがおうちからはなれていくのを確認してから、ぼくはドアのかぎを前足でけりけりします。
 がちゃんとかぎが外れる音を確認して、器用にドアをあけました。実はこのかぎ、ぼくの前足がちょうどよくとどくんです。
 でも、ごしゅじんにばれたらひとりでおさんぽにいけなくなってしまうので、ぜったいごしゅじんにばれちゃわないようにぼくはとっても気をつけています!
 だから、もしぼくのことばがわかるにんげんがいたらないしょにしてくださいね。
 ちゃんととびらがしまったのをかくにんしたら、にっかのごきんじょのパトロールのはじまりです!
 てくてくとぼくは川沿いの道を歩きます。この頃はずいぶんとおひさまがあたたかくなってきました。ごしゅじんいわく春というものらしいです。
 春の風にそよそよとゆれる草はとってもおもしろくて見ていてあきません。
 この川沿いの道はごしゅじんともよくおさんぽにでかけます。他の犬もいっぱいいます。道のいたるところには色んな犬のにおいがして、クン活もとてもはかどります。
 クンクン。クンクン。ごしゅじんといっしょの時にはどうしても気をつかってしまうクン活もぼくひとりだけなら気をつかう必要がありません。
 そうしてぼくがクン活に夢中になっていたら、はなさきに何かコツンとあたった感じがしました。
「ちー! ちー!(どこ見て歩いてるんでちか、ワン公!)」
 けたたましい鳴き声に思わずぼくはしっぽをまるめてしまいました。
 ちーちー鳴く方を見ればぼくよりもずっとちいさなネズミさんがいました。ネズミさんは痛そうにさすさすと前足で腰をおさえてます。
「わう……(ごめんですー。まえをみていなかったです。なにかおわびをしますです)」
「ちー(ふんっ、じゃあこの怪我に同情するなら|飯《メチ》をくれでち)」
「わん(わかりましたですー。いっしょにごはんをさがしましょう)」
 怒れるネズミさんを頭の上にのせてお散歩を再開したところで、誰かがぼくのほうを見ている気配がしました。
「あ、たぬきだー」
「わんわん!(ぼくはたぬきじゃないですー!)」
 とおりすがりのたんぽぽ色のぼうしをかぶったちいさいにんげんがふたり、ぼくの方を指さしていました。
 たぬきとまちがわれるのはちょっと心外です。ぼくはほこりたかいしばいぬなのです。あんなどんくさいいきものといっしょにされるのは|しんがい《・・・・》というやつなのです!
 わんわんとぼくはいいましたが、ちいさいにんげん達に言葉は通じません。
「わんわんって鳴いてるからワンちゃんだよ」
「そっか、でもワンちゃんってひとりでおさんぽしているものなの?」
「ひとりでおさんぽしてるワンちゃんはホケンジョってとこにいかなきゃいけないんだって、ママよんでこなくちゃ!」
 ホケンジョというものが何なのかぼくはわかりませんが、なんとなく連れていかれちゃだめだって思って逃げました。
 とりあえずかくれんぼできる場所としてめにはいったのが草むらです。
 逃げ込んだ草むらはぁはぁしていたら、ぼくはしっている人にあいました。
「あっ! ハヤタさん。なみこおねーさんはいっしょじゃないの?」
 黒いランドセルをせおっている知り合いのおとこのこです。名前はソータさんっていったはずです。
 りっぱなヒーローとおにいさんをめざすおとこのこ。まえにこねこをたすけようとしていたソータさんはいじめっこたちに囲まれてたいへんそうだったので、ぼくがいじめっこたちをワンワンと吠えておいはらいました。
 いつも楽しそうにしているソータさんですが、今日はなんだか悲しそうです。
 にんげんにもしっぽがあったら、多分とってもたらんと下がっている状態です。
 ぼくがくーんとだいじょうぶ?ときけば、ソータさんは不安そうにりゆうを教えてくれます。
「みーが居なくなったんだ。おれが玄関あけたらびゅーんっと出ていっちゃって」
「わん……(それはたいへんなのですー)」
 ぼくもおなじことをしているのでみーちゃんさんのことを言えないのですが、このまま迷子になっていたらたいへんです。
 それに、ソータさんが悲しそうにしているのはぼくもかなしいです。
 ぼくはなぐさめるようにソータさんのほっぺをぺろんとなめてから、ソータさんの服をくんくんとかぎました。
 そして、ぼくはかぜにのってちょびっとだけ感じるおんなじ匂いをたどっていきます。
 まえにごしゅじんといっしょにみた『ケージドラマ』とかっていうテレビで、かっこいいおにいさんわんこ達がやっていたことのまねごとです。
 くんくんとしんちょうに匂いを辿っていけば、川辺で猫のみーちゃんさんがぼんやりと川の流れを見つめている姿を見つけることができました。
「ちゅぅー(あそこにいるのはニャン公じゃないでちか。でちはかんべんでち)」
 あたまのうえにのっていたねずみさんはだっとのごとくどこかへ走り去ってかくれていきました。
 しかたがないです。ねずみさんにとってねこさんはたいてきってやつってききましたから。ぼくはいっぴきでみーちゃんさんのところに近付きます。
「わん!(みーちゃんさん、そこにいたんですね! ソータさんが探していたですよ。あんまりしんぱいかけちゃだめなのですー)」
 ぼくがわんわんと注意するとみーさんのしっぽがたらんとさがります。
 ごめんなさいとか反省してますって雰囲気がしています。
「みー(ソータさんひさしぶりなの。ねこはじゆうのいきもの。たまにはひとりでおさんぽしてみたかったの。ごめんなさいなの)」
 ぼくはみーちゃんさんとすこしだけお話をしました。ぼくはみーちゃんさんよりも少しだけおにいさんなので、ちゃんとだめだよっていいました。
 ちゃんとにんげんの中のルールをまなんでいかなきゃいけないので、これからもぼくはみーちゃんさんにおにいさんとしてたくさんおしえてあげなきゃなのです
「あ、みー! さがしたんだぞ! だめじゃないかー!」
「みー(ソータなの、ごめんなさいなの)」
 ぼくのあとを不思議そうについてきていたソータさんもみーちゃんさんに気が付いて、あわててかけよると、みーちゃんさんをぎゅっとしてあげていました。
 みーちゃんさんは暴れることなくソータさんにすなおにだっこされていました。
「わん!(無事にみつかってよかったのですー)」
「ちゅー(まぁ終わりよければ全てよちでち)」
 いつのまにかもどってきたねずみさんがあたまのうえで相づちをうってくれました。
 なんだかちょっとおくちの悪いねずみさんですが、どうやらわるい子じゃないみたいです。
 その日、ちょっとだけいいことをしたぼくは、とってもきぶんがよくなりました。

「ハヤタさん、ただいまです」
 その日の夜。かえってきたごしゅじんがいつもとおなじようにぼくをぎゅっとしてくれました。
 ひとりのおさんぽもすきですが、でもいちばんはこうしてごしゅじんといっしょがだいすきです。
 ごしゅじんもおなじでしょうか。ひとしきりすーすーしてから、ごしゅじんが「ん?」とふしぎそうにきょとんとしました。
「ハヤタさん、背中についたこのひっつき虫ってなんですか? まだ、散歩いってないですよね……?」
 ぼくをみつめごしゅじんのひとみに、ぼくはどうごまかそうか悩んでからヘソ天をすることにしました。

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