シナリオ

√EDEN守護√能力者捕獲作戦 提言リンドー・スミス

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「√EDEN……ここは素晴らしい。無限に等しいインビジブルに反して住民の対他√・対超常体制が殆ど0だ」
 だからこそ、他の√……√汎神解剖機関の|王権執行者《レガリアグレイド》が一人、連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』はこの√EDENを『利用』する。
「許せ、この√の住民よ。これも我が√におけるステイツ……連邦怪異収容局の為なのだ」
 彼は今、平均的なビジネスホテルの一室で使い捨てのスマートフォンを片手に『曰く付き心霊スポットを巡るツアーに行きませんか?』というトラベル企画をSNSで立ち上げている。
「やはり、数こそ少ないものの食いつき自体は良いな……『怪異等本当は存在しない』、其れがこの√のルールであるなら猶更か」
 皮肉気な微笑を浮かべ、リンドー・スミスはもう片方の手続きを済ませていく。
「ああ、私だ……対インビジブル収穫用兵器化怪異『シュレディンガーのねこ』とこちらでの『ポルターガイスト現象』を用いて、ツアーに釣られた観光客と……」
 ふと、そこで言葉を切り――
「他√の√能力者の確保。それを行う……例え、相手に読まれていようと√EDENの一般人をこちらが握っている以上、誰かは来る」
 今回の『他√所在√能力者収容作戦』を語るのであった。

「皆様、初めまして……人間災厄の一人ですが、同時にわたくしは星詠みでもあります」
 そう言って灰色の長い髪を持つ少女の姿をした怪異……アレクシア・ディマンシュ(ウタウタイの令嬢・h01070)は√EDENの一角にて集まった√能力者達に説明を行っていく。
「今回、√EDENに侵入した√汎神解剖機関の|王権執行者《レガリアグレイド》である連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』が√EDENの一般人……を囮として√EDENを守る√能力者を確保しようとする作戦が見られましたわ」
 √EDENを守る√能力者は、基本的に簒奪者の行動を予知したら行動に移す。
 その原則を逆手に取ったのが今回相手にする|王権執行者《レガリアグレイド》なのだ。
「リンドーは√汎神解剖機関のアメリカ……連邦怪異収容局におけるアメリカの『秘匿戦力』として強力な怪異を蒐集・支配・使役する特別なエージェント。今回、彼は皆様『√EDENを守る√能力者』を確保しようとして今回の作戦に移りましたわ」
 だが、ここでしっかりとリンドーを撃破すれば……リンドーも、連邦怪異収容局も計画を見直す事が期待できる。
 こういった通常時の|王権執行者《レガリアグレイド》との戦いは互いに決定打にならない一方で、その蓄積が決戦の時に左右する事も星詠みのゾディアック・チェインから示唆されている。
「だからこそ、皆様にはリンドーを華麗に撃退してもらいたいのですわ」
 美麗な笑みを浮かべ、アレクシアは次の説明に移る。

「今回リンドーが囮……わたくし達が保護する√EDENの一般人を誘い込む為に作ったのが『曰く付き心霊スポット巡礼ツアー』……そこで用意した怪異兵器を一般人に嗾ける体制を整えていますわね」
 これで仮に√EDENの√能力者が出てこなくても、虐殺によってインビジブルを回収できる以上それはそれでよし。
 √EDENを守る√能力者が出撃したらその用意した怪異兵器を√能力者にぶつけるのみだ。
「一般人を守る方向に皆様の傾向が傾いたら『ポルターガイスト現象』を、リンド―を撃破する準備を整える方向に傾いたら『シュレディンガーのねこ』をぶつける、と予知には出ていますわ」
 使わなかった方は、損失を考えて使った方を√能力者にぶつけている間に√汎神解剖機関に隔離し、その後リンドーは√能力者の前へと躍り出る。
「直接下し、確保するという事でしょう……仮にも|王権執行者《レガリアグレイド》、その力はすさまじいですが……決して撃破出来ない存在ではありません」
 そう言ってアレクシアはブリーフィングを締めくくると、懐から件の『ツアー』に参加する為のチケットを取り出し、その場にいる√能力者に配っていくのであった。

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第1章 冒険 『怪しい事件』


龍見・響也

「どんな企みがあろうと、例え俺自身が狙われることになろうと構わない――育った記憶がなくたって、√EDENは大切な俺の世界だ!」
 龍見・響也(煌めく箱庭のヒーロー・h00660)……√マスクド・ヒーローからの漂流者を名乗る博士のAnkarに助けられ、一命を取り留めた……らしい青年は、ジュエル・アクセプターとして宝石を片手に戦う事が出来る。
「ヒーローとして世界も人々も絶対に守り抜いてみせる!……その為にも」
 事件の発生した場所……この場合は心霊スポットへと到着し、情報収集を開始。
 人気のない所で取り出した護霊符を握りしめ、精神集中――降霊の技能を用い、この場所にある残留思念やインビジブルを感じ取っていく。
「いつも護霊……パンドラゴンに呼びかけるみたいに、意識の内側に招くようにして……」
 護霊の使い手でもある響也は自身のパンドラゴンに語り掛ける際のイメージを意識し、残留思念等を探っていく。
「……コイツは、リンドー……の、所属している組織の√能力者か?」
 やがて流れ込んできたのは、リンドーと同じ様な服装をした男女が心霊スポットにて下見を行っているらしき光景。
 そこから『連邦怪異収容局』……彼らの『√EDEN守護√能力者捕獲作戦』についての断片的な情報が、響也の脳裏に流れ込んでいく――
「……成程な、情報アドって奴か」
 笑みを浮かべ、すぐさま獲得した情報を用いて次の行動に移るジュエル・アクセプター。
 その前に、傍らにある『虚空』へと語り掛ける。
「ヒーロー活動への協力、ありがとな!!」

ヴェルディ・ダーカー

「どうしたものかな。話を聞いたのは縁だし一般人を助けたいものだけど、こちらも準備が整ってなくてね……まぁ、とりあえずチケットがあるなら突撃して見ようか!」
 次に舞台となる心霊スポットへとやってきたのはヴェルディ・ダーカー(笑う妖精王・h00086)……√|妖精庭園《フェアリーガーデン》なる√からやってきた妖精は、心霊スポットを観光する様に散策していく。
「何があるか分からないが肉壁になって一般人の時間稼ぎぐらいならオレでもできるだろう……いやぁ、どんな心霊スポットがあるかたのしみだなぁ」
 ヴェルディは所謂√EDENに住む世界難民である。
 とはいえ政府のお世話にはならず、勝手に√EDENのどこかに隠れ住んでる√能力者なのだ。
「その、埋め合わせというかね?……√汎神解剖機関からの、怪異相手には色々と思う所があるし」
 タイタニアは妖精種族において王の種族……但し、ヴェルディ曰く『まぁ、ほかの種族の妖精王もたくさんいるけど』との事。
「 タイタニアの中では底辺に近いオレだけど、√EDENに迷い込んだ妖精集団の中では唯一のタイタニアだからね。他の妖精の面倒を見てあげなくちゃあいけない」
 ある種のノブレス・オブリージュの意識を以て、ヴェルディは心霊スポットを探索。
 やがて、一般人を安全に避難できそうな経路を発見し確保するのであった。

メリィ・サン・オーヴァ

『もしもし? ワタシ、メリィさん。遺されたモノとうつろうモノに手当たり次第インタビューをするの。アナタとお話を繋いで悲劇にするのがワタシ。だから、ワタシは適任』

 ――そんな電話が、心霊スポットに蔓延るあらゆるインビジブルへと通達される。
 それはメリィ・サン・オーヴァ(怪異人形と発明王製霊界通信機の付喪神・h02533)……古い都市伝説「メリーさん」の怪異人形を解体、再構築された√能力者の『ゴーストトーク』。
 視界内のインビジブルを『生前の姿』に変える√能力であるが、メリィの場合は仄暗い黒い影を出しながら発動する。
 やがて『生前の姿』となったインビジブルは知性を取り戻し、最近3日以内の目撃内容について協力的かつ正確にメリィへと説明していく。
「これで|死者《インビジブル》から情報は引き出した……後は、生者の声」
 生きている√EDENの一般人に対しては突如現れる軍服の美少年が放つ咄嗟の一撃……それに近い色香で動揺させ、精神汚染。
 そこから生者から情報をメリィは引き出し……根こそぎ奪い取った情報を元に、彼女はリンドーの戦略に対して推理を進めていく。
「……社長、面白い建築現場になりそうでございます」
 やがて推理を終えると、メリィは愉快気な笑みを浮かべる。
 其れは正に――『怪異人形』に相応しい表情。
「あゝこれは皆を呼ばなければ……ここにもバベルを建てて滅茶苦茶にしよう」
 人間災厄「統一言語」が率いる集団によって織り成される彩模様……それを想起し、メリィは笑みを濃く、深くしていくのであった。

天翳・緋雨
杉崎・ひなの
杉崎・まなみ
トミー・ジョーンズ
赦蜘・九朗

「√能力者の確保……そんな事、させるわけにいかない」
 杉崎・ひなの(しがない鍛冶師・h00171)は固い決意を込め、√汎神解剖機関の|王権執行者《レガリアグレイド》であるリンドー・スミスの計画を阻止するべく、心霊スポットへと足を踏み入れる。
「……それはまなみの危険に繋がるかもしれないから」
 自身のAnkerである杉崎・まなみ(ひなののAnker・h00662)……√能力者としての不死の根源、という無粋な言葉で済ませられない大切な人の事を、ひなのは思う。
「ひなの……うぅ……何でそんな所に行くのよぉ……」
 一方で、まなみ自身はひなのと共に心霊スポットへとやってきていた。
 ひなのが営む鍛冶屋で事務や家事を行うまなみは√能力者ではない。
 だが、今回の案件は√能力者単独では危険……ひなのはそう考え、まなみ『達』と共にこの心霊スポットへとやってきたのだ。
「二人とも、大丈夫か?」
 ――「ここでは無い世界」からルートエデン世界に迷い込んだ流浪の少年、天翳・緋雨(天眼浪士・h00952)はそんなまなみとひなのに声をかける。
 特にまなみは√能力者ではない上に明確に怖がっていた為、緋雨は率先して世話を焼いていた。
「ま、いざという時はオレが守るからさ……そんな怖がらないでよ」
「は、ハイ……」
 そんな風にまなみを落ち着かせた後に、ひなのは緋雨に声をかけた。
「私はいいけどまなみが怖いの苦手で……来るの嫌がってたんです」
「なら、連れてこない方が良かったんじゃ?」
「それは……」
 と、そこでひなのはまなみに目線を……すぐ傍でひなのにしがみついている幼馴染を目にする。
「これなもので……」
 顔を赤らめながら、ひなのは言葉を返す。
 そこで四人目の声が上がる――遠くから。
「心霊スポットで人拐い~ってか?俺様の島を荒らすんなら仲間内でカチコミじゃーい!」
「待て待て待てアカンつーとるやろ!」
「……ん?あっクッソ放せやい、悪の美学がなんたるか奴らにーって聴けよぉぉ!」
「くっ、コイツ野放しにしたらアカン思って付いて来たら次は誘拐犯やん……まずい、コイツら何とかせんと収集つかんようなるかもしれへん!」
 トミー・ジョーンズ(着ぐるみ怪人・h01172)……とある組織から脱走した歌うが踊れないペンギンの着ぐるみ怪人が、赦蜘・九朗(トミー・ジョーンズのAnkerの苦労人・h01670)に組みつかれている。
 トミーが√能力者であり、九朗はトミーのAnkerだ。
 九朗は√能力者ではないのだが、警察官である為こういった√能力者関係の事件には介入しやすい立場にある。
「しかし子供には一生もののトラウマを与える事で愛や何やら――」
「だまらっしゃい!……まずは情報収集からや」
 スパコーン、とトミーの頭を九朗は叩き、まなみ達と合流する。
「キヒヒ、まなみは怖がりだなぁ」
「ひゃああああ!?」
「やめんかい! 遊んでへんでさっさと仕事しぃや!……ごめんなぁ、ひなのさん、まなみさん」
「……お気になさらず」
 今度はグーで頭頂部を殴る九朗。
 その一撃により、トミーは蹲ってしばらく頭部を押さえていた。
 その間に九朗とひなの達は今回の『捜索』について話を進めていく。
「……ケッしゃーねぇーなぁ、ちょっくら事件が発生した場所を探してみるわ」
「おう……?」
 やがてトミーが立ち上がると……√能力『ようこそ探偵事務所へ』を発動させる。
 調査に長けた√能力……九朗はAnkerである。
 Ankerではあるが、√能力者の事は認知している。
「何か面倒臭ぇの用意してるみてぇだし? 一つや二つ叩きゃ埃が出んだろんべぇ」
「ま、痕跡無くして辿らせる可能性を0にする事は√能力者相手には不可能やろうしな」
 まなみの意識をひなのと緋雨が逸らしている間に創り出された『探偵事務所』を使い、トミーは内部にある書籍等を調べ念話で報告させたり、好きな物を自身の手元に転送させる事で心霊スポット関連の調査を開始。
 やがてある程度以上のリンドー・スミスに関する情報が、トミーと九朗の元に集まっていく――
「フヒヒ♪……成功したら九朗、誉めろよ」
「……ハイハイ考えとくわー」
 最後のトミーの言葉に対し、心底嫌そうな顔をして九朗も独自の調査を始めていく。
「さて、管轄外言いたなるけど……ウチも警察官らしく現場百篇地道に足で調査や」
 √能力者ではない者は幸運である。
 √能力を持つ者達の壮絶なる戦いを認知せず、それに関わらずに済むのだから。
「まぁ、ウチは殆どその『幸福』の恩恵……無いけどな」
 √能力者の存在を認知し、|√EDEN《ここ》とは異なる|世界《√》を認知している。
 その意味で苦労はAnkerというよりも――
「はーしんど……いつか√能力者になったらアイツをブタ箱にぶちこんだる」
 そう決意し、九朗は『人』らしく足で情報を稼いでいく――

「うう……からかわれちゃったよ」
「そういう事もあるわ」
「……何でひなの、ちょっと顔が赤くなってるのよ」
 早く用事が終わるといいなって念じながら、心霊スポットで押し殺した悲鳴を上げていたまなみだが、ここでひなのの状態をようやく認知。
 そうしてひなのを追求するまなみだが……その一歩後ろで、緋雨は彼女らの護衛を行っていた。
「……いざという時は、踊れる余地はありそうだな」
 踊る様に戦う√能力『機人は舞う夢幻の如く』を持つ緋雨は、何かが起きた時に対してその発動準備を既に整えている。
 ひなのの方も、いつでも刀等の自分の能力を発揮する準備を整えている。
 その状態で、彼ら『抵抗者たち』はいつでも『向こう側』の動きに対応する準備を整えていた――

第2章 集団戦 『シュレディンガーのねこ』


長峰・モカ

 |長峰・モカ《ながみねもか》(人間(√汎神解剖機関)のどろんバケラー・h02774)は、今回の事件において途中参加したどろんバケラーだ。
 元々彼女は√汎神解剖機関の頭に「売れない」がつく女芸人だったが、何度かの解散を経て、ピン芸人としてコントをやり始めた頃にどろんバケラーとして開眼した√能力者だ。
「……まぁ、ネタが面白くなったわけじゃないんだけどね……」
 他にもゴーストトーカーとして、周囲の死者の霊と語らえるのだが……それが普通なので武器だとは思ってない。
 ともあれ、√汎神解剖機関の簒奪者『シュレディンガーのねこ』と相対するモカは√能力を紡いでいく。
「なん・でや・ねーん!」
 全力のツッコミで近接攻撃し、4倍のダメージを与える……それが√能力『|全力ツッコミ《フルスイングバックハンドアタック》』。
 生命力を増幅する√能力『猫は死ぬのか死なぬのか』によって『外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する』状態となった『シュレディンガーのねこ』も、数体が一撃で葬られた様だ。
「……いったーいッッ!」
 しかし、その代償として……モカは腕と手の甲の骨を骨折するのであった。

トミー・ジョーンズ
赦蜘・九朗
杉崎・まなみ
杉崎・ひなの
天翳・緋雨

「……きゃ……あ……っ……えっ……ね、猫……?」
 ――『シュレディンガーのねこ』。
 其れは猫であり、猫ではない『ねこ』だ。
 少なくとも杉崎・まなみ(ひなののAnker・h00662)にとって、完全にその姿は『怪異』と言わざるを得ない代物であった。
「何これ……心霊スポットって……こんなリアルなのが出てくるものなの?」
「まなみたちは早く逃げて!」
「居ると邪魔だ、弱ぇやつは下がってな……」
 そこにトミー・ジョーンズ(着ぐるみ怪人・h01172)と杉崎・ひなの(しがない鍛冶師・h00171)――√能力者達はそれぞれの√能力を展開して『シュレディンガーのねこ』を迎え撃つ。
「チッ……しゃぁ無しや、ここは任せるでペンタ!」
 まなみの保護は赦蜘・九朗(トミー・ジョーンズのAnkerの苦労人・h01670)が担い、警察官として他にも巻き込まれた一般人がいないか確認していく。
「流石に『怪人』VS『怪獣』の戦いに人間巻き込まれたらアカン……アウトや」
 √能力が無ければ√能力者に立ち向かえないかと言えば、ノーではある。
 しかし、√能力者が√能力者たる最大の理由こそ√能力……万能の力を使えるか否かは、非常に大きすぎるアドバンテージだ。
「他にも一般人が居ったら避難させなな」
「おい、其れって――」
「職権乱用? 知らんがな、人命第一や!」
 トミーの茶々にそう返した後、九朗はまなみを連れて撤退していく。
 ――その際、まなみはひなのに向かって叫ぶ。
「帰ったら、ちゃんと説明してよね!――約束だよ!」
「――うん、約束」
 すかさず12体の素体を出し、2体を九朗と共にまなみの避難の手伝いに向かわせて……ひなのはまなみを助けられる素体2体が少し羨ましいと思いながらも『シュレディンガーのねこ』との交戦を開始する。
「まなみを怖がらせた報いを、この手で……」
「ダァーハッハァ!てめぇの弱点、見破ったり!」
 と、最初に『シュレディンガーのねこ』へと仕掛けようとしたのはトミー。
 √能力『無限の猫爪』……その特性を着ぐるみ怪人は見抜く。
「えーとぉ、敵に攻撃されてから3秒以内に『猫の爪』による『反撃』を命中させる……と」
「……其れって、つまり……」
「つまり、俺様が攻撃しなきゃ不発って事よ!」
 その言葉に『シュレディンガーのねこ』は忌々しそうな鳴き声を上げるが……直ぐに対象をひなのへと変える。
「――『アルティメットダンス』」
 繰り出されるは『12体の素体に魔力』へのチャージ。
 其れは60秒の時間をかける必要があるが……
「うん。九朗さんとまなみさん、ちゃんと距離を取ってくれてるね。3人いるなら避難を助けつつ猫の群れへの対処できそうだ」
 そう言って最後に現れたのは、九朗とまなみが戦場から離脱できるか見届けてから戻ってきた|天翳・緋雨《あまかげり・ひさめ》(天眼浪士・h00952)。
「まあ、勝負は10分以内ってコトだよね?――ひなのさんは攻撃的に、トミーさんには秘策アリってスタンスみたいだね。オレは遊撃を担おう」
 額に象嵌された、機械仕掛けの瞳……心眼義体サイボーグである緋雨はサードアイの機能を解放し、リミッターを解除――√能力を発現させる。
「さあ、舞うとしようか? 踊り疲れるまで――『機人は舞う夢幻の如く』!」
 生命力を増幅させた『ねこ』の群れに対し、近距離転移からの残像を纏った身体部位による反撃を叩き込む事で舞う様に戦場を縦横無尽に駆けていく緋雨。
 それはひなのの√能力に対する時間稼ぎ……やがて、ひなのがチャージを開始してから60秒が経過する。
「待ってて……すぐ終わらせるから……!」
 懸念はあった――まなみ達を守る為に本来『アルティメットダンス』は『12体の素体』に魔力をチャージする必要がある√能力。
 本来の運用より二枚少ない状態で『アルティメットダンス』を発動したらどうなるか……それが、懸念ではあったが。
「でも、切り刻んで見せます!」
 瞬間、10枚の素体がチャージした魔力の分だけ空を奔る――九朗とまなみの逃走経路に向かう『ねこ』は必ずシャットアウトする様。
 素体はその様な行動を取る『ねこ』を最優先に殲滅していく!
「そこに近距離転移からのカウンターを当てていこう――リズムに乗ったオレは容易く倒せないぜ……!?」
「そんでもって、残るは『10分以内で全回復』ぅ?――させねぇよ」
 最後に、トミーが√能力を発動する……その名は。
「ヒッヒッ……『怪人大作戦』を発動だぁ!」
 ――『ねこ』の群れが、もだえ苦しみ始める。
 どれだけの『異形』であろうとも、奴らは『ねこ』であるが故に――
「こんな事も有ろうかと、猫の嫌いな臭いナンバー1のスッぺぇパウダーin錆爆弾……それを喰らいな!」
 これにより『シュレディンガーのねこ』の全回復は阻止。
 その間にひなのと緋雨は残った『ねこ』を殲滅していく――

「一般人がドンパチやっとる所に行かんように、『不審者が出たとの通報が』とか『建物の倒壊する危険が』だの『アスベストが舞っている疑いが』つって寄り付かんようにすんで」
「わ、分かりました……」
 戦場から離脱していった九朗とまなみも、それぞれ出来る事を行っていく。
「私にも出来る事をしなきゃ……!」
「ありがとなーまなみさん……さぶ、はぁ……帰ったら今日はブリ大根にすっか」
 そうして、戦場となった心霊スポットは封鎖され……その間に、√能力者達の手によって『シュレディンガーのねこ』は殲滅。
 これにより√汎神解剖機関の|王権執行者《レガリアグレイド》である連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』を戦場に引きずり出す事に成功するのであった――

ヴェルディ・ダーカー

「さてと、いつの間にか戦場だ。周りに一般人は居るかな?――まぁ、どっちでも仕方ない。みんな耳をふさげー!」
 妖精魔法によって急成長・変異する植物……それを用いた通常攻撃を2回攻撃かつ範囲攻撃にする√能力『|妖精の植物《フェーアプラント》』による音響攻撃――マンドラゴラに近い植物へと変異した植物が、同じ様に鳴き声で攻撃する『シュレディンガーのねこ』の√能力『シュレディンガーの鳴き声』を相殺していく。
 それはヴェルディ・ダーカー(笑う妖精王・h00086)によるもの。
 彼は『シュレディンガーのねこ』の生き残りを処理するべく、ひなの達とは別行動をしていたのだ。
「鳴き声には鳴き声を――猫達が叫び声に動揺してる間に」
 ヴェルディは植物を鞭に近い状態に変異させながら接近……『|妖精の植物《フェーアプラント》』による2回攻撃化による二回目の攻撃を仕掛ける。
 マンドラゴラの叫びを聞いた『シュレディンガーのねこ』であるが、生存本能に従い再び『シュレディンガーの鳴き声』を発動させようとするが――
「おしまい!」
 生き残った『ねこ』総ての喉笛を、鞭のように……しかし鋭利に変異させた植物の蔓が描き切った。
 それにより『シュレディンガーのねこ』は全滅……その報告をするべく、ヴェルディは植物を連れてその場を去るのであった。

第3章 ボス戦 『連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』』


「……ここまでとはな」
 そう言って√能力者達の前に現れたのは、眼帯を着用した白人男性。
 名を『リンドー・スミス』……連邦怪異収容局に所属する√能力者であり、|王権執行者《レガリアグレイド》だ。
「しかし、尚の事放置は出来ない……現在、√EDENに合流した汎神解剖機関に所属する√能力者は、アメリカではなく日本を中心として活動している」
 だからこそ、ここで食い止めると言わんばかりに。
「ステイツに上陸される前に、少しでもその戦力を減らし、確保する」
 其れが自身の正義だと、リンドー・スミスは融合した怪異を具現化させて√能力者達に宣言するのであった――
トミー・ジョーンズ
杉崎・ひなの
天翳・緋雨

「ふぃ~、一丁上がりぃ……九朗どもは逃げれたっぽいな、お人好しが何かしてらぁ……つか、ペンタじゃねぇトミー様だ!」
 ほぼ見ていたトミー・ジョーンズ(着ぐるみ怪人・h01172)だが、すぐさま登場した|王権執行者《レガリアグレイド》の一人『連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』』の気配を察知し、視線をそちらへと向ける。
「ケッ出やがったか、眼帯野郎ぉ!――レガリアだかレアガーリックだか知らんが日本は俺様の島だぜ、ココで暴れる権利は俺様のもんだ、とっとと失せな!」
「君のものではないだろう……君自身の自由も、この島国の支配権も、全てはステイツに帰属する事が望ましい」
 傲岸にリンドーが述べると同時、彼の√能力『武装化攻性怪異』が発動――『肉体融合武装と化した怪異』を用いて、連邦怪異収容局員は範囲攻撃を二回トミーに繰り出していく。
「――『キョダイカーン』!」
 しかしトミーに肉体融合武装がヒットする直前、怪人お決まりの空けると巨大化する煙入り缶が作動。
 着ぐるみ怪人として身に宿す《怪人細胞》を活性化してドーピング巨大化……これは√能力に依存している以上、爆発的にトミーのスペックが跳ね上がるわけではない。
 だが――それでも『トミーの肉体が大きくなった』という現象は事実として世界に、√能力程ではないが刻まれるのだ。
「成程、巨大化……シンプル故に、最も警戒される怪異の特性の一つだ」
「……その見た目と物々しい言い分で……随分と可愛い作戦を思いつくのね」
 そこに杉崎・ひなの(しがない鍛冶師・h00171)が素体を構えてトミーに助太刀。
「心霊スポット巡礼ツアーという企画を考えるなんて、もっと日本人な人だと思ってたわ」
「逆さ……日本人を理解するからこそ、今回の作戦を立案した訳さ」
 ひなのには√能力『怪異制御術式解放』……肉体と融合した怪異の蟲翅を増殖させ、ひなのを捕えるべく『怪異制御術式解放』をリンドーは操作していく。
「怪異だけに飽き足らず、私たち√能力者と、目覚めるかもしれない一般人を確保……なんて、絶対させない。それは、まなみに危険が及ぶから」
「潜在的に目覚めるというなら、目星や粉をかける位は良いというものだ」
 ひなのも√能力『ダンシング・ソード』を励起。
 12体の素体を刀とし、魔力を注ぎながら三人目の√能力者相手に声をかける。
「お願いします!」
「ああ――トミーさんは巨大化、ひなのさんは真っ向勝負……壁役と攻撃手がいるなら、やはりオレは遊撃だろうね」
 |天翳・緋雨《あまかげり・ひさめ》(天眼浪士・h00952)は踊る様に√能力『分身は誘う夢幻の狩場へ』を起動。
 数多の『近距離転移で襲い掛かる緋雨の影分身』が、使用者の半分の強さを獲得してリンドーに襲い掛かっていく。
「――『トランパー・オブ・モンスターズ』!」
 対してリンドーは怪異の群れを解き放ち指揮する√能力で対抗。
 影分身を一掃しようとするが――
「此処には随分インビジブルが豊富にあるね?――それは貴方を利するだけではない。それを示そうか。」
 額の義眼もフル稼働し、リンドー・スミスを仕留めに行く緋雨。
 リンドーの√能力で一掃されない様に各分身と距離を保ちつつ……各々がタイミングをずらし、魔弾の近距離射撃を見舞っていく。
「近距離転移を絡めての奇襲を全員で、ね――リンドーさん、怪異が煤けていくぜ?……なんてね」
「……『武装化攻性怪異』!――怪異制御術式解放』!」
 緋雨の指摘に対し、二つの√能力を同時に起動させる事でリンドーは状況を打開しようとしたが……
「緋雨さんが撃つ銃の両外側に4体ずつ……刀に戻した素体を回り込ませたのよ!」
 瞬間、増殖した怪異の部位が素体により切断。
 これにより取り回しが効かなくなった所へ……敢えてリンドーは虚を突くべくまなみへと攻撃を仕掛けて――
「――『|着ぐるみ怪人の∞天元突破!!《ソコヂカラ》』!……俺様のポテンシャルは∞だぜぇぇぇ!!」
 間に割り込むのは、トミー。
 着ぐるみ怪人は自身の底力を覚醒させ、耐久を極振りにし……緋雨とひなのをリンドーの攻撃から守っていく。
 緋雨が言った通り、トミーの役割とは壁……防御役だ。
「ありがとうございます!」
「気にすんな!……ボスとしての務めだ!」
 そう言ってトミーは懐からマイクを取り出し……着ぐるみ怪人の受けによってノックバックを喰らって無防備な体勢を取っているリンドーの脳天へと振り下ろす!
「俺様流悪の美学、正々堂々得物は使わない…鈍器だっ!――ふんぬっ」
 ガスン、と同時に瑞々しい音が鳴り響き、リンドー・スミスは頭から血を流しながら膝を地に着かせる。
 その様子を見た三人の√能力者は、追い詰めるべく再び連携を取り始める。
「終わったら、みんなでご飯食べに行きたいな……」
「あ、ゴハン?いいねえ。お付き合いしますよ~!」
「おー、飯食う! 九朗家に集りに行こうぜ!……ブリ大根が食える気がするからよ!」
 ひなのが緋雨の動きに合わせた所からリンドーへの一撃を狙い……それを命中させながら、彼らはこの戦いが終わった後の晩餐を考えて語り合いながら戦っていくのであった――

アノマニス・ネームレス
メリィ・サン・オーヴァ
弔焼月・滅美
銘楼院・くしゃら

「ステイツだかなんだか知りマセンガ────|アメリカ野郎《ヤンキー》の野望も正義も、我輩には知ったこっちゃあありマセンネェ────!!!」
 瞬間、|アノマニス・ネームレス《名もなき放浪者》(塔の魔女・h00202)は奇襲気味に横合いから√能力をリンドー・スミスに叩き付ける。
 その異能の名は『|γεωμετρία βόμβα《ゲマトリアヴォンヴァ》』――自身の所持する時限爆弾を、視界内の対象1体……リンドー・スミスにのみダメージを2倍にした上で状態異常『ゲシュタルト完全崩壊』を付与する『|数秘術爆弾《ゲマトリアヴォンヴァ》』に変質させる√能力だ。
「アメリカはテロに屈しないんデシタッケ?――それならそれで構いマセン……自我崩壊するまで爆破してやりマスヨ!」
「クッ……」
 相手の精神を丸ごと吹き飛ばす爆風を喰らい、思考能力が極限まで低下したリンドー。
 そこに、他の『バベル建設』のメンバーである√能力者が加勢する――
「もしもし? ワタシ、メリィさん。もう、アナタの後ろに|存在《い》るの」
 情報収集を率先し、メリィ・サン・オーヴァ(怪異人形と発明王製霊界通信機の付喪神・h02533)は情動を抑えながら待っていた――姿を表した、つまり『|因果流転終焉確定着信音《アア・デンワヲ・トッタノネ》』……鳴り止まない着信音と共に、メリィはリンドーへの攻撃を仕掛けている。
 その光景とは……受話器を持った美少年の姿からは思えぬ呪いの圧。
 それと共に艶めいた美脚からの蹴り……それらをリンドー・スミスに繰り出しながらメリィは最前線で声を張り上げている。
「もしもし、ワタシ、メリィさん! 今、|交戦開始《パーティタイム》よ! バベルの柱にコイツを埋めましょう、生きたままね!」
「……社長も副社長も張り切ってんなぁ……おー、怖い怖い……」
「バベル建設の方も、他のお方も! 早いもの勝ちでございます!」
 |弔焼月・滅美《ちょうしょうげつ・ほろび》(永眠する大君主・h01382)は鬼気迫る表情で連邦怪異収容局員を『建材』にしていく『バベル建設』の社長と副社長を見据え、嘆息を漏らす。
 しかし、女性的な顔立ちと女性名を持つ傭兵……人間災厄「大君主ミゼーア」である彼は『仕事は仕事』として割り切っていく。
「まあ何はともあれ……ここは現場だ…招かれざる客はお呼びじゃないんだ、とっとと退場してもらおうか……」
 突き出した右掌と同時に、そこに触れたリンドー・スミスの√能力が一斉に消滅する。
 √能力の無効化……即ち――『自身の右掌で触れた√能力を無効化する』能力とは……
「首を垂れよ、君主の御前だ……」
 故に、滅美はその詠唱を唱える。
 ――『|葬牙:猟王滅刻《ソウガ・ティンダロス・バイト》』……右腕から腐敗臭の漂う黒い粘液が吹き出し、それが徐々に巨大な猟犬の顎を形作り、鋭い牙を携えた顎がリンドー・スミスの身体を容赦なく噛み砕く。
「おーおー……収容局の犬にしては随分と骨がいい音を出すじゃないか……」
「舐めるな……!」
 必死に√能力『武装化攻性怪異』を駆動させ、自身の肉体と融合した怪異を用いて『顎』から逃れていくリンドー・スミス。
 しかしそこに|銘楼院《めいろういん》・くしゃら(くしゃくしゃのくしゃら・h01671)が登場し、リンドーの退路を塞ぎ――
「なんかノリで来た」
「……ふざけているのか?」
「まあほら社長とかもめっちゃやる気だし、ね」
 リンドーの問いに対し、答えの言の葉と共にくしゃらは√能力の起動に移る。
 その間までの攻撃はインビジブルを制御し、それらを活用して迫り来る怪異の肉体を避けながらくしゃらは精神を統一していく。
「――くしゃがお話をするよ」
 ――深く堕ちていく。冷たく、深い海の底……鉛のように手足は動かず、体の熱は怪異の衣とともに消えていく。
 そんな言葉がくしゃらの口から紡がれると同時、リンドーの√能力は機能不全を起こし始める。
「底なし、底なし、堕ちていく。熱も意識も堕ちていく。屍となるまで堕ちていく――」
「……ク、が……」
「はい、これくしゃの√能力『|九沙伽藍《クシャガラン》』ね。心臓止まるほど安らいだっしょ」
 そのカラクリは……自作の噺『久沙伽藍』――アドリブありの物語を語り、自身周辺を『その語りの内容』を反映した『くしゃらが思い描く空間』に変えていく√能力。
 それにより、リンドーの肉体は極限まで不活性化していったのだ。
「……生憎、俺はお前たちには怨みしか持ち合わせていないんだ……嗚呼、だからよ……さっさと永眠しろ……お前が『汚染される』前に……俺が『目を覚ます』前に……」
 動きを止めた連邦怪異収容局員に対し、滅美は変異した右手を構える。
 その様は、まるで処刑斧を構えた処刑執行人。
 ――最も、滅美の『人間災厄』を考えれば……
「収容局の|アメリカ野郎《ヤンキー》共が出てくるまで、張ってた甲斐がありマシタ……情報収集頼んだ相棒のメリィには感謝しかありマセンネェ」
「恐縮でございます」
 そこに『|数秘術爆弾《ゲマトリアヴォンヴァ》』を手にした|アノマニス・ネームレス《名もなき放浪者》が合流。
 滅美と共に、動きを止めたリンドーへとトドメを刺すべく√能力を駆動させ――
「さぁさぁ、ここはバベルの塔建設地デス、邪魔者は全部吹き飛ばしてしまいマショウカ!」
「俺が眠りにつく前に始めよう……」
 瞬間、精神を吹き飛ばす爆弾と腐敗を司る猟犬の顎が――破壊の限りを尽くした。

ヴェルディ・ダーカー

「キミ……険しい顔をしているね。せっかくの良い顔が台無しじゃないか――ほら笑って、スマイルスマイル」
 最後に、息も絶え絶えのリンドー・スミスの元へとやってきたのはヴェルディ・ダーカー(笑う妖精王・h00086)。
 ヴェルディは笑みを浮かべ、リンドー・スミスに語り掛けていく。
「オレだってなんの意味もなくキミたちと敵対したい訳じゃない」
「なら、降伏したまえ……と言えば、従うのか?」
「――ただ、この世界にはお世話になってるからね。キミたちが√EDENに損害しか与えない三流の|悪戯妖精《ゴブリン》みたいな行為をする限り……止めてあげなくちゃあいけない」
 指を鳴らし、√能力を発動させるヴェルディ。
 その名は『ハエトリグサドラゴン』……自身の所持するハエトリグサを、視界内の対象1体……リンドー・スミスにのみダメージ2倍にして算出し、状態異常として拘束し消化するデバフを付与する『ハエトリグサドラゴン』に変身させる√能力だ。
「ドラゴンのパワーは雑に強いぞぉ」
 その言葉通り、怪異の群れから飛び出す隙を狙いハエトリグサドラゴンをリンドーへ攻撃させるヴェルディ。
 ドラゴンとなったハエトリグサは、リンドー・スミスの√能力『トランパー・オブ・モンスターズ』によって生み出された怪異の群れを飲み込んでいき……そのまま消化していく。
「そして、このハエトリグサドラゴンは魔法で成長・変異させた植物を組み合わせて作った物だからね――だいぶ大きいし中に隠れる事も出来る」
 言葉通りにハエトリグサドラゴンの中に隠れ、ヴェルディは連撃として√能力『ルートブレイカー』を発動させていく。
 デカイドラゴン……ハエトリグサドラゴンに気を取られた隙に接近し、ルートブレイカーを発揮させた右掌を用いて怪異にタッチする事で、残った怪異を群生し肉体に融合させるリンドー・スミスの√能力を無効化することに成功する。
「一瞬でも√能力が消えたら、隙はさらに大きくなるでしょ」
「ここまで……とは、な」
「言ったでしょ――キミたちが√EDENに損害しか与えない三流の|悪戯妖精《ゴブリン》みたいな行為をする限り」
 止めなくちゃならない、と。
 その言葉と同時、ヴェルディのハエトリグサドラゴンが動き出し……無防備な√汎神解剖機関の|王権執行者《レガリアグレイド》、『連邦怪異収容局員『リンドー・スミス』』を丸吞みしていく――
「……ま、それっぽい事言ってみたけど、オレもイタズラ好きの妖精だからね。キミが驚く顔が見たいのさ」
 そんな風に肩を竦めた後、ヴェルディは人知れず心霊スポットから去っていくのであった。

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