温泉旅館、危機一髪!?
長閑な山奥にある温泉旅館。
その近くで、なんとヤバいことが起きようとしていた。
「ぎゃははは! 楽しいなぁ、楽しいなぁ小魚共。どうした? 楽しいときは笑うもんだぜ」
そう愉快そうに笑うのは、この兵士達を率いるダイビング・シャーキラーだ。
「旦那様ー! 私達は、ここにいる人達を|殲滅《おそうじ》しに来たんですの~。楽しいではなく、任務を優先としますのですの~」
ダイビング・シャーキラーを旦那様呼びするのは、メイド姿のロボット、お掃除ロボット『DSN205型0番台』だ。
「へいへい。さっさと近くの村かなんかをツブして、資源を手に入れたら、さっさと戻るぜ。いいな?」
「はいなのですの~」
彼らが狙う場所、それが……一番先に見つけた、件の温泉旅館、だった。
「みんな、来てくれてありがとう。さっそくだけど、温泉旅館で旅行……じゃなくて、そこに現れる戦闘機械群をぶっ倒してもらえないかな?」
そう告げるのは、アクシア・メロディールーン(はつらつ元気印なルーンソリッド・アクセプター・h01618)である。
「まずは、現れるお掃除ロボット『DSN205型0番台』をぶっ倒してください。ただ、ここで油断させると、ダイビング・シャーキラーは立て続けに、弱めな敵を……新たな大軍をけしかけるようです。まあ、その前にお掃除ロボット達を完膚なきまで倒しちゃったら、ダイビング・シャーキラーは、仕方ないと自身が前に出て来るようです。その場合は、ちょっと手ごわい相手となりますね」
どちらにせよ、一長一短である。大軍相手に立て続けに戦いたいのであれば、最初の敵でボロボロになった振りをすればいい。そうでなければ、全力でさくっと倒せば、ボスが前に出てくるだろう。
「戦い終わった後は、温泉旅館で旅行気分を味わってきたら、いかがですか? きっと汗もかいているでしょうし」
そういって、旅行チケットを渡してくれる。
「一泊、二食付きプランのチケットがなぜか、ここに人数分、あるんですよね。よかったら、いかがですか? 戦闘機械群を倒すついでに」
そういって、にまにまとアクシアは、皆の前でチケットをひらひら見せるのであった。
第1章 集団戦 『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』
「さてと、皆さーん、|殲滅《おそうじ》の時間ですの~!!」
お掃除ロボット『DSN205型0番台』達が楽しげに、武器を持って、山から下りてくる。
この人気のない山で食い止めれば、被害はなく済むだろう。
問題は、このロボットをどう倒すべきか、だ。
「そんなに強い奴はいねえはずだ。さっさとツブして来いよ!」
後方で控えるダイビング・シャーキラーがそう、楽しげにメイドロボット達を見送る。
さくっと倒せば、それに焦ったダイビング・シャーキラーが攻めてくるだろう。
だが、彼を油断させるように、やられた振りや苦戦する様子を見せれば、畳みかけるように次の部隊を呼び寄せる。その場合は、さほど苦労せず、短時間で済ませることが可能かもしれない。
そちらにせよ、一長一短。どちらと戦うかは、√能力者達次第。
●マスターより
1章の行動により、2章で戦う相手が変わります。
(1)やられた振りや苦戦している振りをする。
この場合は、ダイビング・シャーキラーは表に出ず、「集団敵」を放ってきます。
その場合、戦いは苦戦することはないですが、ダイビング・シャーキラーとは戦うことなく、終了します。
(2)普段通り、もしくは全力で、短時間でメイド達を倒す。
この場合は、仕方ないとダイビング・シャーキラーと戦うこととなります。それ以上の雑魚敵は現れず、ここにいる全ての敵を始末することが出来ます。
その場合、相手は強力なボスとの戦いとなりますので、ご注意ください。
皆さんには、上記の内、どれか一つを選んで進めていただきます。万が一、相反する作戦が届いた場合は、内容を見て優れた方を採用させていただき、もう片方は、お返しすることとなります。必要に応じて、こちらの掲示板等で打ち合わせの上、ご参加ください。
皆様の参加、お待ちしています!
ひらりと、お掃除ロボット『DSN205型0番台』の前に立ちはだかるのは、長い黒髪を一つにまとめた青年。
「おやおや、ゴミがここまで来てくれたんですの~」
楽しげに剣を持って、お掃除ロボットらは、さっそく目の前の敵を……。
「お掃除されるのは、お前達だよ」
素早くスナイパーライフルを構え、撃ち込むのは、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)だ。
何やら、かなり意欲的に感じるのはきっと……。
(「温泉旅行を存分に楽しむために、頑張って戦うとしよう」)
彼の懐には、燦燦と輝く(?)温泉旅行の|クーポン《タダ券》が収められている。そのために、クラウスはしっかり、目の前のお掃除ロボット達を始末していく。
「できるなら、敵を全員片付けて、周囲の安全を確保したいところだな」
とはいっても、一人でこのお掃除ロボットを捌ききるには、少々ハードではある。
できれば、他の仲間が来てくれると助かるのだが。クラウスは、そんな中でも銃を構え、冷静に狙いを定める。
「なら、速攻撃破、か……」
クラウスは素早く演算し、バックアップ素体達を一番多く巻き込める位置を割り出すことに成功。そこへ、雷の力を帯びた強烈な弾丸を、|紫電の弾丸《シデンノダンガン》を放った。
「い、いやあああああっ!!!」
そのまま、ファミリアセントリーと拳銃で制圧射撃を行い、次々とお掃除ロボット達を仕留めていく。
「!!」
接近された際には、ハッキングで適当な信号を飛ばして混乱させ、拳銃から電磁ブレードへと持ち替える。
「やらせるかっ!!」
そのまま、一気にお掃除ロボットの内部回路を焼き切るように切り裂き、仕留めるのであった。
●マスターより
現時点、1名様の採用により、まだどちらでも対応可能です。
オーソドックスな展開は、ボスとの戦いかなと思いますが、皆さんの戦いぶりを見ながら、判定していきたいと思います。
引き続き、バトルをどうぞ、よろしくお願いします!
「は~い、早く行きますよぉ~、しっかり|殲滅《おそうじ》しないとぉ~旦那様に怒られてしまいますぅ~」
明るい声で次々とやってくるお掃除ロボット『DSN205型0番台』の前に、新たな人影が立ちはだかる。
「いいえ、お掃除されるのはあなたたちのほうです」
「ちょっと、それぇ~困るんですけどぉ~」
お掃除ロボット達の言葉を無視して、エレノール・ムーンレイカー(怯懦の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h05517)は、その冷静さを崩さず、こう続ける。
「お掃除と称して、人間たちの殲滅を図ろうとする存在なんて、危険以外の何物でもないですからね」
「残念ですけどぉ~それ、無理ですから~」
まだ不平不満を述べ続けるお掃除ロボットに、エレノールは眉根を顰める。
(「どうせならば、強力だとは言え、敵の指揮官もこの際、倒しておいた方が、後々を考えてもいいような気がします」)
表に出さずに心の中で、そうエレノールは告げると、速攻で対峙すべく、動き出す。
「大いなる精霊たちよ、今こそ力を貸して下さい!」
地水火風の4大精霊の力を纏って、自身を強化したエレノールは、使えるようになったフォース・ブレイドを手にお掃除ロボット達へと突っ込んでいく。それが、エレノールの|精霊憑依《ポゼッション》である。
「メイドフォーメーションパターンZですの!」
お掃除ロボット達は、咄嗟にバックアップ素体たちを放ち、攻撃を仕掛けつつ、エレノールの進撃を阻止しようとするが。
「遅いです!」
そんな軟な銃撃では、エレノールのつけていた防護のアミュレットの効果や、自身が展開したエネルギーバリアで無効化されてしまった。
「速攻で消えてもらいます!!」
その言葉通り、エレノールの傍にいたお掃除ロボット達はあっという間に、エレノールの威力あるフォース・ブレイドの一撃でもって、次々と葬られていったのである。
と、お掃除ロボットとそれに対峙する√能力者達。そんな中、様子を窺いながら、近づく三人の姿が見えた。
「……おんせん……ほづみと、しのが……大きいおふろって、言ってた、けど……?」
ふわりと白髪を揺らしながら、小柄なアルマ・ノイマン(L96A1の|少女人形《レプリノイド》・h01393)は、こてんと首を傾げる。
ちなみに、アルマの知っているお風呂とは、実は消毒槽の事なのだが……まあ、今は気にしなくてもいいだろう。
「お風呂はこの戦いが終わってから、ですよ。皆と一緒に温泉楽しみたいし、確実に倒していきましょうね」
そうお姉さんな発言をするのは、|東雲《しののめ》・|信乃《しの》(東部研究所所属研究員・h06187)。黒髪をそっと耳にかけて、敵を見据える。
「ん。とりあえず、安全確保、だいじ。機械兵、を、破壊、する」
そんなアルマの言葉に信乃は微笑む。そう、この戦いが終われば、楽しい温泉旅行が待っているのだ。
「そろそろ仕掛ける。準備はいいな?」
最後に声を掛けたのは、この場で唯一の男である|六道《りくどう》・穂積《ほづみ》(第六研究所の研究成果・h03934)だ。FALを手に敵を見据える。
「ええ」
「ん」
それぞれが頷き合い、彼らの戦いが今、始まる。
さっそく、飛び込んでいったのは最年少のアルマだ。
「|破壊《デストロイ》」
そのまま小型拳銃のデリンジャーで、お掃除ロボット達を討ち貫いて先制すると、そのまま闇に紛れて、敵からの攻撃を最小に抑えていく。
「どこどこ!! さっきの迷惑なお子ちゃまはぁ~!!」
お掃除ロボット達は、姿を消したアルマに必死なようだ。
その間に、次は信乃が仕掛けようとしている。
「……倒すとは言っても、私音楽しかできないしな……どうしようかな」
そうだと思い出し信乃は、戦闘でも使用可能な東雲製Weapon modelのヴァイオリンのViolin S.S.modelを取り出し、超音波攻撃でアルマを援護していく。それでも足りないときは、レイン砲台を展開し、決戦気象兵器「レイン」でもって、敵の攻撃を散らしていく。
その戦場を最も把握しているのは、穂積だ。お掃除ロボット達に場所を悟られないよう、素早く動いて、アルマと信乃を狙うお掃除ロボット達を陰で数を減らしている。
「これで4体目」
マルチクラフトボックスを使って、お掃除ロボットの背後に付くと素早く解体して見せる。
「ぎゃっ……!!」
バラバラと解体され、お掃除ロボットはもう、動かぬガラクタへと変わった。それが、穂積のクラフト・アンド・デストロイである。
三人は息の合った連携を見せ、短期間であれだけいたお掃除ロボット達をあっという間に倒していった。
「……これで、最後!」
「お疲れ様、アルマ」
最後のお掃除ロボットを倒し、アルマと信乃は嬉しそうに手を叩く。
「最後まで気を緩めるな、次が来るぞ」
他に敵がいないか確認しながら、穂積が声を掛ける。
「少しくらいアルマを労ってもいいんじゃないの、穂積」
険悪なムードになりかけたのを。
「けんかは、めー! 仲良く、だいじ」
二人の手を取って、アルマが言う。
「……悪かったな」
「私の方こそ、その、ごめんなさい」
二人が頭を下げているのを見て、アルマはそれでよしと可愛らしいドヤ顔を見せて。
彼らもまた、お掃除ロボット達を無事、殲滅させたのであった。
第2章 ボス戦 『ダイビング・シャーキラー』
「全く、使えねぇお掃除ロボットだな。やっぱ、旧型じゃあ、止められないか」
予想外予想外と頭を掻きながら、姿を現したのは、お掃除ロボット達を指揮していたダイビング・シャーキラーだ。
「お前ら、もしかして、√能力者ってやつか? まあ、どっちにせよ、お前達を倒して、資源を奪わなきゃなんねぇ。邪魔だから、とっとと消えてくんねぇか? あ、無理か」
そういって、独り言のようにダイビング・シャーキラーは続けると。
「じゃあ、さっさとくたばれ、邪魔なんだよ!!」
さっそく身構えて、√能力者達を蹂躙しようと攻撃してきたのだった。
●マスターより
皆さんの行動により、ボスをおびき出すことが出来ました!
油断するとやられますので、ご注意くださいね。
ガッツリ、こいつも倒して、楽しい温泉旅行に行きましょう。
皆さんの熱いプレイング、お待ちしています!!
「おっと、敵の指揮官が出てきましたね。さすがに今までのよりかは強そうですが……。こちらとしてもさっさと宿でゆっくりしたいので、速攻させてもらいます!」
さっそく、|精霊憑依《ポゼッション》を発動させ、地水火風の4大精霊の力を纏っていくのは、エレノールだ。そのハイスピードで、ダイビング・シャーキラーとの距離を詰めていく。
「ふん、そんな攻撃で俺を倒せ……なっ!?」
ならばとダイビング・シャーキラーがハザード・スプラッシュ・キャノンで反撃しようとしたのだが、なんと、エレノールは精霊憑依だけでなく、更に複数のエレノールが映し出されるように幻影を生み出して見せたのだ。
「クソ、嫌なことをしてくれるっ!! ぐあっ!!」
エレノールの攻撃を受けつつも、ダイビング・シャーキラーはハザード・スプラッシュ・キャノンをエレノールへと放つが、幻影に当たったらしく、当てたはずのエレノールは消えてしまった。
「ハズレかよっ!!」
ダイビング・シャーキラーは、怒りながら腕を爪を振るう。
「邪魔をするために来ているからね、当然だよ」
そんなダイビング・シャーキラーに、クールに指摘するのは、クラウスである。
「誘き寄せられてくれて安心したよ」
小さく呟いて、クラウスも飛び出す。
「小魚共がっ!!」
クラウスに気づいたダイビング・シャーキラーが、キャノンから爆雷散布による牽制を仕掛けて来る。
(「こいつを倒して、周囲の安全を確実にしたいところだね」)
心の中で現時点の状況を喜びながら、クラウスはハッキングで適当な信号を飛ばしていく。
「そんなハシた攻撃でやれる、俺様じゃねーぜっ!!!」
先ほどの牽制は連撃の始まりだ。次に攻撃するのは、シャークトゥース・クローである。それをクラウスはセラミックシールドを展開させ受け止める。
と、そこにまた幻影を纏わせたエレノールが飛び込んでくる。
「くっ、今度こそっ!!」
ダイビング・シャーキラーがもう一度、ハザード・スプラッシュ・キャノンをぶっ放そうとするのを。
「今だっ!!」
クラウスが右手を突き出し、それを無効化して見せる。そう、クラウスのルートブレイカーだ。
「なっ!! 俺のキャノンがっ!!」
「よそ見をしていると、また喰らいますよ!」
威力の上がったフォース・ブレイドで、エレノールが斬りかかる。
「ぐああああっ!!」
その強烈な一撃を受けて、ダイビング・シャーキラーが後退していく。
「くそっ!! ここは一時撤退だっ!!」
そのまま逃げていくのを、二人はそのまま見送っていた。
「いいのか、このままで」
クラウスとエレノールは、ぱんと手を合わせて、互いの健闘を讃えると。
「あの先には、まだ仲間がいますから」
「……ああ、そういえば」
エレノールの言葉にクラウスも笑みを浮かべる。
「これで心置きなく、温泉が楽しめそうだな」
「ええ、後は彼らに任せましょう」
その為の布石は既に打ち終わっている。
そう、ダイビング・シャーキラーが逃げた先には、まだ√能力者達が待ち構えていたのである。
先ほどの仲間の戦いを見守っていたのは、四葉の面々である。
「わぁ……なんか強そう。音楽しかできないとか、言ってられないわ。がんばろ」
そういって、信乃は先ほど使ったばかりのViolin S.S.modelを手に取りつつ、気合を入れている。
「しゃー! ……く?」
「まあ、似てなくもないが……」
首を傾げるアルマに、穂積もまた首を傾げつつ。
「さめっぽい……けど、二足歩行だから人型でいい気もする……」
信乃の言葉で決めたようだ。
「さめにんげん!」
「いや、あいつはサメでいい」
そんなことを言っている二人に、思わず信乃は微笑んで。
「それよりも、そろそろこっちに来るみたい。私達の力を見せつけましょ」
「ああ」
「がんばる、のー!」
えいえいおーするアルマに合わせるように、二人も腕を大きく振り上げて、三人はいよいよ、ラストバトルへと赴くのであった。
「……ここまで来ればいいな。一度戻って態勢を……うわっ!!」
後方から敵が来ないのを見ていたダイビング・シャーキラーは、目の前に、アルマ、信乃、穂積がいるのに気づくのが遅れた。
「ワイヤー接続」
先に動いたのは、アルマ。さっそく、マルチ・サイバー・リンケージ・システムで、三人にシステムワイヤーを繋げると、皆の命中率と反応速度を高めていく。
と、それを見計らって、動き始めるのは穂積だ。
「悪いな、先制させてもらう!」
高められた命中率でもって、ミサイルランチャーをダイビング・シャーキラーへと放ってきた。
「ば、馬鹿、そんなもんを……ぶわああああ!!!」
シャーキラー式確殺コンボを出す前にやられたお陰で、ランチャーの攻撃に吹っ飛ばされた。
そこに信乃の狙いすませた決戦気象兵器「レイン」が放たれる。
「くそっ!! 何度も喰らって堪るか!!」
それはなんとか掻い潜り、ダイビング・シャーキラーは逃げ回る。
「……逃さないの!」
半自律浮遊砲台、ファミリアセントリーで、アルマが鋭い一撃を放つ。
「ぐあっ!!」
鼻先を掠めながら、何とかそれを避けるダイビング・シャーキラーだったが……ここにいるのは、アルマだけではない。
「止めさせる!!」
同じく穂積も、アルマの砲撃をフォローするように、ファミリアセントリーで先制。
その間に、更に狙いを済ませた信乃が待ち構える。
「「レイン」、レーザー照準指定」
「こ、これは……」
「照射!」
信乃の渾身の力を込めた決戦気象兵器「レイン」に更に東雲製ウェポンモデル楽器での超音波攻撃を乗せれば。
「ぐあああああああああっ!!!」
断末魔を上げて、ダイビング・シャーキラーはそのまま、大爆発して倒されたのだった。
こうして、無事にお掃除ロボットはもちろん、それを指揮していたダイビング・シャーキラーまでも、殲滅することが出来た。
後はいよいよ、温泉旅館でのお楽しみだ。
「やったわね」
「ああ」
静かに信乃と穂積は、拳を突き合わせて。
「やったーやったー、おんせんー♪」
飛び回って喜ぶアルマの傍へと向かうのであった。
第3章 日常 『温泉旅行を楽しもう』
こうして、√能力者達は、無事、温泉旅館を守ることが出来た。
後はお楽しみの、温泉旅館での温泉旅行だ。
確か、この旅館では、美肌のお湯や、大きな露天風呂があったはず。もちろん、大浴場も広くのんびりできるようである。
それにフロントで予約をすれば、団体で家族風呂も楽しめるはずだ。
よく見れば、アクシアの渡したチケットには、夜と朝の食事までついているらしい。
夜は、和洋折衷のバイキングか、和食膳、洋食コースのいずれかひとつを選べるらしい。朝はバイキングのみだが、こちらも夜同様、和洋折衷なよう(メニューは夜とは違うらしい)。
更に設備として、小さなゲームセンターや卓球、マッサージ器も完備されているようだ。
なんというか、至れり尽くせりというやつである。
さあ、戦い終えた体をゆっくり休めるためにも、いざ、温泉旅館へ!!
●マスターより
指針は気にせず、旅館の温泉旅行をお楽しみください。いろいろサービスを入れましたが、プレイングで指定していただければ、お部屋で麻雀とかも楽しめます。
ゆっくり有意義にお過ごしくださいね。
あっと、相談には、ここの一行掲示板を利用するといいですよ。
では、皆さんの楽しい温泉旅行プレイング、お待ちしています!
「平和だな……」
そう呟きながらクラウスは、旅館のロビーでお茶をいただいている。
その視線の先には、仲間達が楽しげに旅館のチェックインしているのが見える。
ふと、視線を旅館の外へと外し、窓の外にある美しい風景を眺める。
それもこれも、クラウス達、√能力者達がここを襲う戦闘機械群を倒したお陰だ。それを噛みしめながら、クラウスは一足早く、チェックインを終えて、今日の宿泊部屋へと案内されるのであった。
「とはいえ『のんびりする』っていうのは、改めて考えると難しいな……」
クラウス、いつもは訓練や敵の襲撃、√能力者としての仕事で動き回っているため、こういう風にのんびりせよと言われても、なかなか何をすればよいのかと悩んでいた。が、幸いにもここは温泉旅館。
「ひとまず温泉に入ろう」
かぽーん……。遠くで鹿威しが鳴り響く。
まだ人はまばらであり、広々とした露天風呂で思いっきり体を伸ばして、のんびりとしている。
「ちょっと疲れてるのかもな」
青い瞳を細めて、クラウスは先ほどの戦いの疲れを癒すため、いつもよりも少しばかり長風呂を楽しむのであった。
お風呂から出たクラウスは、押し入れから布団を取り出した。
夕食後に敷いてくれるらしいが、そんなの待っていられない。
畳の上にふかふかの布団を敷いていく。
「良い布団だな」
きっと毎日、丁寧な手入れがしてあるのだろう、本当に心地よい。畳の香り、まだ少し日が高いが、少しずつ弱まる陽の光が、クラウスの睡眠を手助けしているようだ。
(「いつも襲撃に備えて、気を張っていなければいけない、√ウォーゾーンでの睡眠時間とは……全然違うな」)
ほかほかの布団に包まれたクラウスの瞼はもう、かなり重くなっている。
「今日くらいはゆっくり眠ろう……」
こうして、クラウスはこの長閑な旅館で、ゆっくりしっかり体を休めたのであった。
かぽーん……。
鹿威しの音を聞いて、穂積はハッと、辺りを見渡すが。
「ああ、そういえば……戦いは終わったんだったな」
それでも思わず、警戒してしまうのは、戦い激しい√ウォーゾーンから来たからだろうか。
今、穂積は露天風呂に来ている。もちろん、仲間である信乃とアルマも一緒であるが、流石に一緒の風呂に入ることはできない。穂積は一人、男風呂で、悠々と温泉を楽しんでいた。
ぽんと頭に手ぬぐいを乗せながら。
「あいつらも楽しんでるかな」
そういって、穂積は気持ちよさそうに瞳を伏せるのであった。
「すごいわ……いろんなお風呂があるのね」
たくさんの湯船があるのを見て、信乃が嬉しそうな声を上げる。ふわふわの湯気が二人の大事なところを隠してくれているように感じられる。
「……しの……消毒槽ない、よ?」
「えっ?」
アルマは近くにあった湯船にそっと手を入れて、目を丸くしながら。
「あと、液が、あったかい」
そういうアルマに信乃が、逆にびっくりしている。
「待って待って待って。アルマ、なんて? 消毒槽?? もしかして、研究所以外でも消毒槽に浸かっているの?」
その信乃の言葉に、こてんと首を傾げながら、アルマは言った。
「ん? うん。お部屋に、培養槽と同じような機械とか、置いてある」
どうやら、アルマはお風呂に入ったことがないようだ。あるのは……えっと、培養槽っぽい消毒槽でしかないらしい。なんとも不憫な話である。もちろん、信乃もそれは大いに理解した。
「なんてこと……!! 今日は、頭の先から足の爪先まで、すっごく綺麗に磨いてあげる! 普通のお風呂をめいっぱい楽しむのよ!!!」
むんと腕を振り上げる信乃の隣で、アルマも同じように腕を上げる。
「さあ、いくわよ、アルマ!!」
「う、ん?」
信乃に連れられて、まずは体をボディーシャンプーを使って、しっかり泡立て、これでもかと磨いてあげた。
体が終わったら、今度は頭だ。普段なら数回で終えるシャンプーではあるが、ずっと消毒槽だけにしか入っていないのなら、話は別だ。
一番上等なシャンプーを使って、しっかり泡立て洗っていく。仕上げのトリートメントも一流なものを使って、綺麗にしていく。
「……髪、つやつや。……くんくん、良いにおい」
「でしょ? とっても綺麗になったから、今度は……お風呂よ!!」
「おふ、ろ……」
嬉しそうに笑みを浮かべるアルマに、信乃もまた笑顔を返したのだった。
「良い風呂だったようだな」
「そっちもね」
程よく火照った顔を見せ、浴衣姿の穂積と、信乃とアルマは合流を果たす。
「そろそろ、夕飯の時間だ」
「和御膳……!!」
穂積の言葉に、アルマの瞳がキラキラ輝く。
「美味しそうだったから、楽しみね」
今回はお食事処での食事の用意らしい。三人は連れ立って、用意された席へと移動。
「まあ……凄いわね」
「……いっぱい。食べれる、かな」
アルマはちょっと心配そうだ。
「さて、冷める前に食べていくか」
他にも後で鍋料理も来るそうだ。美味しそうに三人はいただきますを唱えると、美味しそうに食べ始める。
案の定、偏食で小食なアルマは、好きな料理だけしか口にしていない。
「アルマ、野菜も少し食べてみろ。食事はバランスが大事だからな。それに……これなら食べやすいと思うが」
穂積は優しく、そうアルマに言えば。
「じゃあ……これ、食べてみる」
苦手な野菜を一つ、口に含んで……。
「……ん。んん」
「大丈夫か?」
ちょっと心配そうに穂積が声をかけると。
「……美味しい」
キラキラしたアメジストのような色の瞳を輝かせながら、アルマは鍋の野菜をちょっとだけ、美味しく食べて見せたのだった。
「……しの、あっちにゲーム、ある……!!」
小さなゲームセンターで、アルマはUFOキャッチャーをやって、派手に失敗していた。
それを見た信乃もチャレンジするも。
「なにこれ、難しいわ……」
悔しそうに声を上げる信乃の隣で。
「取れたぞ」
「ちょ、何それー!! なんで取れるわけ!?」
取れたぬいぐるみを受け取って、アルマは嬉しそうだ。と、アルマはそのぬいぐるみを手に、お土産屋さんを見つけた。
「……お土産っ!!」
ぱたぱたと出かけていくアルマを、穂積と信乃が追いかけていく。
「せっかくだから、お土産でも買ってく?」
「……そうだな、幼馴染と妹に、何か買ってやるか」
その言葉に信乃は、ふふっと微笑んで。
こうして、三人の楽しい温泉旅行は、翌日のチェックアウトまで、楽しく続くのであった。
足取り軽くやってくるのは、杠川・遊海香(人妖「サキュバス」のジュエルスフィア・アクセプター・h00445)だ。
「温泉、温泉🎶」
お気に入りのシャンプーセットとタオル等を手に、浴衣姿の遊海香は、長閑な温泉旅館に来ていた。
「どんな風呂があるのか、ちょっと見に行ってみようかなー」
ちょっと見ていこうという、雰囲気ではない。しっかり満喫する気持ちなようだ。
ささっと脱いで、さっそく、噂の温泉浴場へと入っていくと。
「うわあ……いろんなお風呂がある!」
ちょっと小ぶりな気もするが、旅館の大浴場ということを考えれば、かなりラインナップは豊富なようだ。流石に流れるお風呂はないが……。
「ジャグジーがあるよ🎶」
ぶくぶくお風呂に浸かって、きもちいーと遊海香は瞳を細める。
「ここは美肌の湯かな? 浸かってみようっと」
ちゃぷんと、ぬるりとしたお湯に浸かる。
「う~ん、気持ちいいなぁ~! みんなと一緒に楽しむのもいいかも!」
今度来るときはお友達と一緒に。そう心に決めて、遊海香は、次に体を洗いに向かうのであった。
いよいよ、お楽しみの夕食時間である。
「次は美味しいバイキングにGo!」
袖が邪魔なので、浴衣から普段着に着替えている。バイキング会場に行くと……。
「うわあ……美味しそうなのが、いーっぱいっ!!」
大きなお皿を手に、遊海香は大好物なものから、ぽんぽんと皿に乗せていく。
手巻き寿司のコーナーでは、マグロとアボカドとイクラを巻いたものを乗せて、なんと、タンドリーチキンと目玉焼きに、チーズとかを挟んだオリジナルバーガーも作れるコーナーもある。
「これは絶対にやらなくっちゃっ!!」
さっそく、タンドリーチキンバーガーを作って、美味しそうに頬張って。
美味しいご飯を楽しんだ後は、小さなゲームセンターへ。
どうやら、このコーナーを担当している者は、分かっているようだ。少々型落ちなのが多いが、しっかりとメジャーなゲームを揃えているようだ。
「どりゃどりゃどりゃーっ!!」
横スクロール弾幕シューティングとRPGを合体させたものをプレイしてみたり。
「とうとう、やあっ!!」
リズムに乗りながら戦う格闘ゲームをプレイして、一汗かいたりしていた。
「楽しんだもの勝ちだもの! ……でも、汗かいちゃったから、もう一回、温泉いかないとね」
もう一回、リズムな格闘ゲームをプレイして、遊海香はがっつり、この温泉旅館での旅行を楽しんだのであった。
かぽーんと、鹿威しが音を響かせる。そんな音を耳にしながら、エレノールはのんびり、外の露天風呂を楽しんでいた。
時折吹く、ひんやりした風も心地よさを助長しているように感じる。
「いい湯ですね……やや熱めの湯が、体の奥までしみわたります」
ゆっくり日が暮れる空を見上げながら、ちゃぷちゃぷと温泉を纏わせる。
「――そういえば、こんな風に温泉に行ったのっていつ振りでしょうか。多分、結構な間、温泉に行く余裕はなかったはず」
思わず指を折って数えようとして、エレノールは止めた。せっかく、ここでゆっくりしているのだ。わざわざ数える必要はない。
「そうですね……せっかくですし、少しは肩の力を抜いて、温泉を満喫しませんとね。次いつになるかわかりませんし」
湯船にある大きな岩に背を預け、遠くの山々の、美しい景色を望みながら、温泉を楽しんでいく。
遠くから聞こえる小鳥の声に耳を傾けながら、心にも安息が来たような、そんな気持ちをエレノールは実感していくのであった。
しっかり温泉で疲れを取った後は、お楽しみの夕食バイキングである。
「何を隠そう、わたしは結構食べるのです。バイキングという響きは、私にとって魅力的なのです」
小さく呟きながら、エレノールのやる気は充分である。浴衣の袖をひもで縛って(!)、いつでも食べれる状態だ。
きゅぴーんと輝く瞳は、獲物を捕らえる鷹のよう。ちょっぴり怖いと……思ってはいけない。たぶん。
とはいえ、エレノール、一度に大量に取っていくのは、はしたないと考える。
「まずは各種適量に……」
ひょいひょいと美味しそうなものを少しずつだけ、お皿に乗せて、まずは一回、席に座り。
「いただきますっ!」
両手を合わせていただきますをしてから、上品に食べていく。これもまた、バイキングの嗜みである。
「ん、これ美味しいっ!!」
キラキラと瞳を輝かせて、次々と美味しいご飯を口の中へと運んでいく。口の中に広がる、素敵な味が本当に美味しくて美味しくて堪らない。
鮮度のいい野菜サラダ、地場モノの素材を使った煮物やてんぷら、地元ブランド米のごはんや、定番のソーセージ&ベーコン……。
「どれもおいしいですっ!!」
上品に食べるということが、時々忘れそうになるが、それでも、綺麗に食べることを念頭に、美味しくしっかり頂いた。
次の皿には抑えきれず、山盛りにしてしまったが、こんな美味しいものを目の前にして、のんびりしていられるかーと言わんばかりに、何回か回って、それをしっかりとお腹に収めていく。しかも、食後のデザートのラインナップも素晴らしい。
「んー、満足満足」
甘くてとろけそうなデザートも食べ終えて、エレノールは名残惜しそうに、その席を立ったのである。
……大丈夫だ、エレノール。バイキングは朝もあるぞ。
「……せーのっ!!」
もふんと、敷かれた布団にもふんと飛び込むのは、お腹いっぱいで幸せなエレノール。
そのままゴロンと仰向けになって、チカチカする電気を眺めながら、今日一日を振り返っていく。
「ちゃんと依頼も完了できたし、敵の指揮官も倒せました。なにより、楽しい温泉旅行もできたし、もう、いうことはありません!」
そのまま、布団にもぞもぞと入り込み、少しずつ暖かくなる布団の中で、瞳を閉じる。
「本当に、もう……幸せ……で、す……」
満足げな笑みを浮かべながら、エレノールはそのまま熟睡。きっと今日一日頑張った疲労が、あっという間にエレノールを夢の中へと誘ったのだろう。
その瞼は朝日が差し込むまで、開くことはなかったのである。
こうして、エレノールの充実した、幸せいっぱいな日々がゆっくりと終わりを告げたのだった。