シナリオ

スコルピオンアルカポネ・シデレウス

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 ――シデレウス。
 其れはカード・アクセプターに成れなかった者の末路だ。

 現在、√マスクド・ヒーローではゾーク12神の一柱『ドロッサス・タウラス』によって、変身の力を宿した「シデレウスカード」が市井にばら撒かれている。
 一人の人間の元に「十二星座」と「英雄」のカードが揃いし時……シデレウス化の事象は発生する。
 仮に√能力者となる素養があれば膨大な力を制御し、カード・アクセプターとして覚醒するのだろうが……普通は星座と英雄の特徴を併せ持つ怪人『シデレウス』と化してしまう。
 そして現在、シデレウス化した人間による『√能力を用いた、常人には実現不能な不可能犯罪』が起こり始めている。
 ――スコルピオンアルカポネ・シデレウスも、その一人だ。 

 彼はどこにでもいる、麻薬組織の木っ端であった。
 だが、ある日先んじてばらまかれた『シデレウスカード』の内、スコルピオンとアルカポネのカードを揃え……”毒と薬物を操作し、犯罪能力に長けたシデレウス”として覚醒。
 すぐさま麻薬組織を掌握し、スコルピオンアルカポネ・シデレウスは麻薬王として台頭する。
 最早、一介の簒奪者として秘密結社プラグマから専用組織を与えられるのも時間の問題かと思われた……

「だけど、こうして妾が予知を見出したわ……アンタ達、麻薬王のシデレウスを止めてきて頂戴」
 星詠みの翼無きセレスティアル、|アヤメイリス・エアレーザー《AyameIris・Erlöser》(未完成の救世主・h00228)は『ドロッサス・タウラス』……シデレウスカードの事件を√能力者達に紹介していく。
 確認されたシデレウス『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』は、麻薬組織を率いて周囲の地域を麻薬汚染を行っている。
 この毒薬と犯罪に長けたシデレウスを追いかけ、撃破したら終わり……という訳ではない。
「……『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』を撃破した後は、シデレウスカードをバラまいた張本人である『ドロッサス・タウラス』が現れるわ」
 神聖を持ち傷つけることは極めて困難だが、基本的に他者を見下し、舐めている性格が突破口となる……筈であったが。
「今回、奴は妾たちを見定めようとしているわ……そこから、本気を出した『ドロッサス・タウラス』と交戦する機会にも恵まれるかもしれないわ」
 そんな風に呟きながら、アヤメイリスは麻薬組織が跋扈している街へと√能力者を案内するのであった。

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第1章 冒険 『違法薬物の流通現場』


十枯嵐・立花

「末端だろうからそこまで知ってることは多くなさそうだけど……まぁどうせ悪人なのは変わりないだろうし、多少怖い目に遭ってもらっても問題ないよね」
 そう言って|十枯嵐・立花《とがらし・りっか》(|白銀の猟狼《ハウンドウルフ》・h02130)は適当な売人を襲い、情報収集を行っていく。
 元より立花は山の神と呼ばれる狼の妖と人間のハーフであり、|猟師《ハンター》としての技巧を√能力に反映している。
「それなら、どうやったら売人が引っかかるか……」
 立花はそれらのノウハウを有しているのだ……まぁ、常識に若干ズレがあり極端な男所帯で育ってきたので女子力が残念な事になっているのだが。
 兎も角、彼女にとって麻薬の売人を捕獲する事等容易い事……√能力『|獣の眼光《ワイルズディテクト》』を発動させ、狩猟本能を右目に集中させる立花。
 すると麻薬の売人の『隙』が可視化され、それらを突く事が出来るようになった。
「じゃあ、教えて貰おうか」
 跳躍し、死角から売人に強襲を仕掛ける立花。
 仰向けに押さえつけた後、即座に売人の顔面へと『熊殺し七丁念仏』……猟銃として数多の獲物を屠り続けた結果、半ば魔銃と化してる単発式の旧式軍用小銃の銃口を突きつけると、あっさりと売人はゲロった。
 軽い口から『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の行動パターンを把握していく彼女は、聞き終えた後に銃床で売人を殴りつけて気絶させる。
 そうして売人を縛り上げて隠した後、|猟師《ハンター》は『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の元へと赴くのであった。

中村・無砂糖

「麻薬というのは恐ろしいモノじゃ」
 ――心の毒、劇物というべきモノを振り撒き汚染拡大を目論むとは恐ろしい……|中村・無砂糖《なかむら・むさとう》(自称仙人・h05327)は麻薬、そしてそんな薬物を商品として扱う売人を素直にそう評する。
 しかし、言葉とは裏腹に無砂糖は違法薬物の流通現場へと向かっている。
「ソレを助長した元凶もとっちめてやらんとのう」
 √能力『|リアルタイムどろんチェンジ《リアタイドロチェン》』……どろんバケラーとしての特性を引き出した異能を起動させ、無砂糖はスカイフィッシュに変身する。
 現場の周辺を目視……動体視力を振り切る速度で飛翔し、自らがドローンの代わりに偵察を行いながら『仙人』を自称する幽霊は取引の現場周辺を観察していく。
「捜査ってのは地味じゃが堅実にこうして元を辿っていけば……いずれはビンゴ、ってわけじゃ」
 その場に合う老若男女に変身し、幽霊としての影の薄さも活用して無砂糖は潜入を本格的に開始。
 自然に現場に紛れて取引現場へと潜んで情報を得るべく無砂糖は、いざという時は麻薬中毒者を演じて事を収めるケースも想定している。
 まぁ、相手が『ただの重度の薬物中毒者が、この麻薬の取引をする為に秘匿していたこの場所に辿り着けるか?』、と想起すれば事であるが……
 幸いにも、或いは幸先が良かったのか――無砂糖は売人達に気取られる事無く取引現場の最深部近くへと辿り着くのであった。

石動・悠希

「また面倒事だよ!――ここ最近。断続的に予兆多いから人手足りないと思うんよ……」
 ぼやきながらも|石動・悠希《いするぎ・ゆうき》(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)は『シデレウスカード』方面のアプローチへと移る。
 より高度な知性の獲得のために人間と融合したベルセルクマシンである彼女は、ふと『|十二星座《ゾディアック》』と『英雄』の力を引き出すカードへと想いを馳せていく。
「変身の力を宿してるとかなんとか……事件解決するついでに貰って解析してもいいよな、それ」
 悪用されないようにすること。
 更に根本的な対策を講じるには、やはり解析は必要だろう……それが悠希の言い分であった。
「ものによっては技術転用も、アリといえばアリだしね」
 だが、何はともあれ……まずは『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』による麻薬汚染を止めなければならない。
「その為にはまず麻薬組織をだが……愚直に追ったところで、組織の規模を考えれば末端に擦り付けて本部が雲隠れ……ってのはありうる」
 ならばこそ、発想の転換を此処で行うべきだ。
 技術者として、研究者としてベルセルクマシンはそう言ったアプローチを選ぶ。
「なので一旦そっちは他の人に任せて……麻薬依存者の治療を、優先しましょう」
 人間との融合実験を自らに施した彼女にとって、肉体改造と医術の技能技術は習得しているものだ。
 薬物依存症を発症していた人々への治療は問題無く進み、やがて快復した患者から証言も得られる――
「何なら体のいい『被検体』が沢山……集まるしね」
 そんな風に、悪ぶった口ぶりで悠希は薬物依存治療を進めていくのであった。

御剣・刃

「なるほど。下っ端を捕まえてボスの居場所を聞けば良いと――なら、少し乱暴に行くか」
 シンプルに、末端を捕縛して尋問するアプローチを|御剣・刃《みつるぎ・じん》(真紅の荒獅子・h00524)は選んだ。
「下っ端どもが痛い目に遭っても、ボスの居場所を話さないような気概のある者であるはずもなし……いたらスゲェとは思うがな」
 そんな風に推測を立てながら、愚連隊染みた服装に着替えて刃は街へと躍り出る。

「なぁ、|麻薬《ヤク》を売っているんだって?」
 適当なチンピラを捕まえ、刃は話を持ち掛ける。
 売人であるチンピラは『カモが引っかかった』という表情で刃を路地裏に連れていく――奴は『カモ』がどちらか、分かっていなかった。
「で、幾ら出せ――」
 即座に、チンピラの首を正面から掴んで持ち上げる刃。
 首を締めあげられ、両手で引き剥がそうと抵抗するチンピラだが、膂力の違いによって無為に終わる。
「ボスの居場所を吐け」
「な……」
 シンプルな脅しであった。
 その様子に、含んだ笑みをチンピラは刃に向けるが――
「吐くまで手の指の骨から一本、一本へし折って行く」
「できるもんならァッ!?」
 舐めた口をきいたチンピラは、挨拶がわりに親指をへし折られ……目の前の男が『本気』だと悟らされる。
 そうして十分チンピラを威圧させた刃は、殺気を全開にしてもう一度尋ねる――
「さて、指はあと十九本ある。何本目で言ってくれるかな?……早くしないと箸が使えないし、歩けない体になるぞ?」
 恐ろしい言葉は、チンピラが全てを吐くに十分であった。
 必死で知っている情報全てを提供し、締め上げられていた首を解放されて地面に這いつくばったチンピラは、そのまま気絶するのであった――

音取・容子

「√能力者もいなかった悪の組織にも成りきれない木っ端麻薬組織……そんな組織を乗っ取った程度でいい気になるとは、滑稽ね」
 |音取《ねとり》|・《・》|容子《ようこ》(色欲のルクスレギナ・h06315)……夫がヒーローだったが故に、悪魔崇拝組織「デモンロード」に娘二人と共に誘拐された果て……洗脳改造の末に悪の女幹部となって夫を含むヒーロー達と敵対。
 激戦の果てに夫と相打ちになり正気を取り戻すものの……夫を殺害してしまい、娘達は行方不明となった女にとって『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の振る舞いは癪にさわったのか。
「トップ以外に怪人がいないのなら……それは悪の組織ではなくタダの犯罪組織よ」
 対して、容子は離反したとはいえかつて正真正銘の悪の組織……『悪魔崇拝組織デモンロード』の元・幹部として君臨していた。
 現在も、人間体ではなく最初から怪人形態で行動しているのだ。
「格の違いを教えてあげるわ――禁断の知識への扉は開いたわ!」
 √能力『|悪魔の知識《デモニック・ナレッジ》』、発動――知られざる『悪魔の知識』が覚醒し、腕力・耐久・速度・器用・隠密・魅力・趣味技能の中から「現在最も必要な能力ひとつ」を容子……ルクスレギナは2倍に強化。
 即座に売人を探し出し、色欲の悪魔怪人であり女幹部怪人としての力を見せつけて脅していく……だけでなく、色欲の悪魔怪人らしく妖艶に誘惑するという飴と鞭で売人を篭絡も敢行。
「これで、貴方は逃れられない……」
 麻薬王を裏切らせて情報を聞き出した上でスパイとして利用する……『悪魔崇拝組織デモンロード』の幹部として、これ位は朝飯前であった。

第2章 冒険 『シデレウスカードの所有者を追え』


「何だぁ?……へっ、これがヒーローって奴か」
 古びたレンガ倉庫、その薄暗い屋内にて一人の髪を染めている以外パッとしない男が√能力者をねめ回す様に見定める。
「馬鹿な奴らだぜ、大人しくプラグマの下に着けば金や力が手に入るのによ」
 そんな風に嘲笑をぶつけると同時、男……『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』はカード二枚を翳してシデレウスへと変身。
 薬物操作と犯罪立案の√能力を駆使し、君達を葬ろうとする――
中村・無砂糖

「ふむ……ならば『|リアルタイム変身変化《リアタイドロチェン》』じゃ!」
 先程も使った√能力を使用し、|中村《なかむら》|・《・》|無砂糖《むさとう》(自称仙人・h05327)はどろん煙幕と仙術手榴弾を撒いて『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の視界を遮っていく。
 そのままどろんバケラーとして変身系√能力を練り上げ――無砂糖は光の巨人へとその姿を変える。
「おっと部外者は今のうちに避難するとええぞ、ここから先はデンジャラスじゃからのう」
 念の為、光の巨人になった際に周囲にいた麻薬組織の構成員へと警告を発する。
 当然ながら、建築物よりも巨大な存在にそんな警告が通達されたら麻薬の売人は逃げるしかないだろう。
 だが、カードの力を引き出した『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』は薬物操作と犯罪立案の√能力を駆使して粉塵爆発を無砂糖へと仕掛けていく。
「金や力だけに限らず名誉や信頼おける仲間、あとは……女や家族、明るい将来が欲しいとかもっと欲はあるじゃろう」
「馬鹿だな! プラグマに所属しておけばそんなものはより取り見取りだろうが!」
 挑発や嘲弄ではなく、本気でそう思い込んでいる声色で『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』は更に光の巨人へと攻撃を叩き込む。
 だが、巨大な体躯で無砂糖はそれらの√能力を受け止め、呆れの声で返答する。
「プラグマの下でなく、カードアクセプターとしてその力を未来に活かしてみてはどうじゃ?」
「馬鹿のやることだね!」
 まだ引き返す余地はある……と諭す無砂糖の言葉に対し、切って捨てる『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』。
「……わしから次の√能力者達が、おぬしを容赦なく総掛かりでボコボコ叩きのめすことなるじゃろう」
 そんな風に宣託を告げるが如く、光の巨人は一人の憐れな男を見据えるのであった。

御剣・刃

「は、ヒーロー? お前の目は節穴か?俺のどこがヒーローに見える?……俺はどちらかと言えばヴィラン側の人間だよ」
 |御剣・刃《みつるぎ・じん》(真紅の荒獅子・h00524)はそう言って鍔を鳴らす。
 天武古砕流正統後継者に代々受け継がれる刀『獅子吼』を鞘から抜き放ち、剣豪は切っ先を『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』へと向けた。
「まぁ、それでも、お前みたいに他人を落とし込んで生きようとは思わないがな」
 瞬間、周囲に毒ガスを充満させていく『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』は発動。
 しかし刃はどんな能力で来ようと第六感で起こりを感じる事で見切り、相手の攻撃の軌道を予測して回避するべく体勢を整えていた。
「肉体のリミッターを解除するのは、お手の物だよ」
 肉体能力を限界以上に引き上げ、『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の攻撃を最小の動きで避けつつ、残像を残す速さで最短距離を移動を行う刃。
 脱力の利いた自然体……からの零距離にて繰り出す斬撃を刃はシデレウスに仕掛け、更に√能力『|百錬自得拳《エアガイツ・コンビネーション》』で連撃を拳と共に繰り出していく。
「どうした? 麻薬王……自分で戦うのは苦手か?頼り甲斐のないボスだな」
「黙れよ……!」
 そんな風に苛立った声を『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』は漏らすも、成すすべなく『獅子吼』による斬撃と拳によるコンビネーション攻撃を喰らっていくのであった。

十枯嵐・立花

 とりあえず奇襲を受けることはわかっている――そんな確信と前提の元、|猟師《ハンター》は『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の奇襲に警戒を欠かさず、すかさずカウンターとして対処を開始する。
「プラグマって確かに強力な悪の組織だけど、わりとトンチキな連中の集まりってイメージ……」
 |十枯嵐《とがらし》|・《・》|立花《りっか》(|白銀の猟狼《ハウンドウルフ》・h02130)はそう言って『熊殺し七丁念仏』を構えて『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』へと射撃を開始。
 相手の薬物操作√能力を野生の勘で回避し、反撃として自身の√能力『|報復の弾丸《レクス・タリオニス・バレット》』……自身が受けた武器や√能力を複製した『弾丸』を創造し、単発式の旧式軍用小銃へと装填……そのままシデレウスへと銃口を向けて引き金を引く。
「この『力』はお返しするよ……!」
 シデレウスの胴体に着弾した『|報復の弾丸《レクス・タリオニス・バレット》』は、そのまま薬物反応を開始。
 胴体……内臓を薬効で焼きながら、薬物操作√能力をコピーした弾丸は内側から『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』を苛んでいく。
「グゥゥゥ……!」
「お金と力の引き換えに色んなモノ失いそうじゃない?――毒素を複製して同じ痛みを味わってもらうね」
 そのまま立花は通常の弾丸でリロード……『熊殺し七丁念仏』の銃口が『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の頭部へと向けられ……そのまま、鉛玉は怪人化した麻薬王の頭部を軽く抉るのであった。

石動・悠希

「すっかり力に飲まれてるようで……これはカードの回収は難しそうか?」
 頭部を再生させていく『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の様子を物陰から見ながら、|石動《いするぎ》|・《・》|悠希《ゆうき》(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)は顔を顰める。
「まぁどっちにしても麻薬はちょっと対処しとかないと面倒ごとになるし倒すけど……」
 彼女――貪欲に知性を求めたベルセルクマシンにとって、あくまでも狙いはカードである。
 今回悠希が使う√能力はカードの解析に使う。
 その為、戦闘は技能を用いて行っていく。
「何事も、重要な時では基本に立ち戻るのが一番……」
 場所が場所だから、遮蔽物やその辺にあるものを活用しても問題なさそう……そう考えた悠希は破壊工作を開始――弾幕を撃ち放ちながら早業で爆破攻撃を『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』に仕掛けていく。
「奴さんは……倒しても問題ないでしょう。どうせ生かしておいてもお縄につくだけだろうし」
 既に複数の爆破トラップを戦線工兵としての技量を以て設置し、後はシデレウスをどう討伐するかの段階……√能力『クラフト・アンド・デストロイ』によってある程度『シデレウスカード』の解析は済まされている。
 ならばもう、あの麻薬王……シデレウスカードという安易な強化に頼った男に価値は無い。
 ベルセルクマシンは冷徹に、自身を見失った麻薬王が指定した座標に到達した事を確認し――そのまま包囲爆破を完遂するのであった。

音取・容子

「馬鹿はお前よ。この私がヒーローに見えるのかしら?――もしそうだというのなら目と頭の両方を見てもらうべきね」
 ボロボロになった『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』の元に、妖艶な女が現れる。
 |音取《ねとり》|・《・》|容子《ようこ》(色欲のルクスレギナ・h06315)……かつて悪魔崇拝組織「デモンロード」の女幹部『色欲のルクスレギナ』であった存在だ。
「で、スコルピオンアルカポネ・シデレウスだったかしら?……無駄に長くて言いにくい名ね――私は色欲のルクスレギナよ」
「ルクスレギナ、だと……!?」
「別に覚えなくてもいいわ、すぐに倒されるのだからね!」
 瞬間、ルクスレギナはシデレウスへと肉薄……√能力『|女幹部が下す処刑《デスペナルティ》』による連撃が開始される。
 電撃を纏ったデビルウィップによる牽制が放たれ、髪が触手化したテンタクルズ・クローによる捕縛、そこからトドメとして鋼鉄すら容易く切り裂くイーヴィルクローが繰り出される強烈な√能力だ。
「これは正義と悪の戦いではないわ……悪と悪の潰し合いよ!」
 これが正義と悪との戦いであった場合……正義の側であったなら、心を昂らせてスペック差と戦略的優位をある程度無視する事で活路を見出す事が出来たかもしれない。
 しかし、怪人に成りたての上に薬物操作と犯罪立案能力に特化した指揮官タイプの|怪人《あく》――それが『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』というならば。
「元・女幹部の私の敵ではないわ!」
 鋭く伸びた左手の爪で切り裂き、貫く――それが士気欲のルクスレギナが『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』へと下した『デスペナルティ』であった。

第3章 ボス戦 『『ドロッサス・タウラス』』


「下らぬ」
 そう言って敗れた『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』……助けを乞う息も絶え絶えの麻薬王に、その怪人は侮蔑と共に――星界金棒を振るい、ひき肉にした。
「だが、少しは良い布石が見れそうだ」
 対して、彼を下した√能力者に対しては珍しく真摯な表情で……|王権裁定者《レガリアグレイド》『ドロッサス・タウラス』は相対する。
「果たして、貴様らは……否、それは”二度目”があったら決めようぞ」
 星界の力に満ちた堅固な肉体を漲らせ、おうし座を司る者は”闘争”を開始するのであった――
中村・無砂糖

 慈悲もない黒幕の登場じゃな――
 |中村《なかむら》|・《・》|無砂糖《むさとう》(自称仙人・h05327)は『ドロッサス・タウラス』に対してそんな感想を覚える。
「一応確認じゃが、おぬしがシデレウスカードを撒いた張本人じゃろうか?」
「それ以外考えられぬだろう?」
「そうなのじゃが、認識確認は大事である」
「成程な」
 無砂糖と『ドロッサス・タウラス』は笑みと言葉を交わし……次の瞬間、互いに武器を抜く。
 無砂糖は髭を撫でながら思考しつつ、霊剣を担って相手の堅い守りに攻めあぐねながらも√能力『インビジブル・ダイブ』で座標交換による移動を開始。
 一方、おうし座を司るゾーク12神の一柱は『星炎のブレス』を放つ無敵の金属の牡牛へと変身。
 攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化する事で無砂糖を追い込んでいく。
「ふむ、しかしコレはどうしたもんじゃろうか……」
 星炎のブレスを避けて相手の懐に入り込んだ後、そのままフェイントとして股下を潜り抜けて後ろに回り込み攪乱。
 そこから『ドロッサス・タウラス』の攻撃範囲から離脱しながら機動戦を継続する無砂糖。
 狙うは相手の振るう√能力『アクチュアル・タウラス』のガス欠……そして、
「こんなのがまた世に出回ると、困ったことになるからのう……」
 さり気なくシデレウスカードの回収を試みる事。
 しかし相手も|王権執行者《レガリアグレイド》であり、√能力者達と交戦したばかり。
 それならば、と無砂糖は『ドロッサス・タウラス』を疲労・消耗させる事に専念するのであった――

十枯嵐・立花

「全身鎧でどこを狙っても堅そう……さすが親玉って感じだね」
「然り……さぁ、抗え弱きニンゲンよ」
 敢えて傲岸不遜に言い放つ『ドロッサス・タウラス』に対し、|十枯嵐《とがらし》|・《・》|立花《りっか》(白銀の|猟狼《ハウンドウルフ》・h02130)は愛用の旧式軍用小銃を構えて応じる。
 小銃で狙える程度の射程を確保し続ける事――立花は跳躍し続ける事で、その間合いを維持し続けている。
 √能力『|獣の猟技《ワイルズハント》』――その能力を用いて銃撃を『ドロッサス・タウラス』に叩き込んだ直後、六花は風を纏い隠密状態になる。
「成程……『ドロッサス・スマッシュ』とは射程範囲という意味で相性が悪いか……」
 笑みを浮かべながら『ドロッサス・タウラス』は『星界金棒』を構え、何時でも迎撃できる準備を整える。
 そして、隠密状態の立花は『熊殺し七丁念仏』の標準を『ドロッサス・タウラス』に定め――銃口から、牡牛を穿つ弾丸が放たれる。
「このタイプの重量級は大体、足が弱いって決まってる」
 だからこそ、間合いを詰められない様に空間跳躍√能力を立花は選んだ。
 そのまま『ドロッサス・タウラス』を嵌め殺しにするべく、狙撃地点をもう一度変えるべく人妖「狼神の子」は風邪を身に纏っての隠密状態を維持しながら『熊殺し七丁念仏』を構えたまま移動。
 移動途中の所を『星界金棒』の錆とならない様に、立花は迅速に……静かに足を運ぶのであった。

御剣・刃

「ははは。お前、強いな――こんな大物とやれるとは、幸運と言うべきか」
 修羅としての貌を見せながら|御剣《みつるぎ》|・《・》|刃《じん》(真紅の荒獅子・h00524)は『獅子吼』を『ドロッサス・タウラス』に切っ先を向ける。
 おうし座を司る|王権執行者《レガリアグレイド》の方も、戦争狂の笑みを刃へと向けていく。
「お前と闘って生き残れば、俺はまた一つ強くなれるだろう」
「然り……」
 もはや言葉は不要……二人の間に、そんな意思疎通が交わされる。
「俺の剣、その身に刻め」
 瞬間、刃は√能力『古龍降臨』を発動――吹きだされるは、『星炎』の属性たるブレス。
 無敵の金属の牡牛へと変身した『ドロッサス・タウラス』は刃を焼き尽くすべく肉薄するが……
「無敵?――上等、なら俺が教えてやる……無敵=不敗じゃないってなぁ!」
 第六感のままに『ドロッサス・タウラス』の懐へと飛び込む刃。
 攻撃方向を読み、限界以上まで向上した身体能力と運動能力を以て高スピードと機動力を刃は確保する。
「ここだ!」
 鈴の成る様な音が戦場内に響くと同時、一閃が『ドロッサス・タウラス』に叩き込まれる。
 無論、無敵化の√能力を発動している以上は傷を与えられないが……
「それも、何かを代償として発動するってんなら……与えた攻撃の分だけ、消耗も激しくなるだろう!」
 三倍に強化された能力に対応し、無敵化が解除されるまで剣戟を『ドロッサス・タウラス』へと舞う様に披露していく刃。
 いずれ、無敵化が解除された後にトドメの一撃を与えられるその時まで……息を乱さずに、天武古砕流正統後継者は代々受け継がれる刀を振るっていくのであった。

石動・悠希

「正直、シデレウスカードの解析も終わったから後は放っておいても良いんだが……」
 しかし、相手は『ドロッサス・タウラス』……『シデレウスカード』をバラまいた張本人、いや張本怪人だ。
 ならばと|石動《いするぎ》|・《・》|悠希《ゆうき》(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)は√能力『アシュラベルセルク』を起動する。
「元より製造方法も知ってるだろうし……倒しといたほうがいいだろうな」
 解析が終わっている以上、彼女としてはもう知的好奇心を満たす対象でもない。
 だが、まだ持っていない『シデレウスカード』に関する知識を『ドロッサス・タウラス』は持っているかもしれない――
 その可能性は、決して無視できるものではなかった。
「で、相手は巨体だし見るからに怪力のパワータイプだから……」
 √能力『アシュラベルセルク』は√能力をコピーする√能力。
 ならばこそ、こちらもパワーでやり返すべき――悠希はそう言って『アシュラベルセルク』で複製した『タウラスクラッシャー』を宿した機械の腕を振るう。
 ――星界の力に満ちた堅固な肉体、それを振るって直撃した地点から『一等星の如き光に満ちた世界』を展開。
 そんな性質を持つ√能力をコピーした機械の腕は、人間と融合したベルセルクマシンの戦線工兵としての技量も合いまり……『ドロッサス・タウラス』の腕を粉砕する事に成功する――!
「ヌウッ……!」
「貫通機構を搭載して正解だったね――まぁ必要なもん持ってないなら……興味ないわぁ」
 そんな風に無関心な瞳で『ドロッサス・タウラス』を射抜くベルセルクマシン。
 ――おうし座を司る者は、逆に関心を増した様子でベルセルクマシンに視線を向けるのであった。

音取・容子

「√能力者なら何処かで蘇るとはいえ、簡単に処分するわね……」
 そんな風に呟き、|音取《ねとり》|・《・》|容子《ようこ》(色欲のルクスレギナ・h06315)は『ドロッサス・タウラス』を見据える。
「あぁいえ、アナタが力を与えた故にAnkerの関係だったなら……自称麻薬王は本当に死んだのかしら?」
「奴の星辰は、生きていようが死んでいようが二度と灯らない……其れが全てよ」
 ルクスレギナの言葉に対し、心底軽蔑した様子で『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』を『ドロッサス・タウラス』はそう表する。
「私としてはそれならそれで構わないけど……失敗作でも何度か生死を繰り返せば、そのうちマシになったんじゃないかしら?」
「それは、貴様の目的に関係のある事か?」
「いえ全然」
「ならば、こちらも同じよ」
 瞬間、雷鳴が迸り……『ドロッサス・タウラス』はルクスレギナ相手に強襲を仕掛ける。
 邪悪な雷を発する悪魔の鞭『デビルウィップ』を振るうルクスレギナだが……ここで『スコルピオンアルカポネ・シデレウス』と相対した際の理論が跳ね返ってくる。
「やはり、流石に真っ向からの力比べでは私より上のようね……!」
「どうした、これで終わりか?」
「――元・女幹部がそんな脳筋とは、まさか思わないわよね?」
 瞬間『デビルウィップ』の鞭部分が真っ直ぐの刀身に変わり――死に導く悪魔の呪いを『ドロッサス・タウラス』に付与。
 そのまま変形した『デビルウィップ』……鞭が刃になった『デビルサーベル』が、おうし座を司る者の首をかき切る!
「――やるな、ルクスレギナ……」
 そこで邪悪なインビジブルを使い果たしたのだろう……『ドロッサス・タウラス』は倒れ伏す。
 やがて彼は一時的に√マスクド・ヒーローから消失し……一時的に『シデレウスカード』に由来する事件は沈静化するのであった。

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