シナリオ

ヨーロッパ戦線、異常アリ

#√汎神解剖機関 #天使化事変 #羅紗の魔術塔

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√汎神解剖機関
 #天使化事変
 #羅紗の魔術塔

※あなたはタグを編集できません。

●√汎神解剖機関
 ヨーロッパ各地で、老若男女問わない『善良な人々』が、突如として『天使化』する事件が予知されました。天使化とは『善なる無私の心の持ち主のみ』が感染するとされるヨーロッパの風土病で、人心の荒廃した現代では既に根絶したものと思われていました。この病気に感染すると、ほとんどの場合はオルガノン・セラフィムという怪物に変貌してしまいます。しかし星詠みは、怪物にならず美しく異質な存在に変貌した天使の存在を予知しました。天使は理性と善の心を失っていないものの、今のところ√能力を使えないようです」
 神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が√能力者達を集め、今回の依頼を説明した。
「こうなってしまうと一般社会で過ごしていくのは困難です。しかも、オルガノン・セラフィムが『天使』を捕食しようとしているため、そうなってしまう前に救出する必要があります」
 月那の話では、病気の蔓延が確認されたヨーロッパでは、『羅紗の魔術塔』と呼ばれる独自の秘密組織が存在しているようである。
 そこに所属している羅紗魔術士は、太古より続くヨーロッパ魔術士達の記憶を織り込んだ『羅紗(らしゃ)』を媒介にして戦っているのだが、自国利益の為に汎神解剖機関と対立しているらしく、オルガノン・セラフィムを奴隷化すべく邪魔をしてくる可能性が高いようだ。
 しかも、現地に送り込まれてくるのは、『アマランス・フューリー』という名の強大な羅紗魔術士で、『天使』を発見すれば天使を奴隷化しようとするようである。
「まずはオルガノン・セラフィムに襲われ、訳も分からないまま路地裏を逃げている『天使』を保護してください。アマランス・フューリーは既に『この近辺に天使がいる』ということを察知しており、天使の確保を第一目標としているため、のんびりしている暇はありません」
 天使を追いかけているオルガノン・セラフィムは複数存在しているものの、逃げる事を優先しないとアマランス・フューリーに居場所を知られてしまうため、た注意が必要なようである。
「上手くいけば、館に逃げる事が出来るかも知れませんが、オルガノン・セラフィムは何処までも追いかけてくるため、注意が必要です。また館に逃げる事が出来なかった場合は、多数の『オルガノン・セラフィム』と戦う事になります。最悪の場合、『オルガノン・セラフィム』の回収を狙う『アマランス・フューリー』に遭遇するかも知れません」
 そうなってしまった場合は、アマランスとの直接交戦は避け、可能な限り多くのオルガノン・セラフィムの撃破して欲しいと言う事だった。
 また、アマランス・フューリーは、契約を結んだ仔産みの女神『クヴァリフ』を召喚し、√能力者達に襲い掛かってくる可能性が高いようだ。
「どちらにしても、羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』との戦闘は避けられません。彼女さえ倒す事が出来れば、問題は解決するものの、場合によっては再び路地裏を逃げる事になるでしょう。状況次第ではアマランス・フューリーの奴隷怪異(被害者)達と戦う事になるため、ある程度これを蹴散らしながら安全圏まで逃げなければなりません」
 そう言って月那が√能力者達に対して、天使の保護を依頼した。

マスターより

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?

第1章 冒険 『路地裏を駆けるもの』


エイダ・アダ
明星・暁子
アリエル・スチュアート

●逃亡
「はあはあ……」
 少女は逃げていた。
 見た事がないほど、不気味な化け物から。
 大通りを駆け抜け、路地裏に入り込む。
「はあはあ……」
 振り向くのが恐ろしくて、少女はそのまま走り続けた。
 少女の背中には、翼が生えていた。
 どうして、こんな事になってしまったのか、分からない。
「……う、嘘!?」
 そんな少女を嘲笑うようにして、分厚い壁が立ち塞がった。
「う、うう……」
 ──苦しい。
 息ができない。
 その事を自覚した途端、恐怖で足が動かなくなった。

●身代わり
「何やら、お困りのようね? でも、もう大丈夫よ。例え、どんな事があっても、アタシが守るから……!」
 そんな中、エイダ・アダ(狐獣人の風の精霊銃士・h06414)が颯爽と現れ、少女を守るようにして陣取った。
「あ、あの……、不気味な化け物がっ!」
 少女が怯えた様子で、エイダの後ろに隠れた。
「……オルガノン・セラフィムの事ね。あれは天使の成れの果て。アンタが天使だから、狙われているの。とりあえず、敵はアタシが引きつけるから、今のうちに逃げて!」
 エイダが、わざと大きな音を立てながら、オルガノン・セラフィムの注意を引いた。
「!」
 その音に誘われるようにして、オルガノン・セラフィム達がワラワラと後を追ってきた。
「それじゃ、追いかけっこを始めましょうか。獣人だから、体力にはそこそこ自信があるしね」
 エイダが【将来の可能性】で知られざる潜在能力を覚醒させ、速度を2倍にして、さらにスピードを上げていった。
 それに合わせて、オルガノン・セラフィム達が不気味な鳴き声を響かせながら、エイダの後を追いかけた。

●救い
『こっちですわ。助けに来ました』
 その間に、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)が携帯端末の翻訳アプリを使い、素早く少女に駆け寄った。
「えっ? あの……その……」
 少女が動揺した様子で、激しく目を泳がせた。
 おそらく、誰が敵で誰が味方か分らぬまま、状況に流され、混乱しているのだろう。
 そうしている間も、遠くからはオルガノン・セラフィム達の唸り声が聞こえているため、身体の震えが止まらなくなっていた。
『何も心配はありませんわ』
 すぐさま、暁子が少女を抱きかかえ、【疾風怒濤】で全ての能力値と技能レベルを3倍にした後、一気に路地裏を駆け抜けた。
「ウォォォォォォォォォォォォォオオオオオオ」
 それと同時に、オルガノン・セラフィム達の唸り声を響かせ、ブロック塀を破壊しながら、一気に距離を縮めてきた。
「!」
 その事に危機感を覚えた暁子がブロック塀を踏み台にして、勢いよく飛び上がり、大通りの道路に着地した。

●絶体絶命
「……って、いきなりピンチのようね」
 そんな中、アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)が【妖精達の行軍】で18体のドローン「フェアリーズレギオン」を2体1組に分けて放ち、少女達を見つけ出した。
「とにかく、あなたは館に逃げて! 場所はフェアリーズが教えてくれるから……!」
 アリエルが少女に指示を出し、フェアリーズレギオン達に視線を送った。
 それに合わせて、フェアリーズレギオン達が、ふわふわと飛びながら、少女を館まで導いた。
「キシャアアアアアアアアアア!」
 その事に苛立ちを覚えたオルガノン・セラフィム達が、耳障りな鳴き声を響かせ、少女の後を追おうとした。
「ちょっと待ちなさい。あなた達の相手は私よ。いくら自分達が醜いからって、あんなに可愛い子をイジめたら、駄目よ。そんな事をしたら、外見だけでなく、心まで醜くなってしまうんだから……って、私を無視していこうとしない」
 すぐさま、アリエルがフェアリーズレギオン達に指示を出し、ミサイル「フェアリーチャージ」】で、オルガノン・セラフィム達を牽制した。

第2章 集団戦 『オルガノン・セラフィム』


明星・暁子

●異形の天使
「寄越せ、翼を……。寄越せ……身体を……」
 オルガノン・セラフィムが耳障りな鳴き声を響かせながら、ジリジリと距離を縮めてきた。
「……オルガノン・セラフィムか。天使の《なりそこない》と言った風味だな」
 すぐさま、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)が愛用のブローバック・ブラスター・ライフルを構え、オルガノン・セラフィムの頭を撃ち抜いた。
「寄越せ、顔を……。お前で……我慢してやる……」
 別のオルガノン・セラフィムが唸り声を響かせ、伸び縮みする爪で牽制した後、蠢くはらわたで暁子を捕縛した。
「……随分な言われようだな」
 それと同時に、暁子が重甲に仕込まれた爆薬や炸薬を炸裂させ、内側からオルガノン・セラフィムを爆砕した。
「どうした。爆薬も炸薬も、まだまだたくさんあるぞ」
 その間に、暁子が【ブラスターキャノン・フルバースト】でヘビー・ブラスター・キャノンを召喚し、オルガノン・セラフィム達を薙ぎ払った。
「寄越せ! 寄越せ! お前の心臓を!」
 それでも、オルガノン・セラフィム達は怯む事無く、暁子に襲い掛かった。

エイダ・アダ
アリエル・スチュアート

●危機的状況
(……くっ、館にたどり着く事は出来なかったか! でも、このままだと天使が酷い目に遭うかも知れないし、アマランス・フューリーが出てくる前に、今からでも館に飛び込むか)
 エイダ・アダ(狐獣人の風の精霊銃士・h06414)は複雑な気持ちになりつつ、天使が向かった館に視線を送った。
「寄越せ、お前の命を……」
 そんな中、オルガノン・セラフィムが不気味な声を響かせ、エイダに纏わりついてきた。
「……って、どうして、邪魔をするのかな?」
 エイダがムッとした様子で、【ランダムな殴打】を発動させ、精霊銃を用いて2回攻撃かつ範囲攻撃を仕掛け、オルガノン・セラフィム達を蹴散らしていった。
「何故だ! 寄越せ、寄越せ、寄越せ!」
 それでも、オルガノン・セラフィム達は怯む事なく、次々と手を伸ばした。
(とにかく、天使の子を探さないと……! なんとしても、連れて帰らなきゃ!!)
 その事に危機感を覚えたエイダが、館を目指して走り出した。

●偽りの天使
(さてと、ここからが本番ってところかしらね……!)
 それに合わせて、アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)が、ドローン「フェアリーズレギオン」でオルガノン・セラフィム達を牽制しつつ、高速詠唱で全力魔法をブチ当てた。
「寄越せ、お前の目玉を!」
「寄越せ、お前の心臓をっ!」
 だが、オルガノン・セラフィム達は、怯まない。
 どんなに攻撃を喰らっても、牙を剥き出し、迫ってきた。
「嫌よ、そんなの。そもそも、なんで、あげなきゃいけないの」
 その間に、アリエルがドローン空母「フェアリーズネスト」を飛ばし、援護射撃でオルガノン・セラフィム達を威嚇した。
 それでも、オルガノン・セラフィム達は怯む事なく、頭上に祝福を降らせて、傷ついた身体を全快させた。
「……と言うか、そう言うやり方って卑怯じゃない?」
 次の瞬間、アリエルが【ライトニングレイ】を発動させ、光の魔法でオルガノン・セラフィム達に300回攻撃を仕掛けた。

明星・葵
四角・転
立岩・竜胆

●飢えたケモノ達
「寄越せ、お前のすべてを!」
「寄越せ、お前の……心臓をっ!」
 オルガノン・セラフィム達が飢えたケモノの如く勢いで、ジリジリと距離を縮めてきた。
 既に、標的は天使だけではない。
 奪えるものなら、何でも奪うつもりでいるのか、√能力者達に対しても、敵意を向けているようだった。
「そんなの怖い顔をしても、駄目だよ。天使は絶対に渡さないから……!」
 明星・葵(重装級超常体改造格闘少女・h00947)がオルガノン・セラフィム達を牽制しながら、天使を守るようにして陣取った。
「だったら、お前でもいい」
 オルガノン・セラフィム達が、アッサリと妥協した。
「……って、それは、それで凹むんだけど……。と言うか、天使を求める気持ちって、その程度なの?」
 葵が複雑な気持ちになりつつ、自らの肉体に改造を施し、【神通壊拳】を発動させ、高速連続パンチで牽制し、神通力で捕縛すると、半径20mのクレーターを作る必殺パンチで、オルガノン・セラフィム達に連続攻撃を繰り出した。
「我々が求めるのは、奇麗なモノ」
「美しいモノ、素晴らしいモノ、素敵なモノ」
 オルガノン・セラフィム達が全身血まみれになりながら、√能力者達の品定めを始めた。
「それで、さっきからボクを見ているのかな? いやあ……、嬉しいような、悲しいような」
 四角・転(バカも歩けば√に当たる・h00087)が、まんざらでもない様子で、恥ずかしそうに頬を掻いた。
 だが、オルガノン・セラフィム達に認められたところで、自慢できる事ではない。
 むしろ、面倒事が増えただけなので、サクッと気持ちを切り替え、オルガノン・セラフィム達と戦う事を決意した。
「まあ、そういう訳だから、ボク等に倒されてね」
 すぐさま、転が【霊震】で霊能震動波を放ち、震度7相当の震動を与え続けて、オルガノン・セラフィム達の動きを封じ込め、今までに感じた事がないほどの恐怖を与えた。
「な、何故、こんな事を……」
「我々は、ただ欲しいだけなのに……」
 オルガノン・セラフィム達が、不満そうに愚痴をこぼした。
「さて……、それでは仕上げといきましょうか。この様子では、野放しにしておくと、取り返しのつかない事態に陥る可能性が高そうでございますからね」
 立岩・竜胆(今は古き災禍の龍・h01567)がオルガノン・セラフィム達を捕縛しつつ、霊力範囲攻撃を仕掛けて焼却した。
「ぐぐ、ぎぃ!」
「許すまじ、許すまじ!」
 その事に腹を立てたオルガノン・セラフィム達が伸び縮みする爪で牽制しつつ、蠢くはらわたで竜胆を捕縛しようとした。
「まだ残っていましたか。なるべく苦しませる事なく、一瞬で終わらせるつもりだったのでございますが……仕方ありませんね」
 竜胆がオーラ防御と霊的防護で身を守りながら、【古き龍神の凱歌】で無敵の古龍に変身し、黒炎のブレスを放って、オルガノン・セラフィム達を焼き払った。
「よ、寄越せぇぇぇ」
「お前のすべてをぉぉぉぉ」
 それでも、何体か向かってきたものの、竜胆に近づく事さえ出来ず、次々と消し炭と化して息絶えた。

第3章 ボス戦 『羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』』


明星・暁子
エイダ・アダ
アリエル・スチュアート

●羅紗の魔術士
「なんだ、お前達は……。なるほど、汎神解剖機関の連中か」
 目の前の惨状を目の当たりにした羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』が、フンと鼻を鳴らして毒づいた。
 面倒事が片付いて、仕事がしやすくなったと思い込んでいるのか、まったく動揺してい「……ふむ、私は『汎神解剖機関』の者になったつもりはないが、お前の敵ではあるようだ、アマランス・フューリー」
 すぐさま、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)がブラスターライフルを構え、アマランス・フューリーを牽制した。
「ほお……、私の名前を知っているのか。ならば余計に生かしておくわけにはいかないな」
 アマランス・フューリーが禍々しいオーラを展開し、暁子を見下すようにして吐き捨て、羅紗から輝く文字列を飛ばした。
「問題ない。この戦場は、頼りになる仲間が多いようだからな。いざ……参る!」
 それと同時に、暁子が【静寂なる殺神機】を発動させ、半自律浮遊砲台・ゴルディオンの射程まで跳躍し、アマランス・フューリーに先制攻撃を仕掛けた。
「うぐ……、思ったよりもやるようだな」
 アマランス・フューリーが傷口を庇いながら、グッと唇を噛み締めた。
「そうやって調子に乗っていられるのも、いまのうちだから! それに、お前さえ倒せば、一時的に解決。それで天使を保護できるんだ。……悪いがここで倒させてもらう!」
 続いて、エイダ・アダ(狐獣人の風の精霊銃士・h06414)が、【ランダムな殴打】を発動させ、精霊銃を用いた2回攻撃かつ範囲攻撃で、アマランス・フューリーを牽制した。
「ククッ……、天使の事が心配か? ……安心しろ。天使なら腰を抜かして動けなくなっているぞ? まあ、お前達を殺してからでも、じゅうぶん間に合うだろう」
 アマランス・フューリーが邪悪な笑みを浮かべ、今度はエイダを見下すようにして言い放った。
「だったら、余計に、ここで逃がす訳にはいかないから……!」
 エイダが覚悟を決めた様子で精霊銃を構え、仲間達と連携を取りながら、アマランス・フューリーに重量属性攻撃を仕掛けた。
「……安心しろ。我々がきちんと使い潰してやるからなっ!」
 アマランス・フューリーが禍々しいオーラを展開しつつ、上から目線でフンと鼻を鳴らした。
「……全く、天使のいる所何処にでも現れるわね、アマランスのお姉さん。……で、今回の目的は綺麗な天使? それとも醜い成り損ない? どっちにしろ、貴女の邪魔をさせてもらうわ」
 アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)が、呆れた様子で溜息を漏らした。
「お前も私の事を知っているのか。まあ……、どうでもイイ事だが……」
 アマランス・フューリーが自身の記憶世界『羅紗の記憶海』から、知られざる古代の怪異を召喚し、自分の代わりに戦わせた。
「甘く見られたものね。こんなもので、私達を止められると思っているなんて……」
 それと同時に、アリエルが【妖精達の行軍】を発動させ、20体のドローン『フェアリーズレギオン』を放ち、ミサイルを飛ばして、知られざる古代の怪異を撃破した。
「調子に乗るのは、まだ早いぞ。私は、まだ本気を出していないからなっ!」
 そう言ってアマランス・フューリーが、不気味な笑みを浮かべるのであった。

シュネー・リースリング
八雲・綴
望月・惺奈
龍統・ミツアキ
白籍・ヌル

●アマランス・フューリー
「……本気を出していないって。随分と甘く見られたものね?」
 シュネー・リースリング(受付の可愛いお姉さん・h06135)が、呆れた様子で溜息を漏らした。
「私はまったく、そう思わんが……。そもそも、お前達は強いのか? 数だけ集めれば、イイと言う話ではないぞ?」
 アマランス・フューリーがシュネーを見下し、フンと鼻を鳴らした。
 それだけ、自信があるのか、その言葉に迷いはなかった。
 おそらく、今までは様子見。
 本気を出せば、瞬殺できると思い込んでいるのだろう。
「それじゃ、試してみましょうか。本当に数を集めただけなのか」
 次の瞬間、シュネーが存在感を示しつつ、【Vampirinschlag】を発動させ、吸血鬼の超身体能力で急接近した後、ナイフで斬りつけ、アマランス・フューリーに噛みついて吸血する事で、生命力を吸収した。
「ほお……、私の血を吸うとは、なかなかのグルメ。それだけでも価値がある」
 アマランス・フューリーが噛み跡を押さえながら、ジリジリと下がっていった。
「それって、強がりだよね? だって、涙目だもの。あまり無理をしない方がいいと思うよ? それに本当は分かっているよね? この状況が最悪だって……」
 八雲・綴(遊糸・h03212)が色々と察した様子で、アマランス・フューリーに視線を送った。
「確かに、な。だが、私は言ったはずだ。まだ本気を出していない、と」
 アマランス・フューリーが、自信満々に胸を張った。
「それじゃ、そろそろ本気を出してもらおうかな」
 その間に、綴が【影遊び】を発動させ、影踏みの戯れによる牽制、蜘蛛の巣による捕縛、蜘蛛切と影踏みによる強撃の連続攻撃を与えつつ、アマランス・フューリーの身体に毒を流し込んで焼却した。
「そ、そこまで言うなら、本気を出してやろう! だが、後になって泣き言を言うなよ? いまから本当の恐怖と言うものを味わってもらおうか」
 アマランス・フューリーが存在感を示して、まわりに恐怖を与えながら、リミッターを解除して、自らの限界を突破し、改造を施す事で肉体を変異させた。
「まさか、これほどの力を秘めていたなんて……」
 望月・惺奈(存在証明の令嬢錬金術士・h04064)が、警戒した様子で後退した。
「ククク、だから言っただろ。まだ……、本気を出していない、と」
 アマランス・フューリーが邪悪な笑みを浮かべ、羅紗から輝く文字列を乱れ撃った。
「……ですが、私も遊びに来たわけではないので……」
 即座に、惺奈がリミッターを解除して、オーラ防御を展開しながら、輝く文字例を受け流し、充填したエネルギーを一斉発射して、アマランス・フューリーにカウンターを仕掛けた。
「ククッ、確かに、それは言えるな。だったら、踊ってもらおうか!」
 アマランス・フューリーが禍々しいオーラを展開して、自分の身を守りながら、誘導弾で範囲攻撃を仕掛けた。
「……それはお断りします」
 それと同時に、惺奈がエネルギーバリアを展開し、誘導弾を防いでカウンターを仕掛け、同じように誘導弾で範囲攻撃を仕掛けて、アマランス・フューリーを爆破した。
「なんだ、ダンスは嫌いか。死ぬまで踊ってほしかったんだけどねぇ。それじゃ、お前でいいか」
 アマランス・フューリーが傷だらけになりながら、八つ当たり気味に再び誘導弾で範囲攻撃を仕掛けた。
「お前でいいか、は聞き捨てならんな。そもそも、俺を余裕で倒せるって前提の台詞だろ? それだけ自信があるのは結構だが、正直……見る目がないな」
 龍統・ミツアキ(千変万化の九頭龍神・h00681)が弾道を計算して、エネルギーバリアを展開し、誘導弾を受け流した。
「見る目も何も、私は強い。お前達が生きているのは、ただ運が良かっただけだ」
 アマランス・フューリーが躊躇う事なく、キッパリと言い放った。
「運が良かった……か。その言葉が間違っていないのであれば、これは奇跡のレベルだと思うが……。まあ、いい。ここで力を示せば、嫌でも納得する事になるからな」
 次の瞬間、ミツアキが【創破顕現】を発動させ、龍気で顕現した双頭龍で、アマランス・フューリーを300回攻撃した。
「確かに、お前達は脅威だな。だが、必要なのは、天使だけだ。既に、連れ去られてしまったようだが、お前達は仲間だろ? 拷問でもすれば、すぐに吐くだろ。さあ、覚悟してもらおうか」
 しかし、アマランス・フューリーはまったく臆しておらず、不気味な笑みを浮かべ、羅紗から輝く文字列を放って、白籍・ヌル(まだ無名・h05334)に微弱なダメージを与えた。
「例え拷問をしても無駄だよ。そもそも、何処に逃げたのかも分からないのに……」
 ヌルが霊的防護を展開しながら、残像を身代わりにして、羅紗から輝く文字列を避けていった。
「そんな戯言、信じられるか!」
 アマランス・フューリーがイラついた様子で、衝撃波を乱れ撃った。
「それでも、真実だから……。まあ、どちらにしても、あなたが天使に会う事はないけど……」
 そのタイミングに合わせて、ヌルが衝撃波を放って相殺し、【秘伝・月蝕】で刀による攻撃を仕掛け、アマランス・フューリーの首を刎ねた。
 そのため、アマランス・フューリーは首を刎ねられた事実に気づかぬまま、意識が闇の中に飲み込まれた。

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト