シナリオ

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狸が鼓を打てば蛇神舞う

#√妖怪百鬼夜行 #マガツヘビ #マガツヘビの掟 #5月13日(火)8時半より受付を開始します

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 #√妖怪百鬼夜行
 #マガツヘビ
 #マガツヘビの掟
 #5月13日(火)8時半より受付を開始します

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 ――√妖怪百鬼夜行、讃岐高松城城下。
 √EDENにおいても玉藻城の別名を持つこの城は、広大な内堀に海水を引き入れるという独特な造りを持つ海城として知られる。
 天守閣こそ失われてはいるものの、水手御門は直接海に向けて開く海城独特の門として全国唯一の現存例として学術的価値も高く。
 また、三重櫓として造られた着見櫓は多くの破風に窓の長押型など、装飾性の高い、美しい城である。
 その様な美しい海城の城下に不釣り合いな、怒号の様な咆哮が響いた。
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN》!!!!!!!!!!」
 ――マガツヘビ。
 全ての妖怪たちに伝わる『掟』に討ち滅ぼすべしと伝わり、無限とも称される妖力を備えた、あらゆる妖怪に危険視される超強大な古妖である。
 その復活したマガツヘビの姿を、天守より一匹の狸の古妖が苦虫を嚙み潰した様な表情で窺っていた。
「マガツヘビめ。よりにもよって、儂の膝元である四国に現れようとは。」
 狸の名を隠神刑部。八百八狸の総帥であり、かつては伊予松山城の城主を務め、四国を制覇したとも伝わる古狸だ。
 本来は城主の経験に違わぬ将才、そして変化と謀略を得意とする強力な古妖ではあるが。
 そんな彼でも、自力でマガツヘビを討つ事は不可能であると即座に判断した。
 となれば、将の判断は早い。配下の狸を呼び出すと、その命を伝える。
「誠に業腹ではあるが、我らの側でない星詠みに伝えて参れ。
 ――讃岐を守るべく、『掟』に従い助力を乞う、と。」


「というわけで、√妖怪百鬼夜行の高松で隠神刑部が待ってるにゃ!」
 にゃっ!と切り出したのは瀬堀・秋沙。今日も今日とて浮かせた箒を椅子がわりに腰掛けている。
 何が『というわけ』かはわからないが、いきなり古妖の名を出し、色々と端折っているあたり。緊急事態には違いない。
「|猫《わたし》たちの√妖怪百鬼夜行には、『全てのあやかしよ、マガツヘビを討ち滅ぼすべし』って掟があるにゃ!
 そのマガツヘビっていう、とんでもなく強い古妖が復活しちゃったみたいにゃ!」
 秋沙曰く、その強さは古妖の『椿太夫』ですら『古妖の力だけでは到底足りず、皆の力を結集せねば、勝利は夢のまた夢』と評するほど。
 そう、マガツヘビという強敵の前には、デモクラシーに加わった妖怪や古妖という垣根は無い。掟の『すべてのあやかし』には、古妖も含まれているのだ。
 それで今回は『掟』に従い、隠神刑部が助けを求めて来たという訳だ。

「城を拠点に、刑部の部下の八百八狸たちが奮闘してるんだけどにゃ!国道30号線沿いに攻め寄せて来る小型マガツヘビの群れの相手で手一杯にゃ!突破されるのも時間の問題にゃ!」
 作戦の概要は以下の通りとなる。
 先ず、第一段階として国道30号沿いに北上して来る小型マガツヘビの群れを隠神刑部、そしてその配下である八百八狸たちと共に撃退する。
 第二段階として、城より打って出てマガツヘビ本体に逆撃を加える。
 第三段階として、マガツヘビの討伐に成功した場合、その封印の儀を執り行う、とのこと。

「マガツヘビは、おつむに難があるようだけどにゃ?それを補って余りあるほどのパワーの持ち主にゃ!
 隠神刑部の策や高松の城や町割りをうまく使って、みんなで無事に帰ってきて欲しいにゃ!
 あ、あと隠神刑部から追伸にゃ!『封印の儀は無礼講である。月見櫓にて宴を催し、一差し舞おうぞ。』との事にゃ!」
 ――それでは、いってらっしゃいにゃ!
 ぺっかり。灯台のような笑顔が、強大な敵に立ち向かいにゆく√能力者たちの背中を押した。
これまでのお話

第3章 日常 『妖怪大宴怪!』


 高松城城下におけるマガツヘビとの戦いは、激戦の末に√能力者と隠神刑部率いる八百八狸たちの勝利に終わった。
 然し、物語はこれで終わらない。この黒蛇を封印するという儀式を執り行わねば、真に討伐したとは言えないのだ。
 戦で傷付き、疲れ果てた√能力者たちを前に、古妖・隠神刑部は深々と頭を下げた。
「――各々方、御苦労であった。大義であった。貴殿らのお陰を以て、マガツヘビの討伐が成った。誠に有難く存ずる。」
 高松城城下、番町交差点にて討ち取られたマガツヘビの骸は、隣接する公園へと運び込まれ。
 この骸を中心に、√妖怪百鬼夜行に時折見られる摩訶不思議な構造物……『奇妙建築』が建てられた。

 さて。√能力者たちは今、この奇妙建築の畳の大広間に通されている。
「早速ではあるが、これよりマガツヘビめの肉体を封印する儀式を執り行う。
 なに、その様に構えられるな。貴殿らはただ、この無礼講の宴を楽しんでくれればよい。――さあ、運んで参れ!」
 古狸は将としての顔を捨て、穏やかに微笑むと。ぽんぽん、と腹鼓を打った。
 すると、共に戦った八百八狸たちが高松の山海の幸を次々と運んで来たではないか。
「これがこの『儂』の最後の晩餐となる。この奇妙建築にマガツヘビを封じ、儂の肉体を生贄に封印を固める故な。」
 先の戦いの最中に、とある√能力者に語った『戦はこれきりになる』という言葉の答えが、これであった。
 自身の肉体を使う事で初めて叶う程の強力な封印、人柱。
 つまり、この『隠神刑部』とは今宵限りの語らいとなると、古狸は言外に述べている。
 恐らくは、八百八狸たちも主が人柱になると共にその召喚が解け、姿を消すのであろう。
 神妙な表情を見せる√能力者もいる中で、隠神刑部は呵々と笑い、にやりと口元を釣り上げて見せた。
「ふふふはははは!なに、案ずるな。儂は『肉片』ぞ。儂を封印に使おうと、別の儂が貴殿らに牙を剥く事もあろうよ。
 ――然し、この『儂』は、十分に懐かしき物を味わった。物を喰らうも、今宵限りで良い。」
 狸たちが奇妙建築の障子を開ければ、遠くに月明かりに照らされた高松城の月見櫓。
 そして避難していた妖怪たちが戻りつつあるのであろう、賑わいを取り戻し始めた商店街などの街並み、喧騒が聞こえてくる。
 全て、√能力者たちと狸たちで守った、日常だ。
「さあ、飲めや、歌え!太三郎めの膝元、瀬戸の海の幸を賞味あれ!
 共に戦った勇士に、儂が出来る事と言えばこれくらいだから、のう!」
 その号令と共に狸たちが腹鼓を打ち囃し、室内には刑部の幻術であろうか、桜をはじめとした四季折々の花々が咲き誇り。
 一部では愛媛で有名な歌舞伎を演じたり、舞う者まで出始めた。

 ――さあ、存分に戦勝の祝宴を楽しんで、この封印の儀式を完遂させよう。

※Caution
 ・奇妙建築内での宴です。山海の幸やお酒を楽しむことが出来ます。
 (食べたいものは御指定頂ければ、可能な範囲で描写させて頂きます。)
 ・また、隠神刑部や八百八狸たちと語らったり、歌い踊る事も出来ます。
 ・成人の飲酒は認めますが、未成年(※ステータス上で20歳未満と表示されている方)の飲酒は描写いたしません。
 ・公序良俗に反する行為、また奇妙建築を破壊するような行為は採用いたしません。
 ・グループでご参加いただける場合は迷子防止のため、【】内にグループ名、又はお相手の方のお名前をご記載下さいませ。