狂戦師弟~エンゲージ~
喰竜教団が何を判断して見た目の特徴が多様なドラゴンプロトコルの存在を感知しているのか。疑似的にドラゴンプロトコルに近い存在に変質させることで何かアクションが起こされるのかどうか。そういった疑問から開発された√能力・『熱継生:竜血の祝呪』。
「√能力の開発まで辿り着くのはすごいけど、肝心のやり方についてまるで考えてなかったんだね」
ミルグレイス・ゴスペリジオン(魔境を巡る舞軍師・h02552)は√能力の開発者であり行使者でもある|師匠《パパ》、モルドレッド・アーサー(防導の騎士・h04734)の背中にのしかかるようにして囁く。
「ああ、ミルグレイスか……そうだ。浅はかだったことは認める」
ドラゴンプロトコルである自分の竜漿をAnkerに取り込ませることで成立するこの√能力。肝心のどうやって竜漿を取り込ませるのかというところを考えていやしなかったのだ。それでこうして悩み、腕を組み詰め所に座り考えていたわけだが。
「まあ、そういうところ師匠らしいけどね。もう案は出た?」
「一応な。俺の指先から摂取すればいいのではないかと」
「こうやって?」
ミルグレイスハモルドレッドのいうことを即座に実践するべく、彼の手を取りその親指を自分の口に含んだ。薄紅色のしたが温かくモルドレッドの指に絡みつく。しかし、この時点では彼女を手のかかる娘としか思って居らず、親子のじゃれ合いだと思い込んでいるモルドレッドはときめく様子もなく指を引っこ抜いた。
「俺の指はおしゃぶりではないぞ」
「はいはい……でもそれ、普段鎧来てるから手甲取らなきゃ無理じゃない?」
「あ……」
実はモルドレッド大好きラブリー結婚したいミルグレイスはその程度のことではめげずに至って冷静に方法の問題点にツッコミを入れる。確かにモルドレッドはいつも手甲をしている。指ぬきグローブの時もあるから平気かとも思ったが、場合によっては場所を変えることになるのでは結局第二の方法を考えねばならない。
「それに、他人の血や土で汚れてることも多いよね……」
「うっ」
娘の口に汚いものを入れるのはちょっと……自分の指や血が綺麗だとは傲慢にも言うまいが。
「どうすればいいとおもう」
これ以上思いつかなかったモルドレッドはミルグレイスに案を求める。否定するからには何か代案はあるのだろうなという少し挑戦的な視線は彼がミルグレイスの師匠であるから。
「うーん、折角だったら私がテンションが上がる方法がいいよね」
「ほう、そんなものがあるのか」
「うん、簡単だよ。いまやってもいい?」
「構わないが……」
モルドレッドはミルグレイスのほうに体を振り向かせ、自分にしなだれたりするのをやめ立ち上がった彼女のアクションを待った。
(無防備だなぁ。本当に私の気持ちには気づいてないんだろうな……)
とほんのり切ない気持ちになりつつもミルグレイスは師匠の口元に傷をつける。
「?」
なぜ唇に。と首をややかしげるモルドレッドの顎をクイッっとあげたミルグレイスはそのままモルドレッドの少し乾燥した唇に舌を這わせてキスをする。
「いちいち傷を顔に着けるのか?」
しかし、優しいキス、小学生のようなキスではそれでもにぶにぶにぶちんなモルドレッドには響かなかったようで、ミルグレイスはだったらとさらに悪いことを思いついた。
「じゃあ、一番効率のいい方法にしよう」
「これ以上何w……んっ!?!?!?」
次は、モルドレッドの口の中に舌を捩じ込む方法だった。蕩けるような吐息、甘く、そして癖になる気持ちよさ。性的に感じざるを得ない大人のキス。モルドレッドの舌にミルグレイスの歯が立てられ、小さな傷口が出来る。
「ん、ふ……ま、みるぐれいす……ふぉ」
「はむ、ん……ちゅっ」
モルドレッドは不覚にも、発情した雄のような顔をしてしまっていた。そして気付かざるを得なかった。このやり取りがすべて親子のじゃれ合いなどではないということを。
「ミルグレイス……お前……」
「ね♪ これなら完璧でしょ。私のテンションも上がるし」
隠す気のない挑発的な牝の微笑み。全力で伝えられた好き。モルドレッドは先ほど指を舐められた時の彼女の顔を思い出してしまう。
「……っ!!!」
動揺せざるを得ない。娘に、モルドレッドのモルドレッドがどうしようもなくそそり立ってしまうなんて。そして、彼女の自分への感情が……。
「この件はいったん保留にする」
結果、モルドレッドはその場から逃げるように立ち去り、今度はこの√能力を本気で封印するかについて頭を悩ませることになるのであった。