シナリオ

空飛ぶ円盤型捕獲装置

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「皆さま、お集まりいただきありがとうございます」
 ヴェイカー・ベークス(目指せパン罪者・h01060)は一礼すると、資料を広げる。
「此度はウォーゾーンにて厄介な罠が仕掛けられている事が判明しましてね……」
 資料の中から地図を広げると、とある地域を指し示し。
「あの世界の敵さんの中でも、人類を生体資源として収集する一派が動いているようでしてねぇ……」
 胡散臭い言い回しで、ヴェイカーが言う事には。
「この近辺には生体反応を感知すると、頭上から挟み込むようにして確保、輸送する浮遊機が隠れておりまして……アレですね、ゲーセンのユーフォーキャッ……げふんげふん。どっかで見たアミューズメントマシンの一種のような代物です」
 おかしいなぁ……人類狩りのヤベー依頼のはずなのに、急に緊張感がクラッシュされたなぁ……。
「何はともあれ、皆様にお願いしたいのは現地民の救助。飛来するドローンの破壊も選択肢ではありますが、ドローンはさておき、浮遊機のコントロールユニットの位置は判明しております。こちらを乗っ取り、現地民を捕獲後、罠地帯の向こう側で解放するパターン。もしくはあえてドローンに捕まり、運ばれた先にある収集用の電磁檻を破壊して既に囚われた人々と共に逃走するパターンもありえます」
 ザックリ、壊す、奪う、逃げるの選択肢があるっぽい。
「それでは皆様、ご武運をお祈りしておりますね?」
 ヴェイカーが会議室の扉を開くと、その先は何故かウォーゾーンの該当エリアに繋がっていた……。

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第1章 冒険 『ドローンを撃墜せよ』


アーシャ・ヴァリアント
香我美・鈴果
黒木・摩那
アリス・セカンドカラー

 指定地点に広がっていた物は、瓦礫の山。この世界線……ウォーゾーンにおいて建造物は自動修復機能がある故に、それは奇妙な光景であった。しかし、現地の人類にとっては簒奪者の手が加えられていない貴重な場所に見え、そこら中に転がっているスーパーマーケットやコンビニの看板は、保存食が残っている可能性を示唆している。
 そこに一縷の望みをかけて、彼らはこの場所そのものが巨大なネズミ捕りだとも知らずに踏み込んでいくのだ……そんな現地を目視したアーシャ・ヴァリアント(ドラゴンプロトコルの竜爪格闘者・h02334)の第一声がこちら。
「うん、面倒だからぶっ壊しましょ」
 新手の脳筋かな?
「操ってる場所が分かってるなら、ちんたら機械を奪ったり乗っ取ったり面倒じゃない」
 いやまぁ、気持ちは分かるんだけどさぁ……とりあえず、アーシャは事前にコントロールユニットの位置をマークした地図を片手に竜翼を広げて、大きく羽ばたきながら跳躍。上空へ舞い上がると、フォンフォンフォン……妙な音を立てながら円盤めいたサムシングが飛来して、円形の縁に沿って接続されたアームが開き、アーシャを頭上から捕え……。
「邪魔」ドゴシャァ!!
 雑にぶっ壊したー!?もっと感想とかツッコミとかないのか!?観測している身としてはそんな思いを叫ばずにはいられないのだが、当のアーシャは敵の外観などどうだっていいらしい。表情一つ変えずに自分の頭上にピッタリ張り付いた浮遊機相手に、アームが閉じるより先に自分から突っ込んでアッパー!ど真ん中に鉄拳を叩き込んでデストロイ!!
「はてさてこんな緊張感のない罠を仕掛けてるのはどんな奴なのかしらね。まぁどんな奴でもグシャグシャのポイにするんだけど」
 グシャグシャっていうか、真っ二つにぶっ壊された円盤浮遊機を見るに、これ戦闘に入ったら結構無惨な事になるんじゃないのかな……?なんて思っている間に、アーシャはコントロールユニットの所へ飛んでいった。
「初手から豪快な方がいらしたようですね……」
 瓦礫の山の向こうで巻き上がる大爆発と暴走する浮遊機を遠目に眺め、「うわぁ……」って顔をする黒木・摩那(異世界トラベラー・h02365)はカメラ(?)に気が付くとコホン、咳ばらいを一つ。
「円盤で人間を攫うというのは、『キャトルミューテーション』と呼ばれるそうです。同じようなことを行う簒奪者もいるのですね」
 こいつ……何事もなかったかのようにクールキャラを装ってやがる……!
「宇宙人の伝統芸?を模倣する簒奪者をヒーローとしても、一宇宙人としても見過ごせません。一刻も早く、さらわれた人を助け出します」
 グッと拳を握り正義感を醸し出す摩那……ダメだ、初手のあの虚ろがかった半眼が記憶に残って真っ当なキャラに見えない……。
「どうせこうなるとは思ってましたよ!それでも私は常識人枠じゃないですか!もっとまともに扱ってくれてもいいんですよ!?」
 うるせー!俺の所に来たらロクな目に遭わないって分かってて来たお前が悪いんだろ!?
「だからって初っ端から大爆発を起こす人が出るなんて思いませんよ!!」
「あら、何か問題でもある?」
 そこへコントロールユニットの一基を破壊したアーシャが戻ってくると、冷ややかな視線を向けて。
「ここは戦場、目の前には敵。殴って潰して捨てる以外に、何かやる事がある?」
「いきなり制御装置を壊したりしたら、既に捕まっている人がいる電磁檻の方にも影響が出ませんか?」
「……?」
 摩那の質問に、アーシャは「この人は何を言っているの?」という顔をして。
「それじゃ、アタシは他のを壊しに行くから」
 とだけ言い残して飛んでいってしまった。これはアレかな?
「あの人、他人という存在に興味が無さ過ぎませんか!?」
 まぁ、ゆーてね。檻と浮遊機が別個の制御装置の可能性もあるからね。
「別個じゃなかったら?」
 電磁檻があーなる(信号が来なくて不規則に上空で荒ぶる円盤浮遊機)。
「ダメな奴じゃないですかー!?」
 とはいえ、壊されたコントロールユニットはまだ一基。暴走していない円盤は正確に摩那を狙って飛来してくる……。
「これは急がないと人的被害が出たり出なかったりするパターン……早急に片付けます!」
 既に消耗品……もとい、ツッコミ枠の片鱗を見せ始める摩那は眼鏡のレンズ上に飛来する円盤の航行速度から数秒後の予想到達点を割り出すと、ヨーヨーを投げては戻し、徐々に加速させて。
「まずは一機……!」
 大きく腕を振りかぶり、弧を描いて飛ばされるヨーヨーはワイヤーを伸ばし、円盤にワイヤーをぶつけて、クンッ。高速で射出されたボビンは鋭角的に折れ曲がり、円盤を側面からパァン!!見事に粉砕してしまった。
 さて、ここまで二人共円盤の破壊を行って来たわけだが……。
「はっ!この気配……感じた事がないはずなのに本能的な何かが警鐘を鳴らしている気がします……!」
 摩那が突然身震いすると、上空には敵の円盤に紛れてなんかこー、黒と蛍光ピンクが入り乱れて実に目に優しくない感じの円盤が飛んできて、地上に向けてスポットライトを照射。光の中から、アリス・セカンドカラー(時間と空間を超越する唯一つの窮極的かつ永遠の少女・h02186)が踵を揃え、両の手を軽く開き地上を睥睨しながら降臨。
「お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。私は妄想の産物……人工未知霊体なので、あなたが想像する私である」
 なんかヤベー事言いながらヤベー奴が出てきた!?
「あの人は何というか、いつも通りですね……いつも?」
 記憶にないはずの事を口走り、自分自身に首を捻る摩那は一旦置いといて、とりあえず奴を何とかせねば……。
「何やら敵でも味方でもないモノに警戒されている気がするけれど……私程取り扱いのしやすい存在はなかなかないわよ?」
 すちゃり、何故かアリスは包丁とフライパンを構えて。
「料理には『物事を上手く処理する』という意味もあるので、だいたいのことは料理技能でなんとかします」
 ドヤ顔で何を言っているんですかねぇ!?
「それはどれとして」
 どれとして!?
「調理とは食べやすいように加工することでもあるので……」
 何やらアリスが説明を始めようとしたところで、ジャキィン!降りてきた円盤がアリスをキャッチ。ユンユンユンユン……そのままどこかへと運んでいった……だがしかし!
「あら、食材の方から来るだなんて、サービスが良いじゃない」
 というわけで突然ですが番組変更のお知らせです。
「アリスクッキーング☆まずは円盤に良い感じの切込みを入れてあんな感じにカット。こんな感じに混沌魔術で味付けしながら運命調律で調理を進めて……完成したものがこちらになります」
 ててーん!円盤浮遊機は中性的な顔立ちで「ほぇ?」って顔をした電波系銀髪美少女風男の娘になりました!!
 ……俺は何を解説させられているんだ?
「ではでは~、あとはくずみーますたのお好きなように料理してくださいな♪」
 ダストシュートへGO!!
「何故ッ!?」
 空中で敵さんを改造……じゃなくて、調理したために飛行能力が失われた円盤だったモノとアリスは瓦礫の山の向こうに墜落。あいつのヤろうとしている事を一々詳細に書こうとすると倫理的なアレコレに引っかかりそうだからな……。
「つまりこの不法投棄は合法行為の為の隠しスペース!?うふふそれなら円盤系男の娘からエナジードレイン(意味深)しておくわね……♪」

 俺は 何も 見なかった。

 はい次ッ!!
「えーと、つまり?空飛ぶ円盤に乗って先に捕まった人の所に行けばいいんだね!」
 この流れでその提案をされると不安しかねーんだが!?こちらの恐怖など知った事ではない香我美・鈴果(人間(√EDEN)のゴーストトーカー・h01420)は物陰の向こうから聞こえてくるアリスとさっきまでいなかったはずの『誰か』の声を聞きながら。
「捕まってる人の所に連れて行ってくれるなんて親切だね!空のひらけた所ウロウロしてたらすぐお迎え来るかなー……空飛ぶ円盤って高いのかな?」
 この純粋無垢な子が、純粋なまま帰る事はできるのだろうか……?
「まるで私達が純粋ではないかのような言い方ですね?」
「そうよー、不服申し立てするわー」
「あっ、あぁっ……」びくんびくん
 摩那とアリスの不満げな声に混じって何か聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。
「途中で落とされたらヤダなー」
 などと、開けた場所をてってこてってこ、お散歩していた鈴果へ不意に影が落ちると。
「あれ?」
 両脇の下にアームを挿しこんで挟み、ぷらーん、した格好になった彼女を円盤が運んでいく……。
「わー、結構高ーい!」
 きゃっきゃとはしゃぎながら、顔にそよ風を感じる程度の速度で飛んでいく円盤から周りの景色を楽し……もとい、逃走経路の確認を怠らない鈴果。彼女が空中からぺいっと放り出された先は、これまた円形の皿のような物の上だった。そこには項垂れた人々が膝を抱え、あるいは横になって転がっており。
「みんな、どうしたんだろう……?」
 とりあえず、皿から降りてみようとすると、バチッ!
「……ビックリした。なるほど、ここから離れようとすると、電気が流れて出られないんだね!」
 檻とは名ばかりの、逃走防止装置を前に鈴果は卒塔婆を取り出すと上下を逆さまに握り込み。
「危ないお皿なんて、卒塔婆で壊しちゃうぞ。こんな檻なんてドーン!なんだから!!」
 ドゴォ!!本当にやりやがったー!?足元の装置に向かって卒塔婆をグサァ!突き刺さった卒塔婆から一気に亀裂が走り、皿っぽい装置は大きくスパークすると、プシュゥ……煙を上げて動かなくなってしまった。
「これでもう大丈夫!みんな、一緒に逃げよう!大きな音だしちゃったから急いで!急いで!」
「おぉ……!」
「ありがてぇ」
 鈴果の声にぞろぞろと続く人々だが、中には。
「た、助かると思ってなかったから、長い事座ってて足が痺れて……」
 などと動きが鈍い者もいる。
「じゃあ私が肩を貸すから!!」
「すまないね……」
 人を支えていては、逃げ足も遅くなる。彼女達の背後に異常を察知した浮遊機が迫るも。

 \チュドォオオオン/

『!?』
 能力者も、現地民も、ついでに浮遊機も、一斉に振り返った。そこには爆炎の中から悠然と姿を現し。
「何?見せものじゃないんだけど」
 コントロールユニットをダイレクトクラッシュしてたアーシャだー!?
「わー、都会って派手な事をする人がいるんだね……」
 鈴果が何か間違った知識を身に着けてしまった気もするが、現地民の避難はこの隙に完了するのだった。

第2章 集団戦 『シュライク』


「ドローンの破壊を確認、現地状況を確認します」
 みょんみょんみょん……またしても円盤めいたものが飛んでくるが、先ほどまでと異なり、アームの代わりに人形っぽいものが付随している。どうやらドローンをぶっ壊した為に、敵がいると認識されて控えていた簒奪者が現場確認の為に姿を現したようだ。
 彼女(あるいは彼)らは、能力者を認識すると。
「敵勢力を確認、排除します」
 急降下して襲い掛かって来る……!


※次回執筆は今日の夕方から夜にかけて。プレイングの集まり方次第で進めていく予定です
アーシャ・ヴァリアント
香我美・鈴果
アリス・セカンドカラー
黒木・摩那

「よしよし、元凶が出てきたわね、やっぱり何も問題なかったじゃない」
 ドヤッとふんぞり返るアーシャだが、今回は何とかなったんであって、場合によってはエライ事になっていた可能性がある事を忘れないでほしいものである。
 そんな彼女が対峙している相手は円盤を背に浮遊させて飛来する簒奪者なのだが、コレを見た摩那がぼそり。
「今度はUFOキャッチャーの親玉みたいなのが出てきましたね。でも、UFOが強烈過ぎて、本体?の印象が薄いような……いるの?」
『!?』
 あーっと!シンプルな疑問が思いっきりマシンのはずの簒奪者のメンタルを抉っていく!!
 表情一つ変えずにシステムのパフォーマンス(人類で言うテンション)を下げてしまった敵さんをジッと見つめる摩那は。
「……でも、いないとますます個性が無くなりますね」
 敵さんを遠回しに無個性だと誹り、うんうん。納得するように頷く。
「ここで足止めを食っている場合ではないので、サクサクと倒していきましょう」
 戦闘用のナイフって言われた方がしっくりくる、刃が細長い包丁を構える摩那。しかし、向き合った敵さんは。
「完全機械に至る為に、やはり個性が必要と認識……」
 空中に浮いたまま、膝を抱えて虚空に『の』の字をぐーるぐーる……。
「あ、あれ……?」
 まさかの反応に、この状況を引き起こした本人の眼鏡がずり落ちるほどに気が抜けてしまっているが、お前時々、無意識に酷い事言うよな……。
「これ私が悪いんですか!?」
「敵に関してはさておき、私に関してはあなたのせいね……」
「え?……えぇ!?」
 なんかいつもより低い声のアリスに振り向けば、なんかこう、エリンギからシメジが生えて、傘の代わりにエノキが広がってるようなアレになってた。
「アレってなんですか!どう見てもキノコのキメラですよ!!」
 摩那から解説という名のツッコミを頂いてしまったが、なーんでこんなことに?
「まぁ、こっちの私って能力者の脳内の存在がインビジブル融合で実体化してるだけだから、割と周囲にいる人の影響を受けるのよね。例えば、今回の敵がこーいうーのがきたら嫌だなって感じのイメージが反映されたりとか、強烈な感情を抱いているとその余波を受けたりとか……」
 つまり、摩那の爆弾発言が原因で敵さんがめっちゃ落ち込み、そのヘコみ様の影響を受けてアリスがじめっとした菌類に……。
「そんな事ありますか!?」
 とまぁ、漫才やってる間に敵さんの中には敵意を持ち直した奴もいるわけで。
「人間は個性を顔で表現する生物と仮定。お前も無個性にしてやろうかー」
 声音に抑揚こそないが、物凄くしっとりした殺意が込められた金属の槍を携えて、敵さんが急降下。これに対し真正面に立ったアーシャは自分の体を隠すように竜翼を丸めると、肉体を巨大化させて突風と共に翼を広げる。そこにあった彼女の姿は、完全な竜の姿を化しており、竜鱗は金属程度の得物など弾き返した。
「この程度で対処できると思っていたの?舐められたものね」
 衝突の反動で後方に引いた簒奪者だが、その機体を爪に引っ掛けるようにしてぶん殴り、叩き落したアーシャは背中を踏みつけ、押さえ込むと上から業火の吐息を吹きかける。瞬く間に熔け落ちた敵の機体を踏み躙り、鼻で笑った竜は、チラと後方の味方に視線をやり。
「さて、他の連中が手こずってるようなら代わりにぶっ飛ばしてあげるけどどんな様子かしら」
「えー、空からとかずるーい!こっちに来るのが丸見えだから別にいいけどねー」
 鈴果が上空から攻めて来る敵に文句を言ったかと思えば、膨れていた頬からハッと空気を抜いて。
「もしかして、空を移動するのが都会の流行なのかな。雨の日とかどうするんだろ?大変そうだよね……うーん、世の中まだまだ知らないこといっぱいだなー」
「……」
 アーシャの親戚にもとんでもない世間知らず……もとい、天然な少女がいる。その娘と姿を重ねて「この子大丈夫かな……?」なんて気を揉んでしまったのがいけなかった。
「あっ」
 ふと、目があった鈴果が無邪気な顔で。
「無敵の竜になって何かしようとするとすぐ疲れちゃうんだよね?ということは、私が吹き飛ばしてあげれば楽に敵を倒せる!?」
「……は?」
 この子は何を言っているのだろう?唐突にとんでもない事を言い出した鈴果の意図する内容を読み取れず、アーシャが困惑している間に鈴果は卒塔婆を振りかぶり……空振り。
「ありゃ?気を取り直して、もう一回!」
「いや、そもそも私を殴っても意味ないから……」
 当たった時点で消耗する事には変わりがないため、一撃目を避けたアーシャ。だがしかし、空ぶった為に卒塔婆の中に宿っていたあれやこれやが辺りに飛び散って……。
「今度こそ、いっくよー!」
「だから私を叩いても……」

 カッキィイイイン……!!

「えぇえええええええええ!?」
 干渉完全遮断を五割でミスるという、五割を引いて吹き飛んでいくアーシャ……ただし、今の彼女は竜の姿であり。
「緊急回避を試みま……ぷぎゅ!?」
 翼も広げて投網よろしく、広範囲に命中範囲を持ち、それはもーたくさんの敵を巻き込んで落下してきた。
「浮いてるのは届かないからね。やっぱりドーン!でカーン!が一番早い!!」
「そこに私を巻き込まないで欲しかったのだけれど……!?」
 若干、イラッ☆としつつも、ワラワラと飛び回っていた敵を一掃できた為に深くは追及しないアーシャ。そんな彼女の体の隙間から抜け出した簒奪者は態勢を立て直し。
「再浮上、開始……」
「逃がさないんだよー!!」
 再び飛び上がろうとしたところに鈴果がジャーンプ!からの、脳天に卒塔婆をバッコーン!!良い子はマネしないでね?
「機能……停、止……」
 コテン。頭をぶん殴られた簒奪者はスパークを散らし、力尽きた。しかし、敵さんはまだまだ上空に集っている。コレをどうした物かと思っていたら。
「さて、どう料理してくれようかしら?」
 何やら怪しげな笑みを浮かべるアリスがデッカい鍋をぐーるぐーる……青い光を放つスープを混ぜていた。
「Webサイトの辞典でちゃんと調べたのよ?問題に対処する、解決するって意味で料理するって表現があることを」
 あれね、漫画とかで敵さんがニチャァしながら「どう料理してくれよう……」とか言ってるようなやつ。
「だから、調理器具は別に必要はないのよ?まぁ面白くなりそうなら普通にもちだすけど♪ではでは、今回もお好きに料理してくださいな」
 そこを俺に投げるんじゃねぇ!お前が料理になるんだよォ!!(ドンッ)
「……えっ」

 \ドッポーン/

「アリスさんが謎の力に突き飛ばされてお鍋の中に!?」
 摩那の目の前で鍋に落ちたアリス。しかし、おたまは調理者がいなくとも勝手に回り続け……ぐつぐつぐつぐつ、ボォン!
「びぃやぁああああまずぃいいいいいい!!」
 栄養価を最優先にした為に味が悲惨な事になっている液体に煮込まれたアリスは、敵さんの影響を受けてキノコっていた事もあってか、巨大な菌糸の塊になって鍋から飛び出した!すると、まるで虚空に蜘蛛の巣でも張るかのように菌糸が伸び、簒奪者を絡めとると、機体の隙間からスススッ……。
「ひ、酷い目に遭ったわ……やはりお任せプレはリスキー……!それはそれとして、えっちなのうみそおいしいです❤」
「あっあっあぁん!」びくっ……びくっ……
 電子回路を菌糸で侵食し、   な妄想(一部自主規制)を流し込んでバグを引き起こすという、菌類っていうかウィルスみたいな事をしていたアリスが、急にキリッと表情を引き締めて。
「さぁ、私が動きを封じているうちに仕留めるのよ!」
「この流れで真面目な戦闘をするんですか!?」
 そりゃー、   な妄想で表情を変える機能を持っていないはずの敵さんがアヘ顔晒してる所に斬り込んで来いなんていわれたら、同意の前にツッコミを返すわな。
「でも、色々と贅沢は言っていられませんしね……」
 などと、摩那がマグロ包丁を構えた瞬間である。
「敵意を感知」
「しまっ……」
 眼鏡に仕込まれたシステムが警鐘を鳴らすも、既に距離を詰めた敵の金属爪が眼前に迫る。直撃を回避しようと包丁を起こしたところで。
「はい、ざーんねーんでーした☆」
「ひぃ!?」
「あふん……」
 急に耳元で聞こえたアリスの囁きに摩那は背筋がゾクリと粟立ち、無数のキノコに絡めとられた敵は攻撃姿勢のまま動きが止まる。
「これだけ派手に『私』を散らしたのだもの。そう簡単に私の菌床から逃げられるとは思わない事ね……って、これ、同背後のネタだったような……そもそも同背後って……うっ、頭が……」
 余裕の笑み、疑念の眉間皺、突然の強烈な頭痛と三段顔を披露したアリスだが、何はともあれ敵の動きは鈍った。
「今です!」
 摩那が空中にばらまいたコインが獅子座を描き、光の粒子になって彼女の体を包み込めば、正座と英雄の力を宿した姿に変身。手にしたマグロ包丁はマグロと獅子の長剣に姿を変えて。
「形はどうあれ、有効なのが釈然としませんね……!」
 強化された跳躍力に対し、空中に張り巡らされたアリスの菌床は敵の動きを抑えるのみならず、飛行能力を持たない摩那にとって、上空の敵を叩き斬るのに好都合な足場となるのだ。
「見た目からして毒キノコと、食べられそうもない無機物なのが残念ですが……これでトドメです!!」
 摩那は不服そうな顔をしつつ縦横無尽に飛び回り、菌糸の拘束もろとも敵陣を木端微塵に斬り捨ててしまうのだった。

第3章 ボス戦 『統率官『ゼーロット』』


「まったく、何故私が生肉の収集などをしなければならんのだ……」
 ぶつくさ文句を言いながら、現場監督っぽい簒奪者が戦場に顔を出す。するとどうだろう。檻に収まっているはずの生肉(人類)の姿はなく、そこら中に部下だったモノや設備だったモノの残骸がとっ散らかって、集まった能力者が「あ、なんか来た」みたいな顔でこっちを見ているではないか。
「お、お前等……誰がコレを片付けると思っている……やはり生肉は余計な事しかしない連中だなぁ!?」
 というわけで完全にプッツンしたボスとの戦闘ですってよ!


※次回執筆は明日の午前中の予定。朝八時くらいまでにプレイングくれたら嬉しいなー?
アーシャ・ヴァリアント
香我美・鈴果
黒木・摩那
アリス・セカンドカラー

「何かイカみたいな奴が出てきたわねぇ」
「イカぁ!?」
 アーシャの第一印象に敵さんは人類側の記録めいたサムシングでイカとはなんたるかを知っていたらしく、何やら衝撃を受けていたが、その反応をアーシャはよく知らないものと勘違いして。
「ほら配管工のおじさんが踏んづけたり火あぶりにしてるやつ」
「おいバカやめろ、そこから先はこの世の深淵に触れる気がするぞ……!」
 本当にね!?あそこの人達怒らせると怖いんだから……!
「他と違う格好の人が来たよ?お片づけしに来たの?清掃か廃品回収業者さんかな?」
 あばばばばば……ガクブルする敵さんを前に鈴果がきょとり。見当違いな判断に敵さんは震えながらも。
「ちっげーよ!どっからどう見てもお前らを始末しに来たって分かるだろ!?最近の生肉は頭が足りていない……」
「え?生肉?私はお肉はしっかり焼けた方が好きだよ!生肉はお腹壊しちゃうからダメなんだよ!ていうかおじさん、豚の頭とか平気で食べるタイプ?それとも外国みたいにヤギさんとか羊さんのを……?」
「食い物の話じゃねぇええええ!!」
 敵さんが頭を抱え始めたところで、摩那はお腹をさすり。
「お肉の話を聞いたせいか、ちょっとお腹がすきましたね……海外の独特の料理はさておき、ですが」
 そして改めて敵さんを見る。言われてみればイカっぽく見えない事もないが。
「おっと、今度の敵も金属ですか?ここの簒奪者は鉄分が多くて、食べられないものばかりなのが難点ですね……クッ、サイズ感的にはお腹いっぱいに食べられそうな雰囲気ですが、どうしても人間臭いデザインのせいで気色悪くて食欲が絶妙に湧いてきません……!」
「私、理不尽な評価を下されてないか……?」
 悔しそうな摩那に、もはやげんなりしてきてしまった敵さん。そんな彼の前で恭しく一礼したアリスは。
「私はあまにー……違う違う私はアリス、あっぶなー」
「まともな奴かと思ったら、コイツも頭がヤバそうだな……」
 礼儀をわきまえているのかと見せかけて、某白衣の天使(意味深)に精神を侵食されかかっていたアリスが持って行かれる前に自我を引き留めて、額の冷や汗となめこを拭う。
「ともあれ次の生贄……もとい、敵はあなたね」
「何?」
 この世界において、簒奪者は人類に勝利している。言ってしまえば敵さんにとって人類は能力者含め格下なのだ。それが、自分の事を生贄などと言いかけた。
「どうやら私の事を舐め切っているようだな……この生肉収穫計画を任された私の実力をお見せし……」
「あ!みんなを捕まえた黒幕さんか!」
 敵さんがいかにもボスっぽいムーヴしてる途中で、鈴果がようやっと状況を理解したらしく、ポンと手を打つと卒塔婆を構えて。
「邪魔するなら卒塔婆でドーンだからね!」
「……ふん、やれるものならやって」
「みんなを捕まえるなんてメッ!なんだからね!」
「おい、私のセリフに声を被せるんじゃ……」
「反省しなさーい!」
「私の話を聞けぇええええ!!」
 卒塔婆で殴り掛かって来る鈴果を相手に、敵さんはイカイカ言われてたせいでそのようなものをイメージしてしまったのか、スルメイカっぽい長剣を生成。卒塔婆と鍔競り合いになるかと思いきや。
「踏み込み、腕力、共に優れていようとも、所詮は頭の足りぬ生肉よ」
「あ……!」
 卒塔婆の窪みにスルメを合わせ、いなし、後方へと逃す。体勢を崩した鈴果の背に斬りかかろうとする簒奪者だったが。
「死ねぇ!!」
「あれ、そのスルメ、なんか焼けてない?」
「そのような戯言に私が騙されるとでも思っ(ボォン)てゅわぁああああ!?」
 なんということでしょー、敵さんの武器は一回使っただけで爆発してしまいました。
「こんなことあるんですか!?」
 摩那、お前にはこの意味が分かるだろうから伝えておこう……ダイス振ったら01が出た。
「あっ」
「十三パーセント……引いちゃったのね……」
 摩那同様、意味が分かってしまったアリス。二人は並んで、確率の犠牲になってしまった敵さんに向かって敬礼を贈るのだった……。
「何を私が死んだかのような空気を出している!?」
「わっ!イカさん、コンガリしてるけど元気だよ!?」
「誰がイカだぁああああ!!」
 さすがにまだ生きてる敵さんがビックリした鈴果に怒鳴り返すと、アーシャは鈴果に向かって走り。
「え、なになに!?」
「そのまま」
 短く答えて鈴果の肩に手を置いたアーシャは、彼女を踏切板代わりに腕力と脚力を合わせて敵の頭上まで跳びあがる。
「馬鹿め、空中では身動きがとれまい」
 狙い撃ちにしようと、飛び道具を生成しようとする簒奪者……しかし、周囲には先ほどいなされ、空振りに終わった鈴果の卒塔婆から噴出した『何か』が漂っており。
「な、なんだ?新兵装の構築が妙に遅い……というかフリーズしてないか!?」
「そのまま永遠にグルグルしてなさい……ッ!」
 空中で一転し、体重、脚力、遠心力を一点集中させた竜鱗製の靴。その踵が簒奪者の脳天を直撃!!
「とんびっ!?」
 命中の衝撃でお星様とイカさんを散らしてクラクラ揺れる敵さんを前に、アリスが指をパチン。
「チャーンス☆」
「のわぁー!?」
 ぎゅるんと蠢いたアリスの影が簒奪者を取り込んで、球状に固まるとそこに向かってアリスもぴょーん。二人を呑み込んだ影の球体は風船のようにあっちが膨らんだりこっちが膨らんだりしながら。
「離せ!何をする!?やめろー!?」
「うふふふ……ちょっとナニをするだけ……クリームパイを作るだけよ……」
 ぬっちょぬっちょねっちょねっちょ。普通、戦場ではしないような水っぽいような肉っぽいような、名状しがたい音を立てながら球体は形状を荒ぶらせ、中でどったんばったんやっていることが窺えていたが。
「えぇい!付き合っていられるか!!」
「逃げちゃダーメ♡」
 一瞬、ズボッと飛び出して来た簒奪者が、ニュルッと引き戻された。この光景に摩那はハッとして。
「この隙に二人まとめてやれって事ですね!?」
 そーいや、さっきはそんな流れでしたね。
「綺麗好きのようなのは同情しますが、自らの計画を阻止されて、怒っているのは何よりです……ついでにアリスさんに弄ばれている隙に、トドメを刺しますよ!」
 とまぁ、摩那がヨーヨーの質量のみを拡大するという謎技術でタメに入った所で。
「はっ!ギャグ殺しに狙われている気配?このままでは私は簒奪者諸共ヤられる!?」
 影の中で何かに気づいたアリスが、半ば生肉(意味深)になっている敵さんにしがみ付き。
「いやおかしいだろう!?仲間にやられそうなら、私を解放して逃げる所ではないのか!?」
「そんな中途半端な方法で助かるはずないでしょう!?そうよ!あなたインビジブルと入れ替わるテレポートとかできたタイプよね!?どうせ鈴果さんのルートアタックで成功率五割になってるんだから、テレポートに成功して私を引き剥がす事に失敗したって感じで、一緒に転移できないかしら!?」
「できなくはないかもしれんが掴まれていたらそうもいかんだろう!?ていうか周囲をこの球体に囲まれていては転移先が目視できないのだが!?まずは私を解放しろ!!」
「嫌よ!解放したら絶対自分だけで逃げるでしょう!?どうせ逃げられないならあなたを盾にして少しでも痛みをやわらげ……」
「行って!エクリプス!!」
「「するめっ!?」」
 あーっと!射出された超重量級ヨーヨーが影ボールに命中!その衝撃で中の二人は影の中を跳ね回りながら、微妙に食い込んだヨーヨーは念動力により、軌道を直角に押し上げて上空へ。
「これでフィニッシュです!!」
「「ぎゃぁあああああああ!?」」
 摩那が一気にワイヤーを巻き戻せば、球体はすさまじい速度で急降下。中でアリスと簒奪者は抱き合いながら一緒に落ちて来て……ズドォン!!
「アリスさん……あなたの貢献は忘れませんよ」
 摩那がヨーヨーを戻すと、地面に叩きつけられた影の球体が消え、真っ白になって倒れている敵さんは。
「これだから生肉は嫌なんだ……」
 サラサラサラ……なんか、泣きながら消えていかなかったか?
「で、スクラップはいいとして、そっちは?」
 アーシャが目をやったアリスの方は、地面に仰向けにひっくり返って全身を不規則に震えさせており。
「大丈夫?生きてるー?」
 つんつん、鈴果が卒塔婆でアリスを突っついてみると。
「勝てばいいってもんじゃないのよ、ほんと……」がくっ
 力尽きてしまった……まぁ、その内復活するから早い所帰って来なさい。
「私の扱いが雑過ぎないかしら……!?」
 最後にちょっとだけツッコミを残すアリスなのだった。

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