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うらめしにゃーん!

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●黒猫は紫陽花と揺蕩う
 しとしと、ぴちゃん。雨が降って雫になる。
 ぽつり、ぽつり。落ちてきた雨が音色を奏でる。
 ふわり、ふわり。花ひらいた紫陽花は今年もたくさん咲いている。
 まあるい雫も雨の音も嫌いじゃない。ちいさな花も可愛らしくて好き。
 けれども、此処は――。

「つまんにゃい! だってだって、新しいキラキラがひとつもないから!」
 猫又古妖のアズキは黒い尾を縦にぶんぶんと振った。
 猫にとって、その尻尾の動きはあまり機嫌がよくないときのもの。紫陽花が咲く奇妙建築の庭にて、雨空を見上げる猫又は暫し唇を引き結んでいた。
 しかし、あるとき。
「にゃ? これは……向こうにキラキラがあるかも!?」
 閉じられた奇妙建築の領域に揺らぎが生じ、その先が異世界と繋がっていった。黒猫古妖は好機を察し、ここぞとばかりに異空間へ飛び込んでいく。
「いまこそボクのキラキラ探しの旅がはじまるとき! うらめしにゃーん!」
 そのときには尻尾も機嫌よくぴんと立てられていたが――。
 黒猫古妖の力は、揺らぎの先にある√EDENの世界に異変を呼び込むことになる。

●雨傘と星の巡りとキラキラと
 今回、厄介ごとの元凶となったのは猫又の古妖『アズキ』。
 いずれ彼女が起こす事件を予知した星詠み、幽谷・雛姫(載霊禍祓士・h04528)は此度の事件について語っていく。
「これまでアズキは、家屋がたくさん重なった奇妙建築の奥、通称『雨降る紫陽花の庭』に封じられていたみたいよ」
 しかし何かの拍子に封印が解け、彼女は√EDENに飛び込んできた。
 強力な妖気を宿すアズキが動いた影響か、妖怪世界にあった紫陽花の庭の領域そのものがこちらに出現してしまったようだ。√EDEN側から見れば急に変な建物が現れている状態であり、いずれ悪い影響が出てしまう。
「アズキは無邪気な性格で、|キラキラ《素敵なこと》探しを目的に行動するの。でも――」
 雛姫は語っていく。
 √EDENに現れた古妖が行き着く先などひとつしかない。その無邪気さのせいで力加減が分からず人間や猫を戯れに殺め、魂を喰い尽くしてしまう未来だ。

 されど、今から向かえば紫陽花の庭にいるアズキと接触できる。
「勝てば再封印が叶うわ。つまりは戦って解決よ!」
 現在、アズキの妖気を受けたカラクリコガサという妖怪が紫陽花の庭に集まっているようだ。まずは妖怪軍団を倒して、それからアズキに戦いを挑む。そんな手順なのだが、雛姫が予知した未来には別の古妖の姿も視えたという。
「――星詠みの悪妖『椿太夫』。悪名高いから知ってる人も多いと思うわ。今回の事件とは関係ないのに、あの古妖の姿が視えたのよね。でも様子が妙におかしくて……」
 その辺りの予知は揺らいでいる。
 雛姫はどうしてか考えようとしたようだが、すぐに顔を上げた。
「考えるのはあなた達に任せるわ! どんな状況にしろ古妖と戦うことは変わらないんだもの。わかんなかったら、殴っていけばいいのよ!」
 気をつけてね、と告げた雛姫は能力者たちを送り出す。
 雨降る紫陽花の庭。ここで巡る戦いがどのような結末を迎えるのか。それを知ることができるのは、戦いに赴いた者のみ。

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第1章 集団戦 『カラクリコガサ』


●雨傘に唐紅
 からり、ころり。鈴が鳴る。
 からん、ころん。傘が揺れる。
 からから、ころころ。唐傘が笑う。

 奇妙建築内の庭にて。
 天から落ちる雨粒は雫となり、咲き乱れる紫陽花を濡らしていく。
「ふふ、ふふふ……」
「血の雨、苦の雨、毒の雨」 
「あめあめふれふれ、もっとふれ」
 庭の中にはカラクリコガサたちが現れており、紫陽花のまわりをぴょんぴょんと跳んで戯れている。妖怪達はきっと古妖が放つ妖力に引き寄せられてきたのだろう。
 今はただ集っているだけだが、放っておけば外に出てしまう。
 そうなる前にカラクリコガサたちを倒すのが最初にすべきことだ。
 庭には黒猫古妖の姿は見えない。
 幽かな気配はあるため、雨がやむまで屋内でお昼寝でもしているのかもしれない。猫らしい気ままさも、今はこちらの幸いに転じている。
 さぁ、古妖が起きる前に――まずはカラクリコガサの軍団を倒そう。