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狂戦師弟~甘くて熱い誕生日~

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ミルグレイス・ゴスペリジオン
モルドレッド・アーサー

 ミルグレイス・ゴスペリジオン(魔境を巡る舞軍師・h02552)は自身の誕生日を敬愛し、そして恋願うモルドレッド・アーサー(防導の騎士・h04734)と共に過ごしていた。
 毎年彼女の誕生日とクリスマスは親を喪ったミルグレイスをモルドレッドが存分に甘やかす日であった……のだが、先日彼女の自分に向けた想いの一片を知ることとなった男は、正直まだお互いの距離感などに戸惑いがあり内心身構えていた。
「ふんふふーん♪」
 見るに、彼女の様子に変わった部分はなく、無邪気に自信が一つ大人になったのを楽しみ喜んでいるので、正直あの時ぶつけられた熱の塊は幻で、こちらばかりが気にしているのではないかと思うと大人の、そして男のプライドのようなものが働いてすぐに意識する気持ちを追い出すことになったわけだが、どうやら身構えているときに死神はやってこないというのは、戦場だけの話ではなかったらしい。

「だからね? キスしてほしいの」
 彼女がそんな爆弾をぶつけてきたのはともに買い物に行き、映画を見て、食事をして、入浴は別々に済ませて、あとはもう寝るだけとなった真夜中のことであった。まだ濡れた髪の少女にちゃんと乾かせと世話を焼いているときに何げなく聞いた「今日は楽しかったか? もうほかにやりたいことはないか」という言葉に対する返答であった。
「ああ、いいぞ」
 と口にしてから、自分が何を言われ何を承諾したのかを知った。
「本当!?」
 と喜ぶ少女に言うか言わないか迷って、結局待てと言ってしまった。
「キスってなんだ!?」
「えー、今いいって言ったじゃない」
 ミルグレイスがずずいと近づこうとするのを肩をつかんで制止すると、彼女はあからさまに不服そうに頬を膨らませた。そんな姿を見ると、彼女は年を一つ重ねたといってもまだまだ子供なのだから、親が子にするような感じでキスをすればいいのでは? などと考えなくもなかったが、それを見透かしたかのようにミルグレイスは続ける。
「竜血の祝呪の時と、同じやつね?」
 【|熱継生:竜血の祝呪《ネツケイショウ・リュウケツノシュクジ》】はモルドレッドの血をミルグレイスに経口摂取させることで力を与えるルート能力であり、なによりモルドレッドが彼女に内心身構えていた娘(と思っていた女)に勃起事件の原因となったものである。
 ここでその名前を出すという事はつまり、ミルグレイスがモルドレッドに求めているのがディープキスであるということを表していた。
「なっ! ばっ! おっ! はっ!?!?」
 警戒を解いていたモルドレッドが突然豆鉄砲を食らった鳩のようになってしまうのは仕方のないことであった。
「……今日は何でも叶えてくれるんでしょ?」
 とほほ笑む少女。いつだったか聞いた覚えのある小悪魔女子とはこういうことを指していうのだろうとモルドレッドはつばを飲み込んだ。
「誕生日とクリスマスは思いっきり甘えて良いって約束だよね?」
 追撃の一言に、息が止まる。
 しばし間を開けてから大きく息を吐き、頭を抱えた。
「わかった。不可能なことではない。叶えてやる」
 やるべきはプレゼントだ、言われていやいややるようではプレゼントにならないのはモルドレッドも理解している。やるならば真剣でなければならない。
「ただし、目は閉じるな」
 少しは相手に仕返ししてやろうという気持ちで告げた。
「え」
 彼女が目をつぶる前にその顎に手を添え、引き寄せ、そして一度キスをした。唇をノックするような優しいキスだった。続いて、相手の目を見つめてつぶっていないことを確認してから舌を捩じ込んでやる。背中に手を回し、ガチガチに硬くなった肉棒をごりっとミルグレイスに押し付けてやる。
「んっ!? ふぁ❤」
 メスの顔になって大きく目を開いた少女の口の中を下で蹂躙すると、驚きすぎたのかそこで目をつぶってしまった。もっとすごい目にあわされると思ったのだろう。
「はぁ……終わりだ」
「え、えーーー!?」
 長かったような、短かったような時間が終わりあっけなく唇が離れ色気ある息たっぷりの声で告げられるとミルグレイスは顔を赤くしたまま眉を垂らして抗議の声を上げた。
「目をつぶっただろう」
 しかしそんなミルグレイスの眉間をトンと押してモルドレッドは彼女の窘める。
「そ、そうだけどぉ」
「ちゃんと本気でやっただろう?」
「……ま、まあ……」
 先ほどの熱を思い出すと、ミルグレイスはそれ以上何も言えなくなってしまった。
「ほら、もう日も変わる。誕生日は終わりだ。寝るぞ」
「はぁ~い」
 こ、こんなんじゃドキドキ眠れないよぉ~! と思っていたミルグレイスであったが、モルドレッドが余裕に見えてしまって……。
「あ。こういう話に疎そうな師匠(パパ)に良いこと教えてあげる♪」
「……なんだ」
 だから、ミルグレイスは更に意地悪で仕返しをすることにした。
「――男のヒトって、好きな人が相手じゃないと……長時間キス出来ないんだって。本当かな?」
 耳元でそっと囁くと、表情を変えないように努めているが、モルドレッドがビクッとわずかに肩を振るわれたのがわかって満足した。
「――知らん」
「だよねー。さて、じゃあ寝るね。今日は最高の誕生日だった! おやすみなさい」
 これ以上は自分もドキドキでやばかったので、ミルグレイスはそれ以上は攻撃の手を出さずおとなしく退散した。そして、案外すんなりと幸せな眠りについた。

「はぁ~~~~~~~~~~」
 ミルグレイスがいなくなった後、自分も寝室に入ると大きく息を吐いた。危なかった。自分で挑発しておいて、目を合わせたままするキスは刺激が強すぎた。潤んだ彼女の目を見ているともっとこう、どうにかしてやろうという気持ちにさせられた。キスをする経験は皆無に等しかった。それでも必死にあの時の感覚を思い出しながらしたキスだった。決して彼女に主導権を奪われないようにと。なぜそう思ったのかはわからない。
 実際には数分のことであったが、一時間や二時間のようにも感じられた。彼女と唇を離す時には実際にはその瞬間を名残惜しく感じた自分に戸惑っていた。
「そんなわけ、そんなわけが……」
 好きな女相手じゃなきゃ、長くキスは出来ない。彼女の言った言葉が胸に刻み込まれていた。結局、モルドレッドはその夜自己嫌悪・自己否定などに苛まれ一睡もできなかったとか。

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