女水着チャレンジ!?
「男水着チャレンジ、というのは知っているか?」
エクストリア・ペンドラゴン(星詠みの屠竜騎士・h00333)は開口一番にこういう。
「私のような亜人が胸を隠さず、男水着だけで性別を隠す……当然だがその女の胸は小さく男に見がまう容姿であることも前提だ」
ちなみに亜人が前提としているのは、そうでなければ富倫に引っかかってしまうからである。
要するに『大事な所は隠れているからセーフ!』という理論である。
「だが今回の『事件』はその逆……いってしまえば『女水着チャレンジ』だ」
それってただの変態なのでは?という視線がエクストリアに向かう。
「それも否定はしないが、今回の予知は『シデレウスカード』絡みだ」
シデレウスカード、それは『ドロッサス・タウラス』がばら撒いた『十二星座』と『英雄』のカードだ。
「それを拾ったのは承認欲求強めのコスプレイヤーだ」
そのコスプレイヤーは承認欲求が強めであることを除けば一般的な小市民である。
更にいえば、女装コスプレで有名だったコスプレイヤーでもある。
「本来なら体型で見分けは付くのだろうがな。元々高かったコスプレ技能が、シデレウス化によって更に磨かれている」
そのせいでそのコスプレはもはや『不可能犯罪』のレベルに達している。
つまるところ、騙されて金を取られてしまう男が後を絶たないのだ。
「そしてそのコスプレイヤーの使うカードは天秤座とジャンヌダルク……『アストレア』とも呼ばれるその組み合わせは完成度が高い」
炎に包まれた最期から炎を使うのもそうだが、純粋に戦闘能力が高いのだ。
「だが君たちなら勝てない相手ではないだろう、検討を祈る」
予知に勘付かれて犯人を逃すわけにいかないので見送る立場となったエクストリアをみやりつつ、あなたたちは現地へと向かうのだった。
第1章 冒険 『お前のような水着美女がいるか』
「人間災厄は亜人に入りますか?」
|玉鞍・叶恵《たまくら・かなえ》はそう疑問を呈する。
まあ亜人の範疇だけどどう見ても、男水着チャレンジには向いてないよね。
という突っ込みが飛んできそうなシスターの姿をしているのが叶恵である。
彼女は『願いを叶える』性質を持つため犯人を見つけたらむしろ犯人のサポートをするだろうが、
そもそも犯人がどこに居るのかをまず知らなければサポートもできない。
そんな訳で彼女は一先ず犯人をマークすることにした。
「コスプレイヤーということなら、海の家の近くに居るのでしょうか?」
意外と本質を突いている叶恵のその発言。
彼女も伊達や酔狂でシスターをしているわけではない、といったところだろうか。
すると、そこに居たのは一見すれば可愛らしい水着美女であった。
身長は165cm、胸も《《ある方に見えている》》。
しかし願いを叶えるという性質を持つ叶恵には、その願いが見えていた。
その願いは強い承認欲求。
つまり『彼』こそ、件のコスプレイヤーなのだ。
桐谷・要(観測者・h00012)は√マスクド・ヒーローの原住民である。
だからというわけではないが、情報収集を得手としている。
他方で戦闘は不得手なので、どちらかというとサイドキックといったところだ。
とはいえ潜入を得手とする要はヒーローにとって無くてはならない協力者。
ましてや相手は女水着チャレンジを犯罪級にまで増強したシデレウス。
情報を集めるに越したことはないのである。
そんな訳で海の家で情報収集をしようとすると、こんな話が入ってくる。
「シスターさんが美人さんに会ったんだってさ」
「マジかー。挟まりてえなあ」
「はあ、死にてえのか?」
どうやら、他の能力者が女水着チャレンジを行なっている犯人に会ったようである。
「なるほど、アレが噂の女水着チャレンジをしているコスプレイヤー……」
確かに、いわれなければ分からなかっただろう。
そのくらい、高度な女装であった。
骨格すら誤魔化すことが出来るという恐ろしさを改めて思い知ったのだった。
|玉鞍・叶恵《たまくら・かなえ》はコスプレイヤーに接近しこういう。
「あの、突然失礼します。私はあなたのファンなんです」
それを聞いたレイヤーは身バレを警戒したが、それを見越して叶恵は『彼』にこう続ける。
「可愛らしい姿なので、つい見惚れました」
どうやら自分の熱心なファンなようだと『彼』は判断し、隅に移動しつつこういう。
「へへん。このライブラの手に掛かればこんな物だよ」
叶恵はライブラと名乗ったレイヤーの名前を知らなかったので、
あからさまなハンドルネームとはいえ勝手に名乗ってくれたのはまさに天からの助けだといえるだろう。
「ところで、このどうしてこのようなことを?」
「何か、二つのカードを拾ってさ。しかもおあつらえむきなことに片方は天秤座のカードと来た」
これがあれば今まで出来なかったコスプレができるんじゃないかな、と思ったとライブラは続ける。
「なるほど、それで女水着チャレンジを」
そんな叶恵に、ライブラはこう続ける。
「こうすればみんな認めてくれる。もっとバズりたいんだ」
「カードの力が無くても自分で何とかできる、あなたならそう思いますよ?」
叶恵の言葉を聞いて思いとどまろうとしたライブラだったが、
そうはさせじとシデレウスカードが反応する。
とはいえライブラを思いとどまらせた時点で叶恵の目的は大成功に終わったといってよいだろう。
第2章 冒険 『シデレウスカードの所有者を追え』
カードがライブラの意思に干渉するのを見てこれは駄目だろうという思いを強した|玉鞍・叶恵《 たまくら・かなえ》。
とはいえまずはライブラの信頼を得る必要がある。
そう感じた彼女はライブラがビーチで誘惑するのを手伝っていた。
「あんなことがあったのにどうして手伝ってくれるの?」
と聞くライブラに、叶恵は説得の機会だと思いこういう。
「私には願いを叶える力があるんです」
「それは私の力で叶えたいかな」
ライブラはこう返す。
シデレウスカードの危険性から目を逸らされているライブラは、カードの力は自分の力だと思っているようだ。
「祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります」
だがカードの力はライブラの力ではない。
なら願いを叶える手助けはしてあげられるだろうと叶恵は能力を使う。
ライブラは女の子になりたい訳ではなかったため、取った写真が万バズするという形で願いが叶った。
「ありがとう」
ライブラは承認欲求が満たされ、少しは満足したようでだった。
「私にも何か手伝えることはあるかしら?」
|玖珂津・胡々乃香《クガツ・ココノカ》もまた、説得する方向でシデレウスカードを手放して貰おうと画策していた。
頑張ってる姿が好きで優しく、それでいてノリがいい彼女は叶恵が説得する方向で行ってるのを見てそういう流れだと感じていた。
「そうだね、似合う水着を見繕ってくれれば助かるかな」
シデレウスカードの力に呑まれかけているとはいえ、バズって良い気分のライブラに戦意は今の所無く。
しかしながらどうせなら他の水着の写真も投稿したい、というような状況であったのだ。
「そうね。こんなのはどうかしら?」
それはコスプレ用に作られた、可愛らしいデザインのワンピース水着。
これならシデレウスカードに頼らずとも骨格を誤魔化せるだろう、という意図も胡々乃香にはあった。
「ありがとう。次はこれを着てみるよ」
と素直に答えるライブラを見て、これなら上手く説得が進みそうだと胡々乃香は安堵するのであった。
彼が願いを自分の力で叶えたいのは確認できたので、上手くカードを引き離せないかと|玉鞍・叶恵《たまくら・かなえ》は考えていた。
願いを叶えることが存在意義なので戦うことはなるべくなら避けたい……
そう思いつつも説得の端から意識を曲げられそうだと考えていた。
そう考えていたところで説得が上手く行きそうな流れになっているので安心してはいた物の、
カードの抵抗でライブラが傷つきかけた場合叶恵の√能力の条件は満たせなくなる。
そうでなくても『引き離したことで一人歩きしてしまった』という結果を齎す可能性がゼロではない。
「あなたがあなたの力で(カードの干渉を除外して)願いを叶えられますように」
それでも彼の願いを叶えたい……それが叶恵の存在意義であり『人間災厄』たる所以なのである。
そうして願い……√能力によりカードは引き離され、叶恵の意図は果たされた。
しかしまだ、強大な力を持つシデレウスカードが残っていたのであった。
第3章 ボス戦 『アストレア』
「私はシデレウスカードから出てきた相手と対面していて、ライブラ様が近辺にいらっしゃる状態ですね」
状況を確認した|玉鞍・叶恵《たまくら・かなえ》は護衛に関していえば門外漢である。
なので叶恵はとりあえずライブラに退避して貰おうと思っていたのだが。
彼女の√能力は他者に願って貰わないと発動出来ない。
彼女のそれはその性質を反映したのか、望まれた姿に変身するという受動的な能力なのだ。
「私の勝利を願って下さいますか?」
突然の質問に困惑するライブラ、それを見た叶恵はこう続ける。
「大丈夫。私、荒事は苦手ですが、願いを叶えられなかった事は一度もないんです」
ライブラは√マクスドヒーローの住民だ。
そういわれれば何となくは理解出来るので、その『何となく』で願ってみた。
「たとえわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです」
すると叶恵は普段ライブラがコスプレしているキャラの姉……という設定のキャラの姿に変身していた。
これが|אוּרִיאֵל《ウーリエル》の効果であった。
そして叶恵はこう続ける。
「さあ、後は安全な場所まで送り届けます」
早急にライブラを退避させるべく『光あれ』、と短めの詠唱を行なうと。|האמונה שלנו《ハアモナ・シュラン》の効果……願いを叶える力によりライブラを安全な場所まで退避させる。
「カード自身の願いも気になりますが
ライブラ様の件を収める為には戦闘は不可避でしょう」
そういうと、叶恵は後光の範囲攻撃を行う。
それにより【我らが神はここにありて】の効果で捕縛しようとして来る【掲げた神の信奉者たち】を振り払うと。
負けじとアストレアは業火の魔女で掲げた神の信奉者たちと入れ替わり奇襲を仕掛ける。
「見えてます!」
不意を突かれたフリこそ上手く行かなかったものの、霊的防護でそれを防ぎきり逆に願いの光での狙い撃ちに繋げ。
叶恵はライブラにかなりのダメージを与えたのだった。
ダメージを与える先が護衛対象のライブラになってることに気付いてませんでした、ガチの誤記ですのでお詫びして訂正いたします(自分のチェックミスです、本当にごめんなさい)。
誤:叶恵はライブラにかなりのダメージを与えたのだった。
正:叶恵はアストレアにかなりのダメージを与えたのだった。
「事件と聞いてやって来たが、カードの暴走なのか」
|志藤・遙斗《 しどう・はると》(普通の警察官・h01920)は状況を見やるなりそういう。
遙斗は普通の警察官ということになっているが、√汎神解剖機関の警察官であるため荒事には慣れている。
そのため、√マスクド・ヒーローでも警察官をやっていける程度の能力はあるのだ。
特式拳銃【八咫烏】……√汎神解剖機関では拳銃を自分好みに改造することが許されているようであり、それを構えて射撃する。
「舐めるな!」
アストレアはそういうと、業火の魔女を発動する。
「さて、やるか。悪いが【悪】は斬る!」
それを見た遙斗は【|正当防衛《セイギシッコウ》】を発動。
業火の魔女の入れ替えに対し、殺戮気体となったタバコの煙を纏う。
それにより移動速度が3倍となることで、後の先を取ることが出来るのだ。
そしてそのまま親の形見である小竜月詠を抜き、霊剣術・|朧《オボロ》でアストレアを斬り伏せるのだった。
あなたの望みは何ですか?願うことはあるのですか?
|אוּרִיאֵל《ウーリエル》を発動した状態の|玉鞍・叶恵《たまくら・かなえ》が独りごちていあ。
「害のない願いであればいえそもそも事態の解決を『望まれて』さえいなければ、いくらでも叶えてあげるのに」
そんな叶恵にアストレアはこう返す。
「私の望みは、私が神の使徒であると認めて貰うこと」
そういうや否や、アストレアは我らが神はここにありてを発動する。
シデレウスカードの人格は『英雄』の影響を受けるが、その傾向は『十二星座』にも左右される。
敬虔な神の使徒でありながら魔女として火刑にされた無念はあれど、『願い』は『存在しない』のだ。
「存在しない願いは、叶えようがありません」
そういうや否や叶恵は願いの光でアストレアを打ち倒す。
そして残されたのはカードだった。
「それにしてもライブラ様は大丈夫でしょうか」
叶恵がそういうとライブラが写真を取っている姿を確認する。
「カードはどうしますか?」
安堵した叶恵の疑問にライブラはこう返す。
「これは僕の手には余る物だった。使える人に渡しておいて」
√能力者ならシデレウスカードに操られることはない。
それを知ってか知らずか、ライブラはそういうのだった。