すべてを破壊せよっ!
●月那からの依頼
「戦闘機械群ウォーゾーンの支配下から奪還し、生命攻撃機能を無効化した戦闘機械都市で異変が起こったようです。突如、敵にハッキングされ、鹵獲した『シャクティ』達が暴走を始め、大変な事になっています。シャクティは対√能力者戦用の量産型クローンで、捨て身の攻撃を得意としており、外部の仲間達に対して救難信号を発しつつ、戦闘機械都市内で暴れまわっているようです。このまま放っておけば、増援部隊が戦闘機械都市内に攻め込んでくるのは、時間の問題。そうなってしまう前に、出来る限りの事をしてほしいのです」
神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が√能力者達を集め、今回の依頼を説明した。
ただし、戦闘機械都市内には一般人達もいるため、避難誘導をしつつ戦う事になるようだ。
「万が一、シャクティ達が戦闘機械都市内に攻め込んできた場合、中枢部が狙われる可能性が高いです。ここで中枢部が占拠されてしまうと、戦闘機械都市内の防衛装置も相手にしなければならないため、何としても阻止してください」
ちなみに増援部隊が来る前に、鹵獲したシャクティ達を沈黙させる事が出来た場合、制圧された機械兵団量産プラントから発見されたナノマシン素材を利用し、兵器を作る事が出来るかも知れないようだ。
「ここで上手く防衛に成功すれば、『ティーシャ・エフェル』が攻め込んできます。彼女は冷静にして冷徹。すべてを破壊するため、戦闘機械都市に攻撃を仕掛けてきます。ティーシャ・エフェルさえ倒す事が出来れば、防衛成功なので、よろしくお願いします」
そう言って月那が√能力者達に対して、ティーシャ・エフェルの撃破を依頼した。
第1章 冒険 『鹵獲した機械が暴走している!』
●暴走
「一体、何が起こっている!?」
鹵獲したシャクティ達が暴走した事で、戦闘機械都市はパニックに陥っていた。
どうやら、外部からハッキングされたらしく、シャクティ達は命令を無視して、一般人達の命を奪っていた。
「目標地点に到着、これより戦闘行動を開始します」
そんな中、機神・鴉鉄(全身義体の独立傭兵・h04477)が、【レギオンスウォーム】で小型無人兵器『レギオン』の群れを放ち、超感覚センサーで敵および避難を要する一般人との位置関係を把握した。
「お前も、敵かァァァァァァ!」
次の瞬間、シャクティ達が連携を取りながら、一斉に襲い掛かってきた。
「目標確認、排除します」
すぐさま、鴉鉄がエネルギーバリアと拠点防御で身を守り、アサルトライフル、マスドライバー、レールガンで牽制攻撃を仕掛けつつ、「レギオン」の群れがレギオンミサイルを発射した。
「や、やるじゃねえか!」
シャクティ達がギラギラとした目で、鴉鉄をジロリと睨みつけた。
だが、主要装備が外されているせいか、思うように戦えていないようだった。
●鹵獲したシャクティ
「……ふむ、機械の暴走ね。システム乗っ取られてると。まあ、私と昴の二人だと正面制圧も可能だけど、システムの問題なら、そこの修正しようか。元から直さないとまた暴走する可能性があるし……」
藤原・菫(気高き紫の花・h05002)はスマートフォンで位置を確認した後、海棠・昴(紫の明星・h06510)と一緒に、システムの修正に向かった。
「戦闘機械都市で大人しくしてた個体の一斉暴走か。……凄い災いだな。まあ、俺と姉さんなら正面から制圧はできるが、システムから直した方がいいな。また暴走の危険を考えると……。俺と姉さんはどちらかというと、そっちの作業の方が向いてる。それにしても、凄いシステムだな」
昴がメカニックとハッキングを駆使して、システムを正常に戻すための作業を開始した。
システムは難解であったものの、何とか理解できるレベルであった。
だが、設定を書き換えるためには、破損したパーツを取り換える必要があったため、【クラフト・アンド・デストロイ】でマルチクラフトボックスを用いて作成した。
「……どう? だいぶいじられてるようだけど……。とにかく、やれるだけはやってみましょうか。会社の社長なら、これぐらいやらないとね」
その間に、菫が【刹那の絆】でサイバー・リンケージ・ワイヤーを接続し、命中率と反応速度が1.5倍にしつつ、メカニックとハッキングを駆使して、鹵獲したシャクティ達を制御した。
「……これでよし、と。まったく、面倒なことしてくれるね」
菫がホッとした様子で、溜息を洩らした。
「それにしても、ひとつの機種の動きをまるごと狂わせるなんて、凄いことするよな」
昴が複雑な気持ちになりつつ、何気なく遠くを見つめた。
そんな中、殺気立った様子で、シャクティ達が姿を現した。
「……ん? 何か困っているのか?」
それは鹵獲したシャクティ達であった。
どうやら、システムをハッキングして支配下に置いた事で、鹵獲したシャクティを制御する事が出来るようになったらしい。
残念ながら、ここに攻め込もうとしているシャクティ達は支配下におけなかったものの、鹵獲したシャクティを使えば戦闘を有利に進める事が出来そうだ。
第2章 集団戦 『シャクティ』
●奇襲
「敵影確認、排除します」
そんな中、機神・鴉鉄(全身義体の独立傭兵・h04477)が、シャクティ達の存在を確認し、戦闘拡張機械化鎧『W.E.G.A.』(決戦型WZ)に搭乗したまま、長砲身機関銃で狙いを定め、牽制射撃を繰り出した。
「おい、こら! お前っ! アタシ等の仲間を洗脳してやがったなっ! ……許さねえ!」
その攻撃をオーラで防ぎながら、シャクティが鴉鉄の背後にいるシャクティ達を指差した。
「お前等、落ち着け! 別に洗脳されている訳じゃねーって。でも、なんつーか、こう……気持ちがスッキリしているんだ」
味方についたシャクティが、とても幸せそうな表情を浮かべた。
「てか、それが洗脳だ!」
その事に危機感を覚えたシャクティが、戦場格闘術を駆使して殴り掛かってきた。
「敵対行動、確認。……排除開始」
それを迎え撃つようにして、鴉鉄がシャクティの進路を塞ぐようにして布陣し、拠点防御で守りを固めつつ、【鋼鉄の暴風】で『W.E.G.A.』に搭載された全射撃兵装(銃火器・榴弾砲・誘導飛翔体)を用いた連続範囲攻撃を仕掛けるのであった。
●力を合わせて
「さて……、とりあえずアイツ等をぶっ殺せばいいのか?」
仲間のシャクティが拳をブンブンと振り回し、ヤル気満々な様子でニヤリと笑った。
「まあ、そうなんだけど……。さすがに、丸投げという訳にはいかないから、僕も戦うよ」
斯波・紫遠(くゆる・h03007)が霊的防護を展開しながら、敵側のシャクティ達に視線を送った。
「お、お前等っ! アタシ等の仲間を……よくも!」
それを目の当たりにした敵側のシャクティが、仲間のシャクティを見て、あんな事やこんな事を想像して腹を立てた。
(何か誤解されている気が……)
紫遠が複雑な気持ちになりながら、仲間のシャクティに視線を送った。
「なあ、誤解されているぞ、お前?」
仲間のシャクティが、キョトンとした。
「……って、フォローはナシか。まあ、何を言ったところで無駄だろうけどな」
それに合わせて、紫遠が【神秘の否定】を発動させ、右掌で敵側のシャクティに触れ、√能力を無効化した。
「テメェ! やっぱ、あんな事や、こんな事を!」
敵側のシャクティが、顔を真っ赤にして、ぐぬぬとした。
「何か誤解をしているようですが、あなた達が想像しているような事はしていませんよ?」
ヴェーロ・ポータル(紫炎・h02959)が落ち着いた様子で、敵側のシャクティ達に答えを返した。
「そんな事を言われて信じられるか! いまもアタシの√能力を無力化したじゃねえかっ!」
敵側のシャクティが警戒心をあらわにしながら、今にも飛びかかってきそうな勢いで吠えた。
「それは仕方のない事です。そもそも、あなた達は敵ですからね。一体、何を言われてきたのか分かりませんが、先に仕掛けてきたのは、そちらですよ?」
ヴェーロが事情を説明しながら、何とか誤解を解こうとした。
「つまり、なんだ。アタシ等の仲間を洗脳したわけではなく、元通りにしたって事か? そんな嘘を信じると思っているのか? ……待ってろよ。みんな直してやるからな」
敵側のシャクティがニヤリと笑って、指の関節を鳴らし始めた。
「別に騙すつもりはないんだが……」
ゼロ・ロストブルー(消え逝く世界の想いを抱え・h00991)が困った様子で、敵側のシャクティ達を観察した。
敵側のシャクティ達はリミッターが外れており、傷つく事に対して、まったく躊躇いがなかった。
そのため、味方のシャクティよりも強く、あっという間に無力化された。
「そんな言葉、信じられるか! とにかく、洗脳を解くためには、テメエ等をブチのめさねぇとなっ! そのためだったら、かつての仲間であっても、容赦はしねえ」
敵側のシャクティが雄叫びを響かせ、味方のシャクティを殴り飛ばしていった。
そう言いつつも、なるべく壊れないように手加減をしているようだが、すぐには動く事が出来ないほどのダメージを負わされていた。
「うく……」
それでも、何とか立ち上がろうとしていたが、身体の方が言う事を聞かず、両足が小刻みに震えていた。
「無理をするな。敵なら俺が引き付ける」
その事に気づいたゼロが、覚悟を決めた様子で、あえて無謀な行動を取って、敵側のシャクティを引きつけるのであった。
●シャクティ
「さすがに、ヤバイか。この状況……」
その事に危機感を覚えた仲間のシャクティが、警戒した様子で後退した。
恐れを知らない分、敵側のシャクティは強かった。
どんなに傷ついても退かないため、こちら側についたシャクティの数倍ほど強いのではないかと思うほどだった。
「まあ、何体かシャクティの制御を奪えたら上出来だ。私も昴も機械はプロほどの腕はない。……本分は戦闘の方だ。いくよ、昴!!」
そんな中、藤原・菫(気高き紫の花・h05002)が、海棠・昴(紫の明星・h06510)に声を掛けた。
「それでも、数体制御を奪えただけでもいいだろう」
昴が味方についたシャクティと連携を取りつつ、シャクティ達に攻撃を仕掛けていった。
「……卑怯者がっ! アタシ等の仲間を洗脳して楽しいか!」
敵側のシャクティが、嫌悪感をあらわにした。
「……え? 洗脳して、卑怯? なんのことやら?」
菫が他人事のように、しれって軽く流した。
「まあ、シャクティは敵に奪われた機体みたいだから奪い返しただけのことだ。仲間意識が高いのがプログラムの本質だろうな。ハッキングが容易なのもよくわかる」
昴がエネルギーバリアを展開しながら、敵側のシャクティに視線を送った。
「うるさい、黙れ! 皆殺しだっ!」
敵側のシャクティ達が怒り狂った様子で、戦場格闘術を繰り出した。
「本来アンタたちはコッチ側だろうに……。まあ、おとなしく倒れていなよ。本来の姿に戻った時直してもらいな」
それに合わせて、菫が残像とオーラ防御とエネルギーバリアで身を守りつつ、【レギオンスウォーム】で小型無人兵器『レギオン』を30体放ち、レギオンミサイルで敵側のシャクティ達をハチの巣にした。
「何が直してやる、だ。洗脳するの、間違いだろうが!」
敵側のシャクティ達が最後の力を振り絞り、再び戦場格闘術を繰り出した。
「それは誤解と言っても無駄か。それでも、こちらは背中に一般人の住む都市があるんでね。悪く思わないでくれ。あとで直してもらうから、機体は残してやるよ」
それと同時に、昴が残像と第六感とエネルギーバリアで防ぎ、菫と連携を取りつつ、【流星の一撃】でレーザー光線を放って蹴散らした。
第3章 ボス戦 『ティーシャ・エフェル』
●神の裁き
「愚かな人類よ。滅びなさい。いますぐ命を差し出すのです。さすれば、救われる事でしょう」
ティーシャ・エフェルが神々しい光を放ちながら、ゆっくりと地上に降り立った。
「……って、命を差し出せって事は、つまり死ねって事だよね? それなのに、救われるって、おかしくない?」
橘・明留(青天を乞う・h01198)がティーシャ・エフェルの言葉に違和感を覚え、警戒心をあらわにした。
「そのままの意味ですが? そもそも、あなた達が存在している事自体、罪なのですから……。私に殺されるだけ有難く思って、死になさい」
ティーシャ・エフェルが、まったく悪びれる事なく言い放ち、左腕のガントレットから高圧放電を放った。
「ぜったいに……嫌だよ、そんなの」
すぐさま、明留が【非時青果】を発動させ、60秒間の苦痛による恐怖をチャージした後、青い橘の花弁を放って、ティーシャ・エフェルにダメージを与えた。
「うぐ……ぐっ! まさか、羽虫程度の存在に、攻撃を喰らうとは……」
その一撃を食らったティーシャ・エフェルが、悔しそうに毒づいた。
「そんな事を言っていると、もっと痛い目を見るぜ」
黒鉄・彪(試作型特殊義体サイボーグ・h00276)がドローンを操縦して、ティーシャ・エフェルにレーザー射撃を仕掛けた。
「調子に乗っていると、痛い目を見るのは、そちらですよ? 羽虫は羽虫らしく、死になさい」
それに合わせて、ティーシャ・エフェルが禍々しいオーラを展開し、視聴覚共有型無線ドローンからホーミングレーザーを放って相殺した。
「別に、調子に乗っている訳じゃないけどな。……と言うか、だいぶ焦っているだろ。さっきと比べて声が震えているし」
そこに追い打ちを掛けるようにして、彪が【蹂躙乱舞】で鳥形支援ユニット『アオタカ』、義体拡張パーツ『オロチ』 、刃状に改造した義体拡張ユニット『コクヨク』を増加させ、翔天(日本刀)でティーシャ・エフェルの身体を斬りつけた。
「何を言うかと思えば、そんな事ですか。羽虫程度の存在が、夢を見過ぎですよ」
ティーシャ・エフェルが諭すようにして、ゆっくりと落ち着いた様子で彪に語り掛けた。
「さっきから、決めつけが多過ぎ」
次の瞬間、アルマ・ノイマン(L96A1の少女人形・h01393)がドローンを操縦して、牽制零距離射撃を仕掛けた。
「……言ったはずです。調子に乗るな、と。あなた達が選択できるのは、このまま殺されるか、素直に命を差し出す事だけです。ここまで言えば分かりますよね? あなた達が生き残る選択肢がゼロだと言う事を……」
ティーシャ・エフェルが左腕のガントレットから高圧放電を放ち、2回攻撃かつ範囲攻撃を仕掛けた。
「その考えが間違っていると思うけど……」
すぐさま、アルマがティーシャ・エフェルにハッキングを仕掛け、エレメンタルバレット『雷霆万鈞』で雷属性の弾丸を射出し、爆発による通常の2倍ダメージを与えつつ、仲間達に帯電による戦闘力強化を与えた。
「こ、こ、こざ……小賢しい真似……を……を……を!」
次の瞬間、ティーシャ・エフェルがハッキングの影響で、言語機能にエラーが出たのか、耳障りな音を響かせながら、身体をカクカクさせた。
「これ以上、やらせんよ。ハッキングのおかげで、あちこちガタが来ているようじゃしな」
西院・由良(趣味人・h02099)がオーラ防御と霊的防護とエネルギーバリアを展開しつつ、ティーシャ・エフェルの生命力を吸収した。
「うぐっ! よくも、羽虫の分際で! 絶対に……許さない!」
ティーシャ・エフェルが身体をカクカクさせながら、あちこちからバチバチと火花を散らした。
それでも、必死に意識を保とうとしているようだが、ハッキングの影響から逃れる事が出来ず、苦戦を強いられているようだった。
「そんな状態で、何が出来る。わし等を羽虫扱いしている限り、おぬしに勝ち目はないぞ」
それと同時に、由良が【溢れて尽きぬ汚濁】を発動させ、自身の影を用いて、2回攻撃かつ範囲攻撃を仕掛けた。
「ならば、蟲に格上げしてあげましょう」
次の瞬間、ティーシャ・エフェルが下半身の義体装甲を、銃火器と高速移動ユニットを露出させ、高熱に輝く蹂躙武闘モードに変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にした後、由良の生命力を吸収した。
●ティーシャ・エフェル
「まだ戦うのですか? 本当に、しつこし人達ですね。私が慈悲を与えてあげていると言うのに……。本当に何も分かっていない」
ティーシャ・エフェルが冷たく見下すように呟きながら、リミッターを解除して自らの限界を突破した。
「……決戦モードに移行します」
それに合わせて、機神・鴉鉄(全身義体の独立傭兵・h04477)が【プロジェクトカリギュラ】を発動させ、戦闘拡張機械化鎧『W.E.G.A.』を真紅に輝く決戦モードに変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にした。
「私の真似ですか? そんな事をしても、何の意味もないのに……。まあ、いいでしょう。ここで……死になさい」
ティーシャ・エフェルが視聴覚共有型無線ドローンを放って、一斉にホーミングレーザーを放たせ、襲い掛かってきた。
「その命令は、容認できません」
すぐさま、鴉鉄がエネルギーバリアを展開し、高速機動でティーシャ・エフェルを攪乱した。
「クッ!」
その事に苛立ちを覚えたティーシャ・エフェルが、再び視聴覚共有型無線ドローンを操って、ホーミングレーザーを打たせようとしたものの、鴉鉄がアサルトライフルによる牽制射撃を仕掛けてきたため、何も出来ずに膝をついた。
そこに追い打ちを掛けるようにして、鴉鉄がレールガンとマスドライバーを連射しながら突撃し、プレッシャーをかける事で、ティーシャ・エフェルの足を完全に止めた。
「愚かな、愚かな、愚かな」
ティーシャ・エフェルが動揺した様子で、呪詛混じりの言葉を吐き捨てた。
その間に、鴉鉄が突進して一気に距離を縮めて、射撃兵装をパージし、『W.E.G.A.』のの腕部を振って、ティーシャ・エフェルに拳を叩き込み、パイルバンカーで鉄杭を発射し打ち砕いた。
「お、愚か者め」
そう言ってティーシャ・エフェルが、完全に機能を停止させた。