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【王権決死戦】◆天使化事変◆第11章『天秤の答え』

#√汎神解剖機関 #王権決死戦 #王劍『ダモクレス』 #王権執行者『ウナ・ファーロ』 #天使化事変 #羅紗の魔術塔 #プレイング受付8月15日16時まで

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 無邪気な子供の声がしていた。
 √能力者たちがその部屋へと踏み入ると、そこは比較的小さな空間だった。
 今までのように大人数での戦いでも耐えうる広さはなく、その内装は前時代的な民家のそれ。
 部屋の中では十人以上の子供たちがはしゃいだ様子で遊んでいて。
 そしてそれを眺める一人の青年が座っていた。
「フテミミが、たぶん迷惑かけましたよね」
 彼は√能力者に気付いて振り返る。その表情は温厚そのもので、敵意など一切見せない。これまで対峙した者がまとっていた威厳のようなものもまるでなかった。
「彼女はきっと、僕のために少しでもと時間を稼いでくれたのでしょう。そのせいで皆さんにも被害を出してしまったことは申し訳ないと思っています」
 身内の不始末を謝罪する彼は、無防備に頭を下げる。それから立ち上がる事もなく、遊ぶ子供たちを見つめ続けた。
「僕は、あなた達と戦うつもりはありません。どうぞ先へ行ってください」
 そして、上階へと続く階段を示す。恐る恐ると√能力者が進んでいっても、背後から不意打ちをすることもない。
 続々と√能力者たちが次へと向かっている中、彼らの集団からも負けず劣らずの無邪気な声が上がる。
「エドっ、ちょっとここで遊んでいこっ」
「えっ? けど急がないと」
「いいからっ遊ぼっ」
 歪な姿と変わり果てた少女は、少年の腕を抱きしめて足を止めさせた。

 しばらく経って、全ての√能力者たちが上階へと進んでいった。
 それを見届けた青年は、改めて子供たちを見渡す。
「……嫌々だったんだけどな」
 彼らを預かった日のことを思い出す。結局最期までその気持ちは変わらなかった。我ながら、幸せにしてやれた自信はない。世話は大変で、憎く思ったことの方が多かったはずだ。
 それでも、こうして忘れずにいてくれた。そのおかげで今、自分は正気を保って居られている。
 最初はなんとなくで眺めていたのだけど、今はもっと、どんな未来を歩んだのか知りたくなった。今になってようやく、彼らを愛していたんだと気付いた。
 だからギリギリまでその成長を見届けようとして。きっと彼女は、その時間を出来る限り伸ばしてくれた。
 けれどこの幻想ももう終わらせないといけない。
「みんなを幸せにするなら、従う方がいいんだろうけど、僕はやっぱりそれは選べないから」
 青年はナイフを取る。その手にかつてのような震えはない。二度目だからもう迷いはなかった。
「ごめんね」
 最後に語り掛けると、彼らは笑顔を見せてくれた。彼らもまた、青年を愛してくれていた。

 そうして彼は、己を殺す。
 それもまた、王に必要な資格だった。



『3代目塔主ロディール・ノルマンディーの戦術は……いえ、必要ないようですね。彼は戦うつもりもないようですから』

『皆さんがその階を抜け出た後、彼は自死を選ぶようです。どうやら歴代塔主たちを倒す事で、塔頂の存在を弱体化させていることは確かなようです。自らそれを手伝ってくれた彼も、世界の救世主の一人と言えましょう』

『3代目塔主とは、少し話も出来ます。それにエドさんと、すっかり変わり果ててしまったマルティナさんもしばらくはその階に留まるみたいです。何か話しておきたいことや必要な準備があれば、今の内に済ませてしまったほうがいいかもしれません』

『戦いの必要はないかもしれませんが、ただ、得体のしれないあの少女の扱いには気を付けて下さい。それこそ理不尽な怒りを買ってしまうかもしれません。触らぬ神に祟りなしとも言います。関わり方によっては、最悪な方向へと向かってしまうかもしれませんので、用心してください』

『最後の戦いはもうすぐです。世界を救うまであと少し、どうか引き続き力を貸してください。よろしくお願いしますね』

 天秤は既に決している。
 その傾きは、同じ未来を望んでいた。

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第1章 冒険 『強行突破せよ』