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融合|迷宮《ダンジョン》の先に待ち受けるものは

#√EDEN #融合ダンジョン #第1章プレイング受付中

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 #√EDEN
 #融合ダンジョン
 #第1章プレイング受付中

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●√EDEN:三重県某所――とある中学校付近
 海を臨む小高い丘に、夕陽が沈もうとしている頃。
 丘の上に建っている中学校の校庭を、長袖のセーラー服を身に着けた少女が彷徨う様に歩いていた。
 少女のセーラー服の袖口から見える腕やスカートから伸びる脚には、青痣がいくつか浮かんでいる。
 そして、少女自身の顔には…何の感情も浮かんでいなかった。

 ――少女がいじめを受けるようになったのは、いつからだったか。

 おそらく、きっかけはクラスメイトとの些細な言い争いからだろう。
 だが、諍いがこじれにこじれた結果、気付いたらクラスのグループSNSから勝手に追い出され、他のグループSNSからも|追放《キック》されて孤立していた。
 その後、グループSNSで結束した生徒たちから、教師の目を盗むように執拗にいじめられるようになり、私物を隠されたり壊されたり、時には胴や太ももを殴られることもあった。
 教師にも何度か相談し、いじめの事実は把握してもらっているものの、SNSで結束した生徒たちの口は極めて固く、少女に味方してくれる生徒もいないため、なかなか決定的な証拠を掴めないらしい。

 ――もう、誰も私を助けてくれない。

 完全に孤立し、絶望と諦観に囚われている少女の目の前に、突然怪しい影が現れる。
「――復讐したいか?」
 現れるや否や、その影は男とも女とも判別つかぬ声で、少女に問いかけた。
「復讐……?」
 思いもよらぬ言の葉に、少女は思わず顔をあげ、影を見つめる。
 太陽を背にしているからか、怪しい影の表情は少女にはわからない。
 だが、影は少女に救いを与えるかのように、ゆっくりと手を伸ばしてきた。
「もし、復讐したいなら手を貸そう――この手を取るがいい」
 伸ばされたその手をじっと見つめながら、少女はしばし逡巡する。
 だが、『復讐』という言の葉を聞いた少女の瞳は――少しずつ昏い感情に侵蝕され始めていた。

●融合ダンジョン、再び
「また星が激しく輝いているわね……これは以前視た星とよく似た事件のようよ」
 街中を歩いていた星詠み、水尾・透子(人間(√EDEN)のルートブレイカー・h00083)が、空を見上げながら呟く。
 その呟きを聞き留めた√能力者たちが足を止め、透子の話を聞こうと耳を傾け始めた。
「以前、√EDENの三重県にある小さな中学校の校舎に√ドラゴンファンタジーのダンジョンが融合した『融合ダンジョン』が現れたのだけど、覚えているかしら?」
 実際に赴いたらしき数名の√能力者が首肯するのを見て、透子は事件の説明を始める。
 ――それは、ある日の夕刻、突然小さな中学校の校舎がダンジョン化した事件。
 透子の依頼で駆けつけた√能力者たちがダンジョンに突入し、閉じ込められていた教師や生徒をほぼ全員救出したことで、ダンジョンは消滅し、一応の解決をみたはずだが……。
「そして今、星が語り掛けてきているの……『融合ダンジョン』事件が、また発生しようとしている、とね」
 透子いわく、今回ダンジョンと化すのは、海を臨む高台に位置する、やや規模の大きい中学校の校舎内。
 シチュエーションとしては前回と極めて酷似しているものの、一方で決定的に違う点があるという。
「以前はダンジョンに一般人が閉じ込められた後でしか介入できなかったけど、今回はまだ間に合いそうなの。少なくとも、最悪の事態となる前に介入できそう」
 そこで、と透子は√能力者たちを見回し、頭を下げる。
「みんなにお願いがあるの。急いで事件の解決に向かってくれないかしら?」
 その願いに応えるように、√能力者たちはそれぞれの想いを胸に頷いた。

「先ほども言った通り、今回は急いで向かえば、一般人が融合ダンジョンに足を踏み入れる前に追いつくことができるの」
 今回、融合ダンジョンに足を踏み入れようとしているのは、何らかの事情で中学校内で孤立している女子生徒だという。
「詳しい事情はわからないにせよ、放っておけば少女は融合ダンジョンに入ってしまうの。だからまずは、少女を説得してダンジョン行きを思いとどまらせて頂戴」
 情報を集めたり、事前に準備する時間はないため、言葉のみで説得することにはなるが、少女の心を揺り動かせればダンジョン行きを思いとどまってくれるはず。
 説得できなかった場合は、少女はダンジョンに入ってしまうが、その場合も少女の後を追ってダンジョンに入り、救出してもらうことになるだろう。
 なお、√能力などで無力化し、無理やりダンジョン行きを阻止することもできなくはないが、少女を取り巻く環境が変わらない限り、何れまた同じ悲劇が発生しかねないため、出来れば言葉で説得し、思いとどまらせてほしい。

「前回の融合ダンジョン事件では、他のダンジョンに突入した√能力者たちから、一般人が怪物に変化させられてしまう現象が報告されたわ」
 その言の葉を聞いて、一部の√能力者の脳裏を過ったのは――|特定の一般人《・・・・・・》に強い恨みを持つゴブリンの存在。
「今回も、少女がダンジョンに入ってしまえば……少女は怪物に変化し、復讐に邁進しようとするかもしれない。そうなれば前のような悲劇が発生するかもしれないわ」
 ――だが、もし、この事件を未然に防げれば。
「融合ダンジョン事件に関わる√ドラゴンファンタジーの拠点を見つけて、こちらから攻撃することもできるはずなの」
 そのためには、時に大胆な選択をする必要もあるかもしれないけど。
「私はみんながどのような選択をしても受け止めるわ。だから……事件の解決、頼むわね。
 そう、呟く透子に見送られながら。
 √能力者たちは、突然ダンジョン化した三重県の中学校に向かった。

マスターより

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第1章 冒険 『ダンジョンに誘われようとする一般人の説得』


●√EDEN:三重県某所――とある中学校、昇降口付近
 中学校の校庭に足を踏み入れた√能力者たちは、昇降口付近にふたつの人影を発見する。
 ひとりは、おそらく星詠みが言及していた「女子生徒」であろう、長袖のセーラー服を纏った、ショートヘアの少女。
 そしてもうひとりは……少女を誘っているであろう、怪しいとしか形容のしようがない影だった。

 √能力者が声をかけるより早く、怪しい影は昇降口を潜り抜け、校舎内に消える。
 そして、少女もまた、影を追いかけるように昇降口から校舎内に足を踏み入れようとしていた。

 ――しかし、√能力者たちは気づいてしまう。
 昇降口の奥、すなわち校舎内は――既に√ドラゴンファンタジーのダンジョンへと変貌していることに。

「……誰?」
 突然現れた他者の気配に気づいたか、少女が足を止め後ろを向く。
 誰何の声こそ平坦だが、√能力者を見つめる少女の瞳と表情には憎悪の色が濃く宿っていた。
 一方、少女のセーラー服から覗く手首や脚には青痣が見え隠れしているが、顔や手には傷ひとつついていない。

 少女のセーラー服に付けられている名札には「谷内 みやこ」と記されている。
 彼女――みやここそが、『融合ダンジョンに足を踏み入れようとしている一般人』だと確信した√能力者たちは、みやこにダンジョン行きを思いとどまらせるべく、思考を巡らせ始めた。

※マスターより補足
 第1章では、融合ダンジョンに足を踏み入れようとしている少女「|谷内《たにうち》・みやこ」に、ダンジョンに行かぬよう説得してください。
 みやこにダンジョン行きを思いとどまらせれば、説得は成功となります。

 マスターコメントに記した通り、説得の成否は2章の分岐のみに影響します。
 成功の場合は√能力者たちだけで融合ダンジョンに突入できますが、失敗した場合はみやこと共に融合ダンジョンに突入することになります。

 ――それでは、悔いなき邂逅を。