シナリオ

ヒーローを追う者

#√マスクド・ヒーロー #私立アテナイ学園 #スパルタン教育委員会

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 チャ~ンチャ、チャチャチャチャ、チャラララチャ~チャ♪
 軽快な音楽が流れ、仮面の女性が歌いながら現れた。
「しょうわ仮面のおねえさま、顏を隠して正義を助ける、いい女ひとよ♪」
 |昭月・和子《あきづき・かずこ》(しょうわ仮面・h00863)が悪と戦う時のスタイル。それを√能力者たちに星詠みを伝える際にも踏襲している。
「みなさん、やや奇妙な星の位置が詠めました」
 すっぽりと覆った赤いマントから、赤いグローブをはめた手先が、ひょいと突きだされる。
 能力者によっては見覚えもある、都内の地図だ。
「『私立アテナイ学園』の場所です。事件をいくつか解決したことで、ヒーローが出現する学校として界隈で注目されてしまいました。またヒーローが現れるのではないかと、周囲を張っている一般人がいるのです」
 暴露系配信者にマスゴミ、パパラッチといった輩らしい。
 彼らは悪の組織でもないので相手にしなければ良いのだが、これが何かのきっかけになるという予知だった。
「あえて学園の前で姿を見せ、カメラマンたちがみなさんを撮りにきたら、今度は逃げてください。学園からも離れる方向がいいでしょう。この騒ぎに怪人か戦闘員がなんらかの形で便乗してきます。さらには、予知の不鮮明さでまだ敵とも味方ともつかない存在が関わってきます」
 星詠みといえども、すべてが見通せるわけではない。
 それだけ情報があれば十分、あとは現場で判断して切り抜けてみせると、頼もしい返事をする能力者たち。
「ありがとうございます。簒奪者と戦うみなさん、そして心を同じくするヒーローのみなさん。どうか力をお貸しください」

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第1章 冒険 『カメラに撮られるな!』


第四世代型・ルーシー
星峰・アトラ
ベニイ・飛梅

 名門進学校としては、生徒の教育の妨げになってはいけないと、マスコミからの取材依頼はすべて断っていた。
 表向き、いかにも業界っぽい撮影スタッフがアテナイ学園の内外に居座ることは無かったが、だからこそだろう。停車した車両、その路地に通じる建物の陰、さらには建物の窓から、いくつものカメラが学園を見張っている。
「なかなかしつこいね、パパラッチって」
 第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)は、事前準備を整えた。
「パパラッチから逃走するのが今回の依頼だね、マスター」
 逃走ルートを確認しながら、つい口癖のように声をかけてしまう。『マスター』とのやりとりは習慣だ。いま、ルーシーのそばには、√能力者たちがいた。
 巡航単車『イロタマガキ』の整備を終わらせたものの、ベニイ・|飛梅《とびうめ》(空力義体メカニック・h03450)は震えている。
「無理。写真とか普通に無理です。勘弁してください……」
 上着のジッパーをきちっと上げた。
 そのいっぽうで、星峰・アトラ(葬送歌・h04702)は非常に露出度の高い踊り子系の衣装を着ている。
「だ・か・ら。カメラに撮られるなーってお願いでしょお」
 撮ってくれと言わんばかりのセクシーポーズ。
 体型は児童だが。
「うう……。最初は囮にならないと。目立つのは嫌だけれど、注意は引かないといけない」
 泣きそうなベニイの肩に手を置く、ルーシー。
「そうよ、まずはパパラッチにみつけてもらわないとね。だから、ベニイにも手伝ってもらったんじゃない」
 ふたりとも、『クラフト・アンド・デストロイ』の腕前がある。
 作ったのは『ヒーロー参上』と書かれた、半立体の看板だ。3人の立ち姿が装備も含めてシルエットになっていた。
 映画館の撮影スポットにある背景スタンドのようなものを、戦場での偽装技能を駆使して完成させたのである。ルーシーが|WZ《ウォーゾーン》『ブッタ』に乗れば、学園の前まで抱えて、素早く設置するのは簡単だ。
 WZは看板の後ろに、隠しておけばいい。
「やったー! ヒーローだ、ヒーローが出たぞう!」
「ウチが独占だもんね……ってなんだ、このカメラの数?!」
 実行してみると、本当にうじゃうじゃとカメラマンが湧いてくる。そこを、『イロタマガキ』に跨ったベニイが通過した。
「あっ! 看板と同じ乗り物だ!」
「ようし、移動力ならわが社に勝機あり、車を出せ!」
 ワゴン車にバイク、キックボードまでもが一斉に動き出す。彼らを引き付けながら、学園から離れる方向へと、ベニイは装甲二輪車を走らせた。
「この髪、このヴィークル。少し目立ちすぎですよね……」
 ちょっぴり涙声がでる。
 派手なカーチェイスになってしまうと、それはそれで√マスクド・ヒーローの一般社会に迷惑を掛けそうなので、充分引き離したところで、路地裏に走り込み、あとは自身の逃げ足で撒いた。
「撮れるものなら撮ってみなさいよ。むしろ私を撮った奴が社会的に死ぬんだから」
 看板の後ろで、アトラはクスクス笑う。
 確かに、昼間の屋外で見ると、アブなそうな衣装だ。
「なんて、言っちゃうのも大人気ないわね(by7歳)。彼らの社会的生命の為にも、隠れながら行動してあ・げ・る」
 端のほうから、手や足だけをひょいっと覗かせた。
「うおおおッ!」
 シャッターを押していた者たちから歓声があがった。
 ちらっと撮影させただけで、アトラは看板の陰から飛び出し、路地裏へと移動する。後ろ姿くらいは撮られたかもしれない。職業暗殺者の技能を応用して逃げる。
「大人ってバカよね。でも意外と楽しいからクセになりそうかも♪」
 アトラにとっては遊んでいるようなものだ。
 ついてくる者たちは、プロのマスコミというより、タレントの追っかけファンのような風体だった。持っている機材だけは高そうである。
 『ブッタ』の外部モニターから、看板の表側を覗くと、まだ残っているカメラマンがいた。
 乗り物を持たず、高価なカメラもなく、人によってはスマホをかざすくらいだ。年齢も若そうだった。ルーシーは、最後に彼らを誘い出そうと、WZを降りて事前に確認していた逃走ルートを走りだす。
「思ったより難しい、かな?」
 脳を電脳化している影響で、普通の運動が苦手なのだ。それでも、若年の一般人は次々と脱落していった。
「……ん? 彼女は?」
 真っ赤な顔をして、しつこく追ってくる少女がいる。機材はスマホだが、恰好は学校の制服だ。
 さっきまでいた『私立アテナイ学園』のものである。
「ま、待ってください、私に取材をさせて……きゃああ!」
 悲鳴だ。
 角を曲がってすぐ、うしろから聞こえた。ルーシーは、依頼に含まれていた悪による便乗だと察知して、すぐさま引き返す。
 裏路地のむこう、黒タイツの『戦闘員』が、制服の少女を押さえつけていたのだ。

第2章 集団戦 『戦闘員』


星峰・アトラ
ベニイ・飛梅
第四世代型・ルーシー
不破・鏡子

「あらら、戦闘員のおでましみたい、マスター」
 第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)は、慎重を期す。
 女子校生を人質にとられているのだ。カメラマンから別方向に逃げていた星峰・アトラ(葬送歌・h04702)が、彼らを撒いて路地に合流した。
「私はね、そうやって女の子を無理やり押さえつけるような奴が大っ嫌いなの!」
「……アトラ!」
 ルーシーは小声で状況を伝える。
 怪人たちをおびき出す作戦には成功したが、アテナイ学園の生徒が襲われたらしい。彼女が捕まってしまったのは自分達の作戦のせいでもある、と。
「まずは、彼女を救ってあげなきゃね」
「もちろん! 女の子の保護が第一よ。で、方法はあるの?」
 量産型|WZ《ウォーゾーン》『ブッタ』はまだ、学園前の看板の裏だ。そのかわり、スマホを使って遠隔操作し、搭載されている『レーザードローン』を呼び寄せられる。小型無人兵器で戦闘員の背後から奇襲できれば。
「わかった。時間かせぎと隙をつくればいいのね。目立つことに徹するわ」
 アトラは、ハチェットを大仰に構えた。
 目立つといえば、踊り子風の恰好だが、振る舞いは職業暗殺者のそれだ。背後の路地に、二台のヴィークルが停車する。
 ひとつは、ベニイ・|飛梅《とびうめ》(空力義体メカニック・h03450)が操る、『イロタマガキ』。
「本当に来た……! あれが戦闘員、初めて見ました。それどころじゃない、あの子を助けないと」
 短い時間で思考を巡らせる。
(「とはいえ、乱戦も対多戦闘も、無理、ではないけど、不利。優先は味方の支援、攪乱、そして救助……!」)
 敵を見たり、人質を見たり。
 路地の前後左右や、味方の顔ぶれなど、ベニイの視線は定まらない。
 もう一台のヴィークル、不破重工製大型自動二輪『鵩・改』の乗り手にも、伺いをたてるような目を向けた。
 フルフェイスのヘルメット姿の女性、|不破・鏡子《ふわ・きょうこ》(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h00886)は、黙って頷いてくれる。
「は、はい! 私は情報共有で支援します!」
 良かった、考えたとおりに動けばうまくいく、と後押ししてくれた気がして、ベニイは『イロタマガキ』を飛行モードへと変形させる。
 鏡子はバイクから降りて、『ナノメタル展開式対物破壊刃』を抜く。
(「正体隠してる身からしたらわざわざ写真とか撮られに行くのはごめんだけど、悪の組織の戦闘員が出てきたとなったら話は別ね。今回は何が目的で一般人を、そしてこの学園を襲ってるのか知らないけど、こいつら倒して親玉を誘い出せば分かる事。やってやるわ! ……まだカメラ持ちがいるかもなら、ヘルメットだけは守らなきゃね」)
 一般人は女子校生だけのようだが、人質になったままシャッターを押す余裕はあるまい。
 救出作戦に加わって、時間かせぎに協力する。
 戦闘員は、ヘンな形の武器を振り回して威嚇してきた。一体だけが人質とともに奥へと下がっていく。
「こら、ヒーローども! 大人しくしろ。モードチェンジはヒーローだけのものじゃないぞ!」
 グレーだったその一体が、危険な蛍光色に輝きだす。
「きゃああ!」
 何が起こっているかわからず、女子校生は悲鳴をあげる。
「しまった。速度が上がって追いつけなくなるかも!」
 ルーシーが運動能力の差を心配したその時、ヒュンッと空を切る音がして、円盤状の刃物が飛来した。
 チェンジ中の戦闘員の背中を斬りつける。
「イ、イテェー!」
 蛍光色スーツは元のグレーに戻った。
「いけ! レザドロ!」
 ルーシーは液晶画面をタップする。
 無人兵器が、少女を避けて制圧射撃を行う。その拍子に、戦闘員の手は離れる。
「無理……? いや、今!」
 ベニイが、エネルギーバリアを展開しつつヴィークルで敵中に突入した。くず折れるところだった少女を脇に抱えて、味方のところまで戻ってくる。
「やや、やりましたよ!」
「あぶないところだったね、大丈夫? 怪我はない?」
 ルーシーが、飛行ヴィークルから降ろされた少女に声をかけると、割と元気な声が返ってくる。
「怪我とか痛いとことか、ありません!」
「じゃあ、さっさと逃げなさい」
 自分がたどってきた路地を示す、アトラ。学園の前に出られるだろう。
「はい! ありがとうございました!」
 彼女を見送り、守るように前へと出る。
 しかし、眼前の戦闘員たちは、その数を増やしていた。
「情報共有します!」
 ベニイが、『マルチ・サイバー・リンケージ・システム』を接続した。彼女の支援で敵の弱点が判明する。数は多いが、狭い路地で動きが鈍い。
「反応速度で優位を取り、圧倒できるはずです」
「なら、近接攻撃を仕掛ける」
 鏡子は刀を変形収納すると、正面から殴りにいった。アトラはハチェットを短く持つ。
「救出対象さえいなければ、あんた達なんか大勢いたって、結局は雑魚なのよ!」
 リンケージ情報を得たふたりは、まるで姿が見えなくなるような動きだった。
「私のシステムじゃ消えるなんて……無理?」
 ベニイは√能力の相乗効果に驚いている。
 それぞれ、戦いかたも違った。鏡子の『フォアランナー』は堂々と姿をみせて相手の攻撃を誘ったあと、光学迷彩を纏って反撃の蹴りをいれている。また姿をみせて、戦闘員の剣を避けると今度は投げをうった。
 戦闘員が、ひとりで宙返りに失敗したみたいだ。
「一人ずつ始末してやるわ」
 アトラは、裏路地の闇のなかへと溶け込んでいる。『オートキラー』を使うあいだ、戦闘員たちは死角から切り刻まれて倒れるばかり。
「これで、最後ね」
 フルフェイスメットの蹴撃|格闘者《エアガイツ》が光学迷彩を解くと、その足元でこと切れるグレーの全身タイツ。この路地に立っている戦闘員は一人もいなかった。
「ごめん……まだみたい」
 ルーシーが、スマホの画面を見せる。ドローンの超感覚センサーがリンケージで鏡子たちにもつながる。アトラが、曲がり角のひとつに声をかけた。
「戦闘員の技を妨害して、女の子を助けさせたのは、あなた?」
「でも、親玉なんでしょ? なにを企んでいるのかしら」
 鏡子の指摘に、潜んでいた相手が出てくる。
「俺の名は……」
 紫のボディをもつ、改造人間。
「俺の名は『デュミナスシャドウ』。潰し、壊し、ヒーローを追う者」
 円盤状の刃物をかざす。
「……やっぱり。でもどういうことでしょう、マスター」
 確信はしたが、ルーシーには疑問の答えを今すぐマスターに尋ねたい。
 『デュミナスシャドウ』からは殺意しか感じないからだ。
「その戦闘員の組織とは関係ないが、俺も一般人を張るという同じ方法をとらせてもらった。俺の使命は、俺の宿命は、ヒーローを追って倒すこと。人質作戦など許せん」

第3章 ボス戦 『『デュミナスシャドウ』』


第四世代型・ルーシー
星峰・アトラ
不破・鏡子
ベニイ・飛梅

「人質を取らないという心構えはいいね、でも……」
 第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)は、覚悟を決めた。
「悪いけど依頼達成の為、倒させてもらうわ」
 この、『デュミナスシャドウ』が執拗にヒーローを倒そうとする理由も調べたいが、いったん置く。ルーシーを押しのけるようにして、星峰・アトラ(葬送歌・h04702)が紫の改造人間にくってかかった。
「私は怪人がムカつくから殺してるだけ」
 すると相手は、戦闘員を阻止した円盤刃を、アトラにちらりと見せた。
 見透かされたような気がして、居心地が悪い。
「なによ……。さっきの女の子を助けたのだって、大嫌いな奴らの邪魔をしてやりたかったからよ。自分のことをヒーローだなんて思ってないわ」
 反抗してみたものの、言い分を聞くような輩には思えない。
「もういい、要望通り相手してあげるわよ!」
「第三勢力か……結局はコイツの計画通りになったって事ね、ここまでは」
 |不破・鏡子《ふわ・きょうこ》(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h00886)の見解が、正解なのだろう。
「これ以上はそうさせない。簡単に私達を倒せるとは思わないでよね!」
 『重力制御場』を纏う。自身の移動速度が3倍にあがった。
 デュミナスシャドウは応じてか、速度を上げるマシンを呼び寄せた。
「シャドウ・ヴィークル、来い」
「……ヴィークル・ライダー!?」
 ベニイ・|飛梅《とびうめ》(空力義体メカニック・h03450)は、敵の騎乗したバイクに脅威を感じる。
「敵戦力不明、でも必ず仕掛けてくる、威力も速度も私たちを上回る恐ろしい攻撃を……」
「ベニイ!」
 接続を通じてルーシーの声が聞こえた。
「『マルチ・サイバー・リンケージ・システム』の管理を私が代わるわ。援護はまかせて!」
「は、はいっ、お願いします!」
 路地に轟いたのは、敵ヴィークルの爆音。
 デュミナスシャドウはシートから跳躍すると、炎の輪を展開させ、くぐったのちに地面へとキックを炸裂させた。
「わああっ!」
 ハチェットを持って突っ込んでいったアトラが、衝撃波をくらって吹き飛ばされる。
 布面積の少ない服装なため、全身の皮膚が裂けて流血しているのがわかった。
「まだよ!」
 武器は片手に握られている。
 衝撃波を受けたのは、能力者全員だった。デュミナスシャドウは再びバイクに飛び乗る。
「ヒーローたちに戦意アリ。破壊! 破壊!」
「|WZ《ウォーゾーン》さえあれば……』
 片腕を押さえる、ルーシー。スマホ操作によるドローンの援護射撃は、かわされてしまう。
「この敵、絶対に強い……!」
 フルフェイスメットを振って、意識をはっきりさせようとする、鏡子。
 ベニイは、悪い方向で予測が当たって、息をのむ。
「脅威はキックだった。でも、攻むるべき好機はそこしかない」
 勇気を奮いおこし、自分のヴィークルのアクセルを吹かす。ルーシーは情報伝達を続け、アトラと鏡子は頷きあった。
「基本は、ヒット&アウェイよ!」
「それで行きましょう」
 ふたりはブースト加速と重力制御という別々の手段で、シャドウ・ヴィークルに追いすがる。
「ブレイキング・ブースト!」
「グラビティ・コンバット!」
 可能な限りの連続攻撃を仕掛ける。
 ハチェットを持っていないほうの腕が折れた。鏡子の打撃は浅く、すぐに距離を取らねばならない。片目からでた血がスジをつくり、シャドウの右手が鋭い爪となって、宙を裂く。
「ぐ、グハァッ」
 吐血するアトラに、鏡子はメット越しで視線をむける。
 児童は、不敵に笑った。
「まぁ片目、片足、片手が残ってたら、撤収は出来るでしょ」
「続けます」
 鏡子はエネルギーバリアを張って、強めに踏み込む。
(「特に危険そうなのは右腕の爪。これだけは躱さないと」)
 ギリギリで懐に飛び込むと、近接打技『重爆撃』を叩きこんだ。悪の改造人間の胸部装甲を貫通して、ダメージを与える。バイクから落とすことは叶わなかったが、反対側から踏み込んだアトラがハチェットを振り切った。
 電流か火花のようなものが、デュミナスシャドウの身体を走る。
 跳躍中にアトラの片足は折れていた。
「無理。そう、たとえ無理でも……!」
 ベニイは、敵のキックを誘う。
 手負いでもシャドウ・ヴィークルの速度は落ちない。対して、巡航単車『イロタマガキ』は、路地での取り回しに苦しんでいた。
 ように、見せかける。
「デュミナス・キック!」
 跳躍した敵の体勢を見切り、ベニイはヴィークルごと空中移動と空中ダッシュで離脱する。
 ルーシーのリンケージが、その速度を可能にした。
 着地点に標的がいない状態を作り出し、キックを不発に終わらせる。
「取った! 上! 『|戦術飛梅《プラム・ミーティア》』!」
 ベニイがヴィークルを蹴り、真上から直下型電撃属性キックを敢行する。
 勝負あった。
 着弾地点から転がり出た悪の怪人、デュミナスシャドウの全身から火花が散っている。ベニイはヴィークルにぶら下がり、アトラは鏡子に肩を貸されて、敵の最後をみる。
「俺は、俺の宿命は……。石ノ森先生、ごめんなさい」
 紫の改造人間は爆発した。
 路地に面した建物も、いくらか損害を被ったが、ルーシーによれば被害者は出ていない。
 あのアテナイ学園の生徒をはじめ、カメラマンたちもそばにはおらず、幸いであった。

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