シナリオ

4
華麗なる?|鍛冶職人《ブラックスミス》の戦い方

#√ウォーゾーン #√マスクド・ヒーロー #Anker抹殺計画 #マンティコラ・ルベル #プレイング受付中 #現在サポートプレイングのみ預かり中

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√ウォーゾーン
 #√マスクド・ヒーロー
 #Anker抹殺計画
 #マンティコラ・ルベル
 #プレイング受付中
 #現在サポートプレイングのみ預かり中

※あなたはタグを編集できません。

●Anker候補『鍛冶職人』
「ねえ、知ってる? 鍛治って『かぬち』とも読むらしいよ。律令制のあった時代……平安とかだと、鍛冶司って役所での仕事だって」
 |亜双義《あそうぎ》・|幸雄《ゆきお》(ペストマスクの男・h01143)の知識マウント……もとい、話を聞いて『だからどうした?』という感想が大半だろう。
 いわく、この前置きは必要なものだとか。
「√ウォーゾーンにも居るのよ。由緒ある『|鍛冶職人《ブラックスミス》』のAnker候補がね、そいつがAnker抹殺計画のターゲットになった。サイコブレイドの“Ankerを探知する能力”ってのは、見分けがつかないハズの人、物、概念からAnker候補を見抜く」
 厄介なモンだ、と呟きながら電子タバコの蒸気を吹きだす。

 今回発見された人物は、√ウォーゾーンで鍛冶技術を受け継ぐドイツ人の一族だという。
「名前は『ギルベルダ・シュミーデ・ローゼンハイム』、10代女性だよ。ドイツの人類居住区にいる学徒兵で、兵科は『工兵』だね。技術班の一人として、WZや武装製造に関わってるよ……本人は鍛冶に向いてないと思ってるけどね」
 戦闘機械群によって母と兄を奪われ、今や父娘の二人家族。
 残されたギルベルダは、後継者の重責を感じていた。
「実際は、お父さんも臨時講師の一人として、鍛冶技術を兵員に教えてるのよ。技術は広めないと残らない。引き継がないと断絶しちゃうからね。娘の|本音《苦悩》に気付いている、ってのが一番だろう」

 だが、鍛冶とは金属を赤熱させるほどの、高熱をもちいる危険作業。
 |不幸な事故《・・・・・》が起きても、おかしくはない。
「実行部隊は、ギルベルダが鍛造機械を操作してるときに、誤作動を誘発するつもりだ。鍛造機械……ドロップハンマー、スプリングハンマー、それにプレス機。当たれば即死だ、頭蓋骨が陥没しちまう」
 ギルベルダにとって、それが職務である以上、持ち場から離れさせることは出来ない。
 であれば、√能力者が持ち場に入ればいい。
 一時的に学徒兵に加わってもいいし、気付かれないように潜りこんで、サポートしてもいい。
「抹殺計画が失敗したとなれば、指揮官も黙ってないだろう。最終手段として、ギルベルダへの直接攻撃を狙うから、あとは√能力者が守りながら指揮官を撃破してくれ」

 各√は分岐した世界そのもの、と言える。国外にも危険がある。
「ギルベルダのいる人類居住区はドイツ語圏だけど、多言語翻訳ツールがあればどうにかなる。意思疎通する気があれば、相手も理解に努めるもんよ……魚心あれば水心あり、だね」
 心配することはない、と幸雄は保証する。
「√ウォーゾーンだから観光も食事も楽しめないけど、学徒兵に混ざって遅いアオハルを体験したり、WZ開発メソッドを学ぶ機会もある。一番大切なことは……“日常にさりげなく紛れこむこと”だから、ね?」
これまでのお話

第2章 冒険 『危険物質の広がりを止めろ!』


●完全犯罪計画
 警報がなることなく、平穏な1日を過ごした学徒兵は校舎を出ると、各々の時間を過ごすことになる。
 ある者は自主学習に励み。ある者は自己研鑽に精を出し……ある者は、責務を全うするために時間を費やす。

 |護衛対象《ギルベルダ》は施設前で、手書きの資料とにらめっこしていた。
 施設そのものは体育館ほどだが、窓はないし、鉄の箱のように見える。
「異音の原因はモーターだと思うけど、接続異常かもしれないし……どのみちパーツを手直しするしかないよね」
 資材もそう多くはない。
 ムダ遣いを防ぐためにも、WZから部品を外すつもりのようだ――だが。
「まさか、予備の作業着が持ち出されるなんて……変な趣味の人でもいるのかな?」
 実行部隊に持ち去られてしまったのか。
 ギルベルダの服装は厚手のツナギではなく、体育で着るためのジャージ。
 危険作業であることは、ギルベルダも自認していたが、
「……外して再調整するだけだし、すぐに終わるよね」
 大仕事ではないから――そう判断して、ギルベルダは鍛造施設に入ってしまった。

 多くの鍛造機械は重厚な外観で、WZの規格に合わせるためか、数メートルはある大型機械も備えられている。
 沈黙する機械達は、次の職務を静かに待つ。さながら寡黙な職人のよう。
「まずは――」
 施設に入った直後、ギルベルダめがけて脚立が傾く。
 慌てて飛び退いたものの、それが“抹殺計画”の始まりだった。

「な、なにこれ? ……え?」
 誰かが故意に備え付けた、鉄の枷や首輪がギルベルダを捕まえる。
 ギョッとしている間に、今度はウィンチが独りでに動き始め――手枷や首輪を引っぱり出す。
 為す術なく引き寄せられる先には、やはり稼働し始めた鍛造機械の数々。
 機械は壊されても復旧という手段が残るが、生命は壊されたら元に戻らない。
 鍛造機械の|強制停止《破壊》。シンプルだからこそ、これが最速の救出手段となるだろう。