シナリオ

①絶対防衛領域周辺砲撃戦

#√ウォーゾーン #秋葉原荒覇吐戦 #秋葉原荒覇吐戦①

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
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(毎日16時更新)

●アンミタートによる解説
「王劍戦争第壱号『|秋葉原《あきはばら》|荒覇吐戦《あらはばきのいくさ》』が始まったね」
 そう言って、周囲の√能力者達に声をかけるのは、星詠みのヨーキィ・バージニア(|ワルツを踊るマチルダ《ワルチング・マチルダ》・h01869)だ。
「大妖『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』が王劍『|明呪倶利伽羅《みょうじゅくりから》』を手に、√EDENに侵攻してきたよ。それに呼応して、多くの王権執行者達もこの地へ侵攻してきているみたいだ」
 ヨーキィは始まった王劍戦争について解説を入れる。
「ヨーキィちゃんは√EDENの出じゃないけど、√EDENには大切な|指揮官様《Anker》もいる。一緒に頑張って守ろうね」

「今回みんなに向かってもらうのは秋葉原駅だよ」
 そこにはヨーキィの出身√でもある√ウォーゾーンの巨大派閥『レリギオス・リュクルゴス』が出現している、とヨーキィは解説する。
「彼らは、機械化された秋葉原駅構内に戦闘機械群を展開して、攻撃ラインを展開してる。当然放っておけば民間人が犠牲になるよ。そんなの放っておけないよね?」
 幸いにして、EDENたる√能力者に有利な条件が一つある。
「みんなが戦争開始前に頑張ってくれたおかげで、駅周辺には多数の『絶対防衛領域』が展開されているよ」
 そこは√能力者達が犠牲者を0にするために作り上げた領域。そこにまで民間人を逃がせることができれば、犠牲者を大いに減らせることだろう。

「今回相手をしてもらうのは『自走重砲兵『クリケット』』っていう寄生型に寄生された自走砲ベースの|少女人形《レプリノイド》だよ。|少女人形《レプリノイド》ではあるけど、意思と行動を完全に先頭機械群に支配されてしまっているから、遠慮なく倒しちゃってね」
 とはいえ、民間人を守りながらの戦いである。砲撃の中を潜り抜けながら人々を救うのは困難を極めるだろう。
「それでも、私たちは人を救うのを諦めるわけにはいかない。みんな、頑張って!」
 そう言って、ヨーキィは話を締め括った。

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第1章 集団戦 『自走重砲兵『クリケット』』


瀬条・兎比良
司城・桜香
ファウ・アリーヴェ
川西・エミリー
土方・ユル

 突如戦闘機械群の襲撃を受け、パニックに陥る秋葉原駅。
 そこに二台の警察車両がサイレンを鳴らしながら駆けつけてくる。
「√エデンを護るのはボク達第零課の役目でもあるからね」
「はい。まず民間人の避難が最優先です」
 それぞれの車両から現れたのは√EDENの警視庁刑事部捜査第零課の若き課長、土方・ユル(ホロケウカムイ・h00104)と、警視庁警備部対異能第四十二課警部、瀬条・兎比良(|善き歩行者《ベナンダンティ》・h01749)の二人だ。
 両者は警察手帳を提示し、市民の信用を得ながら、避難誘導を開始する。
(「一人でも多く助けなければ」)
 その場で二人と同時にその場に駆けつけてきていた己がルーツが何処に在るかも不明瞭な人妖「厭忌」の√能力者、ファウ・アリーヴェ(忌み堕ちた混血・h09084)は、冷静に周囲を分析し、逃げ場を考える。
(「駅から、であれば……JR構内ならば『三省堂書店 アトレ秋葉原1』が近いだろうか」)
「電気街北口から出て真っ直ぐ、書店へ逃げろ!」
 エキュートの辺りから北口付近のエリアに迫る自走重砲兵『クリケット』に対し、己の霊気が真剣の如く形を成した刀、霊刀「祈雨」を手にその接近を阻みながら、叫ぶ。
「ヨーキィちゃんありがとう、行ってきます」
 基地を同じくする星詠みに挨拶一つ。√能力『|炎の翼《ファイア・フィーバー》』を発動し、|戦時緊急出力《WEP》で四発の|天蓋大聖堂に掛かる虹《アルカンシェル》から虹の軌跡を描きつつ、空へと飛び立つのは川西・エミリー(|晴空に響き渡る歌劇《フォーミダブル・レヴュー》・h04862)だ。
「みなさんこちらです、早く避難場所へ!」
 空中を飛び、素早く民間人の避難経路を確立、避難誘導を開始する。
(「よし。避難の大きな流れは出来てきた。大きな人の流れが出て来たら、人形少女達が襲ってくるのは予想出来る」)
 そうユルが睨んだその時、まさに『クリケット』が動き出す。
「ターゲットの密集を検知。密集陣形に適した砲弾を装填します」
 『クリケット』が三式焼霰弾に似た空中炸裂式の砲弾を装填し、放とうとする。
 密集している市民を狙うには上空から降り注ぐ焼霰弾はあまりに脅威だ。
 だが、それに気付いたユルは決して慌てなかった。
「潜入捜査官に気付けなかったのがキミの敗因だよ」
 事前に実行しておいた第零課潜入捜査作戦が功を奏した。潜入捜査官は事前に民間人に脅威となる三式焼霰弾に似た空中炸裂式の砲弾のタイマーに仕掛けを施し、発射前に爆発するように仕掛けておいたのだ。
 結果、民間人を狙った『クリケット』は為すすべなく自爆する。
「昨今の警備計画ではテロ対策とかも鉄板だから、当然に他の√にも工作員を配置していて対策済みなんだよ」
 ユルが誇る。
「どこまでできるか分からない、けど”わたし達”も、手伝わせてもらうよ」
 ディーヴァズマイクを手に、姿を表すのは元5人組アイドルグループのデッドマン、司城・桜香(虚ろな五つ星・h07560)だ。
「『アイドルとしての輝き』を失った(欠落)”わたし達”だけど、できる限り歌う」
 発動する√能力は『世界を変える歌』。歌声を聴いた民間人のそばに励ます歌い手の幻影が現れ、民間人の支援を開始する。
(「仲間たちが支援してる限り、民間人の逃走、及びそれ関わる行動の成功率が1%を切ることはないだろうし……」)
「私も手伝います。三百年の罪状を謳え」
 兎比良もまた、√能力『|【物語】「心無き物の狂想曲」《ディアアンデルセン》』を発動し、人魚の泡影に小夜啼鳥の歌を謳わせる。
 すると、その歌声を聴いた民間人の元に人魚の泡影が出現し、民間人の支援が始まる。
 二人の歌い手により、避難の効率が圧倒的に向上していく。
「敵方はそもそも民間人には近付けさせない方針で行きます」
 人魚の泡影に歌を謳わせる傍ら、兎比良は小型リボルバーである|略式允許拳銃《らくいん》を構え、牽制射撃を行うことで『クリケット』の接近を阻む。
 桜香も歌いながらその様子に頷き、レイン砲台を起動。やはり牽制射撃で敵の接近を阻んでいく。
「弾幕ですね! わたしもお手伝いします。砲兵しかいないなら負けるはずがありません。被害が広がる前にやっつけます!」
 |極超合金装甲《ウルトラスーパージュラルミンアーマー》に取り付けた四門の九九式二〇粍三号機銃を手持ちの四門と連動させ、空中から弾幕による射撃を開始する。
「空中に脅威を検知。距離をとって対処します」
 『クリケット』はエミリーを脅威と見てとり、一気に自身の重砲が有効な最大の距離まで跳躍し、砲撃を開始する。
「無差別にみんなを狙うのなら容赦はしません、隠れても無駄です!」
 戦場の霧を纏い隠密状態になろうとする『クリケット』に対し、エミリーが一気に突入する。
 二式八〇番五号爆弾・改を投下し、『クリケット』を撃破していくエミリー。
「最後まで油断しないでいきましょう」
 決して油断せず、機銃でトドメを刺すのも忘れない。
 エミリーが秋葉原駅外の敵を確実に撃破しているが、内部でも戦闘が続いている。
「降り頻れ」
 一般人と『クリケット』の間に立ち塞がるファウが√能力『花腐し』で驟雨を模した霊波を放って、接近を阻む。
 そこに兎比良の銃撃と桜香のレイン砲撃が合わさり、安全が確保されていく。
 倒れた『クリケット』の中には、わざと倒れたふりをする個体も存在している。
 彼らはこっそりと民間人を襲撃するが、兎比良とユルが身を挺して庇うことで、カバーする。
 圧倒的な多数対数人のEDEN。しかし、戦いはEDEN優位に進んでいる。

七々手・七々口
アヤメイリス・エアレーザー
メイド・メイド
インディアナポリス・ノーベンバー・サーティーン・ワン
タミアス・シビリカス・リネアトゥス・フワフワシッポ・モチモチホッペ・リースケ
森屋・巳琥
コルヴス・ペネグリーヌ

 戦線はEDEN有利に進んでいる。
 だが、まるで無尽蔵であるかの如く『クリケット』は湧いてくる。
「皆、逃げなさい!」
 重砲を装填している『クリケット』を狙い撃って砲撃を阻止するように動くのはかつて失楽園戦争を生き延びたツンデレセレスティアル、アヤメイリス・エアレーザー(未完成の救世主・h00228)だ。
「砲塔を持っているテロリストがいるわ、皆は避難所であるアトレに逃げ込んで!」
 まだ逃げ遅れている人々にアトレが避難場所であることを再周知しつつ、アヤメイリスは√能力『|根源の弾丸は楽園が司る超常破壊の理を宿し穿つ《ルートバレット・エデンズブレイクバレット》』を発動して、インビジブルに干渉、戦闘機械群の√能力を破却し、攻撃を阻止していく。
「少女人形に寄生とは、悪趣味な。……戦闘機械群相手に今更か」
 そう呟くのは√ドラゴンファンタジーの|傭兵《個人事業主》コルヴス・ペネグリーヌ(放蕩鴉・h09224)だ。
 コルヴスはメガホン片手にアヤメイリスに倣って逃げ遅れた民間人に対して避難誘導を実行する。
「√能力者の負傷と民間人の負傷。どちらが安いか。自明だな。……徒に|資産価値《人命》を損なう。やはりお前らとは相容れん」
 なおも接近してくる『クリケット』に対し、√能力『エレメンタルバレット『|鴉雀無声《サイレンス》』』による早撃ちでその接近を阻む。
「おーおー、元気な奴等やな。ハロウィン直後に荒覇吐に合わせて突っ込んでくるとは……」
 そこに戦線へと合流してきて呟くのは2016年に製造が開始された試験用ベルセルクマシン、インディアナポリス・ノーベンバー・サーティーン・ワン(旧レリギオス・ランページ所属 11-13部隊初号・h07933)だ。
「ほな、地元の悪童はわしらでしめてやろか! 『レリギオス・リュクルゴス』、この戦争で潰す勢いで叩いたるわ!」
 一気に敵陣に突っ込んで、浮遊型飛輪武装『アラバマ』による範囲攻撃で『クリケット』群に打撃を与えていく。
「おもむろに始まったから支度は不十分やけど、こいつらくらいなら通常武装で何とかなるはずや」
 走り続けることで、『クリケット』の砲撃を回避しつつ、『アラバマ』による攻撃を命中させていくインディアナポリス。
「敵性、ベルセルクマシン。速度が速い。戦術の変更を検討」
「戦術の変更? かかってこいや自走重砲兵共! 民間人しか狙えへんヘボ照準なんぞ当たらへんでぇ!」
 と、そう言っていたインディアナポリスの背中に『クリケット』が抱きつく。
「のわぁ!?」
 倒れたふりをしてインディアナポリスの油断を誘い、抱きついたのだ。体内で製造した寄生型戦闘機械群の端末がインディアナポリスに襲いかかる。
「何すんねん!」
 とはいえ、その程度の微弱ダメージで倒されるインディアナポリスではないのだった。
 インディアナポリスの必死の戦闘にも拘らず、『クリケット』はまだまだ現れる。
「ふむ、やはり秋葉原駅を抑えるのは敵方にしても、|当機《あたしたち》にしても基本というわけでございますね。ええもちろん、皆様方をお|警護《まもり》いたします」
 その様子を見ていた√世界にまだ見ぬご主人様を求めて冒険している野良メイドたるメイド・メイド(学名:霊長目ヒト科メイド属メイド・h00007)が、『クリケット』と民間人の間には割り込む。
「|空間《アドレス》|確保《アロケーション》。これよりここは|当機《わたし》の|実験空間《サンドボックス》にございます」
 √能力『|召喚術式・メイドのための実験空間《マウント・メイド・イン・サンドボックス》』が発動し、『クリケット』達がサンドボックス空間へと飲み込まれる。
 |強化型層式波状板紙《リインフォースト・カードボード》で民間人を庇う。
「|当機《あたし》に構わずお逃げくださいまし」
 4対の機械翼で空中を飛び、ヒールで踏みつけるメイド。
「ここは|当機《あたし》の|実験空間《サンドボックス》。大丈夫、人々のため、うまくいくようにがんばりますよ」
「戦力は十分な感じかな、私は混乱を抑えるべく動きます」
 メイドやインディアナポリス、アヤメイリスの活躍を見て、そう呟くのは√ウォーゾーンにおいてはもしかしたら普通かもしれない少女、森屋・巳琥(人間(√ウォーゾーン)の量産型WZ「ウォズ」・h02210)だ。
 少し離れた戦場外のビルから様子を見つつ、√能力『|蜃気楼の分隊《ミラージュ・スカッド》』により、12体の見た目を類似させた各素体をドローン操縦で遠隔操作する巳琥。
 警備兵っぽい雰囲気を纏った素体達が民間人の避難誘導を開始する。
「避難誘導の人手がまだ足りないみたいだ。ふむ。こういう時はあれやね。あれ」
 そう呟くのは尻尾の代わりに7本の魔手を生やす猫の獣妖、七々手・七々口(堕落魔猫と七本の魔手・h00560)。
(「怠惰、人形達出してー」)
 √能力『|動きたくない《怠惰》』により、視界内の物体が40体もの勤勉な殺戮人形へと変身する。
「さて、人形達。お仕事の時間だよー」
 殺戮人形達は機敏に『クリケット』を迎撃しつつ、民間人の避難誘導を開始する。
「いやぁ、怠惰の力で生まれたとは思えんほどの勤勉さだねぇ」
 その様子に七々口は感心しつつ頷く。
「敵の増援を検知。増援の元を断ちます」
 中には七々口が操り主だと理解した『クリケット』もいたが、魔手に殴り飛ばされて終わった。
「この戦いは、単に簒奪者を討ち果たすのみにあらず。弱き市民を戦火より救い出す、我ら騎士の責務の証明である」
 そう堂々と宣言し、√能力『Vis unita fortior』により、12体の|堅果守護者《ナッツガーディアン》達を呼び出すのは、タミアス・シビリカス・リネアトゥス・フワフワシッポ・モチモチホッペ・リースケ(|大堅果騎士《グランドナッツナイト》・h06466)だ。
「巨大なWZの集団と盾は物理的・精神的に市民を守るだろう。盾を掲げよ、|亀甲隊形《テストゥード》!」
 リースケはWZ|騎士長官《マギステル・エクィトゥム》を操り、|堅果守護者《ナッツガーディアン》は|騎士《エクィテス》を操り、降り注ぐ砲弾の雨から民間人を防衛する。
 避難誘導が進むと、人手も空いてくる。
 そうなれば、巳琥の素体達が『クリケット』の無力化確認にリソースを割けるようになり、インディアナポリスが受けたような不意打ちを回避できるようになっていく。
 素体の耐久度はそこまで高くないため、中には素体が破壊される場合もあったが。
(「他の方が巻き込まれるに比べればマシです……かね?」)
 ということだ。
 余裕が出てくれば、リースケのWZ軍団も乗り換えて戦闘向けの装備に切り替える。
 リースケのWZ|騎士長官《マギステル・エクィトゥム》は|超重鉄騎《クリバナリウス》合体し、騎馬に乗ったような状態へと変わる。
 |堅果守護者《ナッツガーディアン》も|重鉄騎《カタフラクト》を操る。
「蹂躙せよ、この場から奴等を駆逐するのだ。|堅果《ナッツ》を讃えよ!」
 十三体のWZによる突撃が『クリケット』を蹂躙していく。
 避難誘導も終わりつつあり、戦いはいよいよEDEN優位に進んでいく。

白石・明日香
東雲・グレイ
空地・海人
シアニ・レンツィ

 少し離れてラジオ館付近。ラジオ館にも人々が避難していた。
「ここでは砲撃戦用の連中か」
 そう呟くのは孤高に戦う少女、白石・明日香(人間(√マスクド・ヒーロー)のヴィークル・ライダー・h00522)だ。
「だああーっ無茶苦茶するな! ここは√ウォーゾーンでもないし平和な国なんだから! 武器をぶっ放すのはよくないよー!」
 砲撃の雨霰が駅からラジオ館付近の地面に弾着するのを見て思わずそう叫ぶのは、竜だった頃の記憶を失い√EDENを彷徨っていたドラゴンプロトコル、シアニ・レンツィ(|不完全な竜人《フォルスドラゴンプロトコル》の羅紗魔術士見習い・h02503)だ。
「って聞いてくれるはずもないよね! みんなをたすけなくちゃ」
「あぁ、とにかく民間人の安全を確保だ!」
 そんなシアニの言葉に同意するのは√EDENで暮らす普通の青年、空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)だ。
 緑の装甲を纏う√汎神解剖機関フォームで、戦いに臨む。
 空撮爆弾・ハイアングルボマーを放ち、射撃を乱れ撃ち。『クリケット』の相手をさせる海人。
 ハイアングルボマーの攻撃標的にされた『クリケット』達はすぐさま、反撃のために跳躍し、最大射程で重砲を放ってハイアングルボマーを攻撃する。
 しかし、空中を自在に飛ぶハイアングルボマーにはその攻撃は当たらない。
 とはいえ、民間人に流れ弾が当たる恐れはある。明日香が、その弾道を緻密に計算し、民間人に当たる可能性のあるものは確実な精密射撃で撃ち落としていく。
 問題は、ハイアングルボマーを砲撃した個体は戦場の霧を纏って見えなくなってしまうことだが。
「逃がさないよ、どこにも」
 彼女らがどこへ逃れ、どこへ行ったのか、その全てを適切な位置のビルから見ている少女がいた。
 日本人とアメリカ人の混血にして、 白い髪に赤い瞳のアルビノの少女は、東雲・グレイ(酷薄なる灰の狙撃手・h01625)だ。
 得物である3m超の白いスナイパーライフルを構えた彼女は確実に戦場の霧を纏って逃げようとする『クリケット』を撃ち抜いていく。
「この距離だ、避けられるわけがない」
「長距離狙撃を検知。長距離狙撃弾を使用」
 対する『クリケット』は、長距離狙撃弾を装填、グレイを狙う。
「そんな攻撃は見えている」
 だが、グレイは√能力『|反射狙撃作用《カウンタースナイプ・フェノメノン》』を発動して、別のビルへと跳躍、姿を隠しながら、次の狙撃を狙っていく。
 かくして、『クリケット』は確実に撃退できているのだが、問題は避難誘導の方だった。
「とにかく数が必要だよね」
 シアニがそう言うと、√能力『|妖精さんのお手伝い《サモン・フェアリーズ》』を発動。黒髪緑の瞳のミドリを始めとする妖精の幻影の集団が出現する。
「妖精さん妖精さん、どうかみんなを助けてください」
 ミドリがその言葉に頷くと、妖精の幻影達は市民の避難誘導を開始する。
 シアニはそのまま羅紗で出来たマフラーであるシアニマフラーに魔力を通して魔術で応戦する。
「対魔術砲弾を装填」
 対して、『クリケット』は対魔術砲弾を装填し抵抗してくるので、シアニは掩体代わりの遮蔽物へ逃げ込む。
 そして、こっそりと、妖精達にお願いすると、なんと、シアニは『クリケット』の集団のど真ん中へと姿を現す。
 『|妖精さんのお手伝い《サモン・フェアリーズ》』の能力の一つ、円陣内の全対象を任意の所へ転移する能力だ。
 巨大な戦鎚型竜漿兵器、シアニハンマーを振り回し、シアニは一気に『クリケット』を削っていく。
 倒した敵は盾に使いつつ、魔術もばら撒いての大暴れ。
「脅威度を更新」
 『クリケット』達がシアニを脅威と認識し、再び重砲で狙う。
 流石のシアニもこの数に狙われるとまずい、と言う状況。
「寄生された少女人形には悪いけど……一体たりとも逃がしはしないぜ。」
 そこに現れたのは避難誘導を終えた海人だ。イチGUNを構えて早撃ちで『クリケット』を牽制し、その動きを封じる。
「こいつで終わりだ。あばよ」
 そして、そうして動きが封じられた『クリケット』に向けて、明日香の√能力『|鮮血の弾丸《ブラッド・レイン》』が起爆する。
 鮮血属性の弾丸が弾着し、血の雨が『クリケット』を蝕んでいった。
 離れたところで独立して砲撃を続ける『クリケット』もいたが、彼女らはグレイにより確実に狙撃されて殲滅されていく。
 かくして、秋葉原駅周辺に展開していた『クリケット』はここに殲滅されたのであった。

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