シナリオ

NO WHERE PEACE

#√マスクド・ヒーロー

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 #√マスクド・ヒーロー

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●If Your Might Is
「さだめの星が輝いた。ゾディアック・サインが危機の到来を告げている」
 朗々とした声で言って、サリエル・コードウェイナー(天宮仰ぐ銀の霊眸・h00064)は目の前にある雑居ビルの扉を指し示した。
 一見すると何の変哲もない、ただの防火扉でしかないそれが異なる√へと通じているのだと、能力者達には直感できる。
「この扉は今、√マスクド・ヒーローへと通じている。そして、この扉の向こうでは今まさに、悪の秘密結社が事件を起こしているんだ」
 その事件とは、とある市民球場を占拠しその場の全員を人質とするという非常に大規模なものである。世間の注目度は高く、マスコミによる中継も行われているが誰も被害者達を救おうとはしない。
「なぜなら、敵は悪の秘密結社プラグマ。この√の支配者とも言える存在だから。誰もがその暴虐に憤りを抱いているが、誰もがその暴虐を恐れて動けない」
 それほどまでにプラグマの怪人は――いや、その配下の戦闘員ですら普通の人々にとっては驚異的な力を持つ存在なのだ。
 だがしかし、眼前で起こる理不尽な悲劇に手をこまねいて涙をこらえるのではなく、あえて敢然と立ち向かおうとする者達がいる。
「それこそがキミたち、ヒーローだ」

●What You Can Do Now
「クククク。さあ来いヒーロー共。ここを貴様らの墓場にしてやる」
 グラウンドの中央で仁王立ちし、怪人コウモリプラグマは大きく避けた口を歪めて嗤ってみせた。
 占拠された野球場。この後開催されるはずだった試合の参加者とその観客達、合わせて百人程が人質となって集められている。予定されていたのがプロチームではなく近隣の高校の野球部同士の試合で、それゆえに球場の収容上限から見ればごく少数でしかなかったが、それでも大がかりな事件には違いない。上空には数機のヘリが飛び回り、事件の様子を見守っていた。
「もし奴らが一人も来なければ……お前達は全員新たな怪人の素体だ!」
 哄笑するコウモリ怪人。人質達を拘束している、あるいは観客席から眺めている戦闘員達がやんやと囃し立てた。
 下卑た歓声に被害者達は俯き、ただただ願うことしかできなかった。
 助けてくれる誰か……ヒーローが現れることを。

●We all long for you, Hero.
 グラウンドには人質達と怪人コウモリプラグマ、少数の戦闘員。観客席に多数の戦闘員達。そういった配置を説明し終えると、サリエルは能力者達に向けて問いかけた。
「さて、どうやってこの事件を解決しよう? ワタシの予知では、敵の狙いはキミたちヒーローを迎え撃つことだ。キミたちが姿を見せても、すぐさま人質に危害を加えることはないだろう」
 正々堂々と正面から挑戦し、観客席の外縁から順に倒し進んでいけば、グラウンドに到着する頃には戦闘員達を一掃できているはずだとサリエル。そうなれば、残る敵はコウモリプラグマだけとなる。
「それとは逆に、速度や策略で戦闘員達の目をかいくぐりグラウンドへの到着を優先するという手段もある。けれどこの場合、人質を守りながら押し寄せる戦闘員達と戦わなければならなくなる」
 この乱戦状態になった時、コウモリプラグマは能力者達との直接交戦を避けて撤退する。その意図は判然としないが、強敵との戦いを避けられるのは利点と言えば利点ではある。
「どちらの方法を取るにしても、大事なのは敵の危機感をあおり過ぎないことだ。ある程度手こずっているように見せかけたり、あえて敵の攻撃を受けて倒れてみせたりする演技が必要になるかもしれない」
 ともあれ、とサリエルは能力者達に真剣な眼差しを向けてみせる。
「行動するなら今しかない。この√を越える扉も、いつまで使えるかわからないから。さだめの星が輝いているうちに、戦いを始めよう」

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第1章 冒険 『劇場型怪人事件』


ヘルムート・フリュクバリ

 怪人達に占拠された野球場の直上。冬の青空にくるりと円を描いて、一体の獣妖――ヒポグリフが観客席の最外縁に降り立つ。次の瞬間、鷲の前半身と馬の後半身を備えた妖はヒトバケの術を発動し、一人の青年へと姿を変えた。
 彼、ヘルムート・フリュクバリ(青鹿のヒポグリフ・h00825)の出現に戦闘員達が色めき立つ。
「どこの組織の怪物だ?」
「いや、まさか裏切り者の怪人!?」
 投げつけられる悪罵。ヘルムートは拳を固く握り締め、鷲のように鋭い眼光を投げ返す。
「怪人? 怪物? 僕は獣の業で敵を潰す、ただの妖だよ」
 すっ、とヘルムートの身体が沈む。√能力が開放され、五対の鷲の脚と馬の脚を持つ『獣妖暴動体』へと変貌した彼は跳躍した。その到達高度はヒトの姿を借りていた時の数倍にも達し、最前の戦闘員は思わずそれを見上げ――落下してきたヘルムートの蹄に踏み潰された。
「お前達は食う気も失せる」
 返り血に彩られた凄絶な顔。それはヒトのものでありながらヒトとは決定的に異なる、文字通り人面獣心の殺意を湛えていた。
「だから、ひたすらに蹂躙させてもらう」
 短剣のような爪を生やした鷲の肢が五つの弧を描く。それらは戦闘員達が身にまとう防護服を紙のように斬り裂いて、空に赤い花を五つ咲かせた。

白神・明日斗

 スロットルを開く。エンジンが高く咆哮する。戦闘用四輪バイク『アルファルク』を駆り、白神・明日斗(歩み続けるもの・h02596)は√間境界線へと飛びこんだ。
 たちまち、周囲の景色がビル街から野球場の観客席へと変わる。違和感を訴える見当識を闘志でねじ伏せて、そのまま加速。
「うじゃうじゃいやがるな。ひき潰して回るか」
 突如現れた『アルファルク』に動転した様子の戦闘員達を正面に見据えて、明日斗は口の端を吊り上げた。さらに加速。観客席最外縁の通路をサーキットコースに擬して疾駆する人車一体のヒーローが、次々と敵を撥ね飛ばしていく。
 外縁部をほぼ半周したところで、戦闘員達がその身をもって分厚い壁を築き上げているところに遭遇した。一挙に通り抜けられぬ程の厚みでもって抑えつけようという魂胆らしい。
 明日斗がふっ、と鋭く息を吐いた。『アルファルク』の運転席から跳躍。放物線の頂点で体を捻る。
「食らえッ!」
 蹴撃の体勢を取った明日斗の足が炎をまとう。肚の奥に秘めた怒りを顕したかのように燃える一撃。大音声を立てて炸裂し、集まっていた戦闘員どもを残らず吹き飛ばす。
 素早く立ち上がり敵へと向き直る一瞬、明日斗はグラウンドのほうから見上げてくる視線を感じた。
 ヒーローの来援を見て輝く、生存の希望を見出したいくつもの瞳。切なる願いがこめられたそれらに背を向けて、明日斗は詠唱錬成剣を抜き放った。
 ぞろぞろと集まってくる戦闘員の集団に向けて、切っ先を戸惑っているかのように揺らしてみせる。
「っと、さすがに囲まれるとちときついか……ね」
 もちろん、これは擬態だ。脳裏では冷静に、こいつらをどう切り崩してグラウンドへと向かうか計算している。だが、そんな企図を見抜けない戦闘員達は今こそ好機と一斉に襲いかかってくる。
 狙い通りの展開だ。剣を構え直し床を蹴って、明日斗は敵を迎え撃った。

黒木・摩那

 ずどん! 大きな爆発音がしたほうを、|黒木・摩那《くろき・まな》(異世界トラベラー・h02365)はちらりと振り返った。
 三塁側の観客席。どうやらそこで、他の|√能力者《ヒーロー》が渾身の一撃を炸裂させたらしい。
「早速派手にやってますね」
 呟いた摩那は、次いでグラウンド中央へと視線を移す。人質達はフィールドのほぼ中央、内野と外野の境界部に集められている。ヒーローがどこから来ても彼らを見つけられるような狙いがあるのは明白だった。
「ならば、あえてその期待? に応えるのも一興でしょう」
 摩那はひらりと跳び上がり、バックスクリーン前観客席の手摺の上に立った。人質を見張っていた戦闘員がそれを見つけ、誰何の声を上げる。
「貴様、何者だ!?」
 こう言われるだろうとは予想していたが……この問いに返すべき答えを、摩那はいまだ持ち合わせていなかった。周囲で発生している重力変異現象によって一目で彼女の正体――外星体ミステル――が露見してないということは判明したが。
 時間が無くて考える間もありませんでした。今度考えておきます。という本音を口に出すことなく、摩那は超可変ヨーヨー『エクリプス』を取り出し、胸の前で構えてみせた。
「やはりヒーローか!」
 自答した戦闘員が近づいてくる。他の監視役達も反応し、集まってくる。これですぐさま人質達に危害を加えられるのは怪人コウモリプラグマだけになった。
 手首をしならせ、摩那は『エクリプス』を放った。ストリングを通じて彼女の念動力を受けた金属ヨーヨーは玩具を模したものとは思えぬ勢いで宙を駆け、弧を描いて最前の戦闘員の側頭部を強打、昏倒させる。
 向かってきている戦闘員達が気色ばんで足を速める。摩那は右手を返して『エクリプス』を手元に戻すと、そいつらを待ち受けた。

フロッシュ・ニッテカン

 球場の外を歩哨していた戦闘員達が、慌てた様子で内部へと向かっていく。その様子を物陰から見つつ、フロッシュ・ニッテカン(|疾閃《ライトニング》スピードホリック・h00667)は腕を組んで唸り声を上げた。
「うゥ~ん……ボクはどうしようかなァ?」
 どの入口から入ったとしても、敵がいる場所までさほどの距離はないと思われる。となれば全速を出してもスタミナは十分持つからヴィークルは不要だろうが、人質達の安否も気になる。
「はァてさてェ……」
 再び唸った瞬間、球場の中から何かが爆発するような音が聞こえてきた。誰かが放った√能力による攻撃だろう。さらに何人かの戦闘員が駆けこんでいく。
 いいことを思いついた、という顔をして、フロッシュは歩き出した。速度に反してほどんど音を立てない歩法でするりと入口を通過、手近な物陰に身を隠し、数秒待機。
「速さだけじゃないんだなァ~これが」
 言いながら、彼女は鉄火場に似つかわしくないのんびりとした動作で再び歩き出した。
 ――と。
「なっ!? どこから入りこんだ!?」
 泡を食ったような声。数人の戦闘員がフロッシュに困惑と憤激の視線を向けている。
 声を出さずにフロッシュは笑った。
「忍び足で音を抑えたのさ、凄いもんだろう? え、バレたら意味がない? いやァごもッとも♪」
「ふざけた奴め……捕まえろ!」
 リーダー格と思わしき戦闘員が怒声を上げる。フロッシュは態度を一変させ、両手を体の前に突き出してぶんぶんと振った。
「待ッて。ほんとに待ッた方が良い。それにボクを怪人にしてもダウナーで露出度の高い、大人のお友達御用達なものにしか……」
「黙れ!」
 詰め寄ってくる戦闘員達に、フロッシュは「うわァ!?」と悲鳴を上げて蹲る――次の瞬間、その姿がその場から掻き消えた。
「っ!?」
 先頭のひとりが倒れた。ばちばちと雷電が弾ける音。倒れた戦闘員の頭がぼとり、と落ちる。青色の輝きが走るや、さらに二人が首を落とされた。そのまま成す術もなく、戦闘員達は姿なき凶手によって壊滅させられた。
「あァ忠告したのに……」
 青い雷光をまとったフロッシュが呟いた。彼女は戦闘員達の亡骸を一瞥すると、手にしていた雷の大鎌をひと振り。
「じゃァこのまま進もうか」
 何事もなかったかのようなのんびりした口調で言って、フロッシュは歩き出した。

ファウビィ・アルメ

 光の雨が降る。
 上空から降り注ぐレーザーが左右に駆け抜け、ファウビィ・アルメ(継の硝守・h01469)と迫り来る戦闘員どもの間に境界線を引き、消えた。
(……そろそろいいかしら)
 数歩後退して再びレーザーの雨を降らせながら、ファウビィは周囲を眺め渡す。
 バックネット裏観客席――三塁側観客席――スコアボード下――そして彼女が立つ一塁側観客席。その全てにおいて√能力者達は十分に敵の目を惹きつけることに成功している。ファウビィが交戦している戦闘員達も、その数をもう増やしてはいない。
 そして同時に、彼女達に向けられる人質達の視線は温度を上げていた。彼らの多くはもう俯いてはいない。顔を上げて目を輝かせ、|救い手《ヒーロー》達の戦いを見詰めていた。
「――!!」
 がなる声が聞こえてきた。怪人の咆哮に人質達が怯えて身を竦ませる。
「……卑劣ね」
 感情の奔流を秘めた声で、ファウビィは呟いた。右手を伸ばして天に掲げる。
「わたし、そういうの好きじゃないわ」
 右の手を握りこむ。彼女の意志に呼応して、決戦気象兵器がその真価を発揮すべく出力を上げていく。
「お前達を早く倒して、囚われた人を解放しないと」
 ファウビィは敵の戦力を残らず引き出すために時間を稼いでいたのだと、戦闘員達は悟った。
 だが、もう遅い。
「数による蹂躙、お前達が普段やっていることでしょ?」
 これまでの微雨が噓のような嵐の気配。一塁側観客席の上空に眩く輝く雲が現れる。
 それは、粒子状レーザー砲台たる「レイン」最大火力砲撃の前兆。
「――薙ぎ払って終わりにするわ」
 宣告が放たれた。半径十メートルの円内に向けて、三百のレーザー光線が一斉に放射される。
 光の雨が去った後、そこには誰も立っていなかった。
「後はお前だけよ」
 怪人に怒れる瞳を向ける、ファウビィ・アルメ以外には。

第2章 ボス戦 『『コウモリプラグマ』』


●You Fight To What
「――――!!!!!」
 怒れる怪人コウモリプラグマの咆哮。それは暴力的な威力の超音波であり、人質達は残らず耳を押さえて蹲った。
「おのれヒーロー共! ここまでやるとは!」
 身動きの取れない人質達を捨て置いて、怪人は内野側へと向かっていく。
「だが、今から貴様らを倒せばいいだけのこと! さあ、かかって来るがいい!!」
 傲然と翼を広げ、コウモリプラグマは|ヒーロー《√能力者》達に宣戦布告を叩きつけた。
黒木・摩那

 |黒木・摩那《くろき まな》(異世界トラベラー・h02365)はフェンスを跳び越えてグラウンドへと降り立つと、人質達のほうをちらりと見やった。
 先程のコウモリプラグマの一喝の影響を受けてまだ多くが苦しんでいるが、意識を失っている者はいないようだ。恐慌して駆け出し怪人との戦闘に巻きこまれたり、戦いとは無関係に事故を起こして負傷者が出るといった心配はなさそうだ。
(それに……怪人の興味はこちらに向いてる。とりあえず大丈夫そうですね)
 摩那は足早になって、怪人の下へと向かう。
(コウモリは南の方では食材として食べられていると聞いてます。果たして、この怪人はどんな味がするのでしょうね)
 その脳裏には、外星体にしてはかなりマニアックな知識が浮かんでいた。東アジアからオセアニア、さらにはアフリカの一部において串焼きや煮込み、スープといった調理法で食されているらしい。
(おっと、つい顔が崩れてしまいました)
 重力変異による可視光の歪曲によって今の表情が余人に悟られないことに感謝しつつ、摩那は真剣な顔を作るように心がけながら『白波残月』の名を持つ刀を抜いた。
「先程のオモチャは使わないか。……いい心がけだ!」
 言って、コウモリプラグマはぱっくりと顎を開いた。血色の口腔から不可視の超音波攻撃が放たれる。
「――っ!」
 目の前にいきなり透明な壁が現れ、それに激突したかのようだった。摩那はよろめきつつも、襲い来る衝撃波を強引に突き破った。
「何ぃっ!?」
 予想だにしなかった摩那の行動に、コウモリプラグマは慌てて翼をはばたかせて飛び上がり、回避を図る。摩那が上段から振り下ろした刃がその足先を掠めた。
 摩那は素早く身を伏せ、斬り落とされた怪人の足指をすくい上げる。そのまま敵の間合いの外まで走り抜け、耳栓代わりにしていた硬貨を耳から取り外すと、彼女はにんまりと笑みを浮かべた。
「採取成功――では、いただきます」

フロッシュ・ニッテカン

 バックヤードとフィールドを繋ぐ扉を開け放ち、フロッシュ・ニッテカン(|疾閃《ライトニング》スピードホリック・h00667)は疾走した。
(咆哮、超音波……それが知れれば十分、ッてとこかなァ)
 フロッシュの接近に気づいた怪人が振り返る。サイボーグの脚力で走ったにも関わらず即座に反応してみせたのは、さすが秘密結社プラグマ直属のといったところか。
「けど、ボクは速さだけじゃないんだなァ~これが」
 コウモリプラグマは再び超音波攻撃の構え。怪人が口を開いた瞬間、フロッシュは跳躍していた。弾丸の如く宙を翔け、敵へと迫る。掲げるは青い稲妻をまとう大鎌。
「そォれッと!」
 青い円弧が描かれ、刃がコウモリ怪人に突き刺さった。再び電光が弾けて、フロッシュの姿を隠す。
 いくら姿を隠そうが、周囲一帯を吹き飛ばせば関係ない――! 再び|超音波咆哮砲《コウモリブラスター》を放とうとした怪人だったが、次の瞬間その全身を電撃が駆け巡った。
 フロッシュは、怪人に突き刺した『蒼雷のシックル』を引き抜いてはいかなかったのだ。高電圧を帯びた鎌が断続的に発生させる電撃に、怪人は思わず膝を着いた。
「さァてと、追撃の時間といこうじゃァないか。……ずばァんだ」
 一度離れた距離を再び詰めてきたフロッシュが『紅雷のハチェット』を振りかざし、叩きつける。
 紅の稲妻を迸らせるそれは、コウモリプラグマの肩――翼の付け根に深々と食いこんだ。

ファウビィ・アルメ

「グアァァッ!」
 怪人が苦悶の叫びを上げる。それは超音波攻撃程ではなくとも、周囲の大気を震わせ耳をつんざく程の大きさがあった。
「そんなに叫ばなくても十分聞こえているわよ、美しくないお誘いね」
 グラウンドへと降り立ち、ファウビィ・アルメ(|継の硝守《ツギガラス》・h01469)が告げた。右手に持った『ディアマンテ』の切っ先を突きつける。
「おのれェ……ヒーロー共ォ……!!」
 怒りに満ちて沸騰するような声で怪人が言って、ファウビィを睨み返してくる。その瞳はもはや眼前の|敵《ヒーロー》しか写しておらず、未だ脱出できていない人質がいるということを完全に失念しているのは明らかだった。
(なら今がチャンス……! 体勢を立て直す暇なんて与えない……!)
 剣を向けたまま、ファウビィは意識を集中した。キラキラと輝く月宝石の光を心に浮かべ、強く念じて、唱える。
「……わたしの本気、魅せてあげる」
 ――光が顕現した。夜闇を照らす月のような真珠色が溢れ、ファウビィの身体を覆っていく。
『アデュラ・フルモード』。月光の加護が彼女の手の中へと集まり、一振りの剣を形作る。その名も「ルナ・ブレード」。
(傷を負っているとはいえ相手だって強い。油断はできないもの)
 両の手に剣を携えたファウビィが身構える。コウモリプラグマは憤怒の唸りを喉の奥に滾らせつつ、顎を開いた。
「死ィィィねェェェッ!!」
 怪人細胞の再生力によるものか、超音波砲の出力は先刻までと遜色なく――むしろその怒りの分だけ威力を増しているように思えた。ファウビィが突き出したルナ・ブレードの切っ先が仄かに輝く障壁を作り出し、超音波の衝撃を受けて砕け散る。
「――シィィィ――!!」
 再び放たれようとする咆哮。だが、ファウビィはそれに向かって飛びこんでいくかのように駆けていた。
「超音波は確かに強力ね、でも……」
 疾走するファウビィの傍らにかっと光が生まれ、一直線に宙を貫いた。変身と突撃、そしてオーラ盾の防御に隠して展開していた粒子状レーザー砲が怪人の頭部を狙撃し、喉奥を鋭く貫く。
「光の方が早いのよ」
 風船を針で一突きしたかのように超音波が拡散。不快ではあるが無害な苦鳴へと変わって消える。次の瞬間にはもう、ファウビィは切っ先が届く距離まで詰め寄っていた。
(確か……肩に一撃喰らってたわね)
 先に裂かれ砕かれ焼かれた傷痕は、その部位がコウモリの象徴としては印象が薄い故にかまだ再生を始めていない。ファウビィはその一点を狙う。
「彼らに続くわ。……追撃といきましょうか」
 ルナ・ブレード、続いて『ディアマンテ』の切っ先が怪人の肩を襲った。ファウビィが手首を捻り、刃を払う。続け様に攻撃を受けて、コウモリプラグマの肩はもう翼を満足に動かせない状態へと陥っていた。

白神・明日斗

 自由自在に空中を移動することができなくなったコウモリプラグマは、戦術を変えてきた。その場に留まったままで√能力を発動し、次々と|ツカイコウモリ《コウモリ型悪性インビジブル》を呼び出し始めたのだ。攻撃や目くらましといった能力を持つそれらによって√能力者達の追撃は遮られてしまい、押し切ることができずにいた。
「――、――」
 翼を畳み蹲った怪人が紡ぐ詠唱は、まるで呪詛の声だ。粘りつくような憎悪の響きに、白神・明日斗(歩み続けるもの・h02596)は眉をひそめた。
「さて、随分お怒りのようだが」
 ちらりと後方を振り返る。超音波の放射が途切れたことによって、ようやく幾人かの人質達が目を覚まし、脱出のために動き出していた。それを導けたのだと思えばこの拮抗状態にも利はあるが、しかしやはり完全に安全を確保するにはコウモリプラグマを打ち倒す以外にない。
「頭にきているのはお互い様だ」
 速度を緩め、一旦停止。明日斗は『アルファルク』の後部へと手を伸ばした。そこにはこんな時のための錬成材料として使えるように、いくつかの予備パーツが積載してある。
「戦闘錬金術展開。キャスト、フェアリー」
 ヴィークルパーツが無数の部品に分解され、一瞬の後に再構築される。一対の翅を震わせて飛行する小型遊撃機「フェアリー」が、チェーンガンの銃口をずらりと並べた。
「徹底的にやらせてもらう……さ、行って来い」
 |明日斗《指揮官》の言葉を受けて、十三機のフェアリーが飛翔。複雑に絡み合う軌道を描きながらコウモリプラグマとその眷属に弾丸を浴びせかける。
 銃撃を受けたツカイコウモリは、その体を砕けさせる代わりに銃弾を反射する。だがそれは一発につき一体という|不平等《アンフェア》な等価交換だ。
 使い魔の壁が急激に薄れていく。減少と増加が一瞬拮抗し、そして崩れた。その隙を狙って、明日斗は『AVW-1』の引き金を引いた。
「特性の大口径弾だ、遠慮せずくらっていけ」
 怪人の強靭な肉体をも容易く破壊するヘビー級の連打、連打。連続して詠唱できなくなったことでツカイコウモリがさらに数を減らす。
 そして、ついに明日斗が待っていた瞬間が訪れた。
 ヴィークルの車体を飛びこませるのに十分な大きさの隙間。明日斗はスロットルを全開にし、最大速度でその間隙を撃ち貫く。
「アルファルクは、てめぇらみたいなのも引き潰せるように作ってあるんだよ――!」
 衝撃。明日斗は急制動をかけ、車体を横滑りさせつつ停止。対してコウモリプラグマは、撥ね飛ばされ、地面を転がっていく。
 そしてそれは、奴の√能力『サーヴァント・バット』の解除条件が満たされたことをも意味していた。一斉にツカイコウモリの群れが弾けて消え、後には瀕死のコウモリプラグマだけが残される。

 ――決着の時が、来た。

黒木・摩那

(この『無名料理書』によれば、コウモリは焼いてよし、煮物によしという良材――)
 しかもただのコウモリではなく、秘密結社の手によって改造されたコウモリである。となれば、足指一本だけを収穫とするには余りにも惜しい――口の端を吊り上げて、|黒木・摩那《くろき まな》(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)は地に膝を着いたコウモリプラグマへと向き直る。
「せっかくここまで来たのですから――もっとたくさん入手しておきましょう」
 殺気も露わに、ずらりと抜刀するは対大型怪異殲滅動力剣。名を『アンフィニ』といった。剪断し解体し、かつ血液の一滴さえも無駄にはしないために焼き切る機能を備えた異形の兇器が駆動し咆哮を上げる。
「観念して、お肉になってください」
 長大な獲物を振りかざして迫り来る摩那に対し、怪人は『サーヴァント・バット』召喚の詠唱を始める。だが。
「三秒も余裕を与えるわけないじゃないですか――シャッフル!」
 摩那が発動した√能力『|混沌幽凍《メリメロ》』。コウモリプラグマの頭上を漂っていたインビジブルと彼女の座標が入れ替わる。
 すなわち、摩那は怪人の上方――空中へと瞬間移動した。そのまま重力に引かれて落下する摩那は、その勢いをも乗せて『アンフィニ』を叩きつけるように振り抜く。
 レーザー光の回転刃は、超技術によって硬化された頸椎をも容易く切断した。着地した摩那は素早く体勢を立て直し、絶命した怪人を突き飛ばす。
 その先には、先の√能力によって極低温の冷気へと変容したインビジブルがいる。それと真正面から激突したコウモリプラグマの肉体は、瞬く間に凍りついたのだった。

第3章 ボス戦 『外星体『ズウォーム』』


●Why Forces Be
 ぉぉ、とグラウンドにどよめきが走った。
「――ヒーローが、勝った」
 それを最初に言ったのが誰かはわからない。ただ、そこにいた人々が――事件の経過を見つめていた人々が――決着を目撃したことは確かだった。
 歓呼の声が上がった。逃げ出そうとしていた人質達が踵を返し、いまだ立ち上がれずにいる他の人質を介抱しにかかる。
 この世に悪の栄えたためし無し。そんな言葉を体現したような光景に――。
「困ったことになったものだ」
 異常が一点、立ち上がっていた。
「ここまで力を持った|邪魔者《ヒーロー》が何人も現れようとは。全く、この|惑星《ほし》で起こることは実に予想し難い」
 人質の輪の中にいた一人の男。平凡なスーツを着て、観客と言われれば観客のように、関係者と言われれば関係者のように見える特徴のない男――彼はその正体を露わにする。
 外星体。遠い宇宙のどこかから来た|簒奪者《インベーダー》。秘密結社プラグマに与して|地球《すべての√》征服を狙う存在。
 突如として異形へと姿を変えた男に、駆け寄ろうとしていた人達が足を竦ませた。彼らを蟲のような眼球で睨めつけながら、ズウォームは口器を蠢かせる。
「これは絶体絶命だ。さて、どうするかね。ヒーロー諸君」
 もしかすると、それは嘲笑なのかもしれなかった。
黒木・摩那

「さて、どうするかね。ヒーロー諸君」
 言いながら、ズウォームは腰を抜かした野球部員のひとりに向けて手を伸ばす。
「――っ!!」
 押し殺しきれない声が少年の喉から漏れる。ネオンサインのような光を帯びた指が、彼の首を無造作に掴もうとして――。
「外星体ですか……てっきり昆虫型怪人かと思ってましたが、確かにどこかで見た覚えもありますね」
 跳びこんできた|黒木・摩那《くろき まな》(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)が振るう一帳の和傘によって弾き返された。
「貴女は――」
 盾代わりに広げた『飛天御前』の陰で、摩那はひとつ息を吐くと「逃げなさい」と少年に向かって告げた。彼は頷いて立ち上がると、覚束ない足取りながらも駆け出した。チームメイトと思わしき少年達がそれを助ける。
「――地球人のように見えるが、違うね。どの種の外星体かな?」
 問うてくるズウォームを、摩那は微笑みを浮かべて見返した。
「私は悪夢を覚ます一陣の風。『ミステル・ノワール』。ズウォームに思いはないですが、プラグマの一員とあっては話は別です」
 堂々と宣言しつつ長大な『白波残月』を抜く。同時に左手で一枚の硬貨状変身アイテム――『シグマプリズム』を取り出すや、摩那はそれを指で天高く弾き上げた。
 異空コインに内包された力が開放され、『白波残月』がそれをまとった。金とも銀ともつかない月光のような輝きを帯びた解体用刃を、摩那が振るう。
「ここで退治させてもらいます」
 外見通り昆虫のような跳躍力を見せて、ズウォームが二尺三寸の斬撃の間合いから逃れる。が、摩那の√能力『|三日月斬《クロワッサン》』の本領は|刃《それ》ではない。
「安心してください。外星体は食べませんから」
 光をまとった包丁の軌道がそのままに、実体なき刃物と化して飛翔。ズウォームを追う。本体と遜色のない切れ味を持ったそれは敵性外星体の上腕部を半ばまで切断し、緑黄色の血を噴き出させた。
「それにあまりおいしそうでもないですしね」
 地球生物にはありえない色の飛沫をこぼしながら後退していくズウォーム。その行く先は人質達とは逆方向であったから、摩那はあえて敵を追わずに呟くのだった。

白神・明日斗

「ちっ。今度は外星体か」
 |白神・明日斗《しらかみ・あすと》(歩み続けるもの・h02596)は舌打ちして踵を返す。敵の位置はフィールドを挟んでグラウンドのほぼ反対側。そして何より、逃げ切れていない人質との距離が近すぎる。
「頼んだぞ、ファム」
 言って、明日斗は『アルファルク』から飛び降りた。操縦権をサポートAIに委譲。エンジンを唸らせ四輪バイクが疾走、先行する。
 折しも、ズウォームは他の√能力者との交戦によって開かされた人質達との距離を詰めようと動きを止めたところだった。そこへ、砲弾のように突っこんでくる『アルファルク』。外星体は地を蹴って突進を回避。
 ズウォームの着地点へ向かって、明日斗は駆けた。|戦闘錬金術《プロエリウム・アルケミア》発動。
「シミュレート完了」
 明日斗の手の中に、蒼色の刃を備えた槍が錬成された。走りながらそれを頭上でくるりと一回転させ、構え直す。
「外星体も重力から逃げられないのか、ちと試させてもらうぜ!」
 ズウォームの両脚が地面に着くと同時に、刺突を放つ。敵はかろうじて身を捻り躱した。だが、穂先がまとう過重力がその身体を捕らえた。
「これが貴様をぶち抜き、潰すためだけに生まれた一振りの槍だ」
「地球人の技術力がこれ程のものとは……っ!」
 |重力破砕槍《グラビティランサー》が旋回し、斜め下から膝を狙う横薙ぎの一閃。またもズウォームは回避するが、その動作は先程よりも明らかに鈍い。
「どんな生命体だろうが――」
 戦意をこめて明日斗が呟く。過負荷に耐えかねて、ついにズウォームの足が完全に停まったのはその瞬間だった。
「――やろうっていうなら、潰す」
 蒼い閃光のような一撃が、外星体の腹部に突き刺さった。

七州・新
四季宮・昴生
柳檀峰・祇雅乃

 負傷の痕跡をグラウンドに描きつつも、外星体は立ち上がった。ぎょろりと周囲を睨む蟲眼が、拳銃を突きつける一人の男の姿を捉える。
「新手のヒーロー……」
 否、と男――|四季宮・昴生《しきみや・こうせい》(蛇神憑きの|警視庁異能捜査官《カミガリ》・h02517)は首を振った。
「俺はヒーローじゃない。――警視庁刑事部、特殊捜査四課の四季宮だ」
「警察? 警察が我ら『プラグマ』に逆らう等……もしや、他√の――」
 言いさして地を蹴るズウォーム。昴生は引き金を引いた。弾丸が影を穿つ。
「止まれ!」
「そう言われて従う|外星体《ヤツ》がいるとでも?」
 着地したズウォームが片手を掲げるや、彼の周囲の空間が歪み、地球外技術によって生み出された破壊光線砲が姿を現した。昴生は素早く視線を走らせ、未だ脱出できていない人質の位置を確認する。
 直撃射線上に人質はいない。だが、放たれたズウォームキャノンを躱せば確実に球場の建物は被害を受けるだろう。昴生は回避という選択肢を棄却すると、己の左手を簒奪者に向けて突き出した。
 彼の掌から放たれた不可視の波動がズウォームと光線砲を揺さぶる。建造物すらも倒壊させ得る強さの揺れを受けた外星体が膝を着き、同時に光線砲が転倒して砲口があらぬ方向を向く。次の瞬間に放たれた破壊光線は、球場の外壁上端を掠めて虚空へと消えた。
「おのれ――!」
 ズウォームが重力干渉装置を操作し、昴生の霊能震動波と波形パターンを同期させることによって『|霊震《サイコクエイク》』の効果を相殺し自由を取り戻す。
「我が肉体よ、我が意に従い姿を変えよ」
 そこに響く詠唱。機会を窺っていた|柳檀峰・祇雅乃《りゅうだんほう・ぎがの》(おもちゃ屋の魔女・h00217)が√能力を発動して|牛頭人身の怪物《ミノタウロス》へと姿を変え、突進。その剛腕をズウォームへと叩きこむ。
「今度は何者だ――!?」
『|自己変化《ジコヘンゲ》』の魔術を解除して元の姿に戻りつつ蹴りを放ち、祇雅乃は外星体に向けて告げた。
「おもちゃ屋で魔女よ」
 身を翻して、祇雅乃が手にした魔導書でズウォームを打ち据える。分厚く頑丈な装丁が鈍器と化して襲い来るのを外星体は両腕を掲げて受け、後転して追撃を躱した。
「全く、この|惑星《ほし》の住人は本当に忌々しい」
 ズウォームが手を伸ばし、グラウンドに取り残されていた金属バットのひとつを掴む。それに染み付いていた少年の残留思念が屈服させられ悲鳴を上げるのを、魔女の耳は確かに捉えた。祇雅乃の頬に怒りの朱が差す。
「忌々しい。ならばこそ、我々ズウォームが駆逐せねば」
 √能力によって生成された『ネガ・マインド・ウェポン』――球状光弾を発射する小型銃器――を、外星体が乱射する。多少被弾してでも突破すべきかとの考えを脳裏によぎらせる祇雅乃。その視界の端で――逃げていく人質達の流れに逆らって接近してくるものがあった。
 その姿形なき襲撃者は放たれた矢のようにグラウンドを疾走し、外星体を間合いに収める寸前になって正体を現した。
 黒髪金瞳の青年――|七州・新《しちしゅう・あらた》(無知恐怖症・h02711)。手にした詠唱魔導槍は『|戦闘錬金術《プロエリウム・アルケミア》』によって|対標的必殺兵器《ターゲットスレイヤー》へと変形を果たしている。
 魔術迷彩服を脱ぎ捨てた新の接近に気づいたズウォームが光弾の乱射で迎撃。
「少なくとも、こちらの√に知り合いいませんよ? 私」
 皮肉交じりの囁き。因縁無き者にはそれなりの威力しか発揮しえない『ネガ・マインド・ウェポン』の弾丸を、新は|種族《ドラゴンプロトコル》の肉体と竜鱗の鎧との頑健さでもって弾き返す。
「まあ知ったことではないのですが」
 槍が一閃し、ズウォームの胸板を貫き通す。昆虫型モンスターに対して秀でた殺傷力を発揮する毒物をベースに調合された錬金毒が、瞬時に内側から身体を引き裂く爪牙となった。
「キィキキキキ……」
 声帯を用いぬ悲鳴を上げて苦悶するズウォーム。浸蝕され崩れていく体で、しかし簒奪者は嘲笑う。
「……抵抗は無意味だよ、ヒーロー……。我ら『プラグマ』は……既にこの|世界《√》を手中に収めているのだから……」
 槍の柄を握る新の指に力がこもる。秘密結社プラグマの野望が果たされる時。それはきっと、新のような|この√《√マスクド・ヒーロー》を故郷としない戦士達すらも敗北した時だろう。もしそんな日が訪れたら、その時僕は何を失うのか……。
「言ったはずだよ。『知ったことではない』と」
 心を締めつける衝動を振り払うように、新は槍を振るった。外星体ズウォームが完全に沈黙し、その肉体が粒子状に分解されていく。

 こうして、秘密結社プラグマによる全√支配を目的とした策謀の一局は、√を超えて集った戦士達によってプラグマの敗北に終わった。
 だがあの簒奪者が言ったように、この勝利は終結ではない。プラグマの魔の手は既に√マスクド・ヒーローを覆い尽くし、その上で他の√へと伸ばされているのだ。
 その全てを打ち払う日が訪れるまで、どこにも平和は存在しない。

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