年越しはケツバトルで!
●天下尻武闘会、開幕!
|円形闘技場《コロシアム》に炎が灯り、観客は息を飲んだ。
ステージの上には、炎に照らされる5人分の臀部が立ち並んでいた。
「さぁ、やって参りました! 記念すべき第100回! 待ちに待った天下尻武闘会でございます。さっそくですが、今回の出場者を紹介しましょう!」
この武闘会の司会であろう、若い男の声が響く。
「ケツで戦うなら俺に任せろ! 有名妖怪、ここに見参! 小学生男子の心を奪って離さない、妖怪図鑑の常連、尻目だァー!」
「尻に目がない奴には負けんよ」
司会に紹介され、尻に大きな一つ目を生やした男が自慢気に呟く。
「衆道好の地獄よりあの男が舞い戻って来たーッ! 打たれ強さには何よりも自信あり! 某絵巻物にも描かれた、味のある顔立ちが人気の匿名希望、地獄の亡者ッ!」
「いえーい」
言われてみれば確かに。垂れ下がった小さな瞳と逆三角形の口は可愛らしく。まるで顔文字(´∇`)の様だ。本人も緩い性格のようで、客席へとピースサインを送っていた。
「宮城県登米市の生きる伝説! 大手の白ケツ! 単なる愉快犯と思いきやその正体は尻神様に仕える尻の玄人! 今回も華麗なる刀捌きを見せてくれるのでしょうか!」
「うおおおお! ケツといえば俺だァ!」
白い臀部を大きく振り、男は大声をあげた。
「彼こそは尻の破壊者! その名も尻こぼし! 海辺に住む人間を恐怖に陥れるも、今は改心しお寺で奉公しながらの参加となります」
「そ、そんな……僕は破壊者というほどの者でも……」
もじもじと、海河童が恥ずかしそうに俯く。
「お次は我らが痔の神! 手代善兵衛ここに在り! あの根岸鎮衛著『耳嚢』にも登場する元酒屋。痔を患ったのも過去の話。今回出場者の中では唯一の治癒能力持ちです!」
「痔を制する者はケツバトルも制する。そう、私は考えています」
ごく普通の和服を着た男性が落ち着いた様子でそう観客へと告げる。
「さぁ、この中で天下の尻を持つ者は誰なのか。尻神様の寵愛を受けるべき臀部を私たちは見届けなければいけません!」
そう告げる司会に同調するように、客席から沸き上がる歓声。|円形闘技場《コロシアム》はかつてないほどの熱気に包まれていた。
●年越しはケツバトルで!
「誰か、年末年始に開催される武闘会に参加できる者はいないか?」
年の瀬、煙道・雪次 (人間(√汎神解剖機関)の|警視庁異能捜査官《カミガリ》・h01202)は√能力者達にそう声をかけた。
「どうやら怪異どもが『天下尻武闘会』という催しをやるようなんだ」
どっかの漫画の武道会のような響きである。しかし尻ということは。
「そう、ケツバトルだ」
ケツバトルとは、通常両手で持つ筈の武器を尻で挟んで振りかざす形態のバトルの事を言う。
「この『天下尻武闘会』は今年で100回目――つまり昭和の初め頃から続けられている催しのようなんだが、予知に引っかかったのはこれが初めてだ。つまりこの大会で、何かが起こるのだろう……」
星詠みに引っかかったからには、√能力者を向かわせなければいけない。
雪次は、そう言って手にしたマッチで煙草に火を着ける。
「優勝すれば名声と尻神の寵愛が受けられるという……興味がある者は行ってみてくれ」
煙草の白い煙が風に乗って香っていた。
第1章 冒険 『尻の怪異』
喫茶店で泥水ことブラックコーヒーを啜っていた時だった。
中村・無砂糖(自称仙人・h05327)は偶然、店で見かけた天下尻武闘会のチラシを手にし叫んだ。
「だにぃ?! 天下尻武闘会じゃとぉ!?」
他の客が何事かと振り返る中、無砂糖の両手はわなわなと震えていた。
「それに第100回という記念すべき大会……何故わしは気づかなかったのか。ボサッとしては居られん出場じゃー!!」
ぐいっとカップを呷り、無砂糖は泥水代を置いて店を飛び出したのだった。
一方、雪月・らぴか(霊術闘士らぴか・h00312)とチェスター・ストックウェル(幽明・h07379)がこの武闘会を知ったのは星詠みが出てからであった。
「三課の先輩の案内なら、俺も気合いを入れてやろうかな」
チェスターは霊体であるが、半ば生前の癖でぐいと筋を伸ばし体を動かす準備をする。
ここは天下尻武闘会飛び入り参加者専用待機室。使われていないパイプ椅子が並ぶ中、壁にはケツバトルの歴史などが書かれたパネルが展示されていた。
「ひええ、ケツバトルの大会って100年もやってるの!?」
それを眺めながら驚きの声をあげたのはらぴかだった。
「まあ尻に剣を挟んで舞う神事の伝承とかもあったし、結構昔から尻でなんかするものは行われてたのかなー?」
らぴかは以前、山中の神社で行われた|神離剣《しんりのけん》奉納儀に参加したことがあった。それは儀式用の刀を尻で挟んで舞うもので。最終的には仔産みの女神『クヴァリフ』まで絡んで大変だったが、それはまた別の話として。
パネルを読み進めると、どうやらこの武闘会の主張ではケツバトルの起源は古事記に遡り、原点は剣の先にあぐらをかいたという武神タケミカヅチであると書かれていた。
「イギリス住みの俺ですら名前を聞いたことのある様な、有名なカミサマを出しちゃって大丈夫なのかな?」
「ちょっと怪しくなってきたね!」
2人がそう話していると待機室にもう1つの影が現れた、そう無砂糖である。
「えぇと、そこのおじいちゃんは詳しい人?」
「これ、どう思う?」
2人の問いに「どれどれ」と無砂糖は己の白い髭を撫でながらパネルを覗く。
「ふむ。わしの所とはちょっと解釈が違うかのぉ」
「お尻の数だけ、それぞれ起源説があるってことだね!」
そんな話をしていれば、武闘会のスタッフが待機室へと入ってくる。
「飛び入りさん方、入場です!」
開かれるドアに胸も高鳴る。
「おお、もうそんな時間か」
「頑張ろうね!」
「負けないぞ」
スタッフの呼び声に3人はそれぞれ頷き、炎に照らされた|円形闘技場《コロシアム》へと向かい歩き出す。
3人の姿が客席の目に晒されるや否や、大きな歓声が沸き起こった。
「おーっと! ここで飛び入り参加者の登場だァ!」
拳を熱く握る司会者に、振り向く5人の臀部達。
「き、貴様は……!」
その中で、白ケツがただ一人、驚愕する。その瞳には無砂糖が映っていた。
「ケツバトルといえばこの男! ツルっとした頭に白く長い髭を蓄えたどこか愛嬌のある風貌、その名は――中村無砂糖!!」
「ふぉふぉふぉ、仙人にしてどろんバケラーであり尻の霊剣士であるわし! ケッ闘に参上じゃ♡」
白ケツに「久しいのぉ」と声をかけ、無砂糖は観客にVサインを送る。
「そして、お次は今回の武闘会における紅一点! 愛らしい姿で剣豪達にどう立ち向かうのか注目所です! 雪月らぴか!」
「えへへ、ちょっと恥かしいけど頑張っちゃうね!」
周囲に冷気の花を咲かせ、らぴかは客席に両手を大きく振るう。
「英国より緊急参戦! イギリスの尻はどんな剣術を魅せてくれるのかー! チェスター・ストックウェル!」
「ケツバトルと聞いて血が騒がない紳士なんている? |幽霊屋敷《我が家》に|放置《封印》してあった|おもちゃの剣《エクスカリバー》でちゃちゃっと優勝してくるよ」
ごくごく自然な仕草でウィンクをすれば、客席から黄色い歓声があがる。
「さぁ! 改めまして8人の剣豪達が集いました。どうなるか予想がつかないトーナメント表はこちらであります!」
デデン! と張り出された紙には『手代善兵衛VS中村無砂糖』『尻目VS雪月らぴか』『地獄の亡者VSチェスター・ストックウェル』『白ケツVS尻こぼし』と書かれていた。
「ふむ、まずはわしからじゃな」
対戦者以外はステージから降り、チェスターとらぴかは無砂糖に声援を送る。
「おじいちゃん、がんばってね」
「応援してるよー!」
「さぁ、第一戦目は手代善兵衛VS中村無砂糖です! 行ってみましょう!」
「ふむ。今年はケツから始まりケツで終わる年じゃな」
無砂糖が手代善兵衛を見る。和服を着た、ごくごく普通の日本人男性だ。
だが相手はこう見えても流行り神である。
「お主があの手代善兵衛か、痔の神と闘えるとは長生きはするもんじゃわい」
笑う無砂糖に善兵衛も頭を下げる。
「こちらこそ、かの中村先生と闘えるとは光栄です。どうか、手加減なされませんよう」
「そうじゃな、最初から手加減なしでいかせて貰うわい」
いつもの如く、無砂糖が霊剣を尻に挟み込んだ瞬間、周囲の空気が変わった。
風がざわざわとざわめき立ち、ステージ周辺に砂煙を巻き上げる。
「|仙術、古龍降臨《コリュウコウリン・ケツ》!』
それは無砂糖の得意技であった。太古の神霊「古龍」を呼び寄せその身に宿す。
無砂糖を中心として渦を巻く古龍が、善兵衛へと吼えた。
一気に間合いを詰められた善兵衛は動じることもなく、日本刀を構える。
「はいそこぉ! 霊剣術・|決《ケツ》決龍閃! じゃー!」
早くも勝った。そんな予感を無砂糖は感じた、が。
無砂糖の刀が、躊躇なく善兵衛へと振りかざされると同時に、善兵衛が動いた。
古龍の力が放たれたと同時に善兵衛の背後より現れたのは巨大な鬼である。
「なっ!」
「病を伏せるには、まず鬼を伏せることができなくては」
古龍の力を鬼が防ぎ、残るは純粋な無砂糖の剣術。ぶつかり合う刃と刃。
背後では古龍と鬼との争いが続いている。
今回参加者で唯一の治癒能力持ちということもあって、相手の刀傷もみるみるうちに癒えていく。
「厄介な相手じゃのう……じゃが!」
毎日のようにケツの鍛錬を欠かさぬ尻の霊剣士と、神という座で人々を癒す毎日を過ごしていた善兵衛では体力や技術に大きな差ができていた。
無砂糖の霊剣の動きが段々と速まって来ているにも関わらず、善兵衛の返しが追い付かなくなってきている。
「わしの勝ちじゃな」
相手の尻めがけて銀の一閃をお見舞いする。
「決着じゃー!」
前に倒れた善兵衛が見事、と呟く。
「うむ、お主もな。……なかなかの強尻者じゃったわい」
無砂糖の勝利に、客席から歓声が沸き上がる。
「凄い試合でしたねー! 龍と鬼との戦いが見られるとは!」
そんな司会の声を聞きながら、無砂糖は考える。
「うーむ、この調子で優勝できるかのう……? 否、絶対に優勝しなくては! 一流の尻の霊剣士として!」
無砂糖は決意を新たにステージを降りたのだった。
「さて、お次は。尻目VS雪月らぴかです!」
尻目は名前の通り、尻に大きな目玉が一つある妖怪だ。それが、器用に尻で刀を持ちながらこちらを凝視していた。
「俺は尻に目があるからな、顔に目があるやつにケツバトルは負けんよ!」
「本当だ、すごい! お尻に目があるー! トイレするとき大変そうだね?」
「そうなんだ、トイレの時だけは大変でなぁ――だからこの身はケツバトルの為のものと知れ」
よよよ、と泣き真似をしてから、尻目は刀を構える。
らぴかも愛杖である雪月霊杖スノームーンをお尻に挟んで準備万端だ。スパッツも履いているし、スカートの中も安心である!
「じゃ、いっくよー!」
らぴかも一応、ケツバトルの経験者である。だが普段からケツバトルをしている相手に、あまり慣れていないらぴかが普通にやっても勝てないであろうことは当人も十分理解していた。だから。
「ってことで開幕早々、ゾウさんを召喚しちゃうぞー!」
お尻で振るわれる杖をいとも簡単に避ける尻目。だが、そこで違和感を覚える。
「な、なんだ……?」
突如揺れる視界、そこへ杖が尻へとバチンと強打する。
「な、なんだこの、酒を飲んだ時のような酔いは……!?」
杖を尻に受ければ痛いが、杖を受けなければ異様な感覚が自身を襲う。
次に杖を避けた時には、周囲はピンクのもやがかかり、更に目をこすればそこにはピンク色のゾウが踊りを踊っていた。
「ピンク色のゾウ!?」
尻目は半狂乱になって日本刀を振り回す。だがそれらは全て尻目だけが見ている幻覚だ。
|桃象謎打エレファントブロー《トウゾウメイダエレファントブロー》。それがこの技の名前だった。
「えいっ!」
あとは勝手に転倒した尻目を殴るだけであった。
パチンベチンと容赦なく会場に響く打撃音。真っ赤になった尻に涙目の目玉がらぴかを見上げていた。
「わーかった! 俺の負けだ! 負けだからもうその尻叩きはやめてくれぇ!」
涙声の尻目に杖を振りあげたままのらぴかのお尻が止まる。
「ってことは私の勝利ってことでいいのかな?」
「その通りです」
正座をする尻目に、わぁいと喜びステージで一回転するらぴかに降り注ぐ拍手と歓声。
「雪月らぴか、日本刀を愛用する選手が多い中、見事杖で勝利を勝ち取りました!」
「古龍でも鬼でもなく、今度はゾウとはのぉ……」
「お、俺も何か出さなくちゃいけない気分になってきちゃった」
無砂糖の言葉にドキドキと無い心臓を押えつつチェスターが呟く。
「それにしても、今の所なんの事件も起きないねー? 私は出場している怪異が何かを起こしちゃうのかと思ったんだけど」
ステージから降りて来たらぴかが2人を見つけると、こっそりと言った。
「このまま空振りに終わるのが一番じゃがな」
「おっと。次は俺の番か。じゃ、いってくるね!」
そう言って小さく手を振るチェスターにらぴかは元気よく「いってらっしゃーい!」と返したのだった。
「さぁ、お次は地獄の亡者VSチェスター・ストックウェルです!」
ギャラリーも視認してもらえるよう、しっかり実体化したチェスターがステージへと上がると、そこには既に地獄の亡者が立っていた。
か細い体に、顔文字(´∇`)のような緩い表情。その尻には巨大な金槌が挟まれている。
「うおっ、でっかい金槌。よくお尻で掴めるね。でも俺も負けないぞ」
感心したように言うチェスター。そんな彼が構えるは|おもちゃの剣《エクスカリバー》だ。
しかし、おもちゃと言えども、彼の幽霊屋敷に封印されていた一品である。本物のエクスカリバーではないとしても、どんな由緒が伏せられているか分かったものではない。
その美しい銀色の剣を、チェスターは立派な大臀筋で挟み込んだ。
「ふふん、生前はサッカーで相当鍛えたからね。下半身の筋肉には自信があるよ」
試しに剣を振ってみせる。キラキラと輝くその姿はまさに王子のようであるが、それを握るのは白い両手ではなく引き締まった大臀筋である。
「まぁ、適当に、よろしくお願いしますわー」
顔と同様にゆるい地獄の亡者がそう言い、チェスターに金槌を振りかざす。
ブォンと可愛くない風音に避けたチェスターが眉を顰める。
「攻撃が全然緩くない!」
二度目の死を感じるような攻撃だ。実際、避けた金槌はステージを粉砕し、辺りに粉が舞っている。
痛み止めとして、マジックポーションであるナイチンゲールの嘘をあらかじめ用意していたが、あんなのが当たって果たして動くことが可能だろうか?
チェスターは丹田に力を入れて霊力を練り上げ、おもちゃと言えども斬れ味の良くなったエクスカリバーを振るう。幸い、速さはこちらの方が上だ。
しかし何度も斬り付けるが、金槌を警戒する故に傷が浅くなってしまう。
よたよたと、再びか金槌を振りあげる地獄の亡者。迫りくる金槌に、客席は思わず目を閉じたが、チェスターの口元に現れたのは自信のある笑みだった。
ふわり、とチェスターの体が宙へと浮かび上がり、くるりと身を翻すと、そのまま地獄の亡者を斬り付けたのだ。
そう、金槌がステージにめり込んでいる間ならば、金槌を警戒せずに斬りつけられる。
重力を無視したチェスターの動きに、地獄の亡者が初めて焦りを見せた。
「良かった、そんな顔もするんだね」
「だけど、一度潰してしまえば、オレの勝ち!」
ブォン、と振られる金槌。だが、空中を自由に浮遊できるチェスターに掠りもしない。
「それで俺を捕らえたつもり? この一撃でケツ着をつけてあげるよ!」
|エルム・ヒルの幽霊《ノーティーゴースト》は隙を突いて一閃を放つ。
エクスカリバーが美しい弧を描き、地獄の亡者を真正面から深く深く斬り裂いた。
「ぐっ……!」
「勝者はイギリスの尻ッ!」
パッと咲いた|赤い花《血》を見下ろし、チェスターはエクスカリバーを鞘へと納める。
「俺の勝利だね!」
再度沸き上がる黄色い歓声にチェスターは手を振りながらステージを降りたのだった。
「お疲れさまー! これで√能力者の参加者は全員第1ステージクリアって感じかな? かな?」
誰一人欠けることなく進めた事を確認するらぴかにチェスターが頷く。
「そうだね。あと残って居るのは『白ケツVS尻こぼし』怪異同士の戦いか」
無砂糖もまた、ステージ上に立つ2体の臀部に目をやる。だがその頭は次のことを考えていた。
「第2ステージは森だと聞いたが、どうなることことかのぉ」
そう言いながら3人は残りの対戦を見届け、第2ステージへと進むのだった。
第2章 冒険 『侵蝕された地へ』
――その森は、ケツの力で満ちていた。
深夜だというのに一帯は神秘的な光に包まれ、薄らぼんやりとした明るさを維持している。
光の中、蜜を求め羽ばたく蝶の羽根は円を描き、まるでハートのような形をしていた。
そして、よく見れば樹木の葉も倒心形。すべてが尻型の世界がそこにはあった。
「そう。第2ステージはここ、尻神様の森である!」
尻こぼしに勝利した白ケツが尻をぷるぷるさせながら言った。
「この森の最奥にある尻神様の神社へと、一番に辿り着いた者が今回の天下尻武闘会、優勝者だ!」
いや、しかし待ってほしい。
「尻神といえば、お前が管理している神社じゃなかったか?」
確か、前回執り行った|尻に関する祭りごと《ケツ・フェスティバル》により数百年、尻神様は満足するという話だった筈だ。
しかし、この尻だらけの森を見るに尻神の力が荒ぶっているようにも見える。
√能力者達の問いに白ケツは静かに頷いた。
「実は尻神様は双子の神でな。俺が祀っている尻神様とは別にもう一柱、尻神様がいるんだが、それがまた気難しい神で。こうして毎年年末に、天下尻武闘会を開いているんだ」
白ケツは話を続ける。
「荒ぶる神の森だけあって、ここは危険だ。尻猿という凶暴な野獣が襲ってくることもあるし。なにより、尻神様に呼ばれて時々一般人が迷い込むが、心を強く持たぬと髪が段々尻型になり精神も侵食され、何を問うても尻神様の名を呟くようになるだろう。己のケツが惜しければ引くことだ」
白ケツは日本刀を抜き、柄を己の臀部に挟み込む。
その姿は、さながら覚悟を決めた一人の剣豪であった。
「もしこの先に進み、天下尻武闘会の優勝を狙うと言うのなら、心を強く持ち、一心不乱に尻を振り続けろよ」
と白い尻を揺らしながら尻神の森へと姿を消したのだった。
深夜の森は酷く冷えていた。だが、この男の魂は冷えることを知らなかった。
「ふぉふぉふぉ、神秘で満ちたデンジャラスな尻神の森を一番乗りで踏破できれば優勝じゃとな?」
中村・無砂糖(自称仙人・h05327)は白ケツの言葉に臆することなく、尻神の森へと足を踏み入れた。
尻に霊剣を挟み込み、伸びきった草木をかき分け森を進んで行く。
しかし森はケツの力で満ちており、一切の油断はできない。
現に、姿は見えぬが森の影からは多数の敵意を帯びた視線を感じた。
白ケツの言っていた野獣に違いない。
「しかし、静かでシリアスな雰囲気は寂しいのう……」
無砂糖は空いた手で白髭を撫でる。
「そうじゃ、ほんの少し賑やかしにシリバトルロワイヤルといくかのう! 『仙術……来たれ同志共、|百尻夜行《バットクラシィ》』じゃ!」
そう言い無砂糖が尻の霊剣を空へと突き出すと、天から真っ直ぐに光が降り注いだ。
尻の霊剣がキラキラと反射し、それを目印として雅な音と共に、ぷりん、ぷりんと天空より雲が飛来する。
その上に乗るは沢山の白い桃……否、尻を突き出した老人達であった!
「今、シリバトルロワイヤルって言ったか?」
「なんじゃ、この森はケツばかりだのぅ?」
「ケツバトルの時間じゃろうて」
「あやつらのケツをシバけばいいのか?」
馴染みの尻仙人によく来てくれたと歓迎の印にケツを振り、無砂糖は現状を簡ケツに説明する。そうすれば、尻仙人達は嬉々として尻神社までの同行を許諾してくれた。
「シリバトルロワイヤルって、ワシら同士でも戦っていいのかの?」
「いや、神社まで競争ってことじゃろ」
「尻神の森とな、燃え上がるのぅ」
「尻を振りに振りまくってやるわい!」
うむうむ。これで賑やかになったと無砂糖は頷く。
一部の尻同士でバトルロワイヤルが始まっているようだが、尻を競い合うのも尻剣豪の務めである!
「このまま、尻神神社に向け突撃じゃー!」
無砂糖は先頭に立つと、武者震いと共に獲物を振るう猛者尻と共にバックステップで尻神の森を突き進む。
刹那、無数の尻の行進に縄張りを荒らされたと判断した野獣――尻猿達が襲いかかってきた!
真っ赤な尻に木の枝を挟み込み、ウキーッ! と声をあげ尻仙人達を叩き出そうとその尻を振りあげる。だが。
「頭髪なぞ既に無し! 心にはケツ意有り!」
無砂糖の霊剣が一薙ぎしたと同時に、尻猿達は霊剣が纏う尻の力によって吹き飛んでいった。
「白ケツに追いついて、わしの自慢の尻を見せつけてやろうぞ!」
その威力はすさまじく、尻猿達は怯えた目で尻仙人達に道を譲る。
「ましてや尻猿に負ける様では鍛え上げたヒップに失礼というもの。優勝はわしらのものじゃー!」
こうして、無砂糖達は尻と得物をプルンプルンと振りながら森を猛進して行ったのだった。
「くしゅん!」
一方、無砂糖に名を出された白ケツはくしゃみをしていた。
「これは、仙人が噂でもしているのか?」
耳を澄ませば、どこか遠くからぷりんぷりんと賑やかな音が聞こえてくる。
ははぁ、|百尻夜行《バットクラシィ》を呼んだな。
俺も負けてはいられないと、白ケツは刀を持つ尻を改めて引き締めたのだった。
その森の草木は全て、尻に浸食されていた。
葉は倒心形――つまり尻の形をしており、樹木を切れば年輪の形もそうであるという。
そんな恐るべき森の側に一人、少女の影があった。
「ふええ、こんなお尻だらけの森があったんだねぇ」
雪月・らぴか(霊術闘士らぴか・h00312)は尻神の森を眺めながらそう言った。
しかも白ケツの話では入った者は精神汚染まで受けるという。それは、”簒奪者よりやばい”のではないか? という一抹の疑問を抱かせるが。
「でもでも、この森はこれが正常な状態っぽいよね? じゃあ何が星詠みにひっかかったのかな?」
頬に人差し指を当てて考えてみるも分からない。とりあえず、その答えを知るには前進あるのみである!
「こんな森の中に長居するのはやばいし、ササッと駆け抜けたいね! ってことで」
再度、雪月霊杖スノームーンをお尻で挟み込み、らぴかは体内の|れいき《霊気と冷気》を練る。
大晦日、ただでさえ気温はマイナスを指しているというのに、らぴかの力により彼女の周囲は急激に温度が下がっていった。
「いっくよー! こいこい集まれ吹雪の力っ! 尻神の森へれっつごー!」
|雪風強打サイクロンストレート《セップウキョウダサイクロンストレート》。
刹那、強烈な吹雪が彼女を包み込んだ。雪の形が森の力によってハート型になっているのはとりあえず置いておくとして。
スカートで霊杖を持ったまま、吹雪の力で移動速度が3倍になった彼女は森をグングンと進んで行った。
縄張りに侵入したらぴかを警戒していた尻猿たちも飛び出す事はせず、ガタガタと凍えながら彼女の行進を見守るしかなかった。
否――、一匹のボス猿がプライドだけを原動力としてらぴかの前へと立ち塞がった。
真っ赤な尻に巨大な丸太を挟み込み、ボス猿はらぴかに勝負を挑む。
「その丸太、どうやってお尻で持ってるの!?」
やはり、尻神の森の猿となると尻の作りも違うのだろうか。そんな疑問を抱きつつ、らぴかも霊杖を尻で構える。
先に動いたのはボス猿だった。しかし相手は丸太。大振りなだけあり動きが遅く、しかも吹雪による寒さで震えている。√能力者のらぴかであればひらりと躱す事が可能であった。
「避け、からの~、殴るっ!」
そう、邪魔する奴は杖で殴るに限る。ストレートで!
お次は突き……とも思ったが、自身の尻が危ないのでやめておく!
吹雪を纏った杖での打撃に、ボス猿はよろめいた。
相手が丸太を尻から離した瞬間、勝負は決まっていた。
少し離れた場所から尻と頭を下げる尻猿達に呆気なさを感じつつ。
「えっ、もう終わり!? じゃ、エンリョなく進んじゃうね!」
そう言ってらぴかは再び吹雪と共に尻を振り進む。
天下尻武闘会を優勝するには、あの白ケツと尻仙人を抜かなければならない。
「別に優勝できなくていいけど、参加したからには優勝目指して全力でいくよ!」
らぴかはその闘争心を胸に、己を強く持ち尻神の森を突破したのだった。
それはいつも通り任務を終え、帰る途中の事であった。
「ああ、もう。早く帰らないと来年になっちゃう!」
大晦日の夜、瑞城・雷鼓(雷遁の討魔忍・h03393)は道を急いでいると誰かから呼ばれた気がした。
「だ、誰? 私を、呼んでいるの?」
訝し気に思いながらも、もし助けを呼ぶ声であったら無視はできない。
雷鼓はその呼び声を辿る事にした。そして、目の前に広がったのは――。
尻、尻、尻。
甲虫が尻の形をしていたり、樹木の葉までもが尻を模倣していた。
いつかどこかで似たものを見た気がする。
「これはもしかして……白ケツの仕業!?」
「ん? 呼んだか大手の褐尻!?」
ガサリ、と突然草むらから出てきた白ケツに雷鼓は思わずヒップドロップを食らわした。
そう、白ケツの力は全ての√能力を尻にする力なのである!
「今度は何をやらかしたの! 白状しなさい!」
「いてててて! 俺は何もやってないぞ! 本当だ!」
嘘は言ってないように見える。雷鼓は白ケツにこれはどういう事かと説明させた。
「それはお主が尻神様に呼ばれたんだろうな」
うむうむと尻を振る白ケツに雷鼓は頭痛を覚えつつ。
「なんで私が。確かに、最近お尻……背中を見せて刀を持ってる姿絵が完成したけど。……刀を持ってるのは手で、よ?」
「偶然見かけた尻神様がお気に召したのかもしれんなぁ……とりあえず、尻神の森に足を踏み入れたからには、尻神様の社を目指すしかないだろう」
「くっ、早く帰りたかったのにぃ」
こうして、雷鼓は天下尻武闘会に巻き込まれることになったのである。
天下尻武闘会優勝を狙う白ケツを追うように、雷鼓も森を進んでいった。
「確かに、徹頭徹尾冗談みたいな森だけど、呪力は冗談じゃないみたいね」
霊薬を頓服し、対呪能力を強化したものの不安は残る。
暫く繁みをかき分けなら進めば、前方にガサガサ音。
「……話に聞いた猿かしら? ってか何で尻猿? お尻が好きとか?」
そんな疑問を抱きつつ、雷鼓はその褐色の尻で雷霆剣ケラウノスを構える。
ウキーッ! と現れたのは真っ赤な尻でこん棒を構えた3匹の猿であった。
「なるほど、尻神の森では猿もこうなるのね」
雷鼓のヒップに向かって威嚇する猿達に、緊張が高まる。
縄張りに侵入してきた丸い尻に仕置きをするべく、尻猿達は一斉に雷鼓の尻へと襲い掛かった。だが。
「残念だったわね、分身よ!」
草木の影から現れたのは、もう一人の雷鼓。いや、複数人の雷鼓が現れたのだった!
「そんなにお尻が好きなら……こうしてやるわ!」
3匹の尻猿達を褐色のヒップで取り囲む。
「ほらほら、おしくらまんじゅうよ!」
雷の力を宿した尻は四方八方から尻猿を圧迫した。
ビリビリと、痺れながら丸尻に押し潰された猿達は気絶し倒れる。
「ふっ、こんなものかしらね」
分身達を消し、一人に戻った雷鼓が猿達を見下ろし呟いた。
だが、目の前に広がる終わる事のない尻神の森に雷鼓はため息ひとつ。
今日も朝まで帰れそうになさそうだ。
「第2ステージは神社を目指すだけ?」
チェスター・ストックウェル(幽明・h07379)は第1ステージに比べて難易度が下がったことを不審に思った。
「簡単すぎて拍子抜けしそう。荒ぶる神の森だって云われも、俺たちを脅かすために白ケツがでっち上げたものだったりして……」
草木が尻の形をしていても所詮は森だ。
空中浮遊をしながら、森の木々の間を縫うように進んでいけば、普通に歩くより早く目的地へと着くのは明らかだった。
倒木を乗り越えなくてもいいし、腐葉土に足が沈む事もない。
「あっ、鹿だ!」
左右の角がハートの形に曲がっている雄鹿がこちらを物珍しそうに眺めていた。
地に足をついていたならば、頭突きくらいは食らったかもしれないが。
ふわふわと浮くチェスターに手を出す事はなかった。
順調に進む彼の口からは思わず笑みが零れ落ちる。
「あはは、これなら俺が優しょ――っ!?」
その時だった、チェスターの|霊体《からだ》に異常が起こった。
視界が急に揺らぎ、瞳のピントがおかしくなる。
視線が、何故か尻型のモノへと向かってしまう。
倒心形の草木に実る、桃型の果実。ハートの花弁に集う蝶の翅までその形をしていた。
「……くっ、どこを見ても|尻型《アレ》が目に飛び込んでくる……!」
まるで何者かに思考をかき混ぜられたような状態に、チェスターは混乱した。
どうしてこうなった。なにがきっかけだ。冷静に状況を解明しようとするも酷く思考が鈍る。
「もしかして、尻を振りながら歩かなかったから……か!?」
これが尻神の森の呪いである。
「っ……俺は何をしにここに……?」
思考は段々に浸食され、チェスター宙に浮いたまま両手で頭を抑える。
そうしている間にも、美しい金髪はもわもわとアフロのように膨らみ始めた。
それはまるで2つの山のように丸くチェスターの頭を彩る――つまり。
「し、しり……がみ、さ……ま」
祈るように思わずその名を口にし、ゆらゆらと、近くの樹に手をつく。
その時だった。混乱する意識の中、何者かの気配を感じだ。
「ッ……!」
キィーッ! と、鋭い鳴き声に視線を移す。
間一髪のところ避けたものの、元の位置にあった樹木はその場で砕け散る。
見れば、真っ赤な尻が木に登りチェスターを取り囲んでいた。
尻猿である。見た目は普通のニホンザルに似ていたが、尻にはしっかりと木の枝やこん棒が握られていた。
普通の猿とは腰回りの筋肉の付き方が違うようであるが、今のチェスターにそこまで分析する余裕はなかった。
白い歯を噛みしめて、両手で頬を叩き混濁する意識の中、キッと尻猿達を睨み付けた。
「……俺はイギリスの|幽霊《尻》! そして臀卓の騎士の一人として、こんなところで挫けるもんか!」
チェスターの声が夜の森にこだまする。その大臀筋に挟まれるはエクスカリバー。
近くにあった木の枝を蹴って、尻猿達へと剣を振りかざす。猿故に木登りは得意。だが宙を浮き念動力も扱えるチェスター程の自由度はない。
次々と襲い来る尻猿相手に大きく尻で円を描きエクスカリバーで切り伏せる。
その動きは見事なるもの。大臀筋を動かすにつれ体は温まり、混濁した意識も冴えてくる。
それはチェスターが尻神様に認められた瞬間でもあった。
死角から飛び出したボス猿の|攻撃《丸太》を|おもちゃの剣《エクスカリバー》で受け止める。
「|お前《尻猿》達にも、|俺《尻》を、認めさせてやる!」
チェスターの斬撃に、ボス猿は倒れ。周囲の猿達はあわてて散る。
「勝負あり、かな」
ぐらりと揺れながら尻と頭を下げるボス猿に手を振り、チェスターは先を進む。
その大臀筋には光輝く|おもちゃの剣《エクスカリバー》がしっかりと握られていた。
第3章 ボス戦 『剣聖天女『シルメリア・ゴースト』』
√能力者達がやっとの思いで尻神の森を抜けると、そこにあったのは尻神の社――だけではなく。
「ほぅ……奇妙な力に呼ばれ来てみたが、なかなか面白い場所だなここは」
「誰だ、貴様は!! 尻神様の|宝物《ほうもつ》を、どうする気だ!?」
後から来た白ケツが叫ぶ。
そこに居たのは、黒髪の美女であった。
体は玻璃色の骨に侵食され輝き、まるで宝石の様。羽衣のように両腕に掛けた着物は大陸のデザインに近いものを感じた。
√能力者達は直感する。彼女は今、巷を騒がせている剣聖天女『シルメリア・ゴースト』に違いない!
「尻神というのか、この地の神は。面白い剣があったから、少し借りるぞ」
彼女はの手には異様な剣が握られていた。
左右から3対の角を生やし、それがハート型を象っている。
「あれは王劍か!?」
√能力者の問いに白ケツが首を振った。
「いや、違う! あれは、タケミカヅチの剣である布都御魂剣を模して尻神様がお造りになられたという神剣……! 天下尻武闘会は優勝者があの剣を振ることで終わりを迎える儀式であるというのに、それが奪われるとは……!」
白ケツはギリッと悔し気に歯を噛みしめると、尻で刀を構える。
「その宝剣、返して貰おう……!」
「面白い。この剣の威力、試してみよう」
斯くして、戦いの火蓋が切られたのだった。
その様子を、数羽のカラスが見ていた。
首には小型カメラがつけられ、映像は天下尻武闘会、会場のモニターに映し出される。
「おおっと、ここで宝剣を盗む不届き者の登場です! 過去にない展開だっ! 果たしてどうなるのでしょう!?」
盛り上がる司会・観客に、カメラ越しからも伝わってくるシルメリア・ゴーストの持つ猛者のオーラに不安を抱く参加者達。
気がつけば時刻は0時を遠に過ぎていた。
だが会場の熱は冷める事を知らず、その声援は√能力者達と白ケツへと注がれているのだった。
一番に立ち向かった白ケツが吹き飛んでいく。
その様子を視界の端に捉えつつも、美しき天女を前に中村・無砂糖(自称仙人・h05327)は髭を撫でながら何かを考えるように言った。
「ふむ、綺麗で立派な美尻を持つ者じゃのう……」
剣聖天女『シルメリア・ゴースト』は剣聖というだけあってその剣捌きは優雅である。しかし。
「いや、実に惜しい」
その尻には何も握られていなかったのである。
「おおお、予知にかかったのはこいつだね! ”シリ”メリアって名前だから、尻神様が思わず呼んじゃったのかな?」
尻神の社に雪月・らぴか(霊術闘士らぴか・h00312)の元気な声が響く。
当のシルメリアは根が真面目過ぎるのか「尻……?」と小首を傾げる。
「あれ、シルメリ……? シリ……? まぁ、ぶっとばせば同じだよね!」
らぴかは|意外《可憐》にも武力派であった。
「ふうん、君が噂の天女様かあ」
対するチェスター・ストックウェル(幽明・h07379)はどこか冷めた目でシルメリアを見つめた。
「その立派な|尻《見て呉れ》に圧倒されかけたけど、|ケツバトル《こちらの流儀》にはまだまだ疎いみたいだね。構えがまるでなってない」
チェスターは初心者に対して正しい構えを教えるが如く大臀筋で光輝く|エクスカリバー《おもちゃの剣》を握り、シルメリアを挑発する。
「なるほど……」
噂の剣聖天女である。激高して襲ってくるかと思ったが、予想に反して落ち着いた様子で√能力者達を眺めた。
「この世界では剣はその様に持つのだな」
「――――!」
「いや、違うの! この世界の流儀にしても、ほんの限られた界隈だけよ!」
瑞城・雷鼓(雷遁の討魔忍・h03393)があわてて否定する。今、否定しなければならないと強く感じたのだ。
「と、言うか貴女が噂の新√からの侵略者ね! そんな尻見せ衣装にお尻強調ポーズしてるからこんなトンチキな儀式に引き寄せられんのよ!」
やや哀れみを感じつつも敵対したからには勝たねばならぬ。お尻で。
雷鼓は健康的な色合いの尻を突き出し、雷霆剣ケラウノスを構えた。
「うわ、剥き出しのお尻で挟んでるから、なんかピリピリするわね……」
しかし背に腹は否、手に尻は代えられない。
「とにかく、その宝剣を返して頂戴。この尻三昧の儀式を終わらせる為にも!」
刀身に稲妻を纏わせ、シルメリアへと跳び斬り込んだ。
シルメリアはその斬撃を腕で構えた宝剣により防ぐも、刃を通した雷撃がシルメリアを蝕む。
そこで雷鼓はある違和感を覚えた。相手は剣聖とまで呼ばれる剣の使い手、なのに今は討魔忍である雷鼓一人でも押し切れそうである。
どうやらオーラ防御に似た力で抵抗はしているものの、相手の力が激減しているように感じられた。
「まさか、運が味方したってカンジ? あんたもなかなかの武芸者みたいだけど、こんなトンチキ剣法は相手したことないもんね?」
そう、ここは尻神の地。剣は尻で持たないといけないのである!
「初見じゃあケツバトルを見切るなんてできるハズがないわ!」
これならすぐにでも仕留められるかもしれない! 雷鼓が息を飲む。
だが、力がダウンしたと言えども剣聖。眼前の丸い尻に怯むことなく、足で雷鼓を蹴りあげる。
「くっ、そう来るか……!」
雷鼓がその身を引いた瞬間に、入れ替わるようにして霊剣を振った無砂糖が、交差する刃を前に諭すように言った。
「上手く力が出せずに苦しいようじゃな、それはそうじゃろうて。……お主は宝剣の威力を試したいようじゃが、その剣の真価を120%以上発揮するには尻じゃないといかんのじゃ」
シルメリアの黒い瞳が瞬いた。
「手で持つんじゃあない、その己の立派な尻で挟み込むんじゃ!」
尻神に呼ばれた事により尻で剣を持たずともある程度許されたようだが、この地では、真の力は尻でしか扱えないのだ。
刹那、無砂糖とシルメリアの間に巨大なエネルギーが発生し、無砂糖が爆風で吹き飛ぶも、こんなもん訳ないわいと空中を蹴って地面へと着地する。
爆心地に立っていたのは、かのシルメリア・ゴースト。その尻には宝剣が握られていた。
「ほう、確かに。尻で持つだけでここまで変わるとは」
「おじいちゃんのお馬鹿~~っ! 敵をパワーアップさせるとか、なにしてるのよ!」
雷鼓が思わず無砂糖に叫ぶも、無砂糖はこれで良いと頷く。
「ハンデなしの剣聖とのケツバトル真剣勝負か、面白くなってきた! 5対1で悪いけど、君の実力を思えば丁度いいぐらいだろ?」
ケツバトルはこうでなくちゃね、とチェスターが燃え始める。
「最近は|ガバメント・ゴースト《レーザー拳銃》を使うことが多かったが、こういう剣も悪くはない」
シルメリアの尻で持たれ生き生きとした宝剣を前に、らぴかが指を差した。
「でもその剣は天下尻武闘会の優勝者が使うものだから、どうしても欲しいって言うなら、私達にケツバトルで勝ってみせてよ!」
「いいだろう、ケツバトルとやら受けて立とう」
尻を構える敵にらぴかがスカートに挟み込んだ雪月霊杖スノームーンを振るおうとした、その時だった。
草むらから更に何者かが現れ、霊杖が空振り雪の結晶が降る。
「――って、猫ちゃん!?」
(「にゃー!? 大きいおちりが6つ!? それに雪の結晶までおちり型!?」)
――話は少し前に遡る。
キジトラの地域猫である雉尾・薙(魅惑の尻尾・h03165)は大晦日の晩も尻尾をピンと立て、外をテッテと歩いていた。
いつもおやつをくれるご近所さんに今年最後の挨拶をしてから、日課の見回りを始める。
枯れ葉を踏みつけ、冬枝の匂いをふんふんと嗅ぎ、異常がないかとチェックをしていたその時。
「なゃぁん?」
誰かに呼ばれた気がしたのだ。
不思議な感覚だった。誰の声も聞こえないのに、しっかりと”呼ばれている”と分かった。
薙は疑問を抱きつつも、呼ばれるがまま歩き、そしてたどり着いたのだ。尻神の森へ。
(「ははぁん、以前行ったお尻の神社と同じ気配がするにゃんね」)
薙はお尻をフリフリしながら森を進むと、人の争う声がするのに気がついた。
鼻先で葉をかき分け、木々の開けた場所を覗けばそこには剣聖天女『シルメリア・ゴースト』と――5つの尻があった。
老人でありながら、脂肪を落とした筋肉のしっかりついた尻。
生前、スポーツで良く鍛えたのであろう形の良い|若尻《ゴーストヒップ》。
健康な褐色の肌に女性らしい丸々とした尻。
美しきキメの細かい肌に瑠璃色の光がキラキラと差す尻。
そして、白く大きな男の尻である!
(「おおーっ、やっぱり居た、白ケツ氏! 娑婆へ戻って来られたんにゃね!」)
「おお、久しいな、薙殿!」
一番肌の青白いケツに声をかければプリプリと臀部を震わせながら白ケツが薙へと近寄って来た。
そしてこれはどういう状況なのかと問えばあの、剣聖天女『シルメリア・ゴースト』がいるではないか。
しかも尻で剣を握っている。
(「あの人が”シリ”メリアさんかにゃ。違った、シル”シリ”アさん? ウ~ン、どうも尻に引っ張られるにゃ。これも白ケツ氏のせいにゃ……!」)
そんな薙の責任転換にも白ケツはどこか照れくさそうにへへっと尻の先を擦る。
「あの猫ちゃんは、味方ってコトでいいのかな?」
白ケツの態度を見てらぴかが呟けば、薙がうにゃうにゃと答える。
(「まぁこれもかつて尻を合わせた縁。この猫が義によって助太刀致すにゃ!」)
(「6対1――いや、まだ天下尻武闘会が続いているというのなら、この場で誰が一番尻か魅せないとならない!」)
チェスターは息を飲み、そして、意を決してシルメリアへと宣言する。
「尻神様の神剣に相応しいのは臀卓の騎士の一人であるこの俺さ。今からそれを証明してあげるよ!」
「それじゃあケツを引き締めて、改めて天下尻武闘会決戦、開幕じゃー!」
無砂糖の叫びをもって再び膠着していた戦いが始まる。
最初に動いたのはらぴかであった。
「いくら宝剣に適合した強者と言っても、お尻で剣を持つのは今日が初めてだよね? 二度目、三度目の私達の方が有利じゃないかな?」
尻初心者の剣聖が、神剣の|加護《バフ》を受けようと、その動きは従来の腕を使った動きに引っ張られてしまう筈である。
「ってことで、ケツバトルへ順応する前に仕留めちゃおう!」
さっきは猫の登場に驚き空振りしてしまったが、今度こそ霊雪元気らぴかれいきをシルメリアへと放つ。
「白ケツ! 確かキミは全てをお尻にする能力持ちだったよね?」
体内の霊気と冷気と練り、元気いっぱいに杖から連射しながら、白ケツへと呼びかける。
「おうよ!」
名を呼ばれた白ケツがひょいと尻を震わせながら彼女の横に並んだ。
「じゃぁ、キミの能力でまだこの現状に慣れていないシリメリアを惑わせることはできるかな?」
「任されよ! 桃色のケツよ!」
「頼んだよ!」
らぴかれいきによって凍えたシルメリアの動きが鈍くなる。
それどころか、周囲の温度も下がり桃型の雪が降り出したのは尻神のせいか、白ケツのせいか。
吐く息は白く、ぶるり、と他の√能力者達も思わず尻を揺らす。
それでも眉一つ動かさないシルメリアは流石と言うべきか。
「ははぁん。アンタは真面目にやって笑わせに来るタイプね」
雷鼓はどういう表情をすべきか悩みつつ、否、若干笑いを堪えながら言った。
「覚悟なさい、|尻《シリ》メリア……じゃなかった、シルメリア・ゴースト! この場で|尻《シリ》アス……もとい、シリアスを貫くことは不可能よ!」
雷霆剣ケラウノス――雷の光熱を圧縮して纏ったその忍者刀は、バチバチと音を立てながらシルメリアへと向いていた。
「この刀でその謎の骨装備をぶった斬ってあげる!」
彼女の動力源が、あの背に並ぶ玻璃骨格だと見抜いた彼女は、凍り付いたシルメリアの背へと重い斬撃を食らわせた。
氷によって凍った体が、雷撃を纏った高温の斬撃によって砕かれ、内部より焼かれる。
(「にゃるほど! 背中を狙えばいいにゃんね!」)
うなうな、と、薙は白ケツの背へと飛び乗るとメスをくくりつけた尻尾でシルメリアを威嚇した。
だが、シルメリアは薙を一瞥するも脅威と感じていないのか、それとも白ケツの存在が直視しがたいのかすぐに目を反らす。
(「むむ、薙の可愛さに動じにゃいとは。美人だからって負けにゃい! 行くにゃ白ケツ氏!」)
「おうよっ!」
日本刀を尻で挟んだ白ケツがシルメリアへと突進し、薙も白ケツを踏み台にして彼女へと飛び掛かる。白ケツと薙の合体攻撃である!
(「イイ尻に切りかかる……ように見せかけて背中の玻璃骨格を攻撃にゃ!」)
同時攻撃とフェイントによる動作にシルメリアは白ケツの刀を防ぐ事を選ぶ。
そして。雷鼓がヒビを入れていた箇所へとキジトラは思いっきりメスを差し込んだ。
「ッ……!!!!」
思わず素手で薙を掴み、投げ飛ばす。それを白ケツが空中でキャッチした。
薙の口に咥えられいたのはキラキラと瑠璃色に光る骨であった。
(「お魚の骨に見えて、美味しそうにゃ~」)
キャッキャと骨を口に入れてみる薙をシルメリアは忌々し気に見つめた。
「さ、新年の夜明けが来る前に、宝剣を取り戻そうかのう」
様子を見ていた無砂糖が立ちあがる。共に尻神の森を乗り越えた尻仙人達は既に皆の戦いをやいのやいの言いつつも酒を飲んで酔いつぶれていた。
ザッ、ザッと境内を一直線に歩くその老体は、ただの老体ではない。
シルメリアもそれを感じたのか宝剣を構え息を飲む。
老人を中心として風が吹き渦が巻いた。
「ハァぁぁぁぁ!!!! 仙術、|超仙人モード3《チョウスーパーセンニン・スリー》じゃ~っ!」
それは目視できるほどの燃え上がる|ケツ《決》意と共に現れた。
臀部に挟まれていた霊剣が、いつの間にか新たな武器、決気刀へと代わっていたのだ。
「うおおおおおお!」
プルンプルンと振えるケツに全身の|ケツ《決》意を集中させ、刹那、白く太い眉毛の下から開眼する。
「受けよ、わしのチャージ技! 尻花一閃、じゃー!」
大きく飛躍した体は一瞬天空でポーズを決めた後、臀部を大きく振り、縦斬り一閃を放つ。
宝剣により軌道は弱点よりややそれたものの、肩から真っ直ぐに振り下ろされた刃は天女の美しい体を斬り裂き赤に染めた。
「そんな、別の尻ばかり見るなんて、妬けちゃうな」
「なっ!?」
浮遊しながらシルメリアの背後に逆さまで現れたのはチェスターであった。
「実は俺も|幽霊《ゴースト》なんだ。厳密には別の種族なんだろうけど……同族として尚のこと負けられない!」
反射で振られた宝剣をするりと避け、そして|選手交代《ゴーストダイブ》する。
彼の能力は周囲のインビジブルと自身の位置を入れ替えるものである。
面前から消えたり現れたりする英国の男に、シルメリアは舌打ちした。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
そう挑発してやれば余裕のない彼女は瑠璃色の光線銃、ガバメント・ゴーストを周囲に放つ。
そのレーザーはハート型へと変形していた。
「くそっ! 変な形になって狙いが定まらん!」
「折角のケツバトルで銃を使っちゃうなんて、ちょっと冷めちゃうな」
レーザーを霊的防護で防ぎつつ、チェスターは空中で体をひねり光輝く|エクスカリバー《おもちゃの剣》を大きく振り被る。
「私は卑怯と言われようとも、我が星の為にも勝たなくてはいけないんだッ!!!!」
チェスターの攻撃を宝剣で受け止めようとするも間に合わない。
天女の体はケツ意を込めたチェスターの一撃をもろに浴びて後方へと吹き飛んだ。
(「どうだ、降参するかにゃ?」)
倒れたシルメリアの尻を、薙がツンツンとつつく。
視界の端では白ケツがふりふりと踊りチラつくのが雑音過ぎる。
「くっ……! 私には使命がある。ここで倒れる訳には……!」
起き上がる彼女に薙は飛び乗り、天女の衣へと爪を立てる。
(「エッチで描写不能な姿になりたくなきゃ降参するにゃ!」)
「おい、こら! やめろ!」
(「いやだにゃー」)
にゃおにゃおと鳴く薙をどうにか振り落として、彼女は服を整える。
「くっ……!」
見れば、自分はボロボロだというのに、まだ元気な尻6つに囲まれている。
玻璃骨格による光で隠密状態になろうとするも砕かれた体ではそれを行うのも無理であった。
そこへ、らぴかが再び”れいき”を放つ。動きを鈍らせた体はキッとらぴかを見つめたが彼女には効かなかった。
尻の向きで相手の斬撃を読みながら、らぴかは彼女の真ん前へと踏み込んだ。
らぴかから放たれたのは杖による打撃ではなく、氷の鎖であった。
一本、二本と現れた鎖はたちまち彼女を拘束する。
それは|変形惨撃トライトランス《ヘンケイサンゲキトライトランス》の能力の一つ。
らぴかのお尻には雪月霊杖スノームーンの形状を更に形状変化させた、ピンク色に輝く氷の斧が握られていた。
「いっけぇ!」
巨大になったその斧を、お尻で一気に振り下ろす。凍える天女に今度こそ避ける体力は残されていなかった。
「これまでか……」
氷と共に砕け散る体。シルメリアの美しい顔に、ピシリとヒビが入る。
「なるほど、これがこの|世界《√汎神解剖機関》の√能力者の実力。|ここ《√汎神解剖機関》でこうなのだ。√能力者が集うという伝説の|楽園《EDEN》でインビジブルを収奪するのは骨が折れそうだ……今回は負けたが、また近い内に会うことになるだろう。その時は、負けんぞ」
そう言い残して剣聖天女『シルメリア・ゴースト』は砂となってどこかの√へと消えていった。
「シルメリア・ゴースト、敗れたり~~~~ッ!!!!」
そう司会が叫んだ瞬間、天下尻武闘会の観客席から、歓声と多くの拍手が巻き起こった。
観客達は皆立ち、それぞれ涙や笑みを浮かべ感動していた。
「流石、俺達を負かした奴らだ……!」
尻目がおいおいと大粒の涙を流しながらふんどしで顔を拭く。
「俺、第二戦に進まなくってよかったぁ~」
「ぼ、僕もそう思いました……」
とホッと胸を撫で下ろしていたのは地獄の亡者と尻こぼし。
「まさか、ここまでケツバトルの猛者がいたとは。我々も慢心せず、切磋琢磨しなくてはいけませんね」
手代善兵衛はそう言って、√能力者達の活躍を映した画面へと再び優しい視線を向けたのだった。
「ふぅ、強かったね~!」
シルメリア・ゴーストの最期を見送ったらぴかは思わず、その場にぺたんと座り込む。
「ふええ、明日またお尻が筋肉痛になりそうだよ~!」
思わずスカートを摩る隣で、白ケツがフルフルと尻を振る。
「これで筋肉痛を起こすとは、まだまだだな桃色のケツよ!」
そこへ、獲物を見る目の薙が飛びつき、白ケツがギャァ! と悲鳴をあげた。
「うーむ、もう少しで|新しい技《能力》が思いつきそうなんじゃが……! のう、お主らはまだ元気そうじゃ。どれ、ワシともう一試合せんか? レッツ・ケッ闘じゃ!」
そう無砂糖が声をかけた相手はチェスターと雷鼓であった。
「俺はいいけど、おじいちゃんも元気だね」
「私はパス! もうお風呂入って寝ちゃいたいわ。こんな悪夢、今日で最後にしてよね」
|エクスカリバー《おもちゃの剣》と決気刀をお尻で構える2人を眺め、雷鼓はため息をつく。
「そう言えば、天下尻武闘会の優勝者って誰になったのかな?」
落ちていた宝剣を拾い上げたらぴかの呟きに「「「あ゛」」」と皆が声をそろえる。
「優勝は!? 優勝は誰じゃ!?」
「きっと俺だよね? 今回の活躍には自信があるけど」
「シリ? シル? メリアを討ち取ったのは私だったよね?」
次々と声を挙げる√能力者に囲まれた尻模様のカラスはか、カァ……と弱弱しい声で返す。
「そ、そうだ! 一番に尻神の森を突破したのは誰だったのでしょう!? VTRを確認してみましょう!」
カラス達の首元にあったカメラ映像を巻き戻し、司会達は息を飲む。
「判定の程は!?」
「あーっと、これは! カラス達が全員、シルメリア・ゴーストを見ています! あまりの美女の出現に、光物好きのカラス達、思わず視線を集中させちゃったみたいです!」
「なにぃーー!?」
司会者の言葉にズッコける地獄の亡者に叫ぶ尻目。
「では、今回の天下尻武闘会の優勝者は分からないと?」
善兵衛の冷えた言葉に司会者はコクコクと頷くしかなかった。
「ど、どうするんです? 今回は優勝者不在!?」
動揺する尻こぼしを落ち着かせ善兵衛は続ける。
「しかし、彼らは尻神様の宝剣を守ってくれた。このまま手ぶらで返すわけにはいかないでしょう」
と、いう事で神剣を取り戻してくれた者達を称え、中村無砂糖、雪月らぴか、チェスター・ストックウェル、白ケツ、瑞城雷鼓、雉尾薙、以上の6名を名誉尻とし全員に感謝状を贈り、今でも天下尻武闘会の建物にはこの6人の写真が飾られているという話である。
ちなみに、今回は優勝者不在ということで宝剣は全員が10回づつケツで振ったという。宝剣を社へと戻した白ケツが喜んで本部へと報告してくれた。
√能力者達が解散したのは1月1日の日が出てからだった。
日の出が目に染みて、くたくたになった体で帰還する。
しかし中には「やっぱり、ケツバトルはいいのう」とウッキウキで言う人物もいたとか、いなかったとか。
こうして√能力者達の活躍のお蔭で記念すべき第100回、天下尻武闘会は今年も無事に幕を下ろしたのだった!