悪の芽を摘め!
●√マスクド・ヒーロー
「いいか、お前達っ! お前達の役目は、この街の破壊っ! とにかく、暴れろ! 暴れまくれ! 視界に入ったモノは、すべて壊せ! 本能に従え! 相手の事は、考えるなっ! 力こそ、正義っ! つまり、お前達が正義だ! 正義のためなら、どんな悪事も許される! 何も迷うな、躊躇うな! 正義はお前達と共にあるっ!」
秘密結社『プラグマ』の大首領に忠誠を誓うデュミナスシャドウが、一般人達を洗脳し、街を破壊しているようだ。
一般人達は正義のヒーロー気取りで、街にあるモノを破壊しているが、命を奪う訳にもいかないため、意識を奪って無力化してほしい。
どうやら、一般人達は洗脳によって、罪悪感を覚える事が無くなっているため、人の痛みや苦しみを理解する事が出来なくなっているようだ。
洗脳自体は、それほど強力なモノではないため、一般人達を無力化するのは、それほど難しい事ではないだろう。
ただし、騒ぎを聞きつけた戦闘員達が邪魔をしてくるので注意をする必要があるだろう。
例え、戦闘員達が邪魔をしてこなかったとしても、ゾディアックの力を操るゾーク12神の一柱であるドロッサス・タウラスが邪魔をしてくるので注意してほしい。
問題なく撃破する事が出来れば、デュミナスシャドウと戦う事になる。
デュミナスシャドウは悪の組織に仕える改造人間で、数々の事件を起こしている危険な存在であるため、必ず撃破してほしい。
第1章 冒険 『人々の洗脳を解け』

●荒れ狂う一般人達
「まさか、初めての√マスクド・ヒーローが、一般人達の鎮圧とは……。随分と分かりやすい悪者が、裏で糸を引いているようですね」
黒滝・恭一郎(セレスティアルの神聖祈祷師・h02448)が目の当たりにしたのは、街中で暴れまわる一般人達の姿であった。
一般人達は洗脳されているらしく、自分達の行いが正義であると思い込み、本能の赴くまま破壊行為を続けていた。
「……」
そんな中、星宮・レオナ(改造人間のキー・アクセプター・h01547)が洗脳された人達に紛れ、暴れるフリをしながら、怪人達のいる方向に近づいていた。
怪人達のまわりには一般人達が沢山いるものの、彼らがターゲットにしているのは、まわりにあるモノだけ。
怪人達には全く興味を示しておらず、まるで『いないモノ』のような扱いだった。
おそらく、一般人達には、怪人達が見えていないのだろう。
(迂闊に近づくのは得策ではないけど、もう少し……)
レオナが覚悟を決めた様子で、少しずつだが、確実に距離を縮めていった。
そうしているうちに、ポツポツ……と雨が降ってきた。
だが、一般人達の勢いが衰える事はなく、全身ズブ濡れになりつつ、鉄パイプや金属バットを振り回し、まわりにあるモノを壊していた。
『……憂、相手は一般人よ? 気を付けて』
地獄の番犬を模した喋る魔道具ケルベール(アシスタントAI)が、雨夜・憂(鬼狩り・h00096)に警告を発した。
「分かってるって。ただ、喧嘩売ったら酷い目にあうって所は教えておかないとね」
憂がケルベールに答えを返し、即座にリミッターを解除した。
「アヒャアヒャアヒャヒャ!」
一般人達が瞳孔の開いた目で、憂にジリジリと近づいた。
「さて、行きますかぁ……ピン留め!」
それを迎え撃つようにして、憂が無数のピンを飛ばし、空間に張りつけ、動きを封じ込めた。
それでも、一般人達が強引に動こうとしたものの、その気持ちに反して何も出来なかった。
「破壊、破壊、破壊ダァァァァァァァ!」
その事に気づいた別の一般人が鉄パイプを振り上げ、助走をつけてレオナに襲い掛かった。
(……そう簡単に近づける訳がないか)
すぐさま、レオナが残像を繰り出し、素早く傷つけず一般人を無力化した。
その間に、まわりの一般人達が鉄パイプや金属バットを持って近づいてきたため、襲われて逃げるフリをしながら、少しずつ怪人達に近づいていった。
「ほら、出番だ。ちゃんと手加減する。……良いな?」
それに合わせて、憂のマントから雉型ロボを招集し、空中から音響弾を放って、一般人達の動きを封じ込めた。
「彼らに罪はありませんからね」
続いて、恭一郎が【楽園顕現】で周辺の自然環境から創造した楽園の叢檻を放ち、一般人達を行動不能にさせ、防御力10倍にした後、毎秒負傷回復状態にした。
「か、身体が……」
その事に違和感を覚えた一般人が、訳も分からず目をパチクリとさせた。
「いまあなたが行ったこと……、振り返ってみてください。忘れている『罪悪感』を、どうか取り戻してください」
恭一郎が優しく語り掛けながら、一般人達の洗脳を解こうとした。
「お、俺は……」
その言葉が引き金になったのか、目の前にいる男が我に返った。
そして、恭一郎は一般人達を無力化し、怪人達のいる方向に視線を送った。
第2章 ボス戦 『『ドロッサス・タウラス』』

●怒る牡牛
「余計な事をしたのは、お前達かァ!」
降りしきる雨の中、ドロッサス・タウラスが星界金棒を振り上げ、巨大を揺らしながら襲い掛かってきた。
「再生速度……2倍」
即座に、雨夜・憂(鬼狩り・h00096)がリミッターを解除し、2倍の速度で星界金棒を受け流し、カウンターで常軌を逸した蹴りを繰り出した。
「イイ度胸をしているじゃねぇか! オレ様の攻撃を避けるとは……! だが、調子に乗るんじゃねえぞ! お前は処刑最優先候補だからなっ!」
その一撃を食らったドロッサス・タウラスが、ペッと血の塊を吐き捨てた。
「……なるほど。この雄牛の怪人を倒さなければ、先へと進ませて貰えないわけですね……」
黒滝・恭一郎(セレスティアルの神聖祈祷師・h02448)が決意を固め、これ以上被害を出さないようにと祈りを込めて、ディヴァインブレイドに攻撃を願い、自らの相棒である死霊と連携を取って、ドロッサス・タウラスに攻撃を仕掛けていった。
「ぐわはははっ! コイツは威勢がいいな! 死にたがりの愚か者がウヨウヨいやがるっ!」
ドロッサス・タウラスが星界金棒で受け身を取りながら、豪快な笑い声を響かせた。
「ヨウカイレッド参上! これでも、まだ笑えるか?」
そんな中、赤星・勇太郎(ヨウカイレッド・h01359)が自ら名乗りを上げ、ドロッサス・タウラスの前に陣取った。
「ああ、大爆笑だ。ザコが、いくら集まっても、ゼロはゼロ! それでも、理解できないのなら、遠慮なく、掛かって来い!」
ドロッサス・タウラスが、わざとらしくガハハッと笑い、星界金棒をブンブンと振り回した。
「つまり、俺達がいくら頑張っても、無駄だって事か?」
勇太郎がスタンビュート(特殊警棒)を鞭のように振るって、高圧電流を流してマヒさせつつ、【レッドバーニングパンチ】を発動させ、60秒間消えざる魂の炎】をチャージした後、燃え盛る拳を叩き込んだ。
「う……ご……っ」
その一撃を食らったドロッサス・タウラスが、受け身すら取る事が出来ず、目をパチクリさせた。
「さすがに、この一撃は予想外か? 『マ、マジか。こりゃ、笑えねえ』って顔をしているぜ!」
勇太郎が軽く皮肉を言いながら、ドロッサス・タウラスと間合いを取った。
「……ふざけるなっ! そんな事を考えていない!」
それと同時に、ドロッサス・タウラスが怒り狂った様子で、無敵の金属の牡牛に変身しようとした。
「そうですか。……ですが、それを使うのには、タイミングが悪かったようですね。神聖竜よ! 遠慮は不要です。躊躇えば、こちらが痛い目を見ますから……」
次の瞬間、恭一郎が【神聖竜詠唱】で神聖竜】を召喚し、無敵の金属の牡牛に変身する事を防いだ。
「ば、馬鹿なっ! こんな事……あり得ない!」
ドロッサス・タウラスが信じられない様子で、自分の目を疑った。
『……おい、やるなら、今だ。……分かっているな』
ケルベール(アシスタントAI)のウルが、憂に対して声を掛けた。
「ああ、そうだな」
それに合わせて、憂が追跡型自動二輪 犬型(自動で動くバイク型のメカ)を招集し、仲間達と連携攻撃を仕掛け、抜刀隊特別支給軍刀『甲』で斬りつけた。
「まだだっ! こんな傷……、かすり傷だっ!」
そう言ってドロッサス・タウラスが、荒々しく息を吐き捨てた。
●怒り
「かすり傷……ねぇ」
そんな中、星宮・レオナ(改造人間のキー・アクセプター・h01547)がマグナドライバーを待機状態のモバイル形態から本来の姿である銃形態に戻した後、変身用のミスティカ・キーをグリップに差し込み、捻り、押し込んだ。
「なんだ、お前は……」
その事に気づいたドロッサス・タウラスが、鼻息を荒くさせた。
「名乗るほどの者じゃないよ。……変身!」
レオナがマグナドライバーを空に向け、叫ぶのと同時に引き金を引き、光に包まれながら、赤と白のメカニカルなアーマーに身を包んだ仮面の戦士になった。
「クカカカカッ! ならば、墓標に名はいらぬな!」
ドロッサス・タウラスが高笑いを響かせ、勢いよく星界金棒を振り上げた。
「悪いけど、前座にはそろそろ退場してもらうよ」
レオナが残像を残しながら、一気に距離を詰め、【ブレイキング・ブースト】を発動させ、改造された事で得た怪力にブースト加速を加えた拳の一撃を叩き込み、星界棍棒ごと利き腕を破壊し、そのまま勢いをつけて、ドロッサス・タウラスを殴り飛ばした。
「ぐえっ!」
その一撃を食らったドロッサス・タウラスが血反吐を吐き、首の骨がへし折れて息絶えた。
第3章 ボス戦 『『デュミナスシャドウ』』

●怒り
「私の邪魔をしたのは、お前達か?」
降り注ぐ雨の中、闇の炎を纏ったデュミナスシャドウが、物陰から姿を現した。
「悪堕ちヒーローみたいなナリしやがって、キッチリ成敗してやる」
その事に気づいた赤星・勇太郎(ヨウカイレッド・h01359)が探偵刀を上段に構え、デュミナスシャドウに居合を繰り出した。
「思ったよりも、やるようだな」
すぐさま、デュミナスシャドウが残像を身代わりにして、勇太郎の攻撃を回避した。
「そっちも、な」
勇太郎が間合いを取りつつ、探偵刀をギュッと握り締めた。
「だが、それだけだ」
デュミナスシャドウがシャドウ・ヴィークルから跳躍し、動きを加速させる炎の輪を展開しながら、闇の炎を纏ったキックを放った。
「……クッ! 随分と甘く見られたものだな」
その一撃を探偵刀で受け止めた後、勇太郎が【レッドバーニングパンチ】を発動させ、消えざる魂の炎をチャージした後、燃え盛る拳をデュミナスシャドウに叩き込んだ。
「うぐ……ぐ……かばっ! こんなの、かすり傷か」
デュミナスシャドウがフラつきながら、あえてノーダメージをアピールした。
「……かすり傷か」
雨夜・憂(鬼狩り・h00096)がデュミナスシャドウを見つめ、鼻で笑うような笑みを浮かべた。
「何が……、おかしい」
デュミナスシャドウがイラついた様子で、憂をジロリと睨みつけた。
『まさか、あの技を?』
そんな中、ケルベール(アシスタントAI)の、もう一つの人格『ナル』が、憂に語り掛けた。
「あぁ……、ただ最初に見せびらかす技じゃないし、これで良いや」
憂が挑発気味に呟き、リミッターを解除した。
「……愚かな。死ぬがいい」
デュミナスシャドウが再びシャドウ・ヴィークルから跳躍し、炎の輪で加速しながら、闇の炎を纏ったキックを放った。
「フォーカス、上下反転」
憂が何も打つ手が無いと見せかけ、騙し討ちを披露し、デュミナスシャドウの周囲に四角い枠を出現させた。
「!」
その事に気づいたデュミナスシャドウがバランスを崩して、見当違いの方向に蹴りを放った。
「投げ縄、切り取り!」
すぐさま、憂がデュミナスシャドウめがけて、点線の紐を投げ、真っ二つに切り裂いた。
「タイミングが悪かったな。……それは残像だ」
そう言ってデュミナスシャドウが、ブロック塀の上から憂を見下ろした。
●デュミナスシャドウの最後
「んじゃあ、これも……残像って事だべか?」
コレクタ・シューシュー(昼は警官、夜は店主な付喪神・h03395)が興味津々な様子で、デュミナスシャドウの残像をつついた。
その拍子に、デュミナスシャドウの残像が、ヒュンと消えた。
「ああ、その通りだ」
デュミナスシャドウが、さらりと答えを返した。
「それじゃあ、まずは本物を特定する事から始めるべ」
コレクタが【不思議骨董品】で骨董品を創造し、全ての技能を上昇させ、呪詛を付与した御用警棒で咄嗟の一撃を繰り出した。
「なかなか、鋭い一撃だが、当たらなければ、意味がない」
デュミナスシャドウが再び残像を繰り出し、フンと鼻を鳴らした。
「それでも、ホンモノが、だれなのか、絞り込む事が出来そうだべ」
コレクタがデュミナスシャドウを見つめ、含みのある笑みを浮かべた。
そこには何の根拠もないのだが、少なからずデュミナスシャドウは、動揺しているようだった。
「そんなモノ……、ハッタリだ!」
その気持ちを誤魔化すようにして、デュミナスシャドウが大声を上げた。
「あらあら、声が震えているわよ? ひょっとして、動揺しているのかしら? それなら、素直に言うべきよ。私は単なる負け犬ですって」
トイロ・ウート(エルフの冒険者・h00193)が、あえて挑発的な言葉を口にした。
「ふざ……けるなっ! 私は負け犬などではない! その証拠に、私は逃げない!」
デュミナスシャドウがシャドウ・ヴィークルから跳躍し、展開した炎の輪を潜り、闇の炎を纏ったキックを放った。
「そうなの、まあ、いいけど……。別に興味ないから……」
すぐさま、トイロが【リアルタイムどろんチェンジ】を発動させ、小さくなって炎のキックを避け、限界突破して元気よくスタコラと逃げ出した。
「うぐ……、ぐっ! 何処まで私を愚弄すれば、気が済むんだ!」
その事に苛立ちを覚えたデュミナスシャドウが、残像を繰り出しながら後を追った。
「そっちこそ、残像なんて使わず、正々堂々と戦えばいいのに……。まあ、悪役に何を言ったところで、無駄だろうけどね」
シキ・イズモ(紫毒の鳥兜未遂・h00157)が、呆れた様子で溜息を漏らした。
「馬鹿にしてもらっては困るな。……ならば、望み通り、お前から肉塊に変えてやろう!」
デュミナスシャドウがケルベロスソーサーを構え、シキめがけて投げ飛ばした。
「……それが正々堂々の攻撃ってわけ? ボクには、そう思えないけど……」
シキが自らの身体に肉体改造を施す事で、ダメージを最小限に抑え込んだ後、【恨み募り固まる毒】で毒性のナイフを創造し、鎧無視攻撃でデュミナスシャドウに斬りかかった。
「う、うぐぐ……、か、か、身体が……」
その拍子に、デュミナスシャドウがマヒ状態に陥り、ガックリと膝をついた。
「これで、しばらく動けないね。まあ、耐性があったら、話は別だけど……」
シキがナイフを構えたまま、警戒した様子で間合いを取った。
「耐性なら……あるっ!」
デュミナスシャドウが荒々しく息を吐きながら、マヒ毒耐性で何とか耐えた。
(……あるんだ)
桐谷・要(観測者・h00012)が、警戒した様子で間合いを取った。
「お前達には、死んでもらう。絶対に……許さん!」
デュミナスシャドウが禍々しい闇の炎を纏ったまま、要に対して凄まじい殺気を放った。
「……えっ? 僕っ?」
要が信じられない様子で、目を丸くさせた。
ハッキリ言って、八つ当たり。
ただ近くにいたせいで、標的にされた。
だからと言って、何を言ったところで、考えを改めそうにない。
そんな空気を感じてしまう程、デュミナスシャドウの考えは固まっていた。
「言ったはずだ。……許さん、と!」
だが、デュミナスシャドウは、ヤル気満々。
覚悟完了とばかりに殺気立っていた。
「面倒事は勘弁だよ」
その事に危機感を覚えた要が、霊的防護で身を守りながら、デュミナスシャドウと距離を取った。
「……待て!」
デュミナスシャドウが素早い身のこなしで、一気に距離を縮めてきた。
「そこまで よ」
そんな中、芥子堂・澪(ネクロ無差別未亡人自由形・h01613)が、デュミナスシャドウに警告した。
「私の邪魔をするのか。ならば、お前も、同罪だ!」
デュミナスシャドウが、怒りの矛先を澪に向けた。
「随分と 一方的 ね まあ 予想の 範囲内 だけど」
澪が第六感でデュミナスシャドウの動きを先読みしつつ、深い溜息を洩らした。
「ならば、いい加減反撃したら、どうだ? 私が怖くないのだろう? だったら、何も躊躇う事はない。遠慮せず、掛かって来い! それが出来るのなら、な」
デュミナスシャドウが上から目線で、不気味な笑い声を響かせた。
「随分と 馬鹿に された ものね でも 後で 文句を 言わない でね ケンカを 売ってきたのは あなた なんだから」
澪が【『寸斬』】を発動させ、始段平喉断で牽制し、続段垂腕落で捕縛した後、終段斜臓貫で強撃の連続攻撃を与え、部位破壊をしつつ、デュミナスシャドウを焼却した。
「な、なんだ、この炎は……! 熱いっ! 私の炎よりも……うわあああ!」
そして、デュミナスシャドウは、判断を誤った事を悔やみつつ、消し炭と化して息絶えた。