シナリオ

始まりは歌声とともに

#√EDEN #√マスクド・ヒーロー

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√EDEN
 #√マスクド・ヒーロー

※あなたはタグを編集できません。

●私たち、世界を征服します!
「みんな! こんにちはーっ!」
 若者からお年寄りまで、沢山の人々で賑わうアミューズメントスポット。
 その中央に作られたイベントを開催するためのスペースでは、可愛らしい衣装を纏った新人アイドルが元気に挨拶して、歌を口ずさむ。
「それでは聞いて下さい。わたしのデビュー曲!」
 だが、それは破滅への序章。
 √EDENへの侵略を企む悪の組織による、大いなる野望の一歩目なのだ!

「というわけで、みんなでゲームセンターに遊びに行かないか?」
 ピピット・フロントライン(戦乙女の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h00911)は、至極真面目に言っているように見えて、単に自分が遊びに行きたいオーラを隠せていなかった。
 そんな視線に気づいた彼女は咳払いして、
「そのゲームセンターで行われるアイドルのイベントがあるのだが……」
 そこへ向かう本来の目的を説明する。
「実はそのアイドル、√マスクド・ヒーローからの尖兵なんだ」
 アイドルが活動することで、悪の組織がどの様に侵略をするのかはまだわからない。
「だが、悪の組織に所属するアイドルのファンになった人々は、彼らのさらなる作戦に巻き込まれ、時には敵に回ってしまうことも考えられる」
 そこで、それを阻止するために我々の出番。というわけだ。
「まずは悪の組織が現れるゲームセンターに行って、遊ぶところからだ」
 本来の目的を見失いこそしないが、ピピットはやはりゲームセンターで遊びたいようで、
「十分に堪能することろにはイベントの時間になるだろうから、そこからが作戦の時間になる」
 みんなには存分に遊んだ後で、悪の野望を打ち砕いてほしいと告げるのだった。

マスターより

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?

第1章 日常 『ゲームセンターで遊ぼう』


逆依・凪

●クレーンゲームとぬいぐるみ
「夜遅くなくてよかったな、この仕事」
 昼下がりのゲームセンターにやってきた逆依・凪(ラスト・ブライダル・エース・h01345)。
 一定の年齢以下の子どもが訪れることの出来る時間は限られていることを知っていた彼女は、
「遅かったら入場すらままならんし」
 年相応にゲームセンターに遊びに来た女の子として振る舞った。
 店内を歩き回り、通りかかったのは、クレーンで景品を取るタイプのゲームだ。
「……ん? アレは」
 そこで凪が見つけたのは、
「冥姉が好きなアニメのキャラクターだな」
 彼女の双子の姉がよく見ているアニメのぬいぐるみ。
「節約はして損はないが……取れないとは思うがやってみるか……」
 チャリン。
 筐体にお金を入れ、凪は真剣な眼差しでぬいぐるみをアームで挟み込む。
「よし……あぁ、無理か」
 いい感じにぬいぐるみを挟めたものの、アームの力が弱くて途中で落としてしまった。
 チャリン。
「少しずつずらして……」
 チャリン。
「もう少しで取れそうなんだが……」
 お金が落ちる音がするたび、凪は少しだけ後悔する。しかし、
(「ぬいぐるみ、冥姉に渡したら喜んでくれるだろうな」)
 そんな思いが彼女を後押しした。
 チャリン。チャリン。……ガタンッ!
「よし取れた!」
 ようやく落とすことが出来たぬいぐるみを抱え、
「……今月は節制かバイト増やさざるを得ないな」
 軽くなったお財布に手を触れてため息を付きながらも、凪の顔は姉が喜ぶ姿を脳裏に浮かべ、明るかった。
「ん?」
 ふと壁を見ると、新人アイドルらしい女性のポスターが目に入る。
「歌で弄ぶような真似をするやつは嫌いだな」
 ここでこれから起こる事件を思い出し、凪は吐き捨てるように呟いた。

コイン・スターフルーツ

(「ゲームセンターって通り過ぎたことはあるけど、実際にゲームで遊ぶのはじめてかも!」)
 未知の世界へ足を踏み入れたコイン・スターフルーツ(人間(√EDEN)の妖怪探偵・h00001)。
 彼女は好奇心にかられながら、探偵らしくどんなゲームがあるのか探検を始めた。
「テレビゲームの大きいやつに……これはお馬さんが走るの? こっちは音楽に合わせて演奏したり踊ったりするんだね!?」
 キラキラした光と派手な音楽に目を輝かせながら、一通りの調査を終えたコインは、
「おっ! これって、景品がもらえるヤツじゃない!?」
 景品を掴んでゲットできる、クレーンゲームに目が釘付けになった。
「漫画とかでみた! いろんなシーンとかで出たりするよね!」
 早速、可愛らしい女の子のぬいぐるみが置かれている台に張り付き、じーっと観察するコイン。
「ここがこうなって……ぬいぐるみとクレーンの角度がこうだから……」
 せっかくなら景品をゲットしたい!
 彼女は探偵ならではの観察力と、少しの勇気と行動力で、
「ここだっ!」
 イメージと寸分たがわぬタイミングでボタンを押し、クレーンの行く末を見守った。
「いけいけいけ……あっ」
 だが、なかなか思うように行かないのがクレーンゲームの常だ。
「ヤバ。これめっちゃたのしーっ!」
 途中で落ちてしまったぬいぐるみを見つめながら、コインは嬉しそうにはしゃぎだし、
「もう一回! 次こそは必ず!」
 再びぬいぐるみをじっと見つめ、クレーンを操作するのだった。

「やった!!!」
 それから何度かゲームを繰り返し、無事にぬいぐるみをゲットしたコイン。
「ところで、このぬいぐるみって誰のぬいぐるみなんだろう?」
 あまり見慣れない、アイドル衣装を纏った女の子のぬいぐるみを見つめながら、彼女は首を傾げるのだった。

第2章 ボス戦 『指名手配吸血鬼『マローネ・コール』』


●アイドルショーの始まり
「みんな! こんにちはーっ!」
 可愛らしい声で、ゲームセンターの中にいる人々に声をかけながら、彼女は即席のステージの上に上がる。
 見慣れない顔ではあるが、アイドルらしい可愛らしい服装を纏った女の子に、多くの視線が集まった。
「わたしはマローネ。今日はよろしくね!」
 その姿は、店内の壁に張り出されたポスターそのままで、
「もしよかったら、わたしのグッズが店内で売られているから、買ってくれると嬉しいな♪」
 彼女に紹介されたキーホルダーやぬいぐるみが売られているコーナーの人たちが元気よく手を上げる。
 ……騙されてはいけない。
 彼女は√EDENへの侵略を企む悪の組織の尖兵だ。
「それでは聞いて下さい。わたしのデビュー曲!」
 だから、その歌を歌わせてはいけない!
 彼女の言葉が止まり、イントロが流れるまでの一瞬の静寂。
 簒奪者の野望を阻止すべく、√能力者たちは動き出す。
コイン・スターフルーツ
逆依・凪

●幻のデビューライブ
 わずかに時間は遡り。
「おっ、いよいよ敵が来たみたいだね」
 コイン・スターフルーツ(人間(√EDEN)の妖怪探偵・h00001)はどんなアイドルが現れ……人々を混乱に陥れようとするのか。
 興味津々でステージに視線を向けていた。
「――なるほどね」
 そしてその姿を見るや、抱きかかえたぬいぐるみに視線を移し、
「あなただったんだね、この子」
 変わらず可愛らしい姿に微笑むと、そっとかばんの中へ避難させる。
「にしても……ヤバ!」
 改めてマローネと名乗ったアイドルに視線を向けたコインは、
「ぬいぐるみもそうだったけど、実物もめっっっちゃカワイイじゃん!?」
 その姿をみた人たちが推したくなる気持ちがよく理解できると納得するが、
「……ってか、謎はあんまないかも」
 彼女には他に謎が無いか、思考を加速させて考える。
 その間にマローネは観客に挨拶し、歌を歌おうとマイクを手に取った。
「あっ! 彼女の謎、わかっちゃった!」
 その瞬間、コインの脳細胞が閃き、頭の中にかかっていたモヤが晴れるような快感が彼女を覆う。
「指名手配吸血鬼『マローネ・コール』! 可愛らしく変装していても、探偵の目はごまかせないよ!」
 そして、ビシッと指を突きつけながら彼女の正体を暴露し、同時にかばんの中から古いアイドルが印刷されたレコードのジャケットを一枚取り出して、指でなぞると、
「あなたが使おうとしてるこの会場を、ちょっとだけ私の領域にさせてもらうよ」
 レコードの上に古いアイドルのステージが幻影のように現れ、
「Interpretation of the book」
 それと同時に周囲の空間が曖昧なものになっていく。
「あなたのその企み。このアイドルのライブの影で、幻にしてあげる!」
 コインの【コップの中の流動性】は、周囲の空間を曖昧にすることで観客たちへの被害を防ぎ、彼らから見たステージを、全く関係ないアイドルのものに変えてしまった。

「そ、そんな!」
 悪の秘密結社の尖兵で、悪いことが目的だとしても、女の子の憧れであるアイドルとしてステージに立ったマローネ・コール。
 彼女はアイドル自体はかなり乗り気だったらしく、その晴れ舞台を直前で取り上げられて悲しそうに叫びながら、
「でも、負けないんだから!」
 マイクを手にとり、血の魔力で覚醒することで卓越した歌声を響かせようとする。
「……その煩い声、耳障り。すぐ止めたげる」
 だが、マイクが歌声を周囲に広げることはなく、逆依・凪(ラスト・ブライダル・エース・h01345)の複合武装プラットフォーム【|婚姻猟牙《ウェディングリッパー》】から放たれたライフル弾に貫かれ、マローネ・コールの手元から弾け飛んでいく。
「どうして、そんな邪魔するの!?」
 私はただ歌いたいだけなのに!
 そんな鬼気迫る言霊が凪を襲い、彼女を怯ませようとするが、
「わたしが邪魔する理由? 言ったでしょ? 歌をそんなふうに使う奴は私は嫌い、ただそれだけ」
 凪はかつて歌を愛した自分の矜持を持って、冷静に論破した。

「大事なライブをごめんだけど」
 そこへすかさず間合いを詰めたコイン。
 彼女は耐魔コスメを爪でなぞり、
「Put the tape in, and now play it」
 マローネのために流れていたデビュー曲を、【お菓子畑のカセットネイル】に書き換えてしまう。
「でも、ドラゴンじゃそれどころじゃないっしょ?」
 それと同時に、巨大でファンタジーチックなドラゴンに変身し、巨体を活かして体当りしたり、尻尾や爪で暴れまわる。
「い、嫌っ! 私が何したって言うのよっ!!」
 泣きそうな顔で被害者面をするマローネ・コール。
 だが、元はといえば彼女が人々を陥れようとしていたのだし、何より指名手配犯だ。
「歌のかわりといっちゃなんだけどさ、この場をメチャクチャにするのには付き合うよ!」
 追い詰められた犯罪者がどんな手を使ってでも逃げ切ろうとすることは、探偵である彼女にとって常識のようなもの。
「ちょ、ちょっと……私はそんなのゴメンだよぅ!」
 このままでは不味いと判断したマローネ・コールは、とにかく逃げ出そうと翼を広げ、空へと飛び出そうと試みる。
「こんな奴の声で、みんなの耳を汚させはしない」
 だが、|婚姻猟牙《ウェディングリッパー》のモジュールを素早くアンカーモジュールに付け替えた凪の攻撃で絡め取られ、
「アクティブコンバット! 連携で叩き込む!」
 続くパイルモジュールによって放たれた杭に抑え込まれてしまう。
「私は我慢比べがけっこう好きな探偵なんだ。指名手配さん」
 凪が放つ【暴虐者ノ調停・三華】によって地べたに這いつくばらされてしまったマローネ・コールを、すかさずコインがドラゴンプレスで押し潰し、
「いやぁぁっ!」
 彼女はドラゴンの下敷きになってしまった。

東風・飛梅

「このまま終わったり……しない!」
 だが、マローネ・コールはしぶとく生き残り、身体を捻って杭を外し、
「血の雨を降らせなさい!」
 彼女の羽が魔力とともに鋭く変化し、【魔力に満ちた血の雨】でコインのドラゴンの尾を切断しようとする。
「させないわ」
 だが、そこへ組み付いた東風・飛梅(あるじを想う霊木・h00141)の右掌が、彼女の√能力、アルター・ブラッドを無効化する。
「あなたは、道を間違えたのよ」
 そして、その手足を掴んだまま、優しい眼差しを向けながら、彼女を滅しようとした。
「嫌よ! 私はアイドルとして輝くんだから!」
 必死に藻掻くマローネ・コールは、羽ばたきながら上へと逃げ、飛梅を振り落とそうとする。
「無駄よ」
 しかし、特殊な足運びでこの曖昧な空間を物理的に蹴り、自由自在に跳び回る飛梅はマローネ・コールを逃さない。
「それならこれで!」
 再び抑え込もうと腕を伸ばす飛梅に【赤き爪】を振るって牽制することで、マローネ・コールはようやく間合いを取って一息つくのだった。

七星・流

「ふうっ……私、負けないんだからっ!」
 ムキになって戦い続けたことで、可愛らしさが薄れているのを思い出したマローネ・コールは、あざとく可愛くポーズを取り、微笑みを作り出す。
「アイドル。なるほど、そういう強さもあるんやなぁ」
 そんな気丈な姿を目の当たりにした七星・流(√EDENの流れ星・h01377)は、
「面白い、めっちゃおもろいやん!」
 彼女に興味をもち、楽しそうに話しかけた。
「小難しい事は分からんし、折角のステージなんや。楽しんだもん勝ちやろ?」
「そうね。このステージ。楽しめなくちゃアイドルじゃないもの!」
 すると瞬く間に2人は意気投合し、
「アイドルらしく、最後はガチンコバトルや!」
 流は鋭い出足でマローネ・コールとの間合いを詰め、
「ええ。あなたをガチ恋勢第一号にしてあげる♪」
 アイドルらしく笑顔を振りまき、彼を虜にしようとする美声の誘惑を振り切って、接近戦に持ち込んだ。
「ほな、ダンスと行こか?」
 そして、足技を絡めて時に激しく、時に緩やかに踊るようステップを踏み、
「大した√能力は無い俺なりのダンス、楽しんどるか? マローネちゃん!」
「わわっ、隙がない……ダンスもしっかり練習したのにぃ……!」
 流の暴れ足に翻弄されたマローネ・コールは次第についていけなくなってしまう。
「ライブの締めくくり、気合い入れや!」
 だが、そんなダンスパートナーの叱咤に支えられ、振り回されながらもなんとか曲の終わりまで彼のダンスについて行く。
「はぁっ、はぁっ……どう? 私のダンスは?」
 そして、流を上目遣いで見上げて満足そうに微笑んだ彼女を、
「ああ、よかったぜ? でも、これで終いや!」
 彼は悪を必ず倒すという強い信念と共に、全力で蹴り飛ばす。
「そ、そんな……!」
 こうして、アイドルとしてデビューするはずだった彼女は、コップの中の世界で水の中へ沈んでいくのだった。

「次はもう少しマシなショーにしてね。頼まれてもセッションはしないけど」
 マローネ・コールが死亡したことを確認し、そう呟いた凪。
「可愛かったなぁ……でも、そのかわいさを悪いことに利用してるのは、ちょっともったいなかったね」
 一方、コインは彼女が真面目にアイドルするならまた見てみたいなと思いつつ、空間を元に戻して後始末をしようとした。

第3章 ボス戦 『『マンティコラ・ルベル』』


●薔薇と蠍の怪人
 だが、そこへ現れたのは、アイドルであるマローネのグッズを売っていた売り子さん。
 彼女は薔薇の香りを漂わせながら、真紅の蠍をイメージさせる怪人へと姿を変える。
「私は……そうね、アイドルのプロデューサー。ってところかしら?」
 どうやら彼女がマローネ・コールをアイドルに仕立て上げ、人々を破滅に導く計画を主導したようだ。
 彼女……『マンティコラ・ルベル』を倒せば事件は解決する。
 √能力者たちは油断なく身構え、最後の戦いに身構えた。
東風・飛梅

●可愛いと愛は正義!
 アイドルによる世界征服への計画を立てていた怪人『マンティコラ・ルベル』。
 その障害となる√能力者を排除すべく、彼女は周囲に薔薇の香りを漂わせ始める。
「あなたが纏うのが薔薇の香りだと言うのなら、私の梅の香で上書きしてあげる」
 だが、その準備が終わるよりも早く、東風・飛梅(あるじを想う霊木・h00141)は爽やかな【梅の香を乗せた東風】を吹かせ、
「たとえあなたがどこか遠くへ去ってしまったとしても、私は空を飛んででもあなたのおそばへ行くわ」
 一夜もあれば、私はあなたのもとへ飛んでいく。
 そんな彼女の想いが、マンティコラ・ルベルが漂わせる薔薇の香りを吹き飛ばし、梅の香で周囲を包みこんだ。
「ちっ!」
 早速ペースを乱されたマンティコラ・ルベルは、飛梅に向けて【サソリの尾針がついた髪鞭】を鋭く振るい、彼女が纏う梅の花を断ち落とそうとする。
「そんな愛のない動きじゃ、私は捉えられないよ」
 だが、彼女の髪の軌道を読み切った飛梅はひらりと躱して、
「あなたの香りも髪も。どこへ行こうとしても、逃がさないんだから」
 ぐんと増した速度を利用して、マンティコラ・ルベルが間合いを取ろうとしたところへ鋭く踏み込み、カウンター気味に拳を振るう。
「あなたに本物の愛を教えてあげる!」
 かつて、あるじ様――彼女が敬愛する先生で、聖なる乙女――が、私に色々教えてくれたみたいに。
 拳を交え、愛を語り、また拳を交える。
「愛など……くだらぬ!」
 だが、マンティコラ・ルベルも飛梅の速度に食い下がり、拳と尾、梅と薔薇が幾度となく鍔迫り合う。
「あなた……あんなに頑張って愛を振りまいてたアイドルのプロデューサーさんなのに、全然愛が足りないよ?」
 目的はどうあれ、マローネは本気でアイドルを目指し、ファンに愛を与えようとしていた。
 そんな彼女を乗り越えた自分たちが、愛を持たないマンティコラ・ルベルに負けるわけがない!
 飛梅は更に拳の速度を上げ、怪人を手数で翻弄していった。

ミルグレイス・ゴスペリジオン

「トゲトゲおばさん」
 飛梅と戦うマンティコラ・ルベルに視線を向け、ミルグレイス・ゴスペリジオン(魔境を巡る舞軍師・h02552)は開口一番そう言い放つ。
 敵のことをぱっと見て、その特徴から呼び方を決める彼女の言葉に、
「お、おば……さん?」
 美しく、若い女性のつもりだったトゲトゲおばさんは顔を引き攣らせる。
「アタシ知ってるよ? その歳で愛がくだらないとか尖ってるのはおばさんだけだって!」
 恋愛適齢期にして日々を謳歌しているミルグレイスは笑顔を絶やさないまま、敵に対して容赦なく言葉を重ね、怒りを煽って挑発を繰り返す。
「所詮はまだ乳臭いガキの戯言よ!」
 マンティコラ・ルベルはトゲトゲから【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、それらを爆発させてミルグレイスをわからせようとするが、
「予想通りの行動だよね」
 飛んでくる蠍型を【ウィザードフレイム】で包み、その攻撃をそっくりそのまま反射して見せる。
「お・ば・さ・ん?」
 さらに追い打ちで言葉を紡ぎ、爆発に巻き込まれて傷ついたトゲトゲおばさんをからかい続けた。

逆依・凪

「そうね、確かに彼女に悪意はそこまでなかった……か」
 やろうとしていたことを許すことは断じて出来ない。
 だが、その根底にはアイドルに憧れ、その立場に立ちたい。立ってみんなを幸せにしたい。
 という心があるようにも感じられた。
「熱くなりすぎるのも考えものだね。けど……」
 逆依・凪(ラスト・ブライダル・エース・h01345)は、歌を汚されたとまで思ったのは行きすぎだったと感じつつも、
「あの女怪人は、許されざる存在ね」
 悪の組織として侵略を試みることもさることながら、
「ちなみに、なんで貴女はアイドルなんて手段を選んだのかしら?」
「それが手っ取り早く人々を騙すのに都合が良かったからよ。決まってるじゃない?」
 真面目に頑張って、音楽やダンスに向き合っていたアイドルを食い物にするようなクズが相手なら、一片の容赦も必要ない。
「そう」
 仮に、歌に愛を感じられる答えが帰ってきたとしても、侵略を防ぐために武器を握るのはやめなかっただろう。
 だが、その答えによって手が鈍る可能性があったのも事実。
「ある意味助かるよ。貴女には、本当に一片の容赦もいらないから」
 その必要がないと分かれば話は早い。
「オーバークロック、ブレードギルティッ!!」
 手に持った【|婚姻猟牙《ウェディングリッパー》】を特大のビームブレイドに変化させ、
「歌を、アイドルを馬鹿にするクズは、一撃で散らせてあげる」
 力強い感情とともに振り下ろし、マンティコラ・ルベルに叩きつけた。
「ぐはっ……!」 
 何故、そこまで怒り狂うのか?
 凪の逆鱗に触れたことを理解できない怪人は、彼女の怒りを全身で受け止め、たたらを踏んだ。

コイン・スターフルーツ

「めっっっちゃ黒幕! って感じ! じゃん!」
 アイドルを操っていた黒幕は、アイドル活動を手伝う周囲の人だった。
 しかもプロデューサーということは……。
「いやいや、放っておくとまずいねこれ。こんな事件あちこちでプロデュースなんてされたら」
 世界中に可愛らしいアイドルが爆誕して幸せな世界に……なるのなら良いのだが。
 悪の組織はそれを利用して世界征服に乗り出そうとしているのだ。
 コイン・スターフルーツ(人間(√EDEN)の妖怪探偵・h00001)はここで止めなければ世界が大変なことになると危機感を覚え、慌てて大きな袋を取り出した。
「ちょっと待って! 今回のあなたのプロデュースへのお礼、まだ支払ってなかったよね!」
 コインはその袋の中身……大量の輝く金貨を見せびらかしながら、
「あなたがたのアイドルが……今回は死んじゃったけど、次からうまくいきますようにっ!」
 心にもないことを言いつつ、思い切り金貨を投げつけた。
「ちょ、危ないでしょ!」
 というマンティコラ・ルベルの抗議は聞かず、コインは延々とコインを投げ続ける。
 ただの金貨のように見えて、彼女の思いが込められたそのコインは、敵の身体をまたたくまに傷つけ、
「も、もう十分よ! 毎度ありがとうございました!!」
 身体が悲鳴を上げつづけるマンティコラ・ルベルは、これ以上金貨を投げないでくれと叫ぶ。
「えっと、今回はお釣りいらないかも! 遠慮せずに!」
 だが、コインは袋の中に入った300枚のコインを全て怪人に投げつけ、
「ひぃぃ、金貨! 金貨に殺される!!」
 その重みと硬さに敗れた彼女は、金貨の山の中に埋もれて押しつぶされるのだった。
「これで事件解決。だね」
 怪人が倒れたのを確認したコインは、今度こそコップの領域を解除しながら、ふと、カバンの中に入ったアイドルのぬいぐるみを取り出して、
「このぬいぐるみは…………事務所に飾ろっと」
 大切な思い出を頭に記録し、カバンにしまい直す。
 また会うことがあるのなら、願わくばその時は……。
 そんなことを思いながら。

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?