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プリティー・マジック!
●|魔法少女現象《プエラマギカ・フェノメノン》
オレの名前は|美琴《ミコト》・タケル。男子中学生!
ちょっと背は低いけど、喧嘩なら誰にも負けないんだぜ!
今日もこの学校の不良どもを懲らしめるために、学校の裏手に来ていた!
「美琴……今日こそテメェの可愛い顔を泣きっ面に変えてやるぜ」
「上等だ! ってか可愛いって言うな!」
オレは不良のリーダーに声を張る。勝負は一対一。他に誰もいない。
それにしても、このよくナメられる顔立ちだけはなんとかしたいぜ。
「へへ、その可愛い声で必死にごめんなさいって言わせてやりてェなぁ……」
「謝るのはお前達のほうだ!」
くっそー、まだオレは声変わりしてないだけだ。
男の中の男を目指すオレが、そんな可愛いだなんて、プライドが傷付くってもんだ。
「そんで……お、おい、美琴」
不良のリーダーが俺を指をさした。男の顔がみるみる赤くなってゆく。
「なんだそりゃぁ……?」
「え?」
オレは首を傾げた。なんだか足元がスースーする気がする。気になって下を向くと。
「……は?」
ひらひらで、ふりふりで、ピンクで、スカートで……。
「な、な、なぁ、なぁぁぁあ~~~~っ!?」
なんだこれ、なんだこれ!?
オレは確かにさっきまで学ランで……なんか髪飾りもついてる!?
「しょ、勝負はお預けだぁぁ~~~っ!!」
オレは思わず走って逃げ去ってしまった。
どうなってる、どうしてこんな服を着てるんだ?
わけもわからないまま、オレは走り続ける。学校を抜けて、人混みの中をかきわけて、とにかく誰もいないところへ。
振り向く通行人の視線が恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
ど、どうしてこうなっちゃったんだぁ~~~!?
残された不良のリーダーは、立ち尽くしながら、タケルの後姿を呆然と眺め、呟いた。
「かわいい……」
●魔法少女大逃走
「|魔法少女現象《プエラマギカ・フェノメノン》が発生したよ」
集まった√能力者達に、|雨深《あまみ》・|希海《のあ》(星繋ぐ剣・h00017)が告げた。
魔法少女現象とは、√マスクド・ヒーローで発生している、少年少女が突然『魔法少女』に覚醒してしまうという、不思議な現象である。
「魔法少女になると、魔法が使えるようになるみたいなんだけど、問題はその後なんだ」
希海が淡々と告げる。
「魔法少女は、その心を狙う怪物『デザイアモンスター』に襲われてしまう」
謎の怪物、デザイアモンスター。それが魔法少女を狙う明確な理由はわからない。だが、覚醒間もない、何も知らない少年少女が危険に晒されてしまうということだけは事実である。
「これまでは『ロボトロン』っていうロボットがやってきて、そのデザイアモンスターを退治してくれてたんだって。けど、最近は魔法少女に覚醒する人の数が多くなりすぎて、ロボトロンの手が回らなくなってきたみたいなんだ」
だから、と、改めて希海は√能力者達を見る。
「みんなも、力を貸してあげてほしい」
今回希海が予知したのは、|美琴《ミコト》・タケルという14歳の少年だ。
いつも喧嘩ばかりしている素行の悪い少年だが、正義の心を持ち、男の中の男を目指すという目標を持っている。
「そんなタケルが魔法少女に覚醒しちゃう」
希海が言うには、凄く良く似合ってて可愛いらしい。
「それでね、タケルは今パニックになって、街中を走り回ってるんだ」
人目につかない場所を探しているんだろうが、かえって目立つ結果となっているようだ。
「デザイアモンスターはまだ出てきてないみたい。だから、皆にはタケルを追いかけて、一足先に合流して欲しいんだ」
タケルの姿は目立つので、探さなくてもすぐに見つかるだろう。
「ただ、普通に追いかけるだけだと、タケルも全速力で逃げちゃうから、ちょっと工夫が必要だろうね」
例えばタケルに見られないようにするとか、タケルが警戒しない姿になるとか、あるいは逆に、タケルがバテるまで全力で追いかけ続けるか……。
「やり方は皆に任せるよ」
そしてタケルと合流が出来たなら、次はデザイアモンスターを迎え撃つ番だ。
「タケルは魔法少女になってるけど、戦い方も何も分かってない。だから、出来る限り守ってあげてくれないかな」
ロボトロンのジロウはこう言った。
――例え魔法に目覚めたって、あの子達はまだ子供なんだから、守らなくちゃ!
その思いにも、応えてやりたい。希海はそう思ったのだ。
「だからみんな、よろしくね」
そう言い、希海は√能力者達を見送るのであった。
これまでのお話
第1章 日常 『町の人混みを走る』
「コスプレ?」
「怪人?」
「それにしては、かわいい……」
すれ違う人の声が心に刺さる。視線がザクザク集中している。
顔は火が出そうなほど熱くて、こんなのオレじゃねぇ〜〜っ、と心の中で叫んでいた。
とにかくどこでもいい、人の目につかないところに、逃げなきゃ……!
そんなタケルの後を追い、√能力者達も走る。
魔法少女になってしまった少年を助けるために!
「お、男の子が魔法少女に!?」
|架間《かざま》・透空《とあ》(|天駆翔姫《ハイぺリヨン》・h07138)は、その報告を聞いてびっくりする。
魔法少女といえば、その言葉の通り少女のはずなのだが、美琴・タケルは男の子である。
とはいえ、今は男女平等の時代。
「……そういうこともありますよね、きっと」
と、納得しつつ、透空はタケルの元へと急ぐ。
魔法少女は、その心をデザイアモンスターが狙ってくるという。魔法少女へと覚醒したタケルに、いつそれが襲い掛かってくるのかわかったものではないのだ。
「デザイアモンスターさんに襲われてしまったら後の祭りなんです!」
使命感を胸に、透空が駆ける。
「絶対助けてみせます! その為にも!」
その言葉とともに、じわりと空気が変わり始める。
「──決戦気象兵器、起動!」
天色管理機構「ハイぺリヨン」によって、突如として街が白く霞み始めた。
「な、なんだ……?」
「何にも見えない!」
発生した局地的な濃霧は、人々の視界を奪うほど。自然とタケルへ向けられる視線は失われたが、同時に涙目だったタケルも若干の混乱をしている様子であった。
「は? え?」
タケルは周囲をキョロキョロと見渡す。
先程まであった、あんなにまで突き刺さるように感じた視線が、今や霧にすべて隠れてしまっている。それにようやく気が付いたタケルは、大きなため息をついた。
「……はぁ」
周囲の人々は混乱しているが、タケルにとってはかえって落ち着きを取り戻せる環境だった。ずっと走り続けていた足を止めて、改めて自分の服装を見る。
ブローチのついた大きなリボン、ふりふりのスカート、ピンク色の生地……。
「こ、こんな可愛い服……なんでオレが……」
改めて赤面してしまう。こんなのを知り合いに見られたらなんて言われるかと考えれば、顔から火が出てしまいそうだった。
だが、落ち着いたこともあって、タケルの思考はまだマシになっている。
「い、今のうちにどっか隠れねーと……!」
と、隠れられる所を考え始めた。
そんなタケルの元へ、透空が走る。この濃霧の中ならば、タケルにも気付かれないだろう。
「よし、追いつきました……!」
透空は霧の奥に、フリフリの衣装を、身体を捻ったりして確認しているタケルを見つける。
このまま見守りながら追い続けていれば、デザイアモンスターを迎え撃つことも出来るだろう。
透空は霧の中で、じっとその時を待つのであった。
霧が晴れ始めた。
√能力者が生み出した霧のおかげで一時的に周囲の視線から守られたタケルは、少しずつ落ち着きを取り戻していた。
冷静になれば、色々と考えることも出来る。だからタケルはようやく、彼のためにやってきた者に気付くことが出来た。
「……さぁ、こちらです!」
その声の主は|川西《かわにし》・エミリー(|晴空に響き渡る歌劇《フォーミダブル・レヴュー》・h04862)。彼女は今、空中を滑るように飛び回りながら、黄金の光を振りまいている。
「怪人? いや、それにしては」
「ヒーロー?」
そんな声が周辺から囁かれる。もはや人々の視線はタケルではなく、エミリーへと向かっていた。
「タケルさん、今はただ、前だけを見て走ってください!」
そんな存在感を振りまくエミリーが、タケルという名を呼んだ。周りの人達には何だかわからない。けど、タケル本人だけには、ちゃんと届いたのだ。
「な、なんかよくわかんねーけど……!」
タケルは人混みをかき分けて、エミリーの告げた先……路地裏へと逃げ込んでいった。
その姿を空から見届けて、エミリーは思う。
(「可愛い……その言葉が彼を傷つけるなら、わたしたちが盾になりましょう」)
「はぁ、はぁ、はぁ……」
息をきらしつつも、タケルはようやく人心地がつけたようだった。
路地裏の暗がりでは人の目もない。パニックを起こしていた心身状態も、完全に落ち着くだろう。
「お疲れさまでした」
「ひゃっ!?」
タケルが可愛い声を上げる。路地裏には先程まで非常に目立っていて、そしてタケルに助言をくれた少女、エミリーが立っていたのだ。
エミリーもまた、タケルが皆の視界から完全に消えたところを見計らって√能力を解除し、タケルの元へと合流したのだ。
「さ、さっきはありがとな……」
スカートをおさえてもじもじするタケル。とにかく魔法少女の格好が恥ずかしくて仕方ない様子である。
エミリーはタケルの俺に首を振り、気にしないでと返す。それよりも、伝えたいことがあるのだ。
「恥ずかしいですか?」
「そ、そりゃ……!」
当然だとばかりに反論しようとしたタケルに、エミリーが制止する。
「でも、勇ましい男の子が女の子の格好をするのは……なにもおかしくないですよ」
「え?」
タケルがポカンと口を開ける。
「古事記にもそう書いてあります」
「そ、そう、なの……か??」
実際そうである。
説得力のある言葉によって、タケルの中に『今の格好も悪くないかも』……なんて気持ちが頭の片隅に浮かび始めていた。
「い、いやいやいや!」
その気持ちを振り払おうとするタケル。惜しい。
そんな茶番の中、エミリーは冷静に呟いた。
「さて、来ましたね」
エミリーの視線の先にいたのは、デザイアモンスター。
タケルを狙う、怪物であった。
第2章 集団戦 『デザイアモンスター』
現れたデザイアモンスターに、タケルは身構えた。
「なんだあれ……!?」
そして、直感する。あれが自分を狙ってきた怪物なのだ、と。
「ふはははっ、その通り!」
デザイアモンスターの奥から、謎の声が響く。
「君の心は、このデザイアモンスターが頂く!」
「誰だ、出てこい!」
タケルが叫ぶが、その声の主は姿を表そうとせず、一方的に言葉を投げかける。
「逃げても無駄だぞ! そいつはかわい~いものを追い続ける性質を持っているのだから!」
魔法少女姿のタケルは、その条件にバッチリ当てはまってしまう。
しかも、本来デザイアモンスターが狙う魔法少女の心もある以上、この戦場において一番狙われやすいのはタケルを置いて他にはいない。
タケルを逃がしても、デザイアモンスターは√能力者を放ってタケルのもとへ向かってしまうだろう。
それに、タケルも逃げる気はなさそうだ。
「おいっ! オレにも戦わせてくれっ!」
そうは言うものの、タケルにはまだ魔法の力は覚醒していない。
衣装だけは早めに覚醒したタケルならば、ひょっとしたら戦いの中で新たな覚醒を見せる可能性もあるが……?
一緒に戦うか、それとも戦わせずに守るか。
その選択は、これから先の戦いにも関わってくるだろう。
判断は√能力者に委ねられた。
「はははっ! 魔法少女くん、覚悟!」
声に従い、デザイアモンスターが襲い掛かる。路地裏に転がっていたゴミや小石などに黒いオーラが纏わりついて、空中にふわりと浮いた。
「来い悪党!」
「た、タケルさん!? 危ないですよ!」
威勢よく啖呵を切るタケルに透空は慌てて前に出る。
魔法少女になったばかりのタケルには、まだ満足に戦う力はない。それでも、状況からしてタケルを逃がすことは困難だった。
「……仕方ありません!」
決戦気象兵器を空中できらめかせ、透空が力強く言った。
「一緒に戦いましょう、タケルさん!」
その言葉にタケルの顔が明るくなる。だが、透空は忠告する。
「でも、無理は禁物ですよ。危ない、と思った時には既に手遅れなんですから!」
「わかった! よぉし!」
タケルがぱしっと腕を叩いた。力はなくても戦い方の勘は掴めている。いつもの通り、喧嘩の要領だ。
そう思ったのも束の間だった。
「ひゃぇっ……!?」
すぅーっと足元を通り抜ける風に、タケルが情けない声を上げた。
そう、ここでようやく思い出す。
タケルは今、魔法少女の格好をしているのだ、と。
「~~~~っ!」
ぼっ、とタケルの顔がみるみる真っ赤に染まった。
いつものように脚を大きく開けば、さらにスカートのひらひらした頼りなさを実感してしまう。
「そんな顔も可愛いぞ、魔法少女くん!」
デザイアモンスターが操った小石をタケルへと放つ。
「うわっ……!」
タケルが目を見開き、ダメージを覚悟した。
その時、金属の板が宙を舞った。それは地面に落ちると瞬時に展開し、タケルを守る壁となる。
そのフレックスウォールを展開したのはエミリーであった。
エミリーは、まるで歌うようにタケルへと語り掛ける。
「ある古代の英雄は、最強の敵を討つため自ら美しい女装を施して敵の懐に潜り込み、見事に勝利を収めました」
「え、な、何……?」
突然のエミリーの言葉に困惑するタケル。しかしエミリーは淡々と言葉を続ける。
「今のあなたの姿は決して恥ずかしいものではありません」
「そ、そうは言っても……!」
スカートがひらひら揺れると、どうにも足元が落ち着かないのだ。何故か自然と内股になってしまっているタケルに、エミリーはぴしゃりと告げる。
「それは強敵を討つために纏う英雄の戦装束」
「……い、いくさしょうぞく……!!」
どくんとタケルの心臓が跳ねた。
これが、この恥ずかしい格好が戦装束?
それも、英雄の?
そんな戸惑いと高揚感がない混ぜになったような表情をするタケルに、エミリーはぐっと頷いた。
「勇気とは格好に左右されるものではなく、その心に宿る覚悟を指すのだと、私は信じています」
「……!!」
そして、エミリーは手鏡でタケルの姿を映す。
「あなたの|英雄《ヒーロー》の力、見せてくれませんか?」
そこには、エミリーの言葉を受けて堂々とした態度で立つ、可愛らしい魔法少女の姿が映っていた。
(「か、可愛い……」)
思わずそう思ってしまった。それがきっかけとなった。
「何をやっているっ!」
声と共に、デザイアモンスターがフレックスウォールを吹き飛ばし、タケルへ迫る。
「させませんよっ!」
透空がすかさず『曇』を発生させた。タケルの身体はインビジブルと入れ替わり、雷を帯びたインビジブルがデザイアモンスターを痺れさせる。
「タケルさんにオイタする悪いモンスターさんには、ビリビリでおしおきです!」
透空が叫ぶ。そんなビリビリしているデザイアモンスターの頭上に、力強く拳を握ったタケルの姿があった。
「かわいいは、正義です」
エミリーは力強くタケルに言った。
「正義は、勝ちます!」
ごすっ! とタケルの拳がデザイアモンスターを殴りつけた。
相変わらず√能力の使えないタケルの攻撃は、デザイアモンスターにとってはあまり痛くはない。だが、エミリーの『|語り継がれる朗唱《レチタティーヴォ》』によって主人公となったタケルの動きは、洗練され、√能力者達の戦いを大きく支援する。
「わたしが全力で支えますから、思い切りやってください!」
「あぁっ!」
エミリーの言葉に、タケルの蹴りがデザイアモンスターに炸裂した。
「ま、まずいっ!」
声が焦った声を上げた瞬間、デザイアモンスターがぐらりと揺れた。そこに、透空の決戦期初兵器『ハイペリヨン』からレーザーが放たれる。
「避けろっ!」
ウォーターカッターの如き一射をかろうじて避けるデザイアモンスター。だが、透空は続けてレーザーを発射する。正確無比な射撃は、AIによる情報支援の賜物だ。
「タケルさん、サポートします!」
透空の言葉に頷いたタケルが駆ける。デザイアモンスターの腹部、謎の輝きを放つ『核』のような場所へ!
「てぇぇえいっ!!」
タケルの拳と、透空のレーザーが同時にデザイアモンスターを貫き、吹き飛ばした。
「ふんっ!」
可愛く、格好良い。まさにタケルの姿は|英雄《ヒーロー》であった。
「ははっ、やったぜ!」
√能力者達の助けを得て、タケルはデザイアモンスターを殴り飛ばした。
英雄の戦装束という言葉に乗せられて、正義という言葉で自信が付いた。
まだ魔法の覚醒というには程遠い、か弱いパワーだったが、その自信はきっと、彼の魔法少女としての才能を開花させてくれるだろう。
その為には……まずデザイアモンスターを退治しなくては。
「真打じゃないけど、助太刀します……なんてね」
そこに現れたのは|霧島《きりしま》・|光希《こうき》(ひとりと一騎の冒険少年・h01623)。
二振りの詠唱錬成剣を持ち、武骨な兜で顔を隠した少年が、|影の騎士《シャドウナイト》とともに歩み出る。
「――やるぞ、|影の騎士《シャドウナイト》」
光希が静かに言うと二人はデザイアモンスターに構える。その時。
「……ほぁっ……!!」
「……え?」
タケルが変な声を上げた。
「か、かか、かっけー……!!」
光希のクールな様子に、目をキラキラ輝かせて震えていたのだ。
魔法少女の格好でそんな表情をされると、それもまた可愛いのだが、ともかく。
「……え、えぇと」
光希が戸惑う。正直個人的には悪くない服装だと思っていたが、本人が嫌だと言っているなら触れないでおこうと思っていた。が。
「オレも、そういうカッコいい感じで戦いてぇ……!」
これは……どっちだ?
僅かに悩んで、光希は口を開く。
「そ、その格好も良いと思うよ?」
「そ、そうかな?」
チョロい。
「と、ともかく……」
改めて光希はデザイアモンスターに向き直る。ここからは完全に集中だ。
タケルは戦えるようになっているとはいえ、補助があってのこと。欲望のオーラを増幅させたデザイアモンスターには、短期決戦が重要となる。
(「――やるか」)
ここは光希が一気に仕掛ける――。光希は影の騎士とともに一気に駆けた。
二人並んで足並みを揃え、光希が右から斬撃を放ち、切っ先から属性弾の早撃ちをかければ、続けて影の騎士が左から大剣を振るう。
「はははっ! 無駄無駄!」
デザイアモンスターを操る声はそう言うが、怒涛の連続攻撃にデザイアモンスターはみるみる押されてゆく。
(「回復する前に、仕留めてしまえば済むことだ」)
影の騎士の大振りの一撃に吹き飛ばされたデザイアモンスターに、光希と影の騎士が同時に跳ねる。同時に振り下ろされた防御無視の一撃が、さらなる追撃となった。
制限時間は10分――。だが、この怒涛の連撃と、残る√能力者達の追撃さえあれば、撃破は難しい話ではないだろう。
光希はその時まで、絶えず刃を振るう――!