ベルナデッタ・ドラクロワさんへ、宿敵のご提案
しくじった、と若い冒険者は思った。何度も様々なダンジョンに赴き、モンスターを倒したことで自信がついて、普段よりも難易度の高いダンジョンに挑戦したのだ。
けれどトラップにかかった青年は、じくじくと痛む脚を支えながら目の前のモンスターの集団へと武器を向ける。このままでは死んでしまう――そう確信した時のこと。
「僕の力を貸そう」
どこからともなく聞こえた声。すると力が溢れ、身体の動きが軽くなる。驚きながらも武器を振るい、無事にモンスターを倒した冒険者は思う。
――まだだ、俺はまだ出来る。この力があれば、どんな敵にも立ち向かえる。
怪我の痛みも忘れて、彼は次のモンスターを探す。そうして暴れ続けて消耗していく冒険者を見て、王子様は悲しんだ。
「ああ、そんな……」
助けてあげなければ。手にした鈍色の剣が、若者のいのちを終わらせようとしていた。
すこしでも痛みのないよう、一瞬で。
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名前:慈嘆の麗刃『プロン』
性別:男
種別:ボス敵
種族:ダンジョンモンスター
◆仔細設定
くすんだ金髪に熔けてしまった昏い青の片眼を持つ王子様然とした、穏やかな表情の青年。
元はとあるちいさな街に存在した美しい王子の像。街の人々の想いが膨大な魔力となって像に閉じ込められていた。強国同士の戦火に巻き込まれ、街を守るためにと炎に溶かされ強大な力を持つ剣として形を変える。意志持つ剣は勇士と共に闘い続けたが、親友である燕が街の人々と共に死んだことで核である鉛の心臓が壊れたと同時、人の身を得る。
廃墟となった愛しい街のことを忘れ、大切な友や守るべき人々を忘れ、ダンジョンモンスターとして彷徨っている。
困っている者を見つけると助けてあげなければ、と自分なりに助けようとする。ただし力を分け与える際、同時に膨大な魔力を注ぐせいか常人には耐えられない。
もしその対象が死にかけていれば、優しさから最期は自分が、と刃を振るう。
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『君に力を』
自身の【鈍色の鋭剣】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【魔力暴走】を付与する【分かち合いし聖なる剣】に変形する。
元√能力【戦闘錬金術(プロエリウム・アルケミア)】
SPD No.4203
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『君の友に』
半径レベルm内のインビジブル(どこにでもいる)を集合or退散させる【まがいものの燕】を創造する。集合の[まがいものの燕]を貼った武器は【ルビー色の豪槍】に変形し、威力が3倍になる。退散の[まがいものの燕]は【サファイア色の涙雨】を放ち、範囲内の術者以外全員の√能力の威力を低下させる。
元√能力【軍警霊令符(ぐんけいれいれいふ)】
POW No.7203
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『君を救う』
【純金を纏い見目麗しくもおそろしい姿】を備え、【人々を狂わせる膨大な魔力】を無尽蔵に放出する【すべてを分け与える幸福の王子】に変異する。[人々を狂わせる膨大な魔力]が命中した対象は思考操作され、10%の確率で命令に従うようになる(最大60%まで累積)。[すべてを分け与える幸福の王子]は死ぬまで解除できない。
元√能力【慈しみ深き……】
SPD No.3106
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ご依頼ありがとうございます。既に決まっている内容から、壊れてしまった「幸福の王子」としての存在を重視してみました。
二度と戻らない大切なものを忘れて、それでも誰かに尽くそうとするやさしさが肥大化している印象です。
容姿はベルナデッタさんが見た時にすぐに誰なのかわかる、穏やかで優しい顔立ちをしていると思います。同時に、片目は無くなってしまっているのでしょう。
下手にやさしさが残っているせいで、本人のなかでは良心に従った正義の行動を成していると思っているかもしれません。
採用の有無、アレンジなどご自由にどうぞ。
アイデアのきっかけになれば幸いです。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴 成功