清水音羽事務所:試験報告書(アキ・サクラ)
アキ・サクラの試験報告について
斯波 紫遠
To:清水音羽事務所 社長
[試験報告書(アキ・サクラ).pdf][試験映像(アキ・サクラ).zip]
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清水音羽事務所
社長
お疲れ様です。
表題の件、データを送ります。
ご確認をよろしくお願いします。
斯波 紫遠
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[試験報告書(アキ・サクラ).pdf]
◯年◯月◯日
【アキ・サクラの戦闘スタイルと傾向に関する試験結果報告】
斯波 紫遠
標題の件につき、下記のとおりご報告いたします。
対象:アキ・サクラ
内容:戦闘スタイルの確認や傾向の分析
時期:◯年◯月◯日(◯)
場所:◯県◯市◯XXXX
担当:斯波 紫遠
分析:アシスタントAI Iris
(以下、アリスさんと表記)
<試験の目的>
事務所入社にあたり、本人の自己申告を元に実際に手合わせをしてズレがないかを確認する。
その傾向をアリスさんが分析し、今後割り当てる依頼の適正化を図る。
<入社時の申告内容>
・使用可能武器は精霊銃とハチェットのみ。
ボードで距離を取り、援護射撃を主軸に戦う。
ハチェットは撤退時のサポートとして活用。
・重力を状況に応じて操作することを得意とし、魔法も使用可能。
例1)自身の重力を操作することで大きく跳躍。
例2)別の対象にかかる重力を操作し行動阻害。
・ローリスク、ハイリターンを心掛けている。
<試験結果>
戦闘スタイルについては概ね申告と相違無し。
援護射撃を主軸にしている一方、協力相手との関係性により発揮出来るパフォーマンスに差をきたす懸念がある。
単独での戦闘も十分に適正があるため、依頼内容により単身で任せる検討も必要だと考えられる。
1)戦闘スタイル
接近を許してもボードで適切な距離を取ってから魔弾を射出する。
狙いは悪くなく、気配を消して潜伏するとなかなか暴けない。
生み出す霧は肌がぴりぴりとして、何らかの効果を持っているようで、それと共に分身が現れた。
試験後のヒアリングでは、霧には腐食の効果があり、分身は実体を持った幻影で、戦闘力を高めたり身代わりに使えるとのこと。
乱入してきた怪異ごと麻痺したように動けなくなったのは重力操作によるものか。
優先して怪異を射抜くという判断にも優れている。
自ら仕掛けて動き回る戦いはせず、敵の行動に対処するという戦いであった。
2)戦闘を踏まえたアリスさんによる分析
理論より感覚で動く。
馴れ馴れしく軽薄な振る舞いは、そのような性格というだけでなく、相手を探る意図を感じる。
敵の行動に対処する戦い方をすることで、少ない労力でイニシアチブを取ろうとし、多くの成果を得ようとする。
それだけならば緻密な作戦を元にした戦いのようだが、ブラフを受けた咄嗟の行動に見る表情などの変化から、根は負けず嫌いで好戦的と推察。
自身の感情の機微すら面倒などの理由から、いかなる時であってもより楽をして過ごしたいのだろう。
このことから、複数人で赴くような依頼ではルールで細かく縛り上げず、フォローをアキ・サクラの感覚に任せるタイプの人物と協力させるのを推奨する。
但し、日常的な交流により信頼関係を築いていれば、その限りでは無いと思われる。
<課題と展望>
常日頃から事務所内でのびのびと過ごさせることが、アキ・サクラの能力を高めることに繋がると思われる。
しかし、明るかったり干渉し過ぎない社員との相性は悪くなさそうだが、物静かで内向的だったり真面目な社員とは、誤解による確執が生まれないとも限らない。
社員それぞれの雰囲気に慣れるまで、よく見守る必要がありそうだ。
<参考資料>
・試験映像(アキ・サクラ)
撮影:煙雨 場面毎の抜粋編集:アリスさん
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『──弓矢による戦闘映像について、送信データから除外しています。報告書にも記載が見受けられませんが、秘匿するつもりですか?』
傍らに置いたタブレットから流暢な声が鳴った。
最終チェックを終えて背筋を伸ばす男性は、眼鏡を外してシガレットケースへ手を伸ばす。一本取り出すとジッポライターのホイールを親指で回し、フリントに火花が散り火が灯る。
「僕は無理矢理見せてもらったけど、あの悔しそうな、嫌そうな顔見たらさ……。そのうちアキくんから言うでしょ。それが事務所の脅威にでもなったら、僕が責任持つよ」
『全く……』
パソコン画面のカーソルがメールの送信ボタンの上へ滑り、皆が帰宅した事務所にクリック音が微かに響いた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴 成功