降り注ぐ街の涙にハンカチを
●PM12:10 某県 県庁所在地
ここは√EDENの至って普通のオフィス街。
時刻は昼時。休憩時間を迎えたサラリーマン達が一時の憩いを求めて街に繰り出し、町並みがにわかに騒がしくなる頃に、それは起こった。
最初に聞こえたのは透明感のある破壊音。
それは幾度にもわたって響き渡り、そして透明感を伴ったまま降り注ぐ。
それがオフィスビルのガラス窓が立て続けに割れ、地表に降り注いでいるのだと歩行者達が気付いた時。
「に、逃げろおおおお!」
「きゃああああああ!!」
「うわああああああああああ!」
透明な破壊は、それ以上の喧騒によってかき消された。
●AM7:07 七つの楽園亭食堂
「おはようございます! 本日の天気は晴天。ところによりガラスの雨が降るでしょう⋯⋯って、呑気な事言ってる場合じゃなくって!」
ビシッとセルフツッコミを入れつつ軽食と麦茶の入ったグラスを配るという器用な立ち回りを見せるのは太曜・なのか(彼女は太陽なのか・h02984)。
彼女はこの宿屋兼食堂『七つの楽園亭』の看板娘にして新米の星詠みである。
そして、なのかは集まった全員にグラスが行き渡った事を確認し、君たちに向き直ると。
「改めまして、七つの楽園亭にようこそ。私の予報によると、事件が起こるのは√EDENのオフィス街。突然街中のガラス窓が割れたりして大パニックになるみたいなんです!」
そう言うと、なのかはテーブルの上に広げられた某県の県庁所在地の地図に赤ペンでグルっと円を描く。
どうやらその赤丸で囲われた区画が、今回の事件が起こる範囲という事なのだろう。
「幸いこの事件で怪我人が出ることはないようなんですが、破壊活動をした暴走インビジブルの群れはここに留まって暴れ続けるらしいんです。どんな思惑で暴れてるかは分からないですけど、皆さんにはこいつらを退治して、あわよくば事件の真相を解き明かしてほしいんです!」
鼻息荒くなのかは言い切り、横においていた自分用のグラスをあおった。
そしてむせた。
「ぇえ゛っほ! げほ! ごほ! ⋯⋯失礼しました。えー、どうやらこの事件は秘密結社プラグマの怪人が手引しているらしい、というのが私の予報です。ですが残念ながら、予報は絶対の予言ではありません。思わぬ強敵との戦いも視野に入れて、皆さんは万全の準備の上で臨んでください」
自身の予知を予報と称する彼女の脳裏には、予知の中に見えた不穏な影が焼き付いているようだ。
しかし暗い顔をお客様に見せないのがモットー。太陽のような明るい笑顔を浮かべ、なのかは君たちを送り出した。
「それでは、いってらっしゃい! あ、よければ祝勝会はうちを使ってくださいね! 腕によりをかけてお料理しちゃいますから!」
●???
悲鳴、悲鳴、悲鳴。
尚も鳴り響く破壊音。
逃げ惑う人々を横目に、ひたすらにオフィスビルに齧り付く暴走インビジブル達。
「ふぅん。幸先は上々、ですかね」
「うふふ、いい仕事でしたわ。後は私が⋯⋯」
そして、静かに微笑みながらそれを見下ろす謎の影。
彼らが何を思い、何を企てているのか。
それはまだ、誰も知る由もない。
マスターより

MSのNaranjiと申します。
はじめましての方ははじめまして。
第六猟兵よりご贔屓にしてくださっているお客様はお久しぶりです。
特撮大好きMSのNaranjiと申します。
まだ生きていました。どうぞ今作でもよろしくお願いいたします。
さて、この度のシナリオは街で起こる謎の破壊事件に駆けつける所からスタートいたします。
第1章では一般人の目には見えない暴走インビジブルとの戦闘。
第2章は第1章での皆様のプレイングやその結果により変化いたしますが、どちらも戦闘フレーム。
そして第3章は今回の事件の黒幕、いわゆる御当番怪人との決戦、という流れになっております。
お察しの通り、最初から最後まで戦闘たっぷりクライマックスなシナリオです。
とにかく戦いたいという脳き⋯⋯ベテラン√能力者様にも、戦闘の実践経験を積みたいという新米√能力者様にも楽しんでいただける内容にしたいと思います。
それでは皆さまの闘志と希望にあふれたプレイングをお待ちしております!
17
第1章 集団戦 『暴走インビジブルの群れ』

POW
ブルータルファング
【赤い霊気】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【インビジブルの牙】」が使用可能になる。
【赤い霊気】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【インビジブルの牙】」が使用可能になる。
SPD
トランススイム
【無数のインビジブルによる突撃】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【近接攻撃】に対する抵抗力を10分の1にする。
【無数のインビジブルによる突撃】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【近接攻撃】に対する抵抗力を10分の1にする。
WIZ
ポリューションレッド
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【赤き汚染】を、同時にレベル個まで具現化できる。
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【赤き汚染】を、同時にレベル個まで具現化できる。
√EDEN 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

(ガラスを割るだけで終わるとは思えない。きっとまだ、次がある筈だ)
まずは暴走したインビジブルを倒す必要があるけど
気を付けて戦おう
初撃はインビジブルが集まっている箇所に向けて紫電の弾丸を撃ち込み、範囲攻撃をしながら味方を強化
以降は弾道計算+レーザー射撃で弱った敵に止めを刺していくよ
トランススイムの突撃は見切りで回避を試み、ダッシュで懐に飛び込んで居合で近接攻撃
お互いに近接攻撃への抵抗力が下がってるから、やられる前にやることを意識するよ
戦いながら周辺の警戒も怠らない
混乱を起こしてから何かをするつもりなら何処かで見ているだろうし
行動を起こされたら即対応できるように構えておくよ
※アドリブ、連携歓迎です

むむむ、人がいる時間と場所で破壊活動なんて、なかなか大胆なことをしてくるよね!結構作戦に自信があったりするのかなー?これはちゃんと気を引き締めないとだね。張り切っていこー!
いきなり範囲攻撃ぶっ放す!といきたいけど、ちょっとでも多く巻き込むために、目立つように敵の動きを観察!襲ってきたら敵をたくさん引っ張れるように逃げるよ!
そして、結構たくさん敵を巻き込めそうなところで【霊雪叫襲ホーンテッドスコール】やっちゃおう!
多分出てくる撃ち漏らしは地道に殴るよ!
この暴走インビジブル達はビルに何かこだわりがあるのかなー?これも何かの作戦なのかなー?
●冷静な紫電と熱い氷雪
PM12:40。
尚も絶え間なく破壊音が響くオフィス街。突然の破壊―不可視の怪物の襲撃が始まってから早30分。
つい先程まで街中を闊歩していたサラリーマン達の姿はどこにもなく、そこは人々の生活の匂いを残したままに廃墟に成り果てつつあった。
「むむむ、人がいる時間と場所で破壊活動なんて、なかなか大胆なことをしてくるよね! 結構作戦に自信があったりするのかなー?」
そんな街に喧しく響く声。
声の正体は雪月・らぴか (えええっ!私が√能力者!?・h00312)。√EDEN出身のゴーストトーカーである。
ずんずんと威勢よく街に立ち入るらぴかの後方では、√ウォーゾーン製のストライドスーツを纏った学徒動員兵―クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)もまた、慎重に上空を注視している。
(ガラスを割るだけで終わるとは思えない。きっとまだ、次がある筈だ)
クラウスも同行者と同様に、インビジブル達の暴動の裏に隠された悪意を感じ取っていた。
しかし、それを追求するのは後だ。
まずは眼の前の戦いに集中すべきと自身を律し、クラウスは愛用の拳銃を握りしめる。
「うん。ちゃんと気を引き締めないと、だよね。よしっ張り切っていこー!」
そしてらぴかの勇ましい号令が戦いの火蓋を切った。
最初に動いたのはクラウス。
彼の愛銃から放たれた弾丸が拳銃を遥かに上回る飛距離を駆け抜けて、暴走インビジブルの一体を穿つ。
更に初撃はそれだけにとどまらず、直撃した弾丸はスパークを発し、空の一角に紫電の感電領域を形成した。
「キュロロロロロロ!?」
不意の一撃を受け、黒焦げになり地に落ちていくインビジブル達。
幸運なことに感電領域の外にいた者たちもビルを襲う事をやめ、驚愕に辺りを見回している。
そして敵対者の襲来を理解したインビジブルは、次々にその魚類型の体をしならせながら地上に向けて捨て身の勢いで殺到し始めた。
「おっと、次の相手は私。鬼さんこちらー!!」
そんなインビジブルの前に割り込んだのはらぴかだ。
敢えて挑発するように腕を広げて大声を上げる。そして思惑通り敵軍が自分という生き餌に食いついたことを確認すると、らぴかは急いで回れ右。一目散にその場から駆け出した。
クラウスとらぴかの作戦は共に範囲攻撃による殲滅。
その上で彼女は敢えてインビジブルの標的になることで、敵の群れを密集させ、より効率的に数を刈り取ろうと考えたのだ。
しかし地を駆ける人の脚と空を泳ぐ魚との間には当然ながら明確な速度の差があり、ビルを食い破る凶悪な魚群の牙が、らぴかへと徐々に迫ってくる。
「そこだっ!」
しかし、その牙は不意に横から飛来したレーザーによって焼き砕かれる。
クラウスのレーザーによる援護射撃だ。
「あっぶなー!? でもいい感じに集まった!」
一方のらぴかも、ただ追われていたわけではない。
背後に迫っていたインビジブルは既に10匹近く。そして彼女の√能力の射程範囲は自身を中心に半径22m。
追う者と追われる者の立場が、今まさにひっくり返ろうとしていた。
「本日の天気は本日の天気はところによりガラスの雨! 午後からは霊と雪が降ってぇ、風が強いでしょー!!」
星詠みから引き継ぐ形で唱えるのは、世も末な天気予報。
しかしその予報はインビジブルにとっては不運なことに的中し。
「ギョルルルルゥゥウウウウウウ!!」
哀れな魚の群れを、絶叫を上げる死霊の群れと氷塊の如き雪の礫が次々と打ち据えていくのであった。
「まずは第一波は凌いだね。でも敵はまだまだいる。気を付けて」
「ふう、ありがと。ナイスサポートだったよ」
肩で息をするらぴかに歩み寄るクラウス。
労いの言葉をかけつつも、彼の五感は今なお冷静に周囲に向けられていた。
(俺達が戦い始めてから、どこからか視線を感じる⋯⋯これは)
「上から?」
そういって上空に目を向けるも、そこにいるのは変わらず暴走インビジブルの群れ。
中にはこちらに突撃をしようと構えを取る一団も見受けられ、クラウスは再び警戒の対象を眼の前の敵に切り替える。
「俺の√能力であなたにも電撃の力を付与してある。もし接近戦に持ち込まれても、女性の腕力でもある程度は戦えるはずだよ」
「重ね重ねありがとねー。でも大丈夫! 私には最終手段らぴかふぃすとがあるから。つまり鬼に金棒をくれたってわけ!」
力こぶを見せつけるようなポーズに快活な笑みを添えて、らぴかはクラウスに頷き返した。
「さあ、第二ラウンド開始だよー!」
「⋯⋯しまっていこう」
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

(最初から√能力使用)
怨敵の作戦か。全て蹴散らしてくれる!
だが、今回は動きが妙だ
建物を狙っている?
...建物から市民を遠ざけて何をするつもりだ?
いや、今は市民の安全の確保だ
スターヴィークルで移動しつつダッシュ力とジャンプ力を駆使してイニクイタスハンドでヒット&アウェイし暴走インビジブルを撃破する
纏まっているならバスターソードブレイザーでなぎ払う!
後は暴走インビジブルの行動、周りを観察、何が目的か調べてみるか
あるとするなら、予知の予想として市民を建物から遠ざけて何かを仕込むか、盗むかくらいしか分からんな
いや、それをする前に想定外の速度を持って敵を目的ごと粉砕してやる!
組織潰すべし!慈悲はない!

アドリブ連携◎
インビジブルの暴走ですって…?
それはいけないわ、すぐに止めにいきましょう。
数が多いなら、こちらも数で対抗しなきゃ。
逃げる人たちとインビジブルの間に割って入って、√能力を発動。
私の『ザフィロ』を起動して「レーザー射撃」をインビジブルに向けて「一斉発射」するわ。レーザーは広域に広げて、バリアのように展開するわ。
…本当は逃げる人たちをまとめて護れたらいいのだけど、今の私にはそこまでの力はない。ならばせめて、彼らが逃げ切るだけの時間を稼がないと!
それにしても、敵は何故こんな事を…?
ガラスを割ってインビジブルを暴走させる…十分恐ろしいやり口だわ。
…でも何か引っ掛かるわね、警戒しなきゃ。
●天駆と慈雨
尚も戦いが続くオフィス街。
「怨敵の作戦か。全て蹴散らしてくれる!」
そこへヴィークルの駆動音を高らかに、駆けつけたのは朝霧・アキラ(ヴィランスレイヤー・h03724)。
√マスクドヒーローよりやってきた彼は生粋のヒーローであり、悪を許さぬ熱い正義の心の持ち主だ。
「だが、今回は動きが妙だ。建物を狙っている? 」
ヘルメット越しに空を我が物顔で飛び回る暴走インビジブル達を見上げるアキラ。
日々プラグマの悪意に立ち向かっている賜物か、今回の騒動もただの破壊が目的ではない事を本能的に察知した彼は、目を細め、冷静に周囲を観察し思案を巡らせる。
(街自体は酷い状況だが、住民が襲われたような形跡はない。攻撃されているのは建物だけ? つまり⋯⋯)
「建物から、街から市民を遠ざけている!? 何をするつもりだ!」
そしてアキラは脳裏で状況と考察を繋ぎ合わせ、事件を裏で暗躍する者の狙いの一旦を導き出した。
「いや、今は市民の安全の確保だ。まだ逃げ遅れている人がいるかも知れない」
しかし考えてばかりもいられない。今こうしている間にも犠牲者が生まれてしまうかもしれないのだ。
アキラは再びトレミースターヴィークルのスロットルを引き絞り、街の中心部へ向けて猛スピードで走り出した。
「だめっ、もう走れない⋯⋯。私の事は置いていって、あなただけでも」
「できるわけ無いでしょそんなこと! 一緒に逃げるのよ!」
ビル群の隙間。大通りから裏路地に入った所を2人のOLが肩を貸し合いながら走っていた。
その内の一人はガラス片で足を負傷しているようで、道路には痛々しい傷跡から血の跡が伸びている。
ドガガガガッッシャアアアン!!
そこに突如として響く破砕音。
運悪く飛来した暴走インビジブルが、2人が差し掛かったビルへと突撃したのだ。
一般人の目にはインビジブルの姿は見えることはない。しかし今まさに自身に降り注ぐ瓦礫に、OL達は絶望に息を呑んだ。
「危ない!」
そして次に見えたのは強烈な閃光。
眼の前を横切った光の筋は、信じられないことに彼女たちの眼の前で分散し、光のネットとなって降り注ぐ瓦礫を受け止めたのだ。
閃光の主は、美しい銀髪をなびかせる少女―ファウビィ・アルメ(継の硝守・h01469)。
「希望を捨ててはだめです! さあ、早く逃げて!」
指輪型のレーザー発射装置『宝晶武装ザフィロ』を操り、受け止めた瓦礫を塵芥になるまで分解したファウビィはOL達に力強く語りかけた。
「あ、ありがとう。ほらっ、早く行くよ!」
√EDENの住人には、信じられない状況に陥ってもそれを平常と誤認し『忘れようとする力』がある。
今回もその例に漏れず、手からレーザーを放つファウビィをただの恩人とだけ認識した2人は再び肩を貸し合いながら走り始める。
「ふう、良かった。私にも、助けることが出来た」
ザフィロを納め安堵の息を漏らすファウビィ。
しかし彼女の頭上で揺蕩っていた暴走インビジブルは、当然ながら『忘れようとする力』などは持ち合わせていない。
そしてファウビィの力を脅威と判断した彼奴達は、次々に地上に向けて赤き汚染を吐き出した。
「しまった。まだ2人が逃げ切れて⋯⋯!」
このままでは爆発的に膨れ上がる禍々しく赤い汚染領域は自分だけでなく2人にまで及んでしまう。
瞬時にそう判断したファウビィは再びザフィロを掲げ、決戦気象兵器『レイン』を発動。幾筋ものレーザー光線で赤き汚染を受け止める。
「くっ⋯⋯本当はあの人達も、逃げる人たちも全員助けたい。でも今の私にはそこまでの力はない。ならばせめて、彼らが逃げ切るだけの時間を稼がないと!」
悲痛な思いでレーザー光線を放ち続けるファウビィ。
その決意の強さはインビジブルが吐き出し続ける爆発的な力を受け止めきるが、しかし押し返すまでの膂力はない。
拮抗した盤面。
ブゥオオオオオン!!
そこに遥か遠くから轟音が響き渡った。
「させるかぁ!!」
現れたのは朝霧・アキラ。
彼はヴィークルに騎乗したままオフィスビルの壁面を駆け上り大ジャンプ。赤き汚染を吐き出す暴走インビジブルの一体に、強烈な鉄拳を叩き込む。
「よく踏ん張ったね。ここからはヴィランスレイヤーに任せてくれ!」
「い、いえ。私も、まだ戦えます!」
突然の助っ人の登場に安堵しながらも、ファウビィの闘志はまだ消えてはいなかった。
同様にアキラもまた、正義の力を発揮する時が来たと言わんばかりに拳を強く握りしめ眼前に構える。
「了解。なら、一緒に戦おう!」
そしてその腕に装着されているブレスレッㇳ『トレミースターアクセプター』に勢いよく2枚のスターコインをスロットイン。
― Leo! perseus! ―
「変身!!」
高らかな掛け声と共に腕を振り上げたアキラの体に夜空の力が収束し、彼の体に雄々しき獅子と魔獣を打ち取りし英雄の神話が紡ぎ出されていく。
そしてレオペルセウスフォームに変身したアキラは、その手の内に現れたバスターソードブレイザーを勢いよく振り抜き、光刃を飛ばして密集していた暴走インビジブル達を薙ぎ払った。
「市民を街から遠ざけて何を企んでいるかは知らないが、そんなものは想定外の速度を持って敵を目的ごと粉砕してやる!」
更にファウビィが追撃に放ったレインの弾幕を足がかりに、猛獣のごとき身軽さで空に駆け上がる。
「組織潰すべし! 慈悲はない! ぜあああああああ!!」
そして裂帛の気合を込めて大上段から叩きつけた斬撃が、暴走インビジブルの体を真っ二つに両断。
一瞬遅れて巻き起こる大爆発が、絶望に覆われた街の空を希望の赤に染め上げるのであった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

アドリブ・連携歓迎
知恵ある存在の関与があり、ヒトは二の次で建造物の破壊を優先…ってことは建物の破壊が相手の狙いなのかな。
まぁ外れていようと、ビルの中にはまだ人もいるかもしれないし、崩れたら大変だ。殲滅は味方に任せて、そっちの対処をしようか。
オフィス街が見下ろせる高さまで浮上してから、活動範囲内の攻撃されてる建物に草樹の精霊が生み出した樹の種の撃ち込んでいこう。もし襲われたら逃げながら作業続行、射撃は得意だからね。逃げながらでもデカい的を外したりはしないよ。
撃ち込む種は丈夫な根の塊みたいなやつでね、急速成長して建物や破損個所を根でホールドするから倒壊しないよう構造の保持と隙間埋めが出来る感じさ。
●鳥瞰
√能力者と暴走インビジブルとの戦闘が続くオフィス街。
そこに音もなく舞い降りたのは金属製の義手を装着した天使―アレア・デフィ・ベルフレッサ(狩人「錆鷂」・h00712)。
彼はその背の歪んだ翼を広げ、ビル群を見下ろせる程の高さまで飛び上がった。
「知恵ある存在の関与があり、ヒトは二の次で建造物の破壊を優先⋯⋯ってことは建物の破壊が相手の狙いなのかな」
アレアの目的は戦いではなく、首謀者の思惑の究明。
√能力者達の戦闘が激化し始めたタイミングを見計らい活動を開始した彼は、高所から町並みを見下ろし、目を凝らす。
そして崩壊がことさら激しいビルに目星をつけると、アレアは手にした狩猟銃型の竜漿兵器から何やら植物の種子のような物を撃ち出した。
種子の弾丸は噛み砕かれたビルに命中すると、そこから樹木の根が急速に伸び、崩落しつつ窓枠をがっちりとホールドする。
アレアの予想通り敵の狙いが建物の破壊なのであれば、これにより幾らか妨害になるだろう。
「まぁ僕の想像が外れていようと、ビルの中にはまだ人もいるかもしれないし、崩れたら大変だ」
√EDENには世界へのダメージを『世界そのものが忘れようとする』法則があり、街の被害はいずれ忘却され、元に戻る。故に一見するとアレアの気遣いは意味が無いように感じられるかもしれない。
しかしこの法則にはいくつか例外もある。その一つが、生命の損失は忘却されることはないという点だ。
つい先程ビルの崩落に巻き込まれかけたOLを√能力者が救ったという事例もあるように、壊れかけた街を放置する事は、ここにまだ残っている一般人を危険に晒すことと同義なのだ。
それでなくとも、突然の建物の崩落は、下で戦っている仲間に不利な状況をもたらすかもしれない。
故に、アレアは迅速に街へと応急処置を施して回るのだった。
「ん?」
そんな冷静なアレアだからこそ、その違和感に気づく事が出来たのは、ある意味必然だったと言えよう。
それはオフィスビル群の中でも一際背の高い建物。
にも関わらず、その建物が暴走インビジブルによる“被害を一切受けていない”事を不審に思ったアレアは、ビルを観察するために更に高度を上げた。
屋上にいたのは男性と女性の2人のシルエット。
そして逃げそびれた一般人が避難しているのかと考えたアレアが、屋上に向けて羽ばたこうとした、その刹那。
「⋯⋯っ!?」
彼は、即座に翼を翻し後退した。
屋上の2人から立ち上る強烈な狂気と毒気を感じ取ったからだ。
(なにか、いる! あれが今回の事件の首謀者か)
そして単独で突入を試みるのは無謀と判断した彼は、それを仲間に伝えるために、急ぎ地上へと降下していった。
🔵🔵🔴 成功
●PM13:06 高層ビル屋上
「あら、ばれてしまったようですわ」
「暴走インビジブルの破壊と陽動に引っかからないとは、なかなか目敏いですねぇ。これは、私は撤退の準備を急いだ方が良さそうだ」
高層ビルの屋上にて語り合う2つの影。
そのうちの一人が手の中で何やら装置を起動すると、彼の背後の空間がにわかに揺らめき始める。だが、いつまで経ってもその空間の揺らぎは形を成さず、蜃気楼のようにその場に留まり続けるのみだ。
「おや? ゲート装置の動きが鈍いですね。これはもう少しここで趨勢を見極めろという天のお達しかな?」
肩をすぼめ困ったように、しかし心做しか、どこか楽しげに言ってのける男の影。
「そんな。先生を矢面に出すわけにはいきませんわ」
対してもう一人、女性の影はわずかに狼狽を見せる。
「心配には及びませんよ。それより今はあなたの儀式の方が重要です。せっかくですから、あなたの晴れ舞台を私にも見せてください」

さーて、始めよっか
どんな√でも、何が相手でも。敵は撃つ、人は守る、だよね
決戦型WZ「アームドコング」で行くよ。あっちが3倍ならこっちは4倍だ
まずは切り込む。全力跳躍して群れに突撃、ハニカムファイアの制圧射撃でなぎ払い、気を引いたら攻撃される前に落下しつつ距離を取る
被弾すると危険なのは今更だ。当たらなければいいんだよ
建物の屋根、ビルの壁を足場に。信号や電灯を鉄棒代わりに跳び、三次元軌道で翻弄。射撃を浴びせて減らす
私は工兵でもあるんだ。足場として耐えるかは判断ができる、たぶん大丈夫
あとは不意を撃たれないようには警戒するよ
どんな策でも相手でも、私は勝つさ。それが、決戦型を使う資格ってやつだからね

昼時か、お腹が空いたな。サラリーマンの憩いの時間を狙うとは、まったく迷惑な連中だ。さっさと片付けて美味しいものを食べに行こう。
数が多いからな。シリンジシューターによる制圧射撃で味方を援護しよう。周りに味方がいないようだったり、敵の数がある程度減ってきたら、鬼切包丁で残りをせん滅しよう。その際、√能力を使おうと思う。
……魚、か。前から思っていたんだが、インビジブルは食えるのかね?一応、√能力で捌いた後なので、齧り付いてみようか。どんな味がするかは分からないが、食べれても食べれなくてもクーラーボックスに入れて持ち帰ろう。……そういえば星詠み君が料理を振舞ってくれると言っていたな。
●野生と悪食
「さーて、始めよっか。どんな√でも、何が相手でも。敵は撃つ、人は守る、だよね」
決意を胸にウォーゾーンに乗り込むのは山門・尊 (重弾頭ヘヴィメタルウォーヘッド・h00614)。そして彼が登場する決戦型WZの名はアームドコング。
その名の通りゴリラをモチーフにデザイン・改良された機体である。
「昼時か、お腹が空いたな。サラリーマンの憩いの時間を狙うとは、まったく迷惑な連中だ」
その横に並ぶのは真上・モニカ(ハラペコ博士・h05524)。
許されることならばこのまま店を探しに行きたいという衝動をぐっと抑えて、モニカは視線を斜め上に向け、アームドコングの装甲越しに尊へと語りかける。
「どうやらビルの上に今回の首謀者を発見したらしいよ。そいつらもさっさと片付けて、美味しいものでも食べに行こう」
たった今仲間から入った連絡を共有し、モニカはよっこいせと大型ガトリングを担ぎ直す。
尊もまた操縦桿を握る手にぐっと力を込めて。
「了解。まずは私が切り込むよ」
「あとは手筈通りに、ね」
作戦の共有も手短に、鋼鉄製の森の賢者はコンクリートジャングルを駆け出した。
√能力者達が既に戦闘を仕掛けていた甲斐もあり、残された暴走インビジブルは少数。
なんとか群れとしての態勢を立て直そうと再集結をしていたところを補足した尊は、先手必勝とばかりにアームドコングを決戦モードへと移行する。
「あっちが3倍の速度で移動してくるならこっちは4倍だ。プロジェクトカリギュラ、始動!」
-Project Caligula Complete! –
真紅の光を放ちながら、装甲の一部を展開するアームドコング。
露出した駆動部からは揺らめく熱波が立ち上り、高められた力の凄まじさを感じさせる。
「いくよ!」
そして気合の言葉とともに空高く舞い上がった尊とアームドコングは、その背部に装備した機関砲『ハニカムファイア』を暴走インビジブルに向けて容赦なく連射した。
「キュロロロロロロ!?」
突然の猛攻を受け、たちどころにその数を減らしていくインビジブル達。
しかし彼奴らもただやられてばかりはいない。速度を高める能力を用いた反撃の牙が、空中で無防備になったアームドコングへと迫る。
しかし。
「被弾すると危険なのは今更だ。当たらなければいいんだよ」
それすらも尊には予見済みだった。
深追いせずにいち早く回避行動をとっていた彼は、ビルの壁面を蹴って地面へと急降下。
更にアームドコングの指を陸橋の側面にかけて静止すると、そのまま陸橋を雲梯に見立てて腕の力のみで水平移動し、インビジブル達の猛追を躱していく。
「はいはい、背中⋯⋯背びれ? ががら空きだよお魚さん」
そこを狙うのはシリンジシューターを構えるモニカだ。
ズガダダダダダダダダ!!
「キュリュルルルェエエ!?」
大きな獲物を追うことに躍起になっていたせいで、小柄なモニカの存在に気づくことが出来なかったのか。弾幕の雨に打たれ一匹、また一匹と撃墜されていく空飛ぶ魚群。
「……魚、か。前から思っていたんだが、インビジブルは食えるのかね?」
そしてモニカは全弾を打ち尽くしたシリンジシューターを投げ捨てると、今度は身の丈ほどもある中華包丁を取り出して、ジタバタと藻掻く暴走インビジブルを値踏みし始めた。
彼女の目に映っているのは最早倒すべき人類の脅威などではなく、まな板の上のなんとやら。
「ギコギコはしません」
そして無常にもスーッと振り下ろされた鬼切包丁が、哀れなお魚さんを立ちどころに捌いていくのであった。
一方、アームドコングを操縦する尊もただ逃げ回っているばかりではなかった。
陸橋を雲梯のように移動した後も、ビルをよじ登り、時には飛び移りながらの3次元的な軌道で暴走インビジブル達を翻弄していく。
「っと、そろそろ制限時間か」
しかしその時、尊の手元に表示されているタイマーが赤く点滅を始めた。
プロジェクトカリギュラは使用者に爆発的な速さの暴力を与える極めて強力な√能力であるが、反面これには時間制限という制約があった。
「そろそろ決めないとね。よし、あそこなら多分大丈夫!」
そして尊はアームドコングを巧みに操り鉄塔をよじ登らせると、釣られるように一連なりになって上昇して来る魚群に向けてハニカムファイアの銃口を向ける。
「対象全機、直線上に固定。遮蔽無し。射程よし。今だ! クラッシュアウト!」
そしてアームドコングが力強く胸部装甲を叩く動作を皮切りに、必殺の超高速エネルギーボルトが発射された。
カリギュラの効果で限界を超えた速射性能を引き出したその砲撃はさながら大瀑布。
蒸気を噴き上げながらモード解除する頃には、暴走インビジブルの群れは一匹残らず駆逐されていたのであった。
「ご苦労だったね。食べるかい? 風船みたいな食感だが、まあ、いけなくもない」
戦いを終えて合流した尊を待っていたのは、包丁を傍らに置いてなにやら咀嚼しているもにかの姿。
彼女が指さした先にある赤半透明の肉片は、まさか先程のインビジブルの刺し身だろうか。
「い、いや、遠慮しておくよ。食事はもう済ませてきたから。それより首謀者を早く叩きにいかなくちゃ」
「そうか。まあ無理にとは言わんが」
苦笑いしつつ両手を上げる尊に、もにかはやや残念そうな顔を向けると、そのまま手元の肉片をいそいそとクーラーボックスの中にしまっていく。
「……そういえば星詠み君が料理を振舞ってくれると言っていたな。刺し身ではなく煮付け、あるいは塩焼きなら」
(やっぱり刺し身だったんだ⋯⋯)
その様子を見て、尊の表情の比率は苦8:笑2にまで進行した。
―ヒュウウウウゥゥゥ―
だが、そんな軽い空気は一瞬のうちに霧散する。
空虚な街を駆け抜けた一陣の風。
その中に悍ましい邪念が含まれていることに、2人の能力者は本能的に気づいたからだ。
「敵も動いたようだ。さて、小腹も満たしたし本番といこうか。準備はいいかい?」
「⋯⋯ああ、どんな策でも相手でも、私は勝つさ。それが、決戦型を使う資格ってやつだからね」
斯くして、戦いは次のステージへと移行する。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 ボス戦 『怪しい店主『ジョン・スミス』』

POW
ふははははは!ボスは初撃には強いのだ!
先陣を切る(シナリオで、まだ誰のリプレイも出ていない章に参加する)場合、【強敵感あふれる雰囲気】と共に登場し、全ての能力値と技能レベルが3倍になる。
先陣を切る(シナリオで、まだ誰のリプレイも出ていない章に参加する)場合、【強敵感あふれる雰囲気】と共に登場し、全ての能力値と技能レベルが3倍になる。
SPD
ヒャッハー!邪魔者どもは皆殺しだ!
【脈絡もなく取り出した棍棒】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【脈絡もなく取り出した棍棒】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ
ズヴァリ!私の準備は完璧です!
【こんなこともあろうかと準備しておいたこと】により、視界内の敵1体を「周辺にある最も殺傷力の高い物体」で攻撃し、ダメージと状態異常【簒奪者にしてやられたメンタルダメージ】(18日間回避率低下/効果累積)を与える。
【こんなこともあろうかと準備しておいたこと】により、視界内の敵1体を「周辺にある最も殺傷力の高い物体」で攻撃し、ダメージと状態異常【簒奪者にしてやられたメンタルダメージ】(18日間回避率低下/効果累積)を与える。
√EDEN 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●PM13:37 高層ビル屋上
「くっ、奴らが来てしまいますわ。想定より早い⋯⋯」
「案ずる事はありません。露払いは私がしましょう。貴女は一旦降りて儀式の準備に専念するといいです」
背後の女性に向けて優しく微笑む眼鏡の優男。
彼の名は人呼んで怪しい店主『ジョン・スミス』。
ジョン・スミスは人の良さそうな笑みを浮かべながら、手に持ったステッキで床をコツコツと叩き始める。コツコツ、コツコツ、と。
「それに、私も興味が湧いてしまいましてねぇ。彼らがどれほどのものなの、くぁ」
コツ、コツコツ、コツコツコツコッコッコッ!
床を打つ音は少しずつ、少しずつ、しかし際限なく加速していき。
「ああ、早く戦りたい。奴らの肉を切り刻み、心を踏み躙り、壊して舐って嬲って砕いてぃひひひひひひ!!」
コッコッコッコッコッコッココココココココココココココココkkkkkkkk!!
「疼く疼く疼く! あああああ疼きますねええ!!」
ベキャアッ!!!
そして遂にはステッキを膝で叩き折る。
「先生がこうなってしまっては、私にはどうすることもできませんわね。もう、仕方のない人」
その様子に背後の女性の影は静かにため息をついた。
「お言葉に甘えて私はお先に失礼しますわ。スミス先生、どうかご無事で」
「イヒヒヒヒィ⋯⋯ふう。ええ、貴女もご武運を。戻ったら怪人の美しさについてまた語らいましょう」
立ち去る女に向けて振り返ることなく言葉のみで見送り、そしてジョン・スミスは両手を広げ、空に吠える。
「さあ来い! この世界の√能力者ども! 私を楽しませてみせろ!」
本日の天気は本日の天気は晴天。ところによりガラスの雨。
午後からは狂気の嵐が強く吹き荒れるでしょう。

「何が目的であんなことをしたんだ」
答えるとは思えないけど一応聞くよ
もし答えて貰えたとしても、ここでこいつを倒さないといけないことには変わらないけどね
光刃剣を抜きながらダッシュで接近して居合で攻撃
相手からの攻撃を誘って、√能力先手必勝で先制攻撃して身を隠す
以降は死角に潜り込んで暗殺を試みたり、ガントレットのワイヤーで捕縛して棍棒(どこから取り出したんだろうな、これ)を振り回す動きを阻害したりと隠密状態を活用して戦う
隠密を見抜かれたら再度先手必勝を狙って隠れるよ
……どうにも、こいつだけで事態が終息するとは思えない
第六感を働かせて周囲に気をつけておくよ
※アドリブ、連携歓迎です

うひょー!やばそうきちゃったー!
でもでも、キミは初見じゃないんだよね!油断しなければ大丈夫!
間合い詰めて魔杖でぶん殴りにいくよ!敵を追い込んで√能力を使わせたいから、結構強気にガンガン攻めるよ!
殴りながら敵の様子を見て、√能力の予兆を逃さないようにしないとね!
敵の√能力は更に敵に近づく動きで避けるよ!攻撃に使われる物体を敵に当てるように動けるといいね!
対処できたら【投物霊氷ポルターアイスト】でさっきの物体を再利用しちゃおう!
あれだけ派手に破壊活動しておいて、出てくるのが変なおじさん1人ってことはあるのかなー?まだ何かありそうだね!

アドリブ・連携歓迎
味方への情報共有後はビル屋上の二人が良く見える別のビルの屋上で相手の観察をしていようか。
流石に何を話しているのか分からないけど、女が立ち去るのが見えたら逃げた方向の確認だけはしておこう。抜け駆けはしないよ。
それにしても残った男は随分とご機嫌だね。戦闘行為が好きなのか…に連味を持つのは感心しないねぇ…
まずは遠距離からの狙撃で武器や四肢、足場を狙って味方に対する攻撃・防御への妨害を行う。合間に弾道計算と跳弾を併用して√能力の狙撃攻撃を行う。
毒と樹槍による弱体狙いだから頭は狙わないよ、確実に当てて、確実に邪魔をして…味方に頑張って貰うとしよう。近づいてきたら?勿論距離を取るよ。
「さあ来い! この世界の√能力者ども! 私を楽しませてみせろ!」
空に向けて雄叫びを上げる怪しい店主ジョン・スミス。
そして、その叫びを聞く者が一人。
「随分とご機嫌だね」
アレアは苦笑しつつ、スコープ越しにその様子を見つめた。
仲間に情報を伝達した後、アレアは密かにジョン・スミス達を発見した屋上を臨む事ができる別のビルへと舞い戻ってきていた。
そしてそのビルの屋上に潜み、狩猟銃による狙撃態勢をとっていたのだ。
たった今までジョン・スミスと会話していた女性の行く先も方向程度であれば把握できた。あとは仲間と合流し、あの男を倒すだけだ。
そしてその時はやってきた。
最初にビルの屋上に駆けつけたのはクラウスとらぴか。
「何が目的であんなことをしたんだ」
腰に差した光刃剣に手を添え、一触即発の空気の中、問いかけるクラウス。
「いえなに、ちょっとした怪人儀式ですよ。大きな儀式にはソレにふさわしい大きな『空箱』が不可欠。そして人の生活の気配を残す無人の街は、謂わば『巨大で空虚な箱』。だから私は街から人を追い払うお手伝いを、少しばかり、ねぇ」
それに対し、ジョン・スミスはいけしゃあしゃあと答えてみせた。
まさか本当に答えが返ってくるとは思っていなかったクラウスは内心驚きつつも、ここでこの男を倒すことには変わりないと油断なく睨みを効かせる。
「そうか、なら話は終わりだ」
「あらぁ? 質問はソレだけ? お前は誰だとか、どうやって暴走インビジブルを操ったんだとか、もっといっぱいあるでしょう。いくらでも答えますよ。だって私、あなた達のこと全員ここで殺しちゃいますからねぇイヒヒヒヒヒ!!」
突如狂ったように笑い出すジョン・スミス。
「うーわ、やばそうきちゃったー!」
その様子をうかがっていたらぴかは、きゃーと口に手を当てて、驚きとも楽しみとも付かないリアクションを見せる。
「でもでも、キミは初見じゃないんだよね! だから、お前は誰だーって聞く必要は全然ないし、油断しなければ大丈夫ってことも知ってるよ!」
「ほーーん、言っってくれますねぇ。ならば、口だけじゃないよう⋯⋯祈るとしようかぁ!」
言うが早いが、ジョン・スミスはどこからか取り出した棍棒を手に2人に向けて飛びかかった。
「遅いッ!」
しかし、その攻撃は先んじて動いていたクラウスの光刃剣で防がれる。
更にクラウスは返す刃のハンドアックスですれ違いざまにジョン・スミスを斬りつけると、そのまま光学迷彩を纏い隠密状態に移行した。
「ちいっ、ステルスシフトだと!? どこに隠れた辻斬り野郎!」
姿をくらましたクラウスを探し、視線を巡らせるジョン・スミス。
そしてジョン・スミスは棍棒による範囲攻撃で周囲をもろとも薙ぎ払おうと振りかぶった―次の瞬間。
ガウンッ!
「ギイッ!」
空をつんざく発砲音と同時に、ジョン・スミスの肩に鮮血の花が咲いた。
「⋯⋯そ、狙撃ぃ? 貴様ら寄って集ってステルスだスナイパーだぁ、正々堂々戦う危害はねえのかあ!」
衝撃で棍棒を取り落としたジョン・スミスは、白目を剥き、血管が引きちぎれんばかりに声を荒げる。
それに対し隣のビルの屋上に潜んでいたアレアは、銃口から硝煙を燻らせながら微笑む。
「その風貌で正々堂々とはよく言うよ。そちらは戦闘好きかもしれないが、僕は同じ土俵に降りていくつもりはないからね」
そしてアレアは再度狙撃。
撃ち出された銃弾は、しかし今度は回避に成功したジョン・スミスの体を素通りし、奴の足元に着弾する。
だが、アレアの攻撃はそれだけに留まらない。
「動いてても構わないよ、当てるからね」
アレアの宣言通り、着弾点から次々に伸びる毒樹槍がジョン・スミスの体を突き刺した。
√能力―戦時狩猟弾 Ⅰ種薬毒『Oleander』。アレアの跳弾計算能力と狙撃力が魅せる神業だ。
その回避を許さない毒樹槍による追撃は敵の体と神経を着実に蝕み、そしてその場で戦う仲間には癒やしの香気による補助を与えていく。
「正々堂々戦いたいんでしょ! だったら私が相手んなるよ!」
そこに突っ込んでいくのはらぴかだ。
らぴかは魔杖を手にジョン・スミスに正面から突撃すると、反撃も恐れず次々に攻撃を打ち込んでいく。
「いい度胸だぁ小娘! 望み通り潰れた柘榴みてえにしてやるよぉ!」
対するジョン・スミスも嬉々として打ち合いに応じる。
本来ならば強力な簒奪者相手に√EDENの人間が能力無しの殴り合いを挑むなど自殺行為だ。
しかし、らぴかにはアレアがもたらした治癒活性の樹香の後押しがあった。
更に光学迷彩で姿を晦ましていたクラウスがワイヤーを伸ばし、ジョン・スミスが取り落とした棍棒を回収する。
結果としてジョン・スミスはステゴロでらぴかと殴り合うより他になく、互いに√能力を用いない近接攻撃の応酬は徐々にらぴかが圧倒し始めた。
「おらおらおらぁ!」
「ぐっ、私としたことがムキになりすぎたか。ならば!」
しかしジョン・スミスも分の悪い勝負にいつまでも固執しない。不利を察しすかさず後退すると、屋上の床に勢いよく拳を突きつけた。
「ズヴァリ! 私の準備は完璧です!」
そして屋上のタイルの裏から現れたのは凶悪な回転ノコギリ。
予め用意していたトラップによる不意打ちをしかけたのだ。
「来た!」
しかしそれこそが、らぴかの狙いだった。
らぴかは飛来する回転ノコギリを前回り受け身の要領で回避すると、雪月魔杖スノームーンから氷の霊障を呼び起こす。
「飛んでけ怖がれ! 私の霊障どうかなどうかな!?」
そして再度飛来する回転ノコギリを霊障で受け止めると、杖をホームランバットのようにフルスイング! ジョン・スミスに叩きつけた。
「ぐ、ぎゃあああああ!」
自分の攻撃を瞬時に見抜かれ、それどころかカウンターに利用されるとは思いもしなかったジョン・スミスは恐怖の極寒に精神を蝕まれ、その身を凍てつかせていくのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・連携歓迎
人相通りの外道、何かをする前に叩き潰す!!
怨敵必滅!!
(√使用)
■戦闘行動
氷のように冷静な思考で、心は激しい業火のように....!
上がった動体視力で常に挙動を把握する
奴は必ず『何かを』をしてくる。それ起点を潰し、奴の愉悦を悉く潰す!(後の先をとる)
ダッシュとジャンプ、スターヴィークルを自律行動モードで常に奴の周りを走行させ、時に足場にして持ち前の機動力を生かし、向上したパワーで攻撃。グラップル出来る隙を見つけ、イニクイタス・デミゴッドハンドと怪力で両腕を握り潰しながら、魂の頭突きを叩き込む!!
嗤えるなら嗤ってみろ、嗤えないように何回も叩き込んでやろう!

機関が、そして私がやっていることは常識的に考えれば狂気の沙汰なのかもしれない。でも、彼のように壊れてしまった人を見ると、最後の一線だけは越えないよう、気の引き締まる思いだよ。
敵が詰めてくるようなら、鬼切包丁で√能力を使って応戦しよう。そうだな、相手が棍棒を使ってくるなら、それを切断してしまえば、相手の攻撃を邪魔できるだろうか。力任せに叩き切るか、可能なら相手の攻撃に合わせて刃をぶつけよう。
ガラス片には注意を払おう。状況によっては裂傷を負う者もいるかもしれない。包帯を持ってきているから、必要ならば使ってくれ。

知的かと思ったら肉体派?
道具は大事にした方がいいよ
棍棒の範囲は見た目より広そうだ。回避よりしっかりガードすべきか。私は前に出て接近戦を行おう
アームドコングのパワーを武器改造で上げて怪力で対抗するよ
距離を取られてもハニカムファイアで牽制や追撃! 両腕で防御して、隙があれば棍棒を抑え込むことも狙うね。無いなら思いっきりぶん殴るだけだ
狂気の嵐には重力の嵐さ。√能力で1発かまして、味方がいるなら強化も付与だ。短距離ワープは範囲攻撃だって回避しやすいだろうからね
そっちを楽しませる気は無いんだ。砕けてこの世界から出て行ってもらおうか
何を企んでいようと、私の鉄拳で打ち破るだけだよ
「貴様らぁああ!! やってくれたなぁあ!!」
ジョン・スミスは全身を覆う氷を砕きながら怒号を揚げる。
怒りと憎悪に煮え滾るその瞳は、常人ならば見ただけで卒倒するほどの狂気に染まっていた。
「機関が、そして私がやっていることは常識的に考えれば狂気の沙汰なのかもしれない。でも、彼のように壊れてしまった人を見ると、最後の一線だけは越えないよう、気の引き締まる思いだよ」
それに相対する真上・モニカは、そんな視線を正面から睨み返す。
そして自戒の念を決意に変えて鬼切包丁を握り直すと、モニカは自身をここまで運んでくれた仲間に声をかけた。
「どうやら相手は随分とご機嫌斜めのようだ。油断しないほうが良いだろうね」
「見た目より力も強そうだ。知的かと思ったら肉体派?」
決戦型WZ『アームドコング』に乗り込んだ山門・尊は、モニカに同意を返しつつ、手元の操作パネルを確認する。
先程のダメージは修復済み。次弾も装填完了。
「よし、私はいつでも行けるよ」
そして尊は集った最後の仲間―朝霧・アキラの背に視線を向けた。
「人相通りの外道、何かをする前に叩き潰す!!」
歩み出たアキラはジョン・スミスに向けて鋭く指を突きつけると、腕のブレスレット『トレミースターアクセプター』に2枚のスターコインをスロットイン。
一枚は先の戦いでも使用した獅子座のコイン。そしてもう一枚は、その獅子を打倒した荒れ狂う英雄の神話を宿せしコイン。
「怨敵必滅!!」
―constellation! Hercules! Leo! Observation completed!!―
瞬間、アクセプターから響く認証音。
次いでアキラが腕を天に掲げると、そこから生じた閃光が彼の体を包みこんでいく。
『ヘルクレスレオフォーム』と呼ばれる剛腕の闘士へと変じたアキラは、進化した強化鉄鋼拳『イニクイタス・デミゴッドハンド』をジョン・スミスに突きつけた。
「お前の野望はここで終わらせる! いくぞ!」
「ちっ、ヒーロー風情が! 邪魔者共は皆殺しだぁ!!」
対するジョン・スミスは忌々しげに吠えると、またもどこからか取り出した棍棒で周囲を薙ぎ払い、その場の√能力者全員を巻き込む破壊の渦を発生させた。
迫りくる衝撃波。
「させない!」
しかし尊はアームドコングを最前線に踊りださせると、両腕をがっちりとクロス。鉄壁のガードで衝撃波を凌ぎ切る。
その隙に防壁となったアームドコングの両サイドから飛び出したアキラとモニカ。
モニカは棍棒の動きに合わせて鬼切包丁を振るうことで二発目の攻撃を受け止め、アキラは強化された膂力でジョン・スミス自身を抑え込もうと試みる。
「ちっ、調子に⋯⋯乗るなぁ!!
しかし、ジョン・スミスも腐ってもプラグマの客分。包丁により半ば切断されかけた棍棒を力任せに振り抜くと、二発目の衝撃波によってモニカとアキラを跳ね除ける。
「くっ!」
「ぐああっ!」
モニカは寸での所で鬼切包丁から手を離し防御態勢を取ることで、棍棒の直撃を免れることができた。
しかし至近距離で組み合っていたアキラは、衝撃波により大きく弾き飛ばされ、そのまま屋上の外へと放り出される。
「はんっ! 口程にもない! 誰が何を叩き潰すってぇ!?」
「このっ! 狂気の嵐には重力の嵐さ!」
そんな仲間のピンチに尊は迅速に動いていた。
彼はアームドコングの背部ユニット『ハニカムフレア』をフルバースト。
『超重力弾』の弾幕を叩き込み、重力波によってジョン・スミスを弾き飛ばす。
更にアームドコングがもたらした重力は仲間には補助として作用する。
「大事な商売道具だ。返してもらおうか」
即座に体勢を立て直したモニカはバフ効果、即ち重力の流れに乗った短距離ワープを活用し、未だ棍棒に食い込んだままの鬼切包丁の元まで瞬間移動。
そのまま包丁の柄を握り、再び鍔迫り合うようにしてジョン・スミスと向かい合った。
「ぐぐ、また力比べですか。捨て身の覚悟を持ちながら、その凶暴性で、あくまで私の動きを止める事のみに終始するとは⋯⋯。惜しいですね。それだけの狂気、解放すれば気持ちいいですよ!」
狂気に染まりきった瞳と狂気に抗う瞳。
互いの得物を挟み、2つの似通った、しかし真逆の意思を孕む双眸が交錯する。
「折角の申し出だが遠慮しておこう。それに、私もただ受け身な訳では無いさ」
そこでモニカは不敵に笑うと、満を持して√能力を発動。
『怪異解剖学的3秒クッキング』、あらゆる物体を両断する御業により、もにかは棍棒を木綿豆腐のように切り裂いてみせた。
「なにっ!?」
たった今まで全力の押し合いをしていた筈の力点を失い、ジョン・スミスは前のめりに倒れ込む。
そして、その先に待つのは剥き身の刃。
「ひぃい!!」
凶悪な切れ味を誇る包丁が眼前に迫り、狂者の顔から遂に余裕が消え失せる。
ジョン・スミスは上体を捻りなんとか鬼切包丁の直撃を避けたものの、しかし、すれ違いざまに腹部をバッサリと切り裂かれていた。
「そっちを楽しませる気は無いんだ。砕けてこの世界から出て行ってもらおうか」
そして好機とばかりに尊はアームドコングを突貫させる。
四足形態となった鋼鉄の獣はコンクリートを殴り砕きながらジョン・スミスに突撃し、その勢いのままに鉄拳を叩き込む。
更にすかさず彼奴が吹き飛んだ先へワープすると、向かってくる体をアッパーカットで空へとレシーブした。
「何を企んでいようと、私の鉄拳で打ち破るだけだよ。⋯⋯ふふ、来たみたいだね。さあ、踏ん張りの効かない空中で彼を相手取れるかな?」
ブゥゥゥオオオオオオオン!!
刹那、アームドコングの背後―欄干の向こうから鳴り響くエンジン音。
爆音と共に、神に親しき者が天へと飛翔する。
時は僅かに遡り。
屋上から弾き出されたアキラは、地面に向けて落下していた。
「来い! トレミースターヴィークル!」
しかし、絶体絶命の窮地に於いても、彼の思考は氷のように冷静だった。
アキラのサポートのために自律走行モードをとっていたトレミースターヴィークルは、彼を追って屋上を飛び出しビルの壁面を猛スピードで駆け下りる。
そしてアキラは空中でヴィークルに跨ると、巧みにハンドルを操り急旋回。
フルスロットルで再びビルの屋上へと向けて壁面を駆け上っていった。
そして、アームドコングによってジョン・スミスが空へと打ち上げられた、その瞬間。
再び屋上へと舞い戻ったアキラは、ヴィークルを足場に更に跳躍。
「一気呵成!」
「ああああっ!! 忌々しいヒーロー風情がああああ!!」
ジョン・スミスも最後の足掻きとばかりに、向かってくるアキラに向けて棍棒の切れ端を突き出す。
しかし、そんな腰の入っていない攻撃など、ヘルクレスレオフォームとなったアキラにはスローモーションも同然だった。
「叩き潰すと言ったはずだ。私に、二言はない!!」
アキラは突き出したイニクイタス・デミゴッドハンドで棍棒を粉砕し、更にジョン・スミスに腕を伸ばすと、その肩を今度こそが万力の如き力で握り潰した。
「ぎっ! ひ、ひひ。まさか、この私が」
「⋯⋯嗤うのもこれで最期だ。覚悟しろ外道!」
マスクの奥でアキラの瞳が燃え上がり、天宮の煌めきが必殺の一撃を呼び覚ます。
「狂宴もこれで終いだな」
「さあ、決めてくれ!」
そして、モニカと尊、2人の声援を力に変え、アキラは上半身を大きく仰け反らせると。
「任せろおおおおお!!」
絶望の笑顔を浮かべるジョン・スミスの顔面に向けて、獅子の咆哮と共に渾身の頭突きを叩き込んだ。
声もなく吹き飛ばされるジョン・スミス。
その体は自らが破壊したオフィス街へと墜ちていき、断末魔とともに爆散したのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『『マンティコラ・ルベル』』

POW
デンジャラス・ローズ
【薔薇の香り】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ルベル・アロー】」が使用可能になる。
【薔薇の香り】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ルベル・アロー】」が使用可能になる。
SPD
マンティコラ・スティンガー
【サソリの尾針がついた髪鞭】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
【サソリの尾針がついた髪鞭】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
WIZ
スコーピオン・ローズ
半径レベルm内にレベル体の【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、【赤外線】による索敵か、【蠍の爆発】による弱い攻撃を行う。
半径レベルm内にレベル体の【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、【赤外線】による索敵か、【蠍の爆発】による弱い攻撃を行う。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●PM14:00 オフィスビル1階 大エントランスホール
「スミス先生⋯⋯そんな⋯⋯」
オフィス街に響き渡る爆音。
それと同時にジョン・スミスの気配が途絶えた事を察した女幹部―マンティコラ・ルベルは呆然と上階を見上げる。
しかし彼女に悲観に暮れている時間はなかった。
「儀式は最終段階だが、まだ完全ではない。早く、早く⋯⋯」
無人となった街を『空虚な箱』に見立て、その中にインビジブルを集め凝縮結合させることで、強力な怪人を生み出すというこの儀式。
しかし用意した箱が大きいが故に、そこに詰め込むインビジブルを集めるには相応の時間が掛かってしまうというのがこの儀式の欠点であった。
そして、儀式の達成を待ってくれるほど√能力者達は優しくはないのだ。
「来たわね⋯⋯」
一人、また一人とマンティコラ・ルベルの元へたどり着く√能力者達。
事前に彼女が立ち去る方向を確認していた者がいたお陰で、その行方を探し出すのは容易であった。
マンティコラ・ルベルがいる大エントランスホールは5階までが吹き抜けとなっており、上層階では集められた大量のインビジブルが半透明なヒレを蠢かせながら飛び回っている。
そして1階は障害物となる物が取り払われ、床には直径30mに及ぶ程の巨大な魔法陣が描かれていた。
「スミス先生と私の悲願、人間如きに邪魔立てされてなるものか! あなた達を血祭りにあげて私はこの儀式を完遂させてみせる!」
殺意を露わに仮面の奥の瞳を燃え上がらせるマンティコラ・ルベル。
鞭髪が床を叩く鋭い音が、最後の戦いの火蓋を切った。

「止めてみせるよ」
今のところ人的被害は出ていないけど、儀式が完遂されたらきっと大きな被害が出る
絶対に止めないと
ダッシュで敵の懐に踏み込んで、スタンロッドや電撃鞭を用いた鎧無視攻撃やマヒ攻撃で動きを妨げながら近接戦闘
スコーピオン・ローズによる蠍が増えてきたら決戦気象兵器「レイン」を起動
弾道計算も交えたレーザーの連射で蠍を一掃しながらルベル本人も攻撃するよ
敵からの攻撃はジャストガードで防いで、蠍に囲まれそうになったら爆発される前にダッシュで離脱
多少の怪我とかは一切気にせず戦い続けるよ
怪人達の思い通りにはさせない
※アドリブ、連携歓迎です
●静かなる闘士の日常
マンティコラ・ルベルの苛烈なまでの妄執に対し、クラウス・イーザリーは変わらず冷淡であった。
(今のところ人的被害は出ていないけど、儀式が完遂されたらきっと大きな被害が出る。絶対に⋯⋯)
「止めてみせるよ」
それは己に言い聞かせるような、静かな宣言。
誰かを守り、命を懸けて戦う日々を当たり前の事として生きる彼にとって、そんな宣言もまた日常の一幕に過ぎないのだろう。
だからこそ、クラウスは死地へ飛び込むことを迷わない。
ルベルの間合いの内まで一足で駆け寄ったクラウスは、そのままスタンロッドと電撃鞭を巧みに操り、的確に打撃を叩き込んでいく。
「速い⋯⋯でも、それだけじゃ私に勝てないわよ坊や」
対するルベルは、電撃による体の痺れを振り払い、薔薇のマークが刻まれた蠍を呼び出しクラウスを取り囲んだ。
マークを点滅させながら群がってくる蠍達を前に、クラウスは素早く武器をレイン砲台に持ち変える。
「包囲爆撃か。それならば、レイン、起動!」
そして自身を指定地点とした半径23mにレーザー光線の雨を降らせた。
自爆攻撃をしようと飛びかかった蠍の群れは尽く光の雨に打たれ、その端から砕かれていく。
「正気!? 自分を中心に光学兵器を撃って、無事で済むはずが⋯⋯っ!?」
「ああ、正気だよ。だからこうして俺への被弾は最小限に抑えられている」
クラウスは瞬時に弾道を計算し、レインの着弾地点に人一人分の穴を作ることで攻性結界を作り出していた。
光線が肩を掠め防護ジャケットから血が滲んでいるが、その程度は許容範囲内のブレだと割り切ると、クラウスは表情を崩す事なく再び走り出した。
自身の至近距離、即ちレインの中心地点にルベルを巻き込む為に。
「く、来るな!!」
ルベルは焦りを込めた声音で再度蠍達を召喚し、そして駆け寄るクラウスを吹き飛ばそうと次々に爆発させる。
しかしクラウスの足は止まらない。
鞭とロッドを駆使して懐まで接近して来た蠍のみを弾くことで、ギリギリの所で致命傷を避け続けているのだ。
「思い通りにはさせない。この戦いも、儀式も全て!」
そしてクラウスが突き出したスタンロッドがマンティコラ・ルベルの胸元に突き刺さり。
「くっ、ぎゃああああああああああ!!」
その頭上に光の豪雨が降り注いだ。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・連携歓迎
問答無用!!俺のような者をこれ以上増やさない為に!
これ以上の悲しみを断つ為に...!
怨・敵・必・滅!!
■戦闘行動
氷のように冷静な思考で、心は激しい業火のように....!
ダッシュとジャンプ、スターヴィークルを自律行動モードで乗って突撃したり、時に足場にして持ち前の機動力を生かす
相手の機動力が上回る場合は捌きやカウンターの防御を優先する
そして髪鞭を中心に警戒しつつ、ミニチュアマシンも使いつつ闘い、奴の行動パターンを把握。
怪力を生かしたバスターソードブレイザーで体勢を崩し、√能力を叩き込む!!
流れる悲しみと涙に終止符を打つ!!
組織よ!お前達の野望は必ず潰す!!
●悪を射抜く運命
爆炎と土煙が大エントランスホールを覆い、マンティコラ・ルベルが弾き飛ばされる。
ルベルの周囲を舞う美しい薔薇と長髪は、光線によりボロボロに焼け焦げていた。
「よくも! よくも私の顔に泥を塗ってくれたわね!」
怒りに震え眼前を睨みつけるルベル。
その視線の先、土煙の向こうにはトレミースターヴィークルに跨る朝霧・アキラの姿があった。
「儀式成功の暁には、私は先生と共に生み出した優秀な我が子と共にプラグマ本部に召し抱えられるのよ。あなた達に邪魔はさせないわ」
「問答無用!!」
マンティコラ・ルベルの目に燃えるのは野心か。はたまたジョン・スミスへの情念か。
しかしアキラはそれを一蹴した。
√マスクドヒーローでは今日もどこかで怪人による非道な事件が起こっている。
そしてアキラもその哀れな被害者の一人。
しかし彼は絶望的な状況を生き延び、そして幸か不幸か力を手に入れた。
ならば、その力を使う道は一つだけ。
「俺のような者をこれ以上増やさない為に! これ以上の悲しみを断つ為に⋯⋯!」
悪を挫き、人々の自由を守る。
それこそが『ヴィランスレイヤー』朝霧・アキラの生きる道だった。
「怨・敵・必・滅!!」
獅子の仮面の向こうで猛き雄叫びを上げ、ヴィークルを走らせるアキラ。
その手の中に現れたのは光の大型武装剣『バスターソードブレイザー』。
スターヴィークルを自立駆動モードに切り替え、両手で大剣を構えると、アキラはすれ違いざまにルベルに斬撃を叩き込んだ。
「やられてなるものか!」
しかしルベルも上級怪人の末席。幾本もの細い髪鞭で刃を絡め取ると、反撃とばかりに一際巨大な蠍尾でソードブレイザーを弾き飛ばす。
「ぐっ! ソードブレイザーが!」
『マンティコラ・スティンガー』、蠍尾が命中した箇所を一定時間使用不能にするその攻撃により、ソードブレイザーは機能を停止し地面を転がる。
「さあ、今度はどの玩具を壊してあげようかしら?」
「舐めるなよ。ならばこんな玩具はどうだ!」
アキラが取り出したのはいくつもの動物型の小型メカ。ヴィランスレイヤーの頼れるサポートメカ達だ。
ミニチュアマシン達は自律行動を始めると、各々にルベルの周囲を縦横無尽に駆け、跳ね回りながら攻撃を仕掛けていく。
「ふん! こんな小細工で私をどうにかできるつもりなのかしら?」
しかし奮戦虚しく、ミニチュアマシン達はルベルの髪鞭により次々に行動不能にさせられてしまう。
だが、それもまたアキラの狙いだった。
(見切ったぞ。その鞭は振り抜いた後に0.1秒の隙がある!)
ミニチュアマシン達を迎撃するルベルの動きを冷静に観察し弱点を看破したアキラは、再びスターヴィークルを走らながら地面に転がったソードブレイザーを拾い上げる。
未だ光が戻らない柄だけの得物。
しかしそれで十分だった。
「喰らええええ!!」
アキラは裂帛の気合と共に柄を投げつける。
それは凄まじい速度でルベルに迫り、アキラの気迫も相まって、ルベルは思わず全力で髪鞭を振るい柄を叩き落とす。
それがマンティコラ・ルベル最大の悪手だった。
「しまっ⋯⋯」
誤算に気づき正面を見たときにはもう遅い。
スターヴィークルの加速の勢いに乗せて高く跳び上がったアキラは、空中でスターコインをスライド。
「流れる悲しみと涙に終止符を打つ!!」
―Shooting Star ready!―
その身に輝くオーラを纏い、流星の如き飛び蹴りを放ったのだ。
光の軌跡は真っ直ぐにブレない軌道を描き、マンティコラ・ルベルの体を貫く。
地面に降り立ったアキラの脚は勢いのまま床の魔法陣を一直線に抉り進んだ。
「組織よ! お前達の野望は必ず潰す!!」
彼方を見つめ、目指す先に待つ巨悪に向けて宣戦布告の雄叫びをあげるアキラ。
そして一瞬の静寂の後、彼の背後で巨大な爆発が起きたのであった。
🔵🔵🔵 大成功

おおお、悪の怪人の登場だね!
街ごと使った儀式なんてすごいこと考えたねぇ。でもでも、やるならこんな大胆にやるんじゃなくて、もっとこっそりやったほうがよかったんじゃないかなー!派手過ぎて星詠みいなくても気づかれそうだよね!
初見の相手じゃないし、ささっと倒して計画を阻止しちゃおう!
強い敵なのはわかっているから間合いを取りつつ[彷徨雪霊ちーく]ちゃんに撹乱してもらいながら、[霊雪心気らぴかれいき]を飛ばして接近戦は絶対にやりたくないって感じで戦うよ!
敵が√能力を発動したら[両鎌氷刃ブリザードスラッシャー]を発動!特に尻尾に気をつけながら接近戦だね!どうせ守りは弱くなってるから、めっちゃ攻めていくよ!

随分と大掛かりなことを考えたものだ。√EDENならば、邪魔も入らないと思ったのかもしれんが、甘かったな。強力な怪人とやらが、どんな味がするのか気にならないわけではないが、まあ人は食えないからな。残念だが、君の野望はここまでだ。
しかし、彼女は儀式に随分とご執心のようだな。吹き抜けの大量のインビジブルを攻撃すれば陽動になるかもしれん。私はシリンジシューターで、上層階を射撃するぞ。撃ち落としたインビジブルをいそいそと回収すれば、挑発にもなるかもしれん。大漁大漁。
攻撃は頼もしい味方に任せよう。私は援護に専念する。そろそろおやつの時間だし、小腹も空いてきた。さっさと仕事を終わらせて帰ろう。
●かしましたくまし
「おおお、悪の怪人の登場だね!」
戦場に降り立った雪月・らぴかは、嬉々として得物である魔杖を握りしめた。
内心ではおっかなびっくりしつつ、それでもいかなる時も自分のペースを崩さないのが彼女の強さだ。
そしてそれは真上・モニカも同じ。
時刻はまもなく15時。ハラペコ博士を自称するモニカの脳内では、既に眼の前の戦闘と今日の献立の比率が拮抗しつつあった。
「そろそろおやつの時間だし、小腹も空いてきた。さっさと仕事を終わらせて帰ろう」
それはつまるところ、この戦いで負けるつもりは微塵も無いという勝利宣言。
か細く鳴く腹の虫を手で制しながら、モニカはらぴかの横に並び立つ。
「次から次に鬱陶しいわね。私達の作戦は必ず成功させる。ここで倒れたら先生に示しがつかないのよ」
対するマンティコラ・ルベルには、連戦により再生が追いつかないほどのダメージが刻まれている。しかし仮面の奥の殺意は未だ尽きることはなく、むしろ√能力者達の反撃を受ける度に憎悪の炎を増しているようであった。
そんなルベルの様子にモニカは薄く笑みを浮かべ、連装式の大型ガトリングガンを小脇に抱えあげる。
「それならば、私のやることは一つ」
狙う先はルベル、ではなく彼女らの頭上を浮遊するインビジブル。
モニカは引き金を引き絞ると、大量の弾丸を空に撃ち上げインビジブル達を薙ぎ払った。
「君の頑張りを一つ残らず台無しにしてあげよう」
「なっ!? 貴様、元から儀式の破壊が狙いか!」
完全な不意打ちに狼狽したルベルは、ヒールを高らかに鳴らし、脇目も振らず狼藉者に襲いかかった。
しかし、その爪はモニカには届かない。唐突に現れた雪だるまの集団がルベルの足元に纏わりつき、その脚を凍てつかせ始めたからだ。
「なに、なんなのこいつらは!」
雪だるまの正体は、らぴかに付き従う従順な死霊『彷徨雪霊ちーく』。
「はいはーい、お手を触れないようにお願いしまーす!」
更にらぴかは氷雪の冷気と霊気を飛ばし、ルベルに追い打ちをかける。
過去にもルベルと戦ったことのあるらぴかは、彼女に接近戦を挑むリスクをよく理解していた。故に遠距離から攻めたて相手の行動を阻害する事を優先したのだ。
そうしている間にもモニカの斉射によりインビジブルは数を減らしていく。
「それにしても随分と大掛かりなことを考えたものだ。√EDENならば、邪魔も入らないと思ったのかもしれんが、甘かったな」
大エントランスホールの吹き抜けを覆い尽くさんばかりに浮遊するインビジブル達。
数百を超える数を集めても尚、儀式の実行には不十分だと言うのだから最終的にはどれ程のインビジブルを集めるつもりだったのか。そしてそれを一点に集めた力を持つ怪人とはどれ程のものなのか、モニカには検討も付かない。
「ねー。街ごと使った儀式なんてすごいこと考えたよねぇ。でもでも、やるならこんな大胆にやるんじゃなくて、もっとこっそりやったほうがよかったんじゃないかなー! 派手過ぎて星詠みいなくても気づかれそうだよね!」
雑談のような気軽さでモニカに同意を返しつつも、らぴかは追撃の手を緩めない。
冷気により既に半身を氷に覆われたマンティコラ・ルベルだったが、しかし彼女は執念でその拘束を砕き割った。
「この私が、舐められたものね⋯! いいわ、あなた達は死ぬよりも苦しく惨めな死を与えてあげる!」
ルベルは薔薇の香気を纏う高速移動で残った氷の拘束も振りほどくと、まずは撃ち続けるモニカに鉤爪の一撃を叩き込んだ。
「ぐっ!」
間一髪の所でモニカはガトリング銃を盾に直撃を免れるが、貫通力を高めたルベル・アローは一撃で盾を貫き通しスクラップに変える。
だが、モニカもただではやられてはいなかった。
「ぎゃあっ! 私の、私の爪が!」
そのガトリングガンは大量の霊薬を撃ち出す『シリンジシューター』。貫けば当然、内部の薬莢は砕かれ、蓄積された劇薬を直接浴びる事になる。
利き手を潰され、業を煮やしたルベルは髪鞭でモニカを払いのけるが、その攻撃は精彩を欠いていた。
脇から高速で接近するらぴかの存在に気づかないほどに。
「こっからはめっちゃ攻めていくよ! 2つの刃をクルクル回せば、私自身が猛吹雪!」
らぴかは魔杖の両端に霊気を集中させ、ピンクに輝く二振りの刃を持つ魔杖両鎌形態へと変化させると、霊力を伴った回転斬撃で果敢にルベルを攻め立てていく。
ルベルも負けじと蠍尾の髪鞭を蠢かせて応戦するが、ルベルの√能力『デンジャラスローズ』の速度補正が3倍なのに対し、らぴか速度と攻撃回数は4倍。
圧倒的な手数で髪鞭を刈り取り、敵の体に続けざまに斬撃を叩き込んだ。
一撃、二撃、三撃。全身を回転させ、舞い踊るように鎌を振るうらぴか。
そして相手に背を向けるように大きく鎌を振り抜き、ルベルの胴体を横一文字に切り裂くと。
「両鎌氷刃ブリザードスラッシャー!」
一拍置いて、残心の構えと共にらぴかは技名を高らかに叫ぶ。
「きゃああああああああ!」
らぴかの背後で響くマンティコラ・ルベルの断末魔。
そして再度押し寄せた冷気の波がルベルを核に凝結し、その体を氷塊に閉じ込めるのであった。
「強力な怪人とやらが、どんな味がするのか気にならないわけではないが、まあ人は食えないからな。残念だが、君の野望はここまでだ」
氷塊と化したルベルを遠目に、モニカは冷ややかな目を向ける。
そしてモニカは腹から、クゥゥ⋯⋯、と可愛らしい音が鳴ったのを皮切りに視線をルベルから反らし、撃ち落としたインビジブルをいそいそと回収し始めた。
「ふむ、大漁大漁。星詠みの子が何でも好きなものを作ってくれると言っていたからね。食材の準備くらいはしていかないと」
星詠みが「言ってない。何でもとは言ってない」と困惑する様を想像し、らぴかは苦笑を浮かべるが。
「ま、それもいっか!」
そんな祝勝会も楽しかろうと、モニカに続きインビジブル集めに向かうのであった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

アドリブ・連携歓迎
さて、今回も狙撃兵に徹するってことで、隣ビルの狙撃可能ポイントにいようか。
生憎と僕は察しが悪くてね、相手の狙いが未だわからないけど…上層階には不自然なほどインビジブルがいて、一階床には魔法陣。これで何かするんだろうね。
基本行動は接近戦を行う味方の援護射撃。先とやることは一緒で弾道計算と跳弾、見切りや諸々総動員していこうか。ただ先とは変えて全弾√能力で。
遠目からなら上層にいるインビジブルも見放題だろうから、じゃんじゃん消費して数を減らしながら狙撃しよう。ついでに着弾地点に樹槍が発生するからね、それで床の魔法陣も削ってみようか。
なに、味方が勝つとは思うけど。念のためさ。

儀式は無期限中止だよ。私たちの手によってね
魔方陣も計画も全部解体だ
アームドコング最大出力、カウント60、行くよ!
5階まで吹き抜けになってるなら利用しよう。各階層を足場に三次元機動しながらハニカムファイアで牽制射撃
向こうも乗ってくるなら疑似空中戦。威力で負けても手数で勝る、交差するように跳んでコングの鉄拳で迎撃
でも狙えるなら髪鞭をどうにかしたい……後で整備に怒られるかもしれないけど、腕を1本くれてやる
片腕で髪鞭を防御する。一瞬の隙をついて髪鞭を掴み、アームドコングの怪力で振り回し急降下して地面に叩きつける
移動速度4倍、攻撃回数4倍、つまり16倍の落下ダメージだ!
じゃーね、蠍女さん
「やって⋯⋯くれたわね!!」
氷の牢獄を破壊し、マンティコラは怨讐の籠もった声を漏らす。
ルベルは自身は知る由もないことだが、その姿は図らずも、見る者に彼女が慕っていたジョン・スミスの末路を思い起こさせた。
「儀式だけは、命に代えても完遂させてみせますわ。私は、あなたのために⋯⋯」
もしかしたらルベルとスミスの間にも人並みに深い繋がりがあったのかもしれない。
だが相手は簒奪者。彼等がこの世界に仇なす敵である限り、そのような与太話は戦いの中に埋もれていくのみ。
そしてこの戦いに終止符を打つために、ここに最後の戦士が舞い降りた。
― ドゴォオオオオオン!! ―
吹き抜けとなっている上層階から飛び降りてきたのは鋼の決戦獣―アームドコング。
そしてその操縦者である山門・尊は、魔法陣の中心に立つマンティコラ・ルベルをコクピット越しに睨みつけた。
「儀式は無期限中止だよ。私たちの手によってね」
「ああ、どこまで邪魔だてすれば気が済むの!」
ルベルは怒りを薔薇の香気に代え、高速でアームドコングに迫る。
対する尊はコントロールパネルを操作。
「アームドコング最大出力、カウント60、行くよ!」
主の司令にアームドコングは唸り声にも似た駆動音を上げ、その巨体に真紅の閃光を帯び始めた。
外装を展開し、露出した排熱機関から高熱の蒸気を吹き上げるその姿の名は『プロジェクトカリギュラ』。
時間制限付きの高速機動形態に変じたアームドコングは、迫るルベルを飛び越えると、凄まじい勢いで壁をよじ登り再び跳躍。瞬く間に吹き抜けの5階部分までよじ登った。
「魔方陣も計画も全部解体だ!」
高所を取った尊は、ハニカムファイアから放つエネルギーボルトを階下に叩きつける。
「しまった。このままでは魔法陣が!」
尊の狙いがエントランスホールにいる自分ごと魔法陣を破壊することだと悟ったルベル。そしてすかさずアームドコングの後を追って上層階へと飛び上がると、光学式機関砲の狙いを自身に引き付ける。
しかしその動きすらも尊には予測済みであり、アームドコングを急降下させ、飛び上がってきたルベルを迎え撃つように鉄拳の一撃を叩き込んだ。
「守るものがあるというのは難儀だね。っと、これじゃまるで僕が悪役のようだ」
そんなルベルの姿を遠目に見下ろし、自嘲気味に微笑むアレア・デフィ・ベルフレッサ。
彼がいるのは先程の戦いの時とは違うビルの屋上。
辛うじて狙撃の射角が通るポイントに移動していたアレアは、スコープ越しにアームドコングとルベルの戦いを観察していた。
「敵の対処は彼だけでもなんとかなりそうだけど、上層階に不自然なほど集まっているインビジブルと一階の魔法陣をこのまま放置するのは不安だね」
ならば、とアレアは引き金に指をかけ、大きく息を浮い込む。
そして一瞬の静寂の後。
― ガウンッ! ―
精霊銃『Fraxinus-A』の銃口から撃ち出された弾丸は隣のビルの窓を突き破り、浮遊するインビジブルを数匹貫くと、そのまま吹き抜けの3階部分の壁にめり込んだ。
更に弾丸がめり込んだ壁からは鋭利なトゲを持つ毒樹槍が放射状に伸びていく。
「なっ、狙撃!? しかし、なぜ私ではなくインビジブルを?」
アームドコングと熾烈な攻防を続けていたルベルが驚愕に身を強張らせる。
確かにルベルの言う通り、簒奪者を倒すのなら、眼の前の敵に集中している無防備な横っ面を狙い撃ちしてしまえばいいだけの筈だ。
しかしアレアはそうはしなかった。
その答えは、彼が続けざまに放つ弾丸が物語る。
―キンッ! キンキンキンキンキンッ!!―
初弾が開けた窓ガラスの穴から打ち込まれた複数の樹木属性の弾丸。
それらは放射状に伸びた毒樹槍の枝に跳弾することで、次々にインビジブル達を貫いていく。
そして弾丸が壁にめり込んだ所からは新たな毒樹槍が伸び、そこを支点に更なる跳弾が連鎖的に展開されていった。
「うちの狙撃屋はいい仕事をするね」
足元で巻き起こる刺々しい緑化現象とみるみる内に駆除されていくインビジブル達を見下ろし、尊は儀式の失敗を確信する。
あとは眼の前の敵を倒すだけ。しかしルベルの執念の抵抗により、あと一歩攻めきれない状況が続いていた。
プロジェクトカリギュラのタイムリミットは残り十数秒。次の一撃で雌雄を決しなければ、今度はこちらが窮地に立たされてしまうだろう。
「仕方ない、か」
覚悟を決めた尊はアームドコングを急速旋回させ再び5階の高さまで駆け上がらせると、両腕を広げた、所謂ボディプレスのような体勢でルベルに向けて吶喊する。
「トドメのつもり? だけどそんな大振りの攻撃、隙だらけよ!」
自身に向けて急降下してくるアームドコングを見たルベルは、再度薔薇の香気を纏い跳躍。蠍尾の髪鞭に力を一点集中させて迎え撃つ。
「死ねえええっ!」
必殺の『ルベル・アロー』が、アームドコングの装甲の急所に向けて繰り出される。
「今だ! 後で整備に怒られるかもしれないけど、腕1本くれてやる!」
それに対し、アームドコングは赤い閃光を纏う右ラリアットでルベル・アローを受け止めた。
分厚い鉄板をぶち抜く威力を誇るマンティコラ・ルベルの必殺技を前に、アームドコングの剛腕は敢え無く貫通される。
だが、そこからが尊の狙いだった。
「うおおおおお!!」
アームドコングは右腕を刺し貫かれながらも、辛うじて動く駆動部で無理やり髪鞭を挟み込む。
そしてマンティコラ・ルベルを絡め取ったまま、空中で錐揉み回転し、振り回し始めたのだ。
「ああああぁぁぁぁaaaa―――!!」
落下と回転の勢いは断末魔の叫びすらも置き去りにする。
その姿は正に剛腕無双。
1体と1人は真紅の彗星となり、エントランスホールへ真っ逆さまに落ちていく。
ルベルが最期に見たもの。
それは床を砕きながらそびえ立つ無数の毒樹槍と、霧散していく魔法陣の残滓。
「おのれ⋯⋯おのれえええ! 次こそは必ず、ぎゃああああ!!」
「じゃーね、蠍女さん」
こうして街を脅かした巨悪は針の筵の地獄へと叩き落され、彼等の夢の成れの果てと共に大爆発を上げるのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功