シナリオ

機械の楽園は誰のもの

#√ウォーゾーン

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 #√ウォーゾーン

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 漆黒の鉄機群が蠢く。戦闘機械都市区の冷たい外壁に這い上がり、電子触手を差し込み、都市機能を強引に乗っ取ろうとしていた。
 監視モニターは真っ赤に染まり、警報が嫌な音を立て響き渡る。街の至る所でシステム一時停止を示す赤いランプが、人々の不安を煽るように明滅した。
 そして、不吉な音が響く――。
「緊急事態発生。生命体保護プロトコル、機能停止。殺戮モードへ移行」
 人々を守る筈のセキュリティ機構が、一斉に敵へと変貌する。通りに設置された自動警備装置が凶暴な赤い光を放ち、市民達へ向けて銃口を向ける。
 路上に埋め込まれた罠機構が起動し、逃げ惑う人々を追い詰めていく。
 壁面からせり出したセントリーガンが起動音をうならせ、レーザートラップが展開され、街全体が巨大な殺戮機械と化そうとしていた。
 通りにいた人々は悲鳴を上げ、右往左往する。建物の中へ逃げ込もうとする者、地下鉄の入り口へ駆け込む者、立ち尽くす者――。
 自動ドアを必死に閉じ、鍵をかけ、バリケードを築く音が街中に響き渡る。だが、それは束の間の安全に過ぎない。
 機械達の赤い眼光が、じりじりと街を覆い尽くしていく――。


 神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が、√能力者達へ事件の発生を伝えていた。
「皆さん、√ウォーゾーンの戦闘機械都市のひとつに、戦闘機械群の軍団が襲来しているのです」
 月那は手を胸の前で組み、緊張した面持ちで続けた。
「√ウォーゾーンの人類は、戦闘機械群の支配から逃れ、生命攻撃機能を無効化した戦闘機械都市に住んでいます。でも……その大切な場所が、今、危機に瀕しているのです」
 月那は一度深く息を吸い、視線を上げた。
「既に都市機能は敵に乗っ取られつつあります。セントリーガンやレーザートラップが復活し、市民の皆さんは今も逃げ場を失っているかもしれません」
 月那は星詠みで捉えた光景を思い出し、小さく息を呑む。
「私達は暴走した機械を避けながら、取り残された方々を探し出さねば……。その先に待つ巨大な戦闘機械、リュクルゴスとの決戦まで、どうか皆さん、力を貸してください」
 祈るように見つめ、月那は√能力者達へ真摯に語りかけた。
「一人でも多くの命を救うため……皆さんの勇気が、希望となります」

マスターより

霧柄頼道
 霧柄頼道です。よろしくお願いします。

●都市の防衛システムについて
 戦闘機械都市の防衛システムは、本来人々を守る筈の存在が一変して襲い掛かる恐怖を体現する存在です。無機質な動作で容赦なく襲いかかり、プログラム通りの行動を淡々と実行します。

●ボス『リュクルゴス』について
 スーパーロボット『リュクルゴス』は、寡黙ながら敵の武勇を称える高潔な戦士です。圧倒的な戦力で戦場を制圧しつつ、戦う者の意志を重んじる姿勢を貫きます。

●舞台設定
 戦闘機械都市区は、高層ビル群が立ち並ぶ未来都市です。住民は主に地上50階以下に居住しており、それ以上は管理用施設となっています。

●地形情報
 街区は碁盤の目状に整然と区画され、幅広い道路で結ばれています。ビル群の谷間には細い路地も存在し、緊急時の避難経路として機能します。

●現状
 都市機能が乗っ取られ、セキュリティシステムが暴走状態です。市民の大半は建物内に避難していますが、まだ路上に取り残された人々もいます。

●シナリオの展開について
 第1章では市民の救助と生命攻撃機能の無効化が急務となります。身を挺して市民を守るか、殺戮機械の解体に向かうか、あるいはハッキングで機能を停止させるか――選択次第で、その後の展開が変化することでしょう。最後には必ずボス撃破が待っています。
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第1章 冒険 『狂える戦闘機械都市』


POW 身体を張って人々を助ける
SPD 大量発生した殺戮機械罠を解体する
WIZ 都市を覆う機械にハッキングを仕掛ける
√ウォーゾーン 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

水垣・シズク
【連携・アドリブ可】
恐らく都市の対空防御が機能している以上、下手に上を取るのは危険ですね。
幸いにしてあの手の防衛システムの内部機構はおおよそ弄ったことがありますし、うちの子達にも仕様は覚えさせています。
ドローン状態で接近させた後、ドローンを捨てて制御部分に寄生させれば外部からの干渉を遮断して制御を奪えるはずです。
対空攻撃が減れば母艦を近づけて戦力を追加できますし、さしあたってはこちらの迷彩を看破できるセンサーを持ったセントリーガン、対空ミサイルなどがあれば優先して狙うとしましょう。


 人々の悲鳴が街路に響き渡る中、水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は建物の陰から状況を窺っていた。頭上の対空レーザーが中空を薙ぎ、センサーに捕捉された鳥すらも容赦なく撃ち落としていく。
「……私の研究データが役に立つ時が来ましたな」
 シズクは小声で呟くと、両手を広げ、√能力を解放した。
 するとどうだろう。瞬く間に、レギオンの小型兵器群が周囲に展開。各機に組み込まれた探知魔術が、周辺の敵性反応を走査していく――。
「さぁ、皆の衆。今までの訓練の成果を見せる時ですよ」
 制御下に置いた機械群は建物の影や廃材の陰に潜みながら、着実にセンサー施設へと接近を図る。迷彩システムを最大限活用し、敵の探知網をどうにか掻い潜りながら。
 シズクの指示のもと、先頭のレギオンが母体から分離するや、セントリーガンの制御機構へと侵入。――内部プログラムの書き換えが始まった。
「ふむふむ……やはり想定通りの仕様でしたか」
 着実に、順々とセントリーガンの赤い光が消えていく。対空システムの制圧域が徐々に縮小し、他の√能力者達の活動可能域が広がっていった。
 路上の瓦礫に身を隠しつつ、シズクは新たなレギオン群を展開する。
「よし、この調子……」
 思わず馴染みの京言葉が零れそうになって、慌てて唇を噛み――呪詛ミサイルを装填した機体を、次なる標的へと向かわせた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

馬車屋・イタチ
いや〜。イタチさんみたいな旧式には、ちょっと荷が重いんだけどな〜。
ヴィークルをフルスロットルで走らせて、現場に向かうよ〜。少女分隊の、イタチさんたち大集合、なのさ〜。
ぶっちゃけ、イタチさんは攻撃苦手だからね〜。だけど、足周りと防御性能はそこそこだから、被害の出そうな場所に突撃して、盾になっておくよ〜。火力が必要な時は、マルチツールガンで撃つけど、それよりアクセル全開で衝突したほうが正直強いかもね〜。……いやいや、市民のみなさんの安全が第一ですからね〜。イタチさんたちのことは気にせずに〜。ま、もしダメそうな時は姉妹一同、総員吶喊だよ。イタチさんたちが倒れたとしても、「能力者」のみんなに後を託すよ


「遠くから爆音が響いてきましたね~」
 本格的な戦闘が始まる気配に、馬車屋・イタチ(偵察戦闘車両の少女人形の素行不良個体・h02674)はエンジン音を轟かせ、現地へ急行していた。
「いや~。街ごと相手にするなんて、イタチさんみたいな旧式には荷が重いですね~」
 暴走したセキュリティ機構を盾で受け止める要の戦力として、彼女は自身のバックアップ素体を早々に呼び出す。十二基もの偵察車両が周辺から定位置へ集結していく。
「少女分隊の、大集合、なのさ~。火力こそイマイチですけど、みんなでガードは張れますよ~」
 ゆったりとした口調とは裏腹に、イタチはアクセルを踏み込んだ。
 マルチツールガンは持つものの、純粋な攻撃力では足りないかもしれない――それでも頑丈な車体を活かし、各所の路地から市民の退避路を確保していく。
 暴走したセントリーガンの一斉射撃から逃げ遅れた群衆の前へ、思い切り車体を滑り込ませる。撃ち込まれる銃弾の嵐を、装甲で受け止めた。
「避難は早めに済ませましょう~。だって、この後はイタチさんたち、アクセル全開で特攻しちゃいますからね~」
 続くバックアップ素体群もまた、幾重もの掩護陣を展開。人々を包み込むように守りながら、後方の安全地帯へと導いていく。
 イタチ本体もマルチツールガンから光線を放ち、殺戮機械罠の攻撃を阻むのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ラスティ・アンダーソン
可愛い子にお願いされたら行くしかないな
ましてや美女がピンチと来たら尚更だ
ま、よくある事だ
何とかするさ

シルバーアッシュで市街を駆け抜ける
人探しはこっちからするまでもない
暴走した防衛装置が教えてくれるからな
銃声でも何でも聞こえた方に行けばいいさ
|相棒《ゲイザー》は上から偵察してナビゲートを頼む

道中の邪魔はブラッドイーグルのマグナム弾で退いてもらう
レディが俺の助けを待ってるんでな
狙われてる奴が一人で美女ならタンデムシートに乗せて家まで送る
一人じゃ済まないならレギオン・スレイヴの一斉射でガードメカを片付けるさ
野郎は自分でなんとかしてくれ
…と言いたいところだが、見捨てちゃ女の子に嫌われちまうからな


 銃声と悲鳴の響く市街地を、バイクで疾走する男がいた。
 ラスティ・アンダーソン(通りすがりの何でも屋・h02473)は片手でブラッドイーグルを構え、目に付く機械仕掛けの罠を片っ端から撃ち砕いていく。
「レディ達を待たせるワケにはいかないさ」
 上空にはゲイザーが旋回し、レーダーとセンサーによって最適なルートを送信してくる。ラスティはシルバーアッシュのアクセルを全開に、受信した経路を縫うように駆け抜けた。
 暴走したセントリーガンを蹴散らし、レーザートラップをくぐり抜け、折れ曲がる路地を抜ければ――避難に手間取る市民達の姿があった。
「タンデムシートなら二人まで乗せられるんだが……全員救うなら別の手だな」
 ラスティは√能力を解放。レギオン・スレイヴが次々と展開され、荷電粒子の光弾でもって、迫り来る殺戮機械を迎え撃つ。
 包囲を突破した瞬間、さらに新手のセキュリティ機構が起動音を轟かせ、左右の通路を塞ぎ始める。あまりもたもたはできそうにない。
「よし、俺についてきな! 安全な道を相棒が見つけてくれてる」
 ラスティはシルバーアッシュの速度を抑える。バイクの前後に群がる人々の足取りを見計らいながら、先導役を務めるのだ。
 上空のゲイザーだけが、この混沌とした戦場で正確な退避経路を探り当てられる。その指示を頼りに、人々は安全な場所へと歩を進めていった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 日常 『戦闘演習』


POW パワーを鍛える
SPD 技術を鍛える
WIZ 座学で知識を増やす
√ウォーゾーン 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 中規模な格納庫の中を、人の気配が満たしていた。
 学徒動員兵達が、仲良く輪を作っている。今回の演習内容は格闘戦を想定した基礎訓練。
 小規模な戦闘機械を模した訓練機の横で、組み手の練習へ入るところだ。
「はいはい、危なくないように気をつけてね!」
 先輩格の指導者が声を掛けるが、軽く頭を下げて「へ~い」と生返事をする若者達。
 しかし、その手付きや足運びは間違いなく軍事訓練の基礎をなぞっている。すぐさま続くのは肩の動きに腰の捌きに手首の返し――随分と体に染み付いているようだ。
 その横では戦術データの送受信をする集団が、やれやれといった様子でモニターを見つめている。
「で――これからやってくるこのリュクルゴスってのは強いのか?」
「さぁね。俺らみたいな下っ端は雑魚掃除の後方支援要員だろうし、どうせ直接は会わないんじゃね?」
 とはいえ、いつもの戦闘機械相手と同じ感覚でいると、痛い目を見るかもしれない。
 ここはみんなの力で、一つしごいてやったほうが良さそうだ――。
ラスティ・アンダーソン
学徒諸君はお気楽だな
ま、肩肘張り過ぎてガチガチになってるよりはマシさ
かといって素人でもあるまいし、使い物にならないようじゃ困り物だ
仰る通りに雑魚掃除位はしてもらわないとな
教官なんざ柄でもないしやりたくもないが、一芝居打って脅かしてやるか
|相棒《ゲイザー》、手を貸せ

バーンと扉を開いて派手に入場する
学徒諸君!緊急事態だ!
レギオンの襲撃だ!
とでも叫んでからレギオン・スレイヴをばら撒く
ただしレギオンには攻撃させない
学徒諸君のリアクションを確かめるための芝居だからな
慌てても騒いでも撃ち落とせるなら良し
リュクルゴスは兎も角、雑魚の掃除なら手に負えるだろうさ
ダメなら…ま、もう少し頑張りましょうってことだ


「『下っ端は雑魚掃除』か……少々仕込みが必要そうだな」
 組み手の訓練に取り組む学徒動員兵達を、ラスティ・アンダーソン(通りすがりの何でも屋・h02473)は観察していた。
 連中、適当そうに見えて基本動作は怠っていない。過度な緊張感よりかはマシそうだ。
「教官役は柄じゃねぇが……よし、相棒。この演習効果的にしてやるか」
 派手な音を立てて格納庫の扉を開けるや否や、警告を呼びかける。
「緊急事態発生! レギオンの襲撃だ!」
 一声に応じ、背後に控えていたレギオン・スレイヴの群れが室内めがけて展開していく。
 何事かと動揺する学徒動員兵達。だが次の瞬間には、各々が訓練で叩き込まれた対処行動を開始していた。
 身を低く構えて防御姿勢を取る者、仲間と陣形を組み連携を図る者、戦術データを解析する者――。飛び交うレギオンの動きに、基礎訓練の成果でもって立ち向かっていく。
「な、なんだ……攻撃してこないのか? 待てよ、これもしかして――訓練なのか?」
 と――攻撃を加えないレギオン・スレイヴの様子に、学徒動員兵達は冷静さを取り戻しつつあった。
「ま、雑魚の掃除なら任せられそうだ。だが、まだまだ甘いぞ。もっと動きを叩き込んでやる」
 ラスティはレギオン・スレイヴの動きを微調整し、さらなる試練を仕掛けていくのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

エレオノーラ・ベルローズ・グレイファング
【連携・アドリブ歓迎】
えっと、エレオノーラ、です……。今日は皆さんと、相乗りウォーゾーンを使った、戦闘訓練をさせてもらいます。その際の【団体行動】について、です……。

じゃ、ここに乗ってください。あなたが訓練したいのは……操縦ですか。では、私が射手をやります。
はい、油断しましたね。実戦なら死んでいましたよ。格闘戦だからといって、遠距離からの攻撃を軽視しないことです。私はたまたま【弾道計算】が得意ですから、飛んできたものを撃ち落とす今のような形になりましたが、皆さんはもちろん、自分の得意な形で対処してくださいね。

……あの、ありがとう、ございました……訓練、がんばってください。
ヨシマサ・リヴィングストン
【連携・アドリブ可】
わ~、あの子らの気持ち、めっちゃわかるっす。
実践しないとわかんないことっていっぱいあるんすよね。
ここら辺ちょっとセンパイとして一肌脱ぎますか~。

レギオンコントローラーの操作パネルをブラインドタップしながら、ドローンを次々に展開。きっとびっくりするっすよね。こっそり敵襲を装ってみんなのハッキング技術を鍛える演習っすよ。
もちろんこっちは殺る気でやるっす。大丈夫、大体死なないっすから。

終わったら参加させた子の労いも忘れないっす。もちろん、ボクのオゴリで。センパイですから~。


「へ~。お疲れ様っすね~」
 演習を見学していたヨシマサ・リヴィングストン(神出鬼没の戦線工兵・h01057)は、ボサボサの髪をかき上げながら、無表情のまま声を上げる。
「こういう時こそ、センパイとして一肌脱がないとっす」
 演習を終えたばかりのラスティと入れ替わりに、ヨシマサはレギオンコントローラーの操作パネルを手早くタップしていく。
 格納庫内に設置された警報機が鳴り響き始める。実弾使用を示す赤色警報――緊急時の射撃訓練が開始されたのだ。
「お、おい!? レギオンの第二波か!?」
「ちょ、待て。こいつら、実弾装填してやがる!」
 一瞬の間を置いて、ヨシマサは演習の内容を告げる。
「格納庫の対空システム、使えるようになってますよ。でも制御を奪わないと起動できないっす。時間制限もありますしね~」
実弾ミサイルの接近を示すデータが表示され、学徒動員兵達は慌ただしく制御システムへのハッキングを試みる。
 格納庫の対空システムは複数の認証で守られており、それらを突破しなければ起動できない。とはいえ落ち着いて試行すれば、問題なくできるはずだが――。
「このくらいの実践経験、必要っすよ。ボクの方でも難易度は調整しますから」
 自身の端末で攻撃パターンを微調整しながら、ヨシマサは彼らの成長を見守るのだった――。


「お、おはようございます。エレオノーラ、です……」
 ハッキング演習を終えたばかりの格納庫に、エレオノーラ・ベルローズ・グレイファング(忘れ薔薇・h03445)はおずおずと姿を見せた。
「皆さんには、相乗りウォーゾーンでの団体戦訓練を……」
 学徒動員兵達は、対空防衛の実践を終えて疲れた様子だったが、背筋を伸ばして応じる。先ほどの演習で得た手応えを、今度は実戦でも活かせるよう。
 整備されたウォーゾーンの前で、エレオノーラは小さく深呼吸を一つ。
「操縦希望の方は……あなたですね。では私が射手を務めます。二人一組での連携が、今日の演習ポイントです」
 相乗りによる特性が効果を発揮し始める。操縦者の意図を先読みしたエレオノーラの射撃が、レギオンの攻撃を的確に迎撃していく。
 弾道計算に長けた彼女ならではの精度で、ミサイルの軌道を見事に捉えていた。
「よく出来ました。ですが実戦なら、今の回避は死を意味します。格闘戦だからといって、遠距離からの攻撃は軽視できません。お互いの特性を理解し合って、初めて効果的な連携が生まれるのです」
 コクピットから降り立ち、エレオノーラは再び静かな様子へ戻った。
「あの、き、今日はありがとう、ございました……皆さん、上手でした……」
 こうして一連の試練を通じ、学徒動員兵達は連携の大切さを、身を以て学んだのである――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『スーパーロボット『リュクルゴス』』


POW 超大型光線砲リュクルゴス・レイ
X基の【超大型光線砲】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
SPD 斬光飛翔翼アポロニアウイング
【エネルギーフィールド】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【アポロニアウイング】」が使用可能になる。
WIZ 電撃放射角ケリュネイアホーン
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【角状の部位からの放電】で300回攻撃する。
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 戦闘機械都市の上空に、白銀の翼を広げた巨体が出現する。その機影は誇り高く、しかし決して傲岸ではない。
 超大型光線砲を備え、頭部に電撃放射の角を持つスーパーロボット『リュクルゴス』が戦場を見下ろした。寡黙なる戦士は、戦いを挑む√能力者達に向けて一礼する。
「汝らと戦わせてもらおう、√能力者よ」
 戦場に臨む光芒が、空を焦がしていく――。
明星・暁子
アドリブ歓迎
「強大な敵だ。だが私にも鉄十字怪人としても意地がある」
√能力『怪人大作戦』を使用する。あらかじめ占拠しておいた上流の巨大ダムから大量放水させ、戦場の上空に綺麗な虹を作る。空気中の大量の水分が、敵のエネルギー攻撃を乱反射させて、致命の攻撃を失敗させる。

「敵の攻撃は封じた。あとは知恵と勇気だな」
ブラスターを手に、遮蔽物に身を隠しながら破壊光線を撃ち、戦う。


 巨大な機械都市の中で、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)の姿が浮かび上がる。
 白銀の翼を広げ、黄金の装飾を天に突き立てたリュクルゴスに、彼女は冷静な視線を向けていた。
「強大な敵だ。――だが私にも、鉄十字怪人としての意地がある」
 数日前からの布石を思い浮かべる。
 巨大ダムを占拠し、今この瞬間のために水量を調整して待機させていた作戦が、ついに火を噴くのだ――。
 リュクルゴスの装甲が開き、超大型光線砲の照準が定まる。だがその直前、暁子は手の中の制御端末を操作した。
 上流のダムから解き放たれた大量の水が、轟音と共に流れ込んでくる。
 戦場の上空に見事な虹が架かり、空気中の水分が光を屈折させた。
 放たれた光線砲の軌道が水分を含んだ空気に屈折し、狙いが大きく外れる。虹色に輝く水滴の幕が、さながらカーテンの如く敵の光線を分散させていった。
「敵の攻撃は封じた。あとは知恵と勇気だな」
 暁子はブラスター・ライフルを構えるや、瓦礫越しに照準を合わせる。
 放たれた破壊光線が、リュクルゴスの装甲に確かな傷跡を刻んでのけた。
「巧妙な戦術……。ダムの水を利用するとは。その知略、中々に見事だ」
 リュクルゴスから低く響く機械音声には、敵を称える意が垣間見えた――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ヨシマサ・リヴィングストン
【連携・アドリブ可】
わお~、おっきな光線砲とかカッコいいっすけど…撃たれる前に終わらせるっすよ。
(ストライドスーツのシステムが周囲のデータを瞬時に解析し、ヨシマサは軽やかにマルチツールガンを構える。伸びた前髪越しにリュクルゴスを見据え、不健康そうな顔で薄く笑う。)

じゃあ、こっちもお返しっす――【ちょ〜すごいチャージショット】、フルチャージいっきま~す。
(地面に片膝をついて、マルチツールガンのエネルギーが過剰なまでにチャージされる。周囲に熱が立ち込め、機械の軋む音が響く中、60秒後には高出力の光が砲口から迸る。)

喰らって、ちょっと痛がってくれると嬉しいっすね。


 ヨシマサ・リヴィングストン(神出鬼没の戦線工兵・h01057)は伸びた前髪の下から、破壊光線の痕を残すリュクルゴスを見据えていた。
「わお~、おっきな光線砲とかカッコいいっすけど……撃たれる前に終わらせるっすよ」
 ヨシマサは建物の残骸が作る天然の射撃台を選び、片膝を立て得物を構える。
 制御を超えたエネルギーが銃身を満たしていく。過剰なまでの力が、限界を超えて流れ込む。マルチツールガンが軋むような音を上げ、周囲の空気が熱を帯びていく。
「フルチャージ、いっきま~す」
 薄い笑みを浮かべたヨシマサは、なおもチャージを続けた。砲身を包む熱が、まるで実体を持つかの如く、危うく揺らめいている。
「喰らって、ちょっとは痛がってくれると嬉しいっすね」
 チャージ中、リュクルゴスは新たな光線砲を放っていた。
 暁子の虹の幕はいまだ残っており、それをいくらか分散させるものの……なお強大な威力が残る。
 ヨシマサは姿勢を崩すまいと、正面から受け止める。チャージを絶やすわけにはいかない。
 とうとう六十秒が経過すると同時――高出力ビームショットが解き放たれた。
 上空を流れる虹色の水滴を貫き、リュクルゴスの装甲を灼熱の光で打ち抜き、その身を確かに傾がせる。
 直後には、チャージ中に受けた光線砲の衝撃が一斉にヨシマサを襲う――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ラスティ・アンダーソン
リュクルゴスのお出ましか
関わりたく無いのが本音だが仕事だからな
ま、なんとかなるさ

あの角の電撃の連射を喰らえば俺はたちまちスクラップだ
一気に近付いて一撃を叩き込むしかないな
先に|相棒《ゲイザー》を仕掛けさせる
あわよくば奴の注意が相棒に向けばいいが
相棒はぶっ壊れてもまたどこからともなくやってくるからな
こういう時こそ囮に使わないと

俺は雷光迅雷で加速する
加速するついでに電流を纏えば、奴の電撃も多少マシになるかもな
シルバーアッシュのアクセルはフルスロットルだ
リュクルゴスに接近する事を最優先に一直線に突っ走る
ブラッドイーグルも連射して少しでも牽制しよう

全ての電撃を浴びる前に迅雷拳でぶち抜く
俺自身が弾丸だ!


 ラスティ・アンダーソン(通りすがりの何でも屋・h02473)は、白銀の翼を広げたリュクルゴスを見上げた。
「関わりたくないのが本音なんだが……ま、仕事だからな」
 リュクルゴスが角を天へ向け、放電の準備を始めている――。
「先に行ってくれ」
 ラスティは薄く笑みを浮かべ、ゲイザーを飛び出させた。
 ゲイザーは上空で大きく弧を描き、リュクルゴスの周囲を挑発するように旋回し始める。
「あわよくば奴の注意が、相棒に向いてくれりゃいいんだが……」
 噴かせていたシルバーアッシュのエンジン音が獣めいたうなりへと変わる。フルスロットルまで回転数を上げながら、ラスティは電光迅雷を発動。
 青白い雷光が義体を包み込み、まるで雷を纏った弾丸そのものとなる。
 リュクルゴスは中空のゲイザーへ角を向けた。瞬間、ラスティはシルバーアッシュの速度を一気に引き上げる。
 ケリュネイアホーンから放たれる紫電が戦場を覆い尽くすが、纏った電光がそれをいくらか防いでくれた。
 ラスティは義手が反動に耐えられる限界まで、ブラッドイーグルのマグナム弾で敵を牽制しながら、先の戦いで損傷している敵の装甲へと肉薄。
「おらぁっ……!」
 纏った電光が迅雷拳へと収束し、その一撃を装甲の傷へと叩き入れ、リュクルゴスの身を大きく弾き飛ばした――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

七鞘・白鵺
心境:おお、格好良イ。
ヒロイックなロボは格好良イ。
だが、破損し作動液に塗れ、動くことの出来なくなったロボもまたロマンダ。
ボクのロマンの為に微塵と散れや蘇婆訶!!

戦闘:
ロボだしきっと中途半端なフェイントや搦手は逆にこっちの隙を晒すことになりそうだナ。
うん、殴ろウ。
ごちゃごちゃ考えずに真っ直ぐ行ってぶん殴ル。
真正面からぶん殴ル。
(愛用の180cm程ある謎の金属製卒塔婆
……卒塔婆?『怪力乱神・嶽殺棒(かいりきらんしん・がくせいぼう)』で全力フルスイングでシバキにいく)

戦闘後
:敵の装甲やらクリスタルなパーツやらの欠片でも落ちていたら回収。
なんか格好良い物コレクション、ハンティングトロフィーに。
明星・暁子
アドリブ歓迎
「知恵と勇気をお見せしよう」
遮蔽物に身を隠し、√能力『不思議摩訶不思議魔空間』を静かに歌い始める。
「ふーしーぎ、まーかふしぎ・どぅーわー」

スーパーロボット『リュクルゴス』の超演算能力をもってしても、理解することが出来ない不可思議な空間。魔空間を作り出す。
その空間の中では、鉄十字怪人は物語の主役になる。空だって自由に飛べる。攻撃は全部命中させることが出来る。
光の速さで『リュクルゴス』の頭上に転移して、√能力『ブラスターキャノン・フルバースト』を威力10000倍で彼の弱点に打ち込む。
通常なら命中力も1/10000だが、構うことはない。攻撃は当たる。此処は恐るべき自在の魔空間なのだ。

無事『リュクルゴス』を倒せたなら静かに瞑目する。
「敵、と呼ぶには誇りの高いもの。そう、武士(もののふ)だった。いつか因果を越えた地で会おう。


 七鞘・白鵺(人妖「鵺」・h01752)は、頭上のリュクルゴスを見上げた。戦場に轟く衝突音と共に、次々と放たれる光線の光芒が、巨体を眩く照らしている。
「格好良イ……けどネ」
 白鵺は一八〇センチの卒塔婆を掲げ、唇の端をつり上げた。
「破損し作動液に塗れ、動くことの出来なくなったロボもまたロマンダ。ボクのロマンの為に微塵と散れや蘇婆訶!!」
 フェイントを恐れて間合いを詰めるリュクルゴスの周囲に、【エネルギーフィールド】が展開される。白銀の翼が光を帯び、斬撃の如き刃となって白鵺へと向けられる。
 リュクルゴスのアポロニアウイングの輝きだ。
「うン、ごちゃごちゃ考えるよりいい、真っ直ぐ行ってぶん殴ル!」
 卒塔婆を軽々と振り回し、抉るように大地を打ち付ける。その反動で跳躍した白鵺を迎え撃つように、リュクルゴスのエネルギーフィールドが輝きを増していく。
 アポロニアウイングの一閃が放たれると同時、白鵺は敢えてその間合いへと滑り込んでいく。
 力のみを信じる白鵺は、真っ向からの打ち合いを挑んだのである。
 怪力乱神・嶽殺棒による大振りを、アポロニアウイングへ叩きつけた。
 大気が割れる衝撃が走る。禍祓大しばきの威力が卒塔婆に乗り、その巨体が装甲もろとも宙へと持ち上げられる。
 制御を失ったリュクルゴスが緩慢に落下する途中、白鵺はすでに、散り散りになった装甲の破片を目で追い。
「ソコ! ロマン溢れる装飾が落ちてるゾ!」
 撤退がてら、欠片を拾っていくのだった――。


 リュクルゴスの攻撃で飛び散った瓦礫の陰に、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)は身を隠す。
「ふーしーぎ、まーかふしーぎ・どぅーわー」
 満ちる轟音の中、御伽噺のような歌声が静かに紡がれていく。
 戦場に異変が生じた。理が歪み、論理が溶けて、現実が御伽噺へと変容していく。
 リュクルゴスの演算装置が警告音を上げる。戦闘データの解析が追いつかず、戦術予測が限界値を超えて暴走する。機械の理解を超えた魔法めいた空間が、リュクルゴスを包み込んでいた。
「さすがの貴様も、御伽の世界では無力なようだな」
 スーパーロボットの論理でも辿り着けぬ速さで、暁子は瞬く。リュクルゴスの前方から消え、背後に現れ、左翼の隙から右翼の死角へ。
「だがその潔さ、武士の誉れを見た。これにて幕引きとしよう」
 予測演算など及ばぬ速度で、存在そのものが瞬間的に移動していく――。
 対するリュクルゴスは演算限界を超えてなお、白銀の翼を誇り高く輝かせ。
「計算不能、予測不能――だが、覚悟に揺るぎはない」
 胸部装甲を大きく開き、超大型光線砲の砲身を露わにした瞬間。
 その砲口へめがけ、ヘビー・ブラスター・キャノンの砲口が無数に浮かび上がる。
「物語の最期は、美しくあれかし」
 砲撃の嵐がリュクルゴスを貫いていく。御伽の世界にあっては、全ての攻撃が光芒となって収束し、決して外れることはない。
「汝の戦いに敬意を。しかし、これこそが真実だ」
 リュクルゴスの機体が大きく揺らぐ。崩壊の刹那、機械音声が響き渡る。
「貴様の魔空間は……確かに、我が理解の外……だ。だが、この両翼は……我が誇り。数多き配下を導く……証……」
 白銀の翼が光を失い、巨体が地へ堕ちていく。砲撃の光は、まるで物語の結末を飾る花火のように、いまだ空を彩っていた。
 魔空間が解けていく中、暁子は瞑目して敬意を示した。
「敵、と呼ぶには誇りの高いもの。そう、武士(もののふ)だった。――いつか因果を越えた地で会おう」
 こうして、√能力者達の活躍により、戦闘機械群は打ち払われた。
 生命攻撃機能も完全に停止し、住民達が住まう都市は、元の姿を取り戻したのである――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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