妖怪刑務所より|ウサギ《脱獄者》狩りのお知らせ
●ヤクザといえども、とばっちり
√妖怪百鬼夜行、√Edenへ向かう道――の手前にある廃ビル、その内部にて。
石蕗中将は鬼の形相を歪ませ、こう言い放った。
『貴様ら、ヤクザもんに任務を与える! 有難ーく思うが良い!』
中将の前に正座させられているのは妖怪犯罪者たち。服の襟辺りに代紋を付けているのを見るに、彼らはみな極道である。しかし服装からすると恐らくチンピラだ。
『ありがたくねえよォ……』
蛇の妖怪は殴り飛ばされた。更に追い打ちとばかりに蹴り飛ばされる。
『馬鹿もん! 誰が口を訊いてよいと言ったァ!』
なお、それでもまだ運が良い。今の中将殿は|根性注入棒《木製バット》を握り締めているのだ。次に誰かがふざけた口を叩けば、文字通り全員モグラ叩きみたいにボコスカ叩かれる訳である。実に良い迷惑だ!
するとチンピラの一人が手を挙げた。何やら利口そうなしゃれこうべである。
『そこ、質問か!』
中将は根性注入棒で彼を指す。しゃれこうべは無言で頷いた。
『発言を許可する。で、何が言いたい?』
『中将殿、我々は何をするのでありますか!』
中将はとりあえず舐めた態度ののっぺらぼうに根性注入しながら、話し始めた。
『目的は一つ! 人類種の廃絶であーる!』
妖怪犯罪者たちは静かに引いた。えっ、そこまでする必要あるんかと言いたげな空気だ。もちろん彼らはまたしても中将殿に殴り飛ばされる。
『その為に貴様ら、ヤクザ共がさく越えさせられたのだ! 分かるか貴様らッ!』
分からんです。そう言いたかったが、中将殿の圧がそれを封じてしまった。これでは大正時代ではなく、第二次世界大戦時代のあからさまな軍拡時代である。
『ハイ、分かりました!』
なので彼らは返事を返した。例え不本意であろうとも、良いと言わねば殴られるのだから。
●仁義ないやつら
「柵越えしたヤクザとそれを指揮する奴の排除です。メエメエ!」
メエプル・バッティー・キンドレドシープ(電気羊は新聞記者の夢を見るか?・h01425)は資料を広げてそう言った。
「というのもですねえ……どうやら所謂人類迫害勢みたいな方々がですね、みんな脱獄したんです」
しかもそいつらは事もあろうに、鬼獄卒『石蕗中将』によって指揮いられている訳である。√Edenになんか行こう物なら、血の海をいくらでも作りかねない程に暴れかねない。具体的には虐殺だとか民族浄化とかホロコーストとか。それこそ人類みんな殺す勢いで。
「そういう訳でまあ、こいつ等全員シバいてもとも箱にぶち込んできてくださいな」
要はいつも通り、見つけてシバいて引き渡す。実にシンプルな話だ。
「あ、そうそう。出来れば生かして捕まえてくださいね。一応まだ刑期残ってるんですから」
マスターより

サバ缶煮込み丼です。宜しくお願い致します。
今回の構成は以下の通り。
第1章👾:『妖怪犯罪者』
化けの皮を被って人間に化けているようです。ですが、ルート能力者が現れた途端にその皮を脱ぎ捨てるでしょう。
第2章A⛺:『簒奪者の痕跡を追え』
第2章B👿:『大妖『荒覇吐童子』』
切り替え条件:どこからやって来たのかを訊き出す。もしくは彼らの目的地を吐き出させる。
情報が訊き出せなかった場合、ボス敵がやって来ます。
第3章👿:『鬼獄卒『石蕗中将』』
人間排斥派の鬼です。彼はどうやら人間を徹敵的に始末しようとしているみたいです。彼を始末さえすれば事態も収まるでしょう。
説明は以上です。何卒宜しくお願い致します。
16
第1章 集団戦 『妖怪犯罪者』

POW
蛇首咬
自身の【うわばみ(蛇)妖怪の頭部 】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【蛇毒】を付与する【毒蛇】に変形する。
自身の【うわばみ(蛇)妖怪の頭部 】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【蛇毒】を付与する【毒蛇】に変形する。
SPD
サプライジング・ノーフェイス
あらかじめ、数日前から「【のっぺらぼうを中心とした 】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
あらかじめ、数日前から「【のっぺらぼうを中心とした 】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
WIZ
犯罪コネクション
任意の対象から「対象レベル万円の賄賂」を受け取った場合、対象が攻撃したのと同対象を即座に【空飛ぶ『頭骸骨』 】で攻撃する(これは行動を消費しない)。
任意の対象から「対象レベル万円の賄賂」を受け取った場合、対象が攻撃したのと同対象を即座に【空飛ぶ『頭骸骨』 】で攻撃する(これは行動を消費しない)。

ヤクザ者の柵越えとは…世も末だねぇ…
それじゃ早速仕事にかかるとするかい。
…頼むから、死んでくれるなよ?
部位破壊、鎧砕きを活用した喧嘩殺法でどつき回し|怪我させて《傷口を作って》いく。
傷口ができたなら積極的にえぐっていきたいものだ。
殺気や威圧を込めたフェイントで翻弄し、見切り受け流しで敵の攻撃は捌く。
敵を戦闘不能にした後は、羂索で縛りあげよう。怪力と捕縛で身動きができない程度に強く。
さて、君たちには個別に尋問をさせてもらおう。
安心してくれ。食い違いや矛盾、違和感を覚えなければ無事に済むさ。
ただそうでなければ……君たちの身体に聞くしかなくなるがな。
それで?君たちはどこに向かおうとしていたのかね?
「それじゃ早速仕事にかかるとするかい……頼むから、死んでくれるなよ?」
妖怪犯罪者たちのど真ん中にエントリーしたのは九・白(壊し屋・h01980)。構えているのは卒塔婆。まるでクリケットバットめいている。
『ケッ、|アヒル《お巡り》の使い走りに何ができるってんだ!』
チンピラ妖怪の一体である蛇は己の頭を毒蛇に変え、蛇首咬を試みた。しかし、次の瞬間に|お前が死ぬまで何度でも《ショウジャヒツメツ》による容赦のない一撃が叩き込まれる!
『グえーっ……』
蛇は頭をどつかれ、気絶!
『野郎!』
更にのっぺらぼうがバール片手に殴り掛かるも、バールを持つ腕ごと掴まれ――ベキャッと腕から鈍い音!
『あぁああ! テメーッ!』
腕を力づくでへし折った! ついでに殺気で威圧しながら、周囲を見渡す。
すると妖怪どもは大人しく武器を捨て始めた。どうやら、彼らは所詮チンピラの寄せ集めに過ぎなかったようで、もう戦意は無いようである。
「さて、君たちには個別に尋問をさせてもらおう……安心してくれ。食い違いや矛盾、違和感を覚えなければ無事に済むさ。そうでないなら……分かるだろう?」
妖怪たちを拘束し終わった壊し屋は尋問を始めた。
拘束されている彼らは既に気が気でないようで、顔色が非常に悪い。
更に隣には生命維持に関わらない程度に[破壊]された妖怪が転がっている。それも見える範囲に。
「君たちはどこに向かおうとしていたのかね?」
『ば……化けの皮の原材料の調達!』
『あのスパルタ軍人がどこに居るかは知らん!』
『でも、次集まるのは雑貨ビルだった……と思う! メモ無くしちゃったんだよぉ!』
彼らは知っている情報を一から十までベラベラ話してしまった。
何はともあれ、これで何が目的なのか判明したようだ。しかし化けの皮とは一体何なのだろうか?
🔵🔵🔵 大成功

◆心情
新年から仕事増やしてくれるじゃないの……
ヤクザもんだか何だか知らないけど国家権力甘く見ないでよ!!
全員二度と青空拝めないくらいにしてやるわ!!
◆戦闘
おっ、見つかった見つかった
それじゃあさくっとお縄についてもらおうかしら!
愛用バットを片手にホームランもとい逮捕宣言しましょう
最初は空飛ぶ『頭蓋骨』を打ち落としながら相手の動きを注意深く観察
行動パターンを読み、情報収集が終わったならば始めましょう
『私は其処に現れる』
敵の背後にいるインビジブルと場所を入れ替わり、フルスイング!
近付かれたらまた場所を入れ替わり撹乱するわ
捕まえるのはあなた達じゃなくてあたしの仕事だもの
さあ、誰から檻にぶち込まれたい?
(新年から仕事増やしてくれるじゃないの……)
色嶋・いろり(Standby・h00372)は静かに怒り狂っていた。だが、そりゃあ新年早々、正月休み中に事件が起きれば誰でもそうなる。しかし犯罪というのは場所も時期も選ばないものである。
「ヤクザもんだか何だか知らないけど国家権力甘く見ないでよ!!」
金属バット片手にこう叫ぶ。
「全員二度と青空拝めないくらいにしてやるわ!!」
その一言に通行人たちはまるで怒り狂った形相を向けている。そして一斉に叫んだ。
『お前は……|犬《警察》だろ、テメーッ!』
『舐めた態度でよォ~! ムカつくんだよォ、ポリ公がァ!』
通行人らは自らの頭部に爪を立て――引っぺがした! すると彼らの姿は人間の姿から多種多様な異形に変わってゆく!
「おっ、見つかった見つかった。それじゃあさくっとお縄についてもらおうかしら!」
そして彼女はバットを構えた。更に煽る様に予告ホームランの構えを取っている!
『なんだよこのクソ展開……!』
『俺たちは……俺たちはヒャッハーって突っ込んですぐやられる雑魚キャラかあッ!?』
『なめてんじゃねぇぞ……こらあッ!』
挑発は正に効果てき面!
空飛ぶ頭骸骨で攻撃まで行い始めている始末。しかし、色嶋は冷静に動きを見極め――頭蓋骨をかっ飛ばした! 更に先程までバットを振っていた彼女の姿が消えた!
「捕まえてみて――できるものなら、ね」
代わりに残されていたのはインビジブル。|私は其処に現れる《 ムーン・フェイズ》によって入れ替わったのだ!
そして妖怪たちの頭部に向けて、金属バットのフルスイング!
『グワッ!?』
それも複数回! 彼らは次々と頭をぶっ叩かれてゆく!
「さあ、誰から檻にぶち込まれたい?」
しかし彼らは答えれない。脳震盪で動けないのだから。その間、彼らから情報を集め始める。
しばらくして……彼らの懐からメモ帳が出て来た。
曰く――彼らの目的は√Edenへ向かう事。しかし、詳細は不明。ただ向かう事だけが目的らしい。
とにかく目的は別世界へ向かう事らしい。
🔵🔵🔵 大成功

妖怪刑務所から出てきた連中の対処ねぇ。
また石蕗のオッサンが何か企んでやがんだ。
情報を吐かせるにはちょうど良い“作品”を用意していたところだし、さっそく活用してみるとするかぁ。
他のメンバーが尋問を始めているようなので、そこに協力する形で参加だ。
【愉快犯爆弾魔】を使用して、レモン型のガラス細工を具現化、そのまま《爆破》。
爆破地点にいるヤクザもん達に『正直病』を与える。
おう、兄ちゃん達。√能力で失敗させようとしても無駄だぜ。あと十数個はあるからな。
あとは楽しい尋問タイムってとこだ。
「どこから来たのか」、「化けの皮は何か」あたりを聞きてぇな。
答えないようならオレのイカしたアートの一部にしてやっからな。
「情報を吐かせるにはちょうど良い“作品”を用意していたところだし、さっそく活用してみるとするかぁ」
橘・創哲(人間(√妖怪百鬼夜行)の不思議美術商店主・h02641)はレモン型のガラス細工を仕掛け――ヤクザ妖怪の集団が歩いていた所で爆破!
『うわっ、テロかよォ!』
しかしのっぺらぼうは慌てない。サプライジング・ノーフェイスを行い、失敗させようと――更に爆発! 因果関係を逆転させる隙を許すわけがなかった!
「おう、兄ちゃん達。√能力で失敗させようとしても無駄だぜ。あと十数個はあるからな」
『なぜバレたん……!?』
愉快犯爆弾魔による爆破はヤクザ共に動揺を与えたのだろう。
「まだまだあるんだ。大人しく話すか、もっとドッカンドッカン行くか……どっちがお好み?」
先程まで血気盛んだったヤクザ共は大人しくなった。
「俺が聞きたいのは二つ。『どこから来たのか』、『化けの皮は何か』。答えないようならオレのイカしたアートの一部にしてやっからな」
そんな脅しにヤクザ妖怪はベラベラ話し始めた。
『そりゃあ、化けの皮は化けの皮だよ。人間を加工した便利グッズに決まってんだろ』
『|登喜和柁三六人妖《トキワダさぶろくじんよう》刑務所……刑務所ン話じゃないの?』
『畜生、俺ら……化工一家が黙ってねえぞォ!』
彼らは化工一家という暴力団らしい。更に化けの皮は人間を加工したものである。
実にマズイ話である。
🔵🔵🔵 大成功

人類を嫌うことは自由ですが、虐殺させるわけにはいきません
迅速に止めるためにも、目的地を聞きたいところです
捕縛も必要なようですし、申し訳ないですが少し痛い目に遭ってもらいましょう
「ヤクザというのはもう少しプライドがある方々と思いましたが、そうでもないのですね」
挑発し√能力を発動します
威力が下がっているとはいえ電流です
何度も浴びれば痺れるでしょう
念のため、反撃に備えてトンファーを構えつつ、動けない方から捕縛していきます
「あなた方のボスの居場所を教えていただけますか?」
生意気に見えるであろう俺が鬼獄卒にやられる姿を、ヤクザさんたちは望むでしょうからね
きっと居場所を教えてくれるでしょう
「ヤクザというのはもう少しプライドがある方々と思いましたが……そうでもないのですね」
人間で溢れた大通りにて、青木・緋翠(ほんわかパソコン・h00827)はあからさまな挑発を行った。もちろんそれに突っかかる奴が居れば、それは間違いなく敵だろう。
『……んだと?』
ジャージの集団は一斉に青木へと顔を向けている。その表情は正に鬼の形相。
『任侠舐めやがって、クソガキがよォ!』
『オイ、コイツ殺そうや!』
彼らは顔部分にあったあからさまな隙間に指を突っ込み――無理やり引っぺがした! するとその皮が剥がれ、妖怪の顔が露わになる!
「申し訳ないですが……少し痛い目に遭ってもらいましょう」
青木はトンファーを構えた。ヤクザの一人はスマホで呼び掛けている。すると数秒もしない内に増援が現れた!
『たかが一人で何ができるってんだよ、あぁ!?』
『袋にしちまえって!』
ヤクザ共が侮った次の瞬間――|高電圧大電流《パルスパワー》が降り注ぐ! 威力は加減されているとはいえ、まともに食らえば筋組織など痺れて使い物にならないだろう。しかし、念のため拘束は怠らない。
「あなた方のボスの居場所を教えていただけますか?」
『うるせぇ、知らねえよォ!』
『言っておくがな、てめーが嫌いだから教えねえって訳じゃあねえぞ!』
『ホント―に知らねえんだな。これが!』
『大体あの中将がボスだってェ……ざけんなッ! あんな奴を誰がおやじと呼ぶかってんだ!』
彼らは中将をかなり嫌っているようである。しかし所在を知らないのであればどうしようもない。どこに居るかが分からない事が分かっただけでも御の字だ。
🔵🔵🔵 大成功

『こちらをお通しするわけには参りません』
■心情
ここはとにかく足止めをします。
|本丸《√Eden》まで攻め込まれてはたまりませんから。
情報も欲しいですが、まずは場を収めないと話しどころではありませんね。
まずは制圧、それから|お話を聞く《尋問》ということにしましょう。
■戦い方
敵の数が多いのでできればある程度まとめたうえで、|能力《≪閃光刃≫》でまとめて牽制、そのあと各個制圧、と行きたいところですね
各個撃破は得意な人に任せるとして、まずはあるなら狭いに路地などに誘導して間合いになるべく引き込んで≪閃光刃≫で仕掛けます。
とりあえず私は小柄で倒しやすいようにも見えるでしょうから、うまく都合のいいところに誘導できると良いのですが。
攻撃はしますがこの後尋問はするので倒し切ってしまわないように手加減します。
手加減なのか、私が全力で立ち向かっても殺さないのがやっとなのかはわかりませんが。
一応投降するなら攻撃しないことは伝えながら戦います。
あとこの場では銃は抜きません。私の銃は一回限りのフェイクのようなものですから。
■尋問
とりあえず場を制圧してしまえば、こちらの意向も通しやすくなるでしょう。
生き残っている方たちにどこから来たのかや目的地を聞き出します。できれば組織体系があるならそれも聞いておきたいですね。
この時は銃を抜いて脅しても良いでしょう。
どうにも戦意は高いようには見えないので、いろいろ話して下さりそうではありますが・・・
√妖怪百鬼夜行、√Edenへ向かう道。
「こちらをお通しするわけには参りません」
その手前に鳳・楸(源流滅壊者ルートブレイカー・h00145)は立ち塞がっている。2尺7寸の太刀を手にし、仁王立ち。死んでも通さぬと言わんばかりの体勢である。
『んだよ、コイツ……』
『ぶっ殺しちまおう!』
無論チンピラたちはただ黙ってやられるつもりはないようだ。彼らは骸骨に金を渡しては次々と空飛ぶ『頭骸骨』を呼び出している。
更にやたらと頭数も多い。これでは聞くべき情報も聞き出せないだろう。
(まずは制圧……それから|お話を聞く《尋問》ということにしましょう)
彼女は刀を構え――路地へ身を翻す!
『アッ、逃げたなテメーッ!』
『逃がすな、追えッ!』
チンピラ共は各々の得物を手に路地へと次々と駆け込んでゆく! しかし、彼らは状況を理解していない。誘い込まれたという事を理解していないのだ!
「無限の剣閃、避けるに能わず。遍く刻め霊光の刃」
凄まじい速度で振るわれた刃とその剣圧はのっぺらぼうの構えたバールが勢い良く弾き飛ばされた!
『いってエ!』
『コイツやベエぞ!』
彼らは大いに戦慄している。彼らは武器を構えつつも、ゆっくりと後ろへとジリジリ下がっていた。
だが、何人かは決して諦めていない。頭蓋骨を差し向けて、遠距離攻撃を試みた。
スパァンと一閃。たった一撃で、頭蓋骨は綺麗に包丁の入ったスイカめいて一刀両断されてしまった。コトンと地面に両断されてしまった頭蓋骨が落ちるのを、チンピラ共は声も出さずに見つめている。
「投降するならこれ以上の攻撃は行いません。抵抗するならその保証はありませんが……」
彼女は意味深に50口径回転式拳銃を抜いて構えた。
『俺たち、平和主義。オーケー?』
一方、チンピラ共は先程まで意気揚々としていたとは思えない程に縮こまってしまっている。彼女が武装解除をせよと言う前に、彼らはさっさと武器を捨てた。きっと技量の差をよく理解したのだろう。このまま続ければ殺されると確信したのかもしれないが。
「さて、色々話してくれれば助かるのですが」
鳳は徐に拳銃を抜いて、チンピラ共を見た。すると彼らはビビり散らしてベラベラ話し始めている。
『|登喜和柁三六人妖《トキワダさぶろくじんよう》刑務所からの柵越えだよ!』
『化工一家の若衆に過ぎねえよォ! 俺らは精々鉄砲玉程度の扱いだってんだ!』
『化けの皮をテロリストとかに売りさばいて、人類と妖怪どもの融和を破壊するって言ってたがね……俺はさ、詳しく知らんよ?』
彼らは聞かれてない事も全てベラベラ喋り始めた。彼らは割とよく知っているようである。他にも色々吐き始めた。
『へへっ、俺らが騒ぎを起こしている間に仕事を終わらせるって訳さ!』
『ちぇっ、あの中将めぇ! アイツらアレか、これぐらいしか能がねえって思ったんだろ! その通りだよォ!』
やたらと多いチンピラ共は初めから使い捨ての揺動人員として√Edenへ流されたようである。本命はどうやら既に√Edenに忍び込んだのだろう。
『……目的地? そりゃあ街の真ん中の工場だろ。原材料がたんまりあって、しかも車なんかもあるしな?』
つまるところ……中将の目的はどうやら人間の加工工場を築き上げ、そこで作り上げた[商品]を√妖怪百鬼夜行でばら撒くつもりらしい。もちろんそんな事があれば――人間のふりをしたままにテロでも起こされれば、融和主義も人類と妖怪たちの友好主義もお終いだ。間違いなく社会に亀裂が入るだろう。
「できれば組織体系があるなら、それも聞いておきたいですが……何か知っていますか?」
彼らは顔を見合わせ、首を傾げた。
『知らねえよ、んなもんさ……』
『ホント知らん……何なん?』
彼らはどうやら中将の計画から外されたらしい。あるいは蚊帳の外とも言うべきか。
『もしかしてアレか。捨て駒か?』
チンピラの一人は聡かったようで、彼女の沈黙から全てを察したようである。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 冒険 『簒奪者の痕跡を追え』

POW
怪しい箇所をくまなく歩き回り、痕跡を探す
SPD
簒奪者特有の行動の痕跡を追う
WIZ
周囲を漂うインビジブルの挙動からヒントを探す
√EDEN 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●化けの皮を被った悪魔
√Eden、都内の人材加工場にて。
二人の男女は低い声で囁き合っていた。
『……|ヤマ師《敵対者》が|当てた《嗅ぎ付けた》みたいだぞ』
『急いで|焼かない《証拠隠滅》しないとかしら?』
どうやら彼らは守衛と加工人員として働いているようである。その証拠に男女の手は血とか油で汚れていた。
『それじゃあ……品を外に出そうか』
『そーね、そうしよ』
まるで気軽げな様子で、トラックへ加工品を積み始めた。恐らく証拠隠滅してさっさと他√に逃げ込むつもりらしい。そんな事をされれば溜まったもんではないだろう!
『それじゃ、みんな解散! 中将殿にも伝えなくていいよ。どーせ話聞かないもんね!』
そして彼らは颯爽とトラックに乗り込んで、工場を出て行った。放っておいたら逃げられかねない!
『それじゃあ……合流場所は廃トンネル! 有事があれば、友情の名の下に見捨てるからね!』
『了解!』
軽トラにバイクに、その他諸々の車両群は次々と工場から出て行った。逃げるつもりである!

『さて目的はわかりましたが、肝心の場所がわかりませんね・・・』
★アドリブ可、共闘可
■心情
とりあえず|お話を聞いて《尋問して》から急いで来ましたが、現場を押さえるような速度では来れなかったようですね。
どこへ行ったかですが、|彼ら《簒奪者》ならどうするか?あたりから見当を付けようと思います
■調査行動
生産工場がそういくつもあるとも思えないので、一時的な隠れ家のようなものがあってもおかしくはないと思うので、これに絞って探します。
子狐に変身し人間より優れた嗅覚で現場の匂いを嗅ぎ取り、これを覚えて、どちらの方向に行ったかを探し当てます。
なんとなくあたりがついたらエナガに変身しなおして空中から偵察します。もっとも空中から見えるところにいる可能性は少なそうですから、空中から見えるところにはいないことの確認、といったところですね
「目的はわかりましたが……肝心の場所がわかりませんね」
鳳・楸(源流滅壊者ルートブレイカー・h00145)はもぬけの殻となった工場を見渡していた。辺りにあるのは精々埃と手付かずの機材のみ。証拠物となり得る物は徹底的にもみ消したようである。逃走した連中は間抜けでも馬鹿でもないらしい。
「ふむ……彼ら、簒奪者ならどうするか?」
鳳は一つ思案する。もしも己が簒奪者であったならば。ここからどのように動くか。
例えば……ほとぼりが冷めるまで隠れるとか。それも万が一に備えていくつかの拠点を作っておくとか。
「一時的な隠れ家があってもおかしくないですね」
狐式変身術で子狐に変化し、辺りに漂う匂いを嗅ぐ。この匂いは――ガソリン、煙草、そして鮮明な鉄の臭い。酷く鼻が曲がりそうになる匂いだ。しかしこれなら忘れないだろう。まだ真新しい匂いを頼りに、子狐はその匂いを追跡してゆく。
その匂いは徐々に工場から離れ、摩天楼へと向かっているようだ。
匂いは路地裏の、それも行き止まりで途切れた。鳳は子狐からエナガへと姿を変える。今度は空から見渡すつもりらしい。
(もっとも、空中から見えるところにいる可能性は少なそうです……)
しかし空から見渡しても見えるのは雑貨ビルと血管めいて広がるパイプと配線のみ。これではどこに居るのやら。
『――こく……』
ふと、声が聞こえて来た。その声はなんだかしゃがれており、まるで人間の声を無理に出した様な印象を受ける。
エナガはその方へ羽ばたいて近寄った。そこに居るのは――どう見ても山姥的な妖怪である。
『こちら……グランマ……問題はないよぉ?』
山姥は無線機を使ってどこかへ連絡しているようだ。しかし相手は一体誰なのか。
『はいはい……生き残りだから分かっているよぉ、中将さん。でもおばあちゃんだからねえ、あまり期待しないでおくれ』
どうやら中将殿に連絡しているようである。一体何を言っているのか、エナガは聞き耳を立て始めた。
しかし、どうやら連絡を切ってしまったようで、この山姥は呑気に寝息を立てている。恐らくもう報告を終えたのだろう。
「……」
しかしエナガは彼女を見張っている。この老婆が中将一味である事は確かだろう。ならば見張らない手はない。後は尻尾を出すのを待つだけだ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

POWで捜査
とりあえず、捜査は現場百遍……はこの場合だと違うから、捜査は足で稼ぐで行こうか。
そう言えば最初に尋問したとき、|妖怪犯罪者《チンピラ妖怪》たちは雑貨ビルがどうとか言っていたな。
人気の多い表通りに拠点を構えるとも考え難いし、裏路地や裏通りの人気の少ない雑貨ビルあたりを調べるとしよう。
普段からこの辺りを屯している半グレやチンピラ連中から何かしらの情報を聞き出せないか試して見るとしよう。
アドリブやアレンジなどは大歓迎
「そう言えば最初に尋問したとき……」
九・白(壊し屋・h01980)はチンピラ妖怪の一人が言っていた事を思い出す。
(――でも、次集まるのは雑貨ビルだった……と思う!)
雑貨ビル。ヒントはそれだけ。しかし、彼らが比較的排他的な妖怪犯罪者であれば、おおよその見当は付く。
「人間排除を目的とした連中が、人気の多い表通りに拠点を構える……」
一瞬その可能性も浮かんだ。しかし、リーダーの中将殿は予知を見る限りではかなり過激な人間排除派と見受けられる。
「いや、無いな。一番あり得るのは裏路地や裏通りの人気の少ない雑貨ビルあたり……」
これでおおよその見当は付いた。となればあとやる事は一つ。
「それじゃあ、歩くとしよう」
目的地までの移動である。後は虱潰しに探すのみ。
「あ、怪しいのは見かけました……いてて……」
半グレだのチンピラだの不良だのチンケな悪党どもは一人残らず大人しく事情を話していた。彼らは先程まで九へ絡もうとして、身の程を分からされた者どもである。しかし、まだ口が利けるだけマシである。
得物を持って襲い掛かった奴はもはや虫の息にすらなっている始末。あぁならないだけマシ、と口が利ける奴らは内心胸を撫で下ろしているようだ。
「ぱっと見堅気だったんですけど……フインキ? ってのがなんか怖くって……おっかないんですよぉ!」
どうやら気味悪がって接近すらしなかったようである。ある意味、彼らは幸運だ。おかげで材料にされずに済んだのだから。
「あの……見えます?」
チンピラの一人は折れかけた指を抑えながらも、腕でビルの一つを指した。
「あの……電気付いてるビルに……身なりの良い奴らが入ってました……ホントそれ以上は知らないんです、勘弁してください! 調子乗ってました! 命だけは!」
半グレもチンピラも完璧にノされたせいで、完全に被食者の立場を味わっているらしい。
「そこだね?」
彼らは無言で激しく頷いた。まるで激しく頭を揺らす赤べこみたいになっている。
九はそのビルへ歩いてゆく。一方、シバかれた彼らは手を取り合って逃げ出した。
あれ程こっぴどくやられれば、恐らく二度と悪さも迷惑も出来ないだろう。
🔵🔵🔵 大成功

◆心情
はー、こんな大雑把な情報しか得られないなんてなー
ま、大半あたしがボコボコにしたのが理由だからな……
仕方ない、ちょっと頑張って探しましょうか
◆行動
やれるなら本格的な調査前に、他の√能力者の子と情報交換したいな
まーこっちも収穫が少ないし、下っ端には伝えてないコト多いかもだけど
情報を交換したら『周囲を漂うインビジブルの挙動からヒントを探す』としましょ
いろりさん、これでも霊能力者なので他√の観測もまあまあ出来るのです
少なくとも√妖怪百鬼夜行と√EDENの二つは確認しながら移動してくわ
異変があったらその方向へ真っ直ぐに、もしこちらに気づいて逃げようものなら
足止めにお見舞いしましょう、霊能波!
「はー、こんな大雑把な情報しか得られないなんてなー……」
落胆した様子で色嶋・いろり(Standby・h00372)は呟いた。しかし、その原因もすぐに思い出す。
「ま、大半あたしがボコボコにしたのが理由だからな……」
まともに口が利けなくなる程にノしてしまえば、そりゃあ情報など得られる訳がない。だが、それでもないよりはマシだろう。
しかし情報源は他にも居るのだ。この場合、頼りにすべきは他のルート能力者である。
雑貨ビル、人通りが少ないビル方面の可能性が大。
隠れ家に潜伏している可能性あり。各自散らばって潜伏している模様。
手元に集まった情報はかなり断片的である。しかし、それらが分かればどうとでもなるだろう。何せ彼女は――!
「いろりさん、これでも霊能力者なので他√の観測もまあまあ出来るのです」
彼女は今、Edenと妖怪百鬼夜行を観測しながら、逃げた簒奪者共を追跡していた。しかし、異変は見られない。百鬼夜行の街並みは混沌としており、追うには些か骨を折っている。一方、EdenもEdenで非常に薄暗いモノであり、こちらも非常に見辛い。
『やべっ、見られた!』
しかし、どうやら網に引っ掛かった間抜けは居たようだ。もちろんすかさず、霊能波!
『グワッ!?』
間抜けは倒れた。これで情報源は確保したのも同然だろう。
🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『鬼獄卒『石蕗中将』』

POW
獄卒鞭
【鞭】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【獄卒の刑場】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【鞭】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【獄卒の刑場】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
SPD
石蕗妖鬼衆
事前に招集しておいた12体の【式神鬼】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[式神鬼]全員の反応速度が半減する。
事前に招集しておいた12体の【式神鬼】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[式神鬼]全員の反応速度が半減する。
WIZ
魔獄刑場
自身の【周囲の戦場】を【血を思わせるどす黒い赤色】に輝く【魔獄刑場】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【周囲の戦場】を【血を思わせるどす黒い赤色】に輝く【魔獄刑場】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
●√Eden、都内高速道路にて。
『えぇい、あの愚図共! やはりしくじったか!』
石蕗中将は乗り込んでくるのを察したようで、すでに高速道路に乗り込んだようだ。
目的地は廃トンネル。そこはいわゆる神隠しスポットとして有名な所である。まあ、間違いなく他√へと繋がっているだろう。
つまり逃げられれば――追うのもまともに出来なくなる! 仮にウォーゾーンとかに出られようもんなら、探すだけでも命懸けになりかねない!
『となれば……自らがやらねばならんと言う訳だ……役に立たんどころか、ひたすらに足を引っ張りおってェ!』
鬼は正しく地獄の鬼めいた形相を浮かべながら、ハンドルを握り締めていた。
なお、彼が運転しているのは俗にアメリカントラックと呼ばれている大型トラック。
『一応武器はありますぜ!』
その上にトラックの荷台に複数名程立っているのが伺える。
彼らは――RPGとかAKなどの銃火器を構えており、安全装置も外していた。完全に臨戦態勢の構えだ!
『運転変わりますぜ、中将殿!』
『任せたぞ、二等兵!』
運転を元軍人系ヤクザへ任せ、中将殿は荷台に立つ。そして手に馴染ませる様に鞭をバシバシと叩きながら、中将は臨戦態勢の構えを取る。

『やっと見つけました、ここが年貢の納め時ですよ。』
★アドリブ可、共闘可
■心情
見つけられるか不安でしたが、無事発見できたようですね。
あとはこれを仕留めるのみです。
(AKやRPGに目を向け)こんなものまで持ち込んでいるとはますます捨て置けませんね。
使われる前に対処できてよかったです。もっとも倒し切らねば元の木阿弥ですが・・・
■行動
相手の移動ルートから先回りして、高速道路の看板に待機、通過タイミングを見計らって跳躍して荷台に飛び移ります。着地の衝撃は転がりつつ刀を荷台に突き刺して打消し、そのまま流れるように仕掛けます。
荷台の中にいるのか外かはわかりませんが、中なら扉を刀でこじ開けて侵入します。
外にいるならそのまま戦闘開始です。
敵の頭数が多い(式神鬼のこと)なら、|こちらは手数《√能力≪閃光刃≫》で勝負です。
2,3手は斬りかかりつつ様子を伺いますが、隙を見て≪閃光刃≫を使います。
これで倒しきれるとは思えないので、他の方と合わせつつ、さらに攻撃。
隙ができるか、もしくはここ一番のタイミングで≪絶禍≫で更に追い込みます。
これで倒せれば良いのですが、そう甘くもないでしょう・・・
トラス型情報板の上に陣取る形で、鳳・楸(|源流滅壊者《ルートブレイカー》・h00145)は今か今かと件のトラックを待ち構えていた。
寒風吹き荒れる中での待機は実に辛いモノである。しかし、その耐え難きを耐えた故か、どうやら例のトラックはやって来た。
「見つけられるか不安でしたが、無事発見できたようですね」
コンボイトラックは鳳が居る標識の上を通り過ぎようとしていた。すると彼女は唐突に柱から飛び降りて、刀を構え荷台へと飛び降りる!
衝撃を回転で受け身を取りながら、トラックの荷台に刃を突き立て急停止!
『石蕗妖鬼衆――構えェ、筒!』
しかしその隙を逃してくれないようだ。中将は鬼の式神とヤクザ共に発砲命令を下す。
『了解ィ!』
号令と共に放たれるは銃火器による合唱だ! 手持ちの銃器をマガジンまるまる一つも使い切る程に、一斉にぶっ放す! 更にRPGの弾頭まで放たれた!
AKやらUZIが弾幕を張り、足を止めさせ、RPG-7で隙を突く。そういう布陣であったのだろう。成程、実に合理的である。”普通”であれば死ぬだろう。緊張の糸が切れたのか、ヤクザ共はどこか呆けた表情で硝煙漂う周囲を見渡していた。
しかし、中将は忌々し気に硝煙の向こうを睨んでいる。
『やってないな……!』
突然、向かい風が吹いた。それと同時に硝煙が晴れてゆく。
彼女は――無傷である! 高速で振るった刀とその剣圧で銃弾から難を逃れたのである!
『――!』
中将は式神の指揮にリソースを割いてしまった。そんなもんだから、彼は現在無防備である!
『やべ――!』
咄嗟に式神を手元に呼び寄せんと声を出そうとした。しかし、声を出すよりも居合の構えで走って来る鳳の方が素早い!
『防御たいせ――!』
その時、車上に一筋の風が通った。一つ遅れて、中将が胸を抑えて倒れる。
絶禍による目にも止まらぬ一太刀は中将の急所を切り裂いたのだ!
『このガキっ!』
しかしヤクザたちはどうやらようやく理解が追い付いたようだ。彼らは銃を構え、迷わず発砲し始める!
ショットガンにアサルトライフル、中には機関銃まで持ち出してはたった一人の少女をハチの巣に変えんとばかりに弾幕を展開!
しかし小柄な体型とちょこまかと動き回られては当たらない! それどころか、閃光めいて振るわれる刃によって銃は次々と道路へと弾き飛ばされてゆくではないか!
『あっ、やったなコイツ!』
今度はドスを構えて突撃をかます。しかしこれも閃光刃に弾かれて、無力化してしまった。
「ここが年貢の納め時ですよ」
刀を徐に構える。動けば斬るぞと暗に伝えながら。
『……チッ、娑婆の空気も吸い納めってか』
ヤクザ共は大人しく、武器を手元から降ろし始めた。どうやら彼らは引き際を弁えているようだ。
しかし、彼らの視線は中将へと向いている。心配している様なものでは無いようだ。
『おのれぇええ……やりおってぇ……!』
中将殿は呻き声と共に恨み言を放っている。しかし、鳳によって呆気なく拘束されてしまった。こうなってしまえば、ほぼ瀕死の中将に出来るのは愚痴のみだろう。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

やーっと見つかったか、石蕗のオッサン。と、その部下ども。
まだまだ逃げるつもりだってことだから、ここで取っ捕まえないとな。
そんじゃあ、オッサン共のシケた面ごと、オレのイカしたアートに変えてやるぜ!
相手は複数名で協力してるってことなら、全員吹き飛ばしちまうのが派手でイカしてて楽しいよな。
『アタッシュケース』からいくらかの檸檬型の『ガラス細工たち』を取り出す。
トラックの荷台に集まっているなら、都合が良いな。
トラックに向けてガラス細工を投下。
そのまま【フルーツサイダー(大盛)】を発動!
《爆破》による攻撃が2回攻撃かつ範囲攻撃になるぜ。
【魔獄刑場】だかなんだか知らねぇが、全部吹き飛ばす!
「やーっと見つかったか、石蕗のオッサン……と、その部下ども」
橘・創哲(個人美術商『柑橘堂』・h02641)はいつの間にやら、トラックの荷台に乗り込んでいた。
石蕗中将は橘の存在を認めると、鞭を構える。周囲のヤクザ共も銃口を向けた。
『貴様は――|退廃《デカダン》派の退廃芸術家かッ!』
その一言に橘は若干不機嫌そうな表情に変わった。
「シケてんなあ。相も変わらず……だからよ」
彼は徐に黒のアタッシュケースを置いた。その動きを見た中将は大声で叫ぶ。
『発砲を許可する!』
しかし、彼らが|安全装置《セーフティ》を外すよりも速く、
「オッサン共のシケた面ごと、オレのイカしたアートに変えてやるぜ!」
檸檬を模したガラス細工は投げられた。そのガラス細工は弧を描いて飛んで行き――パリンと割れる。その次に閃光と熱風がヤクザ共を襲う!
「魔獄刑場だかなんだか知らねぇが、全部吹き飛ばす!」
フルーツサイダー(大盛) による範囲攻撃は車体諸共巻き込んで、弾薬箱やらガソリンにも誘爆してゆく!
血を思わせるどす黒い赤色に輝く魔獄刑場は炎の橙色と黒煙に包まれた!
『橘……橘創哲ゥ!』
中将は炎に包まれながらも、憎き芸術家を睨んでいる。それこそ鬼めいた形相で。
「今すっごくイカシてるぜ、おっさん!」
しかし当の本人はその様子を称賛していた。
これがアートだ、芸術だ。そんな思いが胸を占めているのかもしれない。
🔵🔵🔵 大成功

東條・時雨 (h05115)と同行。
アドリブ、アレンジ大歓迎。
東條の運転する兵員輸送車から飛び降り戦闘に参戦。
まったく、|東條《所長》の準備が整ってなかったせいで遅れてしまったようだね……。
遅ればせながら加勢しよう!
√能力|我、明王の化身と為りて《フシャクシンミョウ》を発動し、さらに喧嘩殺法、限界突破
、見切りを活用しながら接近戦を仕掛ける。
√能力発動中に使用可能な倶利伽羅剣・抜刀は捨て身の一撃、怪力、鎧砕き、傷口をえぐるを併用してたたきこむ。

九・白 (h01980)と同行。
WIZで参戦。
アドリブ、アレンジ大歓迎。
兵員輸送車を運転しながら現場に到着。
急に車を出せと言うから何事かと思ったらこう言うことかよ……。
しゃーない。できるだけの援護はしてやるよ!
兵員輸送車を遮蔽とし、さらにエネルギーバリアを展開して身を守りながら対戦闘機械群用量産型PDWで射撃を行う。
制圧射撃で弾幕を張り、援護射撃や牽制射撃で石蕗中将の動きを制限する。
鬱陶しいとは思うけどよ、俺なんかに気を取られて大丈夫かよ?なぁおい!?
「急に車を出せと言うから何事かと思ったらこう言うことかよ……」
東條・時雨(東條探偵事務所の所長。・h05115)はトラックの荷台に立っている武装ヤクザたちを見て、合点がいったらしい。
RPGにAKを構えたヤクザ共が兵員輸送車に銃撃を浴びせてくるのであれば、エネルギーバリアが無ければ危ういだろう。
走行中に高速道路の壁が吹っ飛ぶのを見れば手痛い出費も必要経費と言い切れる。
東條探偵事務所はただでさえ閑古鳥が鳴いている状況であるが、それでも現状の解決に必要な経費である。所長は何度も頭の中でそう言い聞かせている。
「まったく、|東條《所長》の準備が整ってなかったせいで遅れてしまったようだね……」
茶化す様に九・白(壊し屋・h01980)はトラックを眺めながら呟いた。重武装のヤクザ共と血を思わせるどす黒い赤色に輝く魔獄刑場。それが荷台の上に広がっている。
そして九は徐に所長を見た。無言のうちに彼の瞳が「やれ」と言っている。
「しゃーない……できるだけの援護はしてやるよ!」
対戦闘機械群用量産型PDWにマガジンを差し込んで、トラックへ向けてぶっ放す!
『えぇい、反撃だ! あの車両を近づけるな!』
車両の上に壊し屋が立っている事に中将は気が付いていた。中将の号令に合わせ、ヤクザ共もマガジンから弾が無くなる勢いでぶっ放す!
しかし単なる銃弾ではエネルギーシールドは貫けない。RPGの弾頭もエネルギーシールドに波紋を作るだけである。
更にエネルギーシールドの内側から制圧射撃が飛んでくる始末! 中将は忌々し気に舌打ちする他ない。
「鬱陶しいとは思うけどよ、俺なんかに気を取られて大丈夫かよ? なぁおい!?」
ズゥン。荷台から鈍い音が響いた。ヤクザ共はその方を見る。
「|我、明王の化身と為りて《フシャクシンミョウ》……」
――そこには不動明王の化身を纏わせた壊し屋が立っている。その姿に妖怪共は息を飲む。握り締めているグリップが激しく震える。
恐れているのだ。仏の後光に――その修羅めいた姿に!
『構えろ――修羅が……修羅が来るぞ!』
その一言を皮切りに、彼らは引き金を引いた! 怒涛の勢いで銃弾は不動明王へと殺到してゆく。しかし、九は怯まない。それどころか、ゆっくりと歩いてくる。
『来る! 来る! こっち来る!』
『恐ろしい! 恐ろしい!』
彼らは恐怖で震える手で必死に銃器を握り締め、引き金を引き続けていた――が、カチリカチリと嫌な音が耳に付く。銃声は止んでいる。弾切れだ。
『あ……』
明王は立っている。目の前だ。しかし、恐怖で失禁する前に慈悲の拳が彼の意識を刈り取った。
『明王……貴様も人の味方かッ!』
鬼は煮えたぎる怒りで鞭を振るう。しかしその動きには覇気がない。彼はすっかり腰を抜かしているのだ。
その一言に答えを返す事もなく、九は倶利伽羅剣・抜刀の構えを取った。
『貴様……後悔するだろう! 所詮根から分かり合えぬ事を理解せん故に!』
その捨て台詞を吐き捨てた直後、黄昏色の炎を纏った卒塔婆が叩き込まれた。その一撃をもろに食らった中将は一つ呻き声を出して動かなくなった。
「分からないからって殺すのはダメだよ」
彼はそう呟いた後に、羂索で倒れたヤクザ共を取り押さえてゆく。幸運にも全員生きている。こっぴどく傷がついているが、彼らに残る傷は心的外傷ぐらいだ。
中将もタフなもんで、運よく生きている。これなら、彼も豚箱行きに出来るだろう。
「ふう……報奨金とか出ると良いが……」
所長は静かに呟いた。燃料に弾丸と、一体いくら使ったのだろうか。
今月の家計簿が赤くならない事を切に祈っている。ハンドルを握りながら。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功