シナリオ

11
呪宴を視る

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 伊藤政夫にとって、娘の加奈子は最後に残された家族だった。

 妻の浮気が原因で離婚してからも、仕事に追われる毎日も、家へ帰れば加奈子がいる。それだけで耐えられた。

 だからこそ、十歳でその加奈子を喪った後の家は、住み慣れているはずなのに酷く広く感じられた。

 食卓に向かい合う相手はいない。廊下の向こうから足音が聞こえることもない。何気なく名前を呼びそうになるたび、返事など二度と来ないという現実だけが胸の奥を抉っていく。

 そんな夜、テーブルへ伏せていたスマートフォンが短く震えた。
 政夫が何気なく手に取り、画面を返す。暗い室内へ浮かび上がったのは、見覚えのない広告通知だった。

『亡くなった大切な人に、もう一度会いたくありませんか?』

「……なんだよ、これ」

 悪趣味な広告だと吐き捨てながら、通知を消そうとした指は止まっていた。

 表示されたアプリの名は『Re:Member』。

 死者の名前と写真を登録すれば、その者と再会できるという。仕組みらしい説明はなく、到底まともなサービスには思えない。

 それでも、だとしても。
 疑う理性より、もう一度会いたいという願いが勝った。

「加奈子……」

 藁にも縋る思いでアプリをインストールする。起動後に求められたのは、会いたい死者の名前と一枚の写真だけだった。

 震える指で娘の名を入力し、ストレージに残っていた写真を読み込ませる。

『伊藤加奈子』

 確認画面の先には、一つのボタンだけが表示された。

『儀式を実行する』

 迷いはなかった。
 指先が画面へ触れた途端、スマートフォンの光も、室内に残っていた僅かな明かりも一斉に消えた。

「……え?」

 僅かな暗転を経て視界を取り戻した時、そこに先程までの自宅はなかった。

 淡い色の壁紙。小さな机。棚へ並ぶぬいぐるみ。十歳の少女が暮らす部屋を思わせる一方、窓には太い鉄格子が嵌められ、壁の一部は冷たいコンクリートへ変わっている。子供部屋と監獄を無理矢理縫い合わせたような、歪な空間だった。

 そして、その中央に少女が佇んでいる。

「加奈子……?」

 見間違えるはずがない。

「加奈子! 加奈子ぉっ!」

 堪え切れず駆け寄り、小さな身体を抱き締める。腕の中に確かな感触がある。その事実だけで喉が詰まり、涙が頬を伝った。

「ごめんな……! 父さん、ずっと……ずっと会いたかった……!」

 返事の代わりに、肩へ鋭い痛みが突き刺さった。

「ぐぁあああああっ!?」

 少女の歯が肉へ深々と食い込み、衣服の下へ生温かな血が滲む。反射的に身体を引き剥がした政夫が数歩よろめいた。

「な、何するんだ……加奈子……?」

 娘の口元は赤く濡れていた。怒りも涙もなく、何の感情も浮かばない眼差しだけが政夫へ向けられている。

 少女が一歩、距離を詰めた。

「ひっ……!」

 本能に突き動かされるまま扉を押し開け、廊下へ飛び出す。

 そこにも知っている自宅はなかった。異様に長い廊下には鉄格子と重い扉が連なり、階段を下りたはずなのに二階へ戻る。曲がった先で同じ場所へ辿り着く。

 それでも、壁の時計や棚、柱に残った古い傷には覚えがある。

 間違いなく自宅なのに、知っている家とはまるで違っていた。

 背後から響く、小さな足音。
 部屋へ逃げ込んでも、別の廊下へ駆けても、気付けば加奈子がいる。

 逃げる。
 追われる。
 また逃げる。
 いる。いる。いる。冷たい目で、どこにでも。

 やがて混乱する頭に、一つだけ希望が浮かんだ。

(玄関だ……玄関からなら!)

 乱れた呼吸を引きずりながら駆け続け、ようやく見覚えのある玄関へ辿り着く。

「あった……!」

 震える両手でドアノブを掴み、勢いよく回した。

 開かない。

「なんでだよ……!」

 押しても、引いても、微動だにしない。

「開けよ! 頼むから開いてくれぇ!」

 何度もドアノブを捻るうち、背後の足音が消えた。

 恐る恐る振り返った先で、加奈子が立っていた。
 小さな手には、鈍い光を返す刃物が握られている。

「や、やめろ……」

 政夫の背が扉へ張り付く。

「加奈子……父さんだぞ……!?」

 答えはない。
 少女は血に濡れた口元を動かすことなく、刃をゆっくり持ち上げた。

 ●

「ここまでが、ボクの見た√汎神解剖機関で起きる事件の予知だよ」

 水瀬・恋眞の言葉を受け、集まった√能力者たちの間に僅かな沈黙が降りる。

「予知の後で調べてみたらね、死者に会えるっていう闇アプリが一部で出回ってるみたいなんだ。その名前が『Re:Member』」

 大切な人を亡くした者へ広告を送りつけ、名前と写真を登録させる闇アプリらしい。ネット上には「本当に会えた」という体験談も残されていた。

「けど、今回の予知と、これまで出てる体験談が食い違ってるんだよねぇ。噂を調べても、死者に襲われたって話は出てこなかったんだ」

 だが今回の予知では、自宅が牢獄じみた異界へ変貌し、加奈子らしき少女が政夫を執拗に追い回している。

「この事件、予知の範囲では見えなかった何かがあるのかも」

 目の前の加奈子らしき存在を退ければ終わる、と考えるには不明な点が多過ぎた。

「みんなが入る頃には、政夫さんはまだ玄関へ追い詰められる前で、家の中を逃げ回ってるはず。まずは彼を探して。それと、異界化した家そのものも調べてもらいたいんだ」

 差し出された紙には、異界化する以前の伊藤家の間取りが印刷されている。スマートフォンを持つ者には同じデータも送信された。

「中はかなり変わってるけど、元の家がベースにはなってるみたい。調査する時の目安にはなると思うよ」

 侵入地点は玄関口。
 ただし、一度足を踏み入れれば、異界が消えるまで外へ戻れない可能性が高い。

「何が待ってるのか、ボクにも全部は分からない。でも、みんななら真相を突き止めて、ちゃんと解決してくれるって信じてるよ」

 恋眞は最後にいつもの笑みを浮かべ、√能力者たちを見回した。

「おねがいね!」

 こうして彼らは、死者との再会が待つ伊藤家へと向かうのだった。
これまでのお話

第3章 ボス戦 『青い流れ』


POW 意図的に仕組まれた清らかな幻想
自身の右掌で触れた√能力を無効化する。
SPD あらかじめ用意された美しい理想
他√を「自身の現在地と同じ場所」から観察し、視界内の1体に【外的要因による】ダメージを与える。
WIZ 生きるという事象に取り憑かれる
【人類へ問う純粋な疑問】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【解答に適した仮想空間】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
イラスト 函田実烏
√汎神解剖機関 普通11

 ●

 異界の崩壊とその直後に行われた再構築が確認された。

 実行者が支配権を取り戻した影響により、管理権限の一部にも異常が発生している。
 新たに再構築された空間だけが外界から切り離され、従来使用していた観測経路も遮断された。

 外界からの観測継続は不可能と判断。
 外界活動用の肉体を使用し、再構築された空間へ直接介入することで観測を継続する。

 観測対象:実行者

 被害者による加虐行為で恐怖と怒りが蓄積し、精神負荷は異常域へ移行している。
 外来者による救助を受けた後、肉体にも明確な怪異化が発生。暴走の開始と同時に、異界に対する支配権を取り戻した。

 管理権限を介して被害者の核を察知。自身の殺害を目的として構築されていた異界を破棄し、新たな空間への再構築を実行している。
 再構築後は被害者を同一空間へ召喚し、殺害を目的とした戦闘を開始。

 現在の実行者には、人として状況を判断し、行動を選択する意思が認められない。
 被害者を偽物として排除する衝動が、その他すべてに優先している。

 人としての意思を完全に手放したものと判断。
 以後は自動化した怪異として扱い、実行者単独を対象とした観測を終了する。

 観測対象:被害者

 被害者の行動原理は二種類に分けられる。

 自身が実行者に対して優位な状況では、長期間にわたり蓄積した憎悪によって加虐性が増大。
 自身が受けた苦痛を疑似的に再現した後、実行者を殺害しようとする行動を繰り返していた。

 しかし外来者による介入によって、被害者が脅威と認識する対象が増加。実行者以外にも攻撃性を向け、妨害する外来者の排除を開始した。

 その過程で、複数の変化が確認されている。
 外来者による呼び掛けと過去記録の再生を受け、それまで埋没していた自己認識が表出。それを核とする特別個体が形成された。
 外見もまた、拉致された当初の幼い姿から現実に存在していた後年の姿へ近付いている。

 ただし、自己認識の表出によって対話が可能になったわけではない。
 長期間にわたって形成された心的外傷と実行者への恐怖が強く残存し、現在も正常な意思疎通は困難。
 実行者が異界の支配権を取り戻した後も、被害者は奪取した管理権限の一部を維持している。

 現在の異界は、実行者と被害者が管理権限を分有する状態であるが、両者に協調関係は存在しない。
 被害者は実行者への恐怖と殺意を優先し、恐慌状態のまま分裂体と共に戦闘を開始。目的は実行者の殺害にある。

 だが、その行動はパターン化されており、思考放棄しての単調な行為の繰り返しでしかない。
 殺したいと殺されたくないの欲求に従い、今後も同じルーティーンを繰り返すだろう。

 人としての意思を完全に手放したものと判断。
 以後は自動化した怪異として扱い、被害者単独を対象とした観測を終了する。

 観測対象:外来者

 実行者による異界破棄の影響を受け、外来者と例外者は虚無空間へ落下した。
 現在位置は世界と世界の隙間。上下も距離も方向も通常の意味を持たず、|無《・》という概念によって満たされた領域を漂流している。

 外来者によるこれまでの介入は、実行者の怪異化と被害者の自己認識の表出を促した。
 さらに、虚無空間を隔てたまま観測者そのものを察知した外来者も確認している。

 さらなる介入を促すため、虚無空間内において情報統合を実行。
 各所で外来者が個別に得た情報を相互に共有させ、これまで観測側のみが保持していた情報の一部も付与する。

 処理の完了後、保持している管理権限によって外来者を再構築された異界へ移送。
 観測を継続する。

 観測対象:例外者

 外来者による介入を受け、自身が生者ではないことを認識した。
 異界に対する影響力そのものには大きな変化がなく、現在も他の観測対象より小さいままである。

 ただし、実行者による被害者への認知が変化したことで、例外者の相対的な影響度は上昇した可能性がある。
 現在は外来者と同様、虚無空間を漂流中。

 実行者に関する情報を認知させ、それによって生じる変化を確認。
 その後、管理権限を使用して例外者を外来者と同時に再構築後の異界へ移送する。

 観測を継続する。


 貴方たちは何を成しますか?
 私は『視て』いる。

 ●

 暗闇だけが満ちていた。

 落ちたはずなおに、気が付けばどちらが上なのか判別できず、まだ落下しているのか静止しているのかさえ分からない。
 音も匂いもなく、肌に触れる空気すら感じられない。五感を失ったというより、感覚によって世界を捉える仕組みそのものが存在していないようだった。

 そんな|無《・》の中へ、唐突に映像が流れ込んできた。

 それは各々が直接目にした記憶だ。
 伊藤家の各所へ散っていた√能力者たちが、それぞれ異なる場所で触れた過去。それが区切りの境界を失い、互いの意識の中で共有されていく。

 蜘蛛のヒーローへ扮した政夫が、公園にいた星野美佳を連れ去ったこと。

 少女の髪を切り、亡くなった娘へ少しでも近付くよう外見を変え、『加奈子』として振る舞うことを強いたこと。

 家の中へ閉じ込め、家族や友人を含めた外界との繋がりを絶ったこと。

 年月が過ぎ、美佳が成長するほど十歳で亡くなった加奈子との差異が広がり、それを目にするたび政夫の言葉と扱いが苛烈になっていったこと。

 そして十五歳の誕生日、その違いに耐えられなくなった政夫が浴室で美佳の命を奪い、亡骸までも切り刻んだこと。

 別々の場所で得られていた記憶が一つに繋がっていく。一人の少女から何が奪われ、その人生がどのように壊されたのかが、否応なく全員の中へ刻み込まれていった。

 だが、それで終わりではなかった。
 彼らの誰も見ていないはずの光景が、続けて暗闇の中に浮かび上がる。

 ●

 浴室には、濃い血の臭いが残っていた。
 床も浴槽も赤黒く汚れ、政夫の衣服にも血が染み付いている。それを拭おうとする様子はなく、つい先ほどまで使っていたノコギリさえ意識の外へ追いやられていた。

「加奈子。加奈子どこにいるんだ。探さないと、加奈子を探さないと。本物の加奈子、加奈子、加奈子、どこにいるんだ加奈子……」

 返事のない浴室で、娘の名だけが繰り返される。
 偽物の処理は終わったのだから、次は本物を探せばいい。どこかへ消えてしまった加奈子さえ見つけられれば、また二人で暮らせる。今度こそ何も間違えず、以前のような穏やかな日々を取り戻せる。

 血と肉片に囲まれながらも、その確信だけは微塵も揺らいでいなかった。

「俺は諦めないぞ、加奈子……!」

 政夫が決意を口にした直後、つい先ほどまで誰もいなかったはずの浴室に、一人の女が立っていた。
 腰を越える長い黒髪。青白い光を帯びた装いの周囲には、細い光の環や回路を思わせる模様が浮かび、周囲の一部は空間が歪んだよう不規則に揺れている。

 姿だけを見れば人間の女性だった。
 しかし、その顔には敵意も好意もなく、こちらを見つめる瞳にも感情の揺れがない。
 薄っすらと浮かぶ笑みにすら人間味を感じられなかった。

「初めまして。お久しぶりです」

 初対面と再会を同時に告げる矛盾した挨拶にも、女は何の違和感も示さない。

「な、なんだお前は。どこから現れた!?」

「私は貴方を観測しています」

「は?」

 返事は返ってきた。それなのに、政夫が尋ねたことには何一つ答えていない。

「貴方は何を成すのですか?」

 今度は逆に問いを向けられ、政夫の困惑が深まる。

「生きている意味があるはず。生まれた意味があるはず。ならば逆説的に、存在の意味とは何かを成すということ」

 女は政夫の反応を待たず、定められた文章を読み上げる装置のように淡々と言葉を続けた。

 意味は分からない。
 それでも、目を逸らしてはいけないような感覚が本能の奥へ薄く張り付いていく。同時に、今すぐここから逃げなければならないとも感じていた。

「わけがわからん……!」

 政夫に理解できることは一つしかなかった。
 この女は、浴室で自分が何をしたのかを見たのだ。

「うおおおお!」

 隠したい事実を知られた焦りと、正体の掴めない存在への恐怖に突き動かされ、政夫はノコギリを振り下ろした。
 けれど、刃は女へ届かず、何もない空間だけを切る。

「貴方は次に何を成すのですか?」

「なっ……!?」

 背後から声が聞こえた。
 振り返ると、女はまるで最初からそこにいたかのように立ち、変わらない眼差しを政夫へ向けている。

「くそ、見るな! 俺を見るな!」

 もう一度斬りつける。しかし結果は変わらない。何度刃を向けても傷一つ付けることができず、女の表情にも声にも揺らぎは生じなかった。

「いいえ、私は視ています。貴方が何を成すのか。貴方の存在意義を。ずっと貴方を観測しています」

「ずっと……だと……!」

 荒い呼吸を繰り返していた政夫が、その一語にだけ明確な反応を示した。

「はい、ずっと」

「ずっとって、いつからだ!」

 女の次の言葉を待つこともできず、政夫が怒鳴る。

「私はずっと視ています。三分前に終了した解体も。四時間前の殺害も。一年前の折檻も。二年前の暴力も。三年前の虐待も。四年前の矯正も」

「ふざけるなっ……デタラメを言うな!」

 あり得るはずがない。この女が家の中にいた記憶など一度もなく、誰かに生活を覗かれていた形跡もなかった。
 それなのに、あり得るはずがないと思っている政夫の顔から血の気が引いていく。信じようとしている自分がいる。

「五年前の娘の死亡による嘆きと、星野美佳の誘拐も」

「はっ? ……違う」

「六年前の溺愛も。七年前の離婚も」

「違うだろ! 加奈子は死んでない! どこかに消えたんだ!」

 声を荒らげる政夫とは対照的に、女は表情一つ変えなかった。

「貴方の娘は死亡しました。貴方はそれを理解していない振りを続けている」

「違う! 嘘をつくな!」

「私は貴方を観察しています。貴方が星野美佳を誘拐する前に、加奈子の映るデータをすべて抹消したことも。遺影は処分できず、押し入れの奥に仏壇と共に収納したことも」

「あっ……違っ、ち、が……」

 違う。違う嘘だ違うはずだ。違うにきまってるだろそんなことあるはずないあるはずないんだ。なのに何で記憶がある。思い出すないはずのことを、したことを思い出す。嫌だ嫌だ嫌だ俺はそんなことをしてない。俺はただ加奈子と一緒にいたかっただけ

「彼女が最後に握っていた写真も、まだそこに」

「やめろっ!」

 指をさす女の言葉を遮って叫んだ。
 やめろ違う。浮かんでくるな。思い出すな。思い出してなんかない。

 加奈子の写った写真を消し、動画も削除した。
 娘が生きていた痕跡を見えない場所へ追いやった。
 遺影だけは捨てられず仏壇と共に押し入れの奥へ仕舞っている。

 そんなことをしたはずがない。
 覚えていないのだから、していない。してない。してない。してない。思い出したくないやめて。違うから。

 なんでそんなこと言うんだ。俺は違うって言ってるのに、なんで見つめる。視るんだ。視るな。やめて。やめてください。

「私は『視て』いる」

「うわああぁぁああああぁあぁああああ!」

 ノコギリが床へ落ちた。
 女へ背を向け、血に汚れた浴室から逃げ出した。どこへ行くのかさえ考えず、ただその視線から遠ざかろうと家の中を走る。

「貴方がどこに逃げようと、私は『視て』いる。目を閉じても、耳を塞いでも、口を閉ざしても、それを貴方の行動として観察しています。次は何を成すのですか? 貴方の命にはどのような意味があるのですか?」

 ●

 それから、どれほど時間が経ったのか。
 政夫は和室の隅で膝を抱え、目を固く閉じたまま両耳を塞いでいた。
 見なければいい。聞かなければいい。余計なことは口走るな。何も考えず自分の中へ閉じ籠もってしまえば、あの女からも自分が何をしてきたのかという記憶からも逃げられるはずだった。

 それでも、瞼の向こうから視線を感じる。

 姿は見えない。声が本当に響いているのかさえ、もう分からない。

 それなのに問いだけは消えなかった。

『貴方は何を成すのですか?』

 現実から逃げたかった。

『私は貴方を視ています』

 けれど突きつけられる。

『これまでも』

 過去を突きつけられる。

『これからも』

 突きつけられ続ける。

『私は貴方を視ています』

 責められているわけではない。裁かれているわけでもない。

 だからこそ、逃げる先がなかった。
 怒りを向けられるなら、相手を憎み返すこともできる。罵倒されるなら、嘘だと叫んで耳を塞ぐこともできる。

 しかし女は、ただ観察しているだけだった。
 政夫が何をしたのか。何を忘れ、何を否定し、何から逃げようとしているのか。それらを善悪の言葉に置き換えることすらせず、起きた事象として視続けている。
 拒んだところで、この先の自分まで観察される。

 そこに在るのは、嘘のない観測の結果だけ。

 男は狂っていた。
 娘を失った現実を受け入れられず、一人の少女を攫った。名前も家族も自由も奪い、自分の望む娘に作り替えようとした。最後には命まで奪い、死後の身体を切り刻んだ。

 そこに酌量の余地などない。
 それでも、その狂気は|人の域《・・・》にあった。

 喪失を恐れ、現実を拒み、自分に都合のいい記憶へ逃げ込む。それがどれほど歪んだ行為へ繋がろうとも、根にあるものは人間の感情だった。

 対して、男を視続ける『それ』は違う。

 怒りも憎しみも必要とせず、ただそこに在り、変化を観察する。
 理解も共感もせず、それでも目を逸らすことだけはない。

 狂気によって閉ざした世界の外から差し込むその視線は、政夫を否応なく現実へ引き戻してくる。

 そして男は、自分が何をしてきたのかを知る、只人として壊れていった。

 ●

 政夫は、テーブルに伏せていた身体をゆっくりと起こした。

 いつ眠ってしまったのかは覚えていない。一人で食事を済ませた後、仕事の疲れと何もする気になれない倦怠感のまま、いつの間にか眠り込んでいたようだ。

 薄暗い部屋を見回しても、他に誰もいない。
 そんな時、最初に思い浮かぶのは決まって娘のことだった。

 ――ああ、加奈子……ごめんな……俺のせいだ……ちゃんと家に帰っていれば……。

 もう何百回繰り返したのか分からない後悔へ沈みかけたところで、伏せて置かれていたスマートフォンが短く振動した。
 政夫が端末を手に取ると、見覚えのない通知が画面に表示されている。

『亡くなった大切な人に、もう一度会いたくありませんか?』

 それを見つめる彼の背後。
 和室の梁から一本のロープが下がり、その下には倒れた椅子がある。

 そしてその先には、一人の男が力なく吊り下がっていた。

 伊藤政夫。

 正確には、|生前に政夫だった男《・・・・・・・・・》の亡骸が、そこにあった。

 ●

 何も存在しなかった暗闇の中に、遠くから滲み出すような光が生まれる。

 √能力者たちの身体が、その光へ引き寄せられていく。
 やがて音が戻り、身体の感覚も蘇った。
 足裏に確かな床の硬さを感じた時には、別々の場所から虚無へ落とされた者たちが揃って一つの広大な部屋に立っている。

「二人とも無事!? ……っていうか、全員集合してるみたいね」

 リリンドラは真っ先に左右へ目を走らせ、リズと結の姿を確かめた。
 空間が崩壊した際には、二人を掴んだまま真竜化して飛ぼうとしたものの、あの暗闇では√能力そのものが発動しなかった。

 その周囲でも、それぞれが近くにいる仲間へ声を掛け始める。

「エアリィ嬢、無事かい?」

「うん、加奈子さんは……」

 紫水とクラウスを見つけたエアリィは、答えながらすぐに周囲を見回した。政夫の部屋から一緒に落ちた加奈子はほど近い場所におり、駆け寄って様子を見ると身体に目立った傷は見当たらない。

「良かった、怪我はないかな」

「パパが……」

 加奈子の声は震えていた。
 傷こそなくとも、その顔は青ざめ、今にも泣き出しそうに強張っている。
 虚無の中で共有された記憶によって、加奈子は自分の死後に何が起きたのかを知ってしまった。
 父親は星野美佳を攫い、自分の代わりとして五年間も苦しめた末に命まで奪っているのだと。

 エアリィは少女の傍を離れず、他の者たちも互いに声を掛け合いながら、ようやく自分たちが移された場所へ注意を向けた。

 広大な室内の一角には、伊藤家の和室で見たものと同じ、絞首台を思わせる異様な構造物が残されていた。

 だが、今となっては意味が違って見える。虚無の中で最後に見せられたのは、伊藤家の和室で首を吊った政夫の遺体だ。
 あの構造物は異界が勝手に作り出した処刑場の意匠ではなく、そこで実際に起きた出来事が歪んだ形で現れたものだった。

 つまり、政夫もすでに死んでいる。
 美佳と同じように死後インビジブルとなったものの、一部の記憶を失い、自分自身が死者であることさえ認識しないままこの家に存在し続けていた。

 そして、その構造物の傍には一人の女が立っている。

「初めまして。お久しぶりです」

 初対面と再会を同時に告げる、矛盾した挨拶。
 声の抑揚も、人間らしい感情の希薄さも、先ほど政夫の記憶で見た存在と同じだった。

「もう二度と、会いたくはなかったな」

 クラウスは女を見たまま、苦い表情を浮かべた。彼だけは、お久しぶりが正しく機能する唯一の存在だ。

 クラウスには過去、この存在と遭遇した記憶がある。
 自身の在り方や過去さえ、何かの実験結果を確かめるように観察された不快な経験を思い出しながらも、その視線を逸らすことはしなかった。

「君がこの悪辣な舞台を用意した黒幕かな?」

 紫水はまず根本的な部分を質問した。

「半分はその通りです」

「半分?」

「この舞台の作成には、提供されたシステムを使用しています」

 女はそれ以上の説明を加えない。
 誰かから提供されたシステムを利用した――その事実だけを受け取り、紫水は僅かに目を細めた。

「政夫さんとあの少女はどこなの?」

 続いて結が尋ねると、女は何もない空間へ片手を向ける。

「この空間内にいます」

 伸ばされた手の先から一本の細い線が走り、それを境に前方の景色が切り替わった。
 壁が開いたのでも、映像が映し出されたのでもない。離れた場所に存在していた空間そのものを、こちらへ直接繋いだように見える。

 その向こうでは、巨大な蜘蛛を思わせる怪異と、複数の『加奈子』が激しい戦闘を続けている。

「あの大きい蜘蛛の怪物は……!」

 クラウスが驚きを隠せずに怪物を見つめる。

「あれは少女に襲われた政夫さんが変異した姿です」

 リズが公園で目撃した経緯を簡潔に伝えると、異形の喉から、しゃがれた低い声が漏れてきた。

「偽物が偽物が偽物が偽物が……!」

 人間だった頃の声は大きく崩れている。それでも同じ言葉を執拗に繰り返す様子には、政夫だった男の狂気だけが色濃く残っていた。

「わたしは加奈子です」

 それに対し、機械のような声で応じるのは、少女たちの中で一人だけ成長した個体――七三子とシアニが遭遇した、記憶の中の美佳に近い年齢の少女だった。

 彼女の周囲には、これまで家の各所で戦ってきたものと同じ、幼い姿の『加奈子』たちが無数に蠢いている。

 蜘蛛の怪異が腕を振るった。
 指先をノコギリの刃のように変形させ、成長した少女の身体を深々と切り裂く。
 これまでの黒い分裂体とは違い、傷口から飛び散ったのはノイズではなく鮮血だった。

 ところが、散った血は床へ落ちる前に黒い闇へ変わり、その中から新たな幼い『加奈子』たちが次々と姿を現した。
 傷を負った少女に別の幼い個体が触れると、触れた側の身体が黒いノイズとなって崩れていく。それと引き換えるように、成長した個体に刻まれた深い傷が閉じていった。

 政夫だった怪異は、増えた少女たちを複数の腕で薙ぎ払いながら、なおも成長した個体を狙って進む。
 幼い『加奈子』たちも群がり、手にした黒い刃を異形の身体へ突き立てていくが、裂けた傷は間を置かずに塞がっていった。

 一方を傷つければ新たな分裂体が生まれ、既存の分裂体を取り込めば傷が癒える。
 もう一方もまた、『加奈子』の刃程度では、どれほど攻撃を受けても傷を回復させていく。

 互いに相手の死を望んでいるにもかかわらず、どちらも決定打を与えられない。そんな均衡だけが成立したまま、殺し合いは終わる気配を見せなかった。

「空間の一部を切り離して繋ぎ直しました。貴方たちの介入がなければ、あれらはこの世界で永遠に殺し合いを続けるでしょう」

 女が淡々と告げても、二つの怪異は一度もこちらを振り向かなかった。

 空間が繋ぎ替えられたことすら意識に入らないまま、政夫は『偽物』という言葉を繰り返す。美佳も『加奈子』という名前を唱え続け、互いを滅ぼすためだけの戦いは終わらなかった。

「どうして、政夫さんやあの少女を利用して、こんな空間を作ったのですか?」

 終わりのない殺し合いを前に、七三子が女へ問い掛けた。

 政夫がしたことも、美佳が抱えてきた憎しみも、すでに知っている。
 けれど、その二人をここまで歪んだ形で結び付けた存在が何を望んでいるのかだけは、未だ見えてこない。

 女は少し考える素振りさえ見せなかった。

「特に深い理由は有りません」

「え……?」

 あまりにも簡単な答えに、七三子の声が漏れる。

「観察するためです。貴方たちの思考になぞらえるなら、『興味があった』が一番近いでしょう」

「本当に、それだけ……?」

 その答えを聞いても、理解には繋がらなかった。
 女は政夫に対してそう言っていたのは事実だ。

 しかし、先ほど共有された記憶が事実なら、この女は加奈子が生きていた頃から政夫を観察している。
 娘を失って壊れていく過程も、美佳を攫ったことも、その後に少女に何をしたのかも見続けていた。

 そして美佳が殺された後には、自ら政夫の前へ姿を現した。
 何年にも及ぶ出来事の果てに、今では二人が怪異となって互いを殺し続けている。それだけ長く二人の変化を追い続けた理由が、本当にただ観察したかったからだという。

 それは人間の尺度だとあまりに異常だった。

「観察が目的だったなら、どうして政夫さんの前に姿を現して、アプリを渡したの?」

 続いてシアニが尋ねた。
 見ているだけなら、姿を現す必要はなかったはずだ。
 だが女は美佳の死後、政夫の前へ直接現れ、忘却の中へ逃げようとする彼に過去を突き付け続けた。それが、やがて彼自身の死へと繋がっている。

「観察するためです。『私』という刺激を与えた時、彼という『|事象《そんざい》』が何を成すのか。そしてアプリという新たな刺激を与えた後、何を成すのか。それを観察するためです」

 返答はやはり同じだった。後悔も、自分の行為を正当化する響きもなかった。
 政夫を救おうとしたわけではない。破滅させようとしたわけでもない。

 ただ新たな刺激を与え、その結果として何が起こるのかを観察する。

「本当に深い意味はないのだろう。俺が以前に遭遇した時も、まるで同じだった。きっと、そういう存在なんだ」

 クラウスは苦い表情のまま告げた。
 過去にこの女と遭遇した彼だからこそ、その言葉には実感があった。

 害そうという意志があるから危険なのではない。誰かを不幸にして喜ぶからでもない。
 対象へ刺激を加え、そこから生じた変化を観察するという在り方そのものが、人間にとって害になり得る。

 人の倫理を当てはめて理由を探しても、最初から噛み合う相手ではないのだろう。

「ややこしいのはもう結構よ。あんたがこの胸糞悪い状況を生み出したことに変わりはないでしょ」

 アーシャは議論を断ち切るように言い、女へ籠手と爪を向けた。

 相手が悪意を持っているかどうかなど、今の彼女には重要ではない。
 政夫と美佳を利用し、この異界を動かす一端を担っている存在が目の前にいる。それだけで敵意を向ける理由としては十分だった。

「あんたを倒せば全部終わるわけ?」

「いいえ」

 女は武器を向けられても身構えず、先ほどまでと何一つ変わらない調子で答えた。

「システムは実行者と被害者による浸食を受けています。この空間の消去には、二人のうち、どちらかの消滅が必要です」

 その言葉に、アーシャが眉を寄せる。
 女はさらに説明を加えた。

「ただし、貴方たちの介入は私の権限によって行われています。私を消せば、二人だけが空間に残され、完全に隔絶した世界となるでしょう」

 女を倒せば、この事件を生み出した異界そのものが消えるわけではない。
 ただ現実との接点を失い、政夫と美佳だけが残される。
 先ほど見せられた光景が、その結末を具体的に示していた。

 殺しても再生する政夫。
 傷つくたび分裂し、別の自分を取り込んで再び立ち上がる美佳。

 互いを憎み、どちらも相手を殺し切れないまま、二人だけで外から誰も触れられない世界へ閉じ込められる。
 怪異を現実世界から隔絶するという一点だけを見れば、それも事件の終息とは呼べるのかもしれない。

 しかしエアリィの視線は、怪異たちではなく傍らの加奈子へ向いていた。
 少女は青ざめたまま、父親だったものと美佳の殺し合いを見つめている。

 ――それじゃあ、加奈子さんの心は……。

 自分が死んだと知った直後ですら、父親がこちらへ来なくてよかったと安堵した少女だった。
 その加奈子にとって、父親を永遠にあの地獄へ閉じ込めることが、本当に救いになるはずはなかった。

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【補足情報】

今回は長いため、断章に追記します。

●基本条件
・青い流れ、『わたしは加奈子です』、大蜘蛛怪異(政夫)の三名は、それぞれ√能力者4名分に相当する能力値です。

・下記三名のうち、いずれかが倒されたら、シナリオのクリアとなります。

・『わたしは加奈子です』と大蜘蛛怪異は、√能力者から攻撃や妨害を受けた場合のみ反撃を行います。それ以外では、互いへの攻撃に集中します。

・『神聖竜詠唱』系の√能力は、上記三名+加奈子のいずれかにとって障害・不都合になると判断された場合、失敗もしくは大幅に弱体化します。

・リプレイ後に別途エピローグの断章が入ります。やりたいことなどがある場合は、プレイングに入れていただければ、なるべく拾うようにいたします。
 ただし、リプレイ結果との乖離が大きい場合は採用が難しいことがあります。
 また、プレイングに含めなかった場合でも、エピローグでの出番がなくなるといったことはございません。

・リプレイは参加者全員のプレイングから執筆(全体一斉返却)されます。各プレイング間で選択や行動に矛盾が生じる場合は、MS判断で採用内容を決定します。


●青い流れ
・EDENたちの観察が目的。
 自発的に戦闘を行うことはありませんが、攻撃された場合は『刺激』を目的として通常どおり反撃します。

・この場において最も強い個体ですが、主目的が観察なので戦意が低く、他二人と同程度になっています。

・与えたダメージ総量によって、青い流れのみが知る記憶(本シナリオの追加情報)を得られます。
 ただし、この情報は三章クリアに対してプラス要素になることはありません。
 7割程度のダメージを与えればすべての情報を得られるため、情報のために完全に倒す必要はありません。

・青い流れが、全体の戦闘継続は不可能、もしくは戦闘終了と判断した場合は観測を終了して帰還し、Re:Memberも終了します。この場合も、青い流れが倒された場合と同等の扱いになります。


●わたしは加奈子です

POW:痛い痛い痛い
【幼き日の『加奈子』】を召喚し、攻撃技「【刃物で切り付ける】」か回復技「【本体への融合】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[護霊「プリズマティック・ブルー」]と共に消滅死亡する。

SPD:もうやめて
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【自分を偽る力】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。

WIZ:わたしを×××
攻撃が外れるまで、近接範囲の敵をWIZ攻撃「【血涙を流しながらの薙ぎ払い】」とPOW攻撃「【幼き加奈子たちによる不意打ち】」で交互に攻撃し続ける。


その他:
大蜘蛛怪異からの攻撃を受ける度、幼き日の『加奈子』が複数召喚されます。ダメージが大きいほど召喚数は増えます。
能力は『被害者』と同等ですが、デフォルトで黒い刃物を所持しています。

大蜘蛛怪異が敵対の意思を持つ限り戦闘をやめることはありません。

消滅せず現実世界へと戻った場合は、監禁・虐待された恨みだけが残り『理由を問わず、子供を失った父親を襲って加虐する怪異』となります。
(大蜘蛛怪異も含めて、そういうエンディングになるだけで後日別途シナリオを出す予定は今のところありません)


●大蜘蛛怪異(政夫)
POW:お前は加奈子じゃない
自身の【一段目の左右の腕】がA、【二段目の左右の腕】がB、【三段目の左右の腕】がC増加し、それぞれ捕食力、貫通力、蹂躙力が増加する。ABCの合計は自分のレベルに等しい。

SPD:悪い子はお仕置きだ
命中する限り「【六本腕のいずれか】による攻撃→技能攻撃→[六本腕のいずれか]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。

WIZ:ここは俺と加奈子の居場所だ
【ノコギリ型の指】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【呪いの汚染地帯】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。


その他:
新たに生えた四本の腕(中段を除く二対)をすべて破壊すれば、一度だけ人間の姿に戻ります。

ただし、完全に正気が戻ることはなく、ただ声をかけて説得するだけでは、戦闘を停止させることはできません。
また、常時軽度の『忘れようとする力』が発動しており、攻撃を受けていない間は自動で回復状態となり、破壊した腕も順次復活します。
腕が復活して、再度怪異化した場合、永続的な狂気に陥ります。

消滅せず現実世界へと戻った場合は、『娘に似た少女を探して、異空間へ監禁して娘になるよう支配する怪異』になります。


●加奈子
この場で起きている出来事については、√能力者と凡そ同じ情報を把握しています。

政夫が狂気に陥って罪を犯し、怪異化したことを自分のせいだと受け止め、強いショックを受けています。

また、戦闘の恐怖から動けなくなっています。
(自分から戦場に割り込まないので、基本的には放置しても戦闘には巻き込まれません)