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花火の下、結ばれざるべき『形』
ゾディアック・ミラー
これは2章構成の期間限定シナリオです。09/23(水)16時頃までに完結したシナリオの結果により、宿敵の運命が変わります。なお、期間中に宿敵主によって倒された場合、通常のルール通り宿敵は絶対死します。
●とあるヒーロー達の余白
「まーた緊急の仕事で」
「そう、それはお疲れ様。ジュースくらいなら出すわよ」
俺は近所のお姉さんと偶然出会い、帯同しながら花火大会を見ていた。
此処はマンションの屋上。いわゆる穴場、という奴。
少し会場の屋台で調達してきた屋台飯を片手に肩の力を抜く時間だ。
護った平和の一環であり、美しく彩る光の世界に顔を綻ばせる。
「そちらも急に仕事が増えたりして大変そうね、私も久々の休み」
……彼がヒーローである可能性は承知している。
今手を出せば|厄介者《ヒーロー》が一人消えるかも知れないが、今は休暇の真っ最中である。『監視』とかいう適当な文言を付けておけばきっと『上』も黙ってくれるだろう。
第一無駄に交戦する体力を使いたくもないのだ。
「今日くらいはお互いにゆっくりしましょ? 折角のお祭りだもの」
……二人は秘密を抱えていた。青年は巻き込まない為。女性は正体を晒さない為。
それだけならば、この日常は平穏に終わり、どこかの戦場で彼らが正体を明かし合い、相見えるだけだったかもしれなかった。
……だが、問題はそれを全く関係ない厄介な赤の他人が熱っぽく見ていた事である。
「やだ……凄い映えるシチュエーション……
このまま二人は目が合い、口付けを交わし、結ばれる――
きゃー、ロマンチック!!」
そう、歓喜のような声を上げながら『魔法少女』は矢を番える。
……二人の関係性は一切考慮しないまま。
●禁断の関係とは良く言ったものですが
「いや……ナニコレ……」
有明の祭典を乗り切り、平常運転となった|常磐《ときわ》・|昂汰《こうた》(PN:鉄提鋼戦・h00671)は変な顔をしていた。
傍らには神器『ゾディアック・ミラー』。なんでも新しいネタが湧くんじゃないかとも思って一回『視て』みたらしいが……。その結果描き上がった原稿は。
ヒーローで有ることを隠す青年と、プラグマに与している事を隠す女性の『カップリング』である。
「……そう、本来敵対する宿命にある筈の二人が『強制的に』カップリングされてるんだわ。見た目だけで」
「舞台は夏も終わるこのご時世。お祭りのラストの花火大会の真っ最中。陰謀も特になし。お互いに休暇の真っ最中だったって辺りで『二人とも被害者』ってのは察してくれ。下手人の名前は『魔法少女アンテロス』。……暴力的に言うと見た目だけしか考えてないただのカプ厨なんだよ」
昂汰が頭を抱えるのも無理はなかった。
断じて今から行われるのは人殺しではないのだ。
『当人達の意向』を完全に無視した強制的なカップリング成立行為なのである。
「人殺しとかよりかは遥かにマシなんだけど……そのまんまだとやけに拗れた話が副次的に始まりそうだから、止めてきて欲しい」
現場は何の変哲もないマンションの屋上。護るべき二人以外の一般人(?)は存在しない。状況としてはシンプルだ。二人に√能力が撃ち込まれないように護りながら、アンテロスと相対するという形となるだろう。
ただ、止めるというのも2パターンある。
ひとつは文字通り簒奪者相手としてきっちり『敵対』すること。
もうひとつは『説得』『対話』などでなんとか軟着陸させること。
「どの道この青年とおねーさんはアローを受けないように守らなきゃいけないんだけど、どちらにするかは現場判断で頼むな。困ったら出る前に相談するとかしても良いから」
右上になんかあるだろ? と言いたげな顔をしながらも昂汰は言葉を続ける。
「ただ、こうした行動の積み重ねが、向こうの態度を変える可能性もあるんだ。
俺としちゃ『現場判断』優先って言うけど、後悔しないようにな」
マスターより
逢坂灰斗敵対系カップリング、ただし第三者からの強制介入による。
……|逢坂《おうさか》|灰斗《かいと》です。
今回は見た目だけでカップリングを成立させようとする、
『魔法少女』の所業に介入して頂きます。
【お知らせ】
・このシナリオ群は、09/23(水)16時頃までに完結したシナリオの結果により宿敵の処遇が変化します。
・今回『敵対』選択肢が多数の場合、第二章は『👾集団戦』に移行し、アンテロスのミラーレイヤードに乗り込む流れとなります。
なお此方が完結内容で多数だった場合、アンテロスとは『敵対』関係となります。
・今回『対話』『説得』選択肢が多数の場合、第二章は『🏠日常』となり、√EDENに存在する同じ場所でお祭りを楽しみながらアンテロスと仲良くなる流れとなります。
此方が完結内容で多数だった場合、アンテロスは比較的平和な性格に変わるでしょう。
(※なお、宿敵主様がいらっしゃった場合、通常通り宿敵の処理が行われます。ご注意下さい)
複数人で連携して参加される場合は、連携相手の指定やグループタグの記入を御利用下さい。
それでは、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。
30
第1章 ボス戦 『魔法少女アンテロス』
POW
病める時も健やかなる時も!
60秒間【推しカプへの愛(マシンガントーク)】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【誰かへの恋愛感情を増幅するLOVEの波動】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【推しカプへの愛(マシンガントーク)】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【誰かへの恋愛感情を増幅するLOVEの波動】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD
共に歩み、他の者に依らず!
自身の【推しカプを布教する力】がA、【誰かへの恋愛感情を発生させる愛の矢の威力】がB、【解釈違いを許さない思い】がC増加し、それぞれ捕食力、貫通力、蹂躙力が増加する。ABCの合計は自分のレベルに等しい。
自身の【推しカプを布教する力】がA、【誰かへの恋愛感情を発生させる愛の矢の威力】がB、【解釈違いを許さない思い】がC増加し、それぞれ捕食力、貫通力、蹂躙力が増加する。ABCの合計は自分のレベルに等しい。
WIZ
死がふたりを分かつまで!
【指定した対象2人】に【お互いを思う恋や愛】の感情を与える【LOVEの波動】が、全身から溢れ出し続ける。[LOVEの波動]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
【指定した対象2人】に【お互いを思う恋や愛】の感情を与える【LOVEの波動】が、全身から溢れ出し続ける。[LOVEの波動]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
●屋上から静かに見る筈だった花火
マンションの側の河川敷――そこからは賑やかな歓声が聞こえてくる。
(手出しはするな、と言い含めてあるから大丈夫な筈ね)
プラグマに与するその女は、一人でゆったりと祭りの喧騒を眺めていた。
花火が始まるのももう直ぐだ。この日を楽しみにしていたあの|青年《ヒーロー》も直に此処に来るのだろう。
そうして一人でゆるりと待っていたならば、屋上に入る為の扉が開かれる。
「ああ、いらしてたんですね」
「そうよ。……まさか君、また突然仕事が、なんて?」
へへへ、と笑う青年は見透かされてますね、という風体で屋台飯を袋に下げて足早に近寄る。
「そうなんです、まーた緊急の仕事で」
「そう、それはお疲れ様。ジュースくらいなら出すわよ」
二人は互いに秘密を秘匿しながらも、あくまで隣人として良き関係を表向きには築いていた。そして、いずれ敵対するか、悲劇的な運命を背負うというのがこの世界――√マスクド・ヒーローの常である。
基本的にヒーローとプラグマの『関係者』が密接な関わりを持つ、というのは悲劇しか生み出さない物なのだ。
……だが、この『魔法少女』にそんなこの世界の裏事情など知る由もない。
『魔法少女』に目覚め、対象の『感情』を操作する『魔法』を得た魔法少女は、悲しいことに『カップリング厨』という奴だったのである。
「近所の青年と謎のお姉さん……そうね、これはロマンスの香りよ!!」
屋上の物陰で二人の様子を勝手に見守り、勝手に盛り上がっている少女、アンテロスは興奮冷めやらぬ様子である。
そして花火は上がり始める。美しい光の芸術が二人の頬を彩っていくのが、鮮烈に彼女の脳に焼き付いていく。
「やだ……凄い映えるシチュエーション……」
彼女の脳内は出来上がってしまっている。
最早これを止めるには更なる第三者の介入が必要なくらいに。
「このまま二人は目が合い、口付けを交わし、結ばれる――
きゃー、ロマンチック!!」
アンテロスは自らの『魔法』たる矢を番え、二人に向け引き絞らんとする。
……ひと夏の騒動が、始まろうとしていた。
伊藤・ 毅「ベッタベタなオチは今日日流行らんぞ、まず君が落ち着け」
アンテロスの横にふらりと現れ、よく冷えたスポーツドリンクを差し出し受け取らせることで一度弓矢から手を外させる
「ロマンスの香りは否定せんし、シチュエーションがいいのも認めるが、一つ言いたい、ハピエン中からすると、バットエンドな匂いがするのはNGだ」
「魔法少女でアンテロース神の名を名乗るならなあ、こうせめて、悲恋にならん感じの筋道を立ててから実行したらどうだと、オジサンは思うわけですよ」
オタクの先輩として思うところを語りつつ、この場では思いとどまるよう説得する
「それにね、こういうのはちょっと熟成させるほうが、後々おいしいんだ……」
……説得する
●熟れずの実りは望まれず
「ベッタベタなオチは今日日流行らんぞ、まず君が落ち着け」
「どっどっどっどなた様ァ!?」
|伊藤《いとう》・|毅《つよし》(空飛ぶ大家さん・h01088)の姿はいつの間にか横にあった。
何分一人で派手に盛り上がってる横に知らぬ成人男性がいるもんだから少女には刺激が強すぎるだろう。
というか第一、この魔法少女の性質を考えるに、どちらかというと『やっべぇすげぇ声で喋ってるの聞かれた!?』という感想がメインかも知れない。
差し出されたスポーツドリンクがやけに火照った肌に冷える。
これだけ大声を出したと言うに、言葉は幸いにも花火の打ち上げ音で相殺されて向こうには届いていないらしい。
「ロマンスの香りは否定せんし、シチュエーションがいいのも認めるが、一つ言いたい、ハピエン中からすると、バットエンドな匂いがするのはNGだ」
「えっ、どう考えてもいい雰囲気じゃないですか」
「ノン、どっちも訳ありだろう、アレは」
毅はゆっくりと様子を見据える。だが、アンテロスは若干興奮したままである。
夜空を彩る光彩。つかず離れずの二人の距離は縮まる様子はない。
当然魔法少女は焦れる。興奮する。つい弁舌が回りだす。
「私としてはあれはどこからどう見てもやきもきしている男女関係でミステリアスな近所のお姉さんに突発仕事で多忙を極める青年がそんなに頻度良く会えないのに告白して良いんだろうかとじれる距離感でお姉さんの方はそれをうふふとまるで子供を見るみたいで見つめているようにしか見えないんですよはーたまらんきっとこのまま花火の情景で青年の心がいつにも増して神秘的に見えるお姉さんに踏み込もうってとこでしょうふふふふふ」
「要約すると」
「今 直 ぐ 抱 け」
「……総計過ぎるだろう」
確かにシチュエーションだけ見れば『カップリング厨』からすれば『行けっ、押し倒せっ』などとどっかの鉄格子越しの老人の画像みたいな状況になるのかも知れない。
だが、二人とも距離がある。『意図的に踏み込もう』としていない。
「それはね、互いに事情があるからだ。無論この世界のことだ、下手に関係を持てばそういった悲恋に簡単に転んでしまうだろう」
先程からそれを察知し、ステイステイとアンテロスを制する毅の言葉は続く。
「魔法少女でアンテロース神の名を名乗るならなあ、こうせめて、悲恋にならん感じの筋道を立ててから実行したらどうだ……と、オジサンは思うわけですよ」
「私がキューピッドすることには異論はないと?」
「それ自体にはね、だけど順序ってモンがあると思う」
だから今は待って欲しい、とオタクの先達として彼は告げる。
まだこれは始まりのようなものであり、早期に実らせれば取り返しの付かない事にもなる。
「それにね、こういうのはちょっと熟成させるほうが、後々おいしいんだ……」
「ほう?」
いつの間にかアンテロスはメモを取り出した。カプ厨として様々なバリエーションに熟達すべきという心構えなのだろうか。受け取ったスポドリ片手に彼女は先達の言葉に耳を傾け始める。
……一先ず、直ぐに矢を放つ危険度は下がったものの、彼女のテンションにいつ危険な火が付くかは分からないままだ。
少女の煮え滾る妄想の熱はどこへ向くか。……水面下の戦いは始まったばかりなのである。
🔵🔵🔵
大成功
戸桜・リデル「バニー仮面、ここに参上です」
バニースーツに仮面で正体を隠し開幕√能力使用
(いつ矢を放つかわからない状況と聞きましたが、ひとまずは間に合ったようですね)
「ハートクエイクアロー20倍だーっ!」
ハートクエイクアローを放たれたならアンテロスへは少年バトル漫画のノリで効果を20倍の上に一生続くに変更したものを軌道を弄って突き刺さるように操作、もう一本はアンテロスに言われてこちら側に不利な行動をとらないよう効果を極めて弱くして俺に当たるよう誘導
「これで仲良くはなりましたね」
強制片思いにはしましたがあちらの能力なので非難される理由はないですし
変装してるのでストーカーの怖れもありません
完璧ですね(どやぁ)
●それは丁寧に積み上げた『フラグ』と言うのでは
「……うーん、待たざるかと言うよりはもう少し進展を見てみたい!
ちょっとだけ!ちょっとだけならノーカンです!!」
少し思案(本人基準で)を繰り広げていたアンテロスは再び矢を番えていた。
待った方が美味しい関係と諭された以上、待ちたいが、彼女のカプ厨としての耐え性がせめぎあいを繰り広げている。
だがそんな最中に――ある意味彼女以上の不審者が現れた。
「バニー仮面、ここに参上です」
「あっ、ビジュが隠されてるけどストライク物件の気配!」
戸桜・リデル(人間(√EDEN)のルートブレイカー・h00081)は、この祭りの最中にご丁寧に変装していた。
……ここ、√マスクド・ヒーローだからそこまで怪しまれないと思うが、下手したら職質されそうな出で立ちである。
というか既にどっかで職質を受けたような気配しかしない。
そんな状況下で気が散逸しそうな人物が降臨したもんだからうっかり矢が放たれる。
だが、リデルはそれを見逃さなかった。
矢弾ならば、この『業』を以て何倍にでも操れる自負がそこにあったからだ。
ほぼ過失レベルの誤射が起きた様な状況だが、リデルの構えはその矢すら自在に操り――
「ハートクエイクアロー20倍だーっ!」
……なんか増やした。
2本だった筈の矢は片方が20倍の効能に膨れ上がった。
逆に片方がかなり効力が薄まり、これ刺さられても塩対応まっしぐらなのでは……というようなレベルまでに弱体化し、それぞれアンテロスとリデルに突き刺さった。
『魔法少女』の思考を埋めていくのは謎の不審者、であるはずなのに。
その変装の下にあるであろうビジュ。そしてその『未知』への期待etc……
「これで『仲良く』はなりましたね」
一瞬とろんとした眼が自分を捉える前に、そそくさと退散する。
強制片思いにはしましたがあちらの能力なので非難される理由はないですし――
などと、本人は言っているのだが……そこが問題ではなく。
問題なのは……
「……あの人の痕跡がありますいます此処に確実に私の魔法少女的感がそう言ってます私は見逃しませんでした矢が一本別方向に飛んでいったのを照れ隠しっていうんですか素敵ですねぇさぁその御尊顔をお見せ下さいなんなら剥がせて下さい抱いてくれないなら私から行きますよ仮面の下の素顔が強ビジュなのは私の本能が確約してくれてるんですよというかもう我慢ならないんですよ抱かせろ」
こんなことをさっきから血走った眼で言ってる『魔法少女』が爆誕した事実である。どう見ても事案だろう。
一瞬リデルが悲鳴を上げかけた気がしたが、気合で堪えたのだろう。
……此処でうっかり見つかろう物なら完全に自業自得案件に両足浸かっていたからだ。
……感情を操作するだけならいいのだが、『ハートクエイクアロー』は、本来関係性がどうだろうと『一歩以上』進んだ関係にしてしまう代物である。
アンテロス自体はカプ厨だしこれを望んでいるかと言われたら確実に望んでいなさそうだからこの事件を起こしただろうが――当然彼女だって自分の『魔法』の適用範囲である。
20倍、それを『一生続く』などとやってしまった以上、責任の所在はどこにあるのかと言うと、単に撃ち落とせば良かった筈なのによりによって量を増幅して叩き込んだリデルなのだと思うのだが……。
……一応、『肉眼』では見つからない以上、直ぐには発見されないだろう。
というか、早い内にこっそり√能力解除しないと別方面でややこしい事になると思うのでそうした方が良いと思います(懇願)
……見つからない前提なら余計な事せんかったら良かったのに、と思わなくもない。
🔵🔵🔵
大成功
保住羅・紗良か、勘違いしないでよ「今度わさびでも突っ込んでおけば良いのだろうか」って言われたから先んじてわさびを突っ込みにきたとかじゃないんだからねっ!
「あなた、さっきのバニーな人とならどんな感じのカップルになりたいの?」
何だかバニースーツの人と仲良くなってるみたいだからそれに乗じてカップル妄想の話をさせるように仕向けるわ
これで時間も稼げるし、話を聞いたってことで友好度も稼げるでしょ
「シチュエーションはそれでいいの? もっとムードがあるところとかはどう?」
それでだめならところどころで自分なりの意見を口にしてアンテロスの妄想を方向修正していくわ
√能力は状態異常まで回復するかわからないから最終手段、足止め用よ
●じゃあ今度タイミング良ければわさび茶漬けをねじ込みます
「かっ……勘違いしないでよねッ!!
『今度わさびでも突っ込んでおけば良いのだろうか』
って言われたから、先んじてわさびを突っ込みにきたとかじゃないんだからねっ!」
そんなご挨拶と共に|保住羅《ほすら》・|紗良《さら》(彷徨う山葵のストリート・ニンジャ・h13719)と言う名のどう見ても山葵な乙女が現れた。
「って上に返答がある!?」
うん、気付いたらいつもの山葵のアレが近場で売ってなかったからね……わさび茶漬けでも用意しとこうかなって――
でも、こんな余談、ネタの背景を理解していない大多数にはどうでもいい話である。
問題はこちら。
……なんかバニーの人が原因なのかよく分からないけどめっちゃ放置するにも困りそうな魔法少女アンテロスである。
「ふふふふさぁどちらに行かれたんですか恋する乙女の瞳はなんでもお見通しなんですよこの胸の高鳴りをどうしてくれるんですかまずはこの眼下に広がる祭り会場で花火の熱狂のままに(花火の打ち上げ音)(花火の炸裂音)(ナイアガラが流麗に降り注ぐ音)」
危なかった。花火の打ち上がっている最中で本当に良かった。
山葵少女が述懐していたという。これは『放置したらアカン』と。
それ故に、彼女は純粋な疑問をぶつける事から始めたのである。
「――あなた、さっきのバニーな人とならどんな感じのカップルになりたいの?」
「へっ?」
突如、思考が止まった様な顔をして、アンテロスは山葵少女を見返した。
……いや、見た目が山葵にしか見えないから面食らってる訳じゃないよ。
単に、彼女は『どういう発展をしたいか』しか考えていなかったし、いざ自分が『どうなりたいか』と問われると思考が止まったのである。
本来ならば見た目だけ、という即物的な理由で相手を無理矢理繋げようとしていた彼女である。そしていざ自分が撃たれてみると、無理矢理繋がる行動しか起こしていなかった様に思えた。
「え、えーと……」
「確かに花火大会、お祭りの最中、ロケーションはばっちりだけど。シチュエーションはさっきのでいいの? 明らかにそれ警察に捕まりそうな過激な内容だったわよ?」
「でも、私はさっきのあの方の素顔は見てみたいぃ……」
「無理に脱がすこと無いじゃない。段階的な物とかあるでしょ?」
ムードもへったくれも無いじゃない、とか言いながら、案外同世代っぽい指摘が目の前の山葵から繰り出されてアンテロスがなんだか縮こまっていく。
その隙にバニーがどっか行ったような気がしなくもないが、ひとまず過激過ぎる『魔法少女』の暴走は収まったように見えた。
「えー、じゃあもっとムードのある所はどう? 例えば穴場の静かな花火スポットとか――」
……山葵少女と魔法少女のシチュエーション談義は続いているようだったが。
🔵🔵🔵
大成功