シナリオ

コンピラ|要塞《フォートレス》防衛戦

#√ウォーゾーン #シナリオ完結。ご参加ありがとうございました

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 #√ウォーゾーン
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●破られし平穏
 その日、戦闘機械都市『コンピラフォートレス』の防衛システムは何者かによってハッキングを受け、ファイアウォールは容易く突破された。空に放たれたのは、長らく封印されていた筈の小型ドローン兵器群『レギオン』。
 生命攻撃機能を有するレギオンがミサイルの雨を空から街へと降らせると、建物や車両は為す術もなく次々に破壊されていった。不意を突かれた都市防衛隊は初動の遅れが響き、装備が十分でないまま出撃を余儀なくされている。
 街のあちこちから黒煙と火の手が上がる。戦う力を持たぬ人々は、恐慌状態で逃げまどうばかり。時を同じくして、道路を埋め尽くす程の白い人型兵器群が市街地へと押し寄せてきた。それはコンピラフォートレスの人々にとって、まさしく悪夢と絶望を意味していた。

「みんな、集まってくれてありがとう! これから新しい作戦について説明するわね」
 ここは、√EDEN某所に在る軍事基地の一角だ。招集を受けた√能力者の前に姿を見せたのは、星詠みの少女兵士ブリギッテ・ハイスヴルスト(チェーンソー剣の|少女人形《レプリノイド》の戦線工兵・h01975)。
「みんなにはこれから私の出身√(ルート)……√ウォーゾーンへ向かって欲しいのよ。人類が生活する戦闘機械都市のひとつを、襲ってくる敵から護ってもらいたいの」
 √ウォーゾーン。遡ること1998年に突如襲来した謎の敵『戦闘機械群』に対して、人類が決死の抵抗を続けている『第三次世界大戦』の只中にある√(ルート)である。
「場所は、ジャパンのある地方都市を要塞化した『コンピラフォートレス』という場所よ。都市の南部には山をくり抜いて造られた基地、北部は海に面していて造船所や軍港なんかがある、なかなかイイ感じの場所ね!」
 コンピラフォートレスは、四国地方に存在する戦闘機械都市だ。要塞の規模としてはコンパクトな部類だが、主要な施設は一通り揃っており、敵を迎撃するには十分な戦力を保有している。瀬戸内海一帯の都市とも同盟を結んでいるらしい。
「そこが運悪く敵のハッキング攻撃を受けてしまって、かつて備わっていた『生命攻撃機能』が復活してしまったのよね。市街地は殺人ドローンやWZで溢れかえってるから、急いで住民を安全な場所まで避難させないといけないわ。場合によっては消火活動や負傷者の救護も必要ね。それが完了したら、みんなで敵の指揮官が居座る街の中心部を目指してね」
 街の至るところに、市民を収容するシェルターが備えられている。シェルターは頑強な構造で、多少の攻撃にも持ち堪えることができる。うまく住人をシェルターまで誘導できたら、次は敵の指揮官の捜索だ。尚、タイミングによっては道中で増援の戦闘機械兵団との接触も予想される。注意が必要だ。
「もし時間があれば、戦闘前に食事を摂るなどの小休止をしたり、装備のチェックをしてもいいわ。街の中心地には配下に指示を与えているリーダーがいる筈だから、そいつさえ倒せば作戦は成功よ。『生命攻撃機能』は再び停止して、街に安全が戻ったら戒厳令も解除されるわ」
 市民の安全確保や戦闘機械群の無力化など、やるべきことが多い作戦になりそうだ。迅速かつ臨機応変な判断が必要になるだろう。
「それじゃあ今から√ウォーゾーンに繋がる場所まで案内するから、私についてきて。必ず無事に戻って来てね」
 そういってブリギッテは、√能力者を戦場へ送り出すための準備に取り掛かった。戦火に包まれた彼の地では、助けを求める人々が√能力者を待っている。

マスターより

弥句
 こんにちは、弥句です。今回もよろしくお願いします。
 今回のシナリオの舞台は√ウォーゾーン。戦闘機械群の攻撃を受け、ピンチとなった都市『コンピラフォートレス』へと向かっていただきます。
 第1章は冒険パートで、レギオンやWZが放たれた街を駆け抜けて人々の安全確保や、兵器群の鎮圧にあたることになります。これらの行動をこなしながら、敵の待つ市街中心部を目指してください。
 第2章は襲い来る人型兵器との集団戦か、ボス戦前の休息シナリオに分岐します。これは第1章の流れ次第で変わります。
 第3章はボス戦で、街に乗り込んできた機械兵器群の指揮官との決戦になります。この敵を倒せば無事作戦成功となり、街の平和は守られます。
 プレイングはOP公開からすぐに受付開始となります。皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『戦闘機械都市を駆け抜けろ!』


POW 火力でぶっ壊して駆け抜ける!
SPD 警戒網を掻い潜って駆け抜ける!
WIZ システムに干渉し乗っ取って駆け抜ける!
√ウォーゾーン 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●殺戮機械
 戦闘機械都市『コンピラフォートレス』に辿り着いた√能力者が目の当たりにしたのは、燃え盛る紅蓮の炎に包まれた街の惨状だった。道路上を無数の戦車やWZが闊歩し、灰色の空をレギオンが鳥のように飛び交う。
 彼らは完璧に統率された動きで人間を効率的に探し、追い詰め、淡々と殺す。そこには一切の感情というものはない。このままでは、ものの数日以内にこの戦闘機械都市は死者で埋め尽くされることになるだろう。
 √能力者たちはそれぞれの武器を携え、戦闘機械群が支配する街へと足を踏み入れていく。逃げ遅れた市民の命を救うため、ここから先は少しの遅れも許されない。
クラウス・イーザリー
「行こう。一人でも多くの人を助けるために」

高所に登って助けるべき人がいる場所を確認し、アクセルオーバーで上昇した移動速度でその場所に駆け付ける
小型ドローンのジャミングで兵器達に察知されにくくしながら接近して、ハッキングで兵器のシステムに割り込んで動きを妨げている隙に人々を助け出す
兵器が上手く止まらないならレーザー射撃で破壊するか電磁ブレードで内部回路を止めて時間稼ぎ

助け出した人々はシェルターまで護衛
動けない人がいれば背負い、攻撃されたら庇いながら安全な場所に向かう
「俺達がこの街に平和を取り戻すから、安全なところで待っていてくれ」
送り届けたらそう約束して次の場所へ向かうよ

※アドリブ、連携歓迎です

●電光石火
 冷たい冬の風が吹き抜ける駅ビルの回廊から、一人の若者が静かに眼下を眺めていた 。
「――どこもかしこも、戦闘機械だらけだな。急がなくては」
 タイトなストライドスーツに身を包み、長い髪を風に靡かせている青年の名は、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)。√ウォーゾーンの防衛を担う、兵士養成学校の生徒である。
「行こう。一人でも多くの人を助けるために」
 群れを成して敷地内を飛んでいくレギオンを目で追いつつ、クラウスは静かに己の√能力を発現させる。増幅した電流による身体強化、【アクセルオーバー】。四肢の隅々にまで電光を纏うと、クラウスは放たれた矢のごとくその場から駆けだした。
 通常時の3倍の速度をもって疾走し、ジャミングによって警戒網を潜り抜け、クラウスは瞬く間にテナントエリアの一角へと到達する。そこではつい先程まで買い物を楽しんでいた民間人が、レギオン群によって追い詰められていた。
「キャアアアアッ!」
 甲高い悲鳴が響き渡る。恐怖のあまり地面に座り込んだ若い女性を、レギオンは無機質なカメラアイで捕捉していた。
「た、助けて……!」
 女性の身体が内蔵火器に撃ち抜かれる寸前――クラウスのファミリアセントリーが火を噴いた。
「なんとか間に合ったな」
 浮遊砲台から瞬時に発射されたレーザーは、レギオンを容易く破壊して残骸へと変える。
「こいつらは俺がなんとかするから、早くシェルターへ避難するんだ。さあ、こっちへ」
 居合わせた人々を最寄りのシェルターへと誘導するのが、今の最優先事項だ。クラウスは自身の装備を介して、周囲のレギオンへとハッキングを試みる。ハッキングに引っかかった個体は、当て所なくその場を旋回するばかり。その隙を突いて、クラウスは迅速に人々をシェルターへと導いていく。
『ジジ……ジッ……』
「邪魔をするな」
 後方から特徴的な電子音が聞こえてくる。尚も追ってくるレギオンを迎え撃つため、クラウスは鋭利な刃を構えた。強力な電磁パルスを帯びた刀剣兵器を一振りすれば、閃光に巻き込まれたレギオンが地面に落下していく。紫電一閃――内部の回路を損傷させ、一切の機能を停止させたのだ。
 レギオンの追跡を振り切って建物の裏手に回り、地下へと続く階段を降りていくと、やがて頑丈な金属の扉の前に辿り着いた。どうやらここが、シェルターの入り口のようだ。
「俺達がこの街に平和を取り戻すから、安全なところで待っていてくれ」
 保護した人々がシェルターの中へ入ったのを見届けると、クラウスは皆を励ますように、はっきりとした口調で告げた。そして再び四肢の動きを加速させると、次の戦闘ポイントへ猛然と駆けていった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

空地・海人
※連携OK

戦闘地帯だから、最初から「フィルム・アクセプターポライズ」に変身して行くぞ。
【フォトシューティングバックル】に【ルートフィルム】を装填。「現像!」の掛け声と共に緑色の【√汎神解剖機関フォーム】へ変身。

辺り一帯酷い有様だ……。まずは人々を避難させないと……!
半自律型のドローン【空撮爆弾・ハイアングルボマー】で避難の誘導をしよう。
おっと、怖がらせないように敵の殺人ドローンとは違うってこともちゃんと説明しないとな。

ハイアングルボマーが避難誘導をしている間、俺はうまいこと警戒網を掻い潜って街の中心部を目指す!

●戦いの|記憶《フィルム》
 コンピラフォートレスの中心地から、少し離れた住宅地にて。この区域も既に戦闘機械群が展開しており、逃げ惑う多くの市民によって混乱が生じていた。
「くそっ、戦闘機械め」
 √能力者の青年空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)は、待ち受けていた厳しい状況に歯噛みする。だが、手を拱いている暇はない。考えを整理し、まず自分が最優先にすべきことを決めた海人は、腰に装着した変身ベルト『フォトシューティングバックル』にロールフィルム状の変身アイテム『ルートフィルム』を装填し、叫んだ。
「現像!」
 すると一瞬にして海人の全身が眩い光に包まれ、彼は特殊金属の装甲スーツを纏った戦士へと姿を変えたのだった。
「辺り一帯酷い有様だ……。まずは人々を避難させないと……!」
 海人の正体は、カメラを模したベルトの力で変身するヒーロー『フィルム・アクセプター ポライズ』。今回の緑色の装甲は、√汎神解剖機関の|記憶《フィルム》を秘めた形態というわけだ。
「……よし。いけ、ハイアングルボマー!」
 そう言って海人が空へ放ったのは、√汎神解剖機関フォームでの専用武器『空撮爆弾・ハイアングルボマー』。空中からの怪異弾射撃や自爆を得意とする、半自律型兵器である。
「うわっ、あっちからも敵が来たぞ……!」
「おっと、敵のドローンとは違うってことを皆にちゃんと説明しないとな。怖がらせちまう」
 海人は怯える人々に走り寄ると、あれは自分のドローンだから心配する必要はないと念押ししておいた。そうしてひとまず市民を落ち着かせて、最寄りのシェルターまでの避難誘導をハイアングルボマーに一任させる。その間に海人は敵の包囲を搔い潜り、敵の指揮官が待つ中心市街地へ向かうために移動を開始した。
「待ってろよ、侵略者ども。悲しい記憶を生み出す奴は許さないぜ」
 愛用の拳銃『イチGUN』を手に、深緑の戦士は真っ直ぐに駆けていく。行く手を阻むレギオンの一団へ向けて、イチGUNの銃口からエネルギー弾が放たれた。
🔵​🔵​🔴​ 成功

ミンシュトア・ジューヌ
(連携、アドリブお任せで)
ここが√ウォーゾーン……
これまで知識を求めて様々な世界を旅してきましたが、これで全ての√世界を訪れたことになります。

到着後はすぐ行動に移ります。
寄ってくる敵は剣で“なぎ払い”しつつ、「邪風の棘」で、呼び出せるだけの鎌鼬を広範囲に放ちます。
使用法は
1.レギオンへの攻撃及び戦車・WZへの牽制、撹乱。
2.周囲の索敵によるシェルターへの安全なルートの確保及び負傷者の探索。
戦力が十分であれば、2.への比重を大きくします。

負傷者は、“救助活動“、”医術”で応急手当をしてシェルターへ誘導します。
「大丈夫です!わたし達が、きっと守ってみせます!」

●はじめての機械都市
「ここが√ウォーゾーン……」
 コンピラフォートレスを訪れたエルフの少女、ミンシュトア・ジューヌ(エルフの|古代語魔術師《ブラックウィザード》・h00399)を出迎えたのは、高度に機械化され、物々しい要塞へと変わり果てた街だった。
「そしてこの街が人類最後の希望、戦闘機械都市……ですか」
 これで現在確認されているすべての√(ルート)を訪れたことになるミンシュトアは、乱立する鋼鉄の装甲ビル群の威容に圧倒される。この戦闘機械都市は、これまでに彼女が訪れたどの√とも、明確に異なる雰囲気を醸し出していた。知識欲の豊富なミンシュトアは、この街の成り立ちについて暫し思いを巡らせる。とはいえ、これからすぐに作戦だ。気持ちを切り替え、彼女は武器を携えて静かに歩き出した。

「! あの音は……」
 銃声の聞こえた方角へ急いで走っていくと、すぐに敵に狙われている市民を確認することができた。レギオンや自走式の戦車、人型のWZといった戦闘機械が、無機質なカメラアイを光らせて人々を執拗に狙っている。
「はっ!」
 ミンシュトアは古代魔術師であり、竜漿魔導武器の扱いに長けた錬成騎士でもある。詠唱錬成剣で飛来するレギオンを切り払いながら、ミンシュトアは敵群に向けて√能力を発動させた。
「|天地《アメツチ》ノ狭間漂ウ|鎌鼬《カマイタチ》 浮世ノ真理究メ探ラン」
 ミンシュトアの詠唱に応じて、彼女を中心とした空間に風妖「鎌鼬」が出現した。虚空を駆け巡る鎌鼬の総数は19体。圧縮した空気の鎌を携えたそれらは素早い動きで敵群へと殺到。巧みな連携を駆使して四方八方から鎌で斬りつけ、牙で噛みついて攻撃を加えていく。
「……!」
 鎌鼬の一撃は速いが、重厚な戦車やWZを切り倒すほどの威力ではない。だが、機動力を活かした変幻自在の連続攻撃は、敵を牽制・撹乱するには十分な性能を有している。鎌鼬が敵を足止めしている隙に、ミンシュトアは素早く傷を負った一般人に駆け寄った。
「うう、傷が痛い……!」
 腕からとめどなく血を流す中年の男性が、青ざめた顔で傷口を抑えながら蹲っていた。ミンシュトアが見たところ、彼の傷は今応急手当をすれば悪化させずに済みそうだ。手早く止血を済ませ、安静にするよう促す。
「大丈夫です! わたし達が、きっと守ってみせます! 他に怪我をされた方はいませんか!?」
「助けに来てくれたんですか!? よかった……」
 機敏な行動で救急活動を行うミンシュトアの姿に、人々は安堵の表情を浮かべた。だが、この辺りはまだ安安全とはいえない。
「わたしが皆さんを護りますから、一刻も早くシェルターへ!」
 √能力の効果が切れる前に、人々をシェルターへ誘導しなければならない。ミンシュトアはシェルターまでの道のりを確認すると、人々の先頭に立って歩きだした。
🔵​🔵​🔴​ 成功

●狩りの時間だ
「ひゅー! ハッキングか。さらに避難も未完了っと」
 戦場と化したコンピラフォートレスの倉庫街に、女性の快活な声が響く。長く伸ばした銀髪に、しなやかでスタイリッシュな体つき。そしてその手には、長大なライフルが握られていた。
「難易度の高いミッションなら、やり甲斐があるってもんさ。|アデランテ《こいつ》の性能を存分に試せるからな!」
 彼女の名はエルヴァ・デサフィアンテ(|強襲狙撃《Fang of Silver》・h00439)、脳を除くほぼ全身を義体化した、|少女人形《レプリノイド》のサイボーグ兵士である。エルヴァはまず付近の地理を地図アプリで確認して頭に叩き込むと、早速索敵と市民の安全確保に取りかかった。ボディ各部の作動コンディション、問題なし。常人のレベルを超えた俊足を活かし、倉庫街を風の如く駆け抜けていく。

 海沿いの倉庫街は、物流や製造の仕事に携わる人々が多数取り残されていた。そんな市民を殺戮すべく放たれたのは、火器を搭載した飛行レギオンや、比較的小回りの利く多脚戦車といった手合いだ。
「これからドンパチ始めるからさっさと逃げな、オッサン達。そーら、走れ走れー!」
 作業員達に最寄りのシェルターへの避難を呼びかけつつ、エルヴァは慣れた仕草で愛銃を構える。視界に入る機械はすべて敵――迷う必要など一切無い。
「撃って当てたら壊せるんだろー? 軽い軽い!」
 対象に素早く照準を合わせ、即座に引き金を引く。対WZ用ライフルの徹甲弾は、多脚戦車の装甲を容易く撃ち抜いた。軽量兵器のレギオンならばもっと簡単だ。卓越した射撃技術をもつエルヴァからすれば、小型の無人兵器など鳥や獣を撃つに等しい。もはやこの戦場は、彼女の狩り場だ。
『……! ……!』
 警戒信号と共に、敵群が機銃を発射して反撃してきた。脚部の動作を激しく加速させ、エルヴァは銃弾を避けながら包囲網を擦り抜ける。走り続けた先に遮蔽物となるコンテナを見つけると、その裏に素早く回り込んだ。
「おっと、あぶなっ」
 そこで運悪く、多脚戦車と鉢合わせしてしまった。しかしエルヴァは、焦ること無く愛銃を構える。先端に取り付けられた銃剣を勢いよく突き出すと、研ぎ澄まされた刃は狙い違わず動力部分を刺し貫いた。
「さあ、どんどんいこう!」
 予備の弾薬ならば、随伴する「CASフロート」にあと3トンほど用意されている。笑みを浮かべながら物陰から飛び出すと、エルヴァは次の標的に狙いを定めた。
エルヴァ・デサフィアンテ
アドリブ連携歓迎

ひゅー! ハッキングか。さらに避難も未完了っと。
(深刻そうな言葉と裏腹に声色と表情はいつも通り明るい。)
…それじゃ、一先ず外縁部から遭遇する敵全てを破壊しながら中心部を目指すかー。派手に敵は減らせるし、市民への良い目印にもなるしで一石二鳥ってね!

そーら、走れ走れー!
見掛けた市民に声を掛けて合流、近くのシェルターへ護送しつつ、「アデランテ」の砲撃と銃剣で押し通る! 遠いなら狙撃、近けりゃ斬撃と蹴撃と砲撃。いつも通り行くか!
撃って当てたら壊せるんだろー? 軽い軽い! 
弾薬ならCASフロートにたっぷりある……ざっと3トン位か? まー、前に進めば何とかなるさ!

●狩りの時間だ
「ひゅー! ハッキングか。さらに避難も未完了っと」
 戦場と化したコンピラフォートレスの倉庫街に、女性の快活な声が響く。長く伸ばした銀髪に、しなやかでスタイリッシュな体つき。そしてその手には、長大なライフルが握られていた。
「難易度の高いミッションなら、やり甲斐があるってもんさ。アデランテこいつの性能を存分に試せるからな!」
 彼女の名はエルヴァ・デサフィアンテ(強襲狙撃Fang of Silver・h00439)、脳を除くほぼ全身を義体化した、少女人形レプリノイドのサイボーグ兵士である。エルヴァはまず付近の地理を地図アプリで確認して頭に叩き込むと、早速索敵と市民の安全確保に取りかかった。ボディ各部の作動コンディション、問題なし。常人のレベルを超えた俊足を活かし、倉庫街を風の如く駆け抜けていく。

 海沿いの倉庫街は、物流や製造の仕事に携わる人々が多数取り残されていた。そんな市民を殺戮すべく放たれたのは、火器を搭載した飛行レギオンや、比較的小回りの利く多脚戦車といった手合いだ。
「これからドンパチ始めるからさっさと逃げな、オッサン達。そーら、走れ走れー!」
 作業員達に最寄りのシェルターへの避難を呼びかけつつ、エルヴァは慣れた仕草で愛銃を構える。視界に入る機械はすべて敵――迷う必要など一切無い。
「撃って当てたら壊せるんだろー? 軽い軽い!」
 対象に素早く照準を合わせ、即座に引き金を引く。対WZ用ライフルの徹甲弾は、多脚戦車の装甲を容易く撃ち抜いた。軽量兵器のレギオンならばもっと簡単だ。卓越した射撃技術をもつエルヴァからすれば、小型の無人兵器など鳥や獣を撃つに等しい。もはやこの戦場は、彼女の狩り場だ。
『……! ……!』
 警戒信号と共に、敵群が機銃を発射して反撃してきた。脚部の動作を激しく加速させ、エルヴァは銃弾を避けながら包囲網を擦り抜ける。走り続けた先に遮蔽物となるコンテナを見つけると、その裏に素早く回り込んだ。
「おっと、あぶなっ」
 そこで運悪く、多脚戦車と鉢合わせしてしまった。しかしエルヴァは、焦ること無く愛銃を構える。先端に取り付けられた銃剣を勢いよく突き出すと、研ぎ澄まされた刃は狙い違わず動力部分を刺し貫いた。
「さあ、どんどんいこう!」
 予備の弾薬ならば、随伴する「CASフロート」にあと3トンほど用意されている。笑みを浮かべながら物陰から飛び出すと、エルヴァは次の標的に狙いを定めた。
🔵​🔵​🔴​ 成功

キエティスム・トゥエルブ
「何という悪辣な手を・・・」

いや今、義憤に燃えても意味がない
すべきことはより多くの人々を安全地帯へ誘導すること
そしてここでレイン砲台を使うのはまずい、市民を巻き込んでしまう可能性がある

「頼みますよ我が友人達」

私の指揮するレギオンに指示を出して、周囲を【超感覚センサー】で索敵しながら市街地を駆けましょう。
反応が市民ならば避難誘導、敵機ならばジェネラルレギオンの力で干渉して無力化ですね。

問題があるとするならば

「レギオンを引き連れた私を市民が誤解しかねないことですかね」

出来るだけ味方だと分かるように、積極的に市民に声をかけながら進みましょう。
声を出せば市民もこちらに気付いて誘導しやすくもなりますし。
アルマ・ノイマン
使用√能力:レギオンスウォーム
使用武器:ハッキングツール

機械兵器の機械兵器の集まっている場所に逃げ遅れた市民がいると予想する。
レギオンスウォームの【超感覚センサー】を使い機械兵器の機械兵器の集まっている場所を捜索、ハッキングツールを使って機械兵器の停止または休止を試みる。
停止or休止中に逃げ遅れた市民を救出。
救出後はレギオンスウォームの【レギオンミサイル】で護衛しながらシェルターへ移動する。

●指揮者たち
 けたたましい警報が鳴り響くコンピラフォートレスを、一人の青年が往く。指通りのよさそうな長い黒髪に、緑のラインがアクセントとなる黒の軍服。そして傍らには、浮遊する大型の機械――自律式の砲台があった。
 その青年キエティスム・トゥエルブ(個にして群、群にして個・h01205)は、身体の大部分を義体化したサイボーグである。
「何という悪辣な手を……」
 街を見渡せば、既に各所で黒煙と火の手が上がる惨い有様だった。敵の攻撃に晒される街を訪れるのは、もう何度目になるだろうか? 街で暮らしを営む人々が、何をしたと? キエティスムの胸中に、沸々と怒りがこみ上げてくる。
「いや今、義憤に燃えても意味がない……」
 今すべきことは、逃げ遅れた人々を直ちに安全なシェルターへと避難させることだ。それから、索敵と無人兵器の無力化も。やるべきことは多い。どこから手を付けるべきか、キエティスムは思案する。
「……! そこにいるのは、誰だ」
 半壊したミニバンの陰に、何者かの気配を感じた。誰何の声を発すると、まず白い頭がにゅっと出てきた。そして、そろそろと車の陰から幼い少女が姿を現す。小柄で華奢な体つきだ。キエティスムと対照的に、髪の毛は真っ白なロングヘア。衣服は、上下とも黒で統一されている。
「ごめんなさい。敵かと思って、隠れてたの……」
「同じ√能力者ですか……いえ、すみません」
 その白髪の少女は、アルマ・ノイマン(L96A1の|少女人形《レプリノイド》の職業暗殺者・h01393)と名乗った。紳士的なキエティスムは、穏やかな口調で名乗り返す。
「……キエティスムさん、わたしも一緒に行かせてください」
「ええ、勿論喜んで。一人で進むより、誰かといるほうがずっといい。よろしくお願いします、アルマさん」
 こうして戦場で即席のチームを組むのも、√能力者の戦い方だ。二人は簡単に打ち合わせすると、早速それぞれの操る兵器を起動させた。
「頼みますよ我が友人達」
「でておいで、レギオン」
 奇しくも、二人は共にレギオンを支配し操るジェネラルレギオンの√能力者であった。「市民を巻き込んではいけないので、レイン砲台のような大掛かりな兵器は使えそうにない。虱潰しにいくしかないですね」
「わたしはハッキングツールが使えますから、まずは敵を停止させましょう」
 二人は相談し合いながら脳波でレギオンを飛ばし、備わった超感覚センサーを頼りに反応があった場所へと急いだ。

「キャアアアアッ!!」
 悲痛な叫びを上げて逃げ惑うのは、まだ10歳にも満たないであろう子供たちだった。彼らを執拗に追いかけているのは、飛行する昆虫を模した姿のレギオン群。
「止まって……!」
 アルマの所有するハッキングシステムが作動すると、その影響を受けたレギオンの動きが次々に停止。カメラアイの光が消えて、レギオンはボトボトと地面に落下していく。「頭を押さえて、地面にしゃがみ込んでください! ……ああ、私達は敵じゃありません。皆さんを助けに来たのです!」
 レギオンを操る立場として危惧されることは、自分達の手持ちの駒が敵と認識される可能性が高いことだ。そのためキエティスムは、率先して市民に話しかけて丁寧に説明をする必要があった。
「お父さんと、お母さん、どこに行ったかわからない……」
「……不安なのはわかります。だけど安心して、私達が今から皆をシェルターに案内しますから」
 ここからは、子供達を護りながらの行動になる。進行ルートの安全確認と、敵の排除を並行して行わなければならない。相談の結果、アルマがレギオンミサイルとハッキングによる敵の無力化を。キエティスムがセンサーと迷彩を駆使したナビゲーションを行うこととした。これらをすべて一人で行うとしたら骨の折れる仕事量になるが、パートナーがいることで負担を軽減できたことは大きい。
 そして二人の√能力者は、襲い来る戦闘機械群を退けながら目標地点の避難用シェルターに辿り着いた。頑丈な金属扉を解錠し、子供達をその奥へと通す。
「ここなら、きっと大丈夫……」
「じっとしていてくださいね。直ぐに皆の家族も連れてきますから……!」
 ひとまず、子供達の安全は確保できた。だが、彼らの家族をはじめ、まだ他にも救出しなければならない市民が沢山残っている。アルマとキエティスムは顔を見合わせ、すぐに次のポイントへと走りだした。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

エイト・シャーク・サマー
「ワシに任せろ!!」

まずは市民の避難誘導じゃのう!
なあに礼など気にするな、うどんでも奢ってくれれば良い!
細かい作業は苦手ゆえ、敵を倒すことで道を拓くぜよ!

アームドアーム「銃銃打螺(がんがんだら)」全力展開……
おどれらクサレWZども、まとめてワシにかかってこんかーい!!

ひたすら考えなしに暴れているように見えるじゃろうが、これは敵を引き付ける陽動作戦ぜよ。
友軍の√能力者が避難誘導する方向とは全く別の方角で騒ぎを起こす!!
さすれば敵はこちらにも戦力を割かざるを得まい!!

狙い撃つより薙ぎ払う!
動き回るより仁王立ち!
とにかく撃って撃って撃ちまくり、斬って斬って斬りまくる!
ゴキゲンじゃのう、がっはっはー!
小白・由真
これ以上の蛮行を、許す訳には参りません。
因果応報という言葉の意味を、熨斗を付けてたっぷりと教えて差し上げます!


宵伽さん(h00211)と共に行動
まずは、最短ルートを火力で突破→市民達にとって最も危険な個体に対してブラスターキャノン・フルバースト(1基召喚)で攻撃し、牽制して市民への攻撃を妨害
「狼藉はそこまでです。やらせはしませんよ!」
その後は、宵伽さんの動きに合わせて連携し、市民にとって脅威度の高い敵から順に、迅速かつ確実な各個撃破を行使
※回避能力が鈍い敵を狙える時は、ブラスターキャノン・フルバーストの基数を2~3基に増やし、大ダメージを狙う
「鈍くて大きいのは任せて下さい。ふっ飛ばします!」
宵伽・ディー・キルシュブリューテ
小白卿(h02653)と同行致します
騎士たる同盟者と共に。状況は既に逼迫しているとみえます
戦闘機械群…意思なきそれらとは誇り在る手合とはなりえないでしょうが
無辜の民の庇護者たるもまた、騎士の役割と心得ます。故に
「参りましょう、小白卿…誉れ在る戦いでは無いかもしれませんが、一人でも多く、救命を」

戦闘機械群が現れば竜霊を纏わせた竜歌砲にて、【竜歌】|合唱《Choir》
広範囲を吹き飛ばす竜の歌声を響かせます
大きな的に関しては小白卿に任せ、レギオン等の素早いものや集団群を中心に狙いを定めましょう
歌い、気分の良くなった竜霊が気まぐれに力も貸してくれましょうし
「こちらは面で押し潰しましょう…」

●|狂騒曲《ラプソディ》
 無残に破壊された自動車の残骸と、無数の機械兵器群がひしめく、コンピラフォートレスのとある立体交差点にて。
「な、なんだあのデカイのは!? 人……か?」
 半壊したトラックから命からがら脱出した、ある男が叫んだ。全高2.5mほどの戦闘パワードスーツ「ウォーゾーン」に匹敵するほど巨大な人影が、悠然とこちらへ向かってきたのだ。
「まだ逃げ遅れたノロマがいたのか! ワシに任せろ!!」
 大声を張り上げたその巨影は、黒髪を腰まで長く伸ばし、つば広の白い帽子を被った女性であった。その出で立ちは√汎神解剖機関に居そうな某怪異と酷似しているが――四肢は極めて高度な技術でカスタマイズされた戦闘義体であり、それはつまり彼女が戦いのプロフェッショナルであることを如実に示していた。
 その大柄な女は、名をエイト・シャーク・サマー(サイボーグ女番長・h04961)といった。√ウォーゾーン有数の武闘派学園・|邪霊蠱涌《しゃれこわ》高校の頭を張る女傑(ただし8留中)。そして、同校を代表する対WZ戦闘チーム「シャーク・サマー」の8代目総長である。エイトは逃げ惑う市民を押しのけながら、夥しい数の戦闘機械の前へと進み出た。
「あ、ありがとう……何とお礼を言っていいのか……」
「あいつらを、やっつけてくれるのか?」
「なあに礼など気にするな、うどんでも奢ってくれれば良い!」
 カカカと豪快に笑って、人々に避難を促すエイト。彼女がサメのような笑みを浮かべると、四肢に接続された兵装群が物々しい機械音を立てて起動した。
「おどれらクサレWZども、まとめてワシにかかってこんかーい!!」
 エイトが仁王立ちになって啖呵を切ると、複腕型の武装アーム「銃銃打螺(がんがんだら)」が猛々しく吠え、一斉に火を噴いた。徹甲弾の雨を浴びせられた敵前衛がものの数秒で沈黙すれば、それと入れ替わるように新手がすぐに押し寄せてくる。そして、それらもすべて薙ぎ払う。
「まだまだァ!」
 弾が尽きれば、リロードの片手間に取り出した戦斧で手当たり次第かち割って廻る。被弾しようがお構いなし、ハナから避けるつもりもない。所詮は無力な一般人を殺傷するためだけの兵器。義体装甲を纏った屈強なサイボーグを傷つけられる程の火力など、持ち合わせてはいない。
 騒ぎを聞きつけ、敵の増援が続々と集まってくる。だがそれも、エイトの計画通りだ。敵の戦力を分散させれば、戦場に展開する味方の状況は有利になるし市民も避難しやすくなるというものだ。
「思い知ったか! ワシが最強なんじゃい!」
 敵機が轟音を立てながら爆散するたび、エイトはテンション高く笑い続けるのであった。
「ゴキゲンじゃのう、がっはっはー!」
 その笑い声は、某国のスーパースポーツカーが奏でるエグゾーストによく似ていたという。

 高校11年生が大立ち回りを演じていた頃。立体交差点から東に数km離れた地点にある道路のど真ん中で、二人組の√能力者が鋼鉄の軍団と対峙していた。
「んんっ、無抵抗の者を襲うとは、なんという非道!」
 ノースリーブにミニスカートの巫女服姿の少女――人妖『犬神明神』の小白・由真(瑶眼瑩毛白犬明神・h02653)が、憤り露わに長大なブローバック・ブラスターライフルを構えれば。
「無辜の民を庇護する者として、この事態は見過ごせませんね。戦闘機械群……意思なきそれらとは誇り在る手合とはなりえないでしょうが」
 黒檀のごとき竜の角と尾をもつ女性騎士、宵伽・ディー・キルシュブリューテ(宵星の伽・h00211)が同調する。
「ええ! これ以上の蛮行を、許す訳には参りません。因果応報という言葉の意味を、熨斗を付けてたっぷりと教えて差し上げます!」
「参りましょう、小白卿……誉れ在る戦いでは無いかもしれませんが、一人でも多く、救命を」
 共に騎士同盟に名を連ねる者達として、誇り高く。全力で戦う決意を固めた二人が、それぞれの武装を起動させ√能力を解き放つ。突如発生した膨大なエネルギー反応に戦闘機械群が警戒信号を発すると、内蔵火器を発射しながら一斉に襲いかかってきた。
「狼藉はそこまでです。やらせはしませんよ!」
 由真が直線上に放つ必殺の重撃【ブラスターキャノン・フルバースト】。その威力は、目を見張るものがある。彼女が定めたターゲットは主に、WZや戦車といった大型のマシンだ。まずは地上に展開する敵を一掃し、突破口を開く。襲撃の流れが途切れた僅かな間を見計らって、一気に戦線を押し上げていくのだ。
「鈍くて大きいのは任せて下さい。ふっ飛ばします!」
 更に由真は異空間から追加のブラスターを2基召喚し、タイミングを合わせて光弾を一斉に叩き込む。これには如何に頑強な装甲の戦車といえど一溜りもなく、集中砲火に晒されたのちに黒煙を噴き上げ爆散していった。そうして由真が最短のルートをこじ開けながら、逃げ遅れた市民を迅速に探しだすのが狙いだ。
「宵伽さん、あちらから新手が!」
 二人が発見・保護した民間人らを、シェルターへ連れて行くまでの道中。由真が示した11時の方角から、鴉のごとき黒いレギオンの大群が迫って来ていた。先程撃破した、戦車部隊の損耗を補うためにやって来たのだろう。
「ならばこちらは面で押し潰しましょう……」
 宵伽の周囲をずっと漂っていた、竜の牙のごとき形状の『竜歌砲』が鮮烈な光を放つ。その輝きに呼び寄せられるように、大小様々な竜の姿をした|霊体《インビジブル》が集まってくると、彼らは気持ちよさそうに宙を泳ぎはじめた。
「歌え、歌え。其の心の赴くままに」
 紡がれるは、懐かしき竜霊の|合唱《Choir》。空中を縦横無尽に疾駆する竜歌砲が裁きの光条を放つたびに、辺りには荘厳な|竜歌《バベルカノン》が高らかに轟いた。その聲は味方には竜霊の戯れによる強化を。仇為す者には浄化による追加ダメージをもたらすのだった。
「…………」
 宵伽が優雅に一礼して竜歌砲を収めた時、もはや残存するレギオンは一機も残ってはいなかった。視界が開け、二人の前にはシェルターに至るための新たな進路が続いていた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​ 成功

血祭・沙汰子
√ウォーゾーンは私の生きる√です。
日々、このような惨状ばかりが起きますが。
私のやることはいつも、決まっておりますので。
全ては我が主のお望みのままに。
この√の、全ての人々を、守ります。

『兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ。』
地下秘密部隊「夢兎眠」、冥土長、血祭・沙汰子、参ります。
全ての勝利を我が主の為に。
オールハイル、ナナリン。

【SPD】警戒網を搔い潜って駆け抜ける!を選択。
√能力は【冥土長の暗殺】を使用。
闇に紛れ、敵の警戒網を掻い潜り、戦場を駆け抜けます。

道中、溢れかえる殺人ドローンやWZの集団がいることが予測されます。
もちろんこれらは住民に危害を与えるので。
闇に紛れつつ、各個撃破を狙っていきます。

戦闘において。
戦場となる現地の障害物等を有効に使い、その陰に潜み、闇に紛れて潜伏。
敵が【血濡れの無限ハチェット】の射程距離内に入ったら攻撃を開始します。
攻撃は√能力【冥土長の暗殺】を使用し行います。
使用技能は暗殺一択。
中距離からの投擲、接近しての重い斬撃等、臨機応変に実行。
血濡れのハチェットは無限に出てくるので弾切れの心配はありません。
攻撃後は一撃離脱、闇に紛れ隠れ再度攻撃を行う、を繰り返す。
ハチェットは二刀流。

また、負傷者を発見した場合は、救助し、応急手当を施しつつ、近くのシェルターまで運搬します。

襲われそうになっている住民がいたら助けに入り、守り、敵を撃破します。
その際は、闇に紛れているわけにもいかないので、√能力【冥土の土産】を使用し攻撃を行います。

味方との連携重視。
絡み歓迎。
迷惑行動は行わない。
アドリブ可能。

無口、無表情な冥土長(メイド長)です。
淡々と必要な言葉だけ話す。

さて。
敵は大方片付き、住民のシェルターへの避難も進んだでしょうか。
引き続き、警戒行動を行います。

●ヴォーパル・バニー
 コンピラフォートレスが何者かのハッキングを受けてから、十数分が経過した。この戦闘機械都市に備わっていた「生命攻撃機能」が復旧したことにより、街の中は無条件に人間を抹殺する自律兵器で溢れている。都市の機能はマヒし、戦う術を持たない一般市民は襲い来る戦闘機械群から当て所なく逃げ惑うばかりだ。
 こういった緊急事態に備えて避難用シェルターが街の至る所に設けられているわけだが、如何せん安全に市民を誘導するための人員が不足しているのが現状だ。
 戒厳令を知らせるサイレンがけたたましく鳴り響く街の中を、音も立てず疾走する人影があった。
「√ウォーゾーンは私の生きる√(ルート)です。日々、このような惨状ばかりが起きますが。私のやることはいつも、決まっておりますので」
 常人には捉えられぬ俊敏な動きで影から影へと走り抜けるその姿は、赤い長髪にメイド服という一風変わったスタイル。
「全ては我が主のお望みのままに」
 そのメイド服の女性、血祭・沙汰子(夢兎眠の冥土長・h01212)の正体は、√ウォーゾーンを守護する地下秘密部隊「夢兎眠」の部隊長である。
「全ての勝利を我が主の為に。オールハイル・ナナリン」
 沙汰子の行動原理は、常に彼女の主たる、ある人物の意志決定に委ねられている。彼女の主が『√ウォーゾーンの人々を護り、街を解放せよ』と命じたのであれば、沙汰子は例えその命に換えても任務達成のために力を尽くすだろう。
 その両手に握られているものは、厚く鋭利な刃の片手斧ハチェット。人の頭蓋を叩き割るための暗殺道具だ。
「幸い、身を隠す遮蔽物には困らないようで……」
 現在路上には、敵の攻撃によって倒壊した建造物や、打ち捨てられた乗用車などが数多く点在していた。卓越した身体能力を駆使し、沙汰子は物音を立てることなく移動と潜伏を繰り返して戦場を進んでいった。
「……あれは」
 前方に目を凝らすと、逃げ遅れた市民が量産ウォーゾーンの執拗な追跡を受けているところだった。沙汰子はすぐさま己の√能力【冥土長の暗殺】を使い、ハチェットの投擲が届く地点まで一瞬で距離を詰める。
「ハァ……ハァ……! くっ……」
 息を切らして走り続ける男性に向かって、WZがマシンガンを構える。彼の背中に弾丸が容赦なく撃ち込まれるその寸前。
「この√(ルート)の、全ての人々を、守ります」
 高速で飛来したハチェットが、WZのヘッドに深々と突き刺さった。
『……! ……!』
 ハチェットの直撃を受けたWZが、だらしなく崩れ落ちる。奇襲を喰らったWZの群れが、即座にハチェットの飛んできた方角へ銃口を向けた。だが、既に沙汰子の姿はそこには無い。戦闘機械のセンサーにも認識されない濃密な『闇』を纏った沙汰子は、完全に気配を殺して距離を取っていた。
 僚機を破壊した存在こそが優先標的と判断したWZは周囲に散開し、備わったカメラやセンサーを駆使して情報を収集し始める。だが、それこそが沙汰子の狙いだった。敵集団がばらけたところを、ハチェットを使って各個撃破する。
「兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ――」
 言い終わるなり、敵の死角から飛び出して二刀流による素早い斬撃を見舞う。先程一本を投擲したのだが、既に新しいハチェットは用意されている。
「――反応が遅すぎる。察するに、どうやら√能力者との戦闘は想定していないようですね」
 飛び散った黒い機械油を浴びることもなく、横薙ぎにボディを切り払った直後に闇の中へ溶け込み姿を消す。消えると同時に、今度は暗がりから無数のハチェットが投げつけられた。
「このハチェットが尽きることは、決してありません」
 沙汰子の暗殺スキル【冥土の土産】によって一度に放たれるハチェットの総数、72本。冥土力をチャージすることで威力を18倍にまで増幅された投擲攻撃が、WZ軍団を尽く葬り去っていった。

「お怪我をされた方は、どうぞ前へ。私が手当をいたします」
 量産型ウォーゾーンを壊滅させた後も、沙汰子の仕事は終わらない。負傷した市民を応急手当し、安全な避難シェルターまで誘導しなければならないのだ。
「ありがとうございます。本当に、助かった……」
「しかし、こんなに強いメイドさんがいたとはね。貴女もしかして、サイボーグ?」
 市民の問いかけに対し、沙汰子はいつものポーカーフェイスでゆっくりとかぶりを振った。
「私は√能力を使える以外は生身の人間。我が主の為に全ての敵を討つ、冥土なのです」
 そうして沙汰子は、まるで来客を部屋へ案内するかのように、さりげなく優雅な仕草で告げた。
「それではこれより、皆様をシェルターまでお連れいたします」
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

第2章 集団戦 『ハッタ・ラーケ』


POW デスマーチ・ファイア
X基の【人類から鹵獲した武器 】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
SPD コマンド・アット・ホーム
事前に招集しておいた12体の【ハッタ・ラーケ 】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[ハッタ・ラーケ ]全員の反応速度が半減する。
WIZ サビザン・ビーム
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【肩部二連ビーム砲 】で300回攻撃する。
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●白い尖兵
 今回の緊急事態。当初の想定では、敵のハッキングによって復旧した「生命攻撃機能」に晒され、コンピラフォートレスは短時間で壊滅的被害を受ける筈であった。
 しかし、現場に急行した√能力者の迅速な対応、懸命の救助活動、そして卓越した戦闘能力により、数多くの一般市民をシェルターへと誘導し、無事に避難させることに成功した。
 市街に展開していた兵器群も、その大半が√能力者によって破壊され、組織的に統率された行動はもはや不可能といっていい。√能力者側のここまでの作戦は順調だ。だが、敵側もただ手を拱いているわけではない。

 ガシャン、ガシャン、ガシャン――

 不気味な駆動音と、重厚な足音が鳴り響く。侵入した√能力者をミッションの重大な妨げになると判断したか、敵指揮官は増援部隊を投入して√能力者を迎え撃つ作戦に出たのだ。
 戦線に投入されたのは、全高2メートル弱の白いボディカラーの人型戦闘兵器。その名も「ハッタ・ラーケ」だ!
 これはある程度の戦闘力を維持しつつ、徹底的にコストを削減された、まさに「質より量」を地で行く量産型WZだ。
 とはいえ、これまでに戦った機械兵とは違い、こちらと同じ√能力を操ることができる、正真正銘の「簒奪者」である。
 ここからは、より強力になった敵との連戦が始まる。果たして√能力者はハッタ・ラーケを全滅させ、敵指揮官の元へ辿り着くことができるのだろうか。
クラウス・イーザリー
「増援か。休む暇もないね」
一般市民は避難したし、思う存分戦える
連戦で相手の戦力を削げるなら望むところだよ

隠密用の布を被り、ジャミングで敵のセンサーを妨げながらスナイパーで狙撃
初手は招集されたハッタ・ラーケの集団に紫電の弾丸を発砲してダメージを与えながら味方を強化
以降はファミリアセントリーと共に制圧射撃でダメージを与えていって、弱った相手をスナイパーで狙撃して倒していく

撃つ度にダッシュで位置を変えて敵に位置を悟られないように動いて
攻撃されそうになったらハッキングで動きを乱しながら見切りで回避を試みる

早くこいつらを全滅させて、指揮官の面を拝ませてもらうとしよう

※アドリブ、連携歓迎です
ミンシュトア・ジューヌ
今度の敵は量産型とはいえ、少々手強そうですね……気を引き締めていきましょう。

“地形の利用”で遮蔽物に身を隠しつつ“目立たない”よう移動しながら、“範囲攻撃”で確実に敵の数を減らしていきます。
今度は「邪風の爪」で敵を攻撃していきます。
あくまで牽制用であった先程の「棘」とは、ひと味違いますよ?
「風の力で切り裂いてさしあげます」
上手く味方と合流して共闘できていれば、「邪風の爪」の効果で味方を強化し、“連係攻撃”でお互いの死角をフォローし合います。

●疾風迅雷
 街に展開していた「生命攻撃機能」を駆逐し、人々を安全なシェルターまで避難させた√能力者達は、敵の本丸を目指して街の中枢部へと向かっていた。
「増援か。休む暇もないね」
 隠密用の布を服の上から被ったクラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)が、敵の探知網を搔い潜って建物の陰から陰へと移動すれば、その後ろを彼のハンドサインを頼りにミンシュトア・ジューヌ(知識の探索者ナリッジ・シーカー・h00399)が追跡する。
「今度の敵は量産型とはいえ、少々手強そうですね……」
 するとクラウスが、停止のサインを出してミンシュトアを待機させる。二人の先には、銃火器で武装した白い戦闘機械の集団が哨戒活動を行っていた。
「さっそく先制攻撃だ。ここで敵の戦力を削いでやろう」
「はい。気を引き締めていきましょう」
 白い量産WZ「ハッタ・ラーケ」を射程内に収めた二人は、それぞれの√能力を発動させて遠距離攻撃を開始する。
「捉えた……!」
 クラウスが構えたスナイパーライフルの銃口から、眩い雷光が迸る。放たれた【紫電の弾丸】が敵群に叩き込まれれば、それは敵に電撃による追加ダメージを。味方には肉体や武具への雷属性の付与を以て、強化を施す。
「……!」
「風の力で切り裂いてさしあげます」
 魔導書「シャーク・アイトゥ」を紐解いたミンシュトアが呪文を詠唱し、【邪風の爪】を敵陣に放てば、猛烈な旋風がカマイタチを引き起こして不可視の刃を生み出す。
「先程の「棘」は牽制用。この「爪」の威力はひと味違いますよ?」
 風の力とはいえ、戦闘機械の装甲をも切り裂き歪ませる程の、恐ろしい威力を秘めている。クラウスのもたらした電撃の相乗効果もあり、直撃を受けたハッタ・ラーケは次々に転倒し、沈黙していく。
「……!」
 強襲を受けたハッタ・ラーケがエマージェンシーコールを発すれば、すぐさま周囲から増援のチームが続々と集まってきた。彼らは人類側から鹵獲したと思しきアサルトウェポンを構えると、即座に反撃を開始。事態は激しい銃撃戦となった。
「一旦、距離を取るか」
 荒ぶる竜巻が後退したクラウスの身体を覆い、銃弾の軌道をずらすことで彼を被弾から守った。【邪風の爪】には、味方の周囲に竜巻を出現させて、攻防一体のシールドを与える力も備わっていた。
「わたしの風魔法も、雷撃の効果が追加されていますね」
 互いの√能力の相互作用によって強化を得た二人は、より強力な攻撃をハッタ・ラーケへと浴びせていく。
「数は多いけれど、反応速度は低いようですね」
「ああ。それにこれだけ数が多けりゃ、どこでも狙い放題の当て放題だ!」
 クラウスは物陰に潜みながら、サブ武器のファミリアセントリーを遠隔起動させた。思念で操作可能な浮遊砲台は、複数基備えられた砲門による面の制圧射撃を可能とする。スナイパーライフルによる点の狙撃と併用すれば、殲滅能力は格段に上がる。
「タテ一列に並ぶなんて、不用意ですよ」
 紫電と共に疾走するミンシュトアの【邪風の爪】が、一直線に隊列を組んだハッタ・ラーケを一瞬で貫いていった。
「よし、良い調子だ。このままキルスコアを稼いでいこうぜ!」
 二人の√能力者はそうやってお互いを強化させつつ、ハッタ・ラーケの部隊に波状攻撃を浴びせることで大きなダメージを与え続けていくのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

空地・海人
※アドリブ、連携歓迎

増援か……!?
ここまで戦って来た奴らよりも強そうだ。避難誘導を終えたハイアングルボマーが戻って来るまで持ちこたえられるといいけど……。

√汎神解剖機関フォームのままイチGUNで応戦。味方への援護射撃か牽制射撃がメインになるだろうな。
ハイアングルボマーが戻って来たら、ハイアングルボマーからの乱れ撃ちとイチGUNからの牽制射撃でできる限り敵を一か所に集めよう。
敵集団の中心部にハイアングルボマーを特攻させて、自爆攻撃で一網打尽にしてやるぜ!
エルヴァ・デサフィアンテ
アドリブ連携歓迎

さーて、お出ましだな!
シェルターは有るったって、無敵じゃ無い筈だ。
とっとと撃破して敵のカシラを潰さねーとな。

姿を隠し、ビル上から高い視力を活かして敵を観察。
数は多い。だけどかなり小型。装甲も薄いタイプかー。いつもの懐に潜り込む戦法だと、少し分が悪いか?
…んじゃ、ココは派手にブチかますか!

コードヘスティア…|アデランテ《初速、収束》・|ルクスレール《加速》、レディ!

敵が真下を通過する時にビルから飛び降りつつ、砲撃で隊列を崩して衝撃の抜け切らない内に狙撃。
着地は敵の残骸をクッションにするかー。
仕留め切れ無いヤツは…この距離なら、切るなり蹴るなりで対処だな。
アルマ・ノイマン
使用√能力:マルチ・サイバー・リンケージ・システム
使用武器:思考操作型ファミリアセントリー、ハッキングツール

マルチ・サイバー・リンケージ・システムで周囲にいる√能力者の補助を行う。
加えてファミリアセントリーでのWZ破壊またはハッキングツールでの機能停止を試みる。
周囲に能力者がいない場合や補助が必要なさそうな場合は武器使用による攻撃のみ行う。
キエティスム・トゥエルブ
「ここからが敵の本隊でしょうか」

先ほどは他の√能力者の協力を得られたことで多くの市民を助けることが出来た。
やはり味方とは良い物だと実感する。単純に手が増え効率的に動ける。

だが今回の敵は今まで通りにはいかなそうだ。
まずは数が多い。羨ましい。

そして武装量産型と見ても驚異的。
こちらの√ウォーゾーン出身の√能力に近しいものを持っている。

なら、こちらも真正面から迎え撃って見せましょう。協力できる味方が居ればそれにタイミングを合わせて。
市民の避難が完了し、味方への誤射に気を付ければ、レイン砲台を十全に扱える。

火力を全開に、敵の軍勢に穴を開けて見せましょう。

「これは貴方達への手向けです」
「受け取りなさい!」

●繋がり合う力
 数々のオフィスビルが並び立つ、コンピラフォートレスのメインストリートにて。街の人々を保護し、敵の無人兵器を退けた√能力者たちが、それぞれ異なる方角から集まりつつあった。そして、それを迎え撃つのは白いボディカラーの量産型人型兵器。ハッタ・ラーケと呼ばれるウォーゾーンの一団であった。
「あの白い奴ら、敵の増援か……!?」
 深緑のボディアーマーに身を包んだヒーロー『フィルム・アクセプター ポライズ』に変じた青年、空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)がそう言って身構えれば。
「ここからが敵の本隊でしょうか。ふむ……なかなかの戦力を揃えたものですね」
 小型自律兵器『レギオン』の操り手キエティスム・トゥエルブ (個にして群、群にして個・h01205)が、冷静に敵の装備や数を観察する。
「(先ほどは他の√能力者の協力を得られたことで多くの市民を助けることが出来た。やはり味方とは良い物だな。単純に手が増え効率的に動ける)」
「あれが次の相手……」
 道中キエティスムと合流したレプリノイド、アルマ・ノイマン(L96A1の少女人形レプリノイドの職業暗殺者・h01393)も一緒だ。敵は量産タイプとはいえ、その能力は通常のドローンなどとは一線を画する。ここからは激しい戦闘になりそうだ。
「マルチ・サイバー・リンケージ・システム起動……接続準備中です」
 アルマの指先から伸びたサイバー・リンケージ・ワイヤーが、海人のスーツとキエティスムの義体装甲に接続された。これによって二人は、攻撃の命中率と相手の攻撃に対する反応速度が、通常時の1.5倍にまで増強されるのだ。
「なんという物量……! だが、今は奴らの攻撃がはっきりとこの目で見える!!」
 ハッタ・ラーケの二連ビームランチャーから放たれる「サビザン・ビーム」を搔い潜りつつ、キエティスムは自身の主力武装である長大なレイン砲台を起動させた。
「驚異的な連射能力! こちらの√ウォーゾーン出身の√能力に近しいものを持っているようだ……なら、こちらも真正面から迎え撃って見せましょう」
 人類が生み出した決戦気象兵器・レイン。その性能の真価が、今明らかとなる。
「これは貴方達への手向けです」
 自動操縦による滑らかな動きで上空へ浮かび上がったレイン砲台が砲門を開放すると、大気を震わせる轟音とともに閃光が迸った。
「――受け取りなさい!」
 直後、地上へと叩きつけられる三百発の砲撃。【|第十二番「汝の魂の静寂に捧ぐ」《ミゲル・デ・モノリス》】と名付けられた雷の|雨《レイン》に撃たれ、戦場に展開していたハッタ・ラーケは一瞬にして爆光に包まれ、崩れ落ちていった。
「レイン砲台、聞きしに勝る恐ろしい威力だな」
 アサルトウェポンやミサイルランチャーで波状攻撃を仕掛けてくるハッタ・ラーケに対し、海人はイチGUNによるレーザー射撃で応戦している。現在のフォームの主力武器である「ハイアングルボマー」を呼び戻している最中であるため、やや火力不足は否めない。それでも簒奪者を相手に互角に渡り合えているのは、味方を補助する能力に長けたアルマと、広範囲殲滅能力に優れたキエティスムの存在が大きい。
「タイミングを合わせて、同時に攻撃しましょう」
 傍らに静かに浮かぶファミリアセントリーを従えたアルマが、海人に連携を呼びかけた。彼女の指と繋がったリンケージワイヤーが切断されない限り、彼女の強化は持続するだろう。
「わかった。頼りにしているぜ!」
 後方からの心強い支援を得て、海人の射撃はさらに冴え渡るのだった。

「おーおー、派手にやってるねぇ」
 オフィス街を一望する高所から、エルヴァ・デサフィアンテ(強襲狙撃Fang of Silver・h00439)は地上の様子を眺めている。
「さーて、お出ましだな! シェルターは有るったって、無敵じゃ無い筈だ。とっとと撃破して敵のカシラを潰さねーとな」
 既に白い人型兵器が戦場に多数展開しており、他の√能力者が交戦中だ。ならば、ここは共闘するのが得策か。
「(数は多い。だけどかなり小型。装甲も薄いタイプかー。いつもの懐に潜り込む戦法だと、少し分が悪いか?)……んじゃ、ココは派手にブチかますか!」
 言うが早いか、エルヴァはコンクリートの床を勢いよく蹴ってその身を空中へ躍らせた。
「コードヘスティア……|アデランテ《初速、収束》・|ルクスレール《加速》、レディ!」
 落下の最中に愛銃AMR-20「アデランテ」を構えつつ、眼下の白い機械兵の一団へ向けて引き金を引く。プラズマ爆発を引き起こす【バースト2:|灼熱砲撃《コードヘスティア》】が着弾すれば、敵群はたちまち紅蓮の炎に包まれた。
 ちょうど地上では、√能力者が戦闘を繰り広げているところだった。灼熱の魔弾に撃ち抜かれたハッタ・ラーケが爆散し、エルヴァはバラバラになったその残骸の上に勢いよく着地する。偶々居合わせた海人が、突如落下してきたエルヴァに思わず気を取られて叫ぶ。
「うわ、何だ!?」
「はははっ、驚かせて悪いな! 諸君、アタシが来たからには、もう勝利確定だぜ」
 そう言ってびしっとポーズを決めてみせるエルヴァ。十数メートルの高さから落下しても支障なく動けるのは、流石サイボーグといったところか。
「急にびびらせないでくれよ。そういうあんたも√能力者だよな?」
「モチロンさ。ここは敵がわんさか出てくるボーナスステージ、今ならキルスコアを荒稼ぎできるぜ」
 ハッタ・ラーケの残骸を踏みつけながら、エルヴァは余裕の笑みを浮かべてみせた。
「敵は倒しても、どんどん増援を呼んでくる。協力してくれるか?」
「ああ。このアデランテで、片っ端から撃ち抜いてやるさ」
 自信満々のエルヴァにサムズアップすると、海人は空を見上げた。すると、彼の主武装である「|空撮爆弾《ハイアングルボマー》」がこちらに向かって飛来してくるのが確認できた。どうやら、民間人の避難は完了したようだ。
「こっちだ、ハイアングルボマー!」
 海人に誘導されたハイアングルボマーは、直ちに敵の頭上から怪異爆弾を投下して爆撃を開始した。多方面からの爆撃で敵を一箇所に固めておいて、自爆攻撃で一網打尽にする。数にモノを言わせた特攻作戦だ。
 これが√汎神解剖機関フォームの必殺技、「ポライズエクスプロージョン」だ。爆裂した空撮爆弾は、周囲に怪異由来の瘴気を撒き散らし、敵のセンサーに重大な障害を与えた。
「これはいいや。狙い放題!」
 爆撃の様子を見ていたエルヴァは、海人の攻撃に便乗して炎熱の弾丸を敵へ浴びせていった。燃え盛る炎は敵にダメージを与えるだけでなく、味方の武器に高熱を付与させる効果もあった。追加される敵の増援にも怯むことなく、√能力者たちの攻撃はさらに激しさを増していくのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

小白・由真
宵伽さん(h00211)と行動。

一難去ってまた一難、という事ですか。
だがしかし、簒奪者が出てきたからといって、怯えて竦む私達ではありません。
出てくる全てを打ち砕き、奥にいる指揮官の首を獲ってみせます!
「さて、行きましょうか団長様。目に物を見せてやりましょう!」
さて、団長様は真竜の姿を取るという事ですので、私はその背に乗りましょう。
そして、団長様のブレスを潜り抜けてきた敵に対し、ブラスターキャノン・フルバーストをお見舞いするのです。前回と同じく、でかくて鈍い敵に対しては2~3基に増やしての大火力をぶちかましますよ!
「任せて下さい、一機たりとて逃がしはしませんから。悉くを撃ち抜いてみせますとも!」
宵伽・ディー・キルシュブリューテ
小白卿(h02653)と同行致します

市民の方々の避難は完了しましたが、やはり禍根を絶たねば
…新しい尖兵を用意したようですね
白い人形戦闘兵器。先程とは違い、全体に統制が見てとられます
簒奪者であることは間違いありません
故、最早奪わせぬ為にも―ー此処は蹴散らし、指揮者への到達の先導を致します

イグニッション。断片ではありますが竜の力を仮解放
その身を分解し真竜として再構成
その身を盾とし前進致しましょう
小白卿は我が背に
範囲をブレスで焼却しつつ、阻む物は膂力で圧し潰す

こちらは小回りが効きませんが、小白卿とであれば補えあえる事でしょうね
「この身を上手くお使いください。仔細、判断は委ねますとも」

●パンツァー・ドラグーン
 竜のインビジブル達が天高く昇っていったのを見届けると、二人の√能力者は敵の指揮官が待ち受ける街の中心部を目指し、更に進んでいく。先程は協力して「生命攻撃機能」を排除し、逃げ遅れていた市民をシェルターへ避難させることもできた。
「市民の方々の避難は完了しましたが、やはり禍根を絶たねば……新しい尖兵を用意したようですね」
 敵はさっそく、新たな刺客を送り込んできたようだ。宵伽・ディー・キルシュブリューテ(宵星の伽・h00211)が、前方に展開した白い機械兵の集団をじっと見据える。
「なんという数! 一難去ってまた一難、という事ですか」
 宵伽の傍らに並んだ小白・由真(瑶眼瑩毛白犬明神・h02653)が、長大なブローバック・ブラスターライフルのロック機構を解除する。この先の戦いでも、この銃の力が必要なようだ。
「先程とは違い、全体に統制が見てとられます」
 新たな敵集団を、油断なく観察する宵伽。この白い人型機械兵器を、√ウォーゾーンの人類は「ハッタ・ラーケ」と呼んでいる。ある程度の性能を維持しつつも、徹底的にコストを削減され、質より量を優先して生産されたモデルである。なにせ専用の武装すら持っておらず、基本的に現地で人類から鹵獲したものを使用するのだ。
 二人の姿を捕捉したハッタ・ラーケは、アサルトウェポンやミサイルランチャーの照準をこちらに合わせながら、整然とした足取りで近づいてきた。
「あの者らが簒奪者であることは間違いありません。故、最早奪わせぬ為にも―ー此処は蹴散らし、指揮者への到達の先導を致します」
「簒奪者が出てきたからといって、怯えて竦む私達ではありません! さて、行きましょうか団長様。目に物を見せてやりましょう!」
 力を合わせて、全力を以て目の前の敵を薙ぎ払う。その覚悟と準備はとうに出来ている。

「断片的にですが、これより竜の力を仮解放します」
 それは、嘗て竜と星の庇護者であった彼女に与えられし権能。罰剣『フェガロフォト』を勢いよく地面に突き立てると、宵伽は己に秘められた竜の力を解き放った。
「ドラゴンプロトコル・イグニッション――」
 すると彼女の全身が眩い閃光に包まれ、その光の中へと溶け込み消失していく。みるみるうちに光はその輝きを増し、やがて戦場一帯を強く照らすほどに膨張していき――程なくして、宵伽の身体は神々しくも威厳に満ちた「|真竜《トゥルードラゴン》」の姿へと再構成された。
「――――!!!」
 秘術によって巨竜へと変じた宵伽が猛々しい咆哮をあげれば、澄み切った冬の大気がビリビリと震動する。相棒の由真がその雄大な背に飛び移ったことを確かめると、宵伽はゆっくりとその巨体で大地を踏みしめ、前進を開始した。
「(この身を上手くお使いください、小白卿。仔細、判断は委ねますとも)」
 感情なき機械兵団は、真竜に変じた宵伽の威容にも動じることはない。ただ冷徹に銃を構え、その弾丸を撃ち尽くすまで発砲するのみだ。数の暴力にものをいわせた、鉛玉の嵐が宵伽の竜鱗に打ち付けられる。だが、当の宵伽は何処吹く風といった様子。ぐっと身を屈めて力を溜め、お返しとばかりに顎門を大きく開くと、前方に向かって一直線に超高温の|吐息《ブレス》を吐き出した。衝撃波を伴う熱線が敵軍を薙ぎ払うと、無数の機械人形達がバラバラに粉砕されながら宙を舞い、地面に転がっていく。その残骸を押し潰し、尚も取り付いてくる敵兵を前足で振り払いながら、宵伽は前進し続けた。
「流石は団長様! 私も負けていられませんね!」
 揺れ動く宵伽の背の上で、由真は愛用のブローバック・ブラスターライフルを構え、砲撃体勢に入った。彼女はさらに、虚空から追加の銃を召喚して一斉発射の用意を整える。
「任せて下さい、一機たりとて逃がしはしませんから。悉くを撃ち抜いてみせますとも!」
 竜に変身した宵伽は、負傷は勿論治癒も含めたあらゆる影響を受けなくなる。その代償として、体内の「竜漿」を大量に消費し続けているのだ。彼女が竜漿を枯渇させてしまう前に、敵を殲滅させる必要がある。出し惜しみはなしだ。
「全弾発射ぁーー!!」
 ずらりと揃えられた由真の銃口から、破壊光線が驟雨のごとく撃ち出される。――圧倒的なエネルギーの奔流は、荒れ狂う大河が土砂を押し流すがごとく、ハッタ・ラーケの一団を跡形も無く吹き飛ばしていった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

血祭・沙汰子
…ふむ。
どうやら敵は増援を出してきたようで。
好都合です。
元より全ての戦闘機械群は滅ぼすべきモノ。
その数を減らす好機。
引き続き、殲滅行動に移ります。

『兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ。』
地下秘密部隊「夢兎眠」、冥土長、血祭・沙汰子、続けて参ります。
全ての勝利を我が主の為に。
オールハイル、ナナリン。

√能力【冥土長の暗殺】を使用し攻撃を開始します。
闇に紛れ、敵の死角より、その距離に合わせ、【血濡れの無限ハチェット】二刀流による近接重斬撃を見舞うか、少し距離のあいた所から投擲するか、臨機応変、変幻自在に攻撃を行っていきます。
使用技能は【暗殺】一択。

敵の攻撃は【コマンド・アット・ホーム】と予測。
なるほど。
数はいる。
しかし、遅い。
半減した反応速度など、私の【SPD】の相手にもなりません。
闇に紛れ、建築物や障害物の影などに潜みつつ、12体全て、1体づつ潰し、最後にゆっくりと指揮官の首を取ります。

味方との連携重視。
絡み歓迎。
迷惑行動は行わない。
アドリブ可能。

無口、無表情な冥土長(メイド長)です。
淡々と必要な言葉だけ話す。

しかし敵の名前がハッタ・ラーケ、ですか。
「働け」とは安直な。
敵の指揮官のネーミングセンスを疑います。

●冥土送り
 夥しい数の無人兵器群を鮮やかな手並みで始末しながら、血祭・沙汰子(夢兎眠の冥土長・h01212)はコンピラフォートレスの中心市街地に向かって進んでいく。道中で逃げ遅れた市民達を保護し、シェルターへ避難させることもできた。ここまでの道のりは順調だ。
「……ふむ。どうやら敵は増援を出してきたようで」
 遠目にも目立つ、白いカラーリングの機体。沙汰子はそれが敵の新手であると、容易に知ることができた。人類側では、その人型兵器を「ハッタ・ラーケ」と呼んでいる。
「好都合です。元より全ての戦闘機械群は滅ぼすべきモノ。その数を減らす好機……引き続き、殲滅行動に移ります」
 ハッタ・ラーケの一団は、人類から鹵獲したと思しき武装を構えて沙汰子のほうへと近づいてくる。間もなく接敵だ。沙汰子は愛用の暗殺具「血濡れの無限ハチェット」を諸手に握ると、先程の戦いと同様に濃密な闇を周囲に展開した。
「兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ」
 全ての勝利を己の主に捧げるため。ハチェットを構えた冥土長が敵へと躍りかかった。
 アサルトウェポンのバースト射撃が沙汰子を襲う。ターゲッティングは正確だ。数にものをいわせた、猛烈な波状攻撃が叩き込まれる。
「全ての勝利を我が主の為に。オールハイル、ナナリン」
 敵は指揮官と配下を含めた13体。その行動は乱れること無く、まったく無駄がない。大きく跳躍して射撃を回避した沙汰子は、棒高跳びの要領で黒い靄の中へと飛び込み姿を隠す。
「なるほど。数はいる」
 声と共に闇の中からハチェットが投擲され、投げつけられた刃は狙い違わずハッタ・ラーケの頭部に深々と突き刺さった。赤い髪のメイドは再び姿を現すと、軽やかな動きで走り出す。ダッシュの踏み込みと同時に体を勢いよく回転させ、十分な遠心力をつけて背後からボディを切り払う。勢いよく噴き出した機械油を浴びることもなく、即座にバックステップで距離を取り建物の陰へ。
「しかし、遅い」
 確かに、ハッタ・ラーケの統率された集団戦法は脅威といえる。しかし、√能力の特性として、部隊全員の反応速度が半減するという欠点があるのだ。
「その反応速度で、私の動きに付いてこられる筈がないでしょう」
 沙汰子は出現と同時にハチェットを振るい、攻撃命中と同時に再び隠密状態となって姿と気配を搔き消す。そして何故か、彼女の愛用武器「血濡れの無限ハチェット」が尽きることはない。投擲しても、次に現れたときには既に両手に新たなハチェットが握られている。
「しかし敵の名前がハッタ・ラーケ、ですか。「働け」とは安直な」
 人型兵器「ハッタ・ラーケ」は、極限までコスト削減したうえで生産されたモデルである。そのため、専用の武器すら設定されておらず、基本は鹵獲による現地調達。代わりに、人類側のどんな武器も扱えるようにマニピュレータ部分だけは精密に出来てある。「敵の指揮官のネーミングセンスを疑います」
 毒づきながらも的確にハチェットを振るい、敵を屠る沙汰子。まあ、労働に従事する立場にある量産ロボットにつけられるには相応しい名前ではある。
「答えてくれるとは思いませんが……念のため聞いておきますか。どこです、あなたの主人……上官は」
「……」
 人類から奪った銃を手にした指揮官機の返答は、無言の射撃に代えられた。予測済みの反応に、沙汰子が動じることはなく。銃声と同時に、沙汰子は地を蹴り飛び出した。
「やはり無駄な試みでしたか」
 頭部を狙った正面からの切り下ろしは、フェイントだ。動作を中断して投げ捨てたハチェットを囮に、素早く敵の左側から回り込む。もう一本のハチェットが一閃されると共に、ハッタ・ラーケの手がゴトリと地面に落ちた。
「その銃を、あなたが持つべきではありません」
 そしてすかさず叩き込まれる、頸部への鋭い一閃。最後に残った一機が、勢いよく頭部を切り飛ばされ足元から崩れ落ちる。当初の予定通り、沙汰子は単騎でハッタ・ラーケの小隊を撃破することに成功したのだ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​ 成功

第3章 ボス戦 『ベンジャミン・バーニングバード』


POW ゆるキャラ騎怪兵団
「全員がシナリオで獲得した🔵」と同数の【重機を操縦するゆるキャラたち】を召喚する。[重機を操縦するゆるキャラたち]は自身の半分のレベルを持つ。
SPD オーセンティック・タクティクス
先陣を切る(シナリオで、まだ誰のリプレイも出ていない章に参加する)場合、【自動小銃を装備したゆるキャラの歩兵部隊】と共に登場し、全ての能力値と技能レベルが3倍になる。
WIZ BBB式乗騎戦
騎乗する【重機(ブルドーザーとかですね)】から跳躍し、着地点の敵1体に【自動小銃】による威力3倍攻撃を放つ。また、跳躍中に【手榴弾を投擲】すると命中率半減/着地点から半径レベルm内の敵全員を威力3倍攻撃。
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●狂気の重戦車
 コンピラ・フォートレスの行政を司る、市庁舎広場の一角にて。
「ふんふ~~ん、今日もいい工事日和~~♪」
 市庁舎の周りをガーガー疾走しながら、荒れた路面を舗装する一台の重機があった。その運転席に腰かけているのは、麦わら帽子をかぶったヒヨコのような生物。
 どこかの地方自治体のマスコットゆるキャラに見えなくもない的存在なのである。
「おや、通信入ってる。なになに……えっ、ハッタ・ラーケ部隊が全滅ぅ!?」
 このヒヨコ、名を「ベンジャミン・バーニングバード」という。可愛らしい見かけだが、さる民間軍事会社『BBB』のメンバーだったりする。
 普段は√マスクドヒーローで活動している傭兵怪人なのだが、√ウォーゾーンの派閥に金で雇われ、報酬を稼ぎにやって来たというわけである。
「あれだけの物量を捌いちゃうなんて、人類側にも凄腕がいたもんだね。どんな人達なのかな? ぼくちょっと楽しみになってきちゃったよ」
 大量の兵器を投入して市民を虐殺しようとしたにしては、あまりに軽い口調でモノを言う。遠足気分でやって来たようなこの簒奪者は、ここで重機のアクセルを全開にして、ハンドルを右に切る。
「ブゥゥゥゥーン! あはははははっ」

 ドガシャアアアアァァァァァンッ!!!!!

 耳をつんざく轟音とともに、市庁舎前に建てられていたゆるキャラマスコットのブロンズ像がなぎ倒された。
空地・海人
※アドリブ、連携歓迎

また増援か……!? ……いや、ゆる……キャラ……? 
……あれも機械なのか? アニマトロニクス?

「まあ、倒すべき敵なことに変わりはないか……『現像!』」
深紅の装甲を身に纏った『フィルム・アクセプター ポライズ √マスクド・ヒーローフォーム』へフォームチェンジ。すぐに専用武器【閃光剣・ストロボフラッシャー】の光の刃を極大化する。
「最初からクライマックスだ! 閃光剣、解放!」

自動小銃から放たれる銃弾の雨を跳躍して回避。そのまま、ゆるキャラの歩兵部隊を閃光剣の斬撃でなぎ払い、着地後にまた跳躍。重機を操縦するヒヨコに跳び掛かり、閃光剣で切り込む!
ゆるキャラだろうが容赦はしない!
アルマ・ノイマン
使用√能力:マルチ・サイバー・リンケージ・システム
使用武器:思考操作型ファミリアセントリー

「???ひよこ、の、機械?…ちがう、ぽい?
 つまり、わたし、みたいな、存在、ということ??」

マルチ・サイバー・リンケージ・システムで周囲にいる√能力者の補助を行う。
加えてファミリアセントリーでの直接攻撃を試みる。
周囲に能力者がいない場合や補助が必要なさそうな場合は武器使用による攻撃のみ行う。

敵が機械兵でないことは不思議に思うものの、人類に対して敵対する、害意を示すのであればそれは阻止されなければならないことという思考を持っていますので、全力で対応します。
継萩・サルトゥーラ
弥句マスターにおまかせします。かっこいい継萩・サルトゥーラをお願いします!

アドリブ歓迎。
「やったろうじゃないの!」
「まぁ焦んなや、楽しいのはこれからだ」

√能力は指定した物をどれでも使用ます。
戦うことが好きで好きで楽しく、戦闘知識や勘を活かしてハデに行動します。
楽しいからこそ冷静でいられる面もあります。
多少の怪我は気にせず積極的に行動しますがヤバいときは流石に自重します。
仲間との連携も行えます。
軽口を叩いたりやんわりと皮肉を言ったりしますが、他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
クラウス・イーザリー
(あまり時間をかけすぎると街が更地にされてしまいそうだ)
外見がゆるキャラとはいえ、機械達を指揮していたのだから実力は本物だろう
油断せずに戦おう

WZに乗り込んで戦闘
戦闘開始後すぐに限界突破を使用
自己修復機能があるとはいえ都市への被害は少ない方がいい、できるだけ短期決戦を目指そう

ゆるキャラ達が乗る重機に向けて無差別攻撃や爆破、弾幕の範囲攻撃でダメージを与え、弱った相手にダッシュで接近して光刃剣の居合で止めを刺す
敵からの攻撃は機動力を活かして狙いを定め辛いように動き、見切りで回避する

こいつを倒せば街に安全が戻る
人類が住む場所を奪わせないために、全力で戦うよ

※アドリブ、連携歓迎です
ミンシュトア・ジューヌ
(連携はお任せですが、可能な状況であれば今回も“連携攻撃”技能を使います。)
ようやく指揮官のおでましですね。
見た目がゆるキャラだからといっても、油断はしません。
ここはわたしの最強の√能力「邪風の牙」を使いましょう。

「邪風の牙」の効果、3倍のスピードで戦場を駆け抜けて攻撃を回避。
避けきれない攻撃は“受け流し”します。
“部位破壊”で重機のエンジンを狙い、敵の移動力を奪います。
敵がそれで隙を見せれば、本体を攻撃。
「最速最強の風をお見せしましょう!|風龍牙流《フリューゲル》!!」

戦闘後は、“医術”・“救助活動”で負傷者の手当てをします。
エルヴァ・デサフィアンテ
アドリブ連携歓迎

あの土煙……ひゅー、ようやくカシラが出て来やがったな~。
重機ってなると案外頑丈だし、真正面からだとバイタルエリアに届かないか?
ま、アタシらの戦法は未だ共有されて無いっぽいか。さーて……それじゃ、上から強襲するか!

「アデランテ」で牽制射を放ちつつ全速で敵へと接近し、「トルエノ」のパルスで目眩しをすると同時に跳躍。余りあるコア出力が生み出す熱を、冷却髪で取り出して後方へ放射。
重力と排熱の二つの推力を合わせ、天頂から蹴撃と零距離射撃をベンジャミンへと叩き込む!

ひゃっほぉぉぉーう! 悪いが解体業はココじゃ操業停止だ!
キエティスム・トゥエルブ
あれが今回の黒幕ですか。
この惨事を引き起こした割には中々な態度だ。
奇特な見た目、そしてコミカルな言動は√ウォーゾーンの戦闘機械群らしくない。

「まさか、他の√から・・・?」

だからこそ、この都市の堅牢な防衛システムを突破できたのか・・・?

「・・・今は集中しなければ」

残る敵はあのヒヨコのみ。早急に倒して、この都市の復興を手伝わなければ。

レイン砲台の使用は控えよう。あそこまで目立つ敵なら、味方も直ぐに気付いて駆けつけるだろう。
その際に広範囲の攻撃は味方の邪魔になってしまう。

「射撃用意」

指揮棒を操りレギオンに射撃体勢を取らせる。相手に誘導し、かつ軌道を操作できるミサイルならば援護にもうってつけだろう。

●トイ・パトリオット
「ぶぶ~~んっ、ぶんぶん! あははっ、愉快愉快」
 市庁舎のブロンズ像をなぎ倒した後も、ベンジャミン・バーニングバードは楽し気にそのあたりを重機で走り回っていた。
「……あれが今回の黒幕ですか」
 これだけの惨事を引き起こしておきながら、遊園地のアトラクションで遊んでいるような態度のベンジャミンに、キエティスム・トゥエルブ(個にして群、群にして個・h01205)が半ば呆れたように顔をしかめる。
「ようやく指揮官のおでましですね」
 戦車めいた巨大な重機を乗り回す、ひよこのゆるキャラのようなベンジャミンの姿を捉えると、エルフの少女ミンシュトア・ジューヌ(|知識の探索者《ナリッジ・シーカー》・h00399)がそう呟いた。
「??? ひよこ、の、機械? ……ちがう、ぽい? つまり、わたし、みたいな、存在、ということ??」
 アルマ・ノイマン(L96A1の少女人形レプリノイドの職業暗殺者・h01393)は、当初思い描いていた指揮官のイメージとかけ離れたベンジャミンの姿に、やや困惑気味だ。敵が機械兵でないことに違和感を覚えたアルマだが、彼が人類に敵対し、害意を表す存在であるならば、全力で計画を阻止しなければならないだろう。
「ぶぶ~んドドド…………あっ、誰かきた」
 すると√能力者の姿に気付いたベンジャミンが、運転席からひらひら手を振ってきた。「やあ!」
 そのユニークな姿はまるで、どこかの建設会社や県庁土木課のマスコットキャラのようだ。だが忘れてはならない。彼こそが、このコンピラ・フォートレスに大軍を率いて攻め込んだ張本人だということを。
「キミ達がハッタ・ラーケを蹴散らしたんだね? ぼくはベンジャミン・バーニングバード! いわゆる傭兵ってやつさ。カッコいいだろう?」
「(あれが指揮官か。あまり時間をかけすぎると街が更地にされてしまいそうだ)」
 決戦型WZ『蒼月』に乗り込んだクラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は、ベンジャミンの本質を的確に見抜いていた。ユルい外見ではあるが、大量の機械兵を指揮しているその実力は本物だ。
「傭兵、ね。金のために戦争仕掛けに来たってわけかい。いいぜ、やったろうじゃないの!」
 そう言って侵略者に対して闘志を滾らせるのは、デッドマンの兵士継萩・サルトゥーラ(|百屍夜行《パッチワークパレード・マーチ》・h01201)。彼の素体となって繋ぎ合わさり、溶け合った者達の自我が、ひとりひとり頭の中で継萩に『あいつを倒せ』としきりに囁きかけてくるのだ。パッチワークスーツのジッパーをしっかり閉めて、継萩は気合いを入れ直す。
「オーケー! それじゃあぼくもビジネス開始といこうかな! さあ、みんな出ておいで!」
 甲高い声で戦いの始まりを告げると、ベンジャミンは自らの配下を召喚した。低く轟く地鳴りのごときエンジン音と共に現れたのは、ベンジャミンと同タイプの重機を操る「ゆるキャラ騎怪兵団」。そして、その重機たちに導かれるように行進しながら現れたのは、自動小銃を所持したベンジャミンそっくりの歩兵集団だった。
「また増援か……!? ……いや、ゆる……キャラ……? ……あれも機械なのか? アニマトロニクス?」
 今までさんざん戦闘機械を相手に戦ってきたのだ。空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)が戸惑うのは無理もないだろう。だが、
「まあ、倒すべき敵なことに変わりはないか……『現像!』」
 弱き者を助けるヒーローとして、目の前の悪を倒すのが絶対的使命だ。海人はカメラ型変身ベルト『フォトシューティングバックル』に別の『ルートフィルム』を装填し、フォームチェンジを行う。
「最初からクライマックスだ! 閃光剣、解放!」
 瞬く光とともに深紅の装甲へと変わったその姿は、ポライズの基本フォームとなる√マスクド・ヒーローフォームだ。専用武器『閃光剣・ストロボフラッシャー』の刃を出力最大まで伸張し、海人は油断なく身構える。
「あっ、ヒーローだ! ヒーローは倒さなきゃ。怪人だからね!」
「(あいつ今、怪人と言ったか……)まさか、他の√から……?」
 キエティスムの言うとおり、コミカルな見た目や言動のベンジャミンは、√ウォーゾーンの無骨な戦闘機械とはかけ離れている。
 実をいうと、ベンジャミンは√マスクド・ヒーローの民間軍事会社に属する怪人傭兵だったりする。コンピラフォートレスの防衛システムが容易くハッキングされたのにも、他√(ルート)の技術が使われたと仮定すれば納得できる。
「……今は集中しなければ。残る敵はあのヒヨコのみ、早急に倒して街の復興を手伝わなければ」
「見た目がゆるキャラだからといっても、油断はしません」
 ミンシュトアはウィザードハットのつばを軽く押し上げ、愛用の詠唱錬成剣をすらりと抜き放った。彼女は魔術師であると同時に、武器の扱いに長けた錬成騎士でもあるのだ。
「|天地《アメツチ》ノ狭間治ムル|颶風龍《グフウリュウ》我ガ身ニ宿リ其ノ威ヲ示セ……」
 厳かに唱えられた【邪風の牙】が強風を引き起こし、ミンシュトアの身体に風の神霊「颶風龍」が降臨する。これにより、ミンシュトアは通常の3倍の速度による高速戦闘が可能となる。術士が敢えて危険な接近戦を選んだということは、彼女が本気モードだということだ。
「マルチ・サイバー・リンケージ・システム起動。……ワイヤー接続開始します」
 いつものように淡々とした声とともに、アルマが指先から極細のサイバー・リンケージ・ワイヤーを射出した。それらは√能力者たちの防具、あるいは身体に直接接続されることによって、命中率と反応速度の劇的な向上を促す。複数の仲間を一度に強化できる、強力な支援能力だ。
「あの土煙……ひゅー、ようやくカシラが出て来やがったな~」
 少し離れた位置にあるビルの上から、エルヴァ・デサフィアンテ(|強襲狙撃《Fang of Silver》・h00439)が地上の様子を伺っていた。
 歩兵部隊に重機の集団。相手に不足はない。今回はどう戦うか? エルヴァは思案する。
「重機ってなると案外頑丈だし、真正面からだとバイタルエリアに届かないか?」
 なら遠距離からの狙撃でチクチクいくより、接近して高火力の一撃をぶちこんだほうがいい。エルヴァが導き出した答えは明快だった。
「ま、アタシらの戦法は未だ共有されて無いっぽいか。さーて……それじゃ、上から強襲するか!」
 エルヴァの胸の中央に搭載されたコアが、出力が高まるにつれて赤熱し始める。最高の一撃を叩き込むため、銀髪の女兵士は銃を手に執ると颯爽と駆け出した。

「さあ、いくよ~!」
 ベンジャミンの号令の下、ゆるキャラヒヨコ軍団が前進を開始した。√能力者達は素早く散開すると、それぞれ己が定めたターゲットに向けてその力を振るい、真っ向から立ち向かう。
「こいつを倒せば街に安全が戻るんだ、……全力でいくぞ」
 接敵と同時に、クラウスはWZの操縦桿を握ったまま【限界突破】。機体を勢いよく加速させて重機部隊へと特攻をかけた。彼のWZ『|蒼月《ソウゲツ》』は、装甲を削って運動性能を向上させた、エンジニア入魂のカスタム機である。その性能を、クラウス自身の√能力を以て更に一極化させる。
「(戦闘機械都市は自己修復機能をもつとはいえ、被害は少ないほうがいいだろう)」
 蒼白の輝きを帯びた『蒼月』は、時にホバリングや二段ジャンプといった空中技も駆使して、敵の間を縫うように疾走する。
「短期決戦を目指す!」
 頭部や腕部に仕込まれた内蔵火器から弾丸をばらまいて牽制しながら距離を縮め、大型重機の至近距離まで密着してから射撃を浴びせ、ガリガリ装甲を削っていく。
「援護します!」
 加速したクラウスに追い縋るミンシュトアが、怒濤の勢いで戦場を駆け抜けていく。詠唱錬成剣から放たれるのは、装甲を断ち切る威力を秘めた風の刃。重機のエンジン部分を目掛けて剣を振るうと、風の神霊「颶風龍」はその力を遺憾なく発揮させる。
「最速最強の風をお見せしましょう! |風龍牙流《フリューゲル》!!」
「!?」
 動力部を損傷し、スピードが減衰した敵機を、風と光の刃が容赦なく襲う、車体に突き刺さった武器を勢いよく引き抜くと、二人さらに動きを加速させて次の敵へと向かった。
「歩兵部隊、援護射撃だ!」
 その様子を見ていたベンジャミンはすかさず配下のゆるキャラ達に呼びかけると、自らのサポートにあたらせた。
「|了解《ラジャー》っ!!」
 自動小銃で武装したゆるキャラ歩兵が密集して隊列を組むと、一斉に銃を乱射して弾幕を張る。
「邪魔をしないで」
 露払いを引き受けるのは、レプリノイドのアルマだ。彼女の傍らで浮遊する|砲台《ファミリアセントリー》の砲門が開かれる。アルマは念動力で砲台を巧みに操ってレーザーを的確に命中させ、歩兵部隊をじわじわと削っていく。
「こりゃいい。敵の弾がスローで見えるぜ……!」
 そのアルマがスーツに接続してくれたワイヤーのおかげで、海人は敵からの銃撃に対する反応を大幅に早めることができた。
「ハァッ!」
 射程のハンデをものともせず大きく跳躍すると、強引に歩兵隊の真っ只中に飛び込んだ。そのまま光剣を右へ左へ高速で振るい、歩兵達を居合いで次々に斬って捨てていく。「ゆるキャラだろうが容赦しない!」
 海人は再び大ジャンプすると、今度は重機を操るヒヨコ兵へと跳びかかった。大きく伸ばした光剣の刃を、そのまま運転席へと突き入れる。
「ぐわ~~っ!!」
 衝撃と熱に耐えきれず、車体が爆炎に包まれた。海人は車体を強く蹴ると、その反動を利用して高く跳躍。無事着地を成功させて、ヒーローらしくポーズを決めてみせた。
「へぇ、結構やるねえ!」
 部隊を統率しながら、ベンジャミンは自ら小銃を執って攻撃に参加する。運転席から身を乗り出してピョインと跳躍すると、手にしたアサルトウェポンを四方八方へと乱射した。
「バーベキューになっちゃえ! あはははっ」
 えげつない炸裂音と共に無数の銃弾が吐き出され、さらに大量の手榴弾が投擲され辺りに降り注ぐ。ろくに狙いもつけない、メチャクチャな攻撃だ。しかし引き起こされる爆発は、√能力者の接近の妨げとなるだろう。
「迎撃しないとまずいな。レギオン、射撃用意!」
 指揮棒を構えたキエティスムが、己の支配下にあるレギオンを一斉に飛ばしてベンジャミンの重機を取り囲む。
「――放て!」
 指揮官の号令一下、レギオンから放たれたマイクロミサイルが手榴弾を次々に撃ち落としていった。
「オレも助太刀するぜ! アバドン展開っ!」
 前線に立ち、大型ガトリング型のファミリアセントリーで応戦していた継萩も、キエティスムに加勢する。義眼型のアバドンコントローラーを介して、起動コールを端末本体へと送信した。コールに応じてやって来たアバドン群は、直ちにレーザーとミサイルを駆使して遊撃を開始する。継萩は落下してくる手榴弾の破片や熱風にも動じることなく、キエティスムと連携してベンジャミンを攻め立てる。自律兵器一機あたりの火力は低いが、それぞれが死角から標的を執拗に追跡して、休む暇を与えない。攻撃への対処に気を取られれば、配下への指揮もおろそかになる。これも二人の狙い通りだ。
「あいてててっ、これは厄介」
 ベンジャミンをカバーするべく、何台かの重機が√能力者の前に割り込んで壁を作ろうとする。するといきなり後方から、対WZライフルによる長距離射撃が撃ち込まれた。エルヴァだ。
「!」
「はっはっは! お前がキャプテンか!?」
 愛銃アデランテを携えたエルヴァが走り込みながら、RVG-17「トルエノ」を手当たり次第に投げつける。放物線を描いて落下したトルエノの着弾地点から発生する高熱の電磁パルスフィールドが、重機隊の機器を焼かせて混乱を引き起こした。
「ひゃっほぉぉぉーう! 悪いが解体業はココじゃ操業停止だ!」
 コアから発せられる高温のエネルギーを冷却髪から排熱させ、背部から放出される大量のエネルギーを推進力に代えて、エルヴァは高く跳躍した。
「おりゃああ行くぞぉ!? これが必殺のバースト3――」
 そのまま重機の運転席へ目掛けて飛び込みつつ、ベンジャミンへとジャンプキックを放つ。運転席が拉げる程の重撃に、金属が粉砕されていく打撃音が響き渡る!
「グヘッ……」
 そしてジャンプキックのインパクトに合わせて、アデランテの引き金を引く。自身の重量を乗せた跳び蹴りと零距離射撃の合わせ技、|瞬蹴砲撃《ソニックスパイク》がベンジャミンへと叩き込まれた。
「せ、戦略的撤退……」
 思わぬ打撃を受けたベンジャミンは、重機のギアをバックに入れて後退しようとする。合成筋肉や金属骨格で強化された肉体は見た目以上に頑強だが、この損傷を怪人細胞の力で自己修復するための時間が必要だ。ベンジャミンは配下を壁にして下がろうとするが、
「まぁ焦んなや、楽しいのはこれからだ!」
 継萩が操るアバドン群から、追加のミサイルが発射される。それを皮切りに、他の√能力者も一斉に追撃を仕掛けた
「この√に攻め込んだことを、地獄で後悔させてやる!」
 猛スピードで突っ込んできたクラウスの『蒼月』が車体に光刃剣を突き入れれば、
「ミンシュトア、同時に仕掛けるぜ」
「了解です!」
 両サイドから跳びかかった海人とミンシュトアが、クロスするように左右から斬りつける。強力な追撃を受けたベンジャミンの車体が、轟音と共に激しく震動した。
「くっ、まさかここまで追い詰められるなんて」
 はしゃぐように戦っていたベンジャミンから、次第に最初の余裕が失われつつあった。ここまでダメージを与えれば、あと一息だ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

血祭・沙汰子
いよいよ敵の司令官が居座る街の中心部に進撃。
っと、あれが、敵の司令官…。
何だか拍子抜けしますね。
ともあれ、やることはひとつ。
これよりラストフェイズを開始します。

『兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ。』
地下秘密部隊「夢兎眠」、冥土長、血祭・沙汰子、続けて参ります。
全ての勝利を我が主の為に。
オールハイル、ナナリン。

√能力【冥土長の暗殺】を使用し攻撃を開始します。
闇に紛れ、敵の死角より、その距離に合わせ、【血濡れの無限ハチェット】二刀流による近接重斬撃を見舞うか、少し距離のあいた所から投擲するか、臨機応変、変幻自在に攻撃を行っていきます。
使用技能は【暗殺】一択。

敵の攻撃は、【オーセンティック・タクティクス】と予測。
まずは味方の動きを見るように待機しつつ、私はその後で攻撃に移りましょう。
こうすれば、敵の先陣効果は無効になるはず、です。

味方との連携重視。
絡み歓迎。
迷惑行動は行わない。
アドリブ可能。

無口、無表情な冥土長(メイド長)です。
淡々と必要な言葉だけ話す。

コンピラフォートレス防衛完了。
小白・由真
宵伽さん(h00211)と共闘

ふざけた外見で、ふざけた真似をしてくれるものですね。
ですが、それもここまで。ここらが年貢の納め時というものですよ!


正面切って戦う団長様(宵伽さん)を横合いから援護する形を取り、交差攻撃で徹底的に追い込んでいきます
特に、団長様の死角を狙う敵は最優先で攻撃
ブラスターキャノン・フルバーストを徹底的に連射し、片っ端から叩き潰していってあげます!
「団長様、死角はこちらで補います!」
ベンジャミンが載る重機のエンジン部や車輪を狙う隙があったら、キャノンを3基にして攻撃!(動きが鈍いならもう1~2基増やす)
「その御自慢の重機をスクラップにして差し上げます。ええ、情け容赦無く!」
宵伽・ディー・キルシュブリューテ
小白卿(h02653)と同行致します

竜化の消耗は激しい
ですが、この程度で倒れは致しませんとも
……それも、共に立つ盟友のお陰でもあります

そして、これより先に竜漿の温存は不要とみます
「騎士が騎士たる証を、此処に打ち立てましょう――」

外装と身を護る障壁のパージ
剣を構えるは【断罪】の儀礼

罪なきヒトの命を金銭へ変える
非情にて凶行を玩ぶ
汝、罪在る者と断じます

剣の刀身が蒼い流体により形作られる
仄かに燐光放つそれは月の光と同種でしょう
罰剣、抜刀

騎士としての宣言と共に唯、正面を見据える
盟友に護られる背の、なんと心強いことか
「なればこそ。如何なる攻撃であっても弾き、斬り捨てるのみです」

●罪に罰を
 激しい砲声と剣戟に、冬の冷たく乾いた空気が戦慄く。コンピラフォートレスを巡る攻防は、遂に最終局面に近づいていた。決戦の舞台となった市庁舎前は、既に生々しい破壊の痕跡が刻まれている。
「少し油断しちゃったかなぁ。でも勝負はこれからさ」
 巨大な重機を駆る敵指揮官、ベンジャミン・バーニングバードが運転席の中で不敵な笑みを見せた。√能力者の猛攻でダメージを受けてはいるが、その戦意は未だ衰えていないようだ。
「ここまで来たなら、あとはあの指揮官を討ち取るのみ。団長様、お体の調子は?」
「ありがとう、ご心配には及びません」
 そして戦場に駆け付けた、新たなる二人の√能力者。暴虐の限りを尽くしてきた敵指揮官に、小白・由真(瑶眼瑩毛白犬明神・h02653)は鋭い眼差しを送る。そんな彼女の傍らに立つ宵伽・ディー・キルシュブリューテ(宵星の伽・h00211)の足取りは、心なしかいつもより重い。
「(ですが、この程度で倒れは致しませんとも……それも、共に立つ盟友のお陰でもあります)」
 先程の竜化の影響がまったく無いわけではない。それほどに大きく消耗する力を使ったのだ。宵伽はちらりと、傍らの相棒の姿を流し見る。
「ふざけた外見で、ふざけた真似をしてくれるものですね。ですが、それもここまで。ここらが年貢の納め時というものですよ!」
 最後の戦いを前に、由真は怒りを露わにして己を鼓舞していた。そんな二人の前に、ベンジャミン・バーニングバードは配下のゆるキャラ部隊を率いて攻撃を開始する。
「報酬分の仕事はしておかないと、クライアントに怒られるからねえ!」
 昂ぶるエンジンを激しく唸らせ、重機軍団が揃って特攻をかけてきた。迎え撃つ由真は早速ブローバック・ブラスターライフルのリミットを解除し、フル出力砲撃モードへと切り替える。
「……金銭のためなら、どんな依頼でも引き受けるのですか」
 表情こそ平静だったが、宵伽の声色は憤りを押し殺すように低くなっている。√マスクドヒーローからやって来た、怪人傭兵のベンジャミン。合理的とはいえ、人の道から外れた仕事もこなす生き様は、騎士道を重んじる宵伽や由真とは相容れないものだろう。
「騎士が騎士たる証を、此処に打ち立てましょう――」
 すると何を思ったか、宵伽は纏っていたドラゴンメイルの外装をパージした。同時に護りの要となる障壁も解除し、無防備な姿となったのである。

「っと、あれが、敵の司令官……」
 敵が侵攻してきた形跡を辿って、血祭・沙汰子(夢兎眠の冥土長・h01212)は指揮官が待ち受ける街の中心地・コンピラフォートレス市庁舎に到着した。既に、先行していた由真と宵伽が接敵中だ。その後方から忍び寄り、沙汰子は様子を伺う。
「(思っていたタイプの敵とは違いますね。何だか拍子抜けしますが……)」
 見た目は可愛らしい、カップラーメンのマスコットのようなゆるキャラが、戦車のごとき重機に乗って√能力者と戦闘を繰り広げている。
「これよりラストフェイズを開始します」
 これまで単騎で敵を蹴散らして来た沙汰子だが、今回は共に戦う味方がいる。用いる武器は、やはり血濡れの無限ハチェットだ。
「兎は眠りて夢を見る。起きては全てを殺すだけ」
 ルーチンのように『夢兎眠』の合言葉を唱えると、沙汰子は放たれた矢の如く駆けだした。
「地下秘密部隊「夢兎眠」、冥土長、血祭・沙汰子、続けて参ります。全ての勝利を我が主の為に。オールハイル、ナナリン」
 両手にハチェットを構え、昏き闇色の霞を纏った沙汰子は、音も無く漆黒の奥深くへと溶けていった。

「罪なきヒトの命を金銭へ変える、非情にて凶行を玩ぶ――」
 厳かに呟くと、宵伽は複雑な外装機構を持つ罰剣『フェガロフォト』の長大な刀身を正眼に構えた。もはや竜漿の温存は不要、全身全霊を込めた一撃でこの敵を斬り捨てるのみだ。
「汝、罪在る者と断じます」
 玲瓏なる声で告げられるは、冷徹な死刑宣告。これより、断罪の儀式が執り行われる。
「団長様、死角はこちらで補います!」
 由真のブラスターライフルが猛々しい砲声を上げて火を噴き、迫り来る戦闘重機群を貫いてゆく。強力な熱線を受けた重機は、盛大に爆炎を噴き上げて機能を停止させる。すると、運転席からベンジャミンと同タイプのひよこ怪人が慌ただしい様子で降りてきた。
「な、なんて火力なんだ……」
 乗機を失ったひよこ怪人は、小走りに戦場からの離脱を図ろうとする。そこに、
 ――さくっ
 飛来したハチェットが、小気味よい音を立てて怪人の後頭部に勢いよく突き刺さった。狙われたひよこ怪人は、そのまま声も出すことなく前のめりに倒れ込む。
「ひぃっ!」
 気配を遮断して突然現れた沙汰子に、歩兵たちが動揺しながら身構えた。急ぎ小銃を構えて迎撃の態勢に入る――が、既に捉えられてからでは遅すぎる。
「これが、我が暗殺術の真髄」
 辺りに立ちこめた濃密な闇。そのどこにでも沙汰子は姿を眩ませ、どこからでも現れる。宮廷舞踊に興じる貴婦人のごとくロングスカートと赤い髪を翻らせ、両手に構えたハチェットを高速で薙ぎ払い、敵兵の急所を的確に斬りつけていく。一撃必殺、その動きに一切の無駄はない。
「こちらの歩兵は私が引き受けます」
「わかりました、お任せします!」
 手短なやりとりで、それぞれの役割分担が決まった。由真は【ブラスターキャノン・フルバースト】を駆使して重機兵を仕留め、そして沙汰子が【冥土長の暗殺】によって残りの歩兵部隊を狩り尽くす。
「その御自慢の重機をスクラップにして差し上げます。ええ、情け容赦無く!」
 異空間から追加のブラスターライフルを呼び寄せた由真の砲撃は、激しさを増していく。戦場に揃った巨砲は併せて4基。命中率こそ落ちるものの、火力はそれまでと段違いだ。出力を向上させたビーム射撃は、軽く掠めただけでも装甲が融け落ちる。
「歩兵部隊、弾幕が薄いっ! ……何してるんだよ!?」
 苛立たしげに無線機から指示を飛ばすベンジャミンであったが、既に多くの歩兵は沙汰子によって屠られ、機能不全に陥っていた。ハチェットに付着した鮮血を振り払い、沙汰子は次の標的を見定める。
「……さて、仕上げといきましょう」
「う、撃て! 撃てーーっ!!」
 残存の歩兵がアサルトウェポンを連射する。だがその攻撃も、今の沙汰子の前では破れかぶれの抵抗としか呼べないものだった。

 握りしめた粛正兵装『フェガロフォト』の柄から、確かな重みが伝わってくる。宵伽はその重厚な刀身に、己の竜漿を余すこと無く込めていく。程なくして竜漿から生まれた流体が、剣本体を包み込むとともに光刃を真っ直ぐに延伸させていった。
「罰剣、抜刀」
 その蒼い燐光の輝きは月の涙のようだと、嘗て誰かが云った。竜の命運を断つ厳粛な礼典。不動の姿勢で瞑目するその所作は、剣技というより祈りに形容するのが相応しいか。
「――うわあああああっ!?」
 そして耳を劈く爆音と共に、最後の重機兵が撃滅された。由真もまた、総力をもって敵の掃討を引き受けてくれたのだ。盟友に護られる背の、なんと心強いことか。
「なればこそ。如何なる攻撃であっても弾き、斬り捨てるのみです」
 今、すべてを賭けた一閃を放つ。大きく息を吸い込んだのち、呼気と共に宵伽が大きく光刃を振りかぶった。曇天の下、2月の冷たい空気が震える。
「……クソォォォォッ!!」
 頼みの配下も、もういない、勝機を奪われ追い詰められたベンジャミンの最後の手段。それはアクセルを踏み込んで真正面から突撃する、余りに単純な特攻だった。が、それも|断罪《プルガトリオ》の蒼き刃によって留められる。
「――唯、其の罪を濯ぎましょう」
 轟音と共に光が爆ぜる。彗星のごとく長い尾を引く剣閃がベンジャミン機を真っ二つに引き裂き――大地を抉り取りながら一直線に駆け抜けていった。

 すべてが終わった後、そこには無数の瓦礫と重機群の残骸が遺されていた。戦闘機械都市は強力な修復能力を有しているため、この戦場も程なくして再生を始めるだろう。そして一際激しく破壊された広場の中心に、三人の√能力者が佇んでいた。
「終わったようですね。コンピラフォートレス、防衛完了」
 いつものように淡々とした様子で、沙汰子が血濡れのハチェットを仕舞い込んだ。後は早く帰還し、彼女の主にこの度の戦果を報告しなければならない。
「肩を貸しましょうか、団長様」
「ありがとう……小白卿。皆で協力して、この街を護れました。見事な戦果です」
 宵伽は憔悴した様子で、由真の肩を借りて歩き始めた。乾いた風に吹かれ、√能力者たちはコンピラフォートレスを後にする。その帰路で、どこからか戒厳令の解除を知らせる放送が聞こえてきた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

挿絵申請あり!

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挿絵イラスト