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After Credits『VOID RUNNERS』

#√マスクド・ヒーロー #ノベル #秋祭り2026 #After_Credits

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「宇宙じゃ誰も助けに来ねぇ。自分で掴み取れ! 自由を! ――命を!!」
             ――船長ダグラス、最終航路突入前

▸ 𝗚𝗲𝗻𝗿𝗲
スペースアクション/SFホラー/コメディ

▸ 𝗦𝘁𝗼𝗿𝘆
西暦2684年。宇宙貨物船《バッドラック号》は、辺境惑星へ運ぶはずだった謎のコンテナを誤って開封してしまう。中身は、惑星ひとつを丸ごと食い尽くす自己増殖型宇宙植物《グリーン・マザー》の種子だった。

芽吹けば銀河が終わる。捨てても追ってくる。
おまけに政府は証拠隠滅のため船ごと爆破する気満々。
船長ダグラス率いるならず者クルーは、壊れかけの貨物船で銀河政府艦隊を突破し、種子をブラックホールへ投棄する無謀な作戦へと挑む。

最終的には貨物室いっぱいに繁殖した巨大蔓と宇宙服姿で殴り合い、エンジンを爆発させ、なぜか最後まで無事だった食堂で残った全員がぬるいビールで乾杯して幕。

▸ 𝗧𝗮𝗴𝗹𝗶𝗻𝗲
銀河最大の誤配送、始まる!

▸ 𝗦𝗰𝗿𝗲𝗲𝗻𝗶𝗻𝗴
蓮華とレイジ、ヒメ/郊外のガレージにある友人用の物置

▸ 𝗔𝗳𝘁𝗲𝗿 𝗖𝗿𝗲𝗱𝗶𝘁𝘀
 そして、画面が暗転した。
 壁いっぱいに映っていたスタッフロールが消えた物置に残ったのは、プロジェクターの低い駆動音と空になった皿の山。
「いやあ、面白かったね」
 蓮華はソファへ深く沈み込み、でかいコーラの残りを啜る。
「特に宇宙植物が船員を捕食して、その養分から同じ船員の顔をした花を咲かせるくだり」
「そこか?」
 レイジもチリコンカンを掬っていたポテトの最後の一本を口へ放り込んだ。
「オレは船長がエアロック開けて全部宇宙に捨てようとしたところだな。植物ごと味方も三人くらい飛んでったぞ」
「合理的ではあっただろう?」
 傍らの改造バイクから、即座に肯定の電子音が鳴る。
「ヒメがさっきから『合理的ではありません』って言ってる」
 蓮華は楽しそうに笑った。

 映画の途中からずっとこんな調子だった。
 爆発すれば「今ので船体保つのか?」。
 謎の宇宙生物が出れば「その器官はどういう進化なんだろうね」。
 主人公が宇宙空間を生身で十五秒ほど漂えば、二人して「死ぬだろ」「まあ十五秒なら」と妙な検証を始める。

 そして、貨物室を埋め尽くした《グリーン・マザー》が画面へ現れた瞬間。
 レイジは隣を見た。
 蓮華もこちらを見た。
「……」
「……」
「レイジくんの親戚かな?」
 レイジはピザを食べながら笑ってしまい、危うくチーズを喉に詰まらせるところだった。
「それを言うなら植物は皆オレの親戚になってしまう」
「でも、あれくらい繁殖力があれば緑化には便利そうだな……持ち帰りたい」
「銀河を食うんだろう?」
「品種改良すれば三割くらいに――」
『ダメです』
 ヒメの声が割り込む。
「まだ何もしてないじゃないか」
「しようとはしたな」
「僕への信頼がないねえ」
「あるから止めてるんだろ」
 レイジは平然と言って、残っていたナチョスを蓮華の皿から一枚取った。
 蓮華は一瞬そちらを見たものの、特に咎めない。むしろチーズがたっぷり付いたものを二枚まとめて取って返す。
「総評、何点だった?」
「八十点!」
「高いね」
「宇宙船と爆発と殴り合いがあったからな!」
「なるほど。明快で大変よろしい」
「蓮華くんは?」
 少し考え、蓮華は笑う。
「九十二点」
「高いな」
「未知の植物生命体に可能性を感じた」
「やっぱりそこか」
 レイジは呆れたように笑い、空になったピザ箱を畳む。
 その横で蓮華は、最後まで残っていたナチョスの欠片を拾い上げた。
「ところで、次はもう少し食べ物を増やしてもいいかもしれないね」
「これ以上?」
「映画一本で思ったより消費しただろう?」
「蓮華くんが食いすぎなんじゃないか?」
「レイジくんも大概だったと思うけれど」
『警告。両者とも、本日の推奨摂取量を大幅に超過しています』
 二人揃って、ヒメを見る。
「……監視されてるな」
「頼もしいお目付け役だねえ」
 言いながら、蓮華は残っていたコーラを飲み干した。

 物置の外はもう静かだ。
 人の気配もなく、連なったガレージの隙間を夜風だけが抜けていく。
 けれど、この一角だけはピザとチーズの匂いが残り、作業台には空容器が山積みで、ついさっきまで銀河が滅びかけていた壁には停止した再生画面がぼんやり浮かんでいる。
「次は何にする?」
 レイジがリモコンを拾う。
「巨大宇宙鮫などどうだい?」
「いいな!」
『非現実的です』
 ヒメだけが反対したので、二人は顔を見合わせる。
 数秒。
「……じゃあ、巨大宇宙タコ」
『先ほどと同様に論理的ではありません』

 妙に現実的な返答に、今度こそ二人揃って吹き出した。
 次に見る映画を決めるには、まだ少し時間がかかりそうだ。
 けれど、それもまた悪くない。

 銀河の危機はひとまず終わったのだ。
 少なくとも、次の上映までは。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

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