浅黄の捕物帳
夏の暑さが過ぎて、ずいぶんと涼しくなった秋のこと。おおきな神社で開かれている秋祭りに遊びに来ていた私は、待ち合わせしていた友達から届いたメッセージアプリの通知を見る。
『ごめんバス乗り損ねた! 遅れる!』
彼女にしては珍しい失敗にフォローを入れて、気をつけて来るように返事をかえす。しばらくはひとりで周辺をぶらぶらしようか、とぼんやり大勢の人々を眺める。
家族連れではしゃぐこども、初々しい中学生のカップル、笑い合う友人同士と思われる若者集団。
少なくとも、ひとりでぽつんと佇んでいるのは私だけで、さすがにちょっとだけ寂しいものがある。普段から誰かしら友達や家族と一緒じゃないと遊びに行くのが嫌な私にとって、このおひとり様は苦痛だった。
「……はやく来てよぉ」
寂しすぎる。串に刺さった唐揚げでも食べようか、と屋台に視線を移していた時、ふっと目に留まった青色があった。
綺麗な浅黄色の浴衣に、中華風のインナーとブーツを合わせた男の子。目の色は浴衣と同じくらい澄んでいて、本人の顔もかなりの美形。
見惚れてしまいそうになって、ふとこっちに彼の視線が向く。まずい、とすぐに目をそらした時、大声が聞こえた。
「泥棒ー!!」
え、と声がしたほうを振り向く。ちいさな鞄を抱えた男が走ってきて、そいつはこっちを見ていない。
あ、やば。ぶつかるのを覚悟したと同時、男のぎゃっという情けない声がして。
「大人しくしろ!」
さっきまで私が見惚れていた男の子が、泥棒を地面に組み敷いている。ぽかんとした私に、その子が呼びかけた。
「お怪我はありませんか? うん、なら良かった」
一斉に湧く拍手、のぼせそうな私の頬。突然起こった捕物劇に、周囲は冷めきらない熱が広がる。
ちょうど騒ぎの渦中に居る私を見つけた友達に怪我を心配されたものの、そんな言葉も耳から耳へと通り過ぎていくほど、泥棒を捕まえ颯爽と去っていく彼に心を奪われてしまっていた。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功