シナリオ

子守唄など塵芥

#√汎神解剖機関 #クヴァリフの仔

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 #√汎神解剖機関
 #クヴァリフの仔

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●おとなうものを、こばまぬように
 脳へと染み渡る楽曲は甘く憂鬱陰鬱。どこかで、いや、もはや君たちは普段からこれを聴いているかもしれない。
 エリック・サティ作曲。グノシエンヌ、第1番から第3番まで。
 甘い音が響き渡る中、人々はうつろな目をして跪いている。ただ跪き、音に聞き入っている。
 薄暗い部屋の中、奏者の女は丁寧に、ひとの肌を撫でるかのように指を動かして。延々と、延々と。ループする、繰り返される――。

 その手指は|人々《狂信者》や、それに混ざり、黙りこくる怪異どものために奏でられているわけではない。

 ……ああ愚か、白痴だね。無垢で、かわいらしい、赤子だ、ぼくの曲の良し悪しなんて分からないね。
 でも、構わないよ……。ここに『降りて』きたからには、ぼくが面倒をみてやろう。
 おくるみに包まれた『肉塊』を見て微笑む女、唇は笑っていても目は笑っていない。

 まあ、ぼくはきみの母となるには「まだ早い」し、きみには本来おかあさんがいるだろう?
 それに……きみの子守唄になるような|曲《ぼく》が、ここにある。

「きみを、あるいはきみに、『奏でられる』まで。面倒を見てやったっていい」
 母性などひとかけらも持ち合わせていない彼女の言葉は軽薄だ。
「もう少し育ったきみを、ぼくのものにするのもいいね。ともあれぼくは、幼すぎるものには興味がないのさ」
 育てた果実にかぶりつくことは、大好きだけれど。今のそれにはまだ、もう少しだけ、子守唄を……。
 ぶよぶよと蠢く肉塊は、返事をするように震えて触手を動かし――そして。ごく僅かに、質量を増したように、見えた。

 さあ、奪い取れ。
 『それ』に似合う子守唄は、このような調べではない!

●おかえり。
「『おかえり』、諸君。緊急の頼み事だ」
 翼に包まれたような『怪人』。ディー・コンセンテス・メルクリウス・アルケー・ディオスクロイ(辰砂の血液・h05644)。星詠み、『メルクリウス』がこつんと床に杖を突き、真剣な様子で唇を結ぶ。

「|連邦怪異収容局《FBPC》が動き始めた。仔産みの女神『クヴァリフ』はご存知か? あれが自身の『仔』を召喚する手法を、人々に授けてしまったらしい。まったくとんでもない『托卵』だ!」
 翼まみれの異形からそのような言葉が出るのはどこかしらの違和感があるが、そんなことは今主題にすべき問題ではない。

「奴ら|連邦怪異収容局《FBPC》はこの『仔』を確保しようと動いているようだ。わたくしもこの『クヴァリフの仔』に興味がある。生態は? 強化能力の由来は? これを用いて『教育』を施そうなどと考えているらしいが……ああ出来ることなら解体したいところだ! しかしコイツは残念ながらわたくしの手元には渡らない……。ともあれ生かして持って帰ってきてくれたまえ! |新物質《ニューパワー》を得るこの機会、逃すわけにはいかない! そうだろう?」
 あまりに饒舌。思考は汎神解剖機関のそれと似ているが、彼の本質は怪人である。言うことは物騒、しかし結論は真っ当。

「さて今回の会場は廃ホテル。わりと大きいものだったようだね。披露宴なんかも開かれる程度には。ならば向かう先もわかるというものだ! ああそれと、『グノシエンヌ』は逃亡する可能性がある。『親』になるつもりなんてないようだからね。その場合は強化された怪異やらが襲ってくることになるだろう」
 つらつら情報を述べる感情のいまいち読み取れない口元、抑揚たっぷり、身振り手振りたっぷりに。

「さあいざ行け諸君! わたくしは働かないぞ!」
 人任せ宣言は高らかに。
「……この案内も本来、わたくしは働きたくなかった……」
 余計な一言だ。

 さあ、仕事だ、能力者たちよ。

マスターより

R-E
 おはようございます、親愛なる皆様!
 R-Eと申します。
 |連邦怪異収容局《FBPC》が動き始めました。
 このやろう。よけいなことを。そんな気持ちをぶつけていきましょうね!!

 『クヴァリフの仔』を確保することが重要な事件・作戦です。
 速度を重視した、普段よりあっさりめなリプレイとなると思われます。

●目的:『クヴァリフの仔』の奪取。
 知恵と暴力ですべてを蹴散らし、『仔』をなるべく生かしたまま確保し、戻ってくる。それが使命です。

●1章
 廃墟となったホテルにて、人間災厄『グノシエンヌ』が狂信者や周囲の怪異、√能力者諸共を洗脳する音楽を奏で続けています。
 狂信者達が召喚した『クヴァリフの仔』を先に奪取し、己の楽曲を子守唄代わりに奏で続けているようです。
 干渉を振り切り、先へと進みましょう。

●2章以降
 分岐しますが、あまり気にせずとも構いません。ただひとつ言うとすれば、「迅速な行動こそが正義」です。
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第1章 冒険 『怪異の精神干渉』


POW 強靭な精神力で耐える
SPD 干渉に同調して発生源を探す
WIZ 魔術的な精神防御を展開する
√汎神解剖機関 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 昏い。昏い闇の中、響くはピアノの音。
 甘くほの暗く、そしてどこか優しい響き。子守唄と言い張るのならば、もう少しは明るい曲を弾けばよいものを。

 ――音の出どころを、手繰り寄せる必要がある。
 だがそれはすなわち『己の脳を揺さぶらなければならない』ということだ。
 あなた自身を頼りに。探れ。脳の奥底を、奴らの居所を。
雪月・らぴか
ひええ、人間同士で怪異の奪い合いするってことかな!?怪異よりおっかないねー。でもでも、FBPCに渡すくらいならこっちで確保するほうがいいのかなー?

ぐぬぬ、この音楽はやばそうだね!
こういうのはささっと駆け抜けるに限るね!ってことで【雪風強打サイクロンストレート】を発動!速くなった移動速度で私が洗脳されきる前に演奏してる奴と『仔』を見つけ出すよ!音が鳴っている方向や洗脳されてる人とかが多い方へ行けばいいのかなー。

音楽使った干渉なら、大声で叫んでいればちょっとは影響減ったりするのかも。

『仔』っていうくらいだから成長したらキモイのからクヴァリフみたいにエロくなるのかなー?

 人間同士での、怪異の奪い合い。単独行動を取る√能力者や災厄・怪異ではなく、今回は対立する組織の√能力者たち。
「ひええ、怪異よりおっかないねー……でもでも、FBPCに渡すくらいならこっちで確保するほうがいいのかなー?」
 遠くから響いてくる音をなるべく気に留めぬようにしながら。雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)は考えている。この世で最も怖いものは人間とはよく言ったものだ。相手は志の違うだけの人間――√能力者やそれに匹敵する能力を持つ者たちではあるものの、対立している組織がある、その事実自体が人によっては恐ろしく感じるものだろう。

「ぐぬぬ……この音楽はやばそうだね!」
 ……もっとも、今はこの精神を蝕む楽曲によって、彼らは奏者へと傅いているらしいが。
 この手のものは、干渉を受ける前に動くに限る。
 自身の周囲へと吹き荒れる吹雪。追い風のように吹くそれを用いた瞬発力で駆け出すらぴか。聞こえてくる音のおかげで、無闇矢鱈に探し回らなくてよいのが助かるところだ。

「あーあー! きこえなーいきこえなーい! なーんにもきこえないんだからーっ!!」
 耳を塞ぎながら大声で。時折鼻歌なんかも歌いつつ。ピアノの音色に聞き入らぬように、行先を失わぬように、少しは音を拾えるようにしながら、考える。

「(『仔』っていうくらいだから、成長したらキモイのからクヴァリフみたいにエロくなるのかなー?)」
 |自分《地の文》も気になります。
 だがその『仔』となればクヴァリフと同様、脅威となる存在へと成長する事は容易に想像できる。
 クヴァリフが|齎《もたら》した、超常現象の存在・記憶への認識を阻害する|新物質《ニューパワー》。その『仔』がもしもFBPCに多く確保され、先に何かしらの『器官』を発見され、そのうえ成体となった暁には――。
「……考えるだけで寒気!」
 吹雪を纏っているのだから、旗から見れば寒気も何もあったものではない、かもしれないが。彼女は、『子守唄』のほうへと駆けていく。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アダン・ベルゼビュート
アドリブ歓迎

連邦怪異収容局は兎も角として、だ
リンドー・スミス……彼奴にクヴァリフの仔を奪われれば、碌な事にならぬのは自明の理というもの

廃墟となったホテルに入ろうとしつつ、溜息を零す
焼き尽くす、破壊ならば得手としているが、回収しなくてはならぬのが難点だな

──音が、聞こえた
優しい様な、仄暗い様な……泥濘に沈み込む様な
足を止めるのみならず
思考まで音に沈む前に歯を食い縛って、前へ進む【呪詛耐性】

音の発生源を探る為
己の意志で脳を揺さぶらせるべく
俺様自身の言葉を発しながら、少しずつでも位置を探る

俺様は、覇王である
我が『依代』や
民草を巻き込む者共を許せぬ
貴様に、アダン・ベルゼビュートを奪わせるものか!

 |連邦怪異収容局《FBPC》は、兎も角として。
 リンドー・スミス。クヴァリフの『仔』の|存在《生誕》をいち早く察知し、それを奪うために行動を開始した恐ろしく『利巧』な男。『仔』を奪われればろくなことにはならない。
 ……今回は|彼ら《FBPC》よりも先に奪い取った者がいるようだが、放置していれば――お察しだ。

 廃ホテルの前、溜息をひとつ。アダン・ベルゼビュート(魔蠅を統べる覇王・h02258)は廃ホテルの外観をさらりと眺め。
「(焼き尽くす、破壊ならば得手としているが)」
 生死問わずというのならそういう手もある。廃ホテルの一件や二件焼け落ちたところでたいした報道にもならないだろう。だが今回は「生かして回収しろ」などという面倒な指示付きだ。仕方がない。

 エントランスへ踏み入れる。……音。断片的に聞こえてくるその音の方角へとアダンは歩む。音は徐々に音楽へ。聞き取れるメロディーへ。暗闇の中、重い空気、その中で沈む鍵盤。立ち止まりそうになる脚を動かす。

 温かな肚が恋しかろう。今は眠れ、安心しろ、立ち止まれ。誰もきみを害したりしない――ああ、ぼくが保証するさ……。
 優しい呪詛と洗脳。耐性を貫くのではなく、まるで紙に染み込もうとする濃いインクのようだ。

 歯を食い縛って前へと進む。位置を探る。自らの思考へと割り込み揺さぶるそれを払うように。
 ……このような音で、俺様を蝕めるとでも? なんとも、自信過剰な思考だな!

「俺様は、覇王である」
 ゆえに、この|道《廊下》を闊歩する権利がある。靴音を立て、肩で風を切り堂々と進んでいく。

「我が『依代』や、民草を巻き込む者共を許せぬ」
 誰も彼もを害す事になる――それを理解していない『あれら』を許すわけにはいかない。この先に待つものへ、文句のひとつやふたつ。黒爪の傷ひとつ、刻みつけてやる必要がある。

 ああ、そうだ、何よりも!
「――貴様に、アダン・ベルゼビュートを奪わせるものか!」
 我が存在を、この程度の『まじない』で揺るがせると?
 その生っちょろい考え――捨て去って頂こう!
🔵​🔵​🔵​ 大成功

虚峰・サリィ
「ハロー、ピアニスト。もっともこの挨拶は聞こえないでしょうけど」

私の隔絶結界を起動して精神抵抗、霊的防護、狂気耐性の技能を使って耐えつつ進みましょ。
これでもまだ足りないのなら……歌唱、楽器演奏の技能を使って私の演奏と歌で音を相殺するわぁ。
近くに他の√能力者がいるなら、グノシエンヌじゃなく私の演奏を聞くといいわぁ。今回はロハにしておいてあげる。
今日のナンバーは『致命・口説き文句に刺されて死にたい』
弾き語りならぬ弾き歩きをしながら突破を目指しましょ。

「対バンするなら正面から堂々といきたいけれど……今回はしょうがないわねぇ」

【アドリブ歓迎】

「ハロー、ピアニスト。もっともこの挨拶は聞こえないでしょうけど」
 虚峰・サリィ(人間災厄『ウィッチ・ザ・ロマンシア』・h00411)の声掛けには、当然返答はない。だが言葉にすることそのものに意義がある。ご挨拶は大切だ、これから対峙する相手への敬意のひとつなのだから。

 音楽。それはサリィがもっとも得意とするところ。音楽魔術の使い手として。奏でる楽器は異なれど、『それ』が何を思い演奏しているのか――。
 廃墟へ足を踏み入れて早々、僅かに聞こえてくる音。隔絶結界・『|踊り子に手を触れないで《ダンサーインザステージ》』がその洗脳も呪詛も遮断する。
 そうすれば耳を通し聞こえてくるのはただの音楽として、メロディーとしての、グノシエンヌ第3番。技巧は流石、楽曲を名乗る人間災厄といったところ。
 ああ確かに子守唄にも似て……優しい音色だが、それには。

「残念ね。『愛情』がちっとも足りてないわぁ」
 他人のために奏でているというのに、その対象への愛がろくに感じ取れない演奏。
 こんな曲では、サリィの精神は揺るがない。洗脳なしでは心躍らぬであろう、「巧い」だけの指の運びでは、聴衆も飽き飽きだろう。自分に酔ってすらいない演奏とは。

 さて、足りないわけではないが――癪に障る。
 さあ今回はロハだ。観客も奏者も自分だけ、しかし不快な響きにはご退場願おうじゃないか。求めるはご機嫌なナンバー!
 奏でられるは『|致命・口説き文句に刺されて死にたい《リーサルシュガースタブハート》』。
 貴方がくれる優しい言葉、ハートに刺さる甘い毒。――彼女にはきっと理解できない『優しさ』だ。
 ああ、許されるのなら。いつまでもこの毒を抱き締めさせて。――愛情の痛みや毒は知っていても、恋のときめきを知っていても、彼女はそれを軽視している……。

「対バンするなら正面から堂々といきたいけれど……今回はしょうがないわねぇ」
 歩みながら掻き鳴らす魔導弦、歌声も今は自分のため。己の歌声を、演奏を、サリィ自身を頼りに。先へと。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
(あまりいい思い出がある曲じゃないな……)
この曲に苦しめられたのは記憶に新しい
曲自体が悪い訳じゃないし、一番好きなのは第一番だけど……
そんな余計なことを考えてしまう辺り、俺は既に影響は受けているのかもしれないな

アクセルオーバーを起動
寄せ集めの遺留品を握りしめて、狂気耐性で洗脳に耐えながらダッシュで前に進む
……つい耳を傾けてしまう辺り、俺は音楽での洗脳に弱いのかもしれない
だったら聞かなければいけない時間を減らすまでだ

『仔』を洗脳してどうするつもりなのかは知らないけど
俺達にとって良いことでは無いと思うから、奪い返さないとね

音と余計なことに惑う思考を纏めながら先を急ぐよ

※アドリブ、連携歓迎です

 聞き覚えのあるメロディーに、僅かに眉をひそめる。
 記憶に新しい音。――最後まで聴き入り生き延びたが、苦しんだ。だがこれらの楽曲そのものが悪いというわけでも、嫌いというわけでもなく。第一番の響きは好きだとも感じる。
 それが『彼女』の影響なのか、それとも自分自身の趣味嗜好なのか。
 ……後者であればいい。クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は自問自答する。

 聴き慣れた音楽だ。ある程度の慣れもある、対処はできるはず。……手のひらの中、クラウスが握りしめるは、このような『音』よりも確かに記憶に残っているもの。脳に、耳にへばりつこうとしている音を拒絶する、誰かの生きた証。――己の行く先を示すのは、あの音などではない。

 ばちり爆ぜる空気、霹靂。疾走るは稲妻の如く。
 耳を貸してやる時間はないが、近づけば相応に音は曲へ。覚えのあるそれへ。唇を小さく噛む、思わず立ち止まろうとしてしまう己の脚を、思考を、クラウスは少しだけ恨んだ。
 ……聞き入ってしまいそうになる、自分自身の弱さ。もしかすれば、自身は音楽での洗脳に弱いのではないか。いいや、そんな事は無い。抗えている。耳を傾けてしまうのは『識っている』からだ。それが何か、どのようなものか。奏でているのは?

 ――ああ、きみか。ようこそ、歓迎しよう。立ち止まって聴いていっても構わないよ。今はとても穏やかで、ゆっくりとした時の流れの中にいるんだ。そう急がなくてもいいさ……。
 思考に過る己のものではない言葉にクラウスは頭を振った。何が穏やかだ。この後、『その場所』を地獄絵図にするつもりだろう?
 ……だから。ここに留まるわけにはいかない。

 あの『仔』。|子守唄を聞かせ《洗脳し》て、奴はどうするつもりなのか。存じた事ではない、阻止すればいいだけだ。
 あれが人間災厄に、簒奪者なんかの手に渡れば、良いことなんて起きるわけがない。
 ピアノの音色、寄せては返す思考の波。……奪い取らなければ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

ふむ、やはり聞いたことのある音楽が聞こえますね
……逃げるかもと言っていましたし、急いで向かいますか
私にお預けをしたことを少しは反省して貰わないといけないですからね

(音楽の聞こえる方へ気づかれない様に向かうが、脳が揺れ始めてふらつき)

ふふふ……このままだときついですね
仕方ないですね少し『減らして』みますか

(√能力を使用。以前、音の奏者と接敵した時の匂いを自身に植え付けながら、植生薬物で嗅覚と聴覚を強化し、その上で飢餓感を増幅させ揺さぶられる事よりも食欲を優先するように自身の状態を変えて)

はぁ…はぁ…きつい
でも……それ以上に美味しいものが見つかる気がします
……抑えられますかね?

 ピアノの音色。ふん、ふん、とメロディーをなぞるように鼻歌を口ずさみ。
 個包装の中でぱきりとふたつに割ったチョコレート、その一片を口の中に放り込み、神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)は、やや早足で廊下を進む。
 急がねばならない。何故なら、『おあずけ』を食らったことがあるから。また逃げられてしまえば、この空腹は飢えという概念へと変化してしまう。
 しっかりと反省して貰わないと。自分から逃げたことを、『何度でも』。七十はじっとり目を細めて、脳を揺らす音へ、ほんの少しだけ意識を向ける。

 ――げぇっ。きみ、覚えがあるぞ! 歌姫だ! 今度は、ぼくの曲の邪魔をしないでくれよ!
 ……当然のように、歓迎されていない様子だ。なんだか音量が上がった気がするが、それはきっと音の出所に近づいているからだ。ふらつく足元、チョコレートをもう一欠片――。

「ふふふ……このままだときついですね……」
 少し。『減らして』みよう。
 纏う香りは『あの災厄』のもの。あれだけ至近距離に迫った相手だ、確と覚えている。ローズ、パチュリ、ムスク。クラシックでユニセックスな香り。
 立ち止まって、香りを似せて……喰らい損ねたことを思い出す。おなかが、へった。おなかが。こんなに。あんなに。美味しそうだったのに、『あれ』は――!!

「……はぁ。はぁっ……!」
 ――食欲のままに、七十はまた歩き出す。洗脳など知ったことか。ああ、耐えきれるとも。この飢えを満たしてくれる相手が、『彼女』が、このさきにいるのだから、あるかなきゃ。にがさない。にがさない!
 お菓子では満たされない、それ以上に美味しいものが見つかる、気がする。いや、見つかる。見つかるんだ!
 抑えて。抑えて――開放されたときが、最も心地の良い瞬間。空腹を満たして息を吐くあの一瞬を求めて。

 ――きみ……ぼくに脳みそを揺らされているのを、楽しんでいるのか……?
 呆れたような吐息が聞こえた、気がした。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『狂信者達』


POW 狂信の斧槍
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【狂信の斧槍】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【怪異への狂信により得た魔力】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
SPD 狂信の旗印
事前に招集しておいた12体の【狂信者達】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[狂信者達]全員の反応速度が半減する。
WIZ 狂信の炎
【教主】から承認が下りた場合のみ、現場に【魔力砲『信仰の炎』】が輸送される。発動には複数の√能力者が必要となる代わり、直線上の全員に「発動人数×2倍(最大18倍)」のダメージを与える。
√汎神解剖機関 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 本来ならば披露宴等に用いられていたのであろう、『会場』の中で。
 なにもかもが傅いている。跪いている。
 異様な光景だ。どうしようもなく昏い子守唄が奏でられる中、ひとも、怪異も、息絶えているものもいる。
 それらがピアノの音色に、否、それに聞き入る『仔』へと頭を垂れていた。

「あーあ。本当……いつも、ぼくの邪魔ばかり……」
 おくるみに包まれた仔らへと音色を聞かせながら、人間災厄は眉をひそめ。一瞥もせず、鍵盤と向き合い続けている。
「なあ、今回は見逃してもらえないか? 子供をさらうなんて、きみたちがやっていいことじゃないだろ。ぼくがやるべきことだ……」
 おまえに渡せば、それがどうなるか。我々は理解しているというのに。

 子守唄から礼賛へ。曲は変わらずとも、その指の運びが僅か、変わる。跪いていた男がひとり、はっと頭を上げた。
 彼の眼の前には災厄。自分達から『仔』を奪ったそれを視認するも――彼女から仔を奪い取ろうとする様子なく、振り返る。

 既に、音色に支配されている。自分達の目的を忘れて。仔を守らねばという意識だけが残って。
 続々と立ち上がる狂信者。ただ、無言。無機質な視線だけが突き刺さる。

「おかえり願おう、さっさと「やって」くれ」
 ……災厄は、子守をするのに夢中だ。
アダン・ベルゼビュート
アドリブ歓迎

見逃してもらえないか?
其の様な戯言一つで、此の覇王たる俺様が揺らぐとでも?

──フハハッ、笑止!
貴様にクヴァリフの仔を渡した所で碌な事にならぬであろう
ならば、如何すべきか……至極簡単な話よ
其の為にも先ずは、貴様達から消えてもらうぞ

√能力:壊滅の咆哮
先程から耳に届いている『子守唄』とやらが非常に耳障りなのでな
狂信者共の悉くを滅ぼす事に加えて、轟音を織り交ぜて不協和音に変えてくれる
【不意打ち】【誘導弾】【部位破壊】

反応速度が半減しているのならば
敵が密集している場所を狙うのは容易だろう

急所は回避か防御、其れ以外は攻撃優先
仮に敵が接近して来た場合は
『尖影』を用いて【貫通攻撃】で応戦しよう

 見逃してもらえないか、等と。よくもまあ、宣えたものだ。笑みが浮かぶ。あまりにも塵芥。矮小な言葉だ。
「其の様な戯言一つで、此の覇王たる俺様が揺らぐとでも?」
 細められた目。アダン・ベルゼビュート(魔蠅を統べる覇王・h02258)が睨む視線の先で、人間災厄『グノシエンヌ』が溜息をつく。
「きみたちがどれほどの能力をもって、こちらを叩き潰そうとしているか。ぼくは十分に理解している」
 鍵盤から目を離さず。仔に目もくれず。あまりに不遜な態度。奏でられる音が脳を揺らす、髄液がちゃぷりと音を立てた、気がする。だがそんなものは気のせいだ――精神を侵す音は今、自らではなく狂信者どもに向けられているのだから。

「――フハハッ、笑止! 貴様にクヴァリフの仔を渡した所で碌な事にならぬであろう!」
 笑うアダンに災厄もまた肩をすくめ、それを返答とした。ふらりふらり、ぐらつきながらも各々の得物を手に取る狂信者達――見れば、元は|連邦怪異収容局《FBPC》の者か。スーツを着用した者の姿もある。諸共、彼女のうざったい『子守唄』に喰われたようだ。
 |如何《いかん》すべきか。至極簡単な話。

「先ずは――貴様達から消えてもらうぞ!」
 ――アダンの影が揺らぎ、立ち上がるように形を作る。現れたるは『砲影』。リボルギアシューター、8.8cm高射砲。些か窮屈だがそれでいい。
 足取りはよろめいているが確と床を踏みしめ駆けてくる狂信者どもに、その砲口を向け。

 ――速射。爆ぜるように、狂信者がひとり消えた。肉体と舞い上がった建材が影の塵となり、戦場の視界を薄ら昏く覆う。
 |災厄《グノシエンヌ》の演奏が一瞬止まった。突如響き渡った砲音に目を見開き、ようやくアダンへ視線を向ける。
「なっ……! おいおい、耳がイカれるだろッ!」
「この程度の音で? 奏者ならば続けてみせるが良い!」
 狼狽えるグノシエンヌへ、アダンは吐き捨てるように言い放つ。それとほぼ同時、砲影がその形を変えていく。

「……この俺様の前で、耳障りな曲を聞かせた事。後悔させてやろう」
 『一切砲滅形態』。
 壊滅の咆哮が響き渡る。ピアノの旋律を打ち消す轟音、掃射、今更散り散りに逃げようとてもう遅い。そこそこ広い会場とはいえ、弾速と装填され続ける無限の徹甲弾が群れていた狂信者たちの逃亡を許さない。
「――悉くを、討ち滅ぼす!」
 一発二発と耐えたとして、三発目を耐えきるものはなく――まさしく、火力と速度の暴力――!
 なんとか合間を縫いアダンへと迫ってくる狂信者。その腹を|パイルバンカー《尖影》が貫き、地に臥せさせる。影を操り変形させ、ありとあらゆる攻撃手段へと転じてみせる彼にとって、己より遅いものを仕留めきることなど造作もない。

「チッ……煩い客だなあ! きみみたいなの、すごくニガテだ! 性格も、その音も!」
「それは実に光栄だな!」
 相性が悪いと悟ったか唇を噛み、それでも演奏を続け狂信者を立ち上がらせるグノシエンヌ。
 ――彼女は「見逃せ」と言ったのだ。初めから、今回の|演奏会《コンサート》は悪あがきにしかならないと理解している。だが指を止めない、止められない。何故か?
 ……うぞり、足元の『仔』が蠢いた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

雪月・らぴか
ひええ、洗脳ライブはよくあるものだけれど、実際に来てみると思ってたのよりだいぶやばい感じじゃん!『仔』の奪い合いになるのも納得かも!?ってことでササっと倒してさらっちゃおう!

敵と味方が分かれてるうちにまとめて攻撃したいからいきなり【霊雪叫襲ホーンテッドスコール】!叫び声で演奏の影響も多少マシになるかなー?
これで一掃して誘拐だー!っといけたらいいけど多分撃ち漏らしがあるから残ったので邪魔になりそうなのは1人ずつ殴っていくよ!
今回の敵の√能力の承認ってグノシエンヌが出すのかな?撃たれる前に倒せばいいから誰でもいっか!

どーせ奪い合いするならもっと奪いたくなる見た目のものがよかったよねー。
虚峰・サリィ
「ハロー、狂信者共(ファナティック)。揃いも揃って不景気なツラねぇ。ま、陰気くさいピアノだけ聞いてれば無理もないわぁ」

楽器演奏、歌唱の技能を使用。
今日のナンバーは『重奏・十重二十重に歌え聖なる日1224』。
光の弾丸を召喚して、狂信者の連中が撃ち出す魔力砲の攻撃を反射するわぁ。
自分達の狂信の炎に焼かれるなんて、最高の皮肉よねぇ。

「眠りなさいな、狂信者共(ファナティック)。せめて私の歌が葬送の子守唄になるといいわね……」

【アドリブ歓迎】

「ハロー、|狂信者共《ファナティック》。揃いも揃って不景気なツラねぇ」
 不景気どころか今にも倒れ伏しそうな顔をしてよろめいている者もいるが、概ね事実。狂信の末|邪神《カミ》の仔を降臨させたはいいが、彼らは結局――。
「ま、陰気くさいピアノだけ聞いてれば無理もないわぁ」
 このような、陰鬱な曲を延々聞かされる羽目になっているわけだ。虚峰・サリィ(人間災厄『ウィッチ・ザ・ロマンシア』・h00411)はやや草臥れた様子で、グノシエンヌの演奏を評する。
「|グノシエンヌ《ぼく》は陰気くさい音色が魅力なんだけど?」
「好みじゃないのよ、シンプルに」
 繰り返される陰鬱かつ短い曲――サリィ好みの音色ではない。それをここまで聞かされてきたのだ、嫌気もさす。もっと激しく、楽しく、愛を歌うような曲がいい――。ふん、と鼻を鳴らすサリィへ、あからさまに不愉快そうな顔をするグノシエンヌ。

「……ひええ、洗脳ライブはよくあるものだけれど、実際に来てみると思ってたのよりだいぶやばい感じじゃん!」
 よくあること……だろうか。とはいえ、|人間災厄《グノシエンヌ》が各所で暴れていることなど、今更な話。雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)は災厄とサリィのやりとりを聞きながら、こっそりと別の角度から回り込んでいた。今なら居並ぶ敵と味方、そのラインがはっきりと分かれている……この隙に。

「――ササっと倒してさらっちゃおう!」
 先手必勝。すうっと息を吸い込んだらぴかの存在を、簒奪者どもが認識した。

「本日の天気はーっ!」
 元気の良い声。空など見えないが、そんなの『どうにでもなる』。
「霊と雪が降ってぇ、風が強いでしょーっ!!」
 ――霊雪叫襲、ホーンテッドスコール。
 らぴかが叫ぶと同時、暴風と共に降り注ぐは絶叫を上げながら落ちる死霊、そして雪礫。突然の雨あられどころではないものが狂信者たちの頭上へと降り注ぐ!
 無差別ゆえに直撃する数は多いわけではない、だが当たればどうなるか。死霊がその思考と体と魂を食らうか、雪礫による純粋な物理的攻撃により倒れる事となる。

「うわっ……このッ、急に煩いなあ! 演奏の邪魔、しないでくれるかい!?」
 喚くグノシエンヌがらぴかを指差す。教主も既に災厄の掌の上――彼女が攻撃を命じ、教主が受け取り、行動に移すまでのラグ。
 そこに差し込まれるは。

「あら、素敵な雪ねぇ。それじゃあ……」
 似合いのものが降ってきた。それでは奏でよう――さあ本日のヒットナンバーは!『|重奏・十重二十重に歌え聖なる日1224《ヘヴィーゴスペルワントゥートゥーフォー》』!
 演奏と共に生み出される光弾、祝福の歌。淡雪とは言い難い風雪だが、聖なるかな聖なるかな――素敵なホワイトクリスマス!

 狂信者たちが魔力砲を構えきるまでに、サリィの周囲へと十分な光弾が生成される。その背後へと滑り込んでいくらぴか。眉根を寄せるグノシエンヌが「退け」と叫ぶも、止まらない。
 ――放たれる信仰の炎を、数多の光弾の盾が反射する。その間にも生成され続ける輝き。ああ最高の皮肉だ。本来なら信仰と呼べるだけのものはあったかもしれないが、今となっては狂信のそれ。反射された炎により焼かれ、己に燃え移った火を消そうとのたうつ狂信者たちは、まるでサリィの曲に合わせて踊っているかのようだった。

「――だぁあッ! ちょっと嫌だな、それッ! 季節外れだろっ!?」
 季節という概念のない楽曲の災厄のわりには、そういうものを気にする性格なのか。自分の頭を搔きむしるグノシエンヌ。すぐに鍵盤へ勢い良く指を叩きつけ、演奏を再開し残る狂信者たちを動かす。

 √能力者もそれを予見できないわけはなく。炎をやり過ごし、サリィの背から飛び出したらぴかが撃ち漏らした狂信者へと向け。
「てぇーいッ!」
 よーく冷えた霊気を飛ばし凍てつかせ、次なる行動を封じた。すかさずサリィの光弾が狂信者を撃ち抜き、無力化していく。

「くっ……そ……! きみたち、子守をなんだと思っているんだ!」
「勝手に子守をしてるのはキミでしょっ!」
「煩い……!」
 当然の反論と共に、らぴかがびしりとグノシエンヌを指差す。災厄は歯噛みをするだけでそれ以上は答えない。再度鍵盤へと向かい次なる手をと、数の減ってきた狂信者たちを立たせていく――。

「どーせ奪い合いするならもっと奪いたくなる見た目のものがよかったよねー」
「そうねぇ、もっと乙女が愛したくなるような|姿《フォルム》の方が良いわぁ」
 そんな乙女たちの雑談。冷気により一体ずつ捕捉され、光弾に撃ち抜かれて倒れる狂信者――。
「眠りなさいな、|狂信者共《ファナティック》。せめて私の歌が、葬送の子守唄になるといいわね……」
 魔導弦の調子は本日も最高。白い吐息と共に、サリィは詠唱としての歌詞を口ずさむ。聖歌は響き、乙女の望みを叶えるでしょう――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
「それが必要なことなら、子供だってさらうさ」
見逃すなんて選択肢は無い
その『仔』を持ち帰るのが俺達の仕事だからね

狂信者達の集団に向けて紫電の弾丸を発砲、ダメージを与えながら味方を強化する
……もう自我は無さそうだね
狂信の対象が仔から音楽になってしまったか

発砲後はクイックドロウで手足を撃ち抜いたり、接近してきた相手を鞭でのマヒ攻撃やグローブでの殴打で無力化していく
囲まれないように適宜ダッシュで移動しながら倒していこう

戦いの間もきっと音は響き続けているだろう
頭に響く音色に狂気耐性で耐えながら音色に狂った者たちと戦う
一歩間違えば俺もそっち側だろう、正気をしっかり保たなければいけない

アドリブ、連携歓迎です
神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

ふふふ……それは難しい内容ですね
もぅ……空腹が限界に近いですから
人の側に残るために、食べないと……

(√能力を使用。大鎌の『エルデ』を持って無防備・無造作に敵に近づいて行く)

はぁ…はぁ…今日は…一番美味しい所だけが欲しいですから
……貴方達は要らないです

(攻撃を全て再生力頼みにして突撃して、敵を切り裂いていく。切り裂いて出た血肉を使い隷属者達を生み出せば本人はメイン以外に食べたくない為、隷属者達に襲わせ食わせていく)

食べれば……もう少し役立ちますかね?
では、残りもやってしまいましょう

(隷属者達をけしかけ増やし強化をして打ち倒していく)

おっと…よだれが……はぁ…早く食べたいです

 自分自身が戦っているわけではないのに。
 既に精神的に疲弊しつつあるグノシエンヌ。どうにも相性が悪い。そう舌打ちを続けているうちに――「覚えのある」顔を見つけた。
 気配はあった、あったとも。それが本当にこちらへ向かってくるとは、あまり考えていなかっただけで。何故か? ――単純なる油断だ。

「……ようこそ。きみたちも、ぼくの演奏をまともに聞く気、ないのだろう?」
 当然とばかりにグノシエンヌを見るは、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)。見逃すなんて選択肢は無い。提示されたとしても、選び取るわけがない。
「あやしてる最中の仔をさらうだなんて、正気じゃないよ」
「それが必要なことなら、子供だってさらうさ」
 あくまで、『仔』らを持ち帰るのが仕事だ。何が何でも、彼女の手の中から奪取しなければならない。そのためなら、手段は選ばない。
「ふふふ……それは難しい内容ですね」
 クラウスに同調するかのように、神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)もまた頷くが――。
「もぅ……空腹が限界に近いですから」
 ――散々おあずけを食らった少女の理性は、今にも崩れそうだった。

 引きずるように持つは大鎌エルデ。ふらふらと無防備にも見える動きで狂信者たちへ向かう七十を見て、クラウスは目を細める。
 自我があろうと、無かろうと。狂信・執着の対象が『仔』から音楽へとなってしまえば……たいして、変わらない。

「――人の側に残るために、食べないと……!」
 途端、七十の体に植物が這い上がり。速度を増し敵陣へと突撃していく。察していたか既に陣形を組み魔力砲を構えようとしている狂信者――奏でられるピアノの音色。

 ……一度覚えた「狂気」だ。耐えきれる。クラウスは強く唇をむすび、銃を構え狙いを定める。
 一歩間違えれば、己もあちら側。正気は保てている。だが今なら。狂気に身を任せたとしても……戦える。もちろん、そう簡単にこの思考も体も、渡すわけはないが。

 七十を援護するように狂信者たちの中心を狙い、紫電の弾丸が打ち込まれた。ばちりと爆ぜる雷霆、狂信者の痺れる体へと振るわれるは、帯電する大鎌。
 胴体を狙い引っ掛け、そうして――引く。両断された狂信者の肉体がインビジブルへと。情けも容赦もない七十の一撃が、敵を屠る。

「……今日は……一番、美味しい所だけが欲しい、ですから」
 息を切らして。視線は狂信者たちになど向けられていない。その先、狂信者たちに音色にて攻撃を命じている奏者へと注がれている。
「……貴方たちは要らないです」
 ちらりと一瞥。襲いかかる狂信者たちが、魔力砲が。植物と――先ほど生まれた大きな血溜まりから生まれた隷属者たちに飲み込まれる。
「食べれば……もう少し役立ちますかね?」
 もちろん己の口ではなく、隷属者たちの口におさまるのだが。求める味は「こんなもの」ではないのだ。踊るように眼の前のものを切り捨てる七十。彼女が生み出す隷属者と植物で捕縛される者たちを、素早く射抜いていくクラウスの弾丸。

 遠距離から狙い打たれるのを煩わしく思ったか。接近してきた相手を鞭で絡め取り、殴りつけるクラウス。倒れ伏す狂信者。
 ……その奥で悔しげに眉をひそめるグノシエンヌと、目があった。
 横から迫る狂信者を避け囲まれないよう、自由に『踊る』七十との位置取りを見極めながらクラウスは冷静に、狂信者たちを撃ち抜いていく。

「まったく……きみたち、変わらないね?」
 呆れたような、「それでこそ」とでも言うような声。会場はまさしく死屍累々。血液の生臭さ、妙に甘い植物の香り、雷霆で焼け焦げた肉の不愉快な臭い。
「本当に、ひどいな。ゆっくり聞いていっていい、と言ったはずなのに」
 ……既に、『叩き起こせる』ほどの狂信者は残っていない。皆、床で死んでいるか、植物に飲まれているか、インビジブルとなり消えたか。
 このような環境では……。――ああ、くそ。グノシエンヌが、小さく舌打ちをした。

「焦れったい」
 グランドピアノから勢い良く立ち上がり。展開される幻影の鍵盤――彼女はようやく、『子守り』をやめることにしたらしい。
 蒼白に輝く天輪。目前の鍵盤へと手を、指を添えて。

「そんなにぼくの子守唄を聞きたいのなら。この『仔』たちにひとりじめされたくないなら、ああ……いくらでも聞かせてあげよう……!」
 怒号にも似た声と共に奏でられるグノシエンヌ第3番。脳を揺する蠱惑的な音色――。
「……焦れったいのは、こっちもです」
 零れそうな唾液を飲み込んで。食欲のまま、七十はグノシエンヌを見つめた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『人間災厄『グノシエンヌ』』


POW 第1番
自身の【幻影の鍵盤】を【蒼白】に輝く【ピアノ線のようなレーザー鞭】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
SPD 第2番
【幻影の鍵盤を演奏して放つ音波】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ 第3番
【幻影の鍵盤】から【洗脳効果のある音楽・音波】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【発狂】して死亡する。
√汎神解剖機関 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 ああ本当に、本当に、本当に――!

「|ぼく《グノシエンヌ》を聞く気が一切ないね、きみたち」
 クヴァリフの仔を背に、災厄は不愉快そうに、しかしまだ余裕の笑みを崩さない。

「ここからは欲のままに。頭を開いて……そうだ、きみたち、この『仔』を『開こう』としているんだっけ?」
 にやり浮かべる微笑みは軽薄。細められる青は鋭く、きみたちを射抜く。
 女の高笑いが会場に響いている。おかしくてたまらないといったような。何がそんなにおかしいのか。今この場で最も狂気に近いのは、おまえだというのに。

「……やってることは、皆変わらない、ね?」
 奏でられるはピアノの音色。第3番。響き渡る音の波の中で、『仔』らは静かに、ゆれている。
クラウス・イーザリー
「聞きたいのは山々だけど、狂ってしまうのは御免だからね」
狂っていないと証明することは、できないけど

ダッシュで踏み込んで√能力猛襲を発動
拳攻撃の間に2回攻撃や居合、喧嘩殺法、不意打ちや武器落としを挟んで連続攻撃
接近を振り切られたら拳銃を抜いてクイッドロウ

敵からの攻撃は盾受けで防御
防ぎ切れなくて負傷しても気にせず攻撃を続ける
音を防ぐことができない以上、殺られる前に殺るしかないんだ
こうやって血塗れの殺し合いに興じている辺り、俺はもう狂っているのかもしれないな

……どうにも調子を狂わされてばかりだ
音に惹かれているのかな、俺は

『仔』を回収するという目的だけは忘れないように気を付ける

※アドリブ、連携歓迎です

 幾度聞いたかグノシエンヌ。第1番、怪しげで頭の隅にこびりつく響き。クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)の睨む眼を前にして、災厄は大袈裟に肩をすくめてみせた。

「きみ、前もまともに聞いてくれなかったよね。あんなに情熱的に演奏したのに」
「……聞きたいのは山々だけど、狂ってしまうのは御免だからね」
 こつ、こつと。クヴァリフの仔たち、その輪の中から歩み出るグノシエンヌ。彼女としても、『仔』らを巻き込むのは本意ではないらしい。
 まるで親しい相手への世間話。髪を指に巻き付けくるくると弄ぶ、グノシエンヌの手が止まる。彼女の前へと展開されていた鍵盤が光の筋となり――鞭となって、彼女の手中へとおさまった。
 それを見て先に動いたのはクラウスだ。距離感は知ったもの。鞭という性質上、至近であれば振るいにくい。半ば掴みかかるように、グノシエンヌの腕を狙う。

「あはは! それでも、ここに聴衆として居てくれるだけで、ぼくは嬉しい!」
 どこまで本音で、どこまでが嘘なのか。拳を腕で受け止めたグノシエンヌ、襲いかかる二発目の攻撃も同様に。

 頭上の鍵盤が、天輪が。音色を奏で続けている。洗脳効果のないただの自動演奏だ。それでも、記憶のゆりかごが強く揺さぶられる。
「(狂っていないと証明することは、できないけど)」
 誰も彼も、クラウス自身も。狂気に侵されていたとして自覚はできない。他覚も同様。しまいこんだ遺留品の数々。ひとつひとつは細い糸だとしても。撚り合わせれば、けして断ち切れぬ正気として、彼の精神を繋ぎ止めてくれる。目の前の女には、そんなものはない。
 ナイフを鞘から居合い抜きしグノシエンヌの顔を狙えば、髪がはらりと散って頬を裂く。再び振るう拳が鳩尾を狙う。彼女は体を捻り肋で受け。そうして、距離がさらに狭まった。

「きみは、本当に、好ましいよ」
 至近距離。光の屈折のない青。「にんげん」のものではない狂気の視線。それと目が合う。合ってしまった。
「聴きたいのなら、聴けば良い――|ぼく《グノシエンヌ》という曲には何の罪もない。ぼくが好きに名乗っているだけさ。ただの曲として聞いて、きみが|グノシエンヌ《ぼく》を思い出し、歯噛みをするなら……それはそれは……楽しいだろうなあ!」
 ――グノシエンヌの腹へ前蹴りを繰り出し、クラウスはその視線と声を引き剥がす。けたたましく鳴く鳥のように、災厄は笑う、笑う。

「悦べよ! きみはきみの愛する世界のために戦っている。グノシエンヌという曲は、その彩りのひとつなのだから!」
 両腕を広げた後、そして鞭を振るい抜くその先。クラウスは身を屈めて避け、すぐさま銃を抜きグノシエンヌの胴を撃ち抜く。……遅れて微かに、束ねた髪の先が焼ける匂いがした。

「これだけ褒めて、誘惑しているんだ。笑みのひとつくらい。ぼくにくれたって、いいじゃないか?」
 首元を掠めるピアノ線の鞭。致命に至らぬよう盾で受け流してなお、痛みの走る傷。
 誘惑? 油断や動揺を誘い、こうして急所を狙うその指の運びに、何の感情を覚えれば良いのか。調子が狂う事だけは確かで。音に惹かれているのも、きっと。
 奏者。楽曲の災厄。形のないものである以上防ぎようのない音。殺られる前に殺るしかない。

「ぼくたちはもう狂ってる。底の底まで堕ちている。認めたっていいんだ――受け止めてあげるよ」
「……そういう誘いには、乗らない」
 だが、この『殺し合い』には乗ってやろう。銃口を突きつけられようとも、グノシエンヌは笑う、笑う――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

虚峰・サリィ
「ハロー、ピアニスト。ここまで散々に前奏を奏でてやったわぁ……ここからはお待ちかねの対バンの時間よ!」

ピアニストの攻撃はオーラ防御、霊的防護、精神抵抗の技能を使って隔絶結界で受け止めるわぁ。
さあさお立ち会い、GIGの始まりよぉ!歌唱、学期演奏の技能を使うわぁ。
対バンのナンバーは『致命・口説き文句に刺されて死にたい』
いい音を聴かせてあげる……その後には接近して致命刺突をお見舞いよぉ。
甘い毒を抱えてちょうだいな。

「ねえピアニスト。グノシエンヌ2番に書いてあるわよねぇ。『驕り高ぶるな』って。アンタ、曲を聴かせる相手への謙虚さを忘れてないかしらぁ?」

【アドリブ歓迎】

 さて響き渡るグノシエンヌ、陰鬱な音色に割って入るはギターの音。今となっては心地よいとは言い難い響きを吹き飛ばす音圧と軽快な音色。ご挨拶のギターソロを虚峰・サリィ(人間災厄『ウィッチ・ザ・ロマンシア』・h00411)が|会場《戦場》へと響かせる。

「ハロー、ピアニスト。ここまで散々に前奏を奏でてやったわぁ……」
 掻き鳴らす魔導弦、その音に目を細めるグノシエンヌ。奏でられているのは|致命・口説き文句に刺されて死にたい《リーサルシュガースタブハート》――聞こえていたギターの音色はそれかと、『ホワイトスター・トップテン』へ彼女が視線を向けた。
「ここからはお待ちかね……対バンの時間よ!」
「ははあ、なるほど……作曲家はきみ自身か?」
 ギターの音色、それに聞き入るように。一時的に止むグノシエンヌの演奏。靴のつま先をとんとんと、リズムに合わせて打ち付ける。『仔』らがそれにつられて揺れている。サリィの演奏に、グノシエンヌの爪先に。

「良いね――『音楽の災厄』として、きみと、その曲への敬意をもって、お相手しよう!」
 ――ノッてきた。
 ぐるり回転する天輪、ピアノの音色。鍵盤を強く沈み込ませて音を鳴らし。サリィを見て楽しげな声を上げる。

「そう来なくちゃ。……さあさお立ち会い、GIGの始まりよぉ!」
 展開される隔絶結界。異なるジャンルの楽器、それが放つメロディー。音と音のぶつかり合い――グノシエンヌの放つ音波を打ち消し、サリィの音色もまた同じように打ち消される。だが、彼女の本領はここから――!

「ねえピアニスト。グノシエンヌ2番に書いてあるわよねぇ。『驕り高ぶるな』って」
 音に飲まれぬよう、指の運びは丁寧に、そして大胆に。押さえる弦の感覚を確かに探りながら、サリィはグノシエンヌに語りかける。

「アンタ、曲を聴かせる相手への謙虚さを忘れてないかしらぁ?」
 災厄が、眉をひそめた。優しさも愛情も、恋のときめき、胸の痛み。それら全てを知らぬ、存ぜぬ、あるいは軽視している。彼女の演奏を聴いて、サリィはそれらを確信していた。そんな彼女に似合うのは――。
 演奏はクライマックスへと。音波を掻い潜り相殺し、魔導弦を変形させながら飛び込んでくるサリィに反応し切れず。

「――ッ!!」
 |致命刺突《リーサルスタブ》――絶死甘毒。貫かれる体、幻影の鍵盤から手が離れる。困惑のまま瞬く彼女から飛び退き距離を取り、ふん、と上機嫌に鼻を鳴らすサリィ。

「――っぼくに、何をした……!?」
 己の体を抱くように傷を押さえ、目を見開きサリィを見るグノシエンヌ。だがサリィは答えない。答えてやる必要はない。現に|彼女《グノシエンヌ》は、演奏を止めたのだから。ああ、そのうち理解するとも。一時的とはいえ、知らぬ感情を覚えてしまった乙女よ。
「……甘い毒を抱えてちょうだいな」
 暫し、その毒を抱き締めているがいい。高鳴る胸に、呼吸に、困惑し続ければ良い。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アダン・ベルゼビュート
アドリブ歓迎

只の、上から目線故の物言いかと思っていたが……彼奴の様子を見る限り、別の理由がある様にも見える

星詠みの言葉通りならば
グノシエンヌは親になるつもりは無かった筈、此の演奏会は悪足掻きの意味を成さない

其れでも尚、彼奴が狂気を加速し続けている上で、演奏を止めぬ理由があるのならば……クヴァリフの仔による悪影響なのか?

√能力:覇王の言霊
今は推理の時に非ず、此れは闘争である
此の覇王たる俺様が今、貴様の胴体を穿ってくれよう!

全機能を停止させる形で防具を脱ぐ
√能力発動条件を満たすべく
敵の攻撃の一部は一度だけ『狼影』にて弾く
其れ以外は急所のみ回避、防御

独り善がりの演奏会は終演だ
偽りの母なる奏者よ

「(只の、上から目線故の物言いかと思っていたが……)」
 傷付くにつれて加速していく狂気。奏でられる音は止むことがなく。天輪は回り、楽曲を延々奏で続けている。アダン・ベルゼビュート(魔蠅を統べる覇王・h02258)はその様子に怪訝な表情を浮かべ、冷静に彼女の挙動を観察していた。

「ほんっと……大人しく、|グノシエンヌ《ぼく》を聴いていろよ……!」
 ピアノ線の鞭を振るう間も彼女は笑みを絶やさない。苛立ちを隠さぬ声でも、表情は笑んだまま。……災厄も流石に、集中力が切れてきたか。荒々しく放たれる鞭の攻撃を躍るように往なしながら、アダンは考える。

「此処まで追い詰められて尚、何故逃亡を選ばない。貴様も理解しているだろう」
 此の儘ならば貴様は、我々に屠られる。
 言外に込めた意図に気付かぬような女ではない。振るわれていた鞭の雨が止んだ。グノシエンヌは荒れた呼吸を整え――両腕を、広げる。

「は。あは。あはははは! こんなに、こんなに沢山の『聴衆』が、ぼくを求めているのに! 止める理由なんて、ひとつも存在しないだろう!?」

 ……星詠みは言った。『あれは母親になんてなるつもりはない』。では彼女は何故このような状態でも、未だ喝采の無い舞台に立つのか。その心理は、そこにあった。
 脚光を浴びたい。自己顕示欲。己は評価されるべき『奏者』である!
 ……天へと向けられた視線。そのような、自己愛に塗れた欲の結末がこの有様なのだ。
 蠢く『仔』らは子守唄代わりの音に揺れて、揺れて、観客として、その触手をゆったりと動かして――。

「(悍ましい有様だな)」
 災厄すら、狂わせる。根源が何であれ、今は推理の時では非ず。

「――此れは闘争である」
 覇王の言霊は高らかに。アダンの言葉に、天へと向けていた視線を下ろすグノシエンヌ。恍惚の笑みは続いている。「そう」と小さな返答。油断しきっている。
 己の纏う影。防具として機能しているそれらが蠢くのを止めた。
「此の覇王たる俺様が今――貴様の胴体を穿ってくれよう!」
「……はは。ほんっと、お口が立派なやつだな、きみは!」
 宣言。笑う女が鞭を振るうが――その蒼い光へ狼影が喰らい付き、弾く。漆黒の狼が光を喰らう――!
 真正面から尖影を構えたアダンが迫る。咄嗟に振るう鞭は間に合わない。負った傷をさらに深く抉るよう穿たれた杭が、奏者の体を貫いた。

「……独り善がりの演奏会は終演だ」
 偽りの母なる奏者よ。
「……は。あは。……なら……カーテンコールが、必要だね……?」
 まだ、笑ってみせるか。引き抜かれた杭、散る血液。いつ倒れてもおかしくはない。大穴の空いた腹、その傷に指をかける彼女へと、アダンは告げる。

「奏でられるのならば、奏でてみせるが良い」
 貴様の曲は、俺様には響かないのだから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

雪月・らぴか
※《姫章時雨》(h02222)との連携プレイング

むむむ、何言いたいのか全然わかんない?洗脳使いっぽいから寧ろわからないほうがいいのかも!
ってことで不快な音楽垂れ流しの演奏会はここでおしまいにしちゃおうね!

【通電回生エレクトリックリヴァイヴ】で時雨ちゃん召喚!前衛は任せて私は中距離あたりから時雨ちゃんの隙をカバーするように[霊雪心気らぴかれいき]を飛ばしていくよ!足にダメージ集中させたいから足ばかり狙って時々別の部位って感じで攻撃しよう!
敵の√能力はどっちがくるのかな?
第1番だったらさっきの足狙いは移動遅くするためでしたー!それでも間合い詰められそうだからしっかり魔杖で防御してその間に時雨ちゃんに殴ってもらうよ!更に足を狙って全然動けなくしたいよね!
第3番だったらもうやられる前にやるしかないから私も前にでて殴りにいくよ!ここに来るまでに散々聞かされた不快な音楽の恨みをくらえー!
ある程度ダメージいれていけそうな感じだったら【変形惨撃トライトランス】で一気にダメージ狙っていくよ!
姫章・時雨
《雪月らぴか》(h00312)との連携プレイング

おはよー。呼んだ?
寝起きで聞くには不快な曲ねー。これの奏者を殺せばいいのね。
またこの姿で戦えるなんて、らぴかちゃんの√能力に感謝ね。

らぴかちゃんに敵を近づけないように、どんどん前にでて接近戦に持ち込み、積極的に攻撃を仕掛けていくわ。洗脳音波より物理のほうが手っ取り早く殺せるって思い知らせてあげるわ。
√能力で敵が速くなったら、こっちも【捨て身の一撃】を狙って突っ込むわ。
らぴかちゃんの【変形惨撃トライトランス】には流水滅断を合わせるわ!

幽霊になってからのまったり生活も良いけれど、この殺し合いもやっぱり楽しいわ。

「むむむ、何言いたいのか全然わかんない?」
 こてんと首を傾げて少し考えてみる雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)。無邪気な彼女にとって、グノシエンヌの言葉は少々回りくどい言い方だ。それでも感じ取れることはいくつか。彼女の奏でる音色が、脳を揺らしてくること。己の意識に勝手に侵入してくる陰鬱な思考――。

「……洗脳使いっぽいから寧ろわからないほうがいいのかも!」
 正解だ。小難しいことはどうでも良い。今ここで必要とされているのは、自分たちの純粋なる「力」である。グノシエンヌは『仔』から距離をとっている――今なら全力を出したって、問題はない。

「……|ぼく《グノシエンヌ》の良さが分からないなら、それでいいよ。理解できるまで躾けてやればいい……」
 手元の幻影が手繰り寄せられるようにしてレーザーの鞭となり、ぴしりと床を鳴らす。己の血液と、『何か』が這いずったあとのような、ぬめる床を。

「ってことで、不快な音楽垂れ流しの演奏会はここでおしまいにしちゃおうね!」
 ――空気がす、と冷えた。『何か来た』。目を細めるグノシエンヌの視線の先。ばちりと爆ぜる静電気、と呼ぶには些か派手なスパークがらぴかの目前で迸る――【通電回生エレクトリックリヴァイヴ】。
 己のAnkerを召喚し、√能力者として目覚めさせるための通電。さながらスワンプマン、あるいはフランケンシュタインの怪物。否、呼び起こされる者の姿を思えば、そのような表現は相応しくないか。
 実体のない『彼女』を呼び起こすための雷――!

「おはよー。呼んだ?」
「呼んだー!」
 手をぶんぶん振ってアピールするらぴか。その先に立つは彼女のAnker。姫章・時雨(事故物件の幽霊・h02222)である。――先程の寒気の原因。らぴかの自宅の前入居者――『幽霊』だ。
「寝起きで聞くには不快な曲ねー。これの奏者を殺せばいいのね」
「いえーす、ごーごー!」
 実に話が早い幽霊である。√能力により生前の姿を取り戻し、らぴかと同等の能力を有する彼女が手に持つ斧を肩へと担ぐ。

 突然現れた時雨を見て目を白黒させるグノシエンヌ。理由は、いくつかあるが。
「……なんだその格好は」
 ……時雨はいわゆるビキニアーマーを纏っているのである。困惑のまま口走るグノシエンヌ。確かに一理ある。
 だがおまえが言えたことではない。おまえも、なんだそのギリギリな格好は。何なら受けたダメージによってぼろぼろになっている分布面積が危ういところがある。双方『許され度』が低いが、戦いにおいてそんなものは関係ない。
 否、多少はある。急にちょっぴりコメディ入っちゃったなって。そんなこともある。

「前衛任せたよーっ!」
「了解っ!」
 そう声をかけて後退するらぴか。前に出た時雨がグノシエンヌへと斧を振る。手慣らしとばかりに振られた一撃目を避けたグノシエンヌへらぴかの氷雪による追撃が加わる。

「望まぬ客ばかりだけど、呼んだ覚えも来るとは思ってもいないタイプは初めてだなあ! ドレスコードって知ってるかい!?」
 凍てつく|冷気《霊気》を往なしながらグノシエンヌが忌々しげに時雨へと鞭を振るう。時雨はしっかりと距離を詰め、直撃を避けるように、らぴかを守るように動く。
「ご存じじゃないわね! 洗脳音波より物理のほうが手っ取り早く殺せるって、思い知らせてあげるわ!」
「チッ……このッ! 邪魔くさいなあッ!」
 時雨が攻撃する隙を縫うように、冷気を飛ばして連携していく。行動に制限をかける意味を込め、グノシエンヌの足元を狙って放たれる冷気。時折別の部位を狙い、先を読まれすぎないようにらぴかの攻撃が飛ぶ。

「――埒があかないな!」
 天輪の鍵盤が沈む。響き渡るはグノシエンヌ第3番。らぴかと時雨の動きを鈍らせるための音波。流れるピアノの音に合わせ、踊るように放たれる鞭の一撃がらぴかの魔杖を絡め取り距離を詰める。

「むぐっ! やっぱりこっち来たっ!」
「任せなさい!」
 魔杖を振り、鞭を振り解こうとするらぴか。そこに割り込むは時雨だ。レーザーを断ち切る流水滅断。すかさず鎖鞭状に変化したらぴかの杖が、報復とばかりにグノシエンヌの腕を絡め取る。凍てつく鎖に引き寄せられバランスを崩した彼女にらぴかが更なる一撃を加えるために杖を大きく上へと振りかぶった。

「ここに来るまでに散々聞かされた不快な音楽の恨みをっ、くらえーっ!」
 杖を斧状に変化させ、その腕を切り落とさんばかりに、全力で振り下ろす! 堪らず回避を試みようとしたグノシエンヌだが、その体をピンク色に輝く刃が力強く切り裂いた。
 派手に散る血液、きらきら輝くダイヤモンドダスト。腹いせとばかりに振られた鞭、それを斧で弾き返す時雨。
「幽霊になってからのまったり生活も良いけれど、この殺し合いもやっぱり楽しいわ!」
「このっ……」
 苦しげに唸るグノシエンヌ。もはや彼女には、軽口を叩くような余裕はない。受けた傷を腕で庇いながら、彼女は強く舌打ちをした。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

いや……聞く気はあるんですよ?単純に美味しい匂いが際立ち過ぎて集中できないだけで……
……それはそうでしょう、欲望に忠実じゃなければそんな恐そうなものに手を出そうなんて思いませんよ……私は今回興味なかったですけど。

(√能力を使用。体内で二種類の菌糸を生み出し、体内で増殖させて)

さて……行きますか……今回は逃がさないです

(片方の菌糸を七十自身に寄生させる。効果は肉体の再生・すべての行動をグノシエンヌ捕食へ向かわせる。行動に抵抗しようとすれば強烈な自己嫌悪感と本能的拒絶感を与えられて)

でも、こっちも解放しないとですね

(自身の身体をエルデで切り裂き、もう片方の菌糸を撒き散らし寄生先へ。効果は対象グノシエンヌのみ・肉体の再生・七十に捕食されようと行動。行動に抵抗しようとすれば強烈な自己嫌悪感と本能的拒絶感を与えられ、仮にしても肉体を再生させられる)

ふふふ、苦しいですか?私もかなり苦しいです
だから……大人しく食べられてくださいね

(そのまま隷属化と共に捕食しようとして)

「――いや……聞く気はあるんですよ?」
 もじ。手遊びをしながら、やや唇を尖らせて――グノシエンヌの演奏はまだ止まらない。神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)は眉根を寄せて、グノシエンヌを見る。
「単純に、美味しい匂いが際立ち過ぎて集中できないだけで……」
「そういうところだぞきみは。本当、貪欲だね」
 呆れた様子で溜め息を吐く災厄。だが彼女の傷口からはぽた、ぽたと血液が流れ落ち、血錆のような|腥《なまぐさ》い臭いが漂ってきている。

 欲望に忠実でなければ、貪欲でなければ、こんな|恐ろしいもの《クヴァリフの仔》に手を出そうなんて思わない。
 私は今回、興味なかったですけど。
 では何に興味があるというのか。

「……きみ。最初から、ぼくが目当てか」
 微笑む七十は、何も言わない。――これほどまでに『追いかけられて』いれば、|彼女《グノシエンヌ》とて察するというものだ。
 ――七十の体内で菌糸が増殖する。血管まで侵食し、じわりと体表へと滲み出す、赤色の根。

「……今回は逃がさないです」
「そう。逃げる気もあまり無いんだけど?」
 七十自身に寄生する『それ』を見て、グノシエンヌが動く。幻影の鍵盤が奏でる第3番。目に見えぬものの脳をも揺さぶり意思を狂わせる楽曲。
「……こっちも解放しないとですね」
 だが、足りない。音の波が七十の肌を裂くが、その傷を菌糸をすぐさま菌糸が塞ぎ。そして――七十自身の身体を、大鎌が切り裂いた。その体と傷から溢れる胞子。風に乗りグノシエンヌへと向かう白い風。

 ――蝕まれる。血液を垂れ流していた傷を塞ぎ、足を縫い止めるようにすぐに根を張りはじめる菌糸。侵食は止まらない。激痛。しかし血管へ入り込むそれが息絶えることを許さない。眉をひそめて足元を一瞥したグノシエンヌが、顔を上げる。

「ふふふ、苦しいですか? 私もかなり苦しいです……」
 興奮か、痛みからか。荒く呼吸をしながらグノシエンヌへと語りかける七十。おなじだ。別種の菌糸を寄生させたとはいえ、受ける痛みは同等のもの。
 だから。
「大人しく食べられてくださいね」
 赤い瞳が、細められた。

「……ああ、やっぱり。自分のものにしたいんだ」
 囁く声は嘲るような響き。音楽の災厄、そして、精神を蝕む√能力を持つ者。当人の『精神的なものに対する抵抗力』は相当なものだ。常人ならば発狂死してもおかしくはない、そんな状況下でも己の思考を維持し続けている。
「何? 話でもしたいのかい? ……前回は拒んだっけ。どうだったかな?」
「おあずけされましたよ」
「あは。そう」
 一見、穏やかな会話だろう。だがその実、互いに己自身を蝕むものへ抵抗を続けている。このまま平和に会話をして、話が通じる相手ならば、どれだけ良かったか。

「ねえ。逃げたいんだけど、良い?」
「だめですよ」
「だよね、困ったな」
 菌糸が這う。体内を喰らい、増える、無数の意思なきもの。肩をすくめる程度しか出来はしないか溜め息を吐く彼女。そして――小さく、笑い始めた。
 くすくす、けらけら。大きくなる楽しげな笑い声に合わせて揺れる揺れるクヴァリフの『仔』。狂っているのは今更だ。狂気の海、その波打ち際で揺蕩っていなければ、ひとを狂わすことなどできない。
 七十が己の菌糸を振り解く。昂る心のまま、空腹のまま、|大鎌《エルデ》を手にグノシエンヌへと迫る。目の前の獲物を、喰らい尽くすために。

「――味わうといい。ぼくはどうせ、どこかで蘇る。きみのことを覚えているとは限らないぜ? それをきみが追ってくるというのなら……ああ、次もたっぷりと、|ぼく《グノシエンヌ》を聞かせてやろう! あはははは……!!」
 響き渡る高笑い、蔓延る菌糸、削れて崩れる体。食らう喰らう万理喰い。楽曲という概念すらも狂食姫は口にする。下品に、ある種上品に。かけらも残さず、丁寧に――。

 ――そうして残されたのは、揺れる仔らのみ。
 |保育者《寄生先》を失ったということも気にせず、逃げることもせず。
 仔らにとっては、それこそ子守唄など必要なく、塵芥。ただおくるみの中でうぞうぞと、愉快そうに蠢いていた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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