|Broken《ブラウンかん》
かつかつ。
「一時期流行ったよねえ」
祠を軽く右の握り拳、人差し指第二関節で叩く女がいたものです。
「壊すと祟られる祠で悪戯してさ」
ふわり揺れる桃色の髪の非現実性。
「『お前あの祠壊したんか!?』なんて言われてさ」
お菓子のような甘い匂い。例えるならば生クリーム。
「それで酷い祟りが起こったりなんだりっていう創作ネタ」
インビジブル受容体でありながら随分と特異な女が。
「大きく注目され直したのが確か5ヶ月前になるのかな?」
全く、楽園の情報社会って面白いよね――なんて、からからと独りで笑っているのです。
|おかしな《・・・・》女。
「今あたしたちがいるここもその類。壊すとここら一帯、街中から光が消え失せちゃう祟り……街が真っ暗になったら人々のお先も、」
大層、大掛かりな祟りであることでしょう。
「くらくら真っ暗になっちゃうんだって〜……!」
女が悪戯っぽく言うほどには、恐ろしいのでしょう。
「ふふ、最後のはうそうそ。壊そうが壊すまいが先に進まないと、人々のお先がもっと真っ暗になる代物が育っちゃうの。クヴァリフっていうんだけどね」
もっと恐ろしい仔産みの女神――人類社会を害するもので、それを育てる狂った信者たちがいることそのものが祟り。
「これを回収して帰って来れたら、楽園の人類は暫く安泰になるかも。子供たちが邪神を知ることも恐れることもなく健やかになれるような、人類延命の|新物質《ニューパワー》ってやつ」
――だから、ちゃんと|無事に《・・・》帰ってきてね?
今一度念を押した女の笑顔は、にぃとしていたのです。
「さ、堅いことは考えずにやってみよっか。大丈夫、ルーシーちゃんが見守ってるよ」
|Lucy Chateau Meals《ルーシー・シャトー・ミルズ》が|予知《おし》えているのです。
√ 汎神解剖機関。
「それでは問題デデン――祠を壊す? 壊さない?」
星の降らぬ夜。
マスターより

お次は祠。
お世話になっております、川内主将です。
こちらはクヴァリフの仔を持ち帰りましょうという試みが主となります。
全3章構成で第2章、第3章にそれぞれ分岐が生じます。第1章で祠を壊すかどうかにかかってくるのと、皆様の想像に委ねられるのと二つです。
A:祠破壊後、街中から光が奪われる祟りの光景の中での冒険。
B:祠スルー後、祟りの種の判明ならびに撃滅。
もう一つの分岐は第2章断章にて追って記述します。
はてさてクヴァリフはどんな環境で育つでしょうか、祠の運命は――、
以上、よろしくお願い致します。
19
第1章 冒険 『おや?祠がありますねえ……』

POW
祠を触ってみる。
SPD
祠を観察する。
WIZ
祠を拝んでみる。
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
Again, the question.
Broken, or not broken?

アドリブ、連携お任せします
祠、祠ね
俺からすれば、祠を壊すなんてとんでもない、なんだけどさ
壊すことで開く未来も、壊さないからこそ続く未来もあるらしい、と言うならばどうしようか悩むよね
うーん…壊したくない
心情的にも、何が起こるかわからないという点でも壊したくはない
わざわざ祀られたものを怒らせるの、よくないかなって思うから
とりあえず祠の装飾とか掘られた言葉や飾りがあるか確認して、祀られた存在を類推して
あとは軽く祠を掃除して、それから拝んでみよう
総意で壊すことになったら反対はしないけど、きちんと拝んでからね
再建も約束しよう
どうぞ、無事にクヴァリフの仔を回収できるように、見守っていただけると幸いです
ぽつん。
白髪の男と、祠。
「……う〜ん」
にらめっこしましょ――祠は笑わぬものですが。
「祠、祠ね」
それ程に悩んでいたのです、猫宮・弥月が。祠を壊しては罰が当たるだとか、多分それ以前の問題ではあるのでしょう。実際とんでもないという文字が脳裏を過ぎる、心に出でる、そんな状況だったものです。
日々営む骨董品屋……猫ちぐら。祖父よりその名の店を受け継いでいるからこそ、こうした祠を壊すのは、よくないと考える現店主。
でも。
「壊すことで開く未来も、壊さないからこそ続く未来も、なんだよな」
怖そうが壊すまいがと|星詠み《あのおんな》が言っていたものです。ゆらゆらカンテラのように揺れる心。Broken or not broken?
「うーん……壊したくない」
わざわざ祀られたものを怒らせることがいけないと思うのです。
そしてそっと見ている内に気になり出すのです、祠のこと。
外観はシンプルめ、屋根が灰色で全体的に暗めの材質で造られていたものです。文字があるだろうかと確認してみましょうか、紙垂に隠れていて見えなかったけれどそれをそっと上に上げてみると見えるのです、そのものに彫られた文字――。
『見るな』
単純で簡潔で正確に彫られたそれを見て思うのです。
「見ちゃいけない類の神様なのかな」
或いは怪異だろうか――尽きぬものです類推。お掃除も忘れずに、軽くお掃除をしてあげて埃さえ取り除けば、そこにシンプルながらも立派な祠。とても綺麗になったので、両手を合わせ拝んで見るのです。
一つ込めるのは祈りだけ。
「どうぞ、無事にクヴァリフの仔を回収できるように、見守っていただけると幸いです」
嗚呼、願いよ叶って。どうぞ願いを叶えてください店主。ちらりとふと見ると、そこに祠と|√能力者《あなた》を交互に見る人があったものです、否、インビジブルが成っていたというのです目撃者のような、しかし言うのです表情が――お前この祠壊すんか?
そこに在った想い。
「もしこれが壊れることになったら、再建をすると約束しよう」
0-1。
🔵🔵🔴 成功

おおお、いわくつきの祠!ホラゲーだと既に壊れててやばいこと起こってたり、知らずに壊してやばいこと起こったりと定番だよね!
そして私は壊すと起こるらしい光が消える現象も体験してるよ!でもでも、原理が違うっぽいし、ここでも体験するために、祠壊しちゃおうかな!
いきなり壊さないでまずは調査をするよ!【彷徨雪団ワンダリングスノー】で調査団を召喚!周囲になんか変わったものとか祠に関係ありそうなものがないか探索してね!
私は祠自体の調査だよ!構造とか装飾とか、あと[探霊桃灯ピンクランタン]で指紋とかもみて最近誰か何かしたのかもわからないかな?
ある程度調べたら調査団を集めて、雪玉投げと私の殴りで壊しちゃおう!
「おおお、いわくつきの祠!」
驚いていたものです雪月・らぴか、突如√能力者となっていた身の大学生。ゲームといちごとホラーが好きで、ホラーは怖いけれど好きだというので。
膨らむ想像、尽きぬものです――ホラゲーだと既に壊れててやばいこと起こってたり、知らずに壊してやばいこと起こったり!
(っていうのが定番だよね!)
果たして、偶然が否か、星詠みの事前情報にあったこと――|街中《おさき》真っ暗に似た状況を体験したことがあったものです。確かその時はどうだったか、
まあ、ここでは違うことが起こるのでしょう。そう考えても見ると、ふつふつと湧き上がってくるのです一種の欲望。
――祠壊しちゃおうかな!
別の形の体験の為。
ともあれ調べることが必要でした、呼んでみるのが調査団――彷徨雪団ワンダリングスノー。
「みんなー、調査の時間だよー!」
雪だるまがたっくさん、UV灯やEMF等持って、祠のそこかしこ照らして調査をしていくのです。呼べばすぐ来てくれた、行動の早くて元気な彷徨う調査団。果たして先程の|√能力者《かれ》が見た『見るな』の文字は見れたのです、では他には何があるのかと。
自分自身でもゆっくりと見ているのです、探霊桃灯ピンクランタンにて照らしつつ。
すると指紋があったというのです、比較的最近の。いくつか。同じ指紋だと気づけるので一人が何かしたのでしょう――でも誰が何を封じたというのか。探してもシンプルめの構造、暗めの材質であり祠にはこれ以上の謎は何も無さそうなものでした――祠には。
雪だるまが1体精一杯はねて教えてくれたものでした、近くに壊れたらしいテレビがあるのだと。嗚呼不思議なものです、なぜテレビがそこに。電源は付かぬものだと知ることができますが――否、ノイズ。
「おお……?」
嗚呼、やはり何かを封じているのでしょう。見てはならぬ類の何か。
しかしそこまでで――ある程度は集まったものだから、共有を忘れずに。
それからみんなで集まって、
「よし、それじゃあ思いっきり壊しちゃおう!」
雪玉と物理で、さあどうか。
1-1。
🔵🔵🔴 成功

POW判定
私の一票は「壊さない」
まあ、立場上の癖と申しますかぁ……こういう宗教が絡みかねない物には、害を与える事は勿論拝むことも軽率にするのは躊躇いがありましてぇ……。
そうは言ってもそれでは始まりません…試しに触れてみる事にしましょう。
「どうも、初めまして。少々失礼を致しますね?」
礼儀を守って一礼してから触れましょう…この礼は祈りや拝みではなく挨拶ですよ?ともあれ触れて少し待ち…何も起こらないようなら撫でるように…敬意を持った触れ方をするのが大切です。何か伝えたい事でもあれば、伝えてくださると助かるのですけどねぇ…。
裏側とか周辺の構造物とか積極的に触れて、何かが隠れていないか探ってみましょう。
ふわふわ、ねむねむ。
Right or left――半分こしたような景色が眠気のせいでして。
「むむむ……」
しかし正直に悩んでみたものです今回は、ネムリエール・スプリング、小さなエルフの国の第三王女としての立場があるからか、その癖が壊すということを躊躇させているのです。勿論軽率にするのだって己の心が許さなくて――ただ、触れてみなければ始まらないものでして。
だからこそ、礼儀に倣っては礼儀を守って、
「どうも、初めまして。少々失礼を致しますね?」
一礼の後に祠に触れてみるのです。祈りでも拝みでもなく、行うべき挨拶だとするから何かを起こすことも無いようで――嗚呼、何も起こらぬのです。
シンプルな構造、暗めの色の材質、そして紙垂の向こうに彫られし『見るな』の文字、これらは変わらぬものでした、他のみんなが見たものと何も変わらぬもの……灰色の屋根にしても物言わぬ構造、敬意が届いてか本当に何も起こらないというのです。では心が持ち上がるように緊張感を纏うのです、もう少し触れていっても問題は無いですね? ではそのようにしてみるが宜しいのです、そっと撫でてみては次に起こることが何かと予想を立ててみるのも良いものです、しかしうんともすんともなんともない、梨の礫ではありませんか。
「ここまで何も起こらないとなると……う〜ん……」
悩みつつも敬意崩さぬものでした、次第に籠るお願い事――お願い事というよりは、
「何か伝えたい事でもあれば、伝えてくださると助かるのですけどねぇ……」
ヒントを求める心があるものでした――ならば徹底的に探してみる他は無いものです。裏はどうか、周辺には“何故か壊れたテレビがあるものです”がその裏に画面など見て回ってもやはりノイズのみで、これも前に共有された情報通り。気になるのが本当に気になって、本当に何も無いのか? とさえ思えてくる程だったというのです。これ以上は何も無いかな、と思っていたところ。
「……?」
先程見ても何も無かったであろうはずの祠の裏側。
何故か紙切れが一枚挟まっていたものでした、裏返して見てみるなりどうもこう、エルフの勘が何かを訴えてしょうがないものでして。
『Thank you for watching』
「あ、」
瞬時に手を挙げて制止をかけたものでした。潮時、
1-2――Path B chosen.
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『ヴィジョン・ストーカー』

POW
影の雨
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【影の雨】で300回攻撃する。
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【影の雨】で300回攻撃する。
SPD
影の接続
半径レベルm内の味方全員に【影】を接続する。接続された味方は、切断されるまで命中率と反応速度が1.5倍になる。
半径レベルm内の味方全員に【影】を接続する。接続された味方は、切断されるまで命中率と反応速度が1.5倍になる。
WIZ
影の記憶
知られざる【影の記憶】が覚醒し、腕力・耐久・速度・器用・隠密・魅力・趣味技能の中から「現在最も必要な能力ひとつ」が2倍になる。
知られざる【影の記憶】が覚醒し、腕力・耐久・速度・器用・隠密・魅力・趣味技能の中から「現在最も必要な能力ひとつ」が2倍になる。
さあ祠を過ぎて街に出ましょう――見るのです、見るのです。
街中が今暗くて暗くて、でも異常なほどに落ち着いているのです。
退廃的とも呼ぶべき心地、隅々まで見渡せるのは神の怒りに触れなかったから。
もっと隅々までよく見て――あちこちにぶっ壊れテレビ。
《ヤッホー! ドウモミテクレテアリガトウ!》
抜け出るのです貞子の様、真っ暗な手がほらいっぱい、全て黒く塗り潰してしまいそうで。
《ホコラヲコワストノロワレル、ナラコワシチャエ、トテモイイアイデアダヨネ!》
――ヒトノ|好奇心《ココロ》、クスグッチャエルヨネ!
《デモイッパイミテクレタ、ソレモウレシインダ! オシエテアゲルヨ――》
悪戯心だ、簡単なことでした。
《コワソウトオモワナキャ、タタリハナイモオナジサ》
嗚呼、選んでみて初めて分かることだったのです。祟りなんて起きようが無いのです。
存在もしないものに触れようがない、世の常だから。
《デモオカゲサマデ――タタリヨリモモットヒドイコトニナッチャウネ?》
であるならば今度は聞いてみるのがよろしいのです。
《ココニハモトモト、キチャイケナインダヨ?》
何を隠していたのやら、とか――

おおお、ヴィジョン・ストーカーじゃん!
祠の近くにあったテレビと何か関係があるのかな?
わからないことだらけだけど、放置しとくとやばそうなのはわかるよ!
ってことで祠の次はテレビを壊しちゃえ!
範囲攻撃で一気に倒すために敵を集めたいね!ってことで[霊雪心気らぴかれいき]を撃って私に注目させて次の敵の方へ移動、そして攻撃!攻撃されそうだったちょっと速めに移動して攻撃!これを繰り返して敵をたくさん集めたら、【霊雪叫襲ホーンテッドスコール】でみんなまとめてやっちゃうよ!
壊すなって言われると壊したくなっちゃうし、来ちゃいけないと言われると行きたくなっちゃって、好奇心を試されてるのかな?
再び出会ったが百年目、じゃあないけれど。
「おおお、ヴィジョン・ストーカーじゃん!」
《ヤアマタアッタネ!》
Thank you for your watching、新しい|映像《かたち》の数々ならば見逃さないのがベストなのです。視界情報から受け取る危機感、ビンビン伝わってくるから好奇心が刺激されてくるのです霊術闘士。
「よーし!」
健やかに感情を育むのですジェットコースターの様に。
「ってことで祠の次はテレビを壊しちゃえ!」
らぴらぴきらきら素敵な気、湧き出る溢れる霊の力、氷雪の力も混ざりに混ざってひんやり――破砕音は最も近くのテレビから響かせましょう。あちこちのテレビの画面、それを皮切りに赤がぽつぽつ増えていくのです。ノイズも幾つか。らしくなってきたテレビの羅列、次のテレビはちゃんと動いてますか――がしゃん。割れていくのですひんやりな気で。
「どんどん割っちゃおー!」
堪らず出てきたものです影の手が幾つも、ならばとその手に腕に急激な温度変化を与えていくのです。一つ与えてやればひゃあしゃっこい、しかし響くダメージは突き刺すもの。
《ツメターイ!》
やったなあなど言いたそうに、続々伸びてくる手が段々本数を増すのです、密度も、捕まえよう何か見せようと、何か腕の力が強くなっていそうなものでしたが。
「よっと!」
ぐっと六方向以上から伸びてきたとて……ひょいっと跳ねてくるりと身を回せば捕まることなどないものです。軽やかに速く、着地次第煌めきになりし気が――らぴっと。
「不思議だよね――壊すなって言われると壊したくなっちゃうし、」
弾けた光、ひんやり手共を退けて、そろそろ参りそうです幾つも。繰り返して繰り返してかなりの数の手がテレビがそこにあるものです。
「来ちゃいけないと言われると行きたくなっちゃって、」
ここで本日の天気予報――雪時々霊。暴風警報が出ております。
「好奇心を試されてるの、かなっ?」
ひゅう、びゅうっ、ごおっと一気に――霊たちがそこ退け慄けと怨みつらみ叫びながら手にがじがじ齧り付いたり。吹雪だって一粒一粒に硬さがあって、ごうごう吹き抜けて、きらきら、らぴらぴ――
断続的に響き続ける破壊の音、幾つもテレビが壊れて、手も参ったとばかりに失せていくもので。
《ソウ――ソレモマタタタリダネ!》
もっと|探《こわ》してみたくなるのですらぴかさん。
ああそこの霊さん、どさくさに紛れてテレビ投げ飛ばさないで――ごしゃり。
🔵🔵🔵 大成功

あとで祠は直すとして
うーん真っ暗だ、何か灯りは必要かな
スマホで照らす程度じゃ足りないかな?
真っ暗で空も暗い、そしてあちこちには壊れたテレビ?
なるほど、君達が、この事件に関わる何かを隠しているモノなのか
さあ、式神の猫達
壊れたテレビを探して見つけて、縛っておいで
どこにもいけないように現れる手を留めてしまおう
弱い攻撃ではすぐには倒せなくとも、重ねていけばいつかは足りるかな?
さてさて、君達が壊れる前に教えてほしいな
なんで来ちゃいけないのか、何を隠しているのかを
秘密には好奇心を刺激されちゃうよ
聞けたらおしまい、ちゃんと壊してあげるよ
これ以上悪さができないように、光も返してもらえるように
おやすみ、ばいばい
見えないものでした、くらくら。
「何か灯りは必要かな」
これで神の怒りに触れていないは嘘だろう――そう思うのだって無理もないことなのです。
スマホで照らす程度じゃ足りないかな? 試してみましょうか――僅かには。他の√能力者たちが立ち回り始めるのも目印にはなりそうで、ともすればテレビのミーニングを調べてみる必要がありそうで。
近づいてみれば、バチっと点く紅い画面。
《キミモキチャッタンダネ?》
「なるほど、君達が、この事件に関わる何かを隠しているモノなのか」
来ちゃったで強調されし隠し事、暴かないわけには行かぬものです。黒い手が今にも捕えそうで、全くしょうがない。
「さあ、式神の猫達」
従うが宜しい。探し猫、足止め猫――猫の形の呪いの符、ばら撒いてしまえば猫式神の誕生です。22匹が暗がり渡るように闇を征く、隅々までテレビ探し鋭く一つ見つけては、縛っておくのです――影を呪詛がにゃんとストップ。叶っていくのです、彼方此方に猫の|呪《まじな》い、一つにゃんとすればうんともすんとも言いやしないのです。堪らず影の手が伸びてびゅんびゅん、今度は暗さに溶けてこっそり|店主《あなた》の肩を掴もうかというところ――、
「っ――、さてさて」
影の手、途端に自由が利かないではありませんか。やはり猫が居るのです、ちょうどテレビの真上部分。
「君達が壊れる前に教えてほしいな。なんで来ちゃいけないのか、何を隠しているのかを」
敵わぬなら仕方ない、確実に仕事の出来る、そして好奇心溢れる店主なのです。知りたい、聞きたいと溢れて止まらない――、
《トテモスゴイネエ――アソコニハイルンダヨ、仔産ミノ女神ガ!》
街に|未来《ひかり》がありますように。
《ブヨブヨシテテ、ソレヲ捧ゲヨウト頑張ル人タチモ、捧ゲラレル|怪異《ホウ》モ》
――トッテモ、カワイイヨ!
「……そうか、それは、大変だ」
指なんぞ鳴らしては――響く22回の破壊の音。脚で踏んづけたり画面に突っ込んだり、とても器用で悪戯な|呪符《ねこ》たちなのです。
「おやすみ、ばいばい」
もう悪さが出来ないので。
🔵🔵🔴 成功

他の人に迷惑をかける、公序良俗に反する行動、敬語はNG
連携、アドリブは歓迎だよ
【戦い方】
①サポートに徹する
共闘する時は能力の「複成/改造」で味方の持つ武器を増やせるから人によっては追撃効果が期待ができる。あとは「休止領域」で味方の損傷を修復できるよ。
②攻撃に参加する
中遠距離を保ちつつ攻撃する時は一気に詰め寄って一撃離脱を繰り返すよ。アイテム欄の「模造刀」は能力攻撃に対して、「模造刀改Ⅲ」は物理攻撃に有効。この2つで牽制しつつ、「模造刀改II」を「拡張用デバイスメモリ」で強化して「媒体接続/霊子解放」で相手の体力を一気に削りたいね。
種は割れる運命だったのです。
ネタバラシが済んだ以上、後は切欠を作り続けることで道をそこに作るのみとなったのです。ぶっ壊れテレビ、未だに数があるものでして。
「つまり、壊せば良いんだね。僕もサポートしよう」
言い終えた瞬間――がしゃん。蹴り壊されるテレビ。もともと壊れて居るのに何を――ざっくり、真っ二つテレビ。
残骸がたあくさん。斎賀・奏斗の仕業なのです。その御手に何を持つか、模造刀改Ⅲが為せる御業――あまりにも斬妖めいて敵を斬らん、それこそ響応する複音の刃なので、
「素早く数を減らす」
すぐさま飛び抜けて刀を抜くまでの手際の良さにすら磨きがかかるのです。一瞬で一個を斬った、次に三歩渡って一個を斬った、駆け抜けて繰り返す切断の技術、世界一かっこいい粗大ゴミ処理とはこのことでしょう。
《フッフッフ! キチャッタナラコウダヨネ!》
影共が黙って居るわけは無かったのです、なんだかテレビの並んでいる辺り、ぽつんと暗くありませんか? ひとりぼっちではない、ならばまずいのは影が|接続《つな》がれていることでしょう。伸びるのです影、ぐいっとリモコンでも掴むみたいに|√能力者《あなた》の頭をむんずと掴んで殺そうというのでしょう。
それで恐怖する様なあなたでもないし。
「そこだけバラせば良いんだね?」
確認作業――一つ呟けば模造刀改Ⅱ握り、取り出したる拡張データ入りの記憶媒体じゃきり。IIに強く化けて組み上がるのです、媒体を仕上げることが叶ったならば――!
「行くよ」
切先をば影の繋ぎ目に突き刺すのです、正確無比に無慈悲に無意味化させるのですヴィジョン・ストーカー共の攻勢。裂いて紡げば解体ショーの完成、テレビの潰れ切れるような音が響いて。
一度で足りる筈もなければ、粗大ゴミ化するテレビが減るわけでもなし。左目抉れば次の繋ぎ目、左腕を潰せば次の軌跡、ぎゅいんと舞いましょう|局所解体/反復《リピート》。
「これだけやれば――!」
向こうもしんどくなる程のヒット&アウェイ。
🔵🔵🔴 成功

私は、エンターテイメント系大企業、PR会社『オリュンポス』のCEOだ。
最近は、いつの間にか、よく知らない場所にいる事が多いのだが、おっと、これから重要顧客との取引や会議が控えていてね…。
って、ここは何処だ…!?
たとえ異国の地(別√世界)であっても、リーマン時代に培った交渉能力に自信はあるが、中には、私がCEOと知ってか知らずか、襲撃を仕掛けてくる無法の輩もいるようだが、私が体得した数々の武術(各種技能)にて対応するとしよう!
*:尚、彼は√能力者同士の戦いが存在していることなど、露とも知らず、様々な出来事に対しては、経験しても、始終勘違いしている自称一般人です
状況、連携、アドリブ等々歓迎
漆黒であったのです、プレジデント・クロノス。
「……おっと」
異国に迷い込んだ旅人が如き|運命《さだめ》。
「最近は予定外続きだな」
諸々がたまっているというのに飽きやしない――溜め息をつく|Anker《あなた》こそ刻を捕まえるに相応しい。
《ヤア! メズラシイ視聴者サンダ!》
眼前に迫り囲み来る影共でした、壊れたテレビから伸びてくるのだからあまりにも恐怖な絵面なものでしたが。
鼻で笑い飛ばすがCEO、
(何これ分からん)
なんて根底にあるから恐怖も知らぬまま。
「視聴者! 成る程エンターテイメントを展開しようと?」
面白いとさえ言ってのけるのです、此方からすれば異国の地の無法の輩、手荒に飲み込もうとしてくるならば――実際にやられたら非常に危険なのだけど――駆け抜けるだけ!
「このPR会社『オリュンポス』のCEOこそ!」
――エンターテイメントを掌握するに相応しい!
それだけ、たったそれだけなのに影にギリギリで何も掴ませない、迷っても舞い戻れる不思議なのです、触れたところでその手が“No thank you”を突き付けるだけのこと、さらりと逃れては何かに躓いて ああ 壊れ
「……?」
手が参ったように伸びているのを見る、そういうエンターテイメントの種こそテレビ。
ほうと呟けば、次のは意図的に蹴り壊し!
《危ナイナア! 深淵ヲ覗クッテ良ク言ウヨネ!》
「深淵! 笑わせる!」
そんなもの覗かずとも宜しいだなんて、仮面の奥側の|意志《ひとみ》が仰せなのです!
勘違いこそが歩き方、狂気すらガン無視の自由度の高さ!
「中々楽しませる種を持っているようだ、|テレビ《おまえ》の主たる輩には感謝しておくとしよう!」
新たな手法の開拓をしてくれたお礼だ――がしゃん、ばきぃ、画面を打ち破る振る舞い、スーツに傷が付かないことさえ幸運でしかないのです。
「スゴイネ! ネエネエ面白イ噂聞キタク――」
袖とネクタイ整える男はしかし、引き際すら|完璧《ふめい》でして。
「すまないが時間だ。今日は重要顧客を何人も抱えていてね」
踵を返す背――影の猛追が届かぬまま。
🔵🔵🔴 成功

改造人間のカード・アクセプター×サイコメトラー、21歳の女です。
普段の口調は「凛々しい(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)、心を許したら女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。
√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
届く寸前で堰き止めたのが――その拳。
「……これは、平和を脅かす種か」
逃げてと言おうとしたその背は既に遠くて――心配が無くなるならば、|√能力者《御巫・朔夜》の時間。
「残り全て、その芽を摘み取らせてもらう」
一瞬で横に逃れしバレット・アクセプター――闇に生き世界を護るその生き様、影共に穢せるものではないのです。真横を薙ぐ影の手。まず壊すべきを探すのです――残り少ない数のテレビ。それが源だと気付くまでに時間はかからないので。
手早く済ませる。
それのみに焦点定め。
世界軋む――万能の力齎す自己の加速。
向こうが影と影を繋いでくる間に――弾丸が如く躍り出る。ブレイキング・ブーストの実行性能は的確に影が繋がれようとしていたテレビの一台を確実に壊し抜きました。画面の欠片が散るのです、本体なんぞ原型も留めない内に……、
《ワア! 君モ深淵ヲ覗キニ……来タ訳ジャナイミタイダネ!》
別の影が重なる時が来る――皮膚で十分か――片手で千切る、そのまま流れるようにガンライフルが顔を出してはテレビの所在する処を悉く確実に撃ち抜いて見せるのです。変形しなくてもこれ、実弾雨霰、実に計算された弾道と効率的で直接的な速攻の行動が実に良く働いていると知るのです――見るも無惨なジャンク品、影がまた闇に沈んでは消え、さらに飛び抜けて――おっと影が繋がっていらした。そろそろ首根っこに伸びてくる手の、なんと執拗なことでしょう、
「この瞳に映る世界……いくら暗かろうが――」
照らすのみ。がちゃり|変形《かえ》るその|銃身《すがた》。狙い定めしは影と影の繋ぎ目、それから一台のテレビ――ブチ抜いた。
瞬間の再加速に流れし銀髪、闇を斬り裂く光が如き印象を鮮烈に、そのまま最後の一台、足が到達する、
「――平穏を」
蹴り抜けて。妖精族の因子、暗に敵殺す力を大いに高めてくれるその結果――蹴鞠が如く軟くめり込んだみたいな、
《bbbbブラボー!》
破砕音。
🔵🔵🔴 成功
第3章 ボス戦 『ヴィジョン・シャドウ』

POW
放送休止
【テレビから衝撃】を放ち、半径レベルm内の指定した全対象にのみ、最大で震度7相当の震動を与え続ける(生物、非生物問わず/震度は対象ごとに変更可能)。
【テレビから衝撃】を放ち、半径レベルm内の指定した全対象にのみ、最大で震度7相当の震動を与え続ける(生物、非生物問わず/震度は対象ごとに変更可能)。
SPD
放送禁止
X基の【影の波動が出るテレビ】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
X基の【影の波動が出るテレビ】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
WIZ
放送
【テレビドラマの内容】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【撮影スタジオ】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【テレビドラマの内容】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【撮影スタジオ】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
こりゃまた酷いものです――テレビを壊した後のお話です。
「あれ」
なんだかんだと追い続け。
「あらら?」
遂に辿り着いたその先がまたテレビ。
「映んなくなっちゃった。もしかしてもしかしたら……」
そのテレビを直そうと、否、
「なんてね。ずっと見ていたよ」
|直した《・・・》男が居るのです。
「祠を壊すと祟りが起こり、世界全てが真っ暗闇!」
まあ結局有耶無耶になっちゃったとか、実際そういう雰囲気作りだけでも試した甲斐は非常にあったんだけどね――なんと言うことでしょうこの男、深淵を覗くものはまた深淵が、
「だって僕のファンはみんな、|楽しい《・・・》ことだの|恐ろしい《・・・・》ことだの色々試したいんだもん」
だから怪異がその為にも産まれ続けるんだ――ああしまった、狂信の心を抱く者共の内の一人がアレを捧げよった! なんとまあ後先考えぬことでしょう、あのおかげで男が悠々と余裕綽々でクヴァリフなんぞをぱくり、
「さて次は何が始まるでしょーかっ!」
そう言って見たらテレビの画面にクヴァリフのマーク、すると次にばつん真っ暗闇、
音すら聞こえずに断絶されし空気。
危険な匂い。
次にぱっと明るくなってみると狂信者共の姿が無いのです。
「ああ、こんな感じになるんだね? 電源を点けて消してまた点けるみたいな、」
滅茶苦茶で破茶滅茶にするゴーストドキュメンタリー。
次いでカラーバーばっかり見せ出す液晶画面、本日の番組表は√能力者の死ですかクヴァリフのする怪奇な悲劇ですか。
「これはこれは、刺激的でミステリーな恐怖体験になりそうだね!」
何方でも無いのだと知らしめて――摘出を、
Path A chosen.

人語を解する野良モグラ
人化けの術が得意なので人間の女の子に化けている
🔶汚職警官
事件を起こした妖怪が別の√に逃げるので単独行動の権限を持つ
ギャンブルや酒が大好き
しかし仕事となるとやる気を出してちゃんと事件を追う
🔶性格
シンプルに物事を考える
素直で人情派
法的な事よりも人間の感情や事情を考慮して
モグラなりの基準を持って判断することが多い
🔶特性
致命的なまでの方向音痴なので道に迷いやすい
結果的に何故か最適な位置にいることが多い
🔶口調
一人称と語尾が「モグ」
〜モグ、〜なのモグ、〜モグよ、〜モグけど
※〜だモグは言いません
🔶戦闘
【モグラ先制射撃】によって地中に隠れ
敵の死角から銃で攻撃をすることが多い
まずその直ったテレビを壊さねばならぬのです。
「前も見た――再放送ってやつモグか」
ふんわり揺れるオレンジの髪に、可愛らしい語尾がモコ・ブラウンの証明――どうしてモグラが人語を介しているんですか?
嵌められし手袋で持つままに引く引鉄、だんだんと空気に打ち付けるような派手な音が銃撃の証明――嗚呼全部前に出て弾痕をその身に刻む余裕があるのですね怪異よ!
「その通り再放送さ! 今度の君も上手く行くかな?」
引き続き狙えば宜しいのですが突然増え出したテレビ、その数六基、こんなにもテレビが増えるならばいっそ次の出来事に注意してしまった方が良いのです。ほら見て、一気に広がる影の波動!
「上手くいくよりも、絶対に解決させる方が良いモグ!」
全域に広がるから隙間だってありやしない、めちゃくちゃな現場なのです。復旧しなくては、走り抜けるその身体、影に侵されて急に動くことさえ辛くなったものです。浸され続けて尚もびゅん、只管に走り続けることが重要だと知るのです。三秒もある! 道に迷う心配も無いような距離ですから、モグラが拳握り締めてぶち当てることさえ叶えばそれで良いのです。はて、テレビにはギリギリ届かない。であれば人の形の方を――しばいていく。
「っぐぉ――!?」
満たした、満たした。
波動が傷み続けまた満たす万全な生命、状況が変わりませんがこのままぶち抜いてしまいましょうか、クヴァリフのマークを映した画面がそこにあることです、細かいことはもうこれ以上頭に入れません、三歩大きく踏み出すだけで良くて、渾身の力で以て届かせようとするのです。なに、被害報告?
「――何も無かったモグな!」
強烈に打ちこんでいくその拳、今度は確実に捉えまして、ザザザとチラつくカラーバーこそが進捗の表現なのです。胸の辺りを押さえた男、ちょっと楽しくなってきたみたいで仕方が無い、
「やるねぇ〜……! だけど番組は、まだまだ!」
――やれやれ、仕方ないモグね。
🔵🔵🔴 成功

※姫章時雨(h02222)と一緒
おおお、今度はヴィジョン・シャドウ!?キミも初見じゃないからビビらないよ!それにしても、祠の調査からはじまったのに、すっかりテレビ相手の仕事になったねー。
敵の√能力は射程内で攻撃が必中になるんだね?ってことは、こっちから攻撃しまくって攻撃させなければいいよね!
ってことでいきなり【通電回生エレクトリックリヴァイヴ】で時雨ちゃんを召喚!2人がかりでガンガン攻撃しちゃおう!
攻めが単調にならないように、間合い離して[霊雪心気らぴかれいき]、近付いて拳で殴るを組み合わせていくよ!
食べられちゃったクヴァリフの仔、回収できるかな?

※雪月らぴか(h00312)と一緒
おはよ〜。呼ばれてきたわ〜。こんなところにテレビね〜。今は外で動画を見るなら、大きい画面でライブビューイングかスマホの時代よね〜?
で、そのテレビとモザイク男を壊せばいいのね〜。
らぴかちゃんの√能力で生前の姿に戻ったら、一直線に敵へ突っ込んで接近戦に持ち込んで、[流水戦斧]で守りを考えない怒涛の猛攻を仕掛けるの〜。主に男を狙うけど、隙を見て[機巧帰還投斧]を投げたりしてテレビも壊しておきたいわ〜。
大きめの隙等の好機には流水滅断を決めたいわ〜。
「スプラッシュリミッター解除、流水斬撃機巧最大出力。そろそろ放送終了よ〜。流水滅断!」
嗚呼そうだ――テレビだったのです。
「おおお、今度はヴィジョン・シャドウ!?」
やっほーだなんてテンションが振り切れそうになって、テレビということはこの男だって然り。
「また会ったね!」
今回の|番組《プログラム》はお楽しみいただけたかな――なんて、空気感が最早スタジオか何かに思えてきて。
「それにしても、祠の調査からはじまったのに、すっかりテレビ相手の仕事になったねー」
「僕のファンがすっかりクヴァリフを頼りにしちゃったんだもの」
全く不可思議なことだったのです、確かに彼らの目論見は祠に関連したことだったというけれど……いつしかこの様にカラーバーが立ち並ぶことになっていたというのですから現実というのは分からないものです。
嗚呼そうです、もっとぐちゃぐちゃになる気がしていて。
「そうだ、今度企画しようと思ってたテレビドラマがあるんだけどね?」
「おおおー!」
ネットの怪談話を特集して再現するドラマなんだよと語り出した――それが合図ならば。
「じゃあ、私のこれからすることも聞いて聞いてー!」
「おお?」
混ぜ混ぜしていかなければならないでしょう、ちっちゃくて運気を呼び寄せるに最適なESG、セットしてぴりぱちと生じる静電気を垣間見るのです。
「私が住んでる部屋でね、とっても怖い殺人事件があって、」
垣間見れる程に、強い電圧なのです。
「化けて出て来て一緒に戦ってくれる、怖いもの無しのお話だよ!」
「なるほどぉ〜!」
プログラムが決まりまして――じゃあ、それでもいいよ?
「時雨ちゃーん! 出番だよー!」
嗚呼なんとビジュアルに訴えてくる静電気でしょう、そのイオンの向こう側、ほんのり蒼く煌めく静電気の向こう側から、まるであの世でも通って来るみたいに……ようこそ姫章・時雨様、
「おはよ〜。呼ばれてきたわ〜」
流れる美しき黒髪に、一切の害を断つ銀の鎧、露出度高めに黒のビキニでおいでませ。
「おはよー! 今ね、テレビがあるんだよ!」
本当だわ〜、こんなところにテレビね〜――お外に置いておくには些かコンパクトでは無いような、そんな感覚も覚えて。外で動画を見るにはちょっと昔ならワンセグでも行けたでしょうが、専らライブビューイングかスマホが主流なこの時代、ブラウン管と言いますのも少し――嗚呼。
「で、そのテレビとモザイク男を壊せばいいのね〜」
そうそうその通り! とらぴかが答えてみれば、拍手をしておられるのですこの男は。モザイクがまるで楽しみしか想像させてくれないみたい。
「良い感じの演出方法だね〜! ドラマを企画して放送する身としては、とおっても――」
興味そそられるなあ――おお、最早撮影スタジオなのです此処が。テレビカメラの機材にお部屋のセット、音響まで揃い踏みで――危ない、二人で踏み込んでしまうのです。らぴかは少し距離を考慮するように、隣人様が続けて一気に眼前まで。その目元なんぞ一向に明かされはしないと分かるけれど、嗚呼金属、
「うわぁっと!」
魔導機巧斧の刃が空を二つに断っているものと理解するのです。かなりの重量だというのに続け様に振るわれての繰り返し、只管ひょろりと身をかわして男は避け続けるけれどこれでは確かに切り返す余裕も無い、続けてぎゅるんと描かれる軌跡、これが諸にぶち当たるのだから血を流さないわけにもいかない、そのまま次の一撃も真っ直ぐに突き――刺し込むのです。“ない”を重ねた結果がこれ、流石に少しはかっこいいところを増やしたいヴィジョン・シャドウだけれど脚を振り上げる予備動作だってらぴかにお見通し。ひんやり霊気と冷気がどんっ、雪の結晶が散るみたいに伝えていくのです霊雪心気、らぴかれいきを辿るようにふわふわに、躍り出てはがつんと綺麗な右ストレート。よろめいた男、何とか立て直した頃に破砕音が聴こえて見るのです、
「あぁ〜それはちょっと不味いかも!」
機巧帰還投斧ではありませんか? 投げて戻って来るでお馴染みで、刃が思いっきり画面を抉っているのです、ちょっと危ないったら、
「スプラッシュリミッター解除、流水斬撃機巧最大出力」
嗚呼、水が出でて刃となる――蒼く蒼く、全て断つ摩訶不思議の戦斧。
「そろそろ放送終了よ〜。流水滅断!」
「いっけ〜!」
強烈にも、男ごとテレビを――祟り揺るがす終焉の衝撃、もう吹き飛ぶのではないですかテレビ、らぴかの出す霊気と混じって、捉えるように閉ざす様に、
「うぁぁぁぁ〜……っ」
ちょおっと、これは、危なすぎるね――だなんて、もう一押し必要ですか。続く二人のコンビネーション。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

やあ怪異さん、でいいのかな
こちらが覗いたからこそ君もまた覗き返すモノなのか
色々考えてくれたモノでいいのか、なんて疑問はあるけれど
放っておくにはちょっと人にとってだめっぽいし、食べちゃった仔は返してほしいんだよね
悪いけど恐怖体験の番組はもうおしまい、エンディングの時間だよ
猫ってさ、個体によっては結構テレビ好きなんだよねぇ
つい動いている映像を追いかけて、画面に向かってパンチするなんて子もいる
この爪はそんな可愛いものでもないけどね
猫神の力を借りて、鋭い爪でテレビを突き通そう
怪異の体も貫いて、クヴァリフの仔を摘出しないと
相手の攻撃はテレビを盾にして防ぎたい
番組が終わるまで、俺と一緒に踊ろうか?
最期の挨拶とやらをしなくてはと。
「やあ怪異さん、でいいのかな」
「やあどうもこんにちは!」
まるで窓を見ているようだったのです、『深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいているのだ』とはよく言うけれど、触らぬ神に正に触れなくてはいけない今日、企画力にこそ着目をしていくのです。
「色々疑問は尽きないけれど、放っておくわけにはいかないし」
人の為そう決めたのだし、何よりも。
「食べちゃった仔は返してほしいんだよね」
散々傷を刻まれてきたテレビであるからして。
「それはちょっと、無理かな!」
だってほら、もっとたくさん番組を作りたいじゃない――何を作る気ですか、言葉の端々が聞こえない、集中してしまっているから何を聞いても不思議じゃない、たったと駆け抜けてくるりと回り込むのです。
――畏み畏み申し上げる、
「いいや」
――猫大神様のすべて貫き切り裂く爪を貸し与えたまへと。
「悪いけど恐怖体験の番組はもうおしまい、エンディングの時間だよ」
結論付け給へ。ぞっとするくらいの特集を組むつもりだったでしょうが、何もさせぬ内にひょいとテレビの真上に位置して座り込んだならばそれこそカーテンコールなのです。
ところで猫の|習性《いきかた》をご存知ですか。
「あら――」
「猫ってさ、個体によっては結構テレビ好きなんだよねぇ」
映像とは動く絵、生きる魂。そんな|創造物《いのち》を追い掛けしゅっしゅっと肉球ぱんちをしてくれたならなんとまあ、
「可愛らしいねえ!」
「可愛らしいよね」
でもまあ――ひょいと塀の上でも渡るみたいに身体翻したらば、おお、猫大神様が仰せなのです。
「この爪はそんな、」
がしゃ、ざくり、その御手――霊篭手にて鋭く引き裂き断つのだと。
「可愛いものでも――」
息を大きく吐き出し苦しむ男の、|自棄《ヤケ》になってこちらに腕を伸ばしぶん回し殴ってくるその姿さえ真っ直ぐに捉えて。
「――ないけどねっ!」
既にひんやり物言わぬ|製品《がらくた》とかちあわせ――その身体ごと胃を掻き出せと。
有言実行したならばほら、どぷりと溢れ出る|血《あか》と共に、引き裂いた奥から出でる、掬われる、救われる――仔産みの神。
やあやあどうも、ちょっと疲れちゃって、
「……まいっ、た、なあ」
――エンディングの演出、考えてないんだよねえ。
無音がとってもくらくらくら、そうだもう番組の構成も変えてしまえ、
「そうだね――番組が終わるまで、俺と一緒に踊ろうか?」
穏やかで帳降りるような終焉でお手を拝借。わん、つー、わん、つー。
「っはは――それもまた、」
エンジョイしてるねえと――放送が終了しました。
🔵🔵🔵 大成功