シナリオ

夜霧を灰に染め

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煙道・雪次
全体リクエスト失礼します。
アトリエカードを購入し設定は決まっているのですが、名前が思いつかず悩んでいます。

可能であればキャラクターの名前の候補をいくつかと、その由来をお願いできますでしょうか? よろしくお願いします。

【希望】
大陸出身の猫なので、中国っぽい雰囲気だと嬉しいです。

【外見】
https://t-walker.jp/illust/product/ateliercard/169/16939_OsagcwTE.png

【設定】
「キシシ」
人間の足掻く姿が何よりも好きな性悪猫。
幼児にはたまに姿が見えるようで『煙猫』やら『毛虫猫』『笑い猫』とも呼ばれている。アリスとは関係ない。
美しいものを好み、今は釉薬のかかった南宋時代(12~13世紀)の青い玉を依り代とする。
煙道家に居候をしている妖怪で、今は煙道・雪次 (h01202)と契約関係にある。

 風にたなびく尾のような粘ついた煙が、夜霧に|解《ほど》けて薄らいでいく。煙道・雪次は己が吐き出した煙の行方に目もくれず、もう一度煙草の灯火をあかあかと燃やした。
「フゥー……」
 肺一杯に吸い込んだ空気を、吐き出す。生きることになんら執着のない雪次にとって、煙草の箱に書かれた健康被害の注意文など、ただの文字列と同じだ。
 だが、煙を吸い込んで吐き出すたびに疼く、命をじりじりと焦がしているような感触は嫌いではなかった――といっても好んでやっているわけでもない。呼吸や心臓の鼓動を逐一好き好んだり厭う人間はいない。雪次にとってはそのレベルで染み付いているというだけだ。

 夜の道に、長く細い煙の道筋が刻まれる。雪次は日頃の激務に生まれたエアポケットめいた非番の時間を使い、数日ぶり――いやもしかすると数週間ぶりかもしれない――に家に帰るところだ。
 溜まった洗濯物や、各種公共料金の支払い。生活という雑多なリスクの集合体が脳裏を掠め、疎んだ表情をさらに沈ませる。ポストはいつも通り、様々な郵便物で溢れかえっていることだろう。わざわざ現実を見せつけられ、仕事と無縁のタスクに追われるぐらいなら、職場で寝泊まりした方がマシだ。雪次は心からそう考えるタイプのハードワーカーだった。

 やがて自宅へ近づくと、奇妙なことが起きた。
『キシシ――』
 声である。この世ならぬエコーを伴う笑い声を、雪次が訝しむことはない。まるで煙そのものがひとりでに形を得るかのように、それは空中に生じ、そして雪次の肩に音も重みも感じさせずに飛び乗った。
『相変わらず死人みたいな面してるな』
 縹色を思わせる猫めいた瞳は、嫌らしい悪意を隠しもしない。雪次の褪せた瞳が猫を見た。
「そういえばお前、どう呼んだものかな」
 己と契約した人外の存在に対し、雪次は独りごちた。猫めいたモノは目を細めた。
『好きに呼べ。|梁渠《リャンチゥ》だの|鴨跖《ヤイーツァオ》だの、|讙《ファン》だの、いつも人間は好きに読んできた』
「そうか」
 雪次は大した感慨もなく呟いた。実際、|猫《それ》にとっては名などどうでもいいのだろう。人が足掻き、のたうつ姿を好み、それを見るために己と契約した人外の存在にとっては。
 やがて猫の姿が煙に紛れて消えた。雪次は予想通りドアポストからはみ出した無数の郵便物を認識し、静かに息を吐いた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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