シナリオ夜ごとの美酒
山中・みどら「酔いどれくまさんのぶらりお酒レビューの旅 √エデン編」
概要
お酒が大好きなくまのぬいぐるみの付喪神の山中さんが、適当にどこかを散歩しながら色んな√世界のお酒を飲み歩き感想を言っていくさま（独り言か動画配信かなどはお任せ）
このPCは大酒飲みですがPLは下戸なので、今後RPをする上で参考にさせていただくかもしれません
お酒の種類はお任せ、今回は√エデンを巡るため現代地球にあるお酒なら何でも構いません。実在でも架空でもマスター様の好みで好き勝手やって頂ければ
キャラ
くまのぬいぐるみの付喪神で結構な酒豪
常にサングラスをかけているため怖い人に見られがちだが、ノリが良く何かとはっちゃけることが多い
～さね、～かねぇ等少し古臭いおばあちゃんのような話し方をする。一人称は「あたし」か「山中さん」
お酒の好みは幅広く、余程まずいか気持ち悪いものが入った酒でなければ大体は好き
感情が豊かでリアクションも大きい元気なねーちゃんです
その他不明部分など全てお任せします
来たれ、酒好きマスター様！
「酔いどれくまさんのぶらりお酒レビューの旅ぃー！」
熊の耳みたいな髪飾りをつけて大きなサングラスをかけた女がスマホの画面の中で叫んだ。
いや、実際は『叫んだ』と言うほどの大声じゃないんだが……俺以外に誰もいない二十一時過ぎのオフィスではよく響いて聞こえるんだ。
「さて、前回は√汎神解剖機関の禁断の蜂蜜酒『｜黴疫鬼《ばいやくき》』に挑戦したけども、本日は原点に戻って√ＥＤＥＮの名酒巡りと洒落込むよぉ」
終わりの見えない残業から逃避して動画配信サイトを覗いていたら、このヘンな動画を誤って再生してしまった。ルートナントカっていうのはなんだ？ 新手のネットスラングか？ ……なんてことを考えているうちに画面がワイプした（生中継じゃなくて編集済みの動画らしい）。新たに映し出されたのは、立ち飲み屋らしき場所にいる熊耳女。カウンターに立てたスマホで撮影したと思わしきアングル。
「初手は辛口清酒の『ねこだましい』だ。この角打ちの大将が言うには、冷やでも燗でもイケるオールラウンダーなんだとか」
透明な液体で満たされたコップを熊耳女は手に取り、ものの数秒で｜空《から》にした。水でも飲むかのようにスルッと。
「うん。濃厚なコクがあるのに喉越しが良い。和食にも洋食にも合いそう。あたし的にはモツ煮と一緒に味わいたいねぇ」
俺の腹が鳴った。『モツ煮』という言葉に反応したんだ。
しかし、肝心の酒には惹かれなかった。下戸なんでね。だから、こんな動画にも興味はないんだが……なぜか目が離せない。
再び画面がワイプ。新たな飲み屋で熊耳女が手にしているのは緑色の酒瓶だ。
「お次はテキーラ。その名も『ラ・トリニダー』だ。『ディプソ・メーカー』というヤバげな俗称のほうが有名かな？」
彼女は瓶の中身をショットグラスに注ぎ、またもや一気に呷った。最初の時もそうだったが、飲み干す動作がとても様になってる。酒のＣＭにそのまんま使えそうだ。
「かぁーっ！ 喉が灼けるねぇ！ いつもなら、ここでチェイサー代わりにぽん酢を飲むところなんだけど――」
ぽん酢を飲む？ さすがに冗談だよな？
「――今日はテキーラと相性ばっちりの餃子をいただこうか。大根おろし柚子ぽん酢をたっぷりかけたやつ」
テキーラと餃子を交互に口へと運ぶ熊耳女。その姿は、一心不乱に蜂蜜を舐めている小熊のよう。両目はサングラスで隠れているけれど、幸せそうに細められて弧を描いていることは容易に想像がつく。
「締めはイタリアワインの『プロフォンド・ロッソ』だよ」
またワイプ。先の二軒よりは小洒落た感じの店で熊耳女がワイングラスを揺らしている。
「炙りカチョカヴァロとマヨネーズたっぷりのデビルド・エッグを相方にしていただきまーす」
熊耳女はゆっくりとグラスを傾けた。
今回は一気呑みじゃない。
「ふぅー……五臓六腑に染み渡るとはこのことさね」
至福の気分を表現しているつもりなのか、熊耳をぴくぴくと動かしている。まるで体の一部のように見えるけど……機械仕掛けだよな？
「はい、本日はこれにて終了。次回は√ドラゴンファンタジーの強烈なラム酒『｜竜殺し潰し《ドラゴンスレイヤーキラー》』を紹介する予定だよ。じゃあ、さいならー」
動画は終了した。
下戸であるはずの俺がこんな動画に見入ってしまった理由が判った。至極単純な理由。
酒を呑んでる熊耳女の幸せそうな姿を見ているうちに、こっちまで幸せな気分になったからだ。
俺は動画のプロフィール欄で彼女のフルネームをチェックした。
『山中・みどら』
山中さんか……彼女の人生に｜酒《さけ》多からんことを。
そして、神よ。彼女の肝臓を守り給え。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功