シナリオ

散々な一日の締めには最高の一杯

#√汎神解剖機関 #ノベル

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√汎神解剖機関
 #ノベル

※あなたはタグを編集できません。


「あ゛ーーーーやっと終わった……」
 書き終わった報告書を横に除け、|斯波《しば》・|紫遠《しおん》(くゆる・h03007)はどさ、とデスクに突っ伏した。
 朝から失せ物探しやら何やらを行い、さらに近場で詠まれた事件解決のために現場に急行、協力してシュレディンガーのねこに対処した――という何ともハードな一日だったのに、帰社した途端言われたのは「今日の報告書を翌日朝一に持ってこい」である。
 そんなわけで紫遠は休憩も何もかも返上して報告書を作成、それが今漸く終わったのだ。
 身体を起こし、|煙草《キャメル》に火を点け、紫遠はふぅ、と息をついた。
「……腹、減ったねえ……」
 紫煙を燻らせながら紫遠が呟く。
 よくよく考えれば朝に事務所を出てから水を飲む暇すらなかった、と今更ながらに思い出し、紫遠は灰皿に煙草を押し付け、立ち上がった。ジャケットを羽織り、財布とケータイをポケットに押し込み、社長代理のワイズリー氏(もぐら)も静かにしていることを確認、外に出る。
 冷たい夜風を受け、向かったのは行きつけのラーメン屋。深夜でも営業しているこの店に感謝しつつ暖簾をくぐり、店内に踏み込む。
「らっしゃい!」
 店主の元気な声に「こんばんは」と返し、紫遠はいつもの注文を口にする。カウンター席に腰かけ、待つ間に先に出された瓶ビールを飲み、今日の自分を労っていると、
「お待ち! 味噌ラーメンと餃子!」
 紫遠の眼前に、ラーメンと餃子が差し出された。
 箸立てに手を伸ばそうとしたところであっと声を上げ、ポケットからヘアクリップを取り出す。片目を覆うほどの前髪を掻き上げ、クリップで留める。さらに後ろ髪もざっくりまとめ、紫遠は「いただきます」と呟いた。
 野菜だけでなく、チャーシューもたっぷり乗った味噌ラーメン。
 一口啜ると、味噌と豚骨が効いたスープが温かく喉を通り過ぎ、程よい硬さに茹で上げられた麺と共に胃袋へ吸い込まれていく。餃子も口に運ぶと肉汁が滲み出て、特製のたれと共に口内でうまみを主張する。
 あっという間に完食、スープも完飲して紫遠は満足そうに残りのビールを飲み干した。
「ごちそうさま」
「おう、また来てください!」
 店主の言葉にほっとしつつ代金を支払い、紫遠は店の外に出た。
 外の空気は冷たいが、温かいラーメンを食べた後だとむしろそれが心地よい。
 明日は平和だといいけれど、と呟きつつ、紫遠は事務所へと帰っていった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト