魔導書と料理本の味の違いについて
―――料理本と魔術書に何で味がするかって?
そりゃ、するよね。ちなみにこれがさっき古本屋で買ってきた魔術書と、こちらが普通の本屋で買ってきた初心者向けの料理本です。ちなみに和食。
え?古本屋でなんで魔術書が売ってるか?って……それは、売ってるよ。√が別の古本屋なら、そういうのがすぐ見つかる。
さて、どうしてこの二つを食べ比べるかというと、実はこの魔術書、初心者に関する魔術を教示する本だからなんだよね。
つまり、これは料理と魔術の初心者向けの本っていう事。これ、案外味が似通ってるんだ。
どうしてかって?
君、歴史を知っておいた方がいいよ。錬金術や魔術と料理はとても近しい所にある。
|材料を加工して《・・・・・・・》|手順に従って《・・・・・・》|処理して《・・・・》、何かを作る。
一緒だよね?まだわからない?仕方ないなぁ。じゃあ実際に礼を出そう。
|栄光の手《ハンズオブグローリー》って知ってるかい?有名な呪物だ。あれも、首つりにあった男の手を、加工するわけだけど、じゃあどう加工するかというと、簡単だ。酢漬けするんだ。
つまり、魔術は人の手を酢漬けするけど、料理は大根を酢漬けする。ほら、精々違いは素材の差だよ。……嫌な顔するね。
ともかく、僕としては魔術書と料理本が同じジャンルの味って事を知ってほしかったんだ。そのうえで、この魔術書を評価します。
比較対象である料理本。うーん。これは中々濃厚な味だね。たしかに初心者向けってことで、味が安定して美味しい。そんへんな|事《味》、書いていないからね。それに最近の本は様々な人の手が関わっているわけだから、なんというか、|まろやか《・・・・》なんだよね。
誰にでも好かれそうな味って感じ。特に外れがない。実際ぼくとしても、この味付けは嫌いじゃない。和食だからかつおだしが効いてるっていうか、しょうゆ味っていうか、とにかく落ち着いた味わいだ。
間違いないね。
で、もう一方。魔術書。魔術書なんて基本的には、|魔術が一般的な√《・・・・・・・・》でもない限り、そんなに執筆に関わった人間がいる訳でもない。
これが何を意味するかというと、|好き嫌いが分かれる味《・・・・・・・・・・》なんだよね。
美味しい人には美味しいけど、嫌いな人には嫌いな味。所謂納豆、みたいな?もしっくは、くさやとか。
料理と同じジャンルの味なんだけれど、こっちはより玄人向け。
だから、魔術書は何のかんの結構ばくちなところがあるんだよね。当然、ボクはボクの存在理由もあるから、例え嫌いなモノだって食べるよ?食べるけど、できればその味については覚悟しておきたいし、出来るなら美味しいものを食べたい。
だから、この初心者向けの魔術書だ。さて……著者の名前が書いているね?まぁその名前なんてどうでもいい。大事なのは、そんな変な|事《味》が書いてないって事なんだ。
つまり、その著者の書いている初心者向けの本を|読んで《食べて》見て、それで口に合わないなら、もっと専門的なものは絶対口に合わない。逆もしかりだ。これは著者だけでなくて、その√全体に通底する事でもある。
だからボクは基本的に知らない事、知らない著者、知らない世界の事は、まず初心者向けの物を|読む《食べる》事にしてるんだ。
で、この魔導書だけれど……苦い!にっが!あまりにも苦すすぎる。これで初心者向けってよく言えたものだね!この苦みは恐らく、自分さえわかればいいって独りよがりからきてるから、もしかするとより専門的なものなら、この独りよがりさが味わいになるのかもしれないけれど、この魔導書の味自体は☆2です!
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功