悪の組織によるお約束の作戦
●乗っ取られた幼稚園
√マスクド・ヒーローの世界では、悪の怪人による非道な事件が日常的に発生している。今日も今日で、とある幼稚園を乗っ取った悪の組織は、世界征服のための作戦を実行していた。
「は~い、みんな~。昨日までは『良い子でいましょう』と言いましたけれど、それも今日でおしまいで~す。今日からみんなは、『と~っても悪い子』になってもらいますね~」
爽やかな笑顔でとんでもないことを園児達に告げているのは、他でもない幼稚園の先生達。彼女達は全員が悪の組織によって洗脳され、茨の鞭とボンデージというセクシーな衣装に身を包んでいた。
中には御年60歳の女性園長や、あるいは体操の時間で人気の男性教師も同じ格好で混ざっていたので、色々な意味で園児達にはヤバ過ぎる光景である。
「先生、やめてよー!」
「もう、給食のピーマン残さないから、元の優しい先生に戻ってよー!」
縛られた園児達が泣き叫ぶも、その声は先生達には届かない。完全に悪の手先となった幼稚園の先生達は、教え子の言葉にも耳を貸さず、彼らを怪物へと改造する準備を始めるのであった。
●園児改造計画を阻止せよ!
「フフフ……我が内なる暗黒竜が、星辰の歪みを捉えたようだ」
片手で顔を覆うような仕草と共に、能力者達の前に現れたモヒカン男。どう見ても、こいつの方が悪人な感じだが、こんな身形でも一応は星詠みである。
「今回、汝らに向かってもらいたいのは、√マスクド・ヒーローの世界。悪の怪人どもが世界征服のために、罪なき人々を苦しめている」
神代・騰也(|常闇の暗黒竜《ダークネス・ノワール・ドラゴン》の|契約者《パクトゥム》・h01235)が能力者達に告げたのは、そんな中でも比較的お約束な展開の事件。端的に纏めると、悪の怪人が幼稚園を占拠して先生を洗脳。拘束した園児達を、怪物の素体にしようとしているのだとか。
「この作戦を阻止するのであれば、洗脳された者達をどうにかせねばならぬ。敵も星詠みができる故に、園児達だけを助けようとすれば、先読みされて皆殺しにされ兼ねんぞ」
それこそ、作戦が失敗するくらいなら教師の手で園児を始末させるかもしれない。それを防ぐためには洗脳を解くか、手っ取り早く気絶させるのが望ましい。もっとも、洗脳を解くにしても声掛け程度では全く効果はないため、何らかの√能力を使う必要があるだろう。
あるいは、敢えて洗脳された教師や拘束されている園児に紛れ、幼稚園のどこかに設けられた改造施設へ侵入するというのも手だ。施設の場所を突き止め破壊してしまえば、敵も作戦の実行が困難になるはずである。
「洗脳されている者どもを救えば、作戦を妨害された組織の戦闘員が襲い掛かって来るはずだ。施設を破壊した場合は、作戦を一任されている怪人が姿を現すかもしれぬ」
どちらにせよ、戦闘になることは避けられない。それらの敵を始末すれば、今回の作戦を立案した真の黒幕が姿を現すに違いない。
「無垢なる園児を醜悪な怪物にせんとする所業……世界征服の手段としては、些か下劣なものであるな」
どちらにせよ、自分が行けば園児達が怖がってしまう可能性もある。そういうわけで、後は頼んだと騰也は告げる。
見た目によらず、変なところで優しさを発揮するモヒカンであった。
マスターより
雷紋寺音弥こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
√マスクド・ヒーローの世界にて、悪の組織が幼稚園を占拠しました。
洗脳された先生達と、捕まっている園児達を助けてあげましょう。
●第一章
まずは一般人の安全確保です。
洗脳されている先生達を気絶させる、正気に戻す、あるいは敵が幼稚園のどこかに設けた改造マシンを見つけて破壊することで、作戦を阻止しましょう。
●第二章
前章の行動次第で戦う相手が変化します。
●第三章
事件を背後から操っていた黒幕が登場します。
32
第1章 冒険 『人々の洗脳を解け』
POW
洗脳された人を傷つけずに無力化する
SPD
洗脳された人々に紛れて怪人に接近する
WIZ
洗脳された人を治療する
√マスクド・ヒーロー 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシルふむ、子ども達がひどい目に合いそうな感じか。
種族は違えども、子どもが宝であることには変わりないからね。
魔術迷彩服の目くらましの魔法を使ってこっそりと内部に忍び込むよ。
園児達には今すぐキミ達の先生を元に戻してあげるからね。
と、伝えて静かにしているように口元に指を立てたジェスチャーで伝えてくよ。
さて、それじゃあ治療と行こうか。
「高速詠唱」で【星々の魔導書】に書かれた洗脳解除の魔法を唱えるよ。
対象の「精神抵抗」を強める魔法で正気に戻ってもらうね。
さて、これで大丈夫かな?
ボクは悪さをしているヤツらを始末するから先生達は子供たちを連れて逃げてくれると助かるね。
※アドリブ連携大歓迎
POW判定。
いい年した成人女性とか男性教師がボンテージ衣装着せられるとか正気に戻ったら地獄よね。
まぁアタシは関係ないし知らないけど、運が悪かったと思うしかないわね。
都合よく洗脳解除して記憶を消したりする能力や潜入向きの能力なんてないから
手っ取り早く気絶させて無力化するわ、ちょっと痛いかもだけど手加減はするから。
全員気絶させたら縛られてる園児達を解放して気絶させた先生達
共々幼稚園の建物の中にでも避難させとこうかしら。
念の為に気絶させた先生達は園児達を縛ってた縄で縛りあげときましょ。
何も言わないと園児達がうるさそうだから理由は説明しとくわ。
さて次は何が出てくるのかしらね。
●洗脳解除は魔術or物理?
悪の組織による幼稚園乗っ取り事件。解決するための最短ルートは組織の計画の要である機会をブチ壊すことだが、その場所が分からないのではどうにもならない。加えて、改造素体として捕まっている園児達はそのまま人質にもなり、洗脳されている先生達が敵に回ることも考えると、いきなり機械の破壊に走るのは色々な意味で一般人への危険を伴う行動だ。
「ふむ、子ども達がひどい目に合いそうな感じか……」
「いい年した成人女性とか男性教師がボンテージ衣装着せられるとか、正気に戻ったら地獄よね……」
ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシルと(|星樹《ホシトキ》の言葉紡ぐ|妖精姫《ハイエルフ)・h02999)とアーシャ・ヴァリアント(ドラゴンプロトコルの|竜人格闘者《ドラゴニックエアガイツ》・h02334)は、それぞれに窓から園内の様子を伺いつつ呟いた。
園児達にとっても地獄かもしれないが、教師にとっても地獄である。洗脳を解いても衣服がそのままならば、色々な意味でトラウマになり兼ねない者も出るだろう。
なんというか、地味に嫌な作戦だ。成功、失敗に関係なく、助け方を間違えれば教師は社会的に死ぬか羞恥地獄に苦しめられることになり、園児達も場合によってはおかしな性癖に目覚める者が現れかねない。とりあえずは園児達の安全確保が先だろうと、まずはルナが魔術で姿を隠し、園児達の捕まっている場所まで忍び込んだ。
「大丈夫かい? 今、先生達を元に戻してあげるからね」
「えっ……? だ、誰!?」
小声で園児達に声をかけるルナだったが、彼女の姿は園児達からも見えない。このままでは騒ぎが大きくなりそうだったので、ルナは子ども達に、とりあえず静かにするよう伝えて行き。
「さて、それじゃあ治療と行こうか……。星々の叡智よ、悠久の記憶より万象を記す書となれ……アストラル・グリモア!」
もはや、姿を隠す必要もないと、ルナは園児達の中央で堂々と姿を晒して呪文を唱えた。彼女の手にあるのは、無数の補助魔法を記した星々の魔導書。そこに記された『洗脳解除の魔法』を唱えると、ボンデージ姿にされた先生達は途端に頭を抱えて苦しみ始めた。
「あぁぁぁぁ! あ、頭がぁぁぁぁぁ!!」
「うぐぐ……何か、変な声が頭の中で戦っているみたい……」
正気には戻ったものの、どうやら洗脳の元凶である何かがカチ合って、脳内で激しい戦いが起きているらしい。精神抵抗を強めたことで、病原体と抗体が戦っているような状況と似たような感じになっているのだろうか。
「先生ー! 頑張ってー!」
「悪いやつなんかに負けないでー!」
必死に抵抗する先生達を、園児達も応援し始めた。それでも、気力だけで洗脳が解除されれば、それほど楽なことはない。というか、洗脳解除されたところでボンデージ姿はどうにもならないので、どちらにせよ羞恥地獄かトラウマ地獄が待っているわけで。
「見ていられないわね。こういう時は手っ取り早く気絶させた方が早いわ」
敵の洗脳と戦っている先生達を、見兼ねたアーシャが当て身を食らわせることで気絶させた。気を失っている間も心の中で戦いは続いているのだろうが、ルナのかけた魔法の効果もあるので、少なくとも再び洗脳されることがないのは幸いだ。
「た……助かったの……?」
「でも……先生達は?」
救出された園児達は、倒れた先生達を心配そうに見つめていた。放っておくと面倒なことになりそうだったので、目を覚ました時には元に戻っているだろうとアーシャは園児達に説明し。
「さて、これで大丈夫かな?」
「そうね。次は何が出てくるのかしら?」
人質作戦を取られることがなくなったものの、黒幕は未だ姿を見せない。先生達がボンデージ姿のままなのは少しばかり哀れであったが、事件を手っ取り早く解決するためには、元凶の怪人を見つけて倒した方が良さそうだ。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
ドミナス・ドミネート※連携・アドリブ歓迎
ボンデージに鞭!戦闘員のセンスだけは素晴らしいわね!このまま戦闘員だけ私が連れて帰りたいくらいだけど流石に我慢するわ!
さて、やはり改造装置を壊したいわね
となると潜入の為に変装が要るけど
(自分の姿を見る)
これ、服装以外を人間体にすればもうそれでいけるわよね?
という訳でボンデージのみ残して人間体になってと
後は改造装置の場所だけど
フフ
紛れ込まなくてもいいのよ
幼稚園内で√能力を発動
幼稚園内にいるインビジブルを戦闘員(会話してる所を見られてもいいようこちらもボンデージに調整)に変え
子供達を連れていく場所を聞き出し
共に向かうわ
紛れて改造装置の近くまで近付けたら
私の戦闘員とで一斉攻撃よ!
真弓・和虎ふざけた格好させても、やる事がえげつねーな、おい
んじゃ、『顔と存在、借りるぜ』。
【生類変化拳・海若】で、ネズミに変化して幼稚園に潜入し、幼稚園の間取りを観察。
一人で行動している『先生』の背後を【ダッシュ】で取り、獣人の姿で物陰に引き摺りこんで、気絶させとくかな。
一応、ふん縛って、騒がれないようにしとくぜ。…手荒に扱ってすまねーな。
で、この『先生』に化け直して情報収集。
油断させて他の『先生』を気絶させては、別の『先生』の姿に『入れ替わり』、改造施設に侵入するぜ。
機械を壊す、最後の最後まで油断せず。『大入道』に化けて、威力を上げた拳の【グラップル】でぶち壊す!
うっし、こっからは力仕事ってトコか?
イデア・デザイアーどこにでもある、ありきたりな事件だ。
…だからこそ奴らの『理想』通りに行くのは気に食わない。
俺の『理想』通りに行かせてもらおうか。
…この辺りで良いか。
幼稚園の外でペンダントからデザイアシードを取り出しインビジブルに与えよう。
…お前らの夢想を形にしてやる。知っていることを話してもらおう。
生まれたドリーマーズから【情報収集】。ここ最近この幼稚園で荷物が搬入された、
不審な人物が出入りした場所そんな所だ。心当たりはあるか?
聞けたなら【正体を隠し】ながら目立たない姿に【変身】
その場所まで行き扉か窓から様子を伺い【異形化】したイデアネイルを
伸ばし装置に対して【破壊工作】。…あぁ、中々に『理想』通りだな
●変身は潜入の基本!
幼稚園の先生を洗脳してボンデージ姿にした挙げ句、未来ある子ども達を化け物の素体とする。格好こそふざけてはいるが、しかし目的は極めて危険なものだと、|真弓・和虎 《まゆみ・かずとら》(この手に護れるモノなど無く・h03578)は園内の様子を探りつつ顔を顰めた。
「ふざけた格好させても、やる事がえげつねーな、おい……」
未だ改造されてしまった園児がいないのは幸いだったが、万が一にでも犠牲者が出れば一大事。こういう場合は早々に元凶を叩いた方が速いだろうと、和虎は√能力を利用して、まずはネズミの姿へと変身した。
(「よし……これなら怪しまれずに侵入できるな」)
教師と園児の大半が一箇所に集められていることも幸いし、ネズミに化けた和虎は容易に園内へと侵入できた。だが、いつまでもネズミのままでいるわけにもいかない。彼が得意とするのは『一度出会ったことのある人物』への変身なので、近くで凝視されれば偽物のネズミだとバレてしまう恐れもある。
(「ん……? あれは……」)
こうなれば戦闘員にでも化けるかと思っていた矢先、和虎の視線の先に幼稚園の先生の姿が見えた。これは渡りに船であると、和虎は一気に背後から駆け寄ると、変身を解除して後ろから当身を食らわせ気絶させた。
「よし、これでいいか。後は……」
今度は目の前の女教師の姿へと変わり、本物は縛り上げて物陰へと押し込めておく。少しばかり可愛そうな気もするが、この緊急時には致し方あるまい。
「……手荒に扱ってすまねーな。すぐに解放してやるぜ」
とりあえず、教師に化けて調査を再開。敵の拠点を探りながら園内を歩きつつ、和虎は妙な違和感を覚えて立ち止まった。
「あれ? そういや、この先生はボンデージじゃねぇな。もしかして、敵に捕まらなかったから、洗脳もされていなかったのか?」
だが、それにしては焦っている様子もなく、どうにも奇妙な話だった。まあ、それでも潜入には成功したのだから良いだろうと、和虎は気を取り直して敵の拠点を探し始めるのだった。
●困った時は霊に聞け!
ドミナス・ドミネート(リストリクト団首領代理・h02576)とイデア・デザイアー(|可能性の卵《ワンダリング・ポッシブル》・h00139)は、悪の組織によって生み出された怪人である。だが、組織を離反した彼らは、その力を己が信じる正義のために執行する。
今回の事件も、彼らにとっては良くある悪の組織の起こす事件のひとつに過ぎなかった。故に、対処法もまた心得ている。悪には悪を、毒には毒を……悪の組織といったら、やはり戦闘員の存在は不可欠だ。
「ボンデージに鞭! 戦闘員のセンスだけは素晴らしいわね! これ、服装以外を人間体にすれば、もうそれでいけるわよね?」
「好きにするがいい。俺の『理想』の邪魔をしないのであれば、な……」
妙なところでシンパシーを感じているドミナスを他所に、イデアはペンダントからデザイアシードを取り出すと、周囲を漂っているインビジブルに与えて行く。
「……お前らの夢想を形にしてやる。知っていることを話してもらおう」
瞬間、インビジブル達の姿がイデアの配下戦闘員であるドリーマーズへと変わり、同時に失われていたはずの知性が復活する。それを見たドミナスもまた、残りのインビジブル達に力を与え、己の配下へと変えて行き。
「さあ、貴方もパープル様の御力に触れなさい! 貴方もリストリクト戦闘員になるのよ!」
気がつけば、辺りはそこそこな数の戦闘員でいっぱいになっていた。どう見ても悪の組織が増援を送り込んできたようにしか見えないが、この状況ではむしろ有利に事が運んでいる。なにしろ、敵の一員として堂々と乗り込むことができるのだから、コソコソ隠れる必要もないのは幸いだ。
「ここ最近この幼稚園で荷物が搬入された、不審な人物が出入りした場所そんな所だ。心当たりはあるか?」
知性を得て戦闘員と化したインビジブル達に、まずはイデアが問いかける。すると、戦闘員達は園の地下に隠し部屋が設けられ、その入口は園の裏手にあるとイデアに告げた。
「なるほどね。それは、子ども達が連れられて行く場所でもあるのかしら?」
同じく、ドミナスも配下戦闘員に尋ねれば、彼らから返ってきた答えはYesだ。向かうべき場所が判明したところで、後は早々に元凶の施設を破壊するのみである。
「それじゃ、私は先生に化けて潜入するわ。あなたはどうするの?」
ボンデージ姿はそのままに、肉体だけ人間へと変わったドミナスがイデアに尋ねる。イデアの姿は元から人間のそれに近かったが、彼もまた目立たない姿……具体的には、戦闘員達と同じ姿に紛れると、目的の場所に向かって歩き出した。
●元凶のマシンを破壊せよ!
幼稚園の地下では、秘密裏に設けられた地下室にて、戦闘員達が謎の機械を動かしていた。
「おい、マシンの調子はどうなっている?」
「ハッ! 問題ありません! いつでも子ども達をモンスターに改造可能です!」
指揮官と思しきコウモリの怪人に、敬礼して答える戦闘員達。だが、それもここまでだ。まずは廊下の小窓から様子を伺っていたイデアが、鋭い爪を伸ばして装置の動力パイプと思しき物体を切り裂いた。
「なっ……! 何事だ!?」
突然のことに慌てる怪人と戦闘員達。しかし、状況を把握する時間もないままに、今度はドミナス率いるリストリクト戦闘員達が部屋に雪崩込み、次々と装置を破壊し始めたではないか!
「お前たち、組織の増援ではないのか!?」
「裏切り者め! 死ねぇ!」
たちまち始まる戦闘員同士の大乱闘。その余波で、部屋にあった別の機械も転倒して破壊され、コウモリ怪人が思わず頭を抱えて叫ぶ。
「ぬわぁぁぁぁ! 俺様自慢の洗脳音波装置がぁぁぁぁ!!」
どうやら、壊れた装置は幼稚園の先生達に洗脳音波を送る装置だったようだ。この装置のせいで、√能力を以てしても洗脳に抗うのが精一杯だったようだが、装置が壊れた今となっては、もう先生達の意識を乗っ取ることもできないはず。
「よっしゃ! ようやく見つけたぜ! 覚悟しろ!」
そして、コウモリ怪人にとっては最悪のタイミングで、なんと和虎が部屋を見つけて乗り込んできた。彼は早々に大入道へ姿を変えると、子ども達を改造するための機械に向けて、全力でパンチを繰り出した。
「うっし、こっからは力仕事ってトコか? おりゃぁぁぁぁ!」
拳の一撃で機械を破壊し、更には全力で掴むことでパイプも握り潰して行く。こうも完膚なきまでに破壊されれば、子ども達を怪物にすることなどできはしまい。
「どうやら、貴方の作戦は失敗のようね?」
「……あぁ、中々に『理想』通りだな」
残る戦闘員達もブチのめしたドミナスとイデアがコウモリ怪人に迫った。だが、コウモリ怪人は最後の悪足掻きと言わんばかりに、室内に設けられた別のエレベーターを起動させ。
「おのれぇぇぇ! 覚えておれよぉ!」
お約束の台詞を吐いて、崩壊する地下室から逃げて行く。あいつを逃がせば、また別の場所で同じ事件を起こしかねない。早々に追いかけるべきだと察し、三人の能力者達は互いに頷いて地下の施設を脱出した。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 ボス戦 『『コウモリプラグマ』』
POW
幼稚園バスジャック作戦!
あらかじめ、数日前から「【幼稚園バスをジャックする】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
あらかじめ、数日前から「【幼稚園バスをジャックする】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
SPD
コウモリブラスター
【超音波】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【超音波】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ
サーヴァント・バット
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【コウモリ】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[コウモリ]は全て消える。
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【コウモリ】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[コウモリ]は全て消える。
●破れかぶれのコウモリ
脱出用のエレベーターで地下施設から脱出したコウモリ怪人だったが、彼はそのまま逃げるつもりはないようだった。
というか、逃げたところで処罰されるのは間違いなく、下手すりゃ問答無用で死刑である。作戦失敗は死を以て償うというのが、悪の組織のお約束。どうせ死ぬなら、せめて敵対者を道連れにしてやろうと、もはやコウモリ怪人はヤケクソになっていた。
「ヒャーッハッハッハ! こうなれば、この幼稚園にいる者は、誰彼構わず皆殺しだぁ!」
逃げ遅れた者がいれば、問答無用で抹殺すると宣言するコウモリ怪人。だが、当然のことながら、√能力者達がそれを放っておくはずもない。
逃げずに戦ってくれるというのであれば、こちらとしても好都合。幼稚園の先生達を洗脳し、園児達を怖がらせた罰として、彼にはここで退場してもらおう。
園庭を舞台に、第二ラウンドの始まりだ!
お、如何にも怪人でございますみたいなのが飛び出てきたわね。
なんか知らないけどラッキー、ぶっ倒してやるわ。
超音波攻撃してくるならこっちは羽根をはばたかせて【吹き飛ばし】レベルの風を吹かせて減衰を試みるわ。
完全に吹き散らかすのは無理でも何もしないよりはマシでしょ。
耐えれたなら竜王・破断で【カウンター】ね、羽根を【切断】して【部位破壊】するわ。
うまく斬れてもマズそうだからそのまま【焼却】処分ね。
さて、お望みならもう片方も斬ってあげるわよ?
アドリブ・絡みはOKです。
イデア・デザイアー…これがプラグマの怪人か。…あぁ、うるさい。耳障りな音だ。
耳が歪む…理想が歪む…『理想』が孵る…
揺卵形態から【変身】、微細な振動を感知し音波を吸収する
装甲に【異形化】。更にヴァリアブルウェポンを音を切り裂く剣、
サイレントリッパーに【武器改造】
…あぁ、待たせたな。お前の『理想』はどれほどのものだ…?
俺の『理想』に耐えられるかみせてくれ…。
敵の超音波攻撃を【見切り】的確に剣で敵を切り裂き潰し
お前の理想を踏みにじる。お前から得た『理想』も…
俺を作るには足りない、か…。次に期待するよ…
お前はもういい。…この展開も『理想』通り、だったよ
●音波対策って難しい
作戦を盛大に妨害された結果、ヤケクソになったコウモリプラグマは、関係者の皆殺しを宣言した。そんな暴挙を能力者達が見逃すはずもなく、怪人の現れた園庭は瞬く間に戦いの場所へと姿を変える。
「……これがプラグマの怪人か」
「お、如何にも怪人でございますみたいなのが飛び出てきたわね。なんか知らないけどラッキー、ぶっ倒してやるわ!」
最初に園庭へ現れたのは、イデア・デザイアー(可能性の卵ワンダリング・ポッシブル・h00139)とアーシャ・ヴァリアント(ドラゴンプロトコルの|竜人格闘者《ドラゴニックエアガイツ》・h02334)の二人だった。もっとも、コウモリプラグマを追って来たイデアとは違い、アーシャは園庭に出たところで偶然に鉢合わせたといった感じだが。
「出て来たな、能力者どもめ! 俺様の超音波を食らうがいい!!」
そんな二人に、コウモリプラグマは躊躇うことなくお得意の超音波攻撃を浴びせて来た。しかも、指向性の音波ではなく全方位への無差別攻撃なので、これではどこにも逃げ場がない。
「……あぁ、うるさい。耳障りな音だ。耳が歪む……理想が歪む……『理想』が孵る……」
咄嗟に両耳を押さえるイデアだったが、そもそも超音波は人の耳では感知できない音である。それさえも聞き取れてしまうのは、彼が人間ではなく怪人だからだろうか。
「う……なにこれ、気持ち悪い……」
同じくアーシャも耳を押さえたが、そもそも超音波による攻撃の本質は相手の鼓膜を破壊することではない。超音波は、適正な周波数を浴びせれば血行の促進などに役立ち健康を増進してくれるが、不適な周波数で浴びせることで、対象に凄まじい眩暈や頭痛、不快感を引き起こす。それらは耳で音を聞き取ることではなく、頭部へ直に音波を浴びせることで起こす現象なので、耳を塞いだところで大した効果はないのである。
あるいは、水中で使用すれば、それは水の振動となって相手に伝わり、一種の衝撃波の代わりともなる。見えない衝撃で相手を吹き飛ばしたり、脳を直接揺さぶったりするのが超音波攻撃の特性だ。
「ヒャーッハッハッハ! 俺様の超音波攻撃から逃れられるものかぁ! そ~れ、もう一発だぁ!」
調子に乗ったコウモリプラグマは、更に追加で超音波を放って来た。それに対して翼で風を起こすことで対抗するアーシャだったが、気分の悪さは変わらない。
「うぷっ……なんか、むしろ中途半端に遅れて攻撃が来る分だけ、余計に気分が……」
「ヒャハハハハ! 風なんかで音を防げるものかよ! 苦しめ、もっと苦しめぇ!!」
突風に晒されているにも関わらず、コウモリプラグマは笑っていた。ともすれば自分が吹き飛ばされそうになっているが、それでも勝利は変わらないと信じているからだろうか。
音は空気の中を伝わる。それに対して、空気の流れである風をぶつければ、音が到達するのを『遅らせる』ことはできる。
だが、それはどこまでいっても遅らせるだけであり、しかも音速は秒速にして340mもある。超大型台風に匹敵する暴風を叩きつけたところで、せいぜい秒速が50m程落ちるだけなので、速度は減衰させられても超音波の効果までは減衰できない。
「どうやら、これまでのようだなぁ? そろそろ終わりにしてやろう」
コウモリプラグマが翼を広げて高笑いしている。確かに、このままでは二人ともやられてしまう。だが、そんな状況下においても、イデアはまだ切り札を残していた。
「……あぁ、待たせたな。お前の『理想』はどれほどのものだ……? 俺の『理想』に耐えられるかみせてくれ……」
先の攻撃を食らった際、既にイデアは√能力の発動条件を満たしていたのだ。それにより、今の彼は自らが望んだ理想の姿……音波を吸収する装甲に身を包んでいた。
「なぁ~に、意味不明なことを言ってやがる! それに、ご自慢の装甲はご立派だが……その中にいる自分の姿を、よ~く見てみなぁ!」
それでも、コウモリプラグマは慌てず騒がず超音波を放ってくる。それらはイデアの装甲により吸収されてしまうが、しかし超音波を吸収する度に、彼の周りの温度が凄まじい勢いで上昇して行く。
(「これは……装甲が熱を帯びている!?」)
物体に吸収された超音波の振動エネルギーは、基本的には熱エネルギーに変換されるのだ。超音波によるダメージを防げても、長期戦になれば自分の方が焼け死んでしまい兼ねない。
ならば、攻撃の隙を見切って攻撃しようとするイデアだったが、そもそもどれだけ振動を察知して敵の行動を見切ろうとも、音自体は見えないので見切りようがない。彼の手には音さえ斬り裂く剣が握られていたが、コウモリプラグマの超音波は全方位に拡散する上に、そもそも空気中を伝わる振動なので、斬り捨てたところで勢いは落ちず周囲の空気を伝わってくるだけである。
「ギャハハハハ! 俺は無敵……無敵だぁ!!」
調子に乗ったコウモリプラグマは、追い打ちの超音波を放とうと翼を広げた。だが、次の瞬間、彼の下に思わぬ個所から思わぬ攻撃が飛来した。
「止めろー! 正義の味方を虐めるなー!」
「こいつめー! これでも食らえー!」
園庭での戦いを室内から見ていた園児達が、一斉に玩具やゴムボールを投げつけ始めたのだ。それ自体のダメージは皆無に等しかったが、問題なのは玩具やボールによって音波が吸収、反射されてしまうことである。
「なっ……! おい、止めろ、貴様達! 俺様の超音波が拡散してしまうではないか!」
音の伝わる方向に障害物があればあるほど、音は拡散して反響して行く。ゴムは音波を吸収するし、一部の金属製玩具は音波を反射する。反射された超音波はコウモリプラグマ自身に跳ね返るため、彼は意図せず自分の攻撃を食らってしまうことになる。
ちなみに、室内にいた園児達が無事だったのは、園の壁であるコンクリートと窓に備え付けられたカーテンにより、超音波が二重に遮断されたおかげであった。音波は適切な用い方をすれば恐ろしい武器にもなるが、その一方で弱点も明確。音自体に破壊力があるわけではないので、遮断方法さえ間違えなければ、その辺の物体でも容易に防げるのだ。
「うぐぐ……頭がふらふらするぅ……」
自分の攻撃を食らって盛大に自爆したコウモリプラグマに、もはや能力者達を攻撃する余裕はない。それを見たアーシャは再び翼を広げて突風を起こす。今度は風で音波を減衰させるのではなく、その辺にある物を吹き飛ばしてぶつけるために。
「な~るほど……邪魔な物が多ければ、その気持ち悪い音波は使えないってわけね」
園児達が投げたボールが風に乗って再びコウモリプラグマを襲い、砂場を覆っていたブルーシートが飛ばされて、コウモリプラグマの頭に被さってしまった。こうなると、もうコウモリプラグマは自慢の超音波攻撃が使えない。攻撃できるにはできるのだろうが、音の一部はブルーシートに吸収されるか、あるいは跳ね返って自分の頭に直撃するだけだ。
「ぐぬぬぬ……前が見えん!!」
慌ててシートを外そうとするコウモリプラグマだったが、その瞬間は隙だらけ。そこを逃さず、アーシャとイデアは左右から同時に仕掛ける形で斬り掛かり、見事にコウモリプラグマの翼を斬り捨てて見せた。
「うぎゃぁぁぁぁっ!!」
翼がなければ、もはや飛んで逃げることもできまい。大幅に戦闘力を減衰させられたコウモリプラグマは、翼の付け根をジタバタさせるも、虚しい抵抗にしかなっておらず。
「さて、お望みならもう片方も……って、もう無くなってたわね、残念」
斬り落とした翼を焼却処分しつつ、アーシャは爪をコウモリプラグマに向けて笑みを浮かべる。その一方で、同じく翼を斬り落としたイデアだったが、彼はコウモリプラグマに対する興味の大半を失っているようだった。
「お前から得た『理想』も……俺を作るには足りない、か……。次に期待するよ……」
過程はどうあれ、最終的には理想的な展開に辿り着いた。ならば、余計な役者は早々に退場するべきだ。続く二人の攻撃がコウモリプラグマの胸元に炸裂し、激しい火花と共に鮮血を散らした。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
真弓・和虎【猫虎】
子ども、殺すのか。やってみろ。やってみろよ、手前ェ。
俺、コイツぶちのめしてーんだけど。千鳴ちゃん、手伝ってくれる?
【夢幻流離・悉皆覆白】、移動速度を3倍にして【ダッシュ】、一気に踏み込むぜ!
移動すりゃ、その【コウモリ】は出せねーんだろ?ノックバック狙って【グラップル】、何度でも【悉皆覆白】を叩き込んでやる!
移動させて、敵の攻撃は速度を活かして回避を心掛けっけど、楽勝とはいかねーやな。
子どもたちの応援がありゃ、【演技】してでも強がって、【覚悟】決めるぜ!
弟妹かー、いいねぇ!そんじゃ、ギア上げっかぁ!
トドメは千鳴ちゃんに合わせてートコ!
猫の立派なしっぽと虎の尾を踏んだんだ、覚悟しやがれ!
鈴成・千鳴【猫虎】
わりぃ、遅れた!(しゅたっと着地)
皆殺しだぁ?寝言は寝て言えっつーの!和虎、助太刀するぜ!
なるほど、あいつを吹っ飛ばせばいいんだな!
和虎に続いてダッシュから切り込み、尻尾でのなぎ払いでノックバックを狙うぜ!
あいつの視界は避けろって野生の勘が告げてる、吹っ飛ばせれば一石二鳥だ!
敵の攻撃はなるべく受け流しで対処、超音波は厄介だが…プロテクターで耳をカバーして切り抜けたい!
子供の応援を力に、か…私にも弟妹がいるんだ、悪くねぇな。こうなったら良い所を魅せねぇとな、尻尾百錬撃だ!
なぎ払い、グラップル、目潰し…尻尾とのコンボをたっぷり見せてやるぜ。
和虎と同時、または連撃でトドメが刺せれば最高だな!
●人質作戦はお約束
園児達の援護を受けた思わぬ反撃により、コウモリプラグマは自身の両手でもある翼を盛大に斬り落とされてしまった。
こうなっては、もう余裕ぶっている場合でもない。これ以上、邪魔をされては堪らないと、コウモリプラグマはついに園児達へと矛先を定めた。
「おのれぇぇぇ……こうなれば、貴様達から皆殺しにしてくれる! 覚悟しろ、クソガキどもぉ!」
両手を失ってもなお、コウモリプラグマの√能力は健在だ。このまま園内に突入されたが最後、園児達は成す術もなく皆殺しにされてしまう。だが、コウモリプラグマが園内に突入しようとした矢先、それを阻むようにして真弓・和虎 (この手に護れるモノなど無く・h03578)が立ちはだかった。
「子ども、殺すのか。やってみろ。やってみろよ、手前ェ」
罪もない人間、それも子どもを殺すなど、悪行の中でも最低にして最悪の行い。そんなものを許してはならないと、和虎は拳に力を込める。そして、そんな彼を助けるかの如く、鈴成・千鳴 (しっぽファイター・h02574)も馳せ参じた。
「わりぃ、遅れた!」
助っ人や真打は遅れて登場するのが世の常だ。これで数的には能力者側の方が有利となった。後は目の前にいる手負いの怪人を、完膚なきまでに叩きのめすだけ。
「俺、コイツぶちのめしてーんだけど。千鳴ちゃん、手伝ってくれる?」
「皆殺しだぁ? 寝言は寝て言えっつーの! 和虎、助太刀するぜ!」
答えは皆まで言わずとも同じ。コウモリプラグマの呼び出した多数のコウモリの隙間を縫う形で、まずは和虎が肉薄し。
「移動すりゃ、そのコウモリは出せねーんだろ? 吹っ飛びやがれ!」
相手の首を掴んだ上で、盛大に顔面を殴り飛ばす。強化装甲をもブチ抜く拳の一撃を食らっては、さすがのプラグマ怪人といえど無事では済まない。
「ぐぁぁぁぁっ! おのれぇぇぇぇっ!!」
翼を失っていたことで防御もできず、コウモリプラグマは盛大に吹き飛んだ。すると、彼の操っていたコウモリも制御を失い、次々と虚空へ消えて行く。
移動してしまえば、コウモリプラグマの呼び出したコウモリ達は消滅する。このまま一方的に攻撃できるかと思われたが、しかしコウモリプラグマとて腐っても作戦を一任される怪人だ。
「えぇい……こうなったら、最後の手段だ! これを見て驚くがいい!」
そう言って、コウモリプラグマが超音波通信で配下の戦闘員に指示を出せば、なんと幼稚園バスが園の正門をブチ破って突入して来た。
「げっ! おいおい、あんなの聞いてないぜ!?」
追撃を食らわせようと身構えていた千鳴が、思わず二の足を踏んだ。あのまま飛び出していたら、バスに轢かれていたかもしれない。
「フハハハハ、見たか! こんなこともあろうかと、ジャックした幼稚園バスを控えていたのだ!」
コウモリプラグマの繰り出した切り札とは、古典的な人質作戦。もっとも、この状況下で効果的なのは間違いない。現に、千鳴の攻撃を一度は止めてしまっただけでなく、これでは迂闊に手が出せない。
「助けてー!」
「怖いよー!」
バスの中には未だ園児達が閉じ込められており、下手なことをすれば戦闘員が彼らを殺してしまうかもしれなかった。彼らを見捨ててコウモリプラグマを叩けば済むことなのだが、それは正義の味方の行いとしては0点だ。
「くっ……卑怯だぞ!」
「ギャハハハ! 俺様は蝙蝠だが、卑怯もラッキョウも大好物だぁ!」
高笑いするコウモリプラグマを前に地団太を踏む千鳴だったが、このままではどうすることもできない。しかし、彼女はまだ諦めてはいかなった。こういう場合、チャンスは必ず訪れる。そして、そのチャンスを作り出してくれるのは、他でもない和虎だと信じている。
「……ちょっとだけ待っててくれよ。直ぐに助け出してやるぜ」
次の瞬間、和虎の速度が急激に上がった。彼の√能力は攻撃力の上昇だけでなく、速度も平時の3倍にまで加速させるもの。その特性を生かし、和虎はコウモリプラグマではなく、幼稚園バスのフロントガラス目掛けて突撃し。
「うおりゃぁぁぁっ!!」
なんと、フロントガラスをブチ抜きながら、バスの運転手を脅してた戦闘員の顔面をも粉砕した。装甲をも破壊する拳の力を以ってすれば、この程度は朝飯前といったところか。
「大丈夫か? さあ、今の内に逃げるんだ!」
バスの扉を開き、和虎は園児達を外へ逃がして行く。慌ててバスへと向かうコウモリプラグマだったが、これ以上は園児達を盾にさせてなるものか。
「おっと、そうはいくかってんだよ!」
「子どもたちの応援がありゃ、百人力ってやつさ。園児を人質に取ったのは間違いだったな」
切り札を失ったコウモリプラグマを、今度は千鳴と和虎が追い詰める番だった。こうなっては、もはやコウモリプラグマには、二人を止める術はなく。
「子供の応援を力に、か……。私にも弟妹がいるんだ、悪くねぇな」
「弟妹かー、いいねぇ! そんじゃ、ギア上げっかぁ!」
本気モードになった二人には、遠慮など欠片も存在しない。今まで、散々に汚い手段を使ってくれたお返しとばかりに、拳と尻尾でフルボッコ!
「こうなったら良い所を魅せねぇとな、尻尾百錬撃だ!」
「猫の立派なしっぽと虎の尾を踏んだんだ、覚悟しやがれ!」
先の戦いで翼を失っていたコウモリプラグマは、防御ができず殴られまくるだけだった。いかに高い生命力を持つ怪人であっても、鉄をも砕く打撃を何発も浴びせられれば、致命的なダメージを負うことは間違いなく。
「ぐわぁぁぁぁっ! そんな馬鹿なぁぁぁぁ!!」
和虎の拳が顔面をブチ砕いたところで千鳴の尻尾が直撃し、コウモリプラグマは園庭の隅まで吹っ飛んで行った。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
ドミナス・ドミネートところでそこの貴方
なんでボンデージも着てない女先生の格好して突入してきたのよ
私みたいに服くらい合わせて...
園内にいた先生の格好そのまま?特に焦ってもいなかった?
ふうん...まあいいわ、まずはヤツよ!
追い付いたら√能力発動!
さあ私の17人の可愛い戦闘員たち!奴を包囲攻撃よ!
と私もローゼスウィップを使い一斉攻撃!
でもコウモリに阻まれる
さては追い付くまでに増やしてたわね
奴も動かずに攻撃を捌くしどうしたら
なんてね
奴が油断した隙に
ステルス迷彩で隠していた蜂戦闘員に奴を不意打ちさせ
その場から少しでも動かしコウモリを消す
そこですかさずローゼスウィップで奴の体を打ちのめすわ
残念
私が出せる戦闘員は最大18人よ
ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシルやれやれ。破れかぶれの怪人というものは厄介だね。
けど、幼子たちを巻き込んだ作戦を立てるヤツに容赦はしないよ。
コウモリの攻撃を避けつつ、「高速詠唱」で【星明かりの雨】の魔法を唱えて、
コウモリプラグマの呼び出したコウモリを纏めて焼き払うよ。
ふふ、わざわざボクに焼き払われるために広い場所に出てくれるなんて、ね。
さて、これで三下の始末は済んだかな?
そろそろ裏で手引きしていたのが現れるころだね。
※アドリブ連携大歓迎
●残った疑問
翼を捥がれ、人質作戦も失敗したコウモリプラグマには、もはや勝機は残されていなかった。
こうなれば、不本意ではあるが逃げるしかないと判断したのだろう。死刑にされたところで、彼もまた√能力者。時間をかければ再生できるのだから、これ以上の無様を晒すよりはマシである。
「えぇい! こうなったら、破れかぶれだぁ!」
最後の置き土産とばかりに、コウモリプラグマは次々と配下のコウモリを呼び出し始めた。それらを使って自分の周囲を守らせ、果ては園児達を攻撃させて自分が逃げる時間を稼ぐつもりなのだろう。
「そこまでよ! ようやく追いついたわ!」
だが、コウモリプラグマが逃走しようとした矢先、その行く手をドミナス・ドミネート(リストリクト団首領代理・h02576)が阻んだ。ここでコイツを逃がしてしまったが最後、また別の場所で碌でもない事件を起こす可能性もある。逆恨みで幼稚園を攻撃されては堪らないので、まずはしっかり始末しておかなければ。
「さあ、私の可愛い働き蜂達よ、おいで! 仕事の時間よ!」
数には数で対抗すべきだと、ドミナスは自分の配下である蜂型戦闘員を呼び出した。今度はインビジブルを元にしたものではなく、正真正銘の自前軍団だ。
「さあ、私の17人の可愛い戦闘員たち! 奴を包囲攻撃よ!」
自らも薔薇の鞭を振るい、ドミナスは戦闘員と共に一斉攻撃を仕掛けて行く。が、しかし、その攻撃の大半はコウモリに阻まれてコウモリプラグマまでは届かない。仮に届いたとしても、戦闘員の攻撃力はそこまで高くないため、コウモリプラグマを倒すには力不足だ。
「ヒャハハハハ! そんな攻撃では、俺様を倒すことはできんぞぉ!」
ドミナスが攻撃を続けている間にも、コウモリプラグマは詠唱を繰り返すことでコウモリの数を補填してくるので性質が悪い。3秒に1匹のペースで増援を呼ばれれば、もはや完全に泥試合。
このままでは、敵に逃げられてしまう可能性の方が高かった。相手が動けばその瞬間にコウモリも消えるが、そんな間抜けは晒さないだろう。それよりも先に、こちらの動きを封じるべく、園児達に攻撃を仕掛けてくる可能性の方が高い。
少しばかり早い気もするが、ここは自分も切り札を使うべきだろうか。どうにも判断し兼ねるドミナスだったが……彼女が次の手に出ようとした瞬間、突如として現れた光り輝く星の刃が、次々とコウモリを叩き斬って消滅させた。
「やれやれ。破れかぶれの怪人というものは厄介だね。けど、幼子たちを巻き込んだ作戦を立てるヤツに容赦はしないよ」
それは、ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシル(星樹ホシトキの言葉紡ぐ妖精姫ハイエルフ・h02999)による攻撃だった。この手の面倒な敵は範囲攻撃で葬るに限る。攻撃範囲が広い分だけ威力は劣ってしまうのが欠点だが、そもそも相手にするのが質より量の雑魚であれば何の問題もない。
「ぬぅぅぅ……。だが、直ぐにコウモリを補充すれば……」
それでも諦めていないコウモリプラグマだったが、これ以上はコウモリを呼び出させるのも気分が悪い。
「そうはさせないわよ!」
「なにっ! ぐぇぇぇっ! なんだ、これは!?」
コウモリプラグマが次の動きを見せるよりも早く、ドミナスが隠れていた最後の戦闘員に攻撃命令を出した。彼女が操る蜂戦闘員の真髄は攻撃力に非ず。高いステルス性を駆使した隠密戦闘と、毒針による麻痺毒攻撃が主な武器なのだ。
「残念、私が出せる戦闘員は最大18人よ」
「うぅ……ま、まさか、既に伏兵を配置していたとは……」
手負いの状態であっても麻痺毒に耐えるのはさすがプラグマ怪人といったところだが、それでも動きが鈍くなったのは隠せない。これまでのお返しとばかりにドミナスが鞭で滅多打ちにすれば、再び星の刃を携えたルナが、300を超える数の刃で一斉にコウモリプラグマを攻撃した。
「ふふ、わざわざボクに焼き払われるために広い場所に出てくれるなんて、ね」
「ちょ、ちょっと待て! 俺様は満足に動けんのだぞ! そんな者を攻撃するなど、それでも貴様は正義の味方かぁぁぁぁっ!!」
自分の行いを棚に上げてコウモリプラグマが何か叫んでいたが、ルナはガン無視してズタズタに斬り裂き、そして肉片も残さず焼き払った。ここまでされでも、いずれは復活するのが√能力者の恐ろしいところ。だが、それでも再生にはしばしの時間を要するため、これ以上は彼がこの作戦に関わることもないだろう。
「さて、これで三下の始末は済んだかな? そろそろ裏で手引きしていたのが現れるころだね」
「そうね。……あ、でも、そういえばちょっと気になったことが……」
いよいよ真の黒幕と対面できると告げるルナの隣で、ドミナスが何かを思い出したようにして天を仰いだ。
敵の施設の突入した際、園の先生に化けて来た√能力者の姿があったはず。彼の話では、その先生は特に焦る様子もなく園内を歩いていたとのことだが、よくよく考えれば異常である。
偶然で片付けるにしては、あまりに奇妙。だが、この先に真の黒幕が現れるであろうとを考えると、あまり熟考している時間もない。そして……ドミナスのこの不安と疑念は、この先に待つ最悪の展開によって実現することになってしまうのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『『マンティコラ・ルベル』』
POW
デンジャラス・ローズ
【薔薇の香り】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ルベル・アロー】」が使用可能になる。
【薔薇の香り】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ルベル・アロー】」が使用可能になる。
SPD
マンティコラ・スティンガー
【サソリの尾針がついた髪鞭】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
【サソリの尾針がついた髪鞭】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
WIZ
スコーピオン・ローズ
半径レベルm内にレベル体の【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、【赤外線】による索敵か、【蠍の爆発】による弱い攻撃を行う。
半径レベルm内にレベル体の【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、【赤外線】による索敵か、【蠍の爆発】による弱い攻撃を行う。
●新任先生の正体!?
幼稚園を占拠したコウモリプラグマは退治され、園には平和が戻った……はずだった。
だが、それにしては、どうにも様子がおかしい。真の黒幕が姿を見せていないこともそうだが、なにより奇妙なのは今しがた戦闘が行われていたばかりの園庭に、突如して幼稚園の先生が現れたことである。
それは、先の潜入の際に、√能力者によって気絶させられた女教師。厳重に拘束されていたはずなのだが、いったいどうやって抜け出したのか。
「あれ? ミサキ先生、どうしてそんなところにいるの?」
「よかったー! 先生は大丈夫だったんだね!」
未だ大半の職員がボンデージ姿なままなのに対し、いつもの服装で現れた女教師に、園児達の何人かが駆け寄ろうとした。しかし、そんな彼らを正気を取り戻した園の職員達が必死に止めた。見れば、ミサキと呼ばれた女教師は口元に不適な笑みを浮かべながら、背後からサソリの尻尾を出しているではないか!
「ウフフフ……さっきは人間の姿だから不覚を取ったけど、もうこんな窮屈な格好をしている必要もなさそうね」
そういうが早いか、ミサキ先生はなんと自分の服に手をかけて盛大に破り捨てた! 当然、そんなことをすれば全裸になってしまうはずなのだが……あろうことか、彼女は衣服だけではなく、自分の皮膚まで脱ぎ捨てていた。
「きゃぁぁぁぁ!」
「ミサキ先生が、お化けになっちゃったぁぁぁぁ!!」
見慣れた女教師の姿が一転して怪人になったことで、園児達は泣き叫びパニック状態。その様子を、実に楽しそうに眺めながら、薔薇とサソリの特性を持った女怪人は艶っぽい声で彼らに告げる。
「あなた達には悪いけれど、ミサキ先生なんて人は最初からいなかったの。私はマンティコラ・ルベル……あなた達を悪い子に改造する、悪のプラグマ怪人よ!」
そもそも、この園に臨時の補助教員として配属されたのが、悪の組織による計画だったのである。園児と一緒に楽しく遊んでくれたのは、全てこの日のために備えた演技! 優しかった先生の正体は、悪のプラグマ怪人であり、事件の黒幕でもあったのだ!
「そんな……。先生は、僕達を騙していたの?」
「お歌や折り紙を教えてくれたのも、全部嘘だったの?」
今までの楽しい思い出が恐怖に塗りつぶされて行き、園児達の顔に絶望の色が広がって行く。しかし、それを見てもマンティコラ・ルベルは何ら動ずることもなく、むしろ胸元から折り紙細工を取り出すと、それを地面に叩きつけ踏み潰した。
「フン……いつまでも夢ばかり見て、純粋なこと。でも、現実は時に残酷なものなの。下らない遊びは、これで終わりにしてあげるわ!」
冗談のような作戦内容に反し、黒幕はなかなかえげつない怪人だった。こんな性格のやつだからして、いざ戦いになればどんな卑怯な手段を使ってくるか分からない。
だが、それでも子ども達の想いを利用し、夢を壊して平気な顔をしているプラグマ怪人を許してはならない。園児達の夢と希望と、そして命を守るため、外道なる女幹部を撃破するのだ!
あ、くだらない前振り終わった?
んじゃ、さっさと退場してよね趣味の悪いオバサン。
あんたの言う通り現実の厳しさって奴を教えてやろうじゃない。
挑発で相手の攻撃を誘って【見切り】竜漿を使った【オーラ防御】を展開しながら左手で受けるわね。
尾針が抜ける前に右手の|竜斬爪《ドラゴニック・クロー》による竜王・破断を使った【カウンター】で髪鞭を【部位破壊】して【切断】するわ。
切断した髪鞭は|灼熱の吐息《サラマンドラ・バーン》で軽く焼いて【捕食】し負傷を回復するわね……うーん不味いっ、髪なんて食うもんじゃないわね。
それじゃ今度はこっちの番ねオバサン。
全力の|灼熱の吐息《サラマンドラ・バーン》で【焼却】処分するわ。
ドミナス・ドミネートうーん、如何にも悪の女怪人として登場したのは元同僚として褒めたいけど
残念ながら貴方が無様に不意打ちされて気絶させられてた事を私は知ってるから
貴方のセリフ全部格好悪く見えて仕方ないわ!
お笑い担当の保育士の方がよほど向いてるんじゃない、ホホホ!
挑発に乗って相手が高スピードで動いて攻撃しようとしてきても動じないわ
だって私の準備はとっくに終わっているのだから
実は準備してあった√能力発動!
幼稚園を含めたこの辺りの地域を私の支配能力領域にする!
私の支配領域での貴方の位置なんてまる分かり
攻撃しようとした足下を大穴に地形変更する事で攻撃を失敗させるわ
こっちは逆に足場を作り敵へと接近
ローゼスウィップで攻撃するわ
●お前の作戦はお見通し!
子ども達の夢と希望を平気で踏みにじり、彼らを騙すことにさえ何ら罪悪感を覚えることのないマンティコラ・ルベル。
さすがは、悪のプラグマ怪人といったところだろうか。そんなマンティコラ・ルベルのやり方に、アーシャ・ヴァリアント(ドラゴンプロトコルの|竜人格闘者《ドラゴニックエアガイツ》・h02334)は怒り心頭であった。
「あ、くだらない前振り終わった? んじゃ、さっさと退場してよね、趣味の悪いオバサン」
正直、さっさとこいつをブン殴って、盛大に燃えるゴミとして焼き払いたい。だが、無策で突っ込めば碌でもない目に遭うことは分かっていたので、アーシャは敢えて暴言を吐くことで相手を挑発する策に出た。
「なっ……お、おば……! し、失礼な! 私の人間態は、お前達の年齢に換算すれば、まだ二十代よ!」
案の定、マンティコラ・ルベルは挑発に乗って、必死に自らの年齢を主張し始めた。やはり、怪人といえど女は女。年齢を馬鹿にされたとなれば、頭に血が登って周りが見えなくなる。そんなマンティコラ・ルベルに、追い打ちとばかりにドミナス・ドミネート(リストリクト団首領代理・h02576)も辛辣な言葉を浴びせ。
「うーん、如何にも悪の女怪人として登場したのは元同僚として褒めたいけど、残念ながら、貴方が無様に不意打ちされて気絶させられてた事を私は知ってるから……貴方のセリフ全部格好悪く見えて仕方ないわ! お笑い担当の保育士の方がよほど向いてるんじゃない、ホホホ!」
今更、作戦の後始末に現れたところで、どうせ作戦は失敗だ。幹部としては間抜け過ぎる醜態であり、怪人としては完全に落第。さすがに、そこまで徹底的に馬鹿にされれば、マンティコラ・ルベルといえど黙ってはいない。
「おのれ……黙って聞いていれば、好き放題に言ってくれるわね! ならば、その失言が誤りだということを、その身で証明させてあげるわ!」
完全にブチ切れたマンティコラ・ルベルが、凄まじいスピードでドミナスに迫ってきた。彼女は√能力によって、自らの速度を最大で3倍まで高めることができる。その上、堅牢な装甲さえ余裕でブチ抜く矢を放ってくるのだから、どう考えてもドミナスの方に分が悪いはずなのだが。
「うふふ……残念だけど、貴方は既に負けているわ。こんなこともあろうかと、実は準備してあった√能力発動! 幼稚園を含めたこの辺りの地域を私の支配能力領域にする!」
そう、ドミナスが宣言するのと、マンティコラ・ルベルの足元に巨大な落とし穴が出現するのが同時だった。
「なっ……! 何故、こんなところに穴が……きゃぁっ!?」
哀れ、マンティコラ・ルベルは盛大に穴へと落下し、下半身が完全に埋まってしまった。スピードを出し過ぎていたので、穴の前で止まれなかったのである。おまけに、落下の際に足を挫いてしまったらしく、これではなかなか穴から出られない。
「残念ね。怪人たる者、どんな時でも卑怯な手段が使えるようにしておかないと♪」
ドミナスの√能力。それは、事前の準備により周辺地域を支配下に置くことで、一度だけ支配下に置いた地域のあらゆる物をコントロールできるというもの。その効果は一度しか使えないものの、相手の攻撃を確実に阻害することができるのだ。
そういうわけで、ここから先は一方的に攻撃させてもらう。非情の宣言と共に、ドミナスはマンティコラ・ルベルのことを、手にした鞭で滅多打ち!
「くぅっ……おのれ、よくも! でも、私はまだ負けていないわ!」
それでも気合と根性だけでドミナスの殴打に耐えながら、マンティコラ・ルベルはサソリの尾を模した髪の毛を伸ばして来た。この髪の先端にあるサソリの尾は本物の毒針なので、刺されればそれだけで大変なことになってしまうのだが。
「……っ! そうはさせないわよ!」
サソリの毒針は、アーシャが身を呈して左手で受けた。このまま毒針を引き抜かれれば、それだけで彼女は大ダメージ。しかし、それこそが彼女の狙いである。身体に針が刺さっている間は、相手も自由に髪を動かせない。つまり……髪を切断するには、またとないチャンスなのである。
「悪いけど、髪の毛はもらうわね」
右手の爪でマンティコラ・ルベルの髪を切り裂き、アーシャは左腕に残っている先端部分を毒針と共に火竜の吐息で焼き尽くした。そのまま、残った針の部分だけを口に含むが……√能力で回復するためとはいえ、さすがに味の方まで保証はなかったようだ。
「……うーん不味いっ、髪なんて食うもんじゃないわね」
まあ、変わりに他の部分を食べたとしても、大して美味くもなさそうである。ならば、さっさと焼却してしまった方がよかろうと、アーシャは再び息を大きく吸い込んで。
「それじゃ、今度はこっちの番ねオバサン」
「ま、待ちなさい! 私はまだ、穴から抜けてな……ぎゃぁぁぁぁっ!!」
わざわざ相手が穴から脱出するのを待つまでもない。燃える吐息を顔面に受け、マンティコラ・ルベルは上半身だけが真っ黒焦げになってしまった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
真弓・和虎【猫虎】
おっとぉ!?そうだったかー…今度は気絶じゃ済まねーぞ?
千鳴ちゃん。もうちょい、手伝ってくれる?
『作戦の立案者が、卑怯な不意打ちにやられてりゃ世話ねぇな!』
接近戦からの【グラップル】、長鞭は回避に専念するが、躱したら千鳴ちゃんに当たるようなら、【戦籠手】から出した闘気の剣でパリィ。
使用不能になっても、再形成するぜ!
隙を見て【ダッシュ】で懐に入り、右の【鉄拳】を叩っこむ時に【真弓の射手】を発動!パワー2倍の威力だ!
『へへ、子どもたちのヒーローは、【変身】するモンだろ?』
【跳躍】を交え距離を自在に変化させ、【虎賁風生】で千鳴ちゃんを狙う尾を【スナイプ】して弾く!
トドメの一矢、合わせるぜ!
鈴成・千鳴【猫虎】
先生が黒幕だって?気のなげぇ計画だな!
悪いがその計画、和虎と一緒にぶっ潰してやるぜ!
「とっとと!危ねぇな!」
あの鞭髪はヤバいぜ、無闇に尻尾を繰り出すのは避けたほうがいいな!
ダッシュからの先制攻撃、2回攻撃に爪での目潰しと、拳を主体に手数で勝負だ!
「――薔薇の匂い!気を付けろ、何か来るぜ!」
敵の攻撃はキャット・ハンズで受け流してカウンターを狙うぜ!切断されるのだけは避けたいところだ!
ダメージ受けたなら、サヴェイジ・ビースト発動を狙う!尻尾を叩き込む!
うおっ?和虎が変身した!なんかカッケーじゃん!
和虎の遠距離攻撃と連携して一気にたたみかける!
最後はまた、同時か連撃でとどめを刺したいね!
ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシルふん、コウモリ怪人といいキミといい、プラグマの怪人ってヤツは胸糞の悪い奴らだね。
純真な幼子たちの心を傷つけた代償は払ってもらうよ。
「全力魔法」で【ウィザード・フレイム】を唱えて、襲い掛かってくる蠍を迎撃するよ。
1回攻撃による直接の破壊だけでなく、蠍の爆発を反射して他の蠍を巻き込んだりして数を稼いでいくね。
一進一退の攻防が続くかもしれないけど、こっちには頼もしい仲間達がいるからね。
味方の援護で優位になったところで溜まったウィザード・フレイムの残りを一気に叩きつけるよ。
さて、無事に撃破できたら幼子達のケアをしてあげたいけれど……
うん、少し遊んで行ってあげようか(と、子供達にもみくちゃにされる)
●お約束のヒーロー参上!
幼稚園の先生に化けて、幼稚園の地下に秘密の施設を建造する。作戦としては地味なものだが、いざ明るみに出れば、裏切られた園児達の心境はいかほどか。
「おっとぉ!? そうだったかー……今度は気絶じゃ済まねーぞ?」
自分が正体を見破れなかったことに責任を感じているのか、真弓・和虎 (この手に護れるモノなど無く・h03578)は少しばかり強気で前に出ていた。
「先生が黒幕だって? 気のなげぇ計画だな! 悪いがその計画、和虎と一緒にぶっ潰してやるぜ!」
そんな和虎に合わせる形で、鈴成・千鳴(しっぽファイター・h02574)も肩を並べる。しかし、当のマンティコラ・ルベルは上半身を真っ黒焦げにされていながらも、未だ余裕の態度を崩さなかった。
「うふふ……できるものなら、やってみるがいいわ!」
悪の怪人は、卑怯だからこそ悪なのだ。不敵な笑みを浮かべたマンティコラ
・ルベルの身体からは、謎の香気が溢れ出し。
「……薔薇の匂い! 気を付けろ、何か来るぜ!」
咄嗟に千鳴が注意を促したが、マンティコラ・ルベルの狙いは彼女達ではなかった。薔薇の香りは、あくまで見せ技。なんと、マンティコラ・ルベルは香気で注意を引くことで、ノーマークになっていた幼稚園そのものに薔薇のマークがついた蠍型を放ったのである。
「うわぁ! こっちに来たぁ!」
「先生! 怖いよぉ!」
狙いは当然、園児達。蠍型が触れた瞬間、幼稚園の窓が割れて壁が砕け散る。このままでは園諸共に爆破されてしまうかと思われたが……しかし、次の瞬間、無数の炎が蠍型を遅い、一斉に粉砕せしめたではないか!
「ふん、コウモリ怪人といいキミといい、プラグマの怪人ってヤツは胸糞の悪い奴らだね。純真な幼子たちの心を傷つけた代償は払ってもらうよ」
爆風と共に現れたのはルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシル(|星樹《ホシトキ》の言葉紡ぐ|妖精姫《ハイエルフ》・h02999)。先程の攻撃は、彼女の√能力によるものだった。
「こっちは任せて。蠍は全部焼いてしまうから」
「すまない! 助かる!」
蠍型の相手をルナに任せ、和虎が改めて切り込んでゆく。千鳴も続き、2対1で攻撃するが、マンティコラ・ルベルは退くことなく真正面から二人を迎え撃つ。
「ほらほら、どうしたのかしら? 威勢が良いのは口だけなの?」
「とっとと! 危ねぇな!」
蠍の尾がついた髪の毛による攻撃を辛うじて避ける千鳴だったが、これでは反撃の機会が見つからない。それは和虎も同様で、武器で敵の毒針を弾くのが精一杯だ。
「うふふ……調子に乗っていられるのも、そこまでのようね。さあ、もう遊びは終わりよ! 一気に勝負をつけてあげるわ!」
マンティコラ・ルベルの攻撃が、更に激しさを増して行く。全ての髪の毛を使って、あらゆる角度から攻撃を加えるつもりだ。
猛毒の針によるオールレンジ攻撃。人間の手は二本しかないため、どれだけ頑張っても全てを捌くことは不可能に近い。最悪、何発かはもらってしまうかと思われたが、それはルナがさせなかった。
「……悪いね。キミの蠍は全て始末させてもらったよ」
そういうわけで、次はお前だ。残った炎を全て叩き込めば、それはマンティコラ・ルベルの髪を次々と焼いて行き、瞬く間に武器を奪って行く。
「よし、今だ! 一気に決めるぜ!」
この機を逃すまいと、和虎が駆けた。その姿は、いつの間にか神弓を携えた虎将の姿になっており。
「うおっ? 和虎が変身した! なんかカッケーじゃん!
「へへ、子どもたちのヒーローは、『変身』するモンだろ?」
真横からマンティコラ・ルベルを殴って大勢を崩すと、更に矢を番えて狙いを定める。
「よっしゃ! こっちも反撃だぜ!」
苦し紛れに残った髪の毛で攻撃しようとするマンティコラ・ルベルに、千鳴が距離を詰めて行った。当然、そんなことをすれば相手の攻撃を食らってしまうが、それは望むところ。
攻撃を食らうことこそが、千鳴にとっての√能力発動の条件だ。頬を蠍の尾が掠めたところで、千鳴は身体を大きく捻り、強烈な尻尾の一撃を食らわせる。同時に、和虎が矢を放ち……吹っ飛ばされたマンティコラ・ルベルに矢が追いついて、その身体をブチ抜き爆散させた。
「お、おのれぇぇぇ! プラグマ団に、栄光あれぇぇぇっ!!」
最後までお約束の台詞を吐いて、木っ端微塵に吹っ飛ぶマンティコラ・ルベル。いったい、どういう原理で爆発しているのかは不明だが、とりあえず後始末の手間が省けるのだから細かいことは気にしたら負けだ。
「やったー! 悪いやつをやっつけたぞー!」
「うん……。でも、ミサキ先生はいなくなっちゃったんだよね……」
戦いが終わり、幼稚園児達の反応もまたそれぞれである。怪人が倒され喜んでいる者は良いが、先生に裏切られたことで、心に傷を負ってしまった者もいるだろう。
「……うん、少し遊んで行ってあげようか」
嫌な記憶は楽しい思い出で上書きするに限る。苦笑しながらも園児達の遊び相手を申し出るルナだったが、それを聞いた瞬間、園児達があっという間に彼女の周りを取り囲んだ。
「うわぁ! 正義の味方が遊んでくれるって!」
「やったぁ! お姉ちゃん、大好き!」
子ども達からしてみれば、悪者を倒した英雄が遊んでくれるというのだから、興奮しない方が嘘であろう。なお、ルナは実年齢90歳のエルフ族なのだが、ここは敢えて年齢を明かさない方が良さそうである。
お約束の作戦を阻止した後は、お約束のハッピーエンドだ。しかし、プラグマ怪人達は、いつまた悪どい作戦を実行するかわからない。そんな時、この世界の子ども達の笑顔を守れるのは、√能力者を除いて他にはいないのである。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功